【国際】Science Based Targets(SBT)に114社が加盟。科学的根拠に基づくCO2排出削減目標を推進

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 地球の気温上昇を2℃未満に抑える上で科学的に必要とされるCO2排出量に基づく削減目標の設定を推進している国際イニシアチブ、Science Based Targetsイニシアチブ(SBT)は12月8日、参画企業が当初の目標だった100社を上回り、114社に拡大したと公表した。  Science Based Targetsによると、参画企業らによるCO2排出量の合計は少なくとも年間4億7,600万トンにのぼり、南アフリカや石炭火力発電所125カ所分の年間排出量に相当するという。この数値は、114社による意欲的な排出量削減のコミットメントが、いかに気候変動の緩和に多大な貢献ができるかを示している。また、114社の2014年度の総利益は少なくとも9,320億米ドルとなっており、全体の約4分の1は米国、英国、フランス、カナダに本拠地を置いているとのことだ。  Science Based Targetsは、企業の気候変動対策に関する情報開示を促進しているCDP、WRI(World Resources Institute、世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)、国連グローバルコンパクトの協働による取り組みだ。科学的根拠に基づくCO2排出基準を決めており、企業の削減目標は厳しい基準を満たした場合にのみ承認される。  既に承認を得ている企業は、コカ・コーラ・エンタープライズ、デル、エネル、ゼネラルミルズ、ケロッグ、NRGエナジー、P&G、ソニー、タリス、ファイザーの10社で、これらの企業の目標値を合算すると、10社の事業運営から排出されるC02の削減量は7億9,900万トンにおよぶ。  各社の具体的な目標設定としては、ケロッグは2020年までに排出原単位(製品1トンを製造する際のCO2排出量)を2015年比で15%削減、また2030年までにバリューチェーンによる絶対排出量を2015年比で20%削減、さらに長期目標として2050年までに自社の絶対排出量を2015年比で65%削減し、同期間のバリューチェーンによる絶対排出量を50%削減するという目標を設定している。  また、NRG エナジーは2030年までに絶対排出量を2014年比で50%削減、長期目標としては2050年までに90%削減を目標に掲げているほか、IT大手のデルは自社施設および物流において2020年までに2011年比で50%の排出削減、そして同年までに製品ポートフォリオのエネルギー排出原単位の80%削減を目標としている。  今や、グローバル企業にはただ自社の事業やバリューチェーンから排出されるCO2排出量を削減するだけではなく、科学的な根拠に基づいて必要となる削減量を達成することが求められている。それはすなわち非常に意欲的な削減目標を掲げることを意味するが、一方では、科学的根拠に基づく目標設定を行うことで「なぜ」その目標を達成する必要があるのかという理由が明確になるため、ステークホルダーに目標達成の意義を共有し、協力を得やすいというメリットも生まれてくる。  Science Based Targets に参画している114社のうち、現状日本企業は電通、本田技研工業、花王、コニカミノルタ、日産自動車、リコーの6社のみだが、今後さらに多くの企業が参画し、野心的な目標設定を自社の新たな事業機会へと変えていくことを期待したい。 【加盟企業一覧】Companies taking action 【参照リリース】114 Companies Commit to Set Ambitious Science-Based Emissions Reduction Targets 【団体サイト】Science Based Targets

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【アメリカ】グローバル食品企業のCEOら、共同で各国政府に対して気候変動合意を要請

