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【エネルギー】RE100と現在の加盟企業 〜再生可能エネルギー100%を目指す企業経営〜

※2020年12月19日:記事更新
※2019年12月4日:記事更新
※2019年2月16日:記事更新
※2018年9月10日:記事更新
※2017年2月1日:記事掲載

 「RE100」という国際イニシアチブをご存知でしょうか。RE100とは、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブで、「Renewable Energy 100%」の頭文字をとって「RE100」と命名されています。2014年に発足したRE100には、2019年12月4日時点で、世界全体で284社が加盟。この284社には、食品世界大手スイスのネスレ、家具世界大手スウェーデンのイケア、アパレル世界大手米NIKEなど、日本でもよく知られれている企業が数多く含まれています。

 事業運営を100%再生可能エネルギーで行うなんて話は、日本では一笑に付されてしまうかもしれません。日本では、東京電力や関西電力など、電力事業者によって差はあるものの、大半の電力は天然ガスや石炭などの化石燃料を電源としています。化石燃料の削減のための方策として日本の産業界から話題に上がるのも、再生可能エネルギーより原子力。再生可能エネルギーを推進しようという勢いは、まだ経済界で強くはありません。


(出所)経済産業省データをもとにニューラル作成

 この夢物語に聞こえそうな「100%再生可能エネルギーでの事業運営」を、実現に移そうとしているのがRE100です。電力を再生可能エネルギーに切り替えることで、二酸化炭素の排出量を削減し、低炭素社会への移行を実現することを目指しています。RE100の加盟企業には、「事業電力を100%再生可能エネルギーにする」というコミットメントが求められます。それでも、RE100に加盟する企業は増加し続けており、今日では欧米にとどまらず、中国やインドの企業にも広がりを見せています。その上、多くの加盟企業は、達成目標年も宣言しています。

RE100プロジェクトの経緯

 RE100は、国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)が2014年に開始したイニシアチブです。The Climate Groupは2004年に、当時の英国ブレア首相の支援を受け、英国ロンドンに設立されました。The Climate Groupは今では、英国の他、米国、インド、中国、香港などの支部を置き、世界中から数多くの企業や州政府、市政府が参画しています。The Climate Groupが、国連総会の時期に合わせ毎年9月に開催している年次報告会が「Climate Week NYC」です。そして2014年の「Climate Week NYC」の中で、RE100プロジェクトが発足しました。Climate Week NYCの各イベントは、参加企業の代表がRE100プロジェクトへの新規参入を表明する場ともなっています。

RE100の参加条件

 RE100プロジェクトには、現在216社が加盟しています。この数は年々増加しています。RE100プロジェクトに加盟するには以下の要件があります。

再生可能エネルギー100%に向けた宣言

 RE100プロジェクトに加盟するには、事業運営を100%再生可能エネルギーで行うことを宣言しなければなりません。多くの現加盟企業は、合わせて100%達成の年を同時に宣言しています。100%達成は、企業単位で達成することが要求され、世界各地に事業所等がある企業は、その全てで100%を達成しなければなりません。また、ここで定義される「再生可能エネルギー」は、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスを指し、原子力発電は含まれません。

 100%達成に向けては2つのオプションがあります。

(1)自社施設内や他の施設で再生可能エネルギー電力を自ら発電する
  自社の再生可能エネルギー発電所で発電された電力の消費は、電力系統に連系されたものでも、そうでないものでも構いません。

(2)市場で発電事業者または仲介供給者から再生可能エネルギー電力を購入する
  再生可能エネルギー電力の購入は、再生可能エネルギー発電所との電力購入契約(PPA)、電力事業者とのグリーン電力商品契約、グリーン電力証書の購入のいずれの方法でも可です。日本では、FITを活用していない再生可能エネルギー電力(通称、生再エネ)、日本自然エネルギーが管理する「グリーン電力証書」、経済産業省が主管する「Jクレジット(但し、再生可能エネルギー由来のもののみ活用可)」、経済産業省が主管する「トラッキング付き非化石証書(但し、原子力が電源のものは除く)」のみ活用可能で、小売電力事業者との協力が通常不可欠です。

毎年の報告書提出

 2つ目の要件は、報告書での進捗報告です。RE100の加盟企業は、毎年「CDP気候変動」の質問票のフォーマットで報告書を作成し、進捗状況をRE100事務局に提出しなければなりません。また、報告書に記載する再生可能エネルギー電力発電や消費の情報は、第三者監査を受けなければなりません。報告された情報は、RE100のホームページや年次報告書の中で公開されます。

