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【ケニア】オックスファム、南ロキチャル盆地の原油パイプライン建設で先住民権利保護を要求

 国際NGOオックスファム・インターナショナルは11月8日、ケニア政府が今年10月に発表した原油パイプラインプロジェクトに関し、プロジェクト実施企業となる英Tullow Oilが先住民の権利と国際的に認められている「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」の尊重状況を調査したレポート「Testing Community Content」を公表した。同レポートによると、企業側の改善が見られつつも、FPICが尊重されているとは言えない状況だという。

 今回の焦点となる原油パイプライン・プロジェクトは、同国北部トゥルカナ地方の南ロキチャル盆地(South Lokichar basin)から輸出拠点となるインド洋ラム島まで820kmを結ぶもの。近年、ケニアを含む、エチオピア、ウガンダ、南スーダン等の東アフリカ地域では油田が相次いで発見され、開発が進んでおり、ケニア政府も2012年、南ロキチャル盆地で油田を発見。2014年に英Tullow OilとカナダAfrica Oilが折半で主要油田の権益を獲得した。両社は、Africa Oilの権益分の採掘オペレーター業務をTullow Oilに委託することで合意しており、Tullow Oilが全ての採掘権を持っている。さらにAfrica Oilは2017年5月、権益の25%をデンマーク海運大手A.P.モラー・マースクのエネルギー子会社マースク・オイル&ガスに転貸することで合意。さらに今年8月、仏トタルがA.P.モラー・マースクからマースク・オイル&ガスの全株式を買収することで合意し、買収手続きは2018年前半には完了する見込み。結果、最終的な同油田の権益保有割合は、Tullow Oil50%、Africa Oil25%、トタル(現時点ではマースク)25%。採掘権は100%Tullow Oilが有している。

 今年10月、ケニア政府はTullow Oil、Africa Oil、マースク・オイル&ガスとの間でパイプライン建設に合意した。費用は約20億米ドル。資源埋蔵量予測は7億5,000万バレルで、品質は1バレル当たり55米ドル。最初にフィージビリティ・スタディを実施し、プロジェクトの採否を見極める。同パイプラインが通る地域の大半は、先住民やその他地元住民の居住区にあたり、干魃や貧困、社会サービスへのアクセスが限られている等の社会的課題を抱える地域。同コンシーアムには世界銀行グループの国際金融公社(IFC)も融資している。パイプラインは2021年前半に完成する予定。

 オックスファムのレポートは、採掘・パイプライン業務を実施するTullow Oilと融資銀行であるIFCに対し、FPIC尊重に向けた提言をまとめた。

  • プロジェクトに関わる企業は、コミュニティや地域政府が同意に至るまでの全協議プロセスと同意内容を適切な言語で記録し、全てのコミュニティ・メンバーが閲覧可能にすべき。現状、情報提供に関し企業は透明性を欠いており、コミュニティが状況を十分理解しているとは言い難い。
  • FPICのプロセスにおいて、企業は考えうるポジティブ、ネガティブ両方の影響についてコミュニティに伝える必要がある。原油プロジェクトは数十年に渡り、ケニアでは新しい取り組み。第1フェーズだけ、オンサイトに関する影響だけ、といった限定的な情報提供ではなく、環境、人権、社会を含む包括的な情報提供が重要。
  • コミュニティのリーダーやその他関係者への情報提供は、公式で複数回にわたる会合を通じて行われるべき。プロジェクトのサステナビリティは、継続的な双方のコミュニケーション、公的なモニタリングなしには成立しない。
  • 個別のコミュニティに別々に情報提供するだけでなく、企業は各コミュニティが集まり、情報交換する場を設ける必要がある。そうすることで、情報共有を助け、将来の新たなイニシアチブの実施を容易にする。
  • 企業や資金提供者は、法律アドバイザーなどの第三者機関や独立専門家を雇い、コミュニティがプロジェクトの影響を理解し、FPICが尊重されているかモニタリングできるようにすべき。ケニアのトゥルカナ地方では82%の住民が公教育を受けておらず、若年層、貧困層の割合が高い。そのような人々が大企業を相手に交渉し、彼らに有利な同意を勝ち得るのは困難であり、専門家の支援が欠かせない。
  • 資金提供者は、影響を受けるコミュニティ内の様々な人々を巻き込んでプロジェクトを監視する必要がある。IFCは外部の監視団体を雇い、事業の全てがコンプライアンス上問題がないか年二回の評価を実施するとしているが、このような監視団体が実際にコミュニティの人々と十分な時間を取って対話しない限り、適切な評価がなされているとは言えない。
  • 【参照ページ】New Oxfam study finds that Tullow Oil has not yet effectively obtained the free, prior and informed consent of project affected communities in Turkana, Kenya

