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【イギリス】取締役会の人種ダイバーシティ求めるパーカー・レビュー、2021年目標達成まで課題多い

 取締役会の人種ダイバーシティを高めるよう要望する英国政府報告書「パーカー・レビュー」が2016年11月2日に発表されてから、間もなく1年が経過する。パーカー・レビューは、英資源大手アングロ・アメリカン会長のジョン・パーカー卿率いるパーカー委員会が、英ビジネス・エネルギー・産業戦略省からの委託を受けてまとめた提言報告書。英国の代表的株式インデックス「FTSE100」採用100社に対しては2021年までに、同「FTSE250」採用250社に対しては2024までに、一人以上の非白人取締役を任命することを求めている。さらに、「FTSE100」と「FTSE250」採用企業双方に向け、取締役空席時には取締役会指名委員会とエグゼクティブ・サーチファームに対し、有力な非白人取締役候補者を推薦するよう要求することを求めている。英国では、取締役会の性別ダイバーシティだけでなく、人種ダイバーシティが要求される時代に突入している。

 英国での取締役会のダイバーシティを求める動きは、2011年に当時のスタンダード・チャータード銀行CEOのマービン・デービス卿が「デービス・レビュー」を発表し、「FTSE100」採用企業100社に対し、2015年までに取締役会の女性構成比率を25%以上にする目標を掲げたことに端を発する。英国政府が発する「レビュー」には法的拘束力はないが、レビューの提言に基づき政府がアクションを起こすのが慣行となっている。それにより、FTSE100企業の女性取締役比率は2011年には12.5%だったが、2015年7月には26.1%に倍増。取締役会に女性取締役がいないFTSE100企業数は、2011年の21社から2015年7月にはゼロとなった。こうして、デービス・レビューが掲げた目標は見事に達成された。

【参考】【イギリス】FTSE100の女性取締役比率は23.5%。目標達成に向けて順調に推移(2015年4月16日)

 女性取締役比率が急増した背景には、「デービス・レビュー」の提言内容により、政府以外も含めた各アクターの自主的協力がある。まず英国政府は、同レビューの提言に基づき、会社法を改正。2013年10月から取締役会、上級管理職、企業全体のそれぞれの女性比率の情報開示が義務化された。そして英国のコーポレートガバナンス・コードを策定する財務報告評議会(FRC)も、同レビューの提言に基づき、コーポレートガバナンス・コードを改訂。性別を含む取締役会のダイバーシティに関する方針、取締役会指名委員会の指名プロセス、測定可能な目標、進捗状況をアニュアルレポートに記載すべきと規定された。さらに、サーチファーム80社以上が、同レビューの提言に基づき、共同で行動規範を策定。女性取締役の紹介実績や取り組みを評価する枠組みを自主的に整備した。日本で女性取締役数を増やす取り組みとしては、女性弁護士や女性公認会計士を取締役に任命する動きが多いが、英国では2011年に任命された女性取締役のうち、約6割がNGOでのマネジメント経験、約3割が教育機関での経験というバックグランドを持ち、異分野での経験が評価された。

 一方、取締役会の人種ダイバーシティを求める動きは、2014年に当時ビジネス・イノベーション・技能大臣だったヴィンス・ケーブル卿が始めたキャンペーンが発端。その時点での英国市民の非白人比率は14%だったのに対し、FTSE100企業取締役会の非白人比率は5%。非白人取締役がゼロのFTSE100企業が69社と半数を大きく超えていた。ケーブル大臣は、「2020キャンペーン」を立ち上げ、2020年までに一人以上の非白人取締役を任命することを呼びかけた。

 このキャンペーンでは、推進者として、アングロ・アメリカン会長のジョン・パーカー卿、トレバー・フィリップス元英政府平等人権委員会委員長、コメディアンのレニー・ヘンリー氏の3名が任命された。そして、パーカー卿は2014年に冒頭のパーカー委員会を発足し、昨年の「パーカー・レビュー」発表へとつながっていく。しかし、多様性への取り組みは進展していない。現時点のFTSE100企業の非白人取締役数は8%に留まっており、依然として51社には非白人取締役が一人もいない。ビジネス・エネルギー・産業戦略省のマルゴット・ジェームズ副大臣は、企業に対し自主ガイドラインの制定を促しつつ、毎年進捗状況をチェックする方針も示した。

 英国企業団体の英国産業連盟(CBI)のニール・カーベリーで雇用技能政策部長も、パーカー・レビューの提言について、現実的な目標であり、企業はこれを期に取り組むべきだと前向きな考えを示している。

【参照ページ】The ethnic diversity of UK boards: launch of the Parker review
【報告書】パーカー・レビュー
【参考ページ】Top firms given four years to appoint ethnic minority directors
【参考ページ】Lack of diversity on boardrooms increasing despite Westminster push