現在の加盟企業一覧

 RE100には、現在(2019年12月4日時点)下記284社が加盟しています。

製造業 57社

  • BMWグループ(ドイツ)
  • GM(米国)
  • タタ・モーターズ(インド)
  • HP(米国)
  • ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(米国)
  • デル(米国)
  • フィリップス(オランダ)
  • Signify(旧フィリップスライティング)(オランダ)
  • シュナイダーエレクトリック(フランス)
  • ソニー(日本)
  • パナソニック(日本)
  • 富士フイルムホールディングス(日本)
  • リコー(日本)
  • コニカミノルタ(日本)
  • 富士通(日本)
  • 村田製作所(日本)
  • LIXILグループ(日本)
  • フジクラ(日本)
  • ノーリツ(日本)
  • ネクサンス(フランス)
  • ダイヤモンドエレクトリックホールディングス(日本)
  • コンチネンタル(ドイツ)
  • ロジテック(スイス)
  • ファーストソーラー(米国)
  • LONGi(中国)
  • Sungrow(中国)
  • スチールケース(米国)
  • SKF(スウェーデン)
  • クラウン・ホールディングス(米国)
  • キングスパン(アイルランド)
  • 3M(米国)
  • SKホールディングス(韓国)
  • SKハイニックス(韓国)
  • SKマテリアルズ(韓国)
  • SKシルトロン(韓国)
  • SKC(韓国)
  • DSM(オランダ)
  • アクゾノーベル(オランダ)
  • ノボザイムズ(デンマーク)
  • ダルミア・セメント(インド)
  • テトラパック(スイス)
  • Elopak(ノルウェー)
  • ヴェスタス(デンマーク)
  • Ingkaグループ(スウェーデン)
  • HNI(米国)
  • インターフェイス(米国)
  • レゴ(デンマーク)
  • アドバンテスト(米国)
  • ラジオフライヤー(米国)
  • ダンフォス(デンマーク)
  • ベルックス(デンマーク)
  • Trane(米国)
  • エンビプロ・ホールディングス(日本)
  • ヨーロピアン・メタル・リサイクリング(英国)

エネルギー・資源 5社

  • Mitie(英国)
  • BayWa(ドイツ)
  • Envision(中国)
  • ジンコソーラー(中国)
  • Sun Metals Corporation(オーストラリア)

医薬品 8社

  • ジョンソン・エンド・ジョンソン(米国)
  • アストラゼネカ(英国)
  • ノボノルディスク(デンマーク)
  • グラクソ・スミスクライン(GSK)(英国)
  • サノフィ(フランス)
  • バイオジェン(米国)
  • チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(米国)
  • 小野薬品工業(日本)

食品・消費財 39社

  • P&G(米国)
  • ユニリーバ(英国・オランダ)
  • レキットベンキーザー(英国)
  • エスティローダー(米国)
  • ロクシタン(フランス)
  • ネスレ(スイス)
  • ペプシコ(米国)
  • ダノン(フランス)
  • ケロッグ(米国)
  • コカ・コーラ・ヨーロピアン・パートナーズ(英国)
  • キューリグ・ドクター・ペッパー(米国)
  • ABインベブ(ベルギー)
  • カールスバーグ(デンマーク)
  • スターバックス(米国)
  • ディアジオ(英国)
  • ペルノ・リカール(フランス)
  • ゼネラル・ミルズ(米国)
  • マース(米国)
  • マッケイン・フーズ(カナダ)
  • フィルメニッヒ(スイス)
  • ジボダン(スイス)
  • IFF(米国)
  • コティ(米国)
  • 3dL(米国)
  • 味の素(日本)
  • アサヒグループホールディングス(日本)
  • キリンホールディングス(日本)
  • シムライズ(ドイツ)
  • ケリー・グループ(アイルランド)
  • Wonderful Company(米国)
  • カリフィアファームズ(米国)
  • Clif Bar(米国)
  • Organic Valley(米国)
  • Aurora Organic Dairy(米国)
  • グルポ・ビンボ
  • Corbion(オランダ)
  • オーライト(Hair O’right)(台湾)
  • TCI(大江生医)(台湾)

アパレル 16社

  • NIKE(米国)
  • ニューバランス・アスレチックス(米国)
  • ラルフローレン(米国)
  • ケリング(フランス)
  • シャネル(フランス)
  • バーバリー(英国)
  • next(英国)
  • H&M(スウェーデン)
  • VFコーポレーション(米国)
  • PVH(フィリップス・バン・ヒューゼン)(米国)
  • アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(米国)
  • アシックス(日本)
  • インターフェース(米国)
  • ルルレモン(カナダ)
  • デカトロン(フランス)
  • BESTSELLER(デンマーク)
  • Kingwhale(菁華工業)(台湾)

小売 12社

  • ウォルマート(米国)
  • ターゲット(米国)
  • テスコ(英国)
  • JDスポーツ・ファッション(英国)
  • ウールワース(オーストラリア)
  • Colruyt Group(ベルギー)
  • イオン(日本)
  • セブン&アイ・ホールディングス(日本)
  • 丸井グループ(日本)
  • 高島屋(日本)
  • J.フロント リテイリング(日本)
  • 生活協同組合コープさっぽろ(日本)

金融 55社

  • ゴールドマン・サックス(米国)
  • モルガン・スタンレー(米国)
  • バンク・オブ・アメリカ(米国)
  • シティグループ(米国)
  • JPモルガン・チェース(米国)
  • ウェルズ・ファーゴ(米国)
  • VISA(米国)
  • アメリカン・エキスプレス(米国)
  • マスターカード(米国)
  • HSBC(英国)
  • バークレイズ(英国)
  • ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)(英国)
  • ロイズ・バンキング・グループ(英国)
  • クレディ・アグリコル(フランス)
  • UBS(スイス)
  • クレディ・スイス(スイス)
  • ヘルヴェティア(スイス)
  • INGグループ(オランダ)
  • コメルツ銀行(ドイツ)
  • トロント・ドミニオン銀行グループ(カナダ)
  • オーストラリア・コモンウェルス銀行(オーストラリア)
  • ナショナルオーストラリア銀行(オーストラリア)
  • ウエストパック銀行(オーストラリア)
  • ANZ銀行(オーストラリア)
  • オーストラリア銀行(オーストラリア)
  • マッコーリーグループ(オーストラリア)
  • サンコープ(オーストラリア)
  • DBS(シンガポール)
  • ダンスケ銀行(デンマーク)
  • DNB(ノルウェー)
  • ノルデア銀行(スウェーデン)
  • バンキア(スペイン)
  • CaixaBank(スペイン)
  • ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)(スペイン)
  • Grupo Cooperativo Cajamar(スペイン)
  • Amalgamated Bank(米国)
  • ボヤ・ファイナンシャル(米国)
  • キャピタル・ワン・フィナンシャル(米国)
  • フィフスサード銀行(米国)
  • PNC Financial Services Group(米国)
  • アクサ(フランス)
  • アリアンツ・グループ(ドイツ)
  • AVIVA(英国)
  • チューリッヒ保険(スイス)
  • スイス再保険(スイス)
  • 第一生命保険(日本)
  • QBE保険(オーストラリア)
  • シュローダー(英国)
  • M&G(英国)
  • ジュピター・アセット・マネジメント(英国)
  • アセットマネジメントOne(日本)
  • 芙蓉総合リース(日本)
  • 城南信用金庫(日本)
  • Dexus(オーストラリア)