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 マース、ユニリーバ、ゼネラル・ミルズ、米国ネスレ、ケロッグ、ベン&ジェリーズ、ダノン米国など世界有数の食品メーカーのCEOらは10月1日、米国および世界各国の政府に向けた共同書簡を公表した。書簡の中で、CEOらは企業として責任ある気候変動アクションをとることを誓約すると同時に、政府に対しても同様に今年の12月のCOP21で強力な国際合意を実現するよう求めている。  同書簡をとりまとめたのはサステナビリティ分野の国際アドボカシーNGOのセリーズで、今回書簡に署名した企業は政策立案者らと共にエネルギー・気候変動関連規制の強化を推進しているセリーズのBusiness for Innovative Climate and Energy Policy(BICEP)の会員企業らだ。BICEP企業らが共同でCOP21における国際合意を公式に訴えるのは今回が初めてとなる。  IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最新の報告書によれば、気候変動による悪影響は既に世界の食品サプライチェーン上に現れており、世界各地で価格上昇やそれに伴う社会不安が起こっているという。とりわけ温度変化に敏感な麦の収穫量が減少しつつあり、2030年までにより幅広い農作物への影響が予想されるとのことだ。  グローバル食品メーカーのCEOらは書面の中で、自社のサステナビリティ活動の更なる拡大や他企業との協働、科学に基づく実現可能なCO2排出削減量の目標設定への注力などを宣言している。  また、これらの企業は既に自主的な気候変動アクションとして様々な取り組みを進めている。例えばマースは2040年までに事業オペレーション上から全ての化石燃料の使用を廃止すると宣言しており、2015年末までに2007年比でCO2排出量を25%削減するという目標達成に向けて順調に進捗している。ネスレは2015年までに生産単位あたりの直接CO2排出量を2005年比で35%削減するという目標を設定しており、ゼネラル・ミルズも先日、今後10年でバリューチェーン全体における温室効果ガス排出絶対量を28%削減するという目標を公表している。  このように、農作物の調達価格やボラティリティの上昇など気候変動の影響を大きく受けることが予想されるグローバル食品メーカーの多くはこの問題を喫緊かつ明確なリスクとして認識しており、具体的に行動に移しているのが現状だ。企業がリーダーシップを発揮する中、各国政府は様々な利害調整を乗り越えて国際合意に至ることができるのか。12月のCOP21に注目が集まる。 【書簡ダウンロード】Dear US and Global Leaders 【参照リリース】Global Food Companies Unite On Climate Action 【団体サイト】Ceres

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【アメリカ】空気中のCO2をナノ炭素繊維に転換する新技術が公表。ジョージ・ワシントン大学

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 米ジョージ・ワシントン大学の研究者らは8月19日、空気中のCO2をナノ炭素繊維に転換するという新技術を公表した。取り出された炭素繊維は将来的に産業用の建材や消費財への活用が見込まれるほか、気候変動に歯止めをかける可能性がある革新的な技術として注目が集まっている。  新技術の研究を主導しているのはジョージ・ワシントン大学のStuart Licht教授だ。同氏によると、研究チームの試算では同技術をサハラ砂漠の10%(約100万平方km)の広さに導入すれば、10年以内に大気中のCO2を産業革命以前のレベルにまで削減することも可能だという。  また、大気中のCO2から取り出した炭素繊維はその強度と軽量さから航空機や自動車などの産業用建材からスポーツ用品に至るまであらゆる用途への活用が見込めることから、同氏はこの新技術を「diamonds from the sky.(空からやってきたダイヤモンド)」だと表現している。  なお、研究チームらは炭素繊維を取り出すための電解合成プロセスに高効率の太陽光エネルギーシステムを使用している。再生可能エネルギーの利用により電力使用によるCO2排出をなくし、結果としてCO2の取り込みによりトータルで大気中のCO2削減を実現するだけではなく、試算によればこのシステムによるナノ炭素繊維の生成コストは1トンあたり約1,000米ドルで、システム維持コストを遥かに上回る価値の炭素繊維を生成できるとしている。  現状このシステムは実験段階で、Licht氏は今後の課題として安定した大きさの炭素繊維を取り出すための改善の必要性を挙げつつも、「現在規模を急速に拡大しており、まもなく1時間あたり数十グラムの炭素繊維を取り出せるようになるだろう」と語る。  同技術が本格的に大規模展開可能となれば、大気中のCO2を削減し、気候変動に歯止めをかける大きな一手となりうる。今後の研究の進展に期待がかかる。 【参考サイト】Licht Research Group 【参照リリース】'Diamonds from the sky' approach turns CO2 into valuable products 【団体サイト】The George Washington University

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【環境】COP21パリ会議の論点 〜気候変動枠組み条約の経緯と現状〜

