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【日本】大間産マグロ、漁獲枠逃れの流通が発覚。全クロマグロがIUU漁業リスク抱える

 水産庁と青森県は、大間産クロマグロでの資源管理体制違反で調査に乗り出している。太平洋クロマグロは、日本も加盟している中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が漁獲量規制を設定しているが、2021年11月、規制逃れの違法販売が報道され、大きな問題となっている。

 資源量不足が懸念されているマグロ類は、国際的な資源管理体制が敷かれている。その努力が奏功し、2021年12月に中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の第18回年次会合で、大型魚(30kg以上)に関しては15%増の漁獲上限拡大が決定。全体が6,591tから7,609tに引き上げられるとともに、日本の漁獲枠も4,882tから5,614tへと増加した。一方、小型魚は全体4,725t、日本4,007tで据え置かれた。

【参考】【国際】全米熱帯まぐろ類委員会、マグロの漁獲可能量を15%増。日本の水産庁が提案(2021年10月29日)

 しかし、その裏で、2021年11月、東奥日報の調査により、大間産クロマグロの2021年度の漁獲量のうち10t超が、大間漁業協同組合への報告を逃れ、漁業者が県外に流通させていたことが発覚。静岡市場に流れた可能性も指摘された。その後、水産庁と青森県は、告発前に漁業者に対し、自主的に報告を修正する機会を付与。大間漁業協同組合が調査したところ、2021年6月から9月までに約14tの未報告分が確認され、修正報告がされたという。

 2021年度の青森県の漁獲枠は460.8t。10tを超える報告逃れは重大。水産庁は2021年12月に、青森県の2022年度の漁獲枠を506.3tに増やしているが、青森県が過剰水揚げに備えて残していた「留保枠」の各漁協への配分は見送っていた。背景には、報告逃れが他の漁協にも広がっているおそれがあるという。

 国際的に、小売企業や食品企業対し、トレーサビリティ確立が要求されてきているが、日本では、漁船から小売までのトレーサビリティが確立されていない。漁業者自身がMSC認証等を取得する動きも遅れている。そのため、現時点で、報告逃れのマグロを特定することも、適切に管理されているマグロを特定することもできない。水産庁は2022年12月から、密猟リスクの高いアワビ、ナマコ、シラスウナギの3種では、品目毎に漁獲番号を付与して漁業者等に取引記録の保存を義務付ける制度を始めるが、クロマグロは対象になっていない。

 日本のマグロ全体が、IUU(違法・無報告・無規制)漁業リスクを抱える危機に陥っている。

【参考】【日本】水産流通適正化法、公布。IUU漁業や違法拿捕リスク高い魚種の流通を規制。施行日は未定(2021年1月9日)

【参照ページ】大間マグロ漁獲無報告、複数の漁船関与か
【参照ページ】「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第18回年次会合」の結果について
【参照ページ】⽔産流通適正化法について

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 水産庁と青森県は、大間産クロマグロでの資源管理体制違反で調査に乗り出している。太平洋クロマグロは、日本も加盟している中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が漁獲量規制を設定しているが、2021年11月、規制逃れの違法販売が報道され、大きな問題となっている。

 資源量不足が懸念されているマグロ類は、

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 水産庁と青森県は、大間産クロマグロでの資源管理体制違反で調査に乗り出している。太平洋クロマグロは、日本も加盟している中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が漁獲量規制を設定しているが、2021年11月、規制逃れの違法販売が報道され、大きな問題となっている。

 資源量不足が懸念されているマグロ類は、

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 水産庁と青森県は、大間産クロマグロでの資源管理体制違反で調査に乗り出している。太平洋クロマグロは、日本も加盟している中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が漁獲量規制を設定しているが、2021年11月、規制逃れの違法販売が報道され、大きな問題となっている。

 資源量不足が懸念されているマグロ類は、国際的な資源管理体制が敷かれている。その努力が奏功し、2021年12月に中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の第18回年次会合で、大型魚(30kg以上)に関しては15%増の漁獲上限拡大が決定。全体が6,591tから7,609tに引き上げられるとともに、日本の漁獲枠も4,882tから5,614tへと増加した。一方、小型魚は全体4,725t、日本4,007tで据え置かれた。

【参考】【国際】全米熱帯まぐろ類委員会、マグロの漁獲可能量を15%増。日本の水産庁が提案(2021年10月29日)

 しかし、その裏で、2021年11月、東奥日報の調査により、大間産クロマグロの2021年度の漁獲量のうち10t超が、大間漁業協同組合への報告を逃れ、漁業者が県外に流通させていたことが発覚。静岡市場に流れた可能性も指摘された。その後、水産庁と青森県は、告発前に漁業者に対し、自主的に報告を修正する機会を付与。大間漁業協同組合が調査したところ、2021年6月から9月までに約14tの未報告分が確認され、修正報告がされたという。

 2021年度の青森県の漁獲枠は460.8t。10tを超える報告逃れは重大。水産庁は2021年12月に、青森県の2022年度の漁獲枠を506.3tに増やしているが、青森県が過剰水揚げに備えて残していた「留保枠」の各漁協への配分は見送っていた。背景には、報告逃れが他の漁協にも広がっているおそれがあるという。

 国際的に、小売企業や食品企業対し、トレーサビリティ確立が要求されてきているが、日本では、漁船から小売までのトレーサビリティが確立されていない。漁業者自身がMSC認証等を取得する動きも遅れている。そのため、現時点で、報告逃れのマグロを特定することも、適切に管理されているマグロを特定することもできない。水産庁は2022年12月から、密猟リスクの高いアワビ、ナマコ、シラスウナギの3種では、品目毎に漁獲番号を付与して漁業者等に取引記録の保存を義務付ける制度を始めるが、クロマグロは対象になっていない。

 日本のマグロ全体が、IUU(違法・無報告・無規制)漁業リスクを抱える危機に陥っている。

【参考】【日本】水産流通適正化法、公布。IUU漁業や違法拿捕リスク高い魚種の流通を規制。施行日は未定(2021年1月9日)

【参照ページ】大間マグロ漁獲無報告、複数の漁船関与か
【参照ページ】「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第18回年次会合」の結果について
【参照ページ】⽔産流通適正化法について

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