Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【人権】日本企業の英国現代奴隷法に基づくステートメントの開示状況

 英国の現代奴隷法(開示関連条項)は2015年10月に施行されたが、実質的には2016年3月末日を会計年度末とする企業から順次適用が開始されている。

 現代奴隷法の適用対象となる商業組織(commercial organization)の要件は、(i)法人又は組合であること(設立地を問わない)、(ii)英国内において事業の全部又は一部を行っていること(carries on a business, or part of a business, in any part of the United Kingdom) 、(iii)商品またはサービスを提供していること、及び(iv)年間3600万ポンド以上の売上高を世界全域で上げていることである(同法54条2項・12項等)。

 ここで、日本企業(本社)の担当者としては、英国子会社とは別に、自社も同法に基づくステートメントを開示する義務を負うか否かが気になる所と思われる(上記要件の内の(ii)の問題)。この点、現在までに確定的な見解はないと思われるが、英国内務省のガイドラインの説明、同様の文言を規定する英国の腐敗防止法の解釈や英国の競争法の判例を踏まえて、英国外の親会社(=日本企業本社)にも適用され得るという見解が存在する。

 現代奴隷法は、英国当局に、ステートメントを開示した企業のリストの整備を求めているわけではなく、NGOが自主的にリストを作成しているに過ぎない。このような状況において、当職自身がウェブサイト上で確認した限り、英国子会社とは別の日本本社ないしグループ全体として、現代奴隷法に基づくステートメントを開示した日本企業の数は30を超える。

 日本企業本社がステートメントを開示することは同法の本来の趣旨に即した理想的な対応であり、それ自体評価されるべきものであるが(英国内務省ガイドライン)、各ステートメントを見ると、法令の条項やガイドラインに合致していない例も少なからず見受けられ、改善の余地があるように思われる。今後、英国子会社とは別に、日本本社(グループ)としてステートメントの開示を行う流れは強まるように思われるが、日本企業が開示を準備する際は適切なリーガルチェックを経ることが肝要と考える。


 本稿は、一般的な観点で情報を提供するものであり、その正確性を保証するものではなく、また、特定の案件に関して法的アドバイス等を提供するものでもない。個別の案件についてはその具体的状況に応じ、弁護士等の専門家の適切な助言を求めて頂く必要がある。なお、本稿に記載している見解はすべて執筆者の個人的見解であり、所属する組織等の見解ではないことにご留意頂きたい。

 英国の現代奴隷法(開示関連条項)は2015年10月に施行されたが、実質的には2016年3月末日を会計年度末とする企業から順次適用が開始されている。

 現代奴隷法の適用対象となる商業組織(commercial organization)の要件は、(i)法人又は組合であること(設立地を問わない)、(ii)英国内において事業の全部又は一部を行っていること(carries on a business, or part of a business, in any part of the United Kingdom) 、(iii)商品またはサービスを提供していること、及び(iv)年間3600万ポンド以上の売上高を世界全域で上げていることである(同法54条2項・12項等)。

 ここで、日本企業(本社)の担当者としては、英国子会社とは別に、自社も同法に基づくステートメントを開示する義務を負うか否かが気になる所と思われる(上記要件の内の(ii)の問題)。この点、現在までに確定的な見解はないと思われるが、英国内務省のガイドラインの説明、同様の文言を規定する英国の腐敗防止法の解釈や英国の競争法の判例を踏まえて、英国外の親会社(=日本企業本社)にも適用され得るという見解が存在する。

 現代奴隷法は、英国当局に、ステートメントを開示した企業のリストの整備を求めているわけではなく、NGOが自主的にリストを作成しているに過ぎない。このような状況において、当職自身がウェブサイト上で確認した限り、英国子会社とは別の日本本社ないしグループ全体として、現代奴隷法に基づくステートメントを開示した日本企業の数は30を超える。

 日本企業本社がステートメントを開示することは同法の本来の趣旨に即した理想的な対応であり、それ自体評価されるべきものであるが(英国内務省ガイドライン)、各ステートメントを見ると、法令の条項やガイドラインに合致していない例も少なからず見受けられ、改善の余地があるように思われる。今後、英国子会社とは別に、日本本社(グループ)としてステートメントの開示を行う流れは強まるように思われるが、日本企業が開示を準備する際は適切なリーガルチェックを経ることが肝要と考える。


 本稿は、一般的な観点で情報を提供するものであり、その正確性を保証するものではなく、また、特定の案件に関して法的アドバイス等を提供するものでもない。個別の案件についてはその具体的状況に応じ、弁護士等の専門家の適切な助言を求めて頂く必要がある。なお、本稿に記載している見解はすべて執筆者の個人的見解であり、所属する組織等の見解ではないことにご留意頂きたい。

