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【国際】ICMA、サステナビリティ・リンク・ボンド原則発行。ソーシャルボンド原則も改定

 国際資本市場協会(ICMA)は6月9日、年次総会の中で、サステナビリティ・リンク・ボンド原則(SLBP)の初版と、改訂版の「ソーシャルボンド原則(SBP)2020」をリリースした。長く待ち望まれていたSLBPがついに策定された。

 SLBPは、事前設定したサステナビリティ関連KPIの達成状況により発行債券の金利条件等が変動する債券のこと。発行体は設定されたサステナビリティKPIの達成にコミットすることで有利な債券発行を狙うという特徴がある。

 SLBPは今回、要件として、「KPIの設定」「サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)の設定」「債券の特徴」「報告」「第三者機関による検証」の5つを定めた。

 KPIの設定では、発行体の事業に関連したマテリアルなものとし、一貫性のある測定手法に基づき測定可能であること、第三者検証が可能であること等の要件を設定した。SPTの設定では、現状のままでは達成できないような意味のある改善を促す水準の目標値であることや、発行体の全体のサステナビリティ戦略と整合性のあること、時間軸を設定すること等の要件を置いた。また、設定したKPIとSPTはわかりやすい形で開示することや、KPIは3年以上の中期目標とすることにも言及した。これらにより、意味のないSPT設定によるSLBが発行されることを牽制した。

 KPI達成によって変化する債券条件面の設定では、クーポンが最も一般的としつつも、他の条件面やストラクチャー面で設定してもよいとした。報告では、年次以上の頻度で定期的にKPIの進捗状況を報告することや、KPIとSPTの状況評価については第三者機関が検証することを義務付けた。グリーンボンドやソーシャルボンドが、発行時のセカンドオピニオン取得が推奨されているのに対し、SLBは事後報告での検証が義務化されたことが大きな特徴。

 一方のソーシャルボンド原則2020年版では、例示していた資金使途の内容を拡大し、資金使途の適格性をわかりやすくした。新型コロナウイルス・パンデミックによるダメージを受けた人々も明確に適格性を示した。

ソーシャルボンド原則2020年版で例示された対象

  • 貧困ライン未満の生活
  • 社会的制度から除外された人々やコミュニティ
  • 障害者
  • 移民や国内避難民
  • 十分な教育を受けていない人々
  • 生活に必要な財やサービスへの十分なアクセスがない人々
  • 失業者
  • 女性や性的マイノリティ
  • 高齢者及び社会的支援が必要な若者
  • 自然災害等の影響による社会的支援が必要な人々

【参照ページ】Green & Social Bond Principles publish Sustainability-Linked Bond Principles and update the Social Bond Principles and other key guidance
【ガイドライン】Sustainability-Linked Bond Principles
【ガイドライン】Social Bond Principles 2020

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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