【TED】マイケル・サンデル対マイケル・ポーター 〜社会正義とCSVとは〜

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 今回ご紹介するのは、ハーバード大学の教授で著書『これからの正義の話をしよう』でおなじみのマイケル・サンデル氏と、ハーバード・ビジネス・スクールの教授で、CSVの提唱や著書『競争の戦略』で有名なマイケル・ポーター氏の討論動画だ。  それぞれの主張は同日に開催されたTED「Why we shouldn’t trust markets with our civic life」(マイケル・サンデル氏) およびTED「Why business can be good at solving social problems」(マイケル・ポーター氏) で明らかになっており、世界を代表するマイケル同士の対談とあって注目を集めた。 両者の基本的な立場はこうである。 マイケル・サンデル氏  市場原理がいたるところに登場した結果、現代社会はもはや「市場社会」と化してしまっており、日常に現れる全てのものに値段が付く現状を憂慮すべきだという。  現在たとえば、それが裁判の公聴の整理券獲得のためであれ、テーマパークの順番待ちであれ、お金を払うことで自ら順番を待つ必要はなくなっている。刑務所ですらお金を払うことで部屋をアップグレードできるのだ。  そのような市場社会に我々が不安を感じる理由は以下の2つだとしている。 1.資産の有無による不平等が発生するから 2.市場原理を導入することで物事の本質が失われるから  まず(1)について、お金で手に入るものが贅沢品に限られれば不平等はさして問題でないものの、市場社会においてそれは保険や教育など豊かな生活に不可欠なものにまで顕在化してきている。すべてが自由市場化することは、文字通りお金がモノを言う社会を指し、市民生活に不安感を与えているという。  そして(2)とは、すべてのものに値段がつくことで、それぞれの事柄が持つ意味合いを変えかねないということである。具体的には、成績を向上させることを意図して、子供に「本を一冊読んだら$2」といったモチベーションを与えた場合、目的は成績向上ではなくお金になってしまい、本を読むという行為を完遂するために薄い本を読み出し、結果的に成績は伸びないという。つまり、このようにお金が介在することにより本来的な意味が失われてしまうということが日常生活に現れることを危惧しているというわけだ。 マイケル・ポーター氏  一方、ポーター氏はNGOや慈善活動が社会に与えることのできる規模の小ささに焦点を当て、資本を基に大規模改善を図ることのできる経済主体としての企業の在り方を提唱している。  現在、我々は温暖化や大気汚染など様々な社会問題を抱えている。それに対してNGOらが取り組んでいるが資本規模的に大きな成果を出せずにいるという。そこで同氏が着目したのが、企業の事業活動を通した社会問題解決である。今まで社会問題への取り組みというのは企業にとってコストであり、利益とトレード・オフの関係になる慈善活動としての位置づけに甘んじてきた。しかし、実はこれはトレード・オフでないだけでなく、社会問題に真剣に向き合うことで利益に繋がることがわかってきているという。たとえば労働環境を整え事故発生率を抑えるためにかけたコストは事故による補償や悪評といったコストより低く、これにより「劣悪な労働環境」という問題を解決するといった例がこれに当てはまる。  同氏はこれをCSVと呼び身を切る社会貢献とは別物として紹介している。 (詳細は『【戦略】CSRからCSVへ? 〜CSV、CSR、サステナビリティ、CR、SRの違い〜』へ) 経済的・社会的価値の創造主体としての“ビジネス”を打ちたて、NGOや政府と協力することこそ、これからの社会問題に対峙に必要だという。 両者の問題認識  市場経済の浸食を危惧するサンデル氏と、市場の可能性を標榜するポーター氏。一見すると両者は対立するように見えるが、実はそうではない。  本動画でサンデル氏が言明しているように、同氏が危惧しているのは市場原理が日常生活にまで入り込み、自由市場の下にすべての事柄に値段がつけられる社会であり、市場経済そのものはむしろ【ツール】として利用するべきだとしている。これはポーターが提唱するビジネスによる経済的・社会的価値創造を否定しているわけではない。  もちろんポーター氏が主張する“ビジネス”による社会問題解決とは、市場経済を利用したものであるため、それが市場社会にまで及んでいる場合はサンデル氏に非難されるべき対象になるといえよう。しかし、今回ポーター氏が提唱したCSVとは「日常のすべてのものに値段が付けられた社会」を条件に行われることではなく、社会問題を解決する【ツール】として企業活動という市場経済を利用しているに過ぎない。