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【ハンガリー】政府、時間外労働上限を年間250時間から400時間に引き上げ。「奴隷法」との批判も

 ハンガリーのアーデル・ヤーノシュ大統領は12月20日、時間外労働の上限を年間250時間から400時間に引き上げるとともに、残業代の支払を最大3年間延長できる労働法改正案に署名し、同法は成立した。一院制のハンガリー国会は12月12日に可決していた。同法は労働条件を大幅に悪化させるという懸念が多く、「奴隷法」と呼称されている。

 ハンガリー政府が今回の政策を採った背景には、大幅な労働力減少がある。ハンガリーでは出生率が1.4に下がっており少子化が進む中、EUでの労働者の移動の自由が認められる中、労働人口の5%に相当する35万人が国外に出ている。また、ハンガリー政府は、移民受入れを制限することで世論の人気を集めており、国内では慢性的な労働力不足となっている。その上、失業者を政府関係企業で雇用する政策を進めているため、民間企業にとって労働力不足に拍車をかけている。これに対応するため、一人当たりの労働時間を長くしようというのが今回の時間外労働上限引き上げ。

 経済協力開発機構(OECD)のデータによると、ハンガリーの時間外労働時間は欧州の中でも長くなっている。2016年の労働時間は年平均で1,740時間。ドイツ1,356時間、フランス1,514時間、オーストリア1,613時間、英国1,681時間と比べても多い。一方、ポーランド1,895時間のようにより長い国もある。ちなみに日本は1,710時間。

 またハンガリーの最低賃金は、2004年のEU加盟以降上昇を続け、来年にはさらに引き上げられる。賃金上昇と労働力不足で海外企業にとってハンガリーでの雇用の魅力は下がっており、政府は今回の「奴隷法」により、魅力を引き上げることを狙っている模様。

 これに対し、同国では法案の審議中から大規模なデモが発生している。

【法律】Kövér László, az Országgyűlés elnöke

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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