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 今年の12月にパリで開催される予定の第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)。先進国だけでなく、これまで開発途上国とされてきた国々にも温室効果ガス排出量削減を求めるため、京都議定書に取って代わる新たな枠組みとなると、世界中の注目を集めています。この会議の結果次第で世界が将来的にどの程度気候変動を防ぐことができ、また既存の気候変動の影響を軽減できるかが決まるとまで言われています。  1994年に気候変動枠組み条約が発効されて以降、毎年締約国会議(COP)が開催されており、今年で21回目となる気候変動枠組み条約締約国会議。これまでどのようなことが決められてきたのか、そして今回は何がテーマ・論点となるのかご存知でしょうか。今回は気候変動枠組み条約締約国会議のこれまでの変遷、そしてCOP21の位置づけとは何かをご紹介します。 ※COP21の論点のみご覧になりたい方はこちらからジャンプできます。 「気候変動枠組み条約」とは?  まずはそもそも気候変動枠組み条約とは何かについてご説明します。155カ国の署名の下に採択され、1994年に発効となった気候変動枠組み条約は、「地球温暖化防止に向けて大気中の温室効果ガスの濃度を安定させる」ことを目的としており、また2000年までに温室効果ガス排出量を1990年の水準に戻すことを目標(努力目標)として掲げました。  同条約の締約国は 附属書I国(先進国および経済移行国) 附属書II国(先進国) 開発途上国 に分類され、先進国たる日本は附属書I国および附属書II国に該当しています。この附属書締約国に対しては以下の3つの義務が課せられました。 温暖化防止のための政策措置 排出量等に関する報告 開発途上国への資金供与および技術移転  また同条約においては飽くまで「2000年までの目標」を掲げるに留め、2000年以降の目標については翌年以降の通常会合に託されました。気候変動枠組み条約の条文において「締約国会議の通常会合は、締約国会議が別段の決定を行わない限り、毎年開催する」と明言されており、この通常会合が締約国会議(COP)なのです。 気候変動枠組み条約締約国会議(COP)の変遷および各会合の論点  それでは実際に各会合においてどのようなことが話し合われてきたのかを説明していきます。 COP1 (ベルリン会議) -1995年-  気候変動枠組み条約締約の翌年に開催された第1回締約国会議では、各国が気候変動枠組条約だけでは気候変動問題の解決には不十分であるという認識で一致し、2000年以降の排出量について目標を立てていくことが合意されました。  そして以下の2点 第3回締約国会議(COP3)までに先進国の目標や具体的な取り組みについて取りまとめること 開発途上国には新たな約束を課さないが条約上の既存の約束を再確認し、その履行を促すことが「ベルリン・マンデート」として決定されました。 COP2 (ジュネーブ会議) -1996年-  同会議では、排出量目標の各国一律化や、目標達成に必要な措置などについて話し合われたものの目立った合意には至らず、各国の取組み状況やベルリン・マンデートの進捗確認に留まりました。 COP3 (京都会議) -1997年-  この第3回会議こそが言わずとしれた「京都議定書」が採択された会議です。京都議定書では先進国に対して具体的な温室効果ガス削減目標が定められると共に、開発途上国に対しても活動形態が定められました。また、2008〜2012年を第一約束期間とし、先進国全体の温室効果ガスの合計排出量を1990年比で5%削減することを目標としました。これ以降2004年のCOP10まで京都議定書の詳細に関する議論が続きます。 COP4 (ブエノスアイレス) -1998年-  続く第4回会議では数値目標を達成するための手法として「京都メカニズム」などの運用ルールがCOP6までの決定事項とされ、「ブエノスアイレス行動計画」として採択されました。 COP5 (ボン会議) -1999年-  前回採択されたブエノスアイレス行動計画が翌年2000年に向けたものであるため、同計画に基づき京都メカニズムや遵守問題の詳細について話し合われました。 COP6 (ハーグ会議) -2000年-  COP4にて採択されCOP5でも話し合われきたブエノスアイレス行動計画に則り、本会議での京都メカニズム等に関する運用ルールの決定が目指されましたが、アメリカ・日本などのグループと英国・途上国などの意見対立により会議は中断となってしまいました。 