【国際】100社以上の機関投資家、銀行・証券世界大手60社に対し気候変動対応情報開示を要請

Facebook Twitter Google+

   英ESG投資推進NGOのShareactionと米運用会社ボストン・コモン・アセット・マネジメントは9月14日、世界の大手銀行・証券会社60社のCEOに対して気候変動対応に関する情報開示を要求する書簡送付をとりまとめた。書簡送付には、年金基金等アセットオーナーや運用会社、財団等、機関投資家100社以上が参加した。参加した機関投資家の運用資産総額は1.8兆米ドル(約200兆円)。  書簡の内容は、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言したフレームワークに言及し、銀行・証券会社に対し、取締役会や経営陣が、「気候変動に関する戦略と実施」「リスク評価と管理」「低炭素製品とサービス」「政策エンゲージメントと他者との協働」の4つを情報開示することを要請した。  当社がShareactionに取材した結果、書簡が送付された銀行・証券会社が判明した。米JPモルガン・チェース、米バンク・オブ・アメリカ、米シティグループ、米ウェルズ・ファーゴ、米ゴールドマン・サックス、米モルガン・スタンレー、米MUFGユニオン・バンク、英HSBCホールディングス、英バークレイズ、英ロイズ・バンキング・グループ、英ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、英スタンダード・チャータード、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、野村ホールディングス、オリックス、独ドイツ銀行、スイスのUBS、クレディ・スイス、仏BNPパリバ、仏ソシエテ・ジェネラル、仏クレディ・アグリコル、仏ナティクシス、蘭INGグループ、加トロント・ドミニオン銀行、加カナダ・ロイヤル銀行、加カナダ帝国商業銀行、、豪ANZ銀行、オーストラリア・コモンウェルス銀行、豪ウエストパック銀行等、中国の中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、印インドステイト銀行、伯イタウ・ウニバンコ・ホールディング等  一方、書簡送付に参加した機関投資家には、ボストン・コモン・アセットマネジメント、AVIVA Investors、ハーミーズ・インベストメント・マネジメント、NNインベストメント・パートナーズ、エイゴン・アセット・マネジメント、Royal London Asset Management、AGF Investments、Walden Asset Management、Trillium Asset Management、Domini Impact Investments等運用会社の他、欧米のキリスト教系年金基金や財団が多い。欧米ではキリスト教系年金基金や財団に多くの資金が集まっており、無視できない存在。 【参照ページ】A hundred investors with assets totalling nearly $2 trillion call on world’s largest banks to disclose climate-related financial information

» 続きを読む

private 【国際】S&P、TCFDの気候関連財務情報開示ガイドラインと信用格付の関連について見解発表

Facebook Twitter Google+

 信用格付世界大手S&Pグローバル・レーティングは8月16日、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が推奨する情報開示と同社が行う信用格付の関連性に関してコメントを発表。将来的にTCFDの情報開示が信用格付に反映される可能性を示唆した。  同社は、 (more…)