例えば、サンデル氏は、文化的・精神的なものにまで市場経済という得体のしれないものが一方的に「価格付け」することを大きく危惧している様子があるが、ポーター氏のCSVのもとでは、価格付けとはむしろステークホルダーとの関係性を通じて形成され、その中には社会的価値や環境的価値が含まれていくだけでなく、市民・地域社会の価値観もその中に包摂されていく。企業活動がモチベーションとするコストメリットとは、そのような多様な価値観の中で形成された「価格」によって行われていくため、サンデル氏の懸念は、ポーター氏のアイデアによってむしろ解消していくとも言える。  今回、両者の対談を経て、行き過ぎた市場経済は市民生活を苦しめ得るが、市場経済は上手く使うことで現代社会が抱える問題の解決に寄与し、市民生活の豊かさにも貢献することが改めて明らかになった。「正義とは何か」で著名なサンデル氏との対話によって、CSVの哲学もより磨き上げられたのはないだろうか。

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2015/03/18 事例を見る

【TED】世界を代表するSRI格付会社が語る、サステナビリティ投資の真実

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今回ご紹介するのは、世界を代表するSRI(社会的責任投資)調査・格付会社、RobecoSAMによるサステナビリティ投資の紹介動画だ。”The Truth Behind Sustainability Investing(サステナビリティ投資の隠れた真実)”と題し、人々のサステナビリティ投資に対する誤った考えに一つ一つ回答していきながら、とてもシンプルに分かりやすくサステナビリティ投資のポイントを説明してくれている。 RobecoSAMは1995年に設立されたサステナビリティ投資専門の調査・格付会社で、スイスのチューリッヒに本拠を置き、毎年約2,800社のESG分析に基づきサステナビリティ評価を行っているSRI分野のグローバルリーディングカンパニーだ。同社がS&P Dow Jones Indicesと共に毎年発行している” Dow Jones Sustainability Indices(DJSI:ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)”は世界で最も有名なサステナビリティ・インデックスの一つとして広く知られている。 同社はPRI(責任投資原則)、Eurosif(欧州社会的責任投資フォーラム)、ASrIA(アジア持続可能責任投資協会)、Ceresにも加盟しており、同社が管理・アドバイス、ライセンシングしている上場・非上場企業の資産総額は2013年12月31日時点で約102億USドルに上る。 動画では、サステナビリティ投資の真実は誤った神話により誤解されているとしたうえで、サステナビリティ投資にまつわる代表的な神話として下記3つを挙げ、それぞれのポイントについて反論している。 神話1:サステナビリティ投資はパフォーマンスを犠牲にする 神話2:サステナビリティ投資はニッチなコンセプト 神話3:サステナビリティ投資はフィランソロピーの一種 上記はいずれも根拠がない誤った神話であり、実際にはサステナビリティ投資は投資リターンを最大化する有効な投資手法なのだというのがRobecoSAMのメッセージだ。ここでは動画に沿ってポイントをご紹介していく。 神話1:サステナビリティ投資はパフォーマンスを犠牲にする 投資の世界においては、リスクを分散するためにポートフォリオを組んで分散投資をすることが常識とされている。しかし、サステナビリティ評価に基づき銘柄をスクリーニングすることは銘柄の多様性の削除につながり、結果としてパフォーマンスが落ちるのではないか、という神話だ。 しかし実際には、サステナビリティ戦略を実行している企業はそうでない企業よりも高い投資パフォーマンスを出していることがハーバードビジネススクールとロンドンビジネススクールの研究によって明らかになっており、それはサステナビリティ投資が下記3つにつながることを意味している。 Mitigating Risk:リスクの軽減 Fiduciary Duty:信託義務を果たす Creating Value:全てのステークホルダーに対する価値の創造 神話2:サステナビリティ投資はニッチなコンセプトだ 二つ目の神話は、サステナビリティ投資はニッチなコンセプトであり、真剣な投資家はやらないというものだ。