【ランキング】BrandZ「最も価値のあるグローバルブランド トップ100」に学ぶ業界別の代表的サステナビリティ

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 市場において競争に勝ち抜いていくための競争。マーケティングの権威と言われるマイケル・ポーター・ハーバードビジネススクール教授は、競争戦略の基本として、コストリーダーシップと差別化を提唱し、その概念は今や広くビジネス界に浸透しています。差別化とは、提供する財・サービスを他社のそれとにはない「付加価値」をつけるということ。企業が多種多様な「付加価値」を提供することで競争力を獲得しようとしています。この「付加価値」のあり方は様々です。価格や製品・サービス特性という付加価値もあれば、温室効果ガス排出量が少ないなどといった環境配慮型の経営方針も、一つの付加価値と言えます。  サステナビリティと付加価値。植林活動などがサステナビリティの代表事例だと思われていた時代には、両者は無関係だと思われていましたが、今やこの二つは密接に結びついてきています。事実、サステナビリティ戦略の目的を「付加価値の獲得」としている企業は多く、その戦略の策定に「クライアント・消費者」が最も影響を及ぼしていると認識されていることが、EY新日本サステナビリティ社とGreenzbiz社の合同調査によって明らかにされています。  「消費者」からの視点から、世界のブランドをランキングした代表的なものに、Millward Brown社が発表している“BrandZ Top100 Most Valuable Global Brands (最も価値のあるグローバルブランド トップ100)”があります。世界中の企業のブランド力を定量化しランキングにしたものであるため、マーケティング専門家の間では広く認知されています。今回はこのランキングで上位に入った企業がどのようにサステナビリティ戦略と「付加価値」を結びつけようとしているのか、その実態に迫ります。 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成) BrandZ 業界別上位企業とその対応 アパレル 自動車 ラグジュアリー トイレタリー 小売 ビール ファストフード ソフトドリンク 金融(銀行・保険) 石油・ガス テクノロジー 通信 アパレル (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者にとって情報を得るチャネルは、店舗だけでなくオンライン検索にまで拡大しました。消費者は、かつてないほどの膨大な情報を収集し、数ある商品の中から自分が最も価値を感じるものを選ぶようになってきています。上位を獲得した企業は、自らが選ばれるための付加価値のひとつとして、サステナビリティの分野でも凌ぎを削っています。  アパレル業界の主なサステナビリティ戦略は大きく分けて2つです。 サプライチェーンの改善 衣服に使われる資源のサステナビリティ向上  例えば、サプライチェーン改善のために、ナイキはサステナビリティの分野への関心が高く、長期的良好関係を築けるサプライヤーに調達先を限定しています。また、H&MはILO(国際労働機関)の定める国際労働基準および国連児童権利条約に基づいてCode of Conductを作成し、日々サプライヤー工場を訪問し、親密な関係を構築しています。(※1)さらに、これら2社だけでなくユニクロブランドを持つファーストリテイリングも2020年までに自社製品の製造工程すべてにおいて有害化科学物質を全廃することを約束しており、サプライチェーン改善に取り組んでいます。(※2)  資源のサステナビリティ向上の分野では、H&MはBetter Cotton Initiative(コットンのサステナビリティ向上に取り組む国際NPO)の活動に積極的に取り組んでいます。同社は2010年時点でオーガニックコットンを世界で最も多く利用した企業となり、2020年までに持続可能なコットンの調達を100%にするという目標を掲げています。2013年時点での進捗は15.8%で、毎年着実に比率を高めています。  ナイキのCSO(最高サステナビリティ責任者)・H&M担当社へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】ナイキが語る「サステナビリティ」と「イノベーション」 【スウェーデン】H&Mの考えるサステナビリティとファッション 自動車 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  自動車の売上高は、米国や中国では好調なものの、ヨーロッパの経済低迷が尾を引き、不況前の水準には戻っていません。また、各自動車の製品クオリティは全体的に向上している一方、ブランドとしての差別化は徐々に難しくなってきています。  自動車業界の主なサステナビリティ活動は大きく分けて2つです。 製品性能の改善 サプライチェーンの改善  現在、自動車メーカー各社は、エンジンの性能の向上に努めており、稼働効率や温室効果ガス排出量ともに以前と比べ改善されてきています。しかしながら、排ガス規制や燃費向上に関する規制は年々厳しくなっており、製造工程も含めたサプライチェーン全体での取組が求められるなど、社会からの要求レベルは上がっています。実際、気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPが発表している報告書では、(1)自動車の走行中の温室効果ガス排出量、(2)次世代車両技術への取り組み、(3)製造時の温室効果ガス排出量 の3つの基準で各社が評価付けされています。(※3)  また、自動車メーカーにおけるサプライチェーン改善には、製造工程で発生する温室効果ガスの削減だけでなく、サプライチェーン上の人権問題も関わります。例えば、トヨタやフォードはガイドライン(The Automotive Industry Guiding Principles to Enhance Sustainability in the Supply Chain)を策定しています。同ガイドラインはサプライチェーン全体を通じて、社会、環境面の改善に取り組み、持続可能な形で成長を実現していくという高い基準のコミットメントを明確に示しており、特に倫理・環境・人権・労働に焦点が当てられています。(※4)  自動車業界各社が上記のような活動を行う中、特にBMWはBrandZの自動車業界で2位にランクインするだけでなく、ダボス会議で発表されている「世界で最も持続可能性のある企業100」でも総合6位を獲得するなど、サステナビリティの分野においても先進的企業だといえます。活動内容としては前述のものに加えて、ドイツのハンブルグ市の交通インフラに関するサステナビリティ向上プロジェクト(※5)や、アルミニウムのバリューチェーン全体におけるサステナビリティ向上を目的とする国際イニシアチブなどに参画しており(※6)、自社の事業に関わるサステナビリティ分野で広くリーダーシップを発揮していることが伺えます。 ラグジュアリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  ラグジュアリー業界は中国やブラジル、ロシアなどの景気停滞を受けて、ほとんどのブランドがブランド価値を下げる結果となりました。特に中国の影響は大きく、売上の1/3をアジア・パシフィック地域が占めているプラダなどは前年比で大きく収益やブランド価値を下げています。  さらに、ミレニアル世代はラグジュアリーブランドを「高い」と感じており、謙虚でサステナブルな生活を望む彼らのニーズに合致しづらくもなっています。MSL Groupの調査結果によると、ミレニアル世代の多くは、企業に対し消費者が社会的な課題に関われるようにしてくれることを望んでいることがわかっています。  ラグジュアリーブランドが全ての客層をターゲットにしているわけではないとはいえ、ミレニアル世代の経済圏は決して無視できるものではなく、サステナビリティ活動が新たな活路になることも考えられます。  そのようなラグジュアリー業界において、中心となっているサステナビリティ活動はサプライチェーンの改善です。例えば、グッチを抱えるファッション・コングロマリットのケリングは、自社およびグループ全体のサプライチェーンにおける環境への影響を計測し、金銭的な価値に置き換える自然資本会計を導入しています。