» 続きを読む

【スイス】大手年金基金・保険会社、投資ポートフォリオの2℃目標遵守度合いをチェック。TCFDの影響

Facebook Twitter Google+

 金融業界の気候変動対応を促す国際イニシアチブ2° Investing Initiative(2°ii)は、スイスの年金基金と保険会社に対し、投資ポートフォリオの状態を、パリ協定で合意に至った2℃目標の観点から査定するプログラム「Climate Alignment Pilot Tests」が順調に進んでいると報告した。  同プログラムは、スイスの大規模機関投資家である年金基金と保険会社を対象に、株式と債券のポートフォリオの構成を、2℃目標の観点から査定するプログラム。参加は任意だが、スイス政府の財務省国際金融担当事務局と連邦環境・運輸・エネルギー・通信省連邦環境局がプログラムを支援しているため、参加する機関投資家が増えている。今日までに、スイスの年金基金と保険会社の運用資産総額の約3分の2を占める80社(総資産額2,900億スイスフラン)がプログラムに参加しているという。スイスでは、年金基金が分散しており、保険会社と合わせ1,500社があると言われているが、とりわけ大手を中心に参加が進んでいる。  同プログラムでは、機関投資家が、投資ポートフォリオの株式及び債券構成銘柄と投資額のデータを提供すると、2° Investing Initiativeが無料で、2℃目標への遵守度合いを査定してくれる。結果は、データを提出した機関投資家のみにフィードバックされる。また参加企業のデータ全体を用いた傾向は、スイス政府に分析レポートが提出され、スイス政府はそれをもとに金融機関の環境規制を検討してく予定。  同プログラムが、既存のポートフォリオのカーボンフットプリント測定と異なる点は、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のガイドラインに基づき、2℃目標と照合したシナリオ分析を行い現状を査定する点にある。この手法ではすでに世界全体で機関投資家100社以上が分析を行っているが、そのうちスイスの年金基金と保険会社が80社を占めており、スイス政府が後押しする同プログラムの影響が非常に大きいことが伺える。 【プログラム】Climate Alignment Pilot Tests 【レポート】CLIMATE COMPATIBILITY ASSESSMENT SWISS PILOT TESTS 2017

» 続きを読む

【国際】保険規制当局「持続可能な保険フォーラム(SIF)」、TCFDガイドラインを支持

Facebook Twitter Google+

 国連環境計画(UNEP)とカリフォルニア州保険局が立ち上げた国際的な政府金融当局フォーラム「持続可能な保険フォーラム(SIF)」は7月25日、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が発表したガイドラインを支持する共同声明を出した。気候変動が金融システムを長期的に脅かす課題として認識し、保険業界は気候変動がもたらすリスクと機会の管理に重要役割を果たす存在だと位置づけた。 【参考】【国際】国連環境計画、保険監督当局の国際フォーラムSIFを結成。持続可能な保険分野を協議(2016年12月20日)  現在、SIFには、14カ国の米2州のマクロ金融当局が加盟している。加盟しているのは、英イングランド銀行プルーデンシャル規制局(PRA)を始め、フランス、オランダ、ポルトガル、スウェーデン、オーストラリア、シンガポール、ブラジル、南アフリカ、アラブ首長国連邦、ジャマイカ、ガーナ、モロッコ、モンゴルと、米カリフォルニア州及び米ワシントン州。SIFは昨年12月と今年7月の2回会合を開催し、今回の共同声明発表に至った。会合には、保険当局の国際機関である保険監督者国際機構(IAIS)と日本の金融庁も参加した。  SIFは、事業会社が気候変動リスク・機会に関する情報を開示することで、保険会社の適切な保険引受や資金の投資運用を強化できると認識。また保険会社自身が気候変動関連の情報を開示することは投資家、保険契約者、規制当局にとっても有益だとした。また規制当局が行うマクロ金融リスク管理、金融政策、顧客保護等にとっても保険会社の気候関連情報開示は重要だとの考えを明らかにした。  SIFは今回の共同声明の中で今後強化していく分野として、「TCFDガイドラインの認知向上」「市場関係者と協働した能力開発やツールの共有」「金融当局監査の中に気候関連情報開示を組入」「TCFDの支援」の4つを挙げた。  TCFDのガイドラインは、今年6月に最終報告書が発表されて以降、国連環境計画金融イニシアチブ(UNPE FI)やCDSB(気候変動開示基準委員会)が推進イニシアチブを立ち上げるなど、欧米の一部企業ではすでにガイドラインに基づく取組を検討し始めている。TCFDガイドラインは、金融業界については、銀行、保険会社、アセットオーナー、運用会社の4つを対象としている。その中で保険業界は、気候変動がもたらす台風、洪水、集中豪雨などの被害と直結するため影響を受けやすい。今回、政府当局の中でSIFがいち早く反応したことで、保険分野での動きが加速していきそうだ。 【参照ページ】Leading Insurance Supervisors Support Adoption of Climate Disclosure Recommendations