建設・不動産 27社

  • 三菱地所(日本)
  • 三井不動産(日本)
  • 住友林業(日本)
  • 安藤・間(日本)
  • 積水ハウス(日本)
  • 大和ハウス工業(日本)
  • 大東建託(日本)
  • 戸田建設(日本)
  • 旭化成ホームズ(日本)
  • 東急不動産(日本)
  • ヒューリック(日本)
  • WeWork(米国)
  • Bozzuto(米国)
  • Hudson Pacific Properties(米国)
  • ブリティッシュ・ランド(英国)
  • ランド・セキュリティーズ(英国)
  • カナリー・ワーフ・グループ(英国)
  • Derwent London(英国)
  • クラウン・エステート(英国)
  • Willmott Dixon(英国)
  • alstria(ドイツ)
  • NREP(デンマーク)
  • BROAD Group(遠大科技集団)(中国)
  • Mirvac(オーストラリア)
  • Mace(英国)
  • Mahindra Holidays & Resorts India(インド)
  • Vail Resorts(米国)

IT 27社

  • マイクロソフト(米国)
  • アップル(米国)
  • グーグル(米国)
  • フェイスブック(米国)
  • ブルームバーグ(米国)
  • リフィニティブ(米国)
  • Adobe(米国)
  • セールスフォース(米国)
  • SAP(ドイツ)
  • eBay(米国)
  • Workday(米国)
  • VMware(米国)
  • Autodesk(米国)
  • エクイニクス(米国)
  • ラックスペース(米国)
  • IHS Markit(米国)
  • Etsy(米国)
  • アイアン・マウンテン(米国)
  • Lyft(米国)
  • QTS(米国)
  • ザランド(ドイツ)
  • Interactive(オーストラリア)
  • アトラシアン(オーストラリア)
  • YOOX Group(イタリア)
  • インフォシス(インド)
  • 楽天(日本)
  • 日本ユニシス(日本)

通信・メディア 15社

  • T-モバイル US(米国)
  • ボーダフォン・グループ(英国)
  • BT(ブリティッシュ・テレコム)(英国)
  • Sky(英国)
  • ヴァージン・メディア(英国)
  • ピアソン(英国)
  • SKテレコム(韓国)
  • WPP(英国)
  • 電通インターナショナル(英国)
  • ジェーシードゥコー(英国)
  • ドイツテレコム(ドイツ)
  • スイスコム(スイス)
  • KPN(オランダ)
  • プロキシマス(ベルギー)
  • テレフォニカ(スペイン)

ロジスティクス 6社

  • Swiss Post(スイス)
  • La Poste(フランス)
  • 東急(日本)
  • アスクル(日本)
  • ロンドン・ヒースロー空港(英国)
  • ロンドン・ガトウィック空港(英国)

その他 17社

  • ワタミ(日本)
  • Slaughter and May(英国)
  • マッキンゼー・アンド・カンパニー(米国)
  • PwC(英国)
  • アクセンチュア(アイルランド)
  • キャップジェミニ(フランス)
  • 野村総合研究所(日本)
  • レレックス・グループ(英国)
  • SGS(スイス)
  • Vail Resorts(米国)
  • Vaisala(フィンランド)
  • Elion(中国)
  • FIA Formula E(英国)
  • ロンドン市公社(シティ・オブ・ロンドン)(英国)
  • Bingo Industries(オーストラリア)
  • DEKRA(ドイツ)
  • エコラボ(米国)

業界別の動向


(出所)RE100のデータをもとに、ニューラルが独自に業界分類を行い作成

 RE100には、すでに幅広い業界からの加盟が集まっていますが、とりわけ多いのが金融、製造業、食品・消費財です。

国別の動向


(出所)RE100のデータをもとにニューラル作成

 加盟企業の本社所在地で国別に集計すると、米国が81社と抜きん出て多く、次いで日本が45社です。日本企業は2018年1月まで3社でしたが、その後急増しました。世界第3位は英国の42社です。その他、欧州諸国の企業が多いことがわかります。

 このように、業界や地域を超えて広がりを見せるRE100。各加盟企業は目標を設定し再生可能エネルギーでの事業運営に向けて取り組んでいますが、企業は完全にフリーハンドで電力目標を決定することができるわけではありません。企業の決定には、その企業が事業所を置く国や地域のエネルギー政策が大きく影響します。再生可能エネルギーの活用や二酸化炭素排出量の削減は、各国政府がそれぞれの自主目標を定めており、それにより再生可能エネルギー調達の難易度は変わります。そのため、工場やデータセンターなどの設置国検討においても、再生可能エネルギーを利用しやすい国を敢えて選定するということも実施され始めています。

