14ヵ国で構成する2018年発足の「持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル」は12月5日、気候変動による珊瑚礁の消失により、観光業や漁業が大きなダメージを受けると分析したレポートを発表。観光業に大きく依存する環礁国観光地や南国リゾートや、海洋漁業国にとって壊滅的な損害となると警告した。
同パネルには、オーストラリア、カナダ、チリ、フィジー、ガーナ、インドネシア、ジャマイカ、ケニア、メキシコ、ナミビア、ノルウェー、パラオ、ポルトガル、そして日本政府が加盟している。今回のレポートは、同パネルの事務局を務める国際環境NGOの世界資源研究所(WRI)がまとめた。
同レポートは、世界の珊瑚礁観光市場は、年間358億米ドル(約4兆円)のうち、2100年までに90%以上が失われると試算。特に、エジプト、インドネシア、メキシコ、タイ、オーストラリアでの損害額が大きくなるとした。仮に二酸化炭素排出量を削減し、気温上昇を1.1℃から2.6℃に抑えても、経済損失は66%を超えるとした。日本でも同様に、現状ベースで94.1%、二酸化炭素排出量削減シナリオで40.2%の市場が失われる。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の試算をもとに分析すると、気候変動による海洋環境悪化で、2050年までに経済損失は4,280億米ドル(約50兆円)、2100年までに1.98兆米ドル(約220兆円)にまで膨らむ。特に赤道付近の発展途上国では悪影響が大きくなる。
また、海水温上昇により魚群は高緯度地域に移っていくことや、海洋酸性化による影響で、漁業の悪影響も大きいとした。
【参照ページ】THE EXPECTED IMPACTS OF CLIMATE CHANGE ON THE OCEAN ECONOMY
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