» 続きを読む

【国際】CDSB、TCFDの推奨ガイドラインを実現するための企業イニシアチブを発足

Facebook Twitter Google+

 気候変動関連情報開示標準化の国際イニシアチブCDSB(気候変動開示基準委員会)は7月17日、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が推奨する情報開示ガイドラインの実現に向けたイニシアチブを設立すると発表した。企業に対し、同イニシアチブへの参加を呼びかけている。  CDSBは2007年に世界経済フォーラム(WEF)の中で立ち上がった構想をもとに創設。企業の気候変動情報開示の標準化を目指し、世界的なフレームワークを構築し有価証券報告書等での気候変動情報の開示を推進してきた。CDP、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)、WWF(世界自然保護基金)、The Climate Group、The Climate Registry(TCR)、(世界資源研究所)、CERES、IETA(国際排出権取引連盟)の8団体ともパートナーシップを締結している。企業の気候変動情報開示では、長年CDSBがガイドライン策定を推進してきたが、近年はCDSBとは別に、TCFDの中で国際的に大きな検討が進み、枠組みが固まった。CDSBは今回、TCFDの成果を歓迎し、CDSBとTCFDの双方のガイドラインを融合させていく。  同イニシアチブは、TCFDの成果を支持する企業にスポットを当てるだけでなく、TCFDが推奨するガイドラインをどのように投資家に向け共通であり比較可能な状態で情報開示を行っていくかについても取り組む。参加する企業には2020年までにパリ協定に沿う内容の気候関連財務情報開示を行うことが求められる。またCDSBの気候変動報告フレームワークにも準拠することが推奨される。  CDSBは参加企業を一定期間募った後、数ヶ月後に同イニシアチブを正式に設立する。 【参照ページ】New initiative showcases companies committing to disclose climate-related financial risks

» 続きを読む

【国際】銀行世界大手11行、気候関連財務情報開示タスクフォース最終報告の積極実施イニシアチブ発足

Facebook Twitter Google+

 銀行世界大手11行は7月11日、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)と共同で、気候変動リスクと機会の評価及び情報開示を強化するための分析ツールと指標を開発していくイニシアチブを発表した。11行は、先月に発表された金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終報告書を歓迎するとともに、同フレームワークを積極的に実施するパイロットプログラムを展開していく。 【参考】【国際】金融安定理事会のタスクフォース(TCFD)、気候変動関連財務情報開示の最終報告書を発表(2017年6月29日)  今回の発表に参加したのは、米シティグループ、英バークレイズ、英スタンダード・チャータード、スイスUBS、加ロイヤル・バンク・オブ・カナダ、加トロント・ドミニオン銀行グループ、豪ANZ、豪ナショナルオーストラリア銀行、スペインのサンタンデール銀行、ブラジルのバンコ・ブラデスコ、ブラジルのイタウ銀行。総資産額は7兆米ドル(約780兆円)。 【参照ページ】ELEVEN UNEP FI MEMBER BANKS REPRESENTING OVER $ 7 TRILLION ARE FIRST IN INDUSTRY TO JOINTLY PILOT THE TCFD RECOMMENDATIONS