(※7)それにより事業活動に対する理解を深め、環境負荷を減らすだけでなく原材料の調達リスクを含めたサプライチェーンの変化に対応することを可能にしています。  他にもジュエリーを取り扱うティファニーは、CSO(最高サステナビリティ責任者)を設置するだけでなく(※8)、ダイヤモンド産出国への積極的な投資によりサプライチェーンの健全性を維持する傍らで現地雇用の創出、スキルトレーニングなどを通じて地域経済にも貢献しています。同社はジュエリー業界の中でも珍しくダイヤモンドや貴金属を供給する鉱山の多くと直接取引を行っており、2013年には100%のダイヤモンド原石の調達を自社の目が行き届く採掘場所から行うことを実現しました。(※9)  一方で、ルイヴィトンをはじめ数多くのラグジュアリーブランドを抱えるLVMHグループやエルメスは、大手アパレル企業がサプライチェーン上で講じている有害物質除去・水質汚染対策の取り組み状況を評価した、グリーンピース・イースト・アジア公表のオンラインプラットフォーム「Detox Catwalk」で、コミットメント不足という評価をされてしまっています。(※10) トイレタリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  トイレタリー業界のグローバル大手は、製品性能そのものだけでなく、消費者および従業員の幸福といったサステナビリティ活動に本格的に取り組み始めています。  この理由は消費者の目が成熟してきていること、ミレニアル世代の存在、ソーシャルメディアの影響力の高まり等様々ですが、より崇高なビジョンを掲げることが製品の差別化に繋がっていると言えるでしょう。  そのためブランド各社、これまで理想像とされてきた美ではなく、健康やナチュラルさ、内なる美などを強調するようにもなってきています。消費者の選択性が強くなっていることや中国・ブラジルの成長鈍化などを受け、業界全体のブランド価値は昨年比2%しか伸びていませんが、消費者の目が成熟していることはサステナビリティ展開の追い風となると言えるでしょう。  トイレタリー業界は市場ニーズも相まってサステナビリティ活動が多岐にわたっています。 サプライチェーン改善 ダイバーシティの尊重 再生可能な原料の利用 再生可能エネルギーの利用 温室効果ガス削減 サーキュラーエコノミーの推進(廃棄物ゼロ&リサイクル) コミュニティ支援  例えば、ロレアルはSharing beauty with allというプロジェクトを実施し、全サプライヤーを社会・環境面での実績で評価することを宣言。結果として2014年末には2004年比で57%ものCO2削減に成功しています。また同プロジェクトでは再生可能エネルギーにも取り組んでおり、2020年の目標達成に向けて邁進しています。(※11)また、障がい者採用も積極的に行っており、社会に対して新たな機会を創出しています。(※12)CSR担当者向けITツールも積極導入しサステナビリティレポート作成に取り組んでいます。(※13)  「ダブ」ブランドの商品を持つユニリーバは、サステナビリティ戦略を積極展開していることで世界的に有名です。2010年にUnilever Sustainable Living Planというプロジェクトを開始、2020年までにビジネス規模を2倍にしながら環境負荷を減らし、社会にポジティブインパクトをもたらすことを目指しています。その達成に向けて同社は、サプライヤーやコミュニティの支援、貧困の撲滅に取り組むべくNGOと協力し気候変動への対応を呼びかけるキャンペーンや、リサイクル促進のために消費者家族に向けたキャンペーンを展開しています。  2015年現在、ユニリーバが調達する農作物原材料の55%以上は持続可能な形で調達されており、2020年までに100%持続可能な調達を実現するという目標を半分以上到達しています。さらに、同社は工場ネットワーク全体で非有害廃棄物の埋め立てをゼロにするという目標を達成したほか、2008年と比較して製造時にエネルギーから生まれるCO2排出量と水消費量をそれぞれ1トンあたり37%、32%削減することにも成功しています。(※14)  こうした試みもあって、サステナビリティ分野のアドボカシーNPOのセリーズが5月に発表した大手食品会社らの水リスク対応力を評価したランキングでユニリーバは1位を獲得したほか(※15)、国際NGOのオックスファムが3月に公表した大手食品・飲料企業10社の食糧課題・サステナビリティへの取り組み状況を評価したランキングにおいても1位、サステナビリティ分野のコンサルティング企業のSustainly社に公表した「ソーシャルメディア・サステナビリティ・インデックス」でも1位を獲得しています。(※16)  ユニリーバが全業界的に先進的であるために、同業者でサステナビリティ活動に遅れをとっている企業は何から始めればいいかを戸惑うかもしれません。そういった場合、まずはサプライチェーンの改善から取り組むべきだと言えます。サプライチェーンの見直しは、リスク管理になるだけでなく業務効率の向上も期待できるため、部門を超えて理解が得やすく、また数値的な効果も比較的見えやすいからです。  ユニリーバCEO、副社長そして、「ニベア」ブランドを持つバイヤスドルフ社のCorporate Communications & Sustainabilityを統括する副社長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【イギリス】ユニリーバのCEOが語るサステナビリティへのコミットメント 【イギリス】サステナビリティ目標の達成に向けてユニリーバが導入した新たな仕組みとは? 【ドイツ】世界を代表するスキンケアブランド「NIVEA(ニベア)」を支えるサステナビリティ戦略 小売 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  Alibabaの登場により、業界全体のブランド価値が急成長しているのが小売業界です。興味深いことに業界トップを走る二社はどちらもeコマースであり、実店舗を持っている企業ではありません。以前は価格、選択の幅、利便性のそれぞれがトレードオフであったものの、現在はこれらのeコマースを通し全ての便益を享受できるようになりました。来る高齢社会に向けてeコマースの存在は必要不可欠なものとなっていくでしょう。  小売業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 再生可能エネルギーの利用 再生可能な材料の利用 サプライチェーン改善  たとえば、アマゾンは国際NGOのGreenpeaceによる抗議活動を受けて、昨年11月にクラウドサービス部門、AWS(Amazon Web Service:アマゾン・ウェブ・サービス)に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達するという誓約を発表し、大きな一歩を踏み出しました。(※17)しかし、その透明性については疑問視されており、風力発電によって生み出された100メガワットの電力を購入する計画を発表したものの、AWSがいまだ再生可能エネルギー比率が2%しかなく、これからの取組みに期待が寄せられます。(※18)  他にも、サステナビリティ先進企業として知られるIKEAは、自社および自社製品のサステナビリティ向上を通じて消費者の毎日の生活をより持続可能なものにするというビジョンの下、再生可能エネルギー投資を加速しており、その具現化が進んでいます。(※19) また同社は、LED技術を活用した省エネの追求やリサイクル可能な材料を利用することで、自社製品のサステナビリティを担保しつつ、手頃な価格を維持しています。(※20)  同じく実店舗を保有するウォルマートも、サプライヤーと協働によりサステナブル素材でできた商品の開発をしています。(※21)それだけにとどまらず、3月にサステナブルな商品だけを集めたオンラインショップを開設し、より一層の意気込みを見せています。(※22) ウォルマート会長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】「消費者はサステナビリティのためにより多くを支払うか?」に対するウォルマート会長の答え ビール (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国と南米の消費量の増大により、消費者からのブランド価値が向上しています。