EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は6月6日、欧州委員会が提示した「反威圧措置(ACI)」に関して政治的合意に達した。今後、双方での立法手続きに入る。
経済的威圧措置は、第三国がEUまたはEU加盟国に対し、貿易や投資に影響を与える措置を適用する、または適用すると脅すことによって、EUまたは加盟国が特定の選択をするよう圧力をかけようとする状況と定義されている。
今回合意の措置では、まず、潜在的な経済的威圧措置に対する抑止力を機能させ、それでも経済的威圧措置が行われた場合、対話と関与を通じて、第三国に強制的な措置を止めさせるための仕組み発動。さらに、対話が不調に終わった場合、強要する国に対する広範な対抗措置を講ずる。対抗措置には、対抗関税、サービス貿易の制限、外国直接投資や公共調達へのアクセス制限等が含まれる。欧州委員会は、これらの措置は、世界貿易機関(WTO)ルールと整合するとの立場を採っている。
今回の合意では、意思決定フローも規定。ACI発動に際し、ステークホルダーからの意見を募集した上で参考にすることや、加盟国が経済的威圧措置を受けているかを判定するEU理事会の役割、発動までの時間軸も定めた。
経済的威圧措置に関しては、2022年9月のドイツでのG7貿易相会合で、初めてテーマとして取り上げられ、2023年5月のG7広島サミットでも、経済的威圧に対抗するための新たな枠組み「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げ、G7での連携を強化することで合意した。さらに、日米英加とオーストラリア、ニュージーランドの6カ国は6月9日、経済的威圧に相当する貿易慣行を非難する共同宣言を発表した。名指しは避けたものの、中国を念頭にしているとみられている。米国でもすでに、経済的威圧被害国支援方法案が連邦議会に提出されている。
【参照ページ】Political agreement on new Anti-Coercion Instrument to better defend EU interests on global stage
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