» 続きを読む

【国際】金融安定理事会のタスクフォース(TCFD)、気候変動関連財務情報開示の最終報告書を発表

Facebook Twitter Google+

 世界主要25カ国の財務省、金融規制当局、中央銀行総裁が参加メンバーとなっている国際機関、金融安定理事会(FSB)の「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は6月29日、同タスクフォースが検討してきた「気候変動関連の財務情報開示」に関する最終報告書「Final Report: Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures」を発表した。TCFDは、昨年12月14日に最終報告書案を公表し、その後パブリックコメントを受け付けていた。今回パブリックコメントで寄せられた500件以上の意見をもとに、最終報告書案を修正し、今回の最終報告書発表に至った。 【参考】【国際】金融安定理事会のタスクフォース(TCFD)、気候変動関連財務情報開示の最終報告書案を発表(2016年12月21日)  発表された最終報告書は、12月の最終報告書案から本質的な変更はないが、不明瞭であった点や理解が得られにくかった点について説明を加えている。 12月最終報告書案からの主な変更点 気候変動が与える財務インパクトの概念図の修正 (出所)TCFD最終報告書  12月の最終報告書案でも同様の概念図が示されており、前回は気候変動がもたらす財務インパクトについて「損益計算書」と「貸借対照表(バランスシート)」の2つとしていたが、今回の最終報告書ではこれに「キャッシュフロー計算書」が加わり、より企業財務報告の実態に沿うものに修正された。また、前回はリスクと機会がもたらす財務インパクトという概念図だったが、今回の最終報告書では、この間に「Strategic Planning Risk Management」が追加された。これについては、最終報告書の附属書(Annex)に新たに追加された「A-4項」(Assessing Financial Impacts of Climate-Related Risks and Opportunities)の中に詳細解説があり、リスクと機会にどのように対応するかを企業が戦略やリスクマネジメントの関連から考慮することで、財務諸表へのインパクトが明確になってくると説明している。リスクと機会による財務インパクト評価については、最終報告書案へのパブリックコメントの中で、評価が非常に難しいという指摘があったようだが、説明文からは、その評価を行えるよう企業が実力をつけることが重要なのだというTCFDの強い意志が伺える。 マテリアリティ観点の強調 (出所)TCFD最終報告書  TCFDフレームワークの骨子を示した表のレベルでもいつくかの変更点があった。まず、「戦略(Strategy)」と「指標と目標(Metrics and Targets)」の情報開示について、マテリアリティ(重大性)に関連するものを開示すべきだということが明確にされた。また、シナリオ分析について記載されていた箇所も、以前の「組織のビジネス、戦略及び財務計画に対する2℃シナリオなどのさまざまなシナリオの潜在的影響を説明する」から、「2℃またはそれ未満のシナリオを含む気候関連シナリオを考慮に入れた上で、組織戦略のレジリエンス(耐性)を説明する」に修正され、説明すべき内容がレジリエンスにフォーカスされ、開示が求められる内容が明確となった。 情報開示を行う場  12月の最終報告書案では、財務インパクト分析の結果の情報開示を行う場として「一般的な財務報告の中で」としていたが、今回の最終報告書では内容をさらに明確にした。まず、「一般的な財務報告」の意味を、会社法、証券法などに規定され監査が求められる年次報告書(アニュアルレポート)と定義。法定開示書類の中で開示すべきだという考え方を示した。また、売上10億米ドル相当以上の企業(金融セクター除く)は、例え気候変動影響がマテリアルでなく、かつ法定開示書類の中でも開示が義務化されていなかったとしても、企業の他の公式開示書類の中で「戦略(Strategy)」と「指標と目標(Metrics and Targets)」を開示したほうが良いと推奨した。さらに、他の公式開示書類の意味を、法定開示書類と同様に投資家等が閲覧でき年1回以上発行される書類と定義した。 各国の法律との関係性  今回の最終報告書では、TCFDフレームワークは、各国の情報開示法令を優越するものではなく、法令遵守に沿う形で実現すべきだという位置づけを明確にした。そのため、TCFDフレームワークが求める情報開示が国の法令に反する場合は、法定開示書類ではなく、他の企業の公式書類の中で情報開示をすべきだとした。 気候変動と役員報酬・給与  気候変動がマテリアル(重大)な企業は、気候変動への対応と役員報酬や給与をどのようにリンクさせているかを開示すべきだとした。 その他  各業界毎のガイダンスでもいくつかの変更点があった。まず、アセットオーナーとアセットマネージャーに関しては、投資ポートフォリオの二酸化炭素排出量算出について推奨手法のテクニカルな変更があった。また、非金融セクターに関しては、開示が推奨される非財務項目が削減され、重要なものに内容を絞る変更があった。 各界からの反応  今回の最終報告書発表と同時に、世界100社以上のCEOが、歓迎の意と、最終報告書で提案されている情報開示に賛同する共同声明を発表した。日本企業で参加したのは、住友化学と日本アジアグループ傘下の国際航業の2社のみ。日本企業の中で唯一TCFDの検討メンバーであった東京海上ホールディングスは今のところ声明に加わっていない。 共同声明に参加した代表的な企業 年金基金:米CalPERS、米CalSTRS、加オンタリオ州教職員年金基金、蘭PFZW 保険:英Aviva、仏アクサ、スイス再保険、独アリアンツ 銀行:米バンク・オブ・アメリカ、米シティグループ、米モルガン・スタンレー、英HSBC、英スタンダードチャータード、英バークレイズ、仏BNPパリバ、蘭INGグループ、スイスのUBSグループ、中国工商銀行、オセアニアのANZ 運用会社:英ウイリス・タワーズワトソン、英シュローダー、英Legal & General Investment Management、蘭PGGM、米Generation Investment Management、英Impax Asset Management 金融サービス:米S&Pグローバル、米Moody’s、英FTSE Russell、英ロンドン証券取引所グループ、シンガポール証券取引所、 監査法人:米デロイト、英PwC、英EY、蘭KPMG エネルギー・資源:英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、英豪BHPビリトン、伊エネル、伊Eni 化学:米デュポン、米ダウ・ケミカル、蘭DSM、白ソルベイ、日本の住友化学 鉄鋼:印タタ・スチール 食品・消費財:英蘭ユニリーバ、米ペプシコ その他:米セールスフォース、アクセンチュア  また、気候変動対応に関心の高いアジア地域の機関投資家団体Asia Investor Group on Climate Change(AIGCC)も同日、TCFDの最終報告書を支持する声明を出した。 【参照ページ】Task Force publishes recommendations on climate-related financial disclosures 【最終報告書】Final Report: Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures 【最終報告書附属書】Implementing the Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures 【最終報告書案からの変更点】Summary of Key Changes and Clarifications to the TCFD Report and Annex 【企業の共同声明】Statement of Support for Final TCFD Recommendations Report 【AIGCCの声明】Regional investors support better business reporting on climate change through TCFD