COP6.5 (ボン会議) -2001年7月-  COP6.5以前の同年3月に、自国経済への影響が大きいとしてアメリカが京都議定書からの離脱を表明したため、最大排出国であるアメリカと中国を欠いた形になってしまいます。この後7月に開催されたCOP6.5においてEUなどの歩み寄りによって、アメリカや中国を除きながらも京都メカニズムや森林吸収源、途上国問題について合意(ボン合意)に至ります。 COP7 (マラケシュ会議) -2001年10月-  COP6の三ヶ月後にモロッコのマラケシュにて開かれたCOP7では、マラケシュ合意 が為され、京都メカニズムなど京都議定書の詳細な運用ルールが採択されます。 COP8 (デリー会議) -2002年-  京都議定書に向けたさらなる働きかけが為されました。 COP9 (ミラノ会議) -2003年-  CDMなど京都議定書の積み残しルールについての決定が為されました。 COP10 (ブエノスアイレス会議) -2004年12月-  COP10より1ヶ月前2004年11月にロシアが京都議定書に批准し、京都議定書の発効条件であった 55か国以上の締結 締結した附属書I国の合計の二酸化炭素の1990年の排出量が、全附属書I国の合計の排出量の55%以上 の両方をついに満たし、翌年2月より京都メカニズムが実質的に動き出すことが決定しました。そんな歓迎ムードの中で開催されたCOP10では、途上国の適応策やポスト京都(京都議定書第一約束期間以降)など次の段階に関する話し合いが持たれました。 COP11&CMP1 (モントリオール会議) -2005年-  前述の通り同年2月より京都議定書が発効したことを受けて、COP(気候変動枠組条約締約国会議)と共にCMP(京都議定書締約国会議)が開催されました。COP11&CMP1では、ポスト京都枠組が第一約束期間後(2013年以降)も切れ目なく続くよう、今後期限を設けずに検討を続けることを合意しました。また気候変動枠組み条約には批准しつつも京都議定書からは離脱しているアメリカとの対話も開始されました。 COP12&CMP2 (ナイロビ会議) -2006年-  COP12ではポスト京都に関する公式交渉を2007年から始めることを決定しました。さらにCMP2では、いかなる国の義務にも繋がらないことを明示した上で2008年に京都議定書の見直しを実施することを決定しました。 COP13&CMP3 (バリ会議) -2007年-  COP13およびCMP3では「バリ・アクションプラン」としてアメリカ、中国、インドなどを含む全ての主要排出国が2013年以降の枠組みの構築作業に参加することが合意されました。また、ポスト京都の枠組みについては2009年の合意に向けて議論されました。 COP14&CMP4 (ポズナニ会議) -2008年-  COP13に引き続き、2009年末の合意に向けた議論が進められました。 COP15&CMP5 (コペンハーゲン会議) -2009年-  第一約束期間に批准していなかったアメリカ、中国、インド含む主要国も2013年以降のポスト京都に参加するとし、各国が自主的に目標を設定・登録して、その達成状況を国際的に相互検証する枠組みの合意に向けて議論が進められましたが、全ての国のコンセンサスを得ることができず、この「コペンハーゲン合意」は留意という形なりました。 COP16&CMP6 (カンクン会議) -2010年-  COP16では世界の平均気温の上昇幅を産業革命前比で2℃未満に抑えるという長期目標を置く「カンクン合意」がアメリカや中国を含む形で正式合意されました。これにより各国が掲げる自主目標がそれぞれの2020年までの行動を規定するようになります。下の図からもアメリカと中国の温室効果ガス排出量が世界の排出総量に占める割合が非常に大きい(2009年時点)ことがわかり、これら大国を含めた合意は着実な前進と言えるでしょう。 (the guardian World carbon dioxide emissions data by country: China speeds ahead of the restより抜粋)  ところが、当初目標とされていたポスト京都の新たな枠組みについての合意はなされず、飽くまでCOP17への繋ぎとしての役割という見方もあります。 COP17&CMP7 (ダーバン会議) -2011年-  COP17では「ダーバン合意」として、気候変動に対し2020年以降全ての国に適用される法的枠組みの構築に向けた道筋をつけ、その枠組みが構築される2020年までの取り組みの基礎となるカンクン合意を実施するための仕組みの整備が為されました。  