キリンホールディングスのキリン中央研究所は9月11日、ファンケルと順天堂大学大学院医学研究科・環境医学研究所との共同研究講座「抗老化皮膚医学研究講座」に参画し、ヒトのiPS細胞から炎症応答を制御する免疫細胞「マクロファージ」に安定的に分化させる方法を確立したと発表した。
また同研究では、ヒトiPS細胞由来のマクロファージを組み込んだ3D培養ヒト皮膚モデルを世界初作製し、炎症性刺激を与えたときに3D培養ヒト皮膚モデル内のマクロファージが応答することも確認した。
キリンは今後、免疫機能と皮膚症状の関係性に着目し皮膚研究を進め、皮膚症状のメカニズムの知見を創出することで「肌の健康」の課題解決とともに、ヘルスサイエンス事業の拡大を目指す。
皮膚は、外的・内的ストレスによりダメージを受け続けると慢性的な炎症状態となり、外部刺激から防御する皮膚のバリア機能の低下等により乾燥肌やかゆみなどのさまざまな皮膚トラブルが発生する。特に老化やアレルギー等、昨今増えている皮膚トラブルには炎症状態が深く関わっている。
立体構造を持つ3D培養ヒト皮膚モデルを使い、炎症状態を再現することが皮膚科学研究業界で強く求められてきたが、これまで炎症応答を制御するマクロファージを3Dヒト皮膚モデルに組み込むことは技術的に難しく、再現できる組織構造や機能が限定的な平面的な2Dヒト皮膚モデル等で行ってきた。
今回の研究は、ファンケルと順天堂大学が2018年6月から進めていた共同研究講座「抗老化皮膚医学研究講座」に、キリン中央研究所が2021年6月から参画したことをきっかけに開始。ヒトのiPS細胞を使ったマクロファージの安定的な分化誘導方法を確立した他、3D培養ヒト皮膚モデルの構造を壊すことなくマクロファージを組み込む方法を世界で初めて確立し、炎症性刺激を与えたときにマクロファージが応答することも確認した。
【参照ページ】ヒトiPS細胞由来の免疫細胞を組み込んだ3D培養ヒト皮膚モデルを世界で初めて作製
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