 国際NGOオックスファム・インターナショナルは11月8日、ケニア政府が今年10月に発表した原油パイプラインプロジェクトに関し、プロジェクト実施企業となる英Tullow Oilが先住民の権利と国際的に認められている「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」の尊重状況を調査したレポート「Testing Community Content」を公表した。同レポートによると、企業側の改善が見られつつも、FPICが尊重されているとは言えない状況だという。

 今回の焦点となる原油パイプライン・プロジェクトは、同国北部トゥルカナ地方の南ロキチャル盆地(South Lokichar basin)から輸出拠点となるインド洋ラム島まで820kmを結ぶもの。近年、ケニアを含む、エチオピア、ウガンダ、南スーダン等の東アフリカ地域では油田が相次いで発見され、開発が進んでおり、ケニア政府も2012年、南ロキチャル盆地で油田を発見。2014年に英Tullow OilとカナダAfrica Oilが折半で主要油田の権益を獲得した。両社は、Africa Oilの権益分の採掘オペレーター業務をTullow Oilに委託することで合意しており、Tullow Oilが全ての採掘権を持っている。さらにAfrica Oilは2017年5月、権益の25%をデンマーク海運大手A.P.モラー・マースクのエネルギー子会社マースク・オイル&ガスに転貸することで合意。さらに今年8月、仏トタルがA.P.モラー・マースクからマースク・オイル&ガスの全株式を買収することで合意し、買収手続きは2018年前半には完了する見込み。結果、最終的な同油田の権益保有割合は、Tullow Oil50%、Africa Oil25%、トタル(現時点ではマースク)25%。採掘権は100%Tullow Oilが有している。

 今年10月、ケニア政府はTullow Oil、Africa Oil、マースク・オイル&ガスとの間でパイプライン建設に合意した。費用は約20億米ドル。資源埋蔵量予測は7億5,000万バレルで、品質は1バレル当たり55米ドル。最初にフィージビリティ・スタディを実施し、プロジェクトの採否を見極める。同パイプラインが通る地域の大半は、先住民やその他地元住民の居住区にあたり、干魃や貧困、社会サービスへのアクセスが限られている等の社会的課題を抱える地域。同コンシーアムには世界銀行グループの国際金融公社(IFC)も融資している。パイプラインは2021年前半に完成する予定。

 オックスファムのレポートは、採掘・パイプライン業務を実施するTullow Oilと融資銀行であるIFCに対し、FPIC尊重に向けた提言をまとめた。

  • プロジェクトに関わる企業は、コミュニティや地域政府が同意に至るまでの全協議プロセスと同意内容を適切な言語で記録し、全てのコミュニティ・メンバーが閲覧可能にすべき。現状、情報提供に関し企業は透明性を欠いており、コミュニティが状況を十分理解しているとは言い難い。
  • FPICのプロセスにおいて、企業は考えうるポジティブ、ネガティブ両方の影響についてコミュニティに伝える必要がある。原油プロジェクトは数十年に渡り、ケニアでは新しい取り組み。第1フェーズだけ、オンサイトに関する影響だけ、といった限定的な情報提供ではなく、環境、人権、社会を含む包括的な情報提供が重要。
  • コミュニティのリーダーやその他関係者への情報提供は、公式で複数回にわたる会合を通じて行われるべき。プロジェクトのサステナビリティは、継続的な双方のコミュニケーション、公的なモニタリングなしには成立しない。
  • 個別のコミュニティに別々に情報提供するだけでなく、企業は各コミュニティが集まり、情報交換する場を設ける必要がある。そうすることで、情報共有を助け、将来の新たなイニシアチブの実施を容易にする。
  • 企業や資金提供者は、法律アドバイザーなどの第三者機関や独立専門家を雇い、コミュニティがプロジェクトの影響を理解し、FPICが尊重されているかモニタリングできるようにすべき。ケニアのトゥルカナ地方では82%の住民が公教育を受けておらず、若年層、貧困層の割合が高い。そのような人々が大企業を相手に交渉し、彼らに有利な同意を勝ち得るのは困難であり、専門家の支援が欠かせない。
  • 資金提供者は、影響を受けるコミュニティ内の様々な人々を巻き込んでプロジェクトを監視する必要がある。IFCは外部の監視団体を雇い、事業の全てがコンプライアンス上問題がないか年二回の評価を実施するとしているが、このような監視団体が実際にコミュニティの人々と十分な時間を取って対話しない限り、適切な評価がなされているとは言えない。
  • 【参照ページ】New Oxfam study finds that Tullow Oil has not yet effectively obtained the free, prior and informed consent of project affected communities in Turkana, Kenya

