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【アメリカ】グリーンなオフィス環境で働く人々は認知機能が高い。ハーバード大学院調査

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 換気の良いオフィス、室内汚染物質やCO2濃度が平均よりも少ない環境下で働く人々は、そうでない(一般的な)オフィスで働く人々に比べて、危機対応や戦略策定等の重要な認知機能レベルが非常に高いという研究結果が、Harvard T.H. Chan School of Public Health(ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院)のグループを中心とする研究により明らかになった。同論文は10月26日発行の”Environmental Health Perspectives“に掲載されている。

 同研究は建築家、デザイナー、プログラマーら24人の被験者を対象に、室内換気や化学物質、CO2濃度が人々の認知機能にもたらす影響を明らかにするため、二重盲検法を用いてグリーンビルディングとそうでないビルディングの疑似環境を作り、6日間に渡り実施されたものだ。二重盲検法とは、バイアスを避けるため被験者だけでなく実験・分析者も実験の状況(どちらがグリーンビルディングの疑似環境か)が解らないように設定して行われる調査法のことを指す。

 調査の結果、グリーンビルディングの環境下では一般的な環境下より被験者の認知機能が平均で61%向上していた。また換気の頻度を上げ、さらに向上した「グリーン+」の環境下では2倍の認知機能が示された。認知機能別の結果としては、危機対応能力についてはグリーンが97%の向上、グリーン+は131%の向上となり、戦略立案能力は183%、288%の向上、情報活用能力は172%、299%それぞれ向上するという結果となった。

 今回の結果を受けて、Harvard Center for Health and the Global Environmentのヘルシー・ビルディングズ・プログラムの責任者兼論文の筆頭著者のJoseph Allen准教授は、「我々は90%の時間を室内で過ごしており、ビルの状態による影響が最も大きいのは従業員なのに、室内環境の質や健康、生産性への影響はほとんどの場合、後付けでしか考慮されない。今回の調査結果は、例え僅かな室内環境の改善であっても、従業員の意思決定等に大きな影響を及ぼす可能性があることを示している」と述べた。

 今回の調査により、室内のCO2レベルなどの空気質は従業員の認知機能レベルと大きく関係していることが明らかになった。昨今ではCO2削減やエネルギー効率化の流れを受けて世界中でグリーンビルディングの普及が進んでいるが、オフィスの緑化は環境だけではなくそこで働く人々に対しても好影響を与えうることを示している。同研究結果を基に、従業員の生産性向上も視野に入れたグリーンオフィス化がさらに普及することを期待したい。

【参照リリース】Green office environments linked with higher cognitive function scores
【団体サイト】Harvard T.H. Chan School of Public Health
【レポートダウンロード】Associations of Cognitive Function Scores with Carbon Dioxide, Ventilation, and Volatile Organic Compound Exposures in Office Workers: A Controlled Exposure Study of Green and Conventional Office Environments

 換気の良いオフィス、室内汚染物質やCO2濃度が平均よりも少ない環境下で働く人々は、そうでない(一般的な)オフィスで働く人々に比べて、危機対応や戦略策定等の重要な認知機能レベルが非常に高いという研究結果が、Harvard T.H. Chan School of Public Health(ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院)のグループを中心とする研究により明らかになった。同論文は10月26日発行の”Environmental Health Perspectives“に掲載されている。

 同研究は建築家、デザイナー、プログラマーら24人の被験者を対象に、室内換気や化学物質、CO2濃度が人々の認知機能にもたらす影響を明らかにするため、二重盲検法を用いてグリーンビルディングとそうでないビルディングの疑似環境を作り、6日間に渡り実施されたものだ。二重盲検法とは、バイアスを避けるため被験者だけでなく実験・分析者も実験の状況(どちらがグリーンビルディングの疑似環境か)が解らないように設定して行われる調査法のことを指す。

 調査の結果、グリーンビルディングの環境下では一般的な環境下より被験者の認知機能が平均で61%向上していた。また換気の頻度を上げ、さらに向上した「グリーン+」の環境下では2倍の認知機能が示された。認知機能別の結果としては、危機対応能力についてはグリーンが97%の向上、グリーン+は131%の向上となり、戦略立案能力は183%、288%の向上、情報活用能力は172%、299%それぞれ向上するという結果となった。

 今回の結果を受けて、Harvard Center for Health and the Global Environmentのヘルシー・ビルディングズ・プログラムの責任者兼論文の筆頭著者のJoseph Allen准教授は、「我々は90%の時間を室内で過ごしており、ビルの状態による影響が最も大きいのは従業員なのに、室内環境の質や健康、生産性への影響はほとんどの場合、後付けでしか考慮されない。今回の調査結果は、例え僅かな室内環境の改善であっても、従業員の意思決定等に大きな影響を及ぼす可能性があることを示している」と述べた。

 今回の調査により、室内のCO2レベルなどの空気質は従業員の認知機能レベルと大きく関係していることが明らかになった。昨今ではCO2削減やエネルギー効率化の流れを受けて世界中でグリーンビルディングの普及が進んでいるが、オフィスの緑化は環境だけではなくそこで働く人々に対しても好影響を与えうることを示している。同研究結果を基に、従業員の生産性向上も視野に入れたグリーンオフィス化がさらに普及することを期待したい。

【参照リリース】Green office environments linked with higher cognitive function scores
【団体サイト】Harvard T.H. Chan School of Public Health
【レポートダウンロード】Associations of Cognitive Function Scores with Carbon Dioxide, Ventilation, and Volatile Organic Compound Exposures in Office Workers: A Controlled Exposure Study of Green and Conventional Office Environments