 取締役会の人種ダイバーシティを高めるよう要望する英国政府報告書「パーカー・レビュー」が2016年11月2日に発表されてから、間もなく1年が経過する。パーカー・レビューは、英資源大手アングロ・アメリカン会長のジョン・パーカー卿率いるパーカー委員会が、英ビジネス・エネルギー・産業戦略省からの委託を受けてまとめた提言報告書。英国の代表的株式インデックス「FTSE100」採用100社に対しては2021年までに、同「FTSE250」採用250社に対しては2024までに、一人以上の非白人取締役を任命することを求めている。さらに、「FTSE100」と「FTSE250」採用企業双方に向け、取締役空席時には取締役会指名委員会とエグゼクティブ・サーチファームに対し、有力な非白人取締役候補者を推薦するよう要求することを求めている。英国では、取締役会の性別ダイバーシティだけでなく、人種ダイバーシティが要求される時代に突入している。

 英国での取締役会のダイバーシティを求める動きは、2011年に当時のスタンダード・チャータード銀行CEOのマービン・デービス卿が「デービス・レビュー」を発表し、「FTSE100」採用企業100社に対し、2015年までに取締役会の女性構成比率を25%以上にする目標を掲げたことに端を発する。英国政府が発する「レビュー」には法的拘束力はないが、レビューの提言に基づき政府がアクションを起こすのが慣行となっている。それにより、FTSE100企業の女性取締役比率は2011年には12.5%だったが、2015年7月には26.1%に倍増。取締役会に女性取締役がいないFTSE100企業数は、2011年の21社から2015年7月にはゼロとなった。こうして、デービス・レビューが掲げた目標は見事に達成された。

【参考】【イギリス】FTSE100の女性取締役比率は23.5%。目標達成に向けて順調に推移(2015年4月16日)

 女性取締役比率が急増した背景には、「デービス・レビュー」の提言内容により、政府以外も含めた各アクターの自主的協力がある。まず英国政府は、同レビューの提言に基づき、会社法を改正。2013年10月から取締役会、上級管理職、企業全体のそれぞれの女性比率の情報開示が義務化された。そして英国のコーポレートガバナンス・コードを策定する財務報告評議会(FRC)も、同レビューの提言に基づき、コーポレートガバナンス・コードを改訂。性別を含む取締役会のダイバーシティに関する方針、取締役会指名委員会の指名プロセス、測定可能な目標、進捗状況をアニュアルレポートに記載すべきと規定された。さらに、サーチファーム80社以上が、同レビューの提言に基づき、共同で行動規範を策定。女性取締役の紹介実績や取り組みを評価する枠組みを自主的に整備した。日本で女性取締役数を増やす取り組みとしては、女性弁護士や女性公認会計士を取締役に任命する動きが多いが、英国では2011年に任命された女性取締役のうち、約6割がNGOでのマネジメント経験、約3割が教育機関での経験というバックグランドを持ち、異分野での経験が評価された。

 一方、取締役会の人種ダイバーシティを求める動きは、2014年に当時ビジネス・イノベーション・技能大臣だったヴィンス・ケーブル卿が始めたキャンペーンが発端。その時点での英国市民の非白人比率は14%だったのに対し、FTSE100企業取締役会の非白人比率は5%。非白人取締役がゼロのFTSE100企業が69社と半数を大きく超えていた。ケーブル大臣は、「2020キャンペーン」を立ち上げ、2020年までに一人以上の非白人取締役を任命することを呼びかけた。

 このキャンペーンでは、推進者として、アングロ・アメリカン会長のジョン・パーカー卿、トレバー・フィリップス元英政府平等人権委員会委員長、コメディアンのレニー・ヘンリー氏の3名が任命された。そして、パーカー卿は2014年に冒頭のパーカー委員会を発足し、昨年の「パーカー・レビュー」発表へとつながっていく。しかし、多様性への取り組みは進展していない。現時点のFTSE100企業の非白人取締役数は8%に留まっており、依然として51社には非白人取締役が一人もいない。ビジネス・エネルギー・産業戦略省のマルゴット・ジェームズ副大臣は、企業に対し自主ガイドラインの制定を促しつつ、毎年進捗状況をチェックする方針も示した。

 英国企業団体の英国産業連盟(CBI)のニール・カーベリーで雇用技能政策部長も、パーカー・レビューの提言について、現実的な目標であり、企業はこれを期に取り組むべきだと前向きな考えを示している。

【参照ページ】The ethnic diversity of UK boards: launch of the Parker review
【報告書】パーカー・レビュー
【参考ページ】Top firms given four years to appoint ethnic minority directors
【参考ページ】Lack of diversity on boardrooms increasing despite Westminster push