» 続きを読む

【国際】金融安定理事会、加盟国が相互に実施したコーポレートガバナンスのレビューを公表

Facebook Twitter Google+

 主要国の金融監督当局が集まる金融安定理事会(FSB)は4月28日、FSB参加国がお互いのコーポレートガバナンスに関するピアレビューを公表した。FSB参加国が、各国の金融機関や上場企業が経済協力開発機構(OECD)が策定したコーポレートガバナンス原則の遵守状況を比較検討することで実効性の検証と改善を図る。  FSBのピアレビューとは、規制や政策実施の促進、測定を目的としたプログラムで、2010年より定期的に実施されている。内容には、国別レビューとテーマレビューがある。国別レビューは、金融監督当局の規制や政策を各国ごとに検証。テーマレビューは特定のテーマに基づき比較検討をする。今回は上場企業と金融機関のコーポレートガバナンスに関するテーマレビューが実施された。  ピアレビューは、2008年から2009年に起こった世界金融危機の教訓の一つとしてコーポレートガバナンスの強化が挙げ、枠組と関連規制、金融機関のコーポレートガバナンスの実践の両輪が必要と論じた。また、FSB参加国およびOECD、バーゼル銀行監督委員会、保険監督者国際機構(IAIS)、証券監督者国際機構(IOSCO)等の規制機関に対し、12の提言を行った。内容には、コーポレートガバナンスの枠組の実効性を高めること、ガバナンス体制、議決権行使、株主の合意形成、報酬に関する情報等の公開、取締役の責任の明確化、株主の権利と役割等が含まれている。  FSBは金融システムと金融の安定化という適切な機能において、実効性のあるコーポレートガバナンスは必須だという立場をとっており、システミックリスクを低減する役割があると考えている。OECDのコーポレートガバナンス原則は、政策立案者が、経済効率と持続可能な金融の安定化の側面から、法的規制の枠組を自己点検し、改善するためのツールとして作成されている。 【参照ページ】FSB publishes thematic peer review on corporate governance 【原則】OECDコーポレートガバナンス原則

