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【ノルウェー】政府基金GPFG、経営陣報酬の引き下げを要求する方針に転換

meeting

 ノルウェー政府の原油・ガス収入を運用する国富ファンドのGPFGが、投資先企業の株主総会において、経営陣報酬議案に反対票を投じ、報酬の引き下げ圧力をかけていることを、5月1日に複数紙が報じた。GPFGは資産規模7兆4,710億ノルウェークローネ(約100兆円)で、世界最大の国富ファンド。ノルウェー国外のアセットクラスで運用を行っており、投資先企業は75ヶ国9,000社に及ぶ。2015年6月には日本オフィスを開設し、アジアへの投資にも注力している。

 GPFGが経営陣報酬の引き下げを迫っている背景には、米国や英国では経営陣報酬が異常なほど高額になり、企業利益を減少させているという考え方がある。GPFGはこれまで、取締役の選任や取締役会の構成などコーポレートガバナンス事項には積極的に意見を発してきたが、企業報酬に積極的に介入することを避けてきたいた。ところが、ファンド資金がこの11年間で7倍に急増する中、国際的な関心を集める社会格差の問題を前に、企業の経営陣報酬に積極的に介入することは止むを得ないと判断した。一方、GPFGは、スカンジナビア諸国企業に関しては、米英企業と比べ経営陣報酬が大幅に低く、所得格差も遥かに小さいため、問題視しない考えだ。機関投資家が経営陣報酬に反対票を投じる現象は、他にも英国で件数が増えている。

 英国メディアによると、今年4月の、英国を本拠地とするエネルギー関連企業、BPの最高責任者Bob Dudley氏の20%もの昇給をめぐる採決の際に、60%という圧倒的多数の株主が反対したにも拘わらず、ノルウェー政府年金基金グローバルは賛成に回ったという。この時点では、同基金は認識が甘かったといえるだろう。BP社は、同時期には最悪の財務損失を出し、数千人規模の人員削減や賃金凍結を実施していた。BPの15の主要株主は同社に対し、株主からの異議が拡大していることに配慮するよう要請し、さらに2017年の総会が開催される前に報酬に関する「過度に複雑な」方針を改めるよう求めた。

 今回のノルウェー政府年金基金グローバルの方向転換は、このBPの経緯が大きく影響したと考えられる。英国経営者協会(Institute of Directors: IoD)の事務局長を務めるSimon Walker氏は、「英国では、もし企業が株主の要請を無視するようなことがあれば、政府が役員報酬について厳しい規制を導入するのは時間の問題だ」とも述べており、今後英米企業の株主総会では経営陣報酬が議論されることが増えていくと予想される。

【参照ページ】Norway’s oil fund joins crackdown on high executive pays after initially refusing to interfere
【参照ページ】BP shareholders revolt against CEO’s £14m pay package

 ノルウェー政府の原油・ガス収入を運用する国富ファンドのGPFGが、投資先企業の株主総会において、経営陣報酬議案に反対票を投じ、報酬の引き下げ圧力をかけていることを、5月1日に複数紙が報じた。GPFGは資産規模7兆4,710億ノルウェークローネ(約100兆円)で、世界最大の国富ファンド。ノルウェー国外のアセットクラスで運用を行っており、投資先企業は75ヶ国9,000社に及ぶ。2015年6月には日本オフィスを開設し、アジアへの投資にも注力している。

 GPFGが経営陣報酬の引き下げを迫っている背景には、米国や英国では経営陣報酬が異常なほど高額になり、企業利益を減少させているという考え方がある。GPFGはこれまで、取締役の選任や取締役会の構成などコーポレートガバナンス事項には積極的に意見を発してきたが、企業報酬に積極的に介入することを避けてきたいた。ところが、ファンド資金がこの11年間で7倍に急増する中、国際的な関心を集める社会格差の問題を前に、企業の経営陣報酬に積極的に介入することは止むを得ないと判断した。一方、GPFGは、スカンジナビア諸国企業に関しては、米英企業と比べ経営陣報酬が大幅に低く、所得格差も遥かに小さいため、問題視しない考えだ。機関投資家が経営陣報酬に反対票を投じる現象は、他にも英国で件数が増えている。

 英国メディアによると、今年4月の、英国を本拠地とするエネルギー関連企業、BPの最高責任者Bob Dudley氏の20%もの昇給をめぐる採決の際に、60%という圧倒的多数の株主が反対したにも拘わらず、ノルウェー政府年金基金グローバルは賛成に回ったという。この時点では、同基金は認識が甘かったといえるだろう。BP社は、同時期には最悪の財務損失を出し、数千人規模の人員削減や賃金凍結を実施していた。BPの15の主要株主は同社に対し、株主からの異議が拡大していることに配慮するよう要請し、さらに2017年の総会が開催される前に報酬に関する「過度に複雑な」方針を改めるよう求めた。

 今回のノルウェー政府年金基金グローバルの方向転換は、このBPの経緯が大きく影響したと考えられる。英国経営者協会(Institute of Directors: IoD)の事務局長を務めるSimon Walker氏は、「英国では、もし企業が株主の要請を無視するようなことがあれば、政府が役員報酬について厳しい規制を導入するのは時間の問題だ」とも述べており、今後英米企業の株主総会では経営陣報酬が議論されることが増えていくと予想される。

【参照ページ】Norway’s oil fund joins crackdown on high executive pays after initially refusing to interfere
【参照ページ】BP shareholders revolt against CEO’s £14m pay package

