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【国際】ダイムラー・トラック、EVでCATL、FCVでシェルと提携。2030年に販売の6割目指す

 自動車世界大手独ダイムラー・トラックは5月20日、ダイムラー(現メルセデス・ベンツ)からの分社化に伴う新戦略を発表。トラックやバス等の大型自動車を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に転換していく計画を鮮明にした。同社は現在、欧州、北米、アジア等35カ所以上で拠点展開。従業員も10万人を超える。年間約50万台を販売しており、売上は約40億ユーロ(約5,000億円)と大型自動車で世界屈指の存在。日本の三菱ふそうトラック・バスの約90%の株式も持つ。

【参考】【ドイツ】ダイムラー、バス・トラック事業をスピンオフ上場。メルセデス・ベンツに社名変更(2021年2月16日)

 同社は、2039年までに、欧州、北米、日本での新車販売を全てゼロエミッション車両にする長期計画を発表。2022年までにEVトラックを欧州、米国、日本に市場投入し、2027年までにFCVトラックも市場展開させる計画を表明していた。

 今回の発表では、2030年までにEVとFCVの新車販売比率を最大60%にまで引き上げると宣言。EVでは、中国CATL(寧徳時代新能源科技)から調達し、2024年から長距離用EVトラック「eActros LongHaul」に採用することを決めた。さらにCATLとの間で、トラック用の次世代EVバッテリーの共同開発も進め、ライフサイクルが非常に長く、高速充電が可能なEVバッテリーを目指す。

 EV充電ステーションの普及では、シーメンス・スマート・インフラストラクチャ、エンジー、EVBoxとの提携も発表した。ダイムラー・トラックの「メルセデス・ベンツ・トラック」が中心となり、3社と連携しながら、EV充電ステーションの保守・サービス関連を整備していく。

 FCVトラックに関しては、4月から新型プロトタイプ「Mercedes-Benz GenH2 Truck」の走行実験を開始。2023年からは公道でのテスト走行も開始する予定。また3月には、ボルボ・グループとの間で、燃料電池量産子会社セルセントリックを設立している。

【参考】【国際】ダイムラーとボルボ、燃料電池型長距離トラックを2025年までに投入。燃料電池量産(2021年5月7日)

 さらに今回、ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社シェル・ニュー・エナジーとの間で、水素補給ステーション整備の提携も発表した。同計画では、オランダのロッテルダム港、ドイツのケルンとハンブルクの計3ヶ所に建設するグリーン水素生産工場からの水素供給ネットワークをシェル・ニュー・エナジーが構築。ダイムラー・トラックが、2025年までにFCVトラックを投入し市場を創る。水素供給ネットワークでは、2025年までに対応道路「水素回廊(Hydrogen Corridor)」を北欧に1,200kmにまで拡大し、2030年までには水素補給ステーションを150ヶ所に、FCVトラック車両を5,000万台にまで増やす考え。トラック用の水素補給規格の共同策定も目指す。

 分社会に際し、ダイムラーの金融子会社ダイムラー・モビリティも分社化する。ダイムラー・トラック向けには、ダイムラー・トラック・フィナンシャル・サービシーズを2021年末に新設し、リース等を手掛ける。一方、メルセデス・ベンツ向けには、引き続きダイムラー・モビリティが事業を担当する。

 ダイムラー・トラックの財務計画では、2025年までに15%のコスト削減を実施し、EV及びFCVの分野への投資額を増やす。また、自動運転やコネクテッドの分野も強化し、2030年には同社のサービス売上比率を現状の30%から50%にまで引き上げる。

 同社のマーティン・ダウムCEOは5月21日、EVやFCVのトラックへの移行により、欧州のトラックエンジン工場の雇用は今後15年で半減する可能性があると表明。但し15年の時間的猶予があるため、雇用対策を政府が今から準備していくことが重要との見方を伝えた。

【参照ページ】Daimler Truck sets out ambitions as an independent company
【参照ページ】Daimler Truck AG and CATL expand global partnership: joint development of sophisticated truck-focused batteries and supply agreed beyond 2030
【参照ページ】E-Mobility: Mercedes-Benz Trucks establishes a strategic charging infrastructure partnership with Siemens Smart Infrastructure, ENGIE and EVBox Group
【参照ページ】Daimler Truck AG and Shell target accelerated rollout of hydrogen-based trucking in Europe: simultaneously building truck refuelling infrastructure and rollout of fuel-cell vehicles
【参照ページ】Daimler Trucks begins rigorous testing of its fuel-cell truck
【参照ページ】Daimler Mobility to be turned into two powerful independent financial services providers at the end of 2021
【画像】Daimler Truck

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 自動車世界大手独ダイムラー・トラックは5月20日、ダイムラー(現メルセデス・ベンツ)からの分社化に伴う新戦略を発表。トラックやバス等の大型自動車を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に転換していく計画を鮮明にした。同社は現在、欧州、北米、アジア等35カ所以上で拠点展開。従業員も10万人を超える。年間約50万台を販売しており、売上は約40億ユーロ(約5,000億円)と大型自動車で世界屈指の存在。日本の三菱ふそうトラック・バスの約90%の株式も持つ。

【参考】【ドイツ】ダイムラー、バス・トラック事業をスピンオフ上場。メルセデス・ベンツに社名変更(2021年2月16日)

 同社は、2039年までに、欧州、北米、日本での新車販売を全てゼロエミッション車両にする長期計画を発表。2022年までにEVトラックを欧州、米国、日本に市場投入し、2027年までにFCVトラックも市場展開させる計画を表明していた。

