EUサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づくEU市場販売の8条ファンドと9条ファンドの運用資産残高が5兆ユーロ(約800兆円)を超えた。米モーニングスターが7月27日、発表した。
SFDRのファンド分類は、8条ファンドや9条ファンドに関するルールを含むレベル2規制が2023年1月1日から適用された。その前の5月に行った欧州委員会のガイダンスが大きな混乱を招き、9条ファンドから8条ファンドへの格下げ申請が殺到。その数は約350本にも達した。その後、4月に解釈を修正し、混乱が沈静化。2023年第2四半期では、9条ファンドから8条ファンドへの格下げは6本にまで減っており、反対に12本が8条から9条に格上げし、そのうち7本はハンデルス銀行が過去8条に格下げしていたファンドの復帰。また6条から8条への格上げが182本、6条から9条への格上げが3本あった。
【参考】【EU】欧州委、SFDRのサステナブル投資定義で解釈修正。9条ファンド格下げ申請撤回の動きにも(2023年5月1日)
【参考】【EU】運用会社、SFDRの解釈巡る混乱続く。9条ファンドから8条ファンドへの登録転換相次ぐ(2022年12月23日)
6月末の状況では、ファンド数単位で、6条ファンドが54.5%、8条ファンドが41.7%、9条ファンドが3.7%。運用資産単位では、6条ファンドが43.6%、8条ファンドが52.9%、9条ファンドが3.5%。
一方、ファンドのフロー(購入・解約)の状況では、2021年第2四半期以降2年間、一貫してインフローなのが9条ファンド。6条ファンドは、世界的に株価が低迷した2022年を通してアウトフロー状態となったが、2023年以降はインフローとなっている。8条ファンドは6条ファンドと似た状況だが、2023年第2四半期はアウトフローとなった。
背景としては、8条ファンドから9条ファンドへの格上げが増えた影響も受けており、8条ファンドはアウトフロー、9条ファンドはインフローになりやすい。また市況の回復の影響による基準価額の上昇の影響も多少あり、過去一貫して積み上がってきた8条ファンドと9条ファンドの合計運用資産残高は3月末の4.9兆ユーロから、今回初めて5兆ユーロを上回り、5.04兆ユーロとなった。
ファンドの新規設定では、第2四半期は、6条ファンドが177本、8条ファンドが142本、9条ファンドが19本。
9条ファンドの組入基準の状況では、欧州委員会のガイダンスの影響も受け、「持続可能な投資」の目標組入比率が上昇。3月末では目標組入比率が平均69%だったが、80%以上に上昇。90%以上を目標としているファンドも9条ファンドの41%にまで達し、3ポイント上昇した。
【参照ページ】SFDR Article 8 and Article 9 Funds: Q2 2023 in Review
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら