【国際】Natural Capital Coalition、自然資本プロトコル原則・フレームワークの草案を公表

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 自然資本会計に関する国際基準作りを進めるNatural Capital Coalition(以下、NCC)は7月16日、来年に予定されている自然資本プロトコル(Natural Capital Protocol)の公表に先立ち、パートナー企業からの同プロトコルに対する期待やプロトコルから得られる利益などについてまとめた報告書、"Natural Capital Coalition Business Engagement Partner Interview Report"および、プロトコルの原則およびフレームワークのドラフトバージョン"Natural Capital Protocol Principles and Framework"を公表した。自然資本プロトコルの策定における重要なマイルストーンが示された形だ。  同報告書では世界各地の15業界を代表する幅広い企業からのプロトコルに対する期待や意見がまとめられているほか、自然資本プロトコルをスムーズに適用し、効果的に活用する上で重要となる8つの要因が挙げられている。また、同報告書から得られた洞察は同日公表された自然資本プロトコルに関する原則およびフレームワークの草案にも反映されている。同フレームワークは自然資本評価を実施する際の4段階、10の論理ステップを設定している。なお、同報告書は業界別の洞察も提供しており、それらは2016年に公表予定の食品・飲料業界、アパレル業界向けフレームワークに反映される予定だ。  NCCのエグゼクティブ・ディレクターを務めるMark Gough氏は「本日の報告書および草案の発表により、我々はこのプロトコルの開発に向けてより幅広いエンゲージメントプロセスを開始する予定だ。NCCは協働によってソリューションを作り出し、コンセンサスを築き上げ、そして我々の自然環境との関わり方を変えうるアプローチによって推進力を生み出していく」と語った。  NCCは次なるマイルストーンとして国際プロトコルのパイロット版の運営を2015年10月から翌年2月にかけて実施する。パイロット版は今年の11月に開催されるWorld Forum for Natural Capitalにて発表予定の広範なコンサルテーションプロセスにより支援される。現在130を超える会員おび150社がNCCのCoalition Business Engagement Programに参画しており、自然資本プロトコルの完成に向けた動きは加速している。 【レポートダウンロード】Natural Capital Coalition Business Engagement Partner Interview Report 【ドラフトダウンロード】Natural Capital Protocol Principles and Framework 【参考サイト】The Natural Capital Protocol 【参照リリース】A route through the complex world of Natural Capital 【団体サイト】Natural Capital Coalition

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private 【レポーティング】サステナビリティ(CSR)報告ガイドラインを主導するグローバル機関

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(図)サステナビリティ報告ガイドライン カオスマップ。Sustainable Japan作成。 複雑化するサステナビリティ(CSR)ガイドライン  サステナビリティ報告やCSR報告を担当する方々からよく受ける質問があります。「一体、どのガイドラインを参照すれば良いのか」。実はこの種類の問いは非常に回答に窮します。もちろん、有名なガイドラインはあります。例えばGRI、サステナビリティ報告についての包括的なガイドラインと言っても過言ではなく、先進国・新興国問わず世界中で参照されています。しかしながら、当サイトSustainable Japanでは日々GRI以外の多の多くのガイドラインについてもご紹介をしています。ISOが定めたISO26001、温室効果ガス算出方法で有名なガイドラインのCDP、紛争鉱物報告ガイドラインを制定しているcfsi、財務情報と非財務情報の統合を試みる<IR>などなど。これらのガイドラインを全体として公式に統括する機関は今のところ存在していません。それぞれの機関はお互いに連携をしつつも、独立した動きを見せ発展してきています。こうした体系的に整理されずにルールやガイドラインが増殖していく動きは、中央政府の省庁が一元的にルールを管理する傾向の強い日本にはあまり馴染みのない状態です。整理されないルール増殖というのは悲観すべきなのかもしれませんが、それだけ今サステナビリティ報告や非財務情報報告の領域は急速に発展してきていることの証左でもあります。産業革命やIT革命の際に数多の技術が一度に勃興してきたように、サステナビリティや企業情報開示の分野も今まさに革命期にあると言うことができるでしょう。正直、この領域の専門家でない限り、全ての動きに日々目を向けていくのは非現実的です。ですので、今回は、いまこうしてますます複雑化していくサステナビリティ報告ガイドラインの状況を俯瞰的にまとめてお伝えしていきます。 GRI 〜サステナビリティ報告ガイドラインの中心的存在〜  GRIとは (more…)

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2015/04/28 体系的に学ぶ

【日本】「非財務情報開示の最先端の動向を探る」セミナー、CSR担当者ら高い関心

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 生物多様性・CSRコンサルティングを手がけるレスポンスアビリティは4月15日、自然資本会計を推進する英国Trucost社およびインドのサステナビリティコンサルティングGIST Advisory社と共同で「非財務情報開示の最先端の動向を探る」セミナーを開催した。  非財務情報開示については既に海外ではEUを中心に以前から多くの取り組みが行われていたが、2013年には統合報告フレームワーク推進団体のIIRCが<IR>>レームワークを公開、2014年9月にはEUが大企業に対して非財務情報の開示を義務付ける指令を承認、12月から施行するなど、財務・非財務の統合開示が徐々にグローバルスタンダードとなりつつある。  また、日本でも2014年2月に金融庁が「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫を公表し、3月には金融庁と東証がコーポレートガバナンス・コード原案を公表するなど、非財務情報開示に関する動きが活発化しつつある。  このように非財務情報の開示に関する関心が高まる中、セミナー当日は大手企業を中心に60名を超えるCSR担当者と機関投資家が集まり、海外から参加した専門家らの講演に熱心に耳を傾けた。  第一部では、レスポンスアビリティの代表を務める足立氏が「非財務情報開示が求められる背景」について講演を行った。足立氏は、財務情報とは違い環境や社会といった非財務情報は自社だけではなくサプライチェーンまで報告範囲が求められているとしたうえで、サプライチェーンの水使用効率が高い食品企業はそうでない企業と比較して株価パフォーマンスが高くなっているデータ事例などを挙げながら、非財務情報と財務実績との相関が明らかになってきており、企業の長期的な成長性、収益力を判断するためには非財務情報が不可欠になってきていると強調した。  また、日本ではしばしば混同されがちなESG投資とSRI投資の違いについても説明し、社会的責任を果たさない企業を投資対象から省くネガティブ・スクリーニングなどを含むSRIの概念とは異なり、ESG投資はむしろ「デューデリジェンス」だと説明した。さらに、このように非財務情報開示に対する需要が高まる中、それらの情報を適切に評価、開示するための手法として「自然資本会計」の考え方を紹介した。  続く第二部ではTrucost社のTom Barnett氏が登壇し、「自然資本評価の最新動向」について講演を行った。Barnett氏は自然資本の考え方について紹介すると共に、企業はモノの生産やサービスの提供を通じて環境汚染や生態系の破壊などの外部不経済を引き起こしており、財務資本を増加させる一方で自然資本を減少させているという現状について説明した。同氏は、干ばつの影響による綿価格の上昇がアパレル企業の収益を圧迫している事例などを紹介しながら、こうした外部不経済から生まれる「隠されたコスト」は最終的には企業のコストとなって跳ね返ってくるものだと語った。  また、現在ではこうした外部費用の内部化に向けて「規制や基準」、「市場力学」、「ステークホルダーの活動」という3つのアプローチにより外部費用が企業価値に反映されるようになってきており、企業はそれらのリスクを回避し、機会とするために自然資本会計を導入する重要性が高まってきていると強調した。  そして第三部では、GIST AdvisoryのPavan Sukhdev氏が登壇し、「統合報告とESG投資の機運の高まり~欧州を中心に~」について講演を行った。Sukhdev氏は昨年施行された非財務情報の開示を義務付けるEU指令について触れ、対象企業のバリューチェーンの中には日本企業も含まれるため、同指令はEUだけではく日本にとっても大きな関係があると語った。  また、EUだけではなくシンガポール証券取引所(SGX)も非財務情報開示に関するガイドライン策定を進めており、2017~2018年までにはSGXに上場する約800企業にも義務化が予想されるとし、アジアでも同様の流れが進んでいることを強調した。さらに、同氏は統合報告の事例として人的資本の外部費用を測定しているインドIT大手のインフォシス・リミテッド社の事例や、財務利益の推移だけではなく従業員や顧客、地域社会など各ステークホルダーに対する利益の推移も公表している南アフリカ銀行大手のネドバンクグループの事例などを紹介し、参加者の関心を集めていた。なお、事例で紹介された人的資本および社会資本の外部費用の測定はGIST AdvisoryとTrucostが共同で開発した手法によるものであるが、日本企業へは今後、レスポンスアビリティを通じて提供されるという。  今回レスポンスアビリティとセミナーを共催したTrucost社、GIST Advisory社はいずれも自然資本会計に関する国際基準の策定を進めるNatural Capital Coalitionに参画しており、GIST AdvisoryはWBCSDやPwCらとともに企業が活用可能な実用的な自然資本評価のフレームワークの開発に、TrucostはIUCNやEYらと共にフレームワークのパイロットテスト実施、サポーティングガイドの策定にそれぞれ取り組んでいる。  Natural Capital Coalitionは2016年6月に自然資本評価に関する国際フレームワーク、Natural Capital Protocol(自然資本プロトコル)の全世界公開を目指しており、現在セクター別のガイド策定などに取り組んでいる。参加団体にはアディダスやコカ・コーラなどの大手企業、世界銀行、CDP、WBCSD、GRI、BSRなどの専門機関、WWF、WRIなどのNGOなどサステナビリティに関わる先進組織らが名を連ねている。TrucostのBarnett氏は、プロトコルへの参画はコストや負担も少なく最新の事例も入手できるので、ぜひ日本企業もパートナー企業として参画してほしいと呼び掛けた。  セミナー終了後、Barnett氏は非財務情報開示における日本企業の取り組みについて「日本企業は今回のセミナーのように非財務情報に対してとても関心が高いと感じているが、一方で、日本の外で与えているインパクトに対する意識はまだ低いと感じる。原材料がどこから来ているのか、自社の事業がサプライチェーンを通じて日本の外にどのような影響を及ぼしているのかなどについてより意識を向けるとよいと思う」と語った。  環境や社会といった非財務情報の場合、財務情報とは違い、自社だけではなく自社のサプライチェーン、場合によってはバリューチェーン全体に関わる情報を把握し、リスクや機会、自社が与える影響を特定する必要がある。法規制やNGOからの圧力などを通じて非財務が財務に与えるインパクトが高まり、外部不経済の内部化がますます進行している現在においては、非財務情報の適切な把握および開示が企業価値に大きく影響する可能性が高まっている。しかし、実際にはそうした非財務資本を定量的に把握し、実務レベルで落とし込んでいくには課題も多いのが現状だ。その解決策の一つとして活用できるのが、Trucost社が推進する自然資本会計という考え方だ。興味がある方はぜひ一度、導入を検討してみてはいかがだろうか。  なお、レスポンスアビリティ社では、サプライチェーンにおける負荷を確実に管理するための手法である「持続可能な調達」の導入方法を紹介するために、4月21日(火)には「実践! 持続可能なパーム油調達セミナー」を開催予定なので、興味がある方はこちらから。 【企業サイト】Trucost 【企業サイト】GIST Advisory 【企業サイト】レスポンスアビリティ 【参考サイト】Natural Capital Coalition

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