 英国の現代奴隷法(開示関連条項)は2015年10月に施行されたが、実質的には2016年3月末日を会計年度末とする企業から順次適用が開始されている。

 現代奴隷法の適用対象となる商業組織(commercial organization)の要件は、(i)法人又は組合であること(設立地を問わない)、(ii)英国内において事業の全部又は一部を行っていること(carries on a business, or part of a business, in any part of the United Kingdom) 、(iii)商品またはサービスを提供していること、及び(iv)年間3600万ポンド以上の売上高を世界全域で上げていることである(同法54条2項・12項等)。

 ここで、日本企業(本社)の担当者としては、英国子会社とは別に、自社も同法に基づくステートメントを開示する義務を負うか否かが気になる所と思われる(上記要件の内の(ii)の問題)。この点、現在までに確定的な見解はないと思われるが、英国内務省のガイドラインの説明、同様の文言を規定する英国の腐敗防止法の解釈や英国の競争法の判例を踏まえて、英国外の親会社(=日本企業本社)にも適用され得るという見解が存在する。

 現代奴隷法は、英国当局に、ステートメントを開示した企業のリストの整備を求めているわけではなく、NGOが自主的にリストを作成しているに過ぎない。このような状況において、当職自身がウェブサイト上で確認した限り、英国子会社とは別の日本本社ないしグループ全体として、現代奴隷法に基づくステートメントを開示した日本企業の数は30を超える。

 日本企業本社がステートメントを開示することは同法の本来の趣旨に即した理想的な対応であり、それ自体評価されるべきものであるが(英国内務省ガイドライン)、各ステートメントを見ると、法令の条項やガイドラインに合致していない例も少なからず見受けられ、改善の余地があるように思われる。今後、英国子会社とは別に、日本本社(グループ)としてステートメントの開示を行う流れは強まるように思われるが、日本企業が開示を準備する際は適切なリーガルチェックを経ることが肝要と考える。


 本稿は、一般的な観点で情報を提供するものであり、その正確性を保証するものではなく、また、特定の案件に関して法的アドバイス等を提供するものでもない。個別の案件についてはその具体的状況に応じ、弁護士等の専門家の適切な助言を求めて頂く必要がある。なお、本稿に記載している見解はすべて執筆者の個人的見解であり、所属する組織等の見解ではないことにご留意頂きたい。

ここから先は有料登録会員限定のコンテンツとなります。有料登録会員へのアップグレードを行って下さい。

 英国の現代奴隷法(開示関連条項)は2015年10月に施行されたが、実質的には2016年3月末日を会計年度末とする企業から順次適用が開始されている。

 現代奴隷法の適用対象となる商業組織(commercial organization)の要件は、(i)法人又は組合であること(設立地を問わない)、(ii)英国内において事業の全部又は一部を行っていること(carries on a business, or part of a business, in any part of the United Kingdom) 、(iii)商品またはサービスを提供していること、及び(iv)年間3600万ポンド以上の売上高を世界全域で上げていることである(同法54条2項・12項等)。

 ここで、日本企業(本社)の担当者としては、英国子会社とは別に、自社も同法に基づくステートメントを開示する義務を負うか否かが気になる所と思われる(上記要件の内の(ii)の問題)。この点、現在までに確定的な見解はないと思われるが、英国内務省のガイドラインの説明、同様の文言を規定する英国の腐敗防止法の解釈や英国の競争法の判例を踏まえて、英国外の親会社(=日本企業本社)にも適用され得るという見解が存在する。

 現代奴隷法は、英国当局に、ステートメントを開示した企業のリストの整備を求めているわけではなく、NGOが自主的にリストを作成しているに過ぎない。このような状況において、当職自身がウェブサイト上で確認した限り、英国子会社とは別の日本本社ないしグループ全体として、現代奴隷法に基づくステートメントを開示した日本企業の数は30を超える。

 日本企業本社がステートメントを開示することは同法の本来の趣旨に即した理想的な対応であり、それ自体評価されるべきものであるが(英国内務省ガイドライン)、各ステートメントを見ると、法令の条項やガイドラインに合致していない例も少なからず見受けられ、改善の余地があるように思われる。今後、英国子会社とは別に、日本本社(グループ)としてステートメントの開示を行う流れは強まるように思われるが、日本企業が開示を準備する際は適切なリーガルチェックを経ることが肝要と考える。


 本稿は、一般的な観点で情報を提供するものであり、その正確性を保証するものではなく、また、特定の案件に関して法的アドバイス等を提供するものでもない。個別の案件についてはその具体的状況に応じ、弁護士等の専門家の適切な助言を求めて頂く必要がある。なお、本稿に記載している見解はすべて執筆者の個人的見解であり、所属する組織等の見解ではないことにご留意頂きたい。