日本企業への示唆

 多くの日本企業にとって、エネルギーや電力は自らの話ではなく、電力会社の話だと捉えられているところがほとんどです。すなわち、関東地方であれば東京電力グループ、関西地方であれば関西電力から電力を購入するのが普通のオペレーションであり、電源構成は企業が選択したり目標設定したりする話ではなく、契約している電力会社の電源構成比に従わざるをえないという考え方です。冒頭で紹介したように、日本の電力事業者11社は、化石燃料をメインの電源としており、再生可能エネルギー割合は数%から十数%。この状況下で、企業自身が「再生可能エネルギー100%」を掲げるなどは理想論であって、企業経営の範疇ではないと考えることはこれまでは自然なことだったのかもしれません。

 しかし海外では事情が異なります。欧米では先んじて電力小売事業が自由化されており、企業はどの電力会社から電力を購入するのかをいち早く選択できる立場となりました。このような制度の下では、再生可能エネルギーで100%発電を行う電力事業者が存在したり、再生可能エネルギー発電所からの電力のみを「グリーン電力証書」という形で販売することも一般的に行われています。また、再生可能エネルギー推進のFIT制度や助成金制度が早かった欧米では、企業が自社施設等に自前の再生可能エネルギー発電所を建設するという行為も普通になされてきました。この動きは、今や欧米から中国やインドなど新興国にも波及し、企業が自前の再生可能エネルギー発電所を持ったり、電力事業者と共同で再生可能エネルギー発電所建設に投資を行うことが、新興国でも年々活発化しています。こうして、企業経営者は、電力需要、電力価格とともに、電源構成の問題も意識しながら、どのような電力を誰から買うのかということを経営課題として意識するようになっていったのです。

 国外で大きな事業所を持つ日本企業にとっても、どのような電力を誰から買うのかということは、すでに経営の意思決定の問題となっています。そしてついに2016年4月1日、日本国内でも電力小売事業が全面自由化されました。つまり、日本国内においても同様に、どのような電力を誰から買うのかが経営の意思決定の問題になってきたということです。もちろん、新電力事業者の財務体質やオペレーションが依然として不安定なこともあり、大規模事業者にとって、今すぐ既存の電力事業者以外と契約することは大きな決断となります。ですが、徐々に「なぜ石炭電源の電力を購入するのか」「なぜ原子力電源の電力を購入するのか」「なぜ自ら再生可能エネルギー発電所を造ろうとしないのか」という問いへの回答を、株主や他のステークホルダーから求められる時がやってきます。

 RE100は、再生可能エネルギー100%の目標を掲げるためだけのイニシアチブではありません。RE100の事務局と参画企業が協働しながら、高い目標である「再生可能エネルギー100%の事業運営」を達成していくことに大きな意義があります。現在加盟している企業も、2030年や2050年など数十年という長期計画の中でこの「RE100」を実現していこうとしています。世界的にますます多くの賛同が集まるこのRE100に、多くの日本企業が加盟することを期待しています。

【加盟条件】RE100 CRITERIA
【プログラム】RE100
【機関サイト】The Climate Group

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※2020年12月19日:記事更新
※2019年12月4日:記事更新
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※2017年2月1日:記事掲載

 「RE100」という国際イニシアチブをご存知でしょうか。RE100とは、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブで、「Renewable Energy 100%」の頭文字をとって「RE100」と命名されています。2014年に発足したRE100には、2019年12月4日時点で、世界全体で284社が加盟。この284社には、食品世界大手スイスのネスレ、家具世界大手スウェーデンのイケア、アパレル世界大手米NIKEなど、日本でもよく知られれている企業が数多く含まれています。

 事業運営を100%再生可能エネルギーで行うなんて話は、日本では一笑に付されてしまうかもしれません。日本では、東京電力や関西電力など、電力事業者によって差はあるものの、大半の電力は天然ガスや石炭などの化石燃料を電源としています。化石燃料の削減のための方策として日本の産業界から話題に上がるのも、再生可能エネルギーより原子力。再生可能エネルギーを推進しようという勢いは、まだ経済界で強くはありません。


(出所)経済産業省データをもとにニューラル作成

 この夢物語に聞こえそうな「100%再生可能エネルギーでの事業運営」を、実現に移そうとしているのがRE100です。電力を再生可能エネルギーに切り替えることで、二酸化炭素の排出量を削減し、低炭素社会への移行を実現することを目指しています。RE100の加盟企業には、「事業電力を100%再生可能エネルギーにする」というコミットメントが求められます。それでも、RE100に加盟する企業は増加し続けており、今日では欧米にとどまらず、中国やインドの企業にも広がりを見せています。その上、多くの加盟企業は、達成目標年も宣言しています。

RE100プロジェクトの経緯

 RE100は、国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)が2014年に開始したイニシアチブです。The Climate Groupは2004年に、当時の英国ブレア首相の支援を受け、英国ロンドンに設立されました。The Climate Groupは今では、英国の他、米国、インド、中国、香港などの支部を置き、世界中から数多くの企業や州政府、市政府が参画しています。The Climate Groupが、国連総会の時期に合わせ毎年9月に開催している年次報告会が「Climate Week NYC」です。そして2014年の「Climate Week NYC」の中で、RE100プロジェクトが発足しました。Climate Week NYCの各イベントは、参加企業の代表がRE100プロジェクトへの新規参入を表明する場ともなっています。

