英金融シンクタンクのプラネット・トラッカーは8月3日、プラスチック汚染問題に関し、石油化学、容器・包装、食品・消費財の合計59社が発行している開示書類8,245本を分析した結果を発表した。そのうち83%の文書にはプラスチック汚染への言及がなく、経営幹部の認識が薄いと指摘した。
今回の分析対象は、石油化学ではエクソンモービルやサウジアラムコ、ペトロチャイナ(中国石油天然気)、PTT、ロッテケミカル、台湾プラスチック、トタルエナジーズ、ダウ、ブラスケム、ライオンデルバセル等、容器・包装ではアムコール、シールド・エアー、大日本印刷、エフピコ、レンゴー等、食品・消費財ではP&G、ユニリーバ、ロレアル、ハイネケン、ABインベブ、モンデリーズ・インターナショナル、コカ・コーラ・カンパニー、ネスレ、ダノン、クラフト・ハインツ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップモリス・インターナショナル、LVMH、日本たばこ産業傘下のJTインターナショナル(JTI)等。
プラスチック・リスクの開示について積極的な企業としては、まずユニリーバを挙げ、他に、ボレアリス、ベリー・グローバル、ユーフレックスがあるとした。
全体傾向では、アニュアルレポート、サステナビリティレポート、法的開示書類、投資家ミーティングの書き起こし文書の中で、プラスチックリスクに関する開示の量は過去5年間で5倍に増加。質の高い開示が顕著に増加した一方、投資家ミーティングの書き起こし文書の中での言及は2020年以降減少していることがわかった。
また開示の内容についても、プラスチックのリスク開示の73%は、サーキュラーエコノミー性に焦点を当てたもので、原料や汚染に関する説明は少なく、食品・消費財セクターでの開示はわずか6%であった。マイクロプラスチック、有害化学物質、詰め替え用、バイオプラスチック、生分解性については、ほとんど言及されていないという。
プラネット・トラッカーは今回、企業経営陣がプラスチック汚染リスクについてほとんど議論していない、もしくは投資家側の関心が薄いと主張。無関心状態が続けば、深刻な財務的・風評的影響をもたらす可能性があるとした。
同団体は6月6日、投資家は、プラスチック汚染リスクを見落としており、これにより米国だけで今後10年間で200億米ドルから1,000億米ドル超の負債は訴訟コストになると指摘。今回も投資家に対し、関与強化を求めた。それに伴い、事業会社も自ずと対策を強化すべきと伝えた。
【参照ページ】83% OF DOCUMENTS FROM THE PLASTIC VALUE CHAIN MAKE NO MENTION OF PLASTIC-RELATED RISKS
【参照ページ】INVESTORS NEED TO ENSURE THAT RISKS ASSOCIATED WITH PLASTIC ARE ADEQUATELY PRICED
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