しかし実際には、世界中の人々が、より高い投資パフォーマンスを求めてサステナビリティ投資に取り組んでいる。 米国では、プロの投資家が運用している資産のうち、実に9ドルのうち1ドルをサステナビリティ投資として分類することができる。さらに、スイスだけでも2012年のサステナビリティ投資総額は合計485億フランにも及んでおり、利益は継続的に拡大している。 神話3:サステナビリティ投資はフィランソロピーの一種だ 最後の神話は、サステナビリティ投資は単にフィランソロピーが形を変えただけのもの、という誤解だ。しかし、実際のところは、サステナビリティ投資とは、従来からある財務分析プロセスに、企業のサプライチェーンにおけるリスクや水使用量の削減戦略などのESG(環境・社会・ガバナンス)要因を統合したものであり、株式の持つポテンシャルをより完璧な形で評価しようという試みなのだ。 つまるところ、サステナビリティ投資とはより持続可能な形でリターンをもたらし続けてくれる、一般的な投資手法なのだ。 RobecoSAMは自社のYoutubeチャンネルを通じて上記の動画以外にもサステナビリティ投資に関する様々な動画を公開しており、同社のプロフェッショナルによるインタビュー動画なども数多くあるので、サステナビリティ投資に対する理解を深めたいという方はぜひ見てみてはいかがだろうか? 【Youtube チャンネル】RobecoSAM Webcast 【企業サイト】RobecoSAM

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2014/08/13 事例を見る

【TED】The business logic of Sustainability ~世界を変える方程式~

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今回ご紹介するのは2009年5月に投稿されたTED Talk、 ”The business logic of Sustainability”。スピーカーはInterface社創業者のRay Anderson氏で、TEDのサステナビリティに関する動画の中でも特に心に残るスピーチの一つだ。 Interface社はタイルカーペットで世界No.1シェアを持つ業界のリーディングカンパニーで、製品のデザイン性・革新性だけではなく、サステナビリティ分野の先進企業としても知られている。Anderson氏は1973年に同社を創業し、1994年から本格的にサステナビリティに取り組み始め、今日のInterface社を築き上げた。 このスピーチでは、ある本をきっかけにサステナビリティの重要性に気づき、早くから積極的に取り組み始め、サステナビリティの追求とビジネスの成功の双方を実現した同氏のこれまでのストーリーが紹介されている。また、その過程で同氏が考案した独自のサステナビリティ理論も紹介されており、全てのCSR関係者や企業経営者にとって必聴の内容となっている。 Anderson氏がサステナビリティの重要性に気づいたきっかけは、1994年の夏にPaul Hawken氏の ”The Ecology of Commerce” という本を読んだときだ。Hawken氏は同書の中で、企業および産業界はバイオスフェア(生物圏)衰退の原因となる主たる犯罪者であり、また人類をその窮地から救い出すことができる力を持つ唯一の存在でもあると主張した。 Anderson氏にとってみれば、同書の内容はカーペットタイル産業で大きな成功を収めてきた自身のことを地球の略奪者であると責め立てられ、有罪宣告されたも同然だった。 「もしHawkenの言うことが正しいなら、企業や産業界は、自分たちの力を使って地球をこの窮地から救いださなければならない。それでは、誰がそれを先導するのか。誰かが先頭に立って取り組まない限り、きっと誰もやらないだろう。」 そう考えた同氏は、Interface社とともに自社がその役割を果たすことを決意した。このときから、同氏のサステナビリティへの長い挑戦が始まることになる。 同氏はスピーチの中で、Paul R. Ehrlich氏とAnne H. Ehrlich氏(夫妻)が提唱した環境への負の影響に関する下記の有名な方程式を紹介している。 I:Environmental Impact(環境への負の影響) P:Population(人口) A:Affluence(豊かさ) T:Technology(技術) P(population)は「人口」を指し、A(Affluence)は「豊かさ」、そしてT(Technology)はそれを実現するための「技術」を指す。この方程式はあくまで主観的なもので、特に技術については定量化がとても難しい要素であり、あくまで概念的な式ではあるものの、私たちが問題を理解する上ではとても役に立つ方程式だ。 