また、京都議定書の第二約束期間の設定方針などについても合意されましたが、日本、カナダ、ロシアは第二約束期間に参加しないことを表明しました。これにより、日本は第一約束期間である2012年までは京都議定書に則って行動するものの、2013年以降はカンクン合意で掲げた自主目標を基に行動することとなります。 COP18&CMP8 (ドーハ会議) -2012年-  COP18を以って、京都議定書第一約束期間が終了したため、気候変動枠組み条約について成果を上げるためにポスト京都の枠組みに関する議論や検討をしてきた「長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)」もその役割を終えました。  また、クリーン開発メカニズム(CDM)については、京都議定書の第二約束期間に参加しない国であっても2013年以降のCERを原始取得することが可能となりましたが、共同実施や国際排出量取引によるクレジットの国際的な獲得・ 移転は、第二約束期間参加国のみに認められることとなりました。 COP19&CMP9 (ワルシャワ会議) -2013年-  COP19では、「全ての締約国が参加する公平で実効性のある新たな法的枠組」を2015年末のCOP21で採択し、2020年に発効させること、そしてそのために可能であれば2015年3月末までにそれぞれの国が掲げた自主削減目標や計画を提示することが「ワルシャワ合意」として決定しました。  ところが現状これら各国が掲げる自主削減目標の総和は、COP16のカンクン合意において示された「世界の平均気温の上昇幅を産業革命前比で2℃未満に抑える」のに充分とは言えません。そこで削減目標の基準年や達成の時期、算出や評価の方法など詳細は、COP20までの決定事項となりました。  その他、開発途上国の目標達成のための資金支援についても定められ、先進国は2014年早期に資金を支援することが取り決められました。 COP20&CMP10 (リマ会議) -2014年-  COP20は2020年以降の新たな国際枠組みを、2015年のCOP21で採択するため、基本事項を決めることを目的としていましたが、各国の目標提出時期や温暖化の影響を軽減する対策などは明らかにされず、曖昧な表現となりました。  また、先進国が隔年報告書に記載する支援についての情報を増やすことや、緑の気候基金(GCF) への初期動員(100億USドル)を歓迎する等が採択されました。 気候変動枠組条約締約国会議におけるパリ会議(COP21)の立ち位置と論点  ここまで見てきた気候変動枠組条約とその締約国会議で話し合われた削減目標を基準年別にまとめると次のようになります。 気候変動枠組み条約      :2000年までの目標 COP1〜2           :2000年以降の目標 COP3〜10 (京都議定書)    :2008〜2012年の目標 COP11〜16 (ポスト京都[1]) :2013〜2020年の目標 COP17〜21 (ポスト京都[2])  :2020年以降の目標  今年12月にパリで開催されるCOP21は当然ポスト京都(2020年以降)における削減目標の達成に向けた話し合いになるわけですが、既に先進各国が離脱した京都議定書はほとんど存在感を失っており、今回主題となるのは先のCOP17において「COP21で採択する」と決めた「全ての締約国が参加する公平で実効性のある新たな法的枠組」についてです。  COP21では各国から提出された自主削減目標に基づき2020年以降の枠組みが確立します。つまり、各国がどの程度前衛的な削減目標を掲げるか次第で世界の将来的な気候変動防止・影響軽減の度合いが決定するというわけです。  そんな今回のパリ会議で主な論点として挙げられるのは次の6つです。 これまで「先進国」と「途上国」といったグルーピングはどうあるべきか 自主目標であってもいかに実効性を担保するか 温暖化の影響を軽減する対策を目標に含めるかどうか 資金支援は誰が誰におこなうか、また資金支援目標額どのように扱われるべきか 「透明性」(報告、評価)の仕組み 排出量削減目標の法的形式  継続成長を保ちたい開発途上国の論理と自国経済のみへの負担を避けたい先進国の論理がぶつかり、大きなうねりを生んでいます。12月のCOP21に向けて各国がどのような削減目標を打ちたて会議に臨むのかに注目が集まります。