 取締役会の人種ダイバーシティを高めるよう要望する英国政府報告書「パーカー・レビュー」が2016年11月2日に発表されてから、間もなく1年が経過する。パーカー・レビューは、英資源大手アングロ・アメリカン会長のジョン・パーカー卿率いるパーカー委員会が、英ビジネス・エネルギー・産業戦略省からの委託を受けてまとめた提言報告書。英国の代表的株式インデックス「FTSE100」採用100社に対しては2021年までに、同「FTSE250」採用250社に対しては2024までに、一人以上の非白人取締役を任命することを求めている。さらに、「FTSE100」と「FTSE250」採用企業双方に向け、取締役空席時には取締役会指名委員会とエグゼクティブ・サーチファームに対し、有力な非白人取締役候補者を推薦するよう要求することを求めている。英国では、取締役会の性別ダイバーシティだけでなく、人種ダイバーシティが要求される時代に突入している。

 英国での取締役会のダイバーシティを求める動きは、2011年に当時のスタンダード・チャータード銀行CEOのマービン・デービス卿が「デービス・レビュー」を発表し、「FTSE100」採用企業100社に対し、2015年までに取締役会の女性構成比率を25%以上にする目標を掲げたことに端を発する。英国政府が発する「レビュー」には法的拘束力はないが、レビューの提言に基づき政府がアクションを起こすのが慣行となっている。それにより、FTSE100企業の女性取締役比率は2011年には12.5%だったが、2015年7月には26.1%に倍増。取締役会に女性取締役がいないFTSE100企業数は、2011年の21社から2015年7月にはゼロとなった。こうして、デービス・レビューが掲げた目標は見事に達成された。

【参考】【イギリス】FTSE100の女性取締役比率は23.5%。目標達成に向けて順調に推移(2015年4月16日)

 女性取締役比率が急増した背景には、「デービス・レビュー」の提言内容により、政府以外も含めた各アクターの自主的協力がある。まず英国政府は、同レビューの提言に基づき、会社法を改正。2013年10月から取締役会、上級管理職、企業全体のそれぞれの女性比率の情報開示が義務化された。そして英国のコーポレートガバナンス・コードを策定する財務報告評議会(FRC)も、同レビューの提言に基づき、コーポレートガバナンス・コードを改訂。性別を含む取締役会のダイバーシティに関する方針、取締役会指名委員会の指名プロセス、測定可能な目標、進捗状況をアニュアルレポートに記載すべきと規定された。さらに、サーチファーム80社以上が、同レビューの提言に基づき、共同で行動規範を策定。女性取締役の紹介実績や取り組みを評価する枠組みを自主的に整備した。日本で女性取締役数を増やす取り組みとしては、女性弁護士や女性公認会計士を取締役に任命する動きが多いが、英国では2011年に任命された女性取締役のうち、約6割がNGOでのマネジメント経験、約3割が教育機関での経験というバックグランドを持ち、異分野での経験が評価された。

 一方、取締役会の人種ダイバーシティを求める動きは、2014年に当時ビジネス・イノベーション・技能大臣だったヴィンス・ケーブル卿が始めたキャンペーンが発端。その時点での英国市民の非白人比率は14%だったのに対し、FTSE100企業取締役会の非白人比率は5%。非白人取締役がゼロのFTSE100企業が69社と半数を大きく超えていた。ケーブル大臣は、「2020キャンペーン」を立ち上げ、2020年までに一人以上の非白人取締役を任命することを呼びかけた。

 このキャンペーンでは、推進者として、アングロ・アメリカン会長のジョン・パーカー卿、トレバー・フィリップス元英政府平等人権委員会委員長、コメディアンのレニー・ヘンリー氏の3名が任命された。そして、パーカー卿は2014年に冒頭のパーカー委員会を発足し、昨年の「パーカー・レビュー」発表へとつながっていく。しかし、多様性への取り組みは進展していない。現時点のFTSE100企業の非白人取締役数は8%に留まっており、依然として51社には非白人取締役が一人もいない。ビジネス・エネルギー・産業戦略省のマルゴット・ジェームズ副大臣は、企業に対し自主ガイドラインの制定を促しつつ、毎年進捗状況をチェックする方針も示した。

 英国企業団体の英国産業連盟(CBI)のニール・カーベリーで雇用技能政策部長も、パーカー・レビューの提言について、現実的な目標であり、企業はこれを期に取り組むべきだと前向きな考えを示している。

【参照ページ】The ethnic diversity of UK boards: launch of the Parker review
【報告書】パーカー・レビュー
【参考ページ】Top firms given four years to appoint ethnic minority directors
【参考ページ】Lack of diversity on boardrooms increasing despite Westminster push

