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【日本】RMS、首都直下型地震の被害を48.5兆円と推計。富士山噴火では東海道寸断リスクも

 金融情報世界大手米ムーディーズ傘下の米RMSは9月1日、関東大震災から100周年を機に、関東大震災級の首都直下型地震が現在再び発生した場合の被害価値を推計し、3,310億米ドル(約48兆5,000億円)の経済損失となると発表した。2011年の東日本大震災で観測された建材損失の約3倍もの規模だった。

【参考】【国際】ムーディーズ、リスク情報大手RMS買収。気候変動や自然災害のリスクモデル獲得(2021年8月6日)

 関東大震災の経済損失が大規模となった背景は、被害地となった東京都、千葉県、茨城県、神奈川県、埼玉県、静岡県、山梨県の7都県は人口と産業が急速に増加していたタイミングであった一方、貧しく人口密度の高い地域では、木造建築が主流で、さらに狭い道路や路地に密集しており、火災が延焼したため。また、都市部の一部は、レンガ造りの石積みや鉄筋コンクリート造も始まっていたが、耐震要件が考慮されずに建設されていた。

 被害地域では、横浜を含む東京全域で、建造物の70%が破壊。約30万棟の建物が破壊され、約21万2000棟が焼失、約8万棟が倒壊、約8万棟が半壊した。加えて、液状化、地滑り、津波等の影響もあり、神奈川県、静岡県、千葉県の沿岸部では津波による被害も大きかった。発生当時の相場での被害額は、日本のGDPの3分の1以上の65億円と推定されるという。死傷者は、首都圏総人口の約2.5%に相当する10万人以上だった。家を喪失した人は150万人以上に上った。

 RSMは今回、RMS日本地震・津波HDモデルを活用し経済損害額を算出し、48.5兆円という推計をはじき出している。これには、物的損失と事業中断損失が含まれており、資材や労働力の価格上昇等が考慮されている。一方、当時と異なり、建築基準の耐震性や津波対策が講じられているため、火災損失は全体のわずか7%、津波による損失はごくわずかという結果となった。

 但し、損害保険でカバーできるのは経済的損失額の3分の1強に過ぎないとも推定されており、経済的に大きな混乱が生まれることが予想される。RMSは9月に、関東大震災が再び発生した場合の潜在的な影響について詳述したホワイトペーパーを発表する予定。

 また、東京大学大気海洋研究所と、山梨県富士山科学研究所の研究グループは6月30日、富士山北東麓では5050年前から3900年前にかけて、これまで報告されていない噴火が少なくとも6回発生していたことを明らかにし、従来の研究で、富士山の火山活動を過小評価していた可能性があると発表している。その結果、1707年の宝永噴火以降、300年以上大きな噴火が起きていない空白期間は、過去5,000年で最長となっていることがほぼ確定し、想定されている以上に大規模な噴火になる可能性があるという。

 従来の想定でも、富士山噴火による災害廃棄物は、東日本大震災の約10倍で、それを上回る想定となれば、非常に大きな影響となる。山梨県、静岡県、神奈川県の3県が合同設置している富士山火山防災対策協議会は2021年、「富士山ハザードマップ」を17年ぶりに改定し、溶岩流の到達可能範囲を拡大。到達時間は、巨大な噴火の場合、富士市東部で、新東名高速道路が1時間45分後、東名高速で2時間15分後、東海道新幹線で5時間後と見積もった。発生すると、日本の大動脈である東海道が大きく寸断することになる。

 富士山は、30年以内に発生する確率が7割から8割と推定されている南海トラフ巨大地震と連動して噴火する可能性も危惧されている。

【参照ページ】富士山火山防災対策協議会

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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