米ニューヨーク州のキャシー・ホッホル知事は5月3日、2024年度予算を発表。その中で、新築不動産でガスエネルギーの使用を原則禁止する方針を表明した。1月の一般教書演説の中で同方針を示していた。
【参考】【アメリカ】ニューヨーク州、カーボンプライシング制度導入発表。建物でのガス暖房も禁止へ(2023年1月11日)
同予算は州議会を5月2日に通過。2,290億米ドルの総予算のうち、気候変動対策に300億米ドルを割いた。
今回示した方針では、大規模な商業・工業用ビルを除く7階建て以下の新築不動産では2026年から、それ以外の新築不動産でも2029年から、ゼロエミッション化のための要件が導入される。その一環でガスエネルギーの使用が禁止となる。州規模での禁止は同州が全別初。但し、緊急時の非常電源や待機電力、製造施設、商業食品施設、研究所、洗車場、コインランドリー、病院、火葬場、農業用建物、重要インフラ等は適用が免除される。また、既存の不動産は引き続き使用可。
また、同州の電力を2040年までにカーボンニュートラル化するため、クリーンエネルギーの建設に総力を挙げる。具体的には、再生可能エネルギー発電所の建設を奨励し、州のクリーンエネルギー目標達成を支援する。さらに、ピーク電力時のみに発電する「尖頭負荷発電所(ピーカー発電所)」も2030年までに全廃。エネルギー労働者のジャスト・トランジション(公正な移行)に州労働省が毎年2,500万米ドルを拠出する指針も盛り込んだ。「再生可能エネルギーアクセスと地域支援プログラム」(REACH)を設立し、低所得地域の顧客を支援しながら、ニューヨーク電力公社(NYPA)が所有、開発、契約している再生可能エネルギーにアクセスしやすくする。
電気代補助では、州の公共料金割引プログラムの適用を従来受けられなかった80万人以上に対し、毎月の電気代減額措置を適用することに2億米ドル。2万世帯の低所得者層向けに、断熱材の追加、省エネ性能の高い家電製品の設置、クリーンエネルギーへの切替え等の住宅改修にも2億米ドルを用意した。
同州企業を対象としたカーボンプライシング制度「キャップ&インベスト・プログラム」を創設することも最終的に決めた。同制度の収益の3分の1は、市民のエネルギー料金支援のための投じる。将来的には、収益の3分の2を低炭素型の経済へ移行するための予算として活用することも表明した。
同州は2022年11月、州民投票を実施し、42億米ドルのグリーンボンド発行で59%の支持を得た。今回の2023年予算でも関連予算を計上した。発行されると同州の債券発行では1996年以来となる。
さらに、今回の予算では、アフォーダブル住宅の建設支援に8億7,500億米ドルの予算も確保。27プロジェクトで合計3,100戸の建設もしくは修繕につなげる。民間ファイナンスを含めると15億米ドル以上を動員する。住宅では気候変動緩和要件も盛り込まれ、デジタルデバイド解消のために無料のブロードバンドが提供される。
【参照ページ】Governor Hochul Announces FY 2024 Budget Investments in Energy Affordability, Sustainable Buildings, and Clean Energy
【参照ページ】Governor Hochul Announces $875 Million in Financing For 3,100 Affordable Homes Across New York State
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