 換気の良いオフィス、室内汚染物質やCO2濃度が平均よりも少ない環境下で働く人々は、そうでない(一般的な)オフィスで働く人々に比べて、危機対応や戦略策定等の重要な認知機能レベルが非常に高いという研究結果が、Harvard T.H. Chan School of Public Health(ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院)のグループを中心とする研究により明らかになった。同論文は10月26日発行の”Environmental Health Perspectives“に掲載されている。

 同研究は建築家、デザイナー、プログラマーら24人の被験者を対象に、室内換気や化学物質、CO2濃度が人々の認知機能にもたらす影響を明らかにするため、二重盲検法を用いてグリーンビルディングとそうでないビルディングの疑似環境を作り、6日間に渡り実施されたものだ。二重盲検法とは、バイアスを避けるため被験者だけでなく実験・分析者も実験の状況(どちらがグリーンビルディングの疑似環境か)が解らないように設定して行われる調査法のことを指す。

 調査の結果、グリーンビルディングの環境下では一般的な環境下より被験者の認知機能が平均で61%向上していた。また換気の頻度を上げ、さらに向上した「グリーン+」の環境下では2倍の認知機能が示された。認知機能別の結果としては、危機対応能力についてはグリーンが97%の向上、グリーン+は131%の向上となり、戦略立案能力は183%、288%の向上、情報活用能力は172%、299%それぞれ向上するという結果となった。

 今回の結果を受けて、Harvard Center for Health and the Global Environmentのヘルシー・ビルディングズ・プログラムの責任者兼論文の筆頭著者のJoseph Allen准教授は、「我々は90%の時間を室内で過ごしており、ビルの状態による影響が最も大きいのは従業員なのに、室内環境の質や健康、生産性への影響はほとんどの場合、後付けでしか考慮されない。今回の調査結果は、例え僅かな室内環境の改善であっても、従業員の意思決定等に大きな影響を及ぼす可能性があることを示している」と述べた。

 今回の調査により、室内のCO2レベルなどの空気質は従業員の認知機能レベルと大きく関係していることが明らかになった。昨今ではCO2削減やエネルギー効率化の流れを受けて世界中でグリーンビルディングの普及が進んでいるが、オフィスの緑化は環境だけではなくそこで働く人々に対しても好影響を与えうることを示している。同研究結果を基に、従業員の生産性向上も視野に入れたグリーンオフィス化がさらに普及することを期待したい。

【参照リリース】Green office environments linked with higher cognitive function scores
【団体サイト】Harvard T.H. Chan School of Public Health
【レポートダウンロード】Associations of Cognitive Function Scores with Carbon Dioxide, Ventilation, and Volatile Organic Compound Exposures in Office Workers: A Controlled Exposure Study of Green and Conventional Office Environments

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 換気の良いオフィス、室内汚染物質やCO2濃度が平均よりも少ない環境下で働く人々は、そうでない(一般的な)オフィスで働く人々に比べて、危機対応や戦略策定等の重要な認知機能レベルが非常に高いという研究結果が、Harvard T.H. Chan School of Public Health(ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院)のグループを中心とする研究により明らかになった。同論文は10月26日発行の”Environmental Health Perspectives“に掲載されている。

 同研究は建築家、デザイナー、プログラマーら24人の被験者を対象に、室内換気や化学物質、CO2濃度が人々の認知機能にもたらす影響を明らかにするため、二重盲検法を用いてグリーンビルディングとそうでないビルディングの疑似環境を作り、6日間に渡り実施されたものだ。二重盲検法とは、バイアスを避けるため被験者だけでなく実験・分析者も実験の状況(どちらがグリーンビルディングの疑似環境か)が解らないように設定して行われる調査法のことを指す。

 調査の結果、グリーンビルディングの環境下では一般的な環境下より被験者の認知機能が平均で61%向上していた。また換気の頻度を上げ、さらに向上した「グリーン+」の環境下では2倍の認知機能が示された。認知機能別の結果としては、危機対応能力についてはグリーンが97%の向上、グリーン+は131%の向上となり、戦略立案能力は183%、288%の向上、情報活用能力は172%、299%それぞれ向上するという結果となった。

 今回の結果を受けて、Harvard Center for Health and the Global Environmentのヘルシー・ビルディングズ・プログラムの責任者兼論文の筆頭著者のJoseph Allen准教授は、「我々は90%の時間を室内で過ごしており、ビルの状態による影響が最も大きいのは従業員なのに、室内環境の質や健康、生産性への影響はほとんどの場合、後付けでしか考慮されない。今回の調査結果は、例え僅かな室内環境の改善であっても、従業員の意思決定等に大きな影響を及ぼす可能性があることを示している」と述べた。

 今回の調査により、室内のCO2レベルなどの空気質は従業員の認知機能レベルと大きく関係していることが明らかになった。昨今ではCO2削減やエネルギー効率化の流れを受けて世界中でグリーンビルディングの普及が進んでいるが、オフィスの緑化は環境だけではなくそこで働く人々に対しても好影響を与えうることを示している。同研究結果を基に、従業員の生産性向上も視野に入れたグリーンオフィス化がさらに普及することを期待したい。

【参照リリース】Green office environments linked with higher cognitive function scores
【団体サイト】Harvard T.H. Chan School of Public Health
【レポートダウンロード】Associations of Cognitive Function Scores with Carbon Dioxide, Ventilation, and Volatile Organic Compound Exposures in Office Workers: A Controlled Exposure Study of Green and Conventional Office Environments