しかし、上記の方程式では、Technologyが発展すればするほど、Impact(環境への悪影響)が増えてしまうことになる。そこで同氏は、Interface社においてEhrlich夫妻の方程式を下記のように書き換えられないかと考えたという。 「Impactを減らすことができるように、Technologyを分母に置くことはできないものか?」同氏はこう考えたのだ。最初の方程式のTechnologyをT1と呼ぶならば、分母に置き換える新しいTechnologyはT2だ。 同氏は、最初の産業革命の特徴はT1であり、まさに同氏がInterface社で取り組んできたこともT1であったと前置きしたうえで、T1は下記の特徴を持っていると考えた。 Extractive(採取する):地球の資源から原材料を取り出す Linear(直線的な):Take 取り出す → Make 作る → Waste 浪費する Wasteful(浪費的な):労働生産性の重視 限りある地球の資源から原材料を取り出し、それをもとに化石燃料の力で製品を大量に生産し、大量に消費する。そしてそのプロセスは直線的で循環することがない。また、「1人が1時間をかけてどれだけ多くのカーペットを作れるか」といったような労働生産性に重きが置かれており、それが結果として浪費につながっている。これが、T1の特徴だ。 同氏は、Technologyを分母に置き換える(T2)ためには、新たな産業革命としてそれぞれの特徴を下記のように移行する必要があると説明している。 Extractive(採取する)→ Renewable(再生可能な) Linear(直線的な)→ Cyclical(循環する) Wasteful(浪費性)→ Waste-free(浪費なし) 化石燃料エネルギーを太陽光など再生可能エネルギーに置き換えることでRenewableかつCyclicalなものにし、労働生産性(Labor Productivity)は資源生産性(Resource Productivity)に置き換えることで浪費をなくすことができるという。 同氏は、もし我々がT1を完全にT2へと移行することができれば、環境への負の影響をゼロにすることもできると考えているという。そしてそれが1995年にはInterface社の具体的な計画となり、それ以来、2020年までにゼロ・インパクト、ゼロ・フットプリントを達成するという ”Mission Zero(ミッション・ゼロ)” としてこの計画は現在にいたるまで続いている。 同氏によれば、Interface社は過去12年間で温室効果ガスの排出量を82%削減し、同時に売上は3分の2も増え、利益は倍になったとのことだ。82%という数字は、売上に対する温室効果ガス排出量で見れば90%の削減に相当する。 また、同社は2004年以降、実に約71万?に相当する気候ニュートラルのカーペットを販売した。これはカーペット製造のサプライチェーン全体を通じて気候変動に対する悪影響が全くないことを意味しており、独立した第三者認証も受けている。同社はこれを”Cool Carpet”と呼んでおり、このCool Carpetが市場における強力な差別化要因となり、売上と利益を伸ばしてきたという。そして2006年には”Flor”というブランドで家庭向けのカーペットタイルの販売を開始している。 Interface社が掲げる ”Mission Zero” は、2009年時点ではまだその目標の半ばを少し超えたところだ。しかし同氏は、この ”Mission Zero” は優れたビジネスモデルを作り出し、大きな利益を生み出す方法として機能し、自社の事業に対して信じがたいほどの好影響をもたらすことに気づいたという。 サステナビリティの追求によって同社のコストは上がるどころか大きく下がり、浪費ゼロを追及した結果、約4億ドルのコスト削減に成功した。また、サステナビリティを追求したデザインによって同社の製品はかつてないほど優れたものになり、予期しえないようなイノベーションの源泉となった。 Interface社の崇高なビジョンは人々を刺激し、多くの人々を惹きつけ、市場から大変な好意を持って受け入れられた。同氏によれば、どれだけ大量の広告を出しても、どれだけ優れたマーケティングキャンペーンを考えたとしても、どれだけ費用をかけたとしても、この信用を作り出すことはできないという。それを可能にするのは、崇高な理念のもとにサステナビリティが統合された、優れたビジネスモデルだけなのだ。 実際にスピーチ内で紹介されている1994年?2007年までの過去14年間のInterface社の売上・利益推移グラフを見てみると、同社の業績は安定的に右肩上がりで伸びていることがよく分かる。