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【EU】欧州証券市場監督局、EU-ETSに関する最終報告書発表。デリバティブ監視の必要性提示

 欧州証券市場監督局(ESMA)は3月28日、EU二酸化炭素排出量取引市場(EU-ETS)の課題と対策に関する最終報告書を発行した。大きな欠陥はないと結論づけたが、モニタリングと透明性の向上で対策を勧告した。

 今回の調査では、炭素デリバティブのロングポジションを主に非金融機関がヘッジ目的と保有していることを確認。ショートポジションは、銀行や投資会社が保有しており、流動性とカーボンファイナンスに寄与していることも確認した。但し、投資ファンドによるポジションは依然として限定的で、主にEU域外のファンドが保有していることもわかった。

 またEU-ETSでは、高頻度取引(HFT)やアルゴリズム取引が大きな割合を占めており、ポジションをほとんど持っていないプレイヤーによって値動きが形成されていることもわかった。特に、ロシアのウクライナ侵攻により、2月23日から3月4日の間に排出枠(EUA)価格が30%下落したことは、HFTが関係していると推論した。

 今後の提言としては、ESMAのポジション管理規制をEUAデリバティブに拡大することや、EUポジション保有報告ルールの修正、第2次金融商品市場指令(MiFIDII)に付随する規制(MiFIR)報告書での取引チェーンの把握、ESMAに対しEUAのプライマリーマーケット取引情報のアクセス権を認めること等を勧告した。

 さらに欧州委員会に対し、今後の重要な審議事項として、EUAデリバティブのポジション規制や、ガス・電力取引監視と同様に、EUでの炭素市場に対する集中的な市場監視を提案。ESMAとして賛否両論あるテーマとして提示した。

 今後の議論は、欧州委員会が舞台となる。ESMAは必要であれば欧州委員会に対し追加の見解を伝えるとしている。

【参照ページ】ESMA PUBLISHES ITS FINAL REPORT ON THE EU CARBON MARKET

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 欧州証券市場監督局(ESMA)は3月28日、EU二酸化炭素排出量取引市場(EU-ETS)の課題と対策に関する最終報告書を発行した。大きな欠陥はないと結論づけたが、モニタリングと透明性の向上で対策を勧告した。

 今回の調査では、

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 欧州証券市場監督局(ESMA)は3月28日、EU二酸化炭素排出量取引市場(EU-ETS)の課題と対策に関する最終報告書を発行した。大きな欠陥はないと結論づけたが、モニタリングと透明性の向上で対策を勧告した。

 今回の調査では、

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 欧州証券市場監督局(ESMA)は3月28日、EU二酸化炭素排出量取引市場(EU-ETS)の課題と対策に関する最終報告書を発行した。大きな欠陥はないと結論づけたが、モニタリングと透明性の向上で対策を勧告した。

 今回の調査では、炭素デリバティブのロングポジションを主に非金融機関がヘッジ目的と保有していることを確認。ショートポジションは、銀行や投資会社が保有しており、流動性とカーボンファイナンスに寄与していることも確認した。但し、投資ファンドによるポジションは依然として限定的で、主にEU域外のファンドが保有していることもわかった。

 またEU-ETSでは、高頻度取引(HFT)やアルゴリズム取引が大きな割合を占めており、ポジションをほとんど持っていないプレイヤーによって値動きが形成されていることもわかった。特に、ロシアのウクライナ侵攻により、2月23日から3月4日の間に排出枠(EUA)価格が30%下落したことは、HFTが関係していると推論した。

 今後の提言としては、ESMAのポジション管理規制をEUAデリバティブに拡大することや、EUポジション保有報告ルールの修正、第2次金融商品市場指令(MiFIDII)に付随する規制(MiFIR)報告書での取引チェーンの把握、ESMAに対しEUAのプライマリーマーケット取引情報のアクセス権を認めること等を勧告した。

 さらに欧州委員会に対し、今後の重要な審議事項として、EUAデリバティブのポジション規制や、ガス・電力取引監視と同様に、EUでの炭素市場に対する集中的な市場監視を提案。ESMAとして賛否両論あるテーマとして提示した。

 今後の議論は、欧州委員会が舞台となる。ESMAは必要であれば欧州委員会に対し追加の見解を伝えるとしている。

【参照ページ】ESMA PUBLISHES ITS FINAL REPORT ON THE EU CARBON MARKET

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