経済産業省は3月31日、「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定した。今後のアクションとして、「産官学CE(サーキュラーエコノミー)パートナーシップ」を6月から7月頃に立ち上げる。また、動静脈連携の加速に向けた制度整備の検討も開始する。いずれもEUのサーキュラーエコノミー・アクションプランを数年遅れて、後追いする形となる。
【参考】【EU】欧州委、サーキュラーエコノミー・アクションプラン発表。2021年までに各分野の法制化検討(2020年3月13日)
同戦略では、サーキュラーエコノミーが必要となる背景について、カーボンニュートラルに向けた環境制約だけでなく、資源枯渇やサプライチェーンでの供給途絶リスクを挙げた。また、サーキュラーエコノミー市場に成長資金の流入することで、経済成長にもつながるとした。従来の大量生産・大量消費型のモデルから脱却し、製品の製造・販売を最適化しつつ、サービス化等を通じてモノを回転させ、モノの回転により得られたデータを蓄積・回転させ、モノ・サービスの質をさらに向上させるとした。
既存政策の強化では、3Rからサーキュラーエコノミーへの発想の転換を大きく掲げた。まず、廃棄物削減(Reduece)に関しては、現在の品目の限定列挙方式から、一定規模以上の製造・非製造企業に定量的な努力義務を課す方式等を検討していく。素材転換等を含めた設計転換では、詳細な基準を国が定めることは、イノベーションを阻害する可能性があることから困難かつ不適切なため、民間による標準化活動を積極的に支援する。
再利用(Reuse)では、再販売、シェアリング、サブスクリプション、修理、二次市場等の育成・支援措置を検討。製品の長寿命化にも言及した。二次流通製品の安全性担保に係る環境整備も検討する。太陽光パネル、衣類、バッテリー等では、メーカーに長寿命化や長期利用の配慮を公表することを促していく。
リサイクル(Recycle)では、日本では、熱回収が中心であり、マテリアルケミカルやケミカルリサイクルの割合は低位に留まると明記。主なボトルネックは、使用済み製品の回収から選別・リサイクルに至るまでの費用が高いこととした。そのため、動脈産業(導入)と静脈産業(供給)の連携を促し、産業を育成。コスト削減のため、システム・情報プロトコルの標準化とシステム構築も進める。太陽光パネル、衣類、バッテリー等では、リサイクルしやすいエコデザインも促す。再生素材活用に向けては、自主的な定量目標(動脈:導入目標、静脈:供給目標)の設定や公表を促す。
さらに現在は、基礎自治体単位で行っている廃棄物処理を「広域的地域循環」に転換することも明記。モデルケースとなるような広域的地域循環プロジェクトを推進していく。
設立する「産官学CE(サーキュラーエコノミー)パートナーシップ」では、行政、大学、関係機関、企業・業界団体を構成員とする連携組織を立ち上げ、2030年、2050年を見据えた日本全体のビジョンや中長期ロードマップの策定や、サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォームの構築に向けた検討を行う。データ連携の整備では、「サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム」を2025年を目処に立ち上げる考え。情報流通プラットフォームの認証スキームを日本発で提案することも検討するとした。
【参照ページ】「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定しました
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