Sustainable Japan | 世界のサステナビリティ・ESG投資・SDGs

【アメリカ】戦略コンサルBCG、今後は社会・環境インパクトを高める経営戦略が重要

 戦略コンサルティング世界大手米ボストンコンサルティンググループ(BCG)は10月25日、企業戦略の重要コンセプトとして、これまで重視してきた株主総利回り(TSR)に加え、今後は社会総インパクト(TSI)を新たに提唱した。TSIは、社会だけでなく環境へのインパクトをも含む広義の意味で「社会インパクト」を定義。企業はTSIを高める戦略を取ることで、TSRを下げる要因の把握、新たな気づき獲得の2つのメリットがあるとした。

 BCGが今回TSIを提唱した意義は大きい。TSIの概念は、これまで社会・環境要因は財務リターンと矛盾しないと考えるサステナビリティ経営支持者やESG投資家の考えをなぞるものであり、新規性は高くない。一方、経営戦略で世界的に有名なBCGは、従来、経営戦略において「競争戦略」に重点を置いており、幅広い事業環境を考慮するサステナビリティ戦略に関する発言はしない傾向にあった。しかし、ついにBCGも、経営戦略には社会・環境要因への考慮が重要であり、さらにそれにより財務リターンが向上すると主張してきたことは、世界的なサステナビリティ思考の潮流を大きく後押しするものとなる。

 BCGは今回、企業の状況分析手法として、横軸をTSI、縦軸をTSRとする4象限マトリックスを紹介。TSIとTSRの双方を追求する右上の状態に進むべきだとした。慈善事業や寄付については、TSIが高い一方、TSRを下げることもあり、また企業ブランドや従業員への魅力創出にも限度があると課題感を示した。TSIやTSRの双方を追求できる事業を、企業の「副業」的に行う行為に対しては、スケール性がないと同じく課題視し、企業のコア事業でこそ、TSIとTSRの双方を追求するべきだとつづった。

 TSRを追求することで得られる新たな気づきとしては、「新たな市場の創出」「イノベーション」「コスト削減とサプライチェーンリスク低減」「ブランド強化と価格プレミアム」「魅力的な従業員の採用と離職率低減」「政府や他の影響力のあるアクターとの関係構築」を挙げた。

 またBCGは、ESGスコアが高い企業は、企業価値マルチプルが高いことという分析結果も紹介した。

【参照ページ】Total Societal Impact: A New Lens for Strategy

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 戦略コンサルティング世界大手米ボストンコンサルティンググループ(BCG)は10月25日、企業戦略の重要コンセプトとして、これまで重視してきた株主総利回り(TSR)に加え、今後は社会総インパクト(TSI)を新たに提唱した。TSIは、社会だけでなく環境へのインパクトをも含む広義の意味で「社会インパクト」を定義。企業はTSIを高める戦略を取ることで、TSRを下げる要因の把握、新たな気づき獲得の2つのメリットがあるとした。

 BCGが今回TSIを提唱した意義は大きい。TSIの概念は、これまで社会・環境要因は財務リターンと矛盾しないと考えるサステナビリティ経営支持者やESG投資家の考えをなぞるものであり、新規性は高くない。一方、経営戦略で世界的に有名なBCGは、従来、経営戦略において「競争戦略」に重点を置いており、幅広い事業環境を考慮するサステナビリティ戦略に関する発言はしない傾向にあった。しかし、ついにBCGも、経営戦略には社会・環境要因への考慮が重要であり、さらにそれにより財務リターンが向上すると主張してきたことは、世界的なサステナビリティ思考の潮流を大きく後押しするものとなる。

 BCGは今回、企業の状況分析手法として、

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 戦略コンサルティング世界大手米ボストンコンサルティンググループ(BCG)は10月25日、企業戦略の重要コンセプトとして、これまで重視してきた株主総利回り(TSR)に加え、今後は社会総インパクト(TSI)を新たに提唱した。TSIは、社会だけでなく環境へのインパクトをも含む広義の意味で「社会インパクト」を定義。企業はTSIを高める戦略を取ることで、TSRを下げる要因の把握、新たな気づき獲得の2つのメリットがあるとした。

 BCGが今回TSIを提唱した意義は大きい。TSIの概念は、これまで社会・環境要因は財務リターンと矛盾しないと考えるサステナビリティ経営支持者やESG投資家の考えをなぞるものであり、新規性は高くない。一方、経営戦略で世界的に有名なBCGは、従来、経営戦略において「競争戦略」に重点を置いており、幅広い事業環境を考慮するサステナビリティ戦略に関する発言はしない傾向にあった。しかし、ついにBCGも、経営戦略には社会・環境要因への考慮が重要であり、さらにそれにより財務リターンが向上すると主張してきたことは、世界的なサステナビリティ思考の潮流を大きく後押しするものとなる。

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 戦略コンサルティング世界大手米ボストンコンサルティンググループ(BCG)は10月25日、企業戦略の重要コンセプトとして、これまで重視してきた株主総利回り(TSR)に加え、今後は社会総インパクト(TSI)を新たに提唱した。TSIは、社会だけでなく環境へのインパクトをも含む広義の意味で「社会インパクト」を定義。企業はTSIを高める戦略を取ることで、TSRを下げる要因の把握、新たな気づき獲得の2つのメリットがあるとした。

 BCGが今回TSIを提唱した意義は大きい。TSIの概念は、これまで社会・環境要因は財務リターンと矛盾しないと考えるサステナビリティ経営支持者やESG投資家の考えをなぞるものであり、新規性は高くない。一方、経営戦略で世界的に有名なBCGは、従来、経営戦略において「競争戦略」に重点を置いており、幅広い事業環境を考慮するサステナビリティ戦略に関する発言はしない傾向にあった。しかし、ついにBCGも、経営戦略には社会・環境要因への考慮が重要であり、さらにそれにより財務リターンが向上すると主張してきたことは、世界的なサステナビリティ思考の潮流を大きく後押しするものとなる。

 BCGは今回、企業の状況分析手法として、横軸をTSI、縦軸をTSRとする4象限マトリックスを紹介。TSIとTSRの双方を追求する右上の状態に進むべきだとした。慈善事業や寄付については、TSIが高い一方、TSRを下げることもあり、また企業ブランドや従業員への魅力創出にも限度があると課題感を示した。TSIやTSRの双方を追求できる事業を、企業の「副業」的に行う行為に対しては、スケール性がないと同じく課題視し、企業のコア事業でこそ、TSIとTSRの双方を追求するべきだとつづった。

 TSRを追求することで得られる新たな気づきとしては、「新たな市場の創出」「イノベーション」「コスト削減とサプライチェーンリスク低減」「ブランド強化と価格プレミアム」「魅力的な従業員の採用と離職率低減」「政府や他の影響力のあるアクターとの関係構築」を挙げた。

 またBCGは、ESGスコアが高い企業は、企業価値マルチプルが高いことという分析結果も紹介した。

【参照ページ】Total Societal Impact: A New Lens for Strategy

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