米ジョー・バイデン大統領は10月18日、国家安全保障に関する覚書第15号(NSM-15)に署名。将来のパンデミックと生物兵器対策を一体的に進め、グローバルヘルスを達成する国家バイオ防衛戦略および実施計画」を打ち出した。
今回の発表では、新型コロナウイルス感染症に加え、国際社会はサル痘、ポリオ、エボラ出血熱、高病原性鳥インフルエンザ等が同時に流行しており、現状の対策に大きな課題が在ると指摘。さらに、バイオ医薬品の兵器化リスクも拡大しているとした。パンデミックに関しては、都市化、気候変動、生息地の破壊が、人獣共通感染症(動物媒介感染症)のアウトブレイクリスクを増大させているとした。さらに、グローバル化により、感染症が世界中に広がるスピードは加速しているとした。
今回の戦略では、まず、新種の病原体を迅速に検知できる新技術の開発と展開を加速。感染症の脅威に対する早期警戒を変革していく。そのため、オールハザードの病院データ収集システムの計画、対応のためのデータの統合と共有のためのプラットフォームの拡大、国際的なデータ共有の改善により、意思決定のためのリアルタイム情報を向上させる予定。米国疾病管理予防センター(CDC)が今年発足した「米国予測アウトブレイク分析センター」が、希少の世界における国家気象サービスに相当する役割を担う。
次に、発生時の対策。発生源からの感染拡大を食い止めるため、50ヶ国以上でのグローバル健康安全保障を強化するため支援。その一環で、世界銀行でパンデミック対策のための基金創設を主導し、すでに米国を含めた20ヶ国以上から合計14億米ドル以上が集まっている。米国際開発庁(USAID)も「疫病対策イノベーション連合」に1.5億米ドルを拠出した。他の政府や関係機関にはさらに50ヶ国以上を支援するよう奨励する。
実験室でのバイオセーフティやバイオセキュリティの強化も盛り込んだ。国際的なメカニズムの確立までをゴールとした。
将来に向けた平時での準備では、全州・準州で、重要な保健インフラを担う公務員、発生時の緊急対応者、公衆衛生研究所の科学者、技術者、データ品質管理者、動物疾病疫学者の募集、訓練、維持等を行い、体制を整備。米国人口の80%をカバーできるようにすることを目標に据えた。
生物兵器対策では、生物兵器の使用を検知し、その属性を特定するための画期的な技術に投資。パートナー国と協力し、使用防止、生物兵器の配備撲滅を進める。生物兵器条約に基づき、国際ルールの強化も進める。
同戦略では、将来のパンデミック及び生物兵器行使に備え、今後5年から10年で整備する内容も示した。まず、事態発生から12時間以内に検査を可能にし、1週間以内に数万件の診断テストを急増、90日以内に迅速診断法を開発する。100日以内にワクチンを開発し、130日以内に米国の人口に十分なワクチンを製造。200日以内に国際的なパートナーと協力し、高リスクの世界の人々に必要なワクチン供給体制を整える。治療法の開発と検証を加速し、90日以内に既存薬を再利用するか、180日以内に新規治療法を開発する。
その一環で、国内外での重大実態発生から14日以内に統合的な連邦研究課題を起動する準備と、ワクチン、治療薬、診断薬を迅速に評価するための実行可能な策を特定してから14日以内に臨床試験インフラを確立する。
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-Harris Administration Releases Strategy to Strengthen Health Security and Prepare for Biothreats
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