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2015/08/07 体系的に学ぶ

private 【食品・消費財】組織変革に寄与するサステナビリティ 〜ユニリーバに学ぶ長期成長戦略とは〜

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 オランダのマーガリンメーカーのマーガリン・ユニ社とイギリスの石鹸メーカーのリーバ・ブラザーズ社が経営統合し、設立されたユニリーバ社。現在は業界だけでなく世界を代表する企業の一社となるまで成長し、ブランド力はもちろんのこと、サステナビリティの観点でも世界をリードする企業となっています。今回はそんな同社がサステナビリティ活動を核とした経営の実施にいたった背景や、実際の活動内容、そしてその効果に迫ります。 サステナビリティに仇なす存在と考えられていた過去  現在はサステナビリティ先進企業と言われるユニリーバ社ですが、以前は社会起業家に仇なす存在だと考えられていました。事実、2000年にアイスクリームブランドのベン&ジェリーズを買収した際には、社会起業家の築き上げた「社会性」を浸食する存在として非難されたほどです。  ベン&ジェリーズは買収される以前より、業界のパイオニアとしてダブルボトムライン(経済性および社会性)を追求し、社会的価値を追求する姿勢が高く評価されていました。ところがその後ベン&ジェリーズは社会性こそ革新的であるものの、経済性すなわち収益が思うように上がらず、株価もピーク時の半分にまで低下するなど経営が逼迫していきます。経営状態は悪かったもののベン&ジェリーズの潜在的収益性に目を付ける企業は少なくなく、いくつかの企業が買収に乗り出しました。その際に最高値を入札し買収を成功させた企業がユニリーバ社でした。  かくしてベン&ジェリーズは子会社化されたもの、ユニリーバ社の管理下に置かれるのは飽くまで財務・オペレーションであり、本社とは独立した取締役会の下で創業者らの掲げてきたソーシャルミッションに基づき運営されることが約束されました。実際、ユニリーバ社はベン&ジェリーズ基金への寄付、従業員へのボーナス、マイノリティの経営する中小企業や資金不足の企業への支援にそれぞれ500万ドルずつ提供しています。それにも関わらず、創業者にとって「不本意な売却」というイメージが広く流布してしまい、社会起業家を落胆させることとなってしまったのです。 長期業績不振に喘ぐグローバルカンパニー  その後はユニリーバ社自体も業績低迷に喘ぎます。グローバル展開を進めつつも、国ごとに幅広く商品展開した結果、全社レベルでの製品ポートフォリオが複雑になり合理性を欠くようになったため、製造における規模の経済も機能しなくなってしまいました。  そこで2005年に「ワン・ユニリーバ (One Unilever)」という方針を打ちたて、保有ブランドのグローバルでの統一化と製造工程における生産性向上を図ります。結果、純利益を大きく伸ばすことに成功しました。しかしこの方策はコスト体質の改善にこそ寄与したものの、売上そのものを大きく伸ばすには至りませんでした。 (2000〜2008年アニュアルレポートに基づきニューラル作成)  このように長期わたる業績停滞は株主からの強いプレッシャーを招き、同社は当時ITシステムや社員教育といった長期的に競争力をもたらすであろう分野への投資を諦め、短期的な業績向上を追求せざるをえない状況にありました。 サステナビリティを核とした長期成長戦略の標榜  長きにわたる業績停滞に加え、さらにリーマン・ショックで業績は落ち込みます。不景気に喘ぐユニリーバでしたが、Paul Polman氏のCEO就任を機に風向きが変わり始め、現在ではサステナビリティと収益向上を両立し世界からの賞賛を浴びています。それではその長期成長戦略の全容および10年間の財務分析結果からはじき出される同社のサステナビリティ活動の有用性、さらにはこの戦略がいかに日本企業にも適しているかについて見ていきましょう。  まずPaul氏は2009年の就任と共に (more…)

