年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月15日、株式レンディング(貸株)を再開すると発表した。貸株を約5年ぶりに再開する。
GPIFは2019年12月、貸株の実行期間中、所有権が借り手に移転し、GPIFの保有に実質的な空白状態が生じることとなり、「スチュワードシップ責任との整合性を欠く」と判断し、貸株を停止していた。その際に、「透明性の確保が図られ、課題が改善されると考えられる場合には、株式レンディングのスキームを改めて検討する」と表明していた。
【参考】【日本】GPIF、貸株行為を停止。スチュワードシップとの整合性を欠くと判断。債券レンディングは継続(2019年12月4日)
再開の背景について、GPIFは、2022年度に「株式レンディングの停止による市場への影響に関する調査研究」を実施。その中で、GPIF による外国株式レンディングの停止について、株式市場及び株式レンディング市場に対する影響は観測されなかった。
また、スチュワードシップの空白の観点では、「多くの海外年金基金において、株式レンディングを行って収益を確保しつつ、所有権を保有せずに議決権だけを行使する目的での株式借入の回避やエンゲージメントの効果を維持するための対策を行うことで、株式レンディングとスチュワードシップ責任との両立を図っている」とし、貸株をしながらスチュワードシップ責任を果たす手法はありうるとした。
さらに、「市場における株式レンディングの利用用途については、空売りを含めて用途の類型が明らかになり、問題視されている用途(Empty Voting等)については対応策が存在しており、最終的な借り手について完全に確認できる状況にはないが、株式レンディング取引におけるアセットオーナーからの要求として運用受託機関やレンディング・エージェントに対して情報共有体制の整備を求める動きが見られるほか、欧米の規制当局への取引報告義務が課される等、透明性の確保について進展が見られることがわかったとしていた。
【参照ページ】外国株式レンディングの再開について
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