RE100の参加条件

 RE100プロジェクトには、現在216社が加盟しています。この数は年々増加しています。RE100プロジェクトに加盟するには以下の要件があります。

再生可能エネルギー100%に向けた宣言

 RE100プロジェクトに加盟するには、

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 「RE100」という国際イニシアチブをご存知でしょうか。RE100とは、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブで、「Renewable Energy 100%」の頭文字をとって「RE100」と命名されています。2014年に発足したRE100には、2019年12月4日時点で、世界全体で284社が加盟。この284社には、食品世界大手スイスのネスレ、家具世界大手スウェーデンのイケア、アパレル世界大手米NIKEなど、日本でもよく知られれている企業が数多く含まれています。

 事業運営を100%再生可能エネルギーで行うなんて話は、日本では一笑に付されてしまうかもしれません。日本では、東京電力や関西電力など、電力事業者によって差はあるものの、大半の電力は天然ガスや石炭などの化石燃料を電源としています。化石燃料の削減のための方策として日本の産業界から話題に上がるのも、再生可能エネルギーより原子力。再生可能エネルギーを推進しようという勢いは、まだ経済界で強くはありません。


(出所)経済産業省データをもとにニューラル作成

 この夢物語に聞こえそうな「100%再生可能エネルギーでの事業運営」を、実現に移そうとしているのがRE100です。電力を再生可能エネルギーに切り替えることで、二酸化炭素の排出量を削減し、低炭素社会への移行を実現することを目指しています。RE100の加盟企業には、「事業電力を100%再生可能エネルギーにする」というコミットメントが求められます。それでも、RE100に加盟する企業は増加し続けており、今日では欧米にとどまらず、中国やインドの企業にも広がりを見せています。その上、多くの加盟企業は、達成目標年も宣言しています。

RE100プロジェクトの経緯

 RE100は、国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)が2014年に開始したイニシアチブです。The Climate Groupは2004年に、当時の英国ブレア首相の支援を受け、英国ロンドンに設立されました。The Climate Groupは今では、英国の他、米国、インド、中国、香港などの支部を置き、世界中から数多くの企業や州政府、市政府が参画しています。The Climate Groupが、国連総会の時期に合わせ毎年9月に開催している年次報告会が「Climate Week NYC」です。そして2014年の「Climate Week NYC」の中で、RE100プロジェクトが発足しました。Climate Week NYCの各イベントは、参加企業の代表がRE100プロジェクトへの新規参入を表明する場ともなっています。

RE100の参加条件

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再生可能エネルギー100%に向けた宣言

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 事業運営を100%再生可能エネルギーで行うなんて話は、日本では一笑に付されてしまうかもしれません。日本では、東京電力や関西電力など、電力事業者によって差はあるものの、大半の電力は天然ガスや石炭などの化石燃料を電源としています。化石燃料の削減のための方策として日本の産業界から話題に上がるのも、再生可能エネルギーより原子力。再生可能エネルギーを推進しようという勢いは、まだ経済界で強くはありません。


(出所)経済産業省データをもとにニューラル作成

 この夢物語に聞こえそうな「100%再生可能エネルギーでの事業運営」を、実現に移そうとしているのがRE100です。電力を再生可能エネルギーに切り替えることで、二酸化炭素の排出量を削減し、低炭素社会への移行を実現することを目指しています。RE100の加盟企業には、「事業電力を100%再生可能エネルギーにする」というコミットメントが求められます。それでも、RE100に加盟する企業は増加し続けており、今日では欧米にとどまらず、中国やインドの企業にも広がりを見せています。その上、多くの加盟企業は、達成目標年も宣言しています。

RE100プロジェクトの経緯

 RE100は、国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)が2014年に開始したイニシアチブです。The Climate Groupは2004年に、当時の英国ブレア首相の支援を受け、英国ロンドンに設立されました。The Climate Groupは今では、英国の他、米国、インド、中国、香港などの支部を置き、世界中から数多くの企業や州政府、市政府が参画しています。The Climate Groupが、国連総会の時期に合わせ毎年9月に開催している年次報告会が「Climate Week NYC」です。そして2014年の「Climate Week NYC」の中で、RE100プロジェクトが発足しました。Climate Week NYCの各イベントは、参加企業の代表がRE100プロジェクトへの新規参入を表明する場ともなっています。

RE100の参加条件

 RE100プロジェクトには、現在216社が加盟しています。この数は年々増加しています。RE100プロジェクトに加盟するには以下の要件があります。

再生可能エネルギー100%に向けた宣言

 RE100プロジェクトに加盟するには、事業運営を100%再生可能エネルギーで行うことを宣言しなければなりません。多くの現加盟企業は、合わせて100%達成の年を同時に宣言しています。100%達成は、企業単位で達成することが要求され、世界各地に事業所等がある企業は、その全てで100%を達成しなければなりません。また、ここで定義される「再生可能エネルギー」は、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスを指し、原子力発電は含まれません。

 100%達成に向けては2つのオプションがあります。

(1)自社施設内や他の施設で再生可能エネルギー電力を自ら発電する
  自社の再生可能エネルギー発電所で発電された電力の消費は、電力系統に連系されたものでも、そうでないものでも構いません。