» 続きを読む

【国際】世界大手企業27社CEO、気候関連財務情報開示タスクフォースの最終報告書案を強く支持

Facebook Twitter Google+

 世界の大手企業27社のCEOは4月21日、昨年12月に発表された金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の「最終報告案」に賛意を示し、最終報告書案で定められた情報開示ガイドラインの導入に向けて積極的に活動していくことを表明する共同声明を発表した。同時にG20諸国に対し、最終報告書案を受諾し行動に移すよう要請した。 【参考】金融安定理事会のタスクフォース(TCFD)、気候変動関連財務情報開示の最終報告書案を発表(2016年12月21日)  今回の共同声明発表は、世界経済フォーラム事務局が招集した「CEO気候リーダーズ同盟(Alliance of CEO Climate Leaders)」の場で行われた。発表に加わった27社は、欧州の企業が中心だが、米国、ブラジル、中国、インドの企業も参加。日本企業は、2007年に東証一部上場廃止となり、2015年に日本アジアグループの完全子会社となった国際航業の1社。また、共同声明は、全て会長やCEOの名前で署名がなされている点も特徴的だ。 社名 国 業種 役職 ユニリーバ 英国・オランダ 消費財 CEO ジョンソンコントロールズ 米国 電気・電子 会長兼社長兼CEO シュナイダーエレクトリック フランス 電気・電子 会長兼CEO フィリップス・ライティング オランダ 電気・電子 CEO DSM オランダ 化学 CEO兼取締役会議長 ソルベイ ベルギー 化学 CEO ラファージュホルシム スイス 化学 CEO ルサール ロシア アルミニウム 社長 アリアンツ ドイツ 保険 CEO スイス再保険 スイス 保険 CEO UBSグループ スイス 銀行 CEO HSBCホールディングス 英国 銀行 グループ・チーフ・エグゼクティブ INGグループ オランダ 銀行 CEO Capricorn Investment Group 米国 投資運用 マネージング・パートナー PwC 英国 監査法人 グローバル会長 アクセンチュア 米国 コンサルティング 会長兼CEO スエズ・エンバイロメント フランス 水処理 CEO アラップ 英国 エンジニアリング 会長 アクシオナ スペイン エンジニアリング 会長兼CEO 国際航業 日本 エンジニアリング 会長兼CEO エネル イタリア 電力 CEO兼ゼネラル・マネージャー エンジー フランス 電力・ガス CEO インベルドローラ スペイン 電力 会長兼CEO GranBio Investimentos ブラジル バイオ燃料 CEO ジンコソーラー 中国 太陽光発電パネル 会長 Avaada Group インド 再生可能エネルギー 会長  TCFDの最終報告書案では、金融機関及び全業種の事業会社に対して、気候変動がもたらす事業リスクと事業機会が、企業の財務諸表に与える影響を自主的に情報開示することを求めている。情報開示が推奨される項目の中には、気候変動の温度上昇シナリオに基づき、企業の財務影響をシナリオ分析することを求める内容も含まれている。但し、最終報告書案は、あくまで「任意」のガイドラインであるため、義務化や強制力は伴うものにはなっていない。また、最終報告書案を各国政府がルール化するかどうかについては各国の判断に委ねられており、欧州ではルール化に意気込む国がある一方、日本政府は目下、産業界の自助努力として位置づけ、様子を見る方針。  また、共同声明では、最終報告書案の残課題として、気候変動など長期的リスクのガバナンスが取締役会の役割の一つであることを明確にすること、最終報告書案が求める継続的な情報開示に向けたガイダンスや基準を開発すること、情報開示の質をチェック・モニタリングするためのベンチマークツールを開発することを挙げ、これらを整備することで、実効性が上がるとした。また、カーボンプライシング、化石燃料に対する補助金の段階的撤廃など他の仕組みも気候変動対応に向けて有効だとしつつも、気候関連財務情報開示が果たす役割は特に大きいとした。 【参照ページ】Global CEOs call for greater disclosure of climate risks and opportunities