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 取締役会の人種ダイバーシティを高めるよう要望する英国政府報告書「パーカー・レビュー」が2016年11月2日に発表されてから、間もなく1年が経過する。パーカー・レビューは、英資源大手アングロ・アメリカン会長のジョン・パーカー卿率いるパーカー委員会が、英ビジネス・エネルギー・産業戦略省からの委託を受けてまとめた提言報告書。英国の代表的株式インデックス「FTSE100」採用100社に対しては2021年までに、同「FTSE250」採用250社に対しては2024までに、一人以上の非白人取締役を任命することを求めている。さらに、「FTSE100」と「FTSE250」採用企業双方に向け、取締役空席時には取締役会指名委員会とエグゼクティブ・サーチファームに対し、有力な非白人取締役候補者を推薦するよう要求することを求めている。英国では、取締役会の性別ダイバーシティだけでなく、人種ダイバーシティが要求される時代に突入している。

 英国での取締役会のダイバーシティを求める動きは、2011年に当時のスタンダード・チャータード銀行CEOのマービン・デービス卿が「デービス・レビュー」を発表し、「FTSE100」採用企業100社に対し、2015年までに取締役会の女性構成比率を25%以上にする目標を掲げたことに端を発する。英国政府が発する「レビュー」には法的拘束力はないが、レビューの提言に基づき政府がアクションを起こすのが慣行となっている。それにより、FTSE100企業の女性取締役比率は2011年には12.5%だったが、2015年7月には26.1%に倍増。取締役会に女性取締役がいないFTSE100企業数は、2011年の21社から2015年7月にはゼロとなった。こうして、デービス・レビューが掲げた目標は見事に達成された。

【参考】【イギリス】FTSE100の女性取締役比率は23.5%。目標達成に向けて順調に推移(2015年4月16日)

 女性取締役比率が急増した背景には、「デービス・レビュー」の提言内容により、政府以外も含めた各アクターの自主的協力がある。まず英国政府は、同レビューの提言に基づき、会社法を改正。2013年10月から取締役会、上級管理職、企業全体のそれぞれの女性比率の情報開示が義務化された。そして英国のコーポレートガバナンス・コードを策定する財務報告評議会(FRC)も、同レビューの提言に基づき、コーポレートガバナンス・コードを改訂。性別を含む取締役会のダイバーシティに関する方針、取締役会指名委員会の指名プロセス、測定可能な目標、進捗状況をアニュアルレポートに記載すべきと規定された。さらに、サーチファーム80社以上が、同レビューの提言に基づき、共同で行動規範を策定。女性取締役の紹介実績や取り組みを評価する枠組みを自主的に整備した。日本で女性取締役数を増やす取り組みとしては、女性弁護士や女性公認会計士を取締役に任命する動きが多いが、英国では2011年に任命された女性取締役のうち、約6割がNGOでのマネジメント経験、約3割が教育機関での経験というバックグランドを持ち、異分野での経験が評価された。

 一方、取締役会の人種ダイバーシティを求める動きは、2014年に当時ビジネス・イノベーション・技能大臣だったヴィンス・ケーブル卿が始めたキャンペーンが発端。その時点での英国市民の非白人比率は14%だったのに対し、FTSE100企業取締役会の非白人比率は5%。非白人取締役がゼロのFTSE100企業が69社と半数を大きく超えていた。ケーブル大臣は、「2020キャンペーン」を立ち上げ、2020年までに一人以上の非白人取締役を任命することを呼びかけた。

 このキャンペーンでは、推進者として、アングロ・アメリカン会長のジョン・パーカー卿、トレバー・フィリップス元英政府平等人権委員会委員長、コメディアンのレニー・ヘンリー氏の3名が任命された。そして、パーカー卿は2014年に冒頭のパーカー委員会を発足し、昨年の「パーカー・レビュー」発表へとつながっていく。しかし、多様性への取り組みは進展していない。現時点のFTSE100企業の非白人取締役数は8%に留まっており、依然として51社には非白人取締役が一人もいない。ビジネス・エネルギー・産業戦略省のマルゴット・ジェームズ副大臣は、企業に対し自主ガイドラインの制定を促しつつ、毎年進捗状況をチェックする方針も示した。

 英国企業団体の英国産業連盟(CBI)のニール・カーベリーで雇用技能政策部長も、パーカー・レビューの提言について、現実的な目標であり、企業はこれを期に取り組むべきだと前向きな考えを示している。

【参照ページ】The ethnic diversity of UK boards: launch of the Parker review
【報告書】パーカー・レビュー
【参考ページ】Top firms given four years to appoint ethnic minority directors
【参考ページ】Lack of diversity on boardrooms increasing despite Westminster push