2001年?2003年までの3年間は売上が一時的に17%落ち込んでいるが、この間、市場全体は36%も落ち込んでおり、この3年間で同社はさらに市場シェアを確保したところを意味している。 “Mission Zero” を掲げてサステナビリティに本格的に取り組みはじめて以来、実際に業績も好調を維持しているのだ。 しかし、全ての企業がInterface社のやり方を見習えば問題はすべて解決できるかというと、そうではないと同氏は言う。Ehrlich夫妻に独自の修正を加えた方程式にもまだ問題は残っているというのだ。ここでもう一度、Anderson氏が提唱したT2の方程式を見てみよう。 上記の方程式では、A(Affluence:豊かさ)は資本としての豊かさを意味しており、それ自体が目的になってしまっている。しかし、この方程式を更に修正し、下記のようにしたらどうだろうか、というのが同氏の提案だ。 I:Environmental Impact P:Population a:Affluence T2:Technology of the Future H:Happiness(satisfying all basic human needs) Aを小文字のaに置き換え、aは目的を達成するための手段だと考えたらどうだろう。ここでいう目的とは、Happiness(幸せ)のことである。Happinessを最大化するための手段としてのaffluence(豊かさ)を追求することで、Impactを小さくできないか、というのが同氏の提案だ。 上記の方程式にあてはめて考えてみると、より少ないAffluenceでHappinessを最大化できればできるほど、最終的なImpactは小さくなることが分かる。その逆に、Affluenceが増えたとしても、Happinessが増えない、もしくは減ってしまうのであれば、最終的にImpactを下げることは難しい。 この新たな方程式は、文明社会そのもの、現在の経済システム全体を再構築するということを意味する。同氏の表現を借りるならば、これは”Finite Earth(限りある地球)”のうえで”Infinite Future(永遠に続く未来)”を実現するための方程式なのだ。 Ray Anderson氏は、スピーチの最後に、一つの印象深いストーリーを私たちにしてくれた。それは、「企業や産業界がバイオスフィアの衰退をこのまま無視し続けたら、その結果として受け入れがたい危機に直面するのはいったい誰なのか?」という問いだ。 2020年の ”Mission Zero” に向けて長い山を登り始めたばかりの1996年3月のとある火曜日の朝、同氏はカルフォルニアでいつものようにミーティングをしていた。そしてアトランタに戻った約5日後に、そのミーティングに参加していたうちの一人、Glenn Thomasから、あるE-mailを受け取った。Glennのメールには、彼が火曜日のミーティング後に書いたオリジナルの詩が書かれていた。その詩を読んだときが、同氏の人生の中でもっとも感極まった瞬間だったという。そこには、上記の問いに対する答え、”Tomorrow’s Child” について書かれていた。GlennがAnderson氏に向けて書き綴った詩を紹介する。 Tomorrow's Child © Glenn Thomas Without a name; an unseen face and knowing not your time nor place Tomorrow’s Child, though yet unborn, I met you first last Tuesday morn. A wise friend introduced us two, and through his sobering point of view I saw a day that you would see; a day for you, but not for me Knowing you has changed my thinking, for I never had an inkling That perhaps the things I do might someday, somehow, threaten you Tomorrow’s Child, my daughter-son I’m afraid I’ve just begun To think of you and of your good, Though always having known I should. Begin I will to weigh the cost of what [...]