ミレニアル世代はビールの味において、間違いのないものよりも新感覚を欲しており、ビールメーカー各社はブランド内の商品ラインナップの拡充や、他社買収・ブランド開発による新ブランドの確立などの対応を迫られています。  それぞれのビールブランドには固有のアイデンティティーがありますが、時折クラフトビールの方がメジャーブランド以上に巧みなストーリーテリングでアイデンティティーの確立に成功しています。  そういったストーリーテリングとしての役割をも果たすのがサステナビリティ活動です。ビール業界が主に展開しているのは次の2つです。 サプライチェーンの改善 水の利用効率の改善  例えばハイネケンはストーリーテリングを通して同社のサステナビリティに対する取り組みをより多くの消費者に知ってもらおうと、ソーシャルメディアなどを活用したユニークなデジタルキャンペーンを展開しています。同社は2020年までに主要な原材料の50%を持続可能な調達にすることを宣言しているほか、新興国の水のサステナビリティに向けてUNIDO(国連工業開発機関)と協働で解決に取り組んでいます。(※23) 実際にハイネケンが行っているストーリーテリングの詳細は以下をご覧ください 【オランダ】ハイネケンが仕掛けるユニークなデジタル・サステナビリティ・ストーリーテリング ファストフード (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  マクドナルドの事件を受け、食の安全への関心が一層の高まりを見せています。ヘルシーかどうか、サプライチェーンは倫理的か、環境への責任を考えているか、そういった関心ある消費者にとってファストフードは不充分だと感じられてきています。  消費者の期待に応えるため、ファストフード企業各社も材料の調達からメニュー、店舗での経験価値を検討し直しています。ファストフード業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 サプライチェーンの改善 コミュニティ支援 ダイバーシティ  例えば、食の安全性に関する事件に揺れたマクドナルドは、今年3月に抗生物質を使用していない鶏肉のみの調達、rbSTと呼ばれる人工成長ホルモンが投与されていない牛の低脂肪ホワイトミルクと無脂肪チョコレートミルクを提供など、原材調達に関する新たな方針を発表しています。(※24)  他にもスターバックスは、CSRを単独の行動ではなく企業のDNAそのものとしており、水不足に対処するため水の供給源をカリフォルニア州からペンシルヴァニア州に変更するなど節水に取り組んでいます。(※25)また恵まれない若者を対象に就業プログラムを提供するなど地域コミュニティにも貢献しています。  ダイバーシティに関しても退役軍人を採用するだけでなく、アメリカ国内で白人警官による黒人射殺事件が発生した際には、顧客に手渡すカップに “Race Together”というメッセージを書き、消費者間における人種問題についての会話を促すキャンペーンも実施しています。(※26)  さらに、対内的には従業員の学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担するなど従業員にも細やかな対応が見られます。(※27) ソフトドリンク (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者が人工甘味料を避けるようになり、ダイエットコークやエナジードリンクの消費量はあまり増えていません。長きにわたりコーラが人気であった中国やインド、メキシコ市場にも健康や肥満への問題認識が高まってきています。市場ニーズに応え、メジャーブランドは商品ラインナップの拡充や製品工場の見直し、生産工程におけるカーボンニュートラルなどに取り組み始めています。  ソフトドリンク業界が主に行っているサステナビリティ活動は次の2つです。 水の利用効率の改善 コミュニティ支援  たとえば最大手のコカ・コーラは2020年までの水資源保護目標を掲げ、進捗状況を公開しています。(※28)同社は世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを締結し、この水資源保護にグローバルに取り組んでいます。(※29)  また同社の持つロジスティクスを活かし、「100万人の就学児童に安全な飲料水を届ける」というプロジェクトも展開。(※30)それだけでなく医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」をも展開し地域コミュニティの支援にも貢献しています。  さらに技術革新により世界初の100%植物性由来のペットボトルを開発することにも成功し、環境・社会面への正の影響の向上、食品の安全性に対する悪影響の回避というコカ・コーラの基本原則の下、強固なブランドを築き上げています。(※31)  コカ・コーラの地域コミュニティ支援の詳細は以下をご覧ください 【アフリカ】コカ・コーラ、アフリカで医薬品を供給する「ラストマイル・プロジェクト」を10ヶ国へ拡大 【アラブ首長国連邦】1ヶ月で200万人が視聴。コカコーラが始めた新キャンペーン”Hello Happiness” 金融(銀行・保険) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  グローバルに展開する銀行は、世界を不況に陥れたことが明らかになり、依然として社会から厳しい目で見られています。他方、ローカルに展開する銀行は、世界的な金融危機の際に、悪事に加担していないとみられたことからグローバルバンクと比べて社会的信用力が高いとされており、現在業界全体での成長性はローカル銀行の方が高くなっています。  また、保険業界は、提供するサービスのコモディティ化を避ける取り組みを展開しています。また、中国では生命保険は急成長している業態で、中国の保険会社らが牽引し業界全体での成長率は高くなっています。  金融業界が長期的な視点に基づく投資として主に取り組んでいるサステナビリティ活動は以下の3つです。 ESG投資 グリーンボンド リスク管理  ESG投資としてはUNPRI(国連投資原則)に署名し、今まで特殊な資産運形態とみなされていたESGを、通常のアセット運用でもリスク管理のひとつに加えていく動きが加速しています。また、気候変動の原因となる温室効果ガスの主たる排出元セクターに対する投資を長期的な観点からリスクと認識し、再生可能エネルギーファンドへの出資も大きなトレンドです。  グリーンボンドの発行分野では、例えば、モルガン・スタンレーは昨年10億円規模のグリーンボンド案件に関わるなどで貢献しています。(※32)  またリスク管理としては、ERP(統合リスク管理)やバーゼルⅢで検討されている銀行の資産健全性の強化などが挙げられます。  ESG投資に関する詳細は以下をご覧ください。 【金融】世界と日本のSRI・ESG投資最前線 石油・ガス (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  アメリカのシェールガス革命や中国の景気の減速を受けて原油価格が低下したため、上流ビジネスである石油の採掘は控えられるようになっています。このような事態を受けて業界各社は、比較的利益率の低い下流ビジネスの製油所やガソリンスタンドの見直しに注力する結果となりました。  資源が直接収益に繋がる石油・ガス業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動は温室効果ガス排出量の削減です。  たとえば英国エネルギー大手のBPは4月の年次総会で低炭素経済の実現に向けた事業の変革を促すための株主提案であるResolution 25を可決しました。この決議案の中には、温室効果ガス排出削減マネジメントによりCDPのパフォーマンスバンドでA評価を獲得することや、ポスト2035シナリオに向けたアセットポートフォリオのレジリエンス強化、低炭素エネルギーのR&Dや投資戦略策定などが含まれています。(※33) テクノロジー(消費者・法人向け) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  テクノロジー業界は、競争と移り変わりが激しく、それぞれのブランドにとって消費者を安心させロイヤリティを高めることがより重要となってきます。BrandZ総合ランキングのトップ4は全てテクノロジー企業が占めており、その影響力の高さが伺えます。  