(2)市場で発電事業者または仲介供給者から再生可能エネルギー電力を購入する
  再生可能エネルギー電力の購入は、再生可能エネルギー発電所との電力購入契約(PPA)、電力事業者とのグリーン電力商品契約、グリーン電力証書の購入のいずれの方法でも可です。日本では、FITを活用していない再生可能エネルギー電力(通称、生再エネ)、日本自然エネルギーが管理する「グリーン電力証書」、経済産業省が主管する「Jクレジット(但し、再生可能エネルギー由来のもののみ活用可)」、経済産業省が主管する「トラッキング付き非化石証書(但し、原子力が電源のものは除く)」のみ活用可能で、小売電力事業者との協力が通常不可欠です。

毎年の報告書提出

 2つ目の要件は、報告書での進捗報告です。RE100の加盟企業は、毎年「CDP気候変動」の質問票のフォーマットで報告書を作成し、進捗状況をRE100事務局に提出しなければなりません。また、報告書に記載する再生可能エネルギー電力発電や消費の情報は、第三者監査を受けなければなりません。報告された情報は、RE100のホームページや年次報告書の中で公開されます。

現在の加盟企業一覧

 RE100には、現在(2019年12月4日時点)下記284社が加盟しています。

製造業 57社

  • BMWグループ(ドイツ)
  • GM(米国)
  • タタ・モーターズ(インド)
  • HP(米国)
  • ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(米国)
  • デル(米国)
  • フィリップス(オランダ)
  • Signify(旧フィリップスライティング)(オランダ)
  • シュナイダーエレクトリック(フランス)
  • ソニー(日本)
  • パナソニック(日本)
  • 富士フイルムホールディングス(日本)
  • リコー(日本)
  • コニカミノルタ(日本)
  • 富士通(日本)
  • 村田製作所(日本)
  • LIXILグループ(日本)
  • フジクラ(日本)
  • ノーリツ(日本)
  • ネクサンス(フランス)
  • ダイヤモンドエレクトリックホールディングス(日本)
  • コンチネンタル(ドイツ)
  • ロジテック(スイス)
  • ファーストソーラー(米国)
  • LONGi(中国)
  • Sungrow(中国)
  • スチールケース(米国)
  • SKF(スウェーデン)
  • クラウン・ホールディングス(米国)
  • キングスパン(アイルランド)
  • 3M(米国)
  • SKホールディングス(韓国)
  • SKハイニックス(韓国)
  • SKマテリアルズ(韓国)
  • SKシルトロン(韓国)
  • SKC(韓国)
  • DSM(オランダ)
  • アクゾノーベル(オランダ)
  • ノボザイムズ(デンマーク)
  • ダルミア・セメント(インド)
  • テトラパック(スイス)
  • Elopak(ノルウェー)
  • ヴェスタス(デンマーク)
  • Ingkaグループ(スウェーデン)
  • HNI(米国)
  • インターフェイス(米国)
  • レゴ(デンマーク)
  • アドバンテスト(米国)
  • ラジオフライヤー(米国)
  • ダンフォス(デンマーク)
  • ベルックス(デンマーク)
  • Trane(米国)
  • エンビプロ・ホールディングス(日本)
  • ヨーロピアン・メタル・リサイクリング(英国)

エネルギー・資源 5社

  • Mitie(英国)
  • BayWa(ドイツ)
  • Envision(中国)
  • ジンコソーラー(中国)
  • Sun Metals Corporation(オーストラリア)

医薬品 8社

  • ジョンソン・エンド・ジョンソン(米国)
  • アストラゼネカ(英国)
  • ノボノルディスク(デンマーク)
  • グラクソ・スミスクライン(GSK)(英国)
  • サノフィ(フランス)
  • バイオジェン(米国)
  • チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(米国)
  • 小野薬品工業(日本)

食品・消費財 39社

  • P&G(米国)
  • ユニリーバ(英国・オランダ)
  • レキットベンキーザー(英国)
  • エスティローダー(米国)
  • ロクシタン(フランス)
  • ネスレ(スイス)
  • ペプシコ(米国)
  • ダノン(フランス)
  • ケロッグ(米国)
  • コカ・コーラ・ヨーロピアン・パートナーズ(英国)
  • キューリグ・ドクター・ペッパー(米国)
  • ABインベブ(ベルギー)
  • カールスバーグ(デンマーク)
  • スターバックス(米国)
  • ディアジオ(英国)
  • ペルノ・リカール(フランス)
  • ゼネラル・ミルズ(米国)
  • マース(米国)
  • マッケイン・フーズ(カナダ)
  • フィルメニッヒ(スイス)
  • ジボダン(スイス)
  • IFF(米国)
  • コティ(米国)
  • 3dL(米国)
  • 味の素(日本)
  • アサヒグループホールディングス(日本)
  • キリンホールディングス(日本)
  • シムライズ(ドイツ)
  • ケリー・グループ(アイルランド)
  • Wonderful Company(米国)
  • カリフィアファームズ(米国)
  • Clif Bar(米国)
  • Organic Valley(米国)
  • Aurora Organic Dairy(米国)
  • グルポ・ビンボ
  • Corbion(オランダ)
  • オーライト(Hair O’right)(台湾)
  • TCI(大江生医)(台湾)