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2014/04/16 事例を見る

【TED】サステナビリティにゲーミフィケーションを掛け合わせたスイスのスタートアップのアイデアとは?

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今回ご紹介するのは、ゲーミフィケーションの手法を取り入れたユニークなオンラインサステナビリティプログラムを開発しているスイスのスタートアップ、WeActの共同創業者の一人、Christian Kaufmann氏によるプレゼンテーション。同氏はスイスのローザンヌ大学で経営戦略を学んだ後、クレディ・スイス、アップル、マッキンゼーを経てWeActに参画しており、同社では事業開発と営業を担当している。「オンライン」×「サステナビリティ」×「ゲーミフィケーション」という切り口から世界を変えるためのプログラムを開発している同社のアイデアは、まさに"Idea worth spreading(広める価値があるアイデア)"というTEDの趣旨そのものだ。2050年には人口が90億人を超えると推計されており、かつて途上国と言われた国々も急激な経済成長により大きく生活水準を向上させている現在において、いくら需要が増えようとも地球の資源に限りがあることを考えれば、サステナビリティは非常に重要な概念であり、我々は現在の生活スタイルや消費行動をよりサステナブルな形へと変える必要があるという考えに誰も異論はないだろう。しかし、誰もがサステナビリティは非常に重要な概念だと分かっていながら、実際には知識と行動の間に大きなギャップがあるのもまた事実だ。同氏によれば、人が変化を拒むのには心理的な要因があり、人々の習慣を変えるためには、下記5つのステップが必要だという。レベル1:Sharing Information(情報を得る)レベル2:Building Understanding(状況を理解する)レベル3:Identfying Implications((自分への)影響を明確にする)レベル4:Gaining Commitment(変わることをコミットメントする)レベル5:Altering Behavior(実際の行動を変える)まずは情報を得たうえで状況を正しく理解しようと努め、さらにそれが自分にとってどのような意味を持つのかを認識し、変化したいという思いからコミットメントし、実際に行動を変えていくというプロセスだ。このプロセスを経て初めて人は行動習慣を変えることができる。しかし、実際にはレベル2とレベル5の間には大きなギャップが存在している。そのギャップを埋めるために同氏が取り入れたのが、Gamification(ゲーミフィケーション)という手法だ。ゲーミフィケーションという言葉はインターネットやゲーム業界の方以外にはあまり馴染みがないかもしれないが、同氏の説明を借りれば、"Gamification:game elements in non game contexts(ゲームの要素をゲーム以外の環境に取り入れること)"を指す。ゲームには人々を楽しませ、夢中にさせ、達成感をもたらす力があるが、そのゲームが持つ力をサステナビリティ活動に取り入れることで目標を達成しようというのが同氏の提案だ。サステナビリティの実現にゲーミフィケーションを用いた事例として同氏が紹介しているのが、"Bottle Bank Arcade"というプロジェクトだ。これはゲーミフィケーションのアイデアとして有名な事例の一つだが、ゴミを分別するという面倒な作業にゲーム性を持たせ、ボトルをタイミングに合わせて指定された穴へ投げ入れることでポイントが稼げるという仕掛けを用意することで、人々に楽しみながらゴミの分別をさせているゴミ箱だ。 同氏は、ゲーミフィケーションのためのメカニズムとして、「ポイント」、「レベル」、そしてそれらを他者と比較し、競争し、モチベーションが喚起されるように「見える」状態にしておくこと、という3つのポイントを挙げている。これらの要素を取り込んで生まれたのが、WeActというプロジェクトだ。WeActは、2010年に当時ETH(スイス連邦工科大学)でワークショップに参加していたPrisca Muller氏、Majka Baur氏という2人の女子学生が主体となって始まった。このワークショップのゴールは、キャンパスのエコロジカルフットプリントを減らすための新たな方法を見つけるというものだった。通常であれば工科大学ならではの技術的な解決法を考えるところだが、彼女たちは違った。彼女たちは、キャンパスのエコロジカルフットプリントを減らすためには人々の日常生活に小さな変化を起こす必要があり、そのために彼らをどう動機づけるかが重要だと考えていた。