テクノロジー業界はそれぞれの企業の提供しているサービスが多岐にわたりそれぞれの企業が強みを活かしたサステナビリティ活動を展開していますが、主なものは次の3つです。 サプライチェーン改善 再生可能エネルギー ビッグデータを活用したサステナビリティ活動のサポート  例えば、アップルはサプライヤー19カ国633施設での監査及び3万人の従業員に電話インタビューを実施し、サプライヤー規範に則したサプライヤーのみと契約を継続しています。実際2014年時点で規範に違反する18社との契約を解除しています。(※34)それだけでなく、同社は初めて有害物質のポリ塩化ビニル(PVC)と臭素化難燃剤(BFRs)を外部ケーブルも含む全製品から取り除いた企業でもあります。(※35)  また、同社は国際NGOのGreenpeaceの抗議活動を受けて再生可能エネルギーへの投資も行っており、太陽光発電所や再生可能エネルギー100%のデータセンターの建設などが進められています。(※36)アップルに並び業界を代表するグーグルも風力発電ファンドを組成し、再生可能エネルギーへの投資を進めており、グリーンインターネット化が推進されています。(※37)  SAPはToyota Info Technology Center USA、VeriFoneと共同でドライバーのガソリンスタンド探しをシンプルにするプロジェクトを推進し、無駄なエネルギー消費の削減に取り組んでいます。これら3社はそれぞれの技術を活かし、車両の位置やルート、燃料レベルなどの情報収集、POSソリューション、テレマティックスデータを統合しソリューションを提供しています。(※38)  IBMは食品大手のMarsと提携しグローバルサプライチェーンにおける食の安全の確保に取り組んでいます。(※39)同じく食に関わるものとしては農業のサステナビリティ向上のためにビッグデータ解析ソリューションを提供もしています。(※40)さらには、市民一人一人から寄付されたコンピュータの空き容量を集め、仮想スーパーコンピュータを創りだし、科学者に気候変動関連オープンデータ分析のために無料で提供するといったプロジェクトのコーディネートも行っており、自社の強みをサステナビリティに活かす好事例といえるでしょう。(※41)  これらテクノロジー企業を代表するアップルの環境イニシアチブ担当副社長、SAPのサステナビリティ責任者へのインタビューおよびオラクルのサステナビリティ戦略に興味のある方は以下をご覧ください。 【アメリカ】アップルはどのようにサステナビリティ先進企業になったのか? 【アメリカ】SAPのサステナビリティ責任者が語る、統合報告とサステナビリティ戦略 【アメリカ】オラクルのサステナビリティ戦略 通信 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国やインドでのスマートフォン利用者の拡大を受けて、通信業界では巨大市場を押さえるためのM&A等が進んでいます。またIoTへのインフラ投資といった将来への投資機会にも恵まれています。一方でインターネット・プロバイダーがネット回線での通話を可能にするなど新たな競合の参入という事態にも直面しています。  そのような通信業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動はエネルギー利用効率の改善です。  たとえばAT&Tはエネルギー効率化や省エネを目指しIoTを推進しています。しかし一方でIoTの進展は、電子廃棄物の増加という新たな問題を生むことを危惧されてもいるのも事実です。(※42)また同社は、ダイバーシティの促進に積極的なことでも知られ、ダイバーシティがビジネスにもたらす利益について周知することを目的とする組織DiversityIncからも、ダイバーシティへの取り組みに積極的な上位50社に選ばれ、見事トップ10入りを果たしています。(※43)  他にもVerizonはアメリカ国内において教育水準の低い24の地域の教師に対し、モバイル通信記述を活用した教育メソッドを提供し、地域コミュニティに貢献しています。(※44) 総論  今回のBrandZのランキングは中国の景気減速を示しつつも、中国企業の台頭を明確に示すものとなりました。市場のグローバル化に伴い、新興国企業がグローバル市場での新たなプレーヤーとして登場するなど、今後製品性能や価格戦略による差別化はますます厳しさを増していきます。  その中、BrandZに選定されている企業の投資パフォーマンスは2006年からの10年間で102.6%上昇しています。これはS&P 500の63%、MSCIの30.3%よりはるかに高く、消費者視点でのブランドがいかに企業にとって重要なものかを物語っています。  そのBrandZにランクインする各業界トップ企業のサステナビリティ戦略を参考にすることで、より現実的な路線でそれぞれの企業が自社の事業領域の中でどのように責任を負い、またその責任を全うするためにどのような行動をしていくべきかが見えてくるでしょう。

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2015/06/18 体系的に学ぶ

【アメリカ】ティファニー、CSO(最高サステナビリティ責任者)を設置

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 ラグジュアリー業界でも、サステナビリティを重視する動きは着実に広まりつつある。宝飾品大手のティファニーは4月9日、同社のサステナビリティ戦略に沿って社会・環境への取り組みを加速させるために、新たに最高サステナビリティ責任者(以下、CSO)職を設けることを公表した。  新たにCSOに指名されたのはティファニーでグローバルサステナビリティ・企業責任担当副社長を務めていたAnisa Kamadoli Costa氏だ。Costa氏は今後、CEOのFrederic Cumenal氏を直属のレポートラインに持ちつつ、現職のティファニー財団理事長の役職も継続する予定だという。  今回の発表にあたり、CEOのCumenal氏は「ティファニーは世界で最も重要なラグジュアリー企業の一社であるだけではなく、持続可能なラグジュアリーにおけるリーダーでもある。CSRや社会貢献事業においてCosta氏の声はティファニーにとって重要なものであり、Costa氏を新たなポジションに指名したことはティファニーブランドにとってのCSRプログラムの戦略的亜重要性を示している。」と語った。  過去12年間に渡り、Costa氏はティファニーの企業責任プログラムの開発において不可欠な役割を担ってきた。ティファニーは同氏のリーダーシップのもとで市民社会、宝石採掘会社、ラグジュアリー業界、地域社会など対話、協働しながら、ステークホルダー主体のアプローチでサステナビリティ推進に取り組んできた。同氏はティファニーの環境問題に対する取り組みの認知向上に貢献しただけではなく、自社のCSR成果の定量化や外部報告プロセスを開発し、CSRの質と透明性の双方を向上させてきた。ティファニーの最新のサステナビリティ報告書は今年の夏に自社ウェブサイトで公表される予定だ。  かつてはラグジュアリー業界といえば贅沢の代名詞であり、サステナビリティとは無縁のイメージが強かったが、昨今では宝飾品のサプライチェーンにおける環境、社会面のサステナビリティ向上の取り組みなど、積極的にサステナビリティをブランドに統合する動きが出てきている。「サステナブル・ラグジュアリー」を合言葉に「ラグジュアリー」が内包する意味を再定義しようとする彼らの取り組みがどこまで消費者の心を掴めるか、今後の取り組みに更なる期待がかかる。 【参照リリース】Tiffany Names Anisa Kamadoli Costa Chief Sustainability Officer 【企業サイト】Tiffany (※写真提供:Ken Wolter / Shutterstock.com)

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CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)