アパレル 16社

  • NIKE(米国)
  • ニューバランス・アスレチックス(米国)
  • ラルフローレン(米国)
  • ケリング(フランス)
  • シャネル(フランス)
  • バーバリー(英国)
  • next(英国)
  • H&M(スウェーデン)
  • VFコーポレーション(米国)
  • PVH(フィリップス・バン・ヒューゼン)(米国)
  • アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(米国)
  • アシックス(日本)
  • インターフェース(米国)
  • ルルレモン(カナダ)
  • デカトロン(フランス)
  • BESTSELLER(デンマーク)
  • Kingwhale(菁華工業)(台湾)

小売 12社

  • ウォルマート(米国)
  • ターゲット(米国)
  • テスコ(英国)
  • JDスポーツ・ファッション(英国)
  • ウールワース(オーストラリア)
  • Colruyt Group(ベルギー)
  • イオン(日本)
  • セブン&アイ・ホールディングス(日本)
  • 丸井グループ(日本)
  • 高島屋(日本)
  • J.フロント リテイリング(日本)
  • 生活協同組合コープさっぽろ(日本)

金融 55社

  • ゴールドマン・サックス(米国)
  • モルガン・スタンレー(米国)
  • バンク・オブ・アメリカ(米国)
  • シティグループ(米国)
  • JPモルガン・チェース(米国)
  • ウェルズ・ファーゴ(米国)
  • VISA(米国)
  • アメリカン・エキスプレス(米国)
  • マスターカード(米国)
  • HSBC(英国)
  • バークレイズ(英国)
  • ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)(英国)
  • ロイズ・バンキング・グループ(英国)
  • クレディ・アグリコル(フランス)
  • UBS(スイス)
  • クレディ・スイス(スイス)
  • ヘルヴェティア(スイス)
  • INGグループ(オランダ)
  • コメルツ銀行(ドイツ)
  • トロント・ドミニオン銀行グループ(カナダ)
  • オーストラリア・コモンウェルス銀行(オーストラリア)
  • ナショナルオーストラリア銀行(オーストラリア)
  • ウエストパック銀行(オーストラリア)
  • ANZ銀行(オーストラリア)
  • オーストラリア銀行(オーストラリア)
  • マッコーリーグループ(オーストラリア)
  • サンコープ(オーストラリア)
  • DBS(シンガポール)
  • ダンスケ銀行(デンマーク)
  • DNB(ノルウェー)
  • ノルデア銀行(スウェーデン)
  • バンキア(スペイン)
  • CaixaBank(スペイン)
  • ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)(スペイン)
  • Grupo Cooperativo Cajamar(スペイン)
  • Amalgamated Bank(米国)
  • ボヤ・ファイナンシャル(米国)
  • キャピタル・ワン・フィナンシャル(米国)
  • フィフスサード銀行(米国)
  • PNC Financial Services Group(米国)
  • アクサ(フランス)
  • アリアンツ・グループ(ドイツ)
  • AVIVA(英国)
  • チューリッヒ保険(スイス)
  • スイス再保険(スイス)
  • 第一生命保険(日本)
  • QBE保険(オーストラリア)
  • シュローダー(英国)
  • M&G(英国)
  • ジュピター・アセット・マネジメント(英国)
  • アセットマネジメントOne(日本)
  • 芙蓉総合リース(日本)
  • 城南信用金庫(日本)
  • Dexus(オーストラリア)

建設・不動産 27社

  • 三菱地所(日本)
  • 三井不動産(日本)
  • 住友林業(日本)
  • 安藤・間(日本)
  • 積水ハウス(日本)
  • 大和ハウス工業(日本)
  • 大東建託(日本)
  • 戸田建設(日本)
  • 旭化成ホームズ(日本)
  • 東急不動産(日本)
  • ヒューリック(日本)
  • WeWork(米国)
  • Bozzuto(米国)
  • Hudson Pacific Properties(米国)
  • ブリティッシュ・ランド(英国)
  • ランド・セキュリティーズ(英国)
  • カナリー・ワーフ・グループ(英国)
  • Derwent London(英国)
  • クラウン・エステート(英国)
  • Willmott Dixon(英国)
  • alstria(ドイツ)
  • NREP(デンマーク)
  • BROAD Group(遠大科技集団)(中国)
  • Mirvac(オーストラリア)
  • Mace(英国)
  • Mahindra Holidays & Resorts India(インド)
  • Vail Resorts(米国)

IT 27社

  • マイクロソフト(米国)
  • アップル(米国)
  • グーグル(米国)
  • フェイスブック(米国)
  • ブルームバーグ(米国)
  • リフィニティブ(米国)
  • Adobe(米国)
  • セールスフォース(米国)
  • SAP(ドイツ)
  • eBay(米国)
  • Workday(米国)
  • VMware(米国)
  • Autodesk(米国)
  • エクイニクス(米国)
  • ラックスペース(米国)
  • IHS Markit(米国)
  • Etsy(米国)
  • アイアン・マウンテン(米国)
  • Lyft(米国)
  • QTS(米国)
  • ザランド(ドイツ)
  • Interactive(オーストラリア)
  • アトラシアン(オーストラリア)
  • YOOX Group(イタリア)
  • インフォシス(インド)
  • 楽天(日本)
  • 日本ユニシス(日本)

通信・メディア 15社

  • T-モバイル US(米国)
  • ボーダフォン・グループ(英国)
  • BT(ブリティッシュ・テレコム)(英国)
  • Sky(英国)
  • ヴァージン・メディア(英国)
  • ピアソン(英国)
  • SKテレコム(韓国)
  • WPP(英国)
  • 電通インターナショナル(英国)
  • ジェーシードゥコー(英国)
  • ドイツテレコム(ドイツ)
  • スイスコム(スイス)
  • KPN(オランダ)
  • プロキシマス(ベルギー)
  • テレフォニカ(スペイン)