そして、動機づけのために彼女達が必要だと考えたのは下記3つの要素だ。一人ではなく、グループで取り組むべき退屈な取り組みではだめで、楽しめるものにするべきできる限り多くの人に参加してもらうそして彼女たちは、2を実現するためにゲーミフィケーションを用い、3を実現するためにオンラインプラットフォームを活用してプロジェクトを実施することにした。これが、WeActの始まりだ。同プログラムでは、参加者の学生たちはチームを組み、自転車を利用する、リサイクルに取り組む、電気を消す、ローカルフードを購入する、ベジタリアンのランチを楽しむ、といった日々の簡単な行動でポイントを稼げるようにした。そして、稼いだポイントはオンラインプラットフォーム上で誰もが見ることができ、チーム内や他チームと比較することができるようになっている。このゲームに、参加者は夢中になって多くの時間を費やした。中にはゲームに勝つために3週間もベジタリアンの生活を続けた5人の男子チームや、ポイントを稼ぐために自転車を購入したチームもあったという。こうして、学生たちはいつのまにか新しいサステナブルな生活習慣を身につけることに成功した。ETHでは数年間で5回プログラムを実施し、合計で1200人以上の学生がこのプログラムに参加した。同氏によれば、この取り組みのもっとも良かった点は、強制されたものではなく、参加者は自主的に参加した点だという。プロジェクトは他大学にも広められ、ケンブリッジ大学では190人の生徒が参加したという。そして同氏はこのWeActの取り組みを更に拡大し、持続可能なものにするために、Prisca氏やMajka氏らとともに同プロジェクトに100%コミットメントすることを決め、新たなビジネスモデルを作り上げ、企業へのアプローチを開始した。企業のサステナビリティを支援し、従業員のモチベーション、サステナビリティに対するエンゲージメントを高めるために同プログラムの提供を始めたという。そして、同プレゼンの前日には新たに会社を組織したとのことで、同社は非営利と営利のハイブリッドな体制となっており、非営利プログラムの資金を生むための営利事業を展開していくという。今後は企業だけではなく地方自治体や一般人も対象としていくとのことだ。個人も企業も同様に、サステナビリティの重要性は強く認識していながらも、いざ実際に日々の活動にサステナブルな要素を取り入れていくのはなかなか難しいものだ。その知識と行動のギャップを埋めるための手法としてゲーミフィケーションを用い、デジタルネイティブ世代ならではの価値観でオンラインプラットフォームという新たなソリューションを作り出したChristian氏らの取り組みは非常にユニークで、今後の成長がとても楽しみだ。同氏がプレゼンの最後に引用しているアメリカの歴史家、ハワード・ジンの"Small acts, when multiplied by millions of people, can transform the world.(たとえ小さな行動でも、それがたくさん集まれば、世界は変えられる。)"という言葉の通り、サステナビリティは最終的には一人ひとりの行動の変化なくしては実現できない。そしてそれを実行するもっとも優れた方法は楽しめる方法でやることだという同氏の提案は、サステナビリティ活動そのものにサステナビリティがないという、よく起こりがちな問題を解決しうる、非常に本質的なアイデアだ。WeActは、サステナビリティへの取り組みを"Have to do(しなければいけないこと)"から"Want to do(したいこと)"へと変える力を持っている。【企業サイト】WeAct

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2014/04/02 事例を見る

【TED】ESGと利益は両立する。サステナビリティ投資論。

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今回ご紹介するのは、TEDのサステナビリティに関する最新トーク、"The investment logic for sustainability(サステナビリティ投資論)"。TEDでは定期的にサステナビリティに関するプレゼン動画がアップされており、サステナビリティ分野における先駆者たちのプレゼンテーションから学べることは非常に多い。 今回のプレゼンターは、米国のボストンに本社を置く資産運用会社、State Street Global AdvisorsでESG投資部門のトップを務めているChris McKnett氏。McKnett氏の一番の主張は、ESGへの取り組みと利益の創出は決してトレードオフではなく、"compatible"(両立できる)な関係だという点だ。 