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CSOとは?  CSOとは、Chief Sustainability Officerの頭文字で、日本語でいうと「最高サステナビリティ責任者」となります。  最近では日本にもだいぶ言葉が浸透してきていますが、一般的に外資系企業には組織全体のトップであるCEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)をはじめ、COO(Chief Operating Officer:最高業務執行責任者)、CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)、CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)など通称「CXO」と呼ばれる様々な部門トップ責任者が存在しています。  CSOはサステナビリティ部門を統括する責任者の称号で、企業のサステナビリティ戦略の中核を担う非常に重要な役割を持つポジションです。正確な呼称は業界や企業によっても異なり、例えば環境面における統括ポジションとしてCGO(Chief Green Officer)、CECO(Chief Environmental Commitment Officer)という称号を用いているケースもあります。  Harvard Business School(以下、HBS)が2014年8月に公表したワーキングペーパー「Chief Sustainability Officers: Who Are They and What Do They Do?」によれば、フルタイムで働くCSOを抱えている企業の数は1995年から2003年で2倍に増えており、2003年から2008年にかけては更に2倍になっているというGreen Bizの調査も紹介されています。CSOは今後もますます増加されることが予想されており、企業の事業戦略の中枢を担う人材としての重要性と期待が高まっていることが分かります。 CSOの役割  上記のHBSによる調査では、CSOの役割は企業がどこまでサステナビリティを自社の戦略に統合できているかのステージによって異なってくるとしています。HBSでは企業ステージを大きく下記の3段階に分けており、それぞれのステージにおけるCSOの役割を分析しています。 第1段階:Compliance(コンプライアンス) 第2段階:Efficiency(効率性) 第3段階:Innovation(イノベーション)  それぞれの段階におけるCSOの役割を簡単にご紹介します。 第1段階:Compliance(コンプライアンス)  サステナビリティの領域において初期段階にある企業は、まず法規制をしっかり遵守した事業活動を展開するところから始まります。中には従業員の環境ボランティア活動プログラムなどを実施するケースもありますが、活動の多くは戦略的ではなく、またこの段階の企業は正式にCSOというポジションを設置していないケースがほとんどです。 第2段階:Efficiency(効率性)  次の段階に進むと、企業のサステナビリティ活動はより戦略的になり、エネルギーや水の利用量削減、CO2排出量削減、廃棄物削減などを通じてコスト削減を実現し、経営の効率性を高める活動へと移ります。これらの活動は目に見える形で企業の利益につながるため、CSOとしては推進しやすいミッションだと言えます。  この段階にある企業の多くは既に正式にCSOを設置しており、CSOはCEOとの協力のもと、企業のボトムラインを改善し、レピュテーションを向上させるための具体的な変化を生み出すことが求められます。 第3段階:Innovation(イノベーション)  もっとも先進的な段階にある企業は、既にサステナビリティが事業戦略の核に統合されており、経営戦略=サステナビリティ戦略となっているため、もはや「サステナビリティ戦略」という言葉自体が不適切な段階へと到達しています。サステナビリティは企業の競争優位の根幹であり、長期的な利益を生み出す源泉として考えられており、気候変動や水資源の枯渇といった大きな社会課題を視野に入れた事業計画が作られています。  この段階にある企業では、サステナビリティの責任はCEOからCSOへと委譲されており、CSOの最な重要な役割は、サステナビリティを統合した企業戦略を立案することにあります。また、この段階のCSOは更に自身の権限を各部門に委譲し、意思決定や機能づくりを各部門に委ねることで、全社としてサステナビリティに取り組む体制を構築することが求められます。  この段階にある企業の具体的な例としては、サステナビリティを製品開発・イノベーションにおける機会と捉えているNIKE社などが挙げられます。実際にNIKEの株価は過去15年間で上昇し続けており、2000年時と比較して現在の時価総額は5倍以上となっています。  上記のように、CSOの役割は企業のステージによって変化するものの、一貫して言えることは、企業の長期的価値を守り、高めていくうえで非常に重要な役割を果たしているという点です。 CSOの仕事内容  CSOの仕事内容については、グローバルコンサルティングファームのPricewaterhouseCoopers(以下、PwC)が2012年の10月に公表した”The Sustainability Executive: Profile and Progress”というCSOに関する調査報告書で興味深いデータを公開しています。  PwCがサステナビリティの分野で特に先進的な取り組みを展開しているグローバル企業25社のCSOを対象に実施した同調査では、CSOの業務への時間配分は下記のようになっていると示されています。 Core Business and Operations(事業オペレーションや製品・サービス、調達の改善など):19% Internal Engagement(経営陣とのコミュニケーションや従業員エンゲージメント、組織内部への活動報告など):32% External Engagement(外部ステークホルターの対応、活動報告など):21% Developing Strategy(課題の特定・分析およびサステナビリティ戦略の立案):28%  上記を見ると、先進企業のCSOは幅広い業務の中でも特に組織内部へのエンゲージメントに最も多くの時間を割いていることが分かります。サステナビリティを経営戦略に統合するための経営陣とのコミュニケーションや、実際に戦略を実行する各事業部門や他部門への研修・エンゲージメントなどが重要な業務だと認識されていることが分かります。 CSOの人物像 CSOの人物像についても同じくPwCの報告書に調査結果が記載されており、その人物像をまとめると下記のようになっています。 CSOの出身部門:最も多いのは環境部門。次いで製品・事業部門、法務、マーケティング・コミュニケーション、広報と続く CSOの出身会社:内部からの登用が外部からの登用の約3倍 CSOの性別:男性・女性がほぼ半々 CSOの平均勤続年数:13年  やはりCSOのバックボーンとして最も多いのは環境部門の出身者ですが、製品・事業、法務、マーケティングなど他にも様々な出身者がおり、企業によってCSOに対する期待の重きが置かれている領域が異なるという点や、CSOはより組織横断的な働きが求められるポジションだということが分かります。  また、多くは組織内部からの登用者で、平均勤続年数が13年という点も興味深いデータです。CSOは役割上、組織内外の様々なステークホルダーと連携する必要がありますが、特に組織内の他部門との連携は実際のサステナビリティ戦略を実行に移すうえで非常に重要となります。その意味で、社内に豊富なネットワークを有しており、他部門との調整能力が高い人物の適性が高いポジションとも言えるかもしれません。 CSOの組織構成上のポジション  PwCのレポートによれば、CSOの組織構成全体におけるポジションとしては、CEOからのレポートラインが2段階以内にあるケースがほとんどのようです。一般的には、CEOを中心とする経営幹部層によるサステナビリティ・アドバイザリー・ボードが設置されており、CSOはそのボードの直下に配置され、自身は部署横断で構成されたマネジメントチームを統括し、各部門の活動を管理するという形が多いようです。また、経営幹部層への活動状況のレポーティング頻度としては四半期毎に行っているケースが最も多くなっています。 CSOに求められる要素  それでは、CSOには具体的にどのような要件、素質が求められるのでしょうか?PwCのレポートには各先進企業のCSOからのコメントをまとめた11のポイントが記載されていますが、そのうちいくつかの項目を統合して更に絞り込んでまとめると、下記のようになります。 自社の事業全体に対する深い理解 強固な従業員エンゲージメント 戦略的なビジョンとストーリー コミュニケーションスキル 情熱・忍耐、そして長期的な視点  まず前提となるのが、自社の事業全体、ビジネスモデルに対する深い理解です。