 国際NGOオックスファム・インターナショナルは11月8日、ケニア政府が今年10月に発表した原油パイプラインプロジェクトに関し、プロジェクト実施企業となる英Tullow Oilが先住民の権利と国際的に認められている「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」の尊重状況を調査したレポート「Testing Community Content」を公表した。同レポートによると、企業側の改善が見られつつも、FPICが尊重されているとは言えない状況だという。

 今回の焦点となる原油パイプライン・プロジェクトは、同国北部トゥルカナ地方の南ロキチャル盆地(South Lokichar basin)から輸出拠点となるインド洋ラム島まで820kmを結ぶもの。近年、ケニアを含む、エチオピア、ウガンダ、南スーダン等の東アフリカ地域では油田が相次いで発見され、開発が進んでおり、ケニア政府も2012年、南ロキチャル盆地で油田を発見。2014年に英Tullow OilとカナダAfrica Oilが折半で主要油田の権益を獲得した。両社は、Africa Oilの権益分の採掘オペレーター業務をTullow Oilに委託することで合意しており、Tullow Oilが全ての採掘権を持っている。さらにAfrica Oilは2017年5月、権益の25%をデンマーク海運大手A.P.モラー・マースクのエネルギー子会社マースク・オイル&ガスに転貸することで合意。さらに今年8月、仏トタルがA.P.モラー・マースクからマースク・オイル&ガスの全株式を買収することで合意し、買収手続きは2018年前半には完了する見込み。結果、最終的な同油田の権益保有割合は、Tullow Oil50%、Africa Oil25%、トタル(現時点ではマースク)25%。採掘権は100%Tullow Oilが有している。

 今年10月、ケニア政府はTullow Oil、Africa Oil、マースク・オイル&ガスとの間でパイプライン建設に合意した。費用は約20億米ドル。資源埋蔵量予測は7億5,000万バレルで、品質は1バレル当たり55米ドル。最初にフィージビリティ・スタディを実施し、プロジェクトの採否を見極める。同パイプラインが通る地域の大半は、先住民やその他地元住民の居住区にあたり、干魃や貧困、社会サービスへのアクセスが限られている等の社会的課題を抱える地域。同コンシーアムには世界銀行グループの国際金融公社(IFC)も融資している。パイプラインは2021年前半に完成する予定。

 オックスファムのレポートは、採掘・パイプライン業務を実施するTullow Oilと融資銀行であるIFCに対し、FPIC尊重に向けた提言をまとめた。

  • プロジェクトに関わる企業は、コミュニティや地域政府が同意に至るまでの全協議プロセスと同意内容を適切な言語で記録し、全てのコミュニティ・メンバーが閲覧可能にすべき。現状、情報提供に関し企業は透明性を欠いており、コミュニティが状況を十分理解しているとは言い難い。
  • FPICのプロセスにおいて、企業は考えうるポジティブ、ネガティブ両方の影響についてコミュニティに伝える必要がある。原油プロジェクトは数十年に渡り、ケニアでは新しい取り組み。第1フェーズだけ、オンサイトに関する影響だけ、といった限定的な情報提供ではなく、環境、人権、社会を含む包括的な情報提供が重要。
  • コミュニティのリーダーやその他関係者への情報提供は、公式で複数回にわたる会合を通じて行われるべき。プロジェクトのサステナビリティは、継続的な双方のコミュニケーション、公的なモニタリングなしには成立しない。
  • 個別のコミュニティに別々に情報提供するだけでなく、企業は各コミュニティが集まり、情報交換する場を設ける必要がある。そうすることで、情報共有を助け、将来の新たなイニシアチブの実施を容易にする。
  • 企業や資金提供者は、法律アドバイザーなどの第三者機関や独立専門家を雇い、コミュニティがプロジェクトの影響を理解し、FPICが尊重されているかモニタリングできるようにすべき。ケニアのトゥルカナ地方では82%の住民が公教育を受けておらず、若年層、貧困層の割合が高い。そのような人々が大企業を相手に交渉し、彼らに有利な同意を勝ち得るのは困難であり、専門家の支援が欠かせない。
  • 資金提供者は、影響を受けるコミュニティ内の様々な人々を巻き込んでプロジェクトを監視する必要がある。IFCは外部の監視団体を雇い、事業の全てがコンプライアンス上問題がないか年二回の評価を実施するとしているが、このような監視団体が実際にコミュニティの人々と十分な時間を取って対話しない限り、適切な評価がなされているとは言えない。
  • 【参照ページ】New Oxfam study finds that Tullow Oil has not yet effectively obtained the free, prior and informed consent of project affected communities in Turkana, Kenya