同氏によれば、投資家は、投資判断をする際に財務要因だけではなくESG要因を含めることが重要だと言う。 動画の中では、その具体的な事例としてMSCI World(モルガン・ スタンレー・キャピタル・インターナショナル・ワールド)指数のチャートが挙げられている。グローバル大手企業500社のパフォーマンスと、気候変動戦略とリスクマネジメントにおいて優れた取り組みをしている企業のパフォーマンスを比較すると、8年以上に渡って後者のほうがパフォーマンスが良いというのだ。 McKnett氏も述べている通り、これはあくまで相関関係であって因果関係ではない(ESGへの取り組みが利益をもたらしているとは断定できない)が、少なくともESGへの取り組みにおいてリーダーシップを発揮することと利益を出すこととは矛盾しないということを示している。 また、McKnett氏の所属するState Street社では、自社システムのクラウド環境への移行や仮想化により年間で2,300万ドルのコスト削減と10万トン(自動車21,000台分)のCO2排出量削減に成功したという事例や、米国のコングロマリット企業Pentairが、10年前に自社のコアビジネスを電動工具から水ビジネスへと切り替えたという事例など、ESGへの取り組みが利益に直結した事例を挙げている。 中でも興味深いのは、資産運用の世界でもESG運用が進んでいる事例として挙げられている下記2つの年金基金だ。 Hesta(Health Employees Superannuation Trust Australia):オーストラリアの年金信託。運用額は220億ドル。 CalPERS:カルフォルニア州の職員退職年金基金:運用額は2440億ドルで全米2位、世界第6位の規模。 オーストラリアのエコファンドとして有名なHestaは、ESGがリスクとリターンにもたらす影響を非常に重視しており、ESG指標を投資プロセスの核に位置づけている。また、世界第6位の運用額を誇るカルフォルニアのCalPERSも、運用額の100%をサステナブル投資にあてている。 年金ファンドのように長期運用を前提とする資産運用の場合は、ESGパフォーマンスが高い銘柄を中心に構成するサステナビリティ投資との相性がより高いと言える。 McKnett氏によれば、今後のサステナビリティ分野の鍵を握るのは、こうした機関投資家だという。なぜなら、機関投資家は莫大な資産を持っているからだ。現在、グローバルでみると株式市場は55兆円、債権市場は78兆円あり、合わせて約133兆円の資産が運用されている。これは世界最大のGDPを誇るアメリカの経済規模の約8倍半にあたるとのことだ。 これらの莫大な資金がサステナビリティ分野への投資に向かっていき、積極的にESGに取り組む企業により潤沢な資金と利益が生まれる循環を作ることができれば、大きなインパクトをもたらせるはずだ。 動画内で紹介されている通り、今グローバルでは多くのCEOがサステナビリティへの取り組みを"important(重要なこと)"ではなく"crucial(決定的に重大なこと)"だと考え始めている。既に80%以上のCEOはサステナビリティがビジネスの成功をもたらすイノベーションの根源であり、競争優位につながると考えており、93%がESGは社会と自社の未来にとって重要だと考えている。 機関投資家や経営者の意識が変わり始めていることはサステナビリティ分野の将来にとって非常に明るい材料であり、日本企業も負けずにグローバルに広がる新たなチャンスを手にしたいところだ。 最後に、McKnett氏が動画の後半部分で紹介している米国35代大統領、John F. Kennedyの名言を紹介しておく。 "There are risks and costs to a program of action, but they are far less than the long-range risks and costs of comfortable inaction.(行動にはつねに危険や代償が伴うものだ。しかしそれらは、行動せずに楽を決めこんだときの長期的なリスクやコストと比較すれば、取るに足らないものだ。)" 【TED】Chris McKnett: The investment logic for sustainability 【企業サイト】State Street Global Advisors

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2014/02/17 事例を見る
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