それは、環境問題や社会問題といった外部環境を自社の事業に結びつけ、機会を見出す能力とも深く関係しています。また、CSOは自社のサステナビリティに関する様々なデータを基にして意思決定や戦略構築をしていく必要がありますが、そもそもどんなデータを測定するべきなのかといった視点は、事業に対する深い理解がないと得られません。  また、実際の戦略を実行し、成果につなげるにあたって重要なのは、やはり従業員の強いエンゲージメントを引き出す力です。そしてそのためには、具体的な行動意欲を喚起させるような戦略的なビジョンやストーリーの構築力、そしてそれをしっかりと伝えるコミュニケーションスキルが求められます。  そして、組織内外のステークホルダーとコミュニケーションをとるうえで重要なのは、ビジネス言語を話せるか、という点です。より具体的にいうなれば、その活動が具体的にどのように企業の利益や価値に結びついていくのかについて、相手と前提を共有できる力とも言えるでしょう。サステナビリティの重要性を理解していない他部門からの協力を引き出すためには、相手の立場に立ったコミュニケーションが求められます。  最後に挙げたのは、情熱、忍耐、そして長期的な視点です。サステナビリティ活動の多くはすぐに成果が上がるものもあれば、そうではなく長期的な視点に立って活動の成果を図る必要があるものも多くあります。短期的に見れば支出にしかなっていなくても、長期的に見れば現在はあくまで投資期間であり、将来的に大きな企業価値となり跳ね返ってくる取り組みも多いのです。しかし、そうした見通しを各ステークホルダーに説得してもらうのはそう簡単なことではありません。そこにはCSOとしての強い情熱、そして忍耐が求められます。 まとめ  ここまで読んで頂ければ分かる通り、CSOは非常に広範な役割と仕事内容、そして高いビジネススキルが求められるとても重要なポジションだということが分かります。  これらの情報を基にしてCSOを配置しているサステナビリティ先進企業のポイントをまとめると、下記3つが浮かび上がってきます。 勤続年数が長く、社内ネットワークの豊富な人物をCSOに配置する CSOは経営陣や従業員など組織内部のコミュニケーションに多くの時間を割く 企業ステージによってCSOの組織における役割を進化させていく 下記にCSOに関する参考文献も掲載していますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。 参考文献 WEINREB GROUP “CSO BACK STORY II: THE EVOLUTION OF THE CHIEF SUSTAINABILITY OFFICER”(October 2014) Harvard Business School Working Paper “Chief Sustainability Officers: Who Are They and What Do They Do?”(August 2014) PricewaterhouseCoopers “The Sustainability Executive: Profile and Progress”(September 2012)

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2014/12/18 辞書

【アメリカ】企業戦略の要としてますます重要さを増すCSOの役割

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米国サンフランシスコに本拠を置くサステナビリティ・CSR人材専門のサーチファームのWeinreb Groupは10月27日、CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)に関する最新動向をまとめたレポート、”The Evolution of the Chief Sustainability Officer”を公表した。 同レポートによれば、CSOの責任範囲はここ数年で大きく変化しており、組織内部のプログラム管理にとどまらず、経営戦略や製品イノベーション機会の特定、企業内外におけるサステナビリティへの取り組みの指揮など、より企業戦略の要となる役割へと変わってきているという。今回のレポートの調査対象となったのは、米国に本社を置く上場企業にてCSOという肩書で働いている36人のエグゼクティブだ。 また、彼らがCSOに任命された際の平均勤続年数は約10年間で、86%のCSOは社内から抜擢されているという。Weinreb GroupのCEOを務めるEllen Weinreb氏は「今日では、CSOはサステナビリティを事業のあらゆる側面に拡大しており、特にイノベーションおよび外部ステークホルダーからのフィードバックが成長と価値創造につながっている」と語る。また、同氏によれば「この3年間で、CSOに占める女性の割合が2011年の28%から2014年の42%へと52%も増加している」とのことだ。 同レポートによると、この3年間でCSOの役割には大きく下記5つの変化が起こっているという。 組織全体としての利益 CSOの役割は単なる環境・社会活動の実行だけでなく、ステークホルダーと株主に同時に利益と価値を生み出すことに重点が置かれるようになってきている。 イノベーション 従来とは全く異なる基準が求められるサステナブルな製品や製造プロセスへの需要に答えるために、CSOはイノベーションの最先端にいる必要がある。 ステークホルダーとのコミュニケーション CSOは様々なチャネルを通じて積極的に自社のサステナビリティへのコミットメントを伝えることに従事する必要があり、従業員など内部ステークホルダーだけではなく、顧客やメディアといった外部ステークホルダーに対してもサステナビリティ課題に関するコミュニケーションをとることが重要な役割となっている。 組織全体へのアクセス 組織内のヒエラルキーに関わらず、CSOはあらゆる階層の業務に関わり、部門横断で働くことが求められている。事業横断で従業員と協働するところから自社の核となるビジョンや戦略に影響を及ぼすところまでシームレスに動く必要がある。 チームスポーツ CSOとしての成功は、組織全体を通じて複数のチームを注意深く指揮しながらエンゲージメントできるかどうかにかかっている。CSOはサステナビリティを事業のあらゆる側面に統合することで、各事業責任者にサステナビリティ目標達成に向けた権限を与えている。 上記のように、CSOに期待される役割は環境・社会活動プログラムの企画・運営だけではなく、より戦略性と協働性が高い業務へとシフトしてきている。 サステナビリティの企業戦略への統合からイノベーション機会の特定、組織内外ステークホルダーとのコミュニケーション、目標達成に向けた社内全体の巻き込みなど、CSOへ課せられる期待はとても幅広く、その一つ一つが大きなものだ。 また、こうしたCSOの役割の高度化とともに、CSOの女性比率が上がってきている点も興味深い。同レポートは下記からダウンロード可能。 【レポートダウンロード】The Evolution of the Chief Sustainability Officer 【企業サイト】Weinerb Group CSOに関するおすすめ記事 CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)とは? 【戦略】サステナビリティ(CSR)部門責任者の責任と役割

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【アメリカ】SAPのサステナビリティ責任者が語る、統合報告とサステナビリティ戦略