» 続きを読む

【ヨーロッパ・アメリカ】大手年金基金と運用会社、投資先企業の気候変動影響分析でイニシアチブ発足

Facebook Twitter Google+

 欧米の主要なアセットオーナー13機関と運用会社5社は1月11日、気候変動対策のために低炭素経済へ移行する動きが彼らの投資運用にどのような影響を与えるかを検討、共有するためのイニシアチブ「Transition Pathway Initiative(TPI)」を立ち上げた。イニシアチブは、英国環境保護庁年金基金と英国国教会National Investing Bodiesが主導し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のグランサム研究所がバックアップしている。データはFTSE Russelが提供する。  このイニシアチブに参加するアセットオーナーは、英国大学退職年金基金(USS)、英国地方年金基金フォーラム(LAPFF)、英国環境保護庁年金基金、英国鉄道年金の運用部門(PRMI Railpen)、英国のWest Midland Pension Fund(WMPF)、英国国教会財務委員会、英国国教会年金投資委員会、英国国教会基金、英国メソジスト教会中央財務委員会、米国のWespath Benefits and Investments、スウェーデン公的年金基金のAP1、AP3、AP4の13機関。合計の運用資産総額は3,700億ポンド(約53兆円)。  また運用会社からは、Aviva Investors、BNP Paribas Investment Partners、Hermes Investment Management、PGGM、Standard Life Investmentsの5社が参画する。合計の運用資産総額は1.7兆ポンド(約240兆円)。その他、年金受託機関世界大手BNP Paribas Securities Services(受託資産総額9兆米ドル)も活動を支援する。投資先へのエンゲージメント請負サービス提供のHermesEOSも同社のツールを提供する。  イニシアチブでの事前リサーチでは、まず石油ガス業界と電力業界の分析がなされた。事前リサーチでは、石油ガス企業と電力会社40社のうち39社は気候変動を事業課題だと認識し、40社中28社は気候変動方針を取締役会で確認しつつも、経営戦略という高い次元で検討している企業は数社しかなかった。電力業界は石油ガス業界よりも検討が進んでいるものの、定量的な二酸化炭素排出量削減目標を掲げている企業は40社中14社、排出量の第三者監査を実施している企業は40社中18社と少ないことも報告された。ESG課題を経営幹部の報酬に反映させている企業は40社中34社あった。  今後数ヶ月に渡り段階的に他の業界や個別企業に関する分析を進めていく。検討で用いられる分析手法は、金融安定理事会(FSB)の気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)が推奨する情報開示のあり方に準拠するものとなっている。 【参考】金融安定理事会のタスクフォース(TCFD)、気候変動関連財務情報開示の最終報告書案を発表(2016年12月21日)  今回は政府や教会関連のアセットオーナーが主導しているものではあるが、気候変動が与える投資先企業の分析が、欧米の機関投資家の中では実施され初めている。 【参照ページ】THIRTEEN LEADING INTERNATIONAL ASSET OWNERS LAUNCH MAJOR INITIATIVE TO EMBED CLIMATE CONCERNS IN INVESTMENT DECISIONS

» 続きを読む
ページ上部へ戻る