ロジスティクス 6社

  • Swiss Post(スイス)
  • La Poste(フランス)
  • 東急(日本)
  • アスクル(日本)
  • ロンドン・ヒースロー空港(英国)
  • ロンドン・ガトウィック空港(英国)

その他 17社

  • ワタミ(日本)
  • Slaughter and May(英国)
  • マッキンゼー・アンド・カンパニー(米国)
  • PwC(英国)
  • アクセンチュア(アイルランド)
  • キャップジェミニ(フランス)
  • 野村総合研究所(日本)
  • レレックス・グループ(英国)
  • SGS(スイス)
  • Vail Resorts(米国)
  • Vaisala(フィンランド)
  • Elion(中国)
  • FIA Formula E(英国)
  • ロンドン市公社(シティ・オブ・ロンドン)(英国)
  • Bingo Industries(オーストラリア)
  • DEKRA(ドイツ)
  • エコラボ(米国)

業界別の動向


(出所)RE100のデータをもとに、ニューラルが独自に業界分類を行い作成

 RE100には、すでに幅広い業界からの加盟が集まっていますが、とりわけ多いのが金融、製造業、食品・消費財です。

国別の動向


(出所)RE100のデータをもとにニューラル作成

 加盟企業の本社所在地で国別に集計すると、米国が81社と抜きん出て多く、次いで日本が45社です。日本企業は2018年1月まで3社でしたが、その後急増しました。世界第3位は英国の42社です。その他、欧州諸国の企業が多いことがわかります。

 このように、業界や地域を超えて広がりを見せるRE100。各加盟企業は目標を設定し再生可能エネルギーでの事業運営に向けて取り組んでいますが、企業は完全にフリーハンドで電力目標を決定することができるわけではありません。企業の決定には、その企業が事業所を置く国や地域のエネルギー政策が大きく影響します。再生可能エネルギーの活用や二酸化炭素排出量の削減は、各国政府がそれぞれの自主目標を定めており、それにより再生可能エネルギー調達の難易度は変わります。そのため、工場やデータセンターなどの設置国検討においても、再生可能エネルギーを利用しやすい国を敢えて選定するということも実施され始めています。

日本企業への示唆

 多くの日本企業にとって、エネルギーや電力は自らの話ではなく、電力会社の話だと捉えられているところがほとんどです。すなわち、関東地方であれば東京電力グループ、関西地方であれば関西電力から電力を購入するのが普通のオペレーションであり、電源構成は企業が選択したり目標設定したりする話ではなく、契約している電力会社の電源構成比に従わざるをえないという考え方です。冒頭で紹介したように、日本の電力事業者11社は、化石燃料をメインの電源としており、再生可能エネルギー割合は数%から十数%。この状況下で、企業自身が「再生可能エネルギー100%」を掲げるなどは理想論であって、企業経営の範疇ではないと考えることはこれまでは自然なことだったのかもしれません。

 しかし海外では事情が異なります。欧米では先んじて電力小売事業が自由化されており、企業はどの電力会社から電力を購入するのかをいち早く選択できる立場となりました。このような制度の下では、再生可能エネルギーで100%発電を行う電力事業者が存在したり、再生可能エネルギー発電所からの電力のみを「グリーン電力証書」という形で販売することも一般的に行われています。また、再生可能エネルギー推進のFIT制度や助成金制度が早かった欧米では、企業が自社施設等に自前の再生可能エネルギー発電所を建設するという行為も普通になされてきました。この動きは、今や欧米から中国やインドなど新興国にも波及し、企業が自前の再生可能エネルギー発電所を持ったり、電力事業者と共同で再生可能エネルギー発電所建設に投資を行うことが、新興国でも年々活発化しています。こうして、企業経営者は、電力需要、電力価格とともに、電源構成の問題も意識しながら、どのような電力を誰から買うのかということを経営課題として意識するようになっていったのです。

 国外で大きな事業所を持つ日本企業にとっても、どのような電力を誰から買うのかということは、すでに経営の意思決定の問題となっています。そしてついに2016年4月1日、日本国内でも電力小売事業が全面自由化されました。つまり、日本国内においても同様に、どのような電力を誰から買うのかが経営の意思決定の問題になってきたということです。もちろん、新電力事業者の財務体質やオペレーションが依然として不安定なこともあり、大規模事業者にとって、今すぐ既存の電力事業者以外と契約することは大きな決断となります。ですが、徐々に「なぜ石炭電源の電力を購入するのか」「なぜ原子力電源の電力を購入するのか」「なぜ自ら再生可能エネルギー発電所を造ろうとしないのか」という問いへの回答を、株主や他のステークホルダーから求められる時がやってきます。

 RE100は、再生可能エネルギー100%の目標を掲げるためだけのイニシアチブではありません。RE100の事務局と参画企業が協働しながら、高い目標である「再生可能エネルギー100%の事業運営」を達成していくことに大きな意義があります。現在加盟している企業も、2030年や2050年など数十年という長期計画の中でこの「RE100」を実現していこうとしています。世界的にますます多くの賛同が集まるこのRE100に、多くの日本企業が加盟することを期待しています。

【加盟条件】RE100 CRITERIA
【プログラム】RE100
【機関サイト】The Climate Group

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