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今回ご紹介する動画は、今年の3月にカルフォルニアで開催されたWSJ ECO-nomicsカンファレンスでの一幕。サステナビリティ関連ニュースメディアTriplePundit.comの記者、Nick Aster氏による、SAPのCSO(Cheif Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)兼副社長を務めるPeter Graf氏へのインタビュー動画だ。 SAPのサステナビリティを牽引するPeter Graf氏が、同社の統合報告における取り組みやサステナビリティ戦略について詳しく語っている。日本語字幕もついているので詳しくは動画を見て頂きたいが、ここではポイントだけを簡単にご紹介していく。 統合報告のメリットについて SAPは統合報告を2012年度からスタートしており、今回の2013年度のレポートは2度目のレポートとなる。統合報告の効果について聞かれたPeter Graf氏は、統合報告をはじめて作成した際に大きな変化があったと語る。同氏は当初、統合報告にそれほど乗り気ではなく、統合報告をするよりも考え方を統合すること(Integrated Thinking:統合思考)のほうが先だと考えていたという。 しかし実際に長い時間をかけて統合報告に取り組む中で、同氏はその大きなメリットを感じることになる。統合報告のプロセスを通じて、普段あまり正面から話を聞く機会がない各部署と議論を深めることができ、CFOや人事責任者、CEOとの議論では、サステナビリティ戦略を事業と切り離して考えるのではなく、「SAPの事業戦略そのものをいかにサステナブルにするのか」を議論できるようになったと同氏は語る。 結果として、統合報告プロセスを通じて社内の議論のレベルが一段上がり、統合報告が統合思考を生むきっかけとなったというのだ。同氏は当初、統合報告を実施するためには前提として統合思考が必要だと考えていたが、実際の順番はその逆で、統合報告というゴールを設定したことで統合思考ができるようになったという自身の経験を教えてくれた。 今後の統合報告のポイント 2013年度のSAPの統合報告レポートは下記から見ることができる。 Integrated Report 2013(HTML) Integrated Report 2013(PDF) Peter Graf氏が今回のレポートの注目点として挙げているのが下記の3点だ。 複数のテーマを組み合わせて分析できる統合ビュー 財務非財務の実績を可視化 将来のリスクと機会は一つに集約 上記の中でも特に目を引くポイントは、1つ目の統合ビューだ。統合ビューと言われてもイメージが湧かないがが、下記ページを見て頂ければ一目瞭然だ。 Our Integrated View SAPが事業の最終目標に設定している売上、利益、顧客ロイヤルティという3つの目標に対し、ESGの各指標がそれぞれどのように関連し、貢献しているのかがインフォグラフィックにより一目で分かるようになっており、優れた可視化の事例だと言える。また、各指標ごとの説明も付記されているので、同社がそれぞれのサステナビリティ目標、活動に対してどのような考えを持って取り組んでいるのかがよく分かる。「サステナビリティ活動は本当に利益につながるのか?」という社内からの疑問への対応に悩んでいる担当者の方にとってもこうした事例はとても参考になるのではないだろうか。 ビジネスモデルの変化と環境面への取り組み SAPの環境面における取り組みは、ビジネスモデルの変化に大きく影響している。同社はクラウド運用における再生可能エネルギーの利用率を100%にすると発表したが、これは同社の現在の状況を考えると、数字以上に大きな意味を持つ。SAPのバリューチェーン全体におけるCO2排出量を上流から下流まで見てみると、実にCO2排出量の90%がサーバー稼働などSAPの製品稼働に伴うものとなっている。 そして、これまではSAPの顧客は自社のデータセンターでSAPのソフトウェアを稼働していたが、同社はHANAという優れたクラウド基盤テクノロジーによりビジネスの主軸をクラウドサービスへと転換したため、今後は顧客のシステムはクラウド上、つまりSAPのデータセンターで稼働し、インターネット経由で提供されることになるのだ。 クラウドとは、ユーザーが自身のサーバーにソフトウェアやデータを置いて利用するのではなく、必要に応じてネットワーク上の共有サーバにアクセスし、そこに置かれているサービスを利用する形態のことを指す。ユーザーは必要量に応じたサーバー利用ができるため、最大利用時を想定した固定のサーバーリソースを用意する必要がなく経済面でも優れていることなどを理由に、現在のIT・ソフトウェア業界において主流となりつつあるサービスモデルだ。 このビジネスモデルの変化により、SAPの製品稼働に伴うCO2排出の分類はスコープ3からスコープ2へと変わり、同社にとっては事業運営に占める環境面の課題がかつてないほど大きくなっているのだ。こうした背景を踏まえると、クラウド運用における再生可能エネルギー利用率を100%まで高めるという発表はとても大胆な目標であることがよく分かる。 再生可能エネルギー100%をどう実現するか 上記のようにクラウド運用を100%再生可能エネルギーで賄うという高い目標に対し、同社はどう取り組むのか。Peter Graf氏は、その方法として下記3つを挙げる。 再生可能エネルギーそのものを自社で生成 再生可能エネルギーを電力会社から購入する、又はクレジットを購入する ファンド方式で排出権を得る 1、2番目の手法はまだ実現できる地域が限られているとしたうえで、同社が積極的に取り組むのは3つ目のファンド方式だ。これはLivelihoods Fundと呼ばれており、投資に応じて排出権が得られる仕組みだ。投資はマングローブ林の再生など様々な環境保護活動に使用される。SAPは既にファンドに参画する他企業とともに100万本以上の植樹を達成しており、それに応じた排出権を得ているとのことだ。 このオフセットがいわゆるREC(Renewable Energy Certificates:グリーン電力証書)と異なる点は、RECの場合は消費電力の相殺にあたるためCO2排出量を何トンでも相殺できるのに対し、Livelihoods Fundは投資に応じた相殺となるという点だ。排出権取引と環境保全・コミュニティ投資を掛け合わせた取り組みとなる。 サステナビリティ戦略に関するオンライン教育 SAPは環境への取り組みだけではなく、社会面のサステナビリティ活動にも積極的で、特に教育における取り組みに熱心に取り組んでいる。同社の教育活動における方針について、Peter Graf氏は「重要なことは、企業の戦略という枠組みにおいては、社会的プログラムであっても、社会に貢献するだけではなく、企業にメリットをもたらすことが求められるということだ」と語り、サステナビリティ活動が長期的に見て自社に利益として還元されることの重要性を強調する。 また、SAPは約1年前からMOOC(Massive Open Online Course:オープン・オンライン教育プログラム)を開設しているが、従来からあるテクノロジー関連のコースに加えて、今年の4月からは同社で初となるビジネス向けコースを開設した。テーマは「Sustainability and Business Innovation(サステナビリティとビジネスイノベーション)」で、1コマ15?20分の授業が34コマで構成され、約6週間で修了できるプログラムとなっている。対象は学生や初心者からサステナビリティのプロフェッショナルまで幅広く、これまで5年以上に渡って業界をリードしてきたSAPのサステナビリティの知見を、過去の成功体験や失敗体験も踏まえて体系化されたプログラムとして提供している。 内容もサステナビリティ戦略の策定方法から、費用対効果とその説明方法、プロセスのあるべき姿、利害関係者の調整方法、報告の方法、統合報告についてなど大変充実しており、プログラムは全て無料だ。実際に同コースは4月19日?6月17日まで開講され、コース初日には10,000人以上、最終日までには15,000人以上の受講者が参加した。現在でも受講可能なので、興味がある方はぜひ見てみて頂きたい。(英語のみ) Sustainability and Business Innovation 事業の成長とサステナビリティは相反するか? インタビュー最後に投げかけられた「経済的に成長すること、成長に固執することは、サステナビリティと常に相反するのか?」という質問に対し、Peter Graf氏は「SAPの長年に渡る事業展開では、成長と環境への悪影響を可能な限り反比例させてきた」と答える。 また、ビジネスの主軸をクラウドに移行しつつある現在はSAPにとってビジネスモデルの過渡期であり、負担は大幅に増えるものの、それは同時にSAPが成長するチャンスでもあると同氏は主張する。実際にSAPは「サステナビリティ」をクラウドによる提供価値の中心に置こうとしており、事業戦略とサステナビリティ戦略の統合を進めている。 