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2015/07/29 事例を見る

【ブラジル】ダウ・ケミカル、2016年リオ五輪に向けて持続可能な農業慣行を支援

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 オリンピックの公式化学会社でリオ五輪大会組織委員会の公式カーボンパートナーでもあるダウ・ケミカル(以下、ダウ)は7月14日、2016リオ五輪におけるカーボンフットプリントの削減に向けて、同社のアグロサイエンス部門、ダウ・アグロサイエンス・ブラジルが地元マットグロッソ州の農家らとともに持続可能な農業慣行を推進する共同プロジェクトに取り組んでいると発表した。  今回発表されたSustainable Agriculture project(持続可能な農業プロジェクト)は、同社がブラジルおよび中南米で展開している"Sustainable Future(持続可能な未来)"プログラムの一環だ。ダウは、精密農業のリーディングカンパニー、Farmers Edgeおよびブラジルの灌漑管理会社、Irrigerと協働のもと、エネルギー効率化技術や低炭素ソリューションを活用して温室効果ガス排出量削減に取り組み、ブラジルの持続可能な農業慣行を推進している。  同プロジェクトの目的は、環境負荷を最小化しながらとうもろこしや大豆の生産性を最適化することだ。これらの作物の主要産地であるブラジルマットグロッソ州の農家らは、衛星画像や正確な収穫・利益データ、徹底的な土壌サンプリング、実験室での解析、気候モニタリング、変動レート技術の専門家による収穫プランや目標設定といったサービスを受けることができる。同プロジェクトにより削減される温室効果ガス排出量は、ダウが掲げている「リオ五輪に向けて温室効果ガスをCO2換算で約50万トン削減する」という目標の一助となる。  ダウ・アグロサイエンス・ブラジルで代表を務めるWelles Pascoal氏は「生産性を向上させ、収穫量を増やすことはリオ五輪におけるサステナビリティ目標を達成する上で非常に重要だ。このプロジェクトは科学の力で世界のニーズに応えるというダウ・アグロサイエンスの使命と一致している」と語る。  また、リオ2016組織委員会においてサステナビリティ・レガシー責任者を務めるTânia Braga氏は「ブラジル経済にとって農業は重要である同時に最大の温室効果ガス排出源でもある。持続可能な取り組みを行う機会はいくらでもある。炭素削減プログラムはリオ五輪大会の重要なレガシーのひとつであり、大会後もブラジルに大きな利益をもたらすだろう」と語る。  2014年のソチ五輪における"Sustainable Future"プログラムの成功に続き、ダウは2014年、リオ五輪の公式カーボンパートナーに選ばれた。リオ五輪の開催から生まれる温室効果ガスをCO2換算で50万トン削減するというコミットメントに加え、ダウおよびリオ2016は、2026年までにさらに150万トンの温室効果ガス削減に取り組む予定だ。 【参照リリース】Dow Implements Sustainable Agriculture in Brazil as Part of Carbon Mitigation Program for the Rio 2016 Olympic Games 【企業サイト】The Dow Chemical Company

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【アメリカ】コカ・コーラ・エンタープライズ、2020年までにCO2排出量を半減へ

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 米大手飲料ボトラーのコカ・コーラ・エンタープライズ(以下、CCE)は6月9日、今年で10年目となるCorporate Responsibility and Sustainability Report(企業の社会的責任とサステナビリティに関する年次報告書)を公表し、これまでで最も野心的となる2020年目標を発表した。同社が掲げた新たなサステナビリティ目標には、環境や健康、社会に至るまで幅広いテーマが盛り込まれている。2020年までの主な目標は下記の通りだ。 2020年までにCCEの全商品において1リットルあたりのカロリーを10%削減する 2020年までに自社事業のCO2排出量を半減させる 2020年までに同社が使用するペットボトルの40%をリサイクルペットボトルもしくは再生可能な素材由来のものとする 毎年250,000人の若者のスキル開発・学習支援を行う  今回CCEが大胆なカロリー削減目標を掲げた背景には、過剰なカロリー摂取と肥満に関する消費者の懸念の高まりがある。また、同社はこれまでも人々の健康支援を行ってきたが、2020年までに対象を300万人まで拡大する。  CCEの会長兼CEOを務めるJohn F. Brock氏は「我々は10年にわたるサステナビリティへの取り組みがもたらした成果を誇らしく思うが、依然としてやるべきことは多く残されている。我々の新たなコミットメントは環境、社会課題の双方を包含しており、我々の消費者の生活向上にもこれまで以上に力を入れていく。もし我々が長期に持続可能なビジネスを築いていきたいのであれば、自己満足に浸る余地はなく、これらの意欲的な目標はサステナビリティ分野において業界をリードするという我々の望みを反映したものだ」と語る。  また、同報告書では2020年までに向けた目標だけではなく、これまでのサステナビリティ活動の実績についてもまとめられている。同社は2007年以降CO2排出量を絶対量で29%削減