 今回の発表では、

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 自動車世界大手独ダイムラー・トラックは5月20日、ダイムラー(現メルセデス・ベンツ)からの分社化に伴う新戦略を発表。トラックやバス等の大型自動車を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に転換していく計画を鮮明にした。同社は現在、欧州、北米、アジア等35カ所以上で拠点展開。従業員も10万人を超える。年間約50万台を販売しており、売上は約40億ユーロ(約5,000億円)と大型自動車で世界屈指の存在。日本の三菱ふそうトラック・バスの約90%の株式も持つ。

【参考】【ドイツ】ダイムラー、バス・トラック事業をスピンオフ上場。メルセデス・ベンツに社名変更(2021年2月16日)

 同社は、2039年までに、欧州、北米、日本での新車販売を全てゼロエミッション車両にする長期計画を発表。2022年までにEVトラックを欧州、米国、日本に市場投入し、2027年までにFCVトラックも市場展開させる計画を表明していた。

 今回の発表では、

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 自動車世界大手独ダイムラー・トラックは5月20日、ダイムラー(現メルセデス・ベンツ)からの分社化に伴う新戦略を発表。トラックやバス等の大型自動車を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に転換していく計画を鮮明にした。同社は現在、欧州、北米、アジア等35カ所以上で拠点展開。従業員も10万人を超える。年間約50万台を販売しており、売上は約40億ユーロ(約5,000億円)と大型自動車で世界屈指の存在。日本の三菱ふそうトラック・バスの約90%の株式も持つ。

【参考】【ドイツ】ダイムラー、バス・トラック事業をスピンオフ上場。メルセデス・ベンツに社名変更(2021年2月16日)

 同社は、2039年までに、欧州、北米、日本での新車販売を全てゼロエミッション車両にする長期計画を発表。2022年までにEVトラックを欧州、米国、日本に市場投入し、2027年までにFCVトラックも市場展開させる計画を表明していた。

 今回の発表では、2030年までにEVとFCVの新車販売比率を最大60%にまで引き上げると宣言。EVでは、中国CATL(寧徳時代新能源科技)から調達し、2024年から長距離用EVトラック「eActros LongHaul」に採用することを決めた。さらにCATLとの間で、トラック用の次世代EVバッテリーの共同開発も進め、ライフサイクルが非常に長く、高速充電が可能なEVバッテリーを目指す。

 EV充電ステーションの普及では、シーメンス・スマート・インフラストラクチャ、エンジー、EVBoxとの提携も発表した。ダイムラー・トラックの「メルセデス・ベンツ・トラック」が中心となり、3社と連携しながら、EV充電ステーションの保守・サービス関連を整備していく。

 FCVトラックに関しては、4月から新型プロトタイプ「Mercedes-Benz GenH2 Truck」の走行実験を開始。2023年からは公道でのテスト走行も開始する予定。また3月には、ボルボ・グループとの間で、燃料電池量産子会社セルセントリックを設立している。

【参考】【国際】ダイムラーとボルボ、燃料電池型長距離トラックを2025年までに投入。燃料電池量産(2021年5月7日)

 さらに今回、ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社シェル・ニュー・エナジーとの間で、水素補給ステーション整備の提携も発表した。同計画では、オランダのロッテルダム港、ドイツのケルンとハンブルクの計3ヶ所に建設するグリーン水素生産工場からの水素供給ネットワークをシェル・ニュー・エナジーが構築。ダイムラー・トラックが、2025年までにFCVトラックを投入し市場を創る。水素供給ネットワークでは、2025年までに対応道路「水素回廊(Hydrogen Corridor)」を北欧に1,200kmにまで拡大し、2030年までには水素補給ステーションを150ヶ所に、FCVトラック車両を5,000万台にまで増やす考え。トラック用の水素補給規格の共同策定も目指す。

 分社会に際し、ダイムラーの金融子会社ダイムラー・モビリティも分社化する。ダイムラー・トラック向けには、ダイムラー・トラック・フィナンシャル・サービシーズを2021年末に新設し、リース等を手掛ける。一方、メルセデス・ベンツ向けには、引き続きダイムラー・モビリティが事業を担当する。

 ダイムラー・トラックの財務計画では、2025年までに15%のコスト削減を実施し、EV及びFCVの分野への投資額を増やす。また、自動運転やコネクテッドの分野も強化し、2030年には同社のサービス売上比率を現状の30%から50%にまで引き上げる。

 同社のマーティン・ダウムCEOは5月21日、EVやFCVのトラックへの移行により、欧州のトラックエンジン工場の雇用は今後15年で半減する可能性があると表明。但し15年の時間的猶予があるため、雇用対策を政府が今から準備していくことが重要との見方を伝えた。

【参照ページ】Daimler Truck sets out ambitions as an independent company
【参照ページ】Daimler Truck AG and CATL expand global partnership: joint development of sophisticated truck-focused batteries and supply agreed beyond 2030
【参照ページ】E-Mobility: Mercedes-Benz Trucks establishes a strategic charging infrastructure partnership with Siemens Smart Infrastructure, ENGIE and EVBox Group
【参照ページ】Daimler Truck AG and Shell target accelerated rollout of hydrogen-based trucking in Europe: simultaneously building truck refuelling infrastructure and rollout of fuel-cell vehicles
【参照ページ】Daimler Trucks begins rigorous testing of its fuel-cell truck
【参照ページ】Daimler Mobility to be turned into two powerful independent financial services providers at the end of 2021
【画像】Daimler Truck

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