他企業と同様にSAPも当然ながら成長への意思があることを前提としたうえで、今後は成長とサステナビリティの最適なバランスを見つけることが鍵を握ると言うのが同氏の考えだ。また、そうすることで経済的成長と環境への悪影響軽減は同時に達成できるが、そのためには成長と環境を橋渡しするための投資が多少は必要かもしれないという。実際にSAPでもデータセンターをクリーン電力に切り替えたことで電力コストは上がったが、そうした取り組みが競争優位性につながると同氏は考えており、SAPでは実際に効率化が更に加速しているとそのメリットを語った。 まとめ SAPにとって、クラウドという新たなビジネスモデルへの転換に伴うサステナビリティ戦略と事業戦略の統合は、新たなビジネスチャンスを獲得するための機会となっている。CO2排出量削減への取り組みに代表されるように、SAPがサステナビリティに積極的に取り組むことは、SAPの製品を利用する顧客のサステナビリティにもつながるため、結果としてサステナビリティという一つの軸が新たな競争優位へとつながっているのだ。 Peter Graf氏の話は同氏が紹介してくれた統合ビューを見れば分かる通り、同社はあくまでビジネスの成長を前提としており、環境面、社会面などサステナビリティへの取り組みが最終的にどのように売上や利益、顧客満足度に還元されていくのか、その活動のビジネス上の意味について真正面から向き合うことで、サステナビリティ活動の質も高めようとしている。 SAPの統合報告や事業戦略、サステナビリティに対する考え方は業界を問わずどの企業にとっても参考になる点が多くあるはずだ。興味がある方はぜひ同社の統合報告ページやオンライン教育コースを見てみてはいかがだろうか? 【企業】SAP 【統合報告ページ】Integrated Report 2013 【Open SAP】Sustainability and Business Innovation 【参考サイト】TriplePundit.com 【参考サイト】Livelihoods Fund

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2014/08/31 最新ニュース

【戦略】サステナビリティ(CSR)部門責任者の責任と役割

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日本のCSR部門の位置づけと役割 日本企業において、CSR部門は部格として存在しているところは少なく、一般的に部門の中の1グループとして設置されています。また、企業ごとにどの部門に属しているかは様々ですが、一定の傾向があります。 社長直下のCSR推進室または環境推進室として設置(臨時委員会的な位置づけ) 監査または内部統制担当部門の1チームとして設置(コンプライアンス重視) IRまたは広報担当部門の1チームとして設置(レポート作成重視) 経営企画室の1チームとして設置(社内での位置づけを確定するまでの措置) 人事部の1チームとして設置(従業員教育重視) 上記の5つのタイプを共通する日本企業のCSR組織体制の特徴として、CSR部門には専任の役員がおらず、大きな権限を与えられていないということが挙げられます。担当役員および担当部長は、主管部署のマネジメントが主な役割で、CSR部門は副次的に位置づけれていると言えます。また、社長直下のCSR推進室がCSR推進委員会をまとめる場合も、社長は会社全体の責任者として多忙であり、CSR部門を日常的にマネジメントすることはできず、年1回または半年1回の委員会でのアジェンダをとりまとめ、委員会開催後の伝達だけを時限的に担うケースが多いです。そのため、CSR担当の役員や部長はCSRに関する明確なミッションや具体的な数値目標にコミットしているケースは多くはありません。 海外でのサステナビリティ部門責任者の責任と役割 アメリカを中心とした海外でのサステナビリティ部門責任者の実態は、サステナビリティ情報サービス企業のGreenBizや、大手監査法人PwCがレポートとしてまとめています。(GreenBizレポート、PwCレポート) 組織構成 昨今、欧米企業ではサステナビリティ担当の責任者として、Chief Sustainable Officer(CSO), Vice President of Sustainability, Director of Sustainabilityという専任の上級職を置くケースが増えています。ご覧のように、役職の名称として、CSRを使うことは今日少なく、Sustainabilityが一般的に用いられています。CSOの社内のマネジメント階層の中の位置づけとしては、CEOポジションから2つ下、すなわち最高経営会議に参加するエグゼクティグに対してCSOがレポートするのが今日では大半です。中にはCSOがCEOに対して直接レポートをするCEO-1のクラスの場合もあります。 ミッション サステナビリティ部門の役割もここ数年で大きく変化してきています。以前は、環境部門もしくはコミュニティ部門のいずれかの事案のみを担当しているケースが多かったですが、現在は環境・コミュニティの双方を管掌することが一般的です。そして、CSOは、今日の責任として、 サステナビリティ戦略の立案 課題の分析と特定 各部門と従業員への働きかけ といった、全社規模のプランニングと導入・装着を挙げています。彼らは全社規模での改善ポイントと数値目標を定め、それを各部門と連携しながら(動かしながら)、その目標を達成することに責任を負っているようです。 また将来重要となる責任として、  社外パートナーとの関係構築 社内業務の継続的な改善 が挙げられています。ライフサイクルアセスメントやGHGモニタリング、CSR調達が進んでいる欧米では、今後、調達元や販売チャネルといった外部パートナー、さらには戦略とモニタリングをともに実行するための外部NPOパートナーとの協力という段階に入っていっているようです。 予算 サステナビリティ部門が独自予算を持つことも増えてきています。予算の使途として最も一般的なのは、エネルギー・水の消費量、GHG排出量、水使用量、廃棄物排出量のモニタリング・データ計測をするためのシステム導入です。それ以外でも外部のNPOパートナーに対して業務委託費を支払うケースも増えてきています。 サステナビリティ責任者の過去の経歴 サステナビリティ部門責任者の大学・大学院での専攻は、上位職になればなるほど、MBAなどマネジメント関連の割合が増えていきます。担当者のレベルでは、マネジメント専攻、エンジニア専攻、環境学専攻がほぼ同数となり、様々な専門分野の担当者が協力している様子が想像できます。また、サステナビリティ部門責任者・担当者の過去の職務経歴としては、過去に環境マネジメントを行っていた人が多少比較的多いですが、マーケティング、オフィス管理、製造管理、コンプライアンスなどバックグランドは様々です。サステナビリティのみのキャリアの人は2013年でも全体の10%にすぎません。また、転職が一般的な欧米であったとしてお、サステナビリティ部門責任者のうち社外からの採用者は約30%にとどまり、残りの70%は社内からの昇格または異動によって任じられています。サステナビリティは社内の各部署との連携、細かい業務理解が必要となることから、社内をよく知っていて社内からの信頼が厚い人がサステナビリティでの重責を担っているようです。 サステナビリティ業務の難しい所 サステナビリティ部門が抱える課題感としては、社内の他の優先案件に対して以下に最高経営会議の関心を勝ち取っていくかを上げる人が多くいます。全社規模のプロジェクトを動かす必要のあるサステナビリティのミッションでは、社内の上級ポジションの人からの支援が成否を左右しています。また、仕事をする上での心理的な辛さとしては、仕事の性質が社内の既存のやり方に踏み込んで改革を促さなければいけないものが多いため、「嫌われやすい」「忍耐力が必要」「強いパッションが必要」という人も多くいます。情熱を持ち、数値にも強く、社内からの信頼を得ていて、トップクラスの役員を動かす力を持たなければ仕事が務まらないサステナビリティ部門には、社内で多くの実績を積んできた優秀なベテランが配置されているようです。 文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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2014/02/02 体系的に学ぶ
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