 ノルウェー政府の原油・ガス収入を運用する国富ファンドのGPFGが、投資先企業の株主総会において、経営陣報酬議案に反対票を投じ、報酬の引き下げ圧力をかけていることを、5月1日に複数紙が報じた。GPFGは資産規模7兆4,710億ノルウェークローネ(約100兆円)で、世界最大の国富ファンド。ノルウェー国外のアセットクラスで運用を行っており、投資先企業は75ヶ国9,000社に及ぶ。2015年6月には日本オフィスを開設し、アジアへの投資にも注力している。

 GPFGが経営陣報酬の引き下げを迫っている背景には、米国や英国では経営陣報酬が異常なほど高額になり、企業利益を減少させているという考え方がある。GPFGはこれまで、取締役の選任や取締役会の構成などコーポレートガバナンス事項には積極的に意見を発してきたが、企業報酬に積極的に介入することを避けてきたいた。ところが、ファンド資金がこの11年間で7倍に急増する中、国際的な関心を集める社会格差の問題を前に、企業の経営陣報酬に積極的に介入することは止むを得ないと判断した。一方、GPFGは、スカンジナビア諸国企業に関しては、米英企業と比べ経営陣報酬が大幅に低く、所得格差も遥かに小さいため、問題視しない考えだ。機関投資家が経営陣報酬に反対票を投じる現象は、他にも英国で件数が増えている。

 英国メディアによると、今年4月の、英国を本拠地とするエネルギー関連企業、BPの最高責任者Bob Dudley氏の20%もの昇給をめぐる採決の際に、60%という圧倒的多数の株主が反対したにも拘わらず、ノルウェー政府年金基金グローバルは賛成に回ったという。この時点では、同基金は認識が甘かったといえるだろう。BP社は、同時期には最悪の財務損失を出し、数千人規模の人員削減や賃金凍結を実施していた。BPの15の主要株主は同社に対し、株主からの異議が拡大していることに配慮するよう要請し、さらに2017年の総会が開催される前に報酬に関する「過度に複雑な」方針を改めるよう求めた。

 今回のノルウェー政府年金基金グローバルの方向転換は、このBPの経緯が大きく影響したと考えられる。英国経営者協会(Institute of Directors: IoD)の事務局長を務めるSimon Walker氏は、「英国では、もし企業が株主の要請を無視するようなことがあれば、政府が役員報酬について厳しい規制を導入するのは時間の問題だ」とも述べており、今後英米企業の株主総会では経営陣報酬が議論されることが増えていくと予想される。

【参照ページ】Norway’s oil fund joins crackdown on high executive pays after initially refusing to interfere
【参照ページ】BP shareholders revolt against CEO’s £14m pay package

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 ノルウェー政府の原油・ガス収入を運用する国富ファンドのGPFGが、投資先企業の株主総会において、経営陣報酬議案に反対票を投じ、報酬の引き下げ圧力をかけていることを、5月1日に複数紙が報じた。GPFGは資産規模7兆4,710億ノルウェークローネ(約100兆円)で、世界最大の国富ファンド。ノルウェー国外のアセットクラスで運用を行っており、投資先企業は75ヶ国9,000社に及ぶ。2015年6月には日本オフィスを開設し、アジアへの投資にも注力している。

 GPFGが経営陣報酬の引き下げを迫っている背景には、米国や英国では経営陣報酬が異常なほど高額になり、企業利益を減少させているという考え方がある。GPFGはこれまで、取締役の選任や取締役会の構成などコーポレートガバナンス事項には積極的に意見を発してきたが、企業報酬に積極的に介入することを避けてきたいた。ところが、ファンド資金がこの11年間で7倍に急増する中、国際的な関心を集める社会格差の問題を前に、企業の経営陣報酬に積極的に介入することは止むを得ないと判断した。一方、GPFGは、スカンジナビア諸国企業に関しては、米英企業と比べ経営陣報酬が大幅に低く、所得格差も遥かに小さいため、問題視しない考えだ。機関投資家が経営陣報酬に反対票を投じる現象は、他にも英国で件数が増えている。

 英国メディアによると、今年4月の、英国を本拠地とするエネルギー関連企業、BPの最高責任者Bob Dudley氏の20%もの昇給をめぐる採決の際に、60%という圧倒的多数の株主が反対したにも拘わらず、ノルウェー政府年金基金グローバルは賛成に回ったという。この時点では、同基金は認識が甘かったといえるだろう。BP社は、同時期には最悪の財務損失を出し、数千人規模の人員削減や賃金凍結を実施していた。BPの15の主要株主は同社に対し、株主からの異議が拡大していることに配慮するよう要請し、さらに2017年の総会が開催される前に報酬に関する「過度に複雑な」方針を改めるよう求めた。

 今回のノルウェー政府年金基金グローバルの方向転換は、このBPの経緯が大きく影響したと考えられる。英国経営者協会(Institute of Directors: IoD)の事務局長を務めるSimon Walker氏は、「英国では、もし企業が株主の要請を無視するようなことがあれば、政府が役員報酬について厳しい規制を導入するのは時間の問題だ」とも述べており、今後英米企業の株主総会では経営陣報酬が議論されることが増えていくと予想される。

【参照ページ】Norway’s oil fund joins crackdown on high executive pays after initially refusing to interfere
【参照ページ】BP shareholders revolt against CEO’s £14m pay package