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 国際NGOオックスファム・インターナショナルは11月8日、ケニア政府が今年10月に発表した原油パイプラインプロジェクトに関し、プロジェクト実施企業となる英Tullow Oilが先住民の権利と国際的に認められている「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」の尊重状況を調査したレポート「Testing Community Content」を公表した。同レポートによると、企業側の改善が見られつつも、FPICが尊重されているとは言えない状況だという。

 今回の焦点となる原油パイプライン・プロジェクトは、同国北部トゥルカナ地方の南ロキチャル盆地(South Lokichar basin)から輸出拠点となるインド洋ラム島まで820kmを結ぶもの。近年、ケニアを含む、エチオピア、ウガンダ、南スーダン等の東アフリカ地域では油田が相次いで発見され、開発が進んでおり、ケニア政府も2012年、南ロキチャル盆地で油田を発見。2014年に英Tullow OilとカナダAfrica Oilが折半で主要油田の権益を獲得した。両社は、Africa Oilの権益分の採掘オペレーター業務をTullow Oilに委託することで合意しており、Tullow Oilが全ての採掘権を持っている。さらにAfrica Oilは2017年5月、権益の25%をデンマーク海運大手A.P.モラー・マースクのエネルギー子会社マースク・オイル&ガスに転貸することで合意。さらに今年8月、仏トタルがA.P.モラー・マースクからマースク・オイル&ガスの全株式を買収することで合意し、買収手続きは2018年前半には完了する見込み。結果、最終的な同油田の権益保有割合は、Tullow Oil50%、Africa Oil25%、トタル(現時点ではマースク)25%。採掘権は100%Tullow Oilが有している。

 今年10月、ケニア政府はTullow Oil、Africa Oil、マースク・オイル&ガスとの間でパイプライン建設に合意した。費用は約20億米ドル。資源埋蔵量予測は7億5,000万バレルで、品質は1バレル当たり55米ドル。最初にフィージビリティ・スタディを実施し、プロジェクトの採否を見極める。同パイプラインが通る地域の大半は、先住民やその他地元住民の居住区にあたり、干魃や貧困、社会サービスへのアクセスが限られている等の社会的課題を抱える地域。同コンシーアムには世界銀行グループの国際金融公社(IFC)も融資している。パイプラインは2021年前半に完成する予定。

 オックスファムのレポートは、採掘・パイプライン業務を実施するTullow Oilと融資銀行であるIFCに対し、FPIC尊重に向けた提言をまとめた。

  • プロジェクトに関わる企業は、コミュニティや地域政府が同意に至るまでの全協議プロセスと同意内容を適切な言語で記録し、全てのコミュニティ・メンバーが閲覧可能にすべき。現状、情報提供に関し企業は透明性を欠いており、コミュニティが状況を十分理解しているとは言い難い。
  • FPICのプロセスにおいて、企業は考えうるポジティブ、ネガティブ両方の影響についてコミュニティに伝える必要がある。原油プロジェクトは数十年に渡り、ケニアでは新しい取り組み。第1フェーズだけ、オンサイトに関する影響だけ、といった限定的な情報提供ではなく、環境、人権、社会を含む包括的な情報提供が重要。
  • コミュニティのリーダーやその他関係者への情報提供は、公式で複数回にわたる会合を通じて行われるべき。プロジェクトのサステナビリティは、継続的な双方のコミュニケーション、公的なモニタリングなしには成立しない。
  • 個別のコミュニティに別々に情報提供するだけでなく、企業は各コミュニティが集まり、情報交換する場を設ける必要がある。そうすることで、情報共有を助け、将来の新たなイニシアチブの実施を容易にする。
  • 企業や資金提供者は、法律アドバイザーなどの第三者機関や独立専門家を雇い、コミュニティがプロジェクトの影響を理解し、FPICが尊重されているかモニタリングできるようにすべき。ケニアのトゥルカナ地方では82%の住民が公教育を受けておらず、若年層、貧困層の割合が高い。そのような人々が大企業を相手に交渉し、彼らに有利な同意を勝ち得るのは困難であり、専門家の支援が欠かせない。
  • 資金提供者は、影響を受けるコミュニティ内の様々な人々を巻き込んでプロジェクトを監視する必要がある。IFCは外部の監視団体を雇い、事業の全てがコンプライアンス上問題がないか年二回の評価を実施するとしているが、このような監視団体が実際にコミュニティの人々と十分な時間を取って対話しない限り、適切な評価がなされているとは言えない。
  • 【参照ページ】New Oxfam study finds that Tullow Oil has not yet effectively obtained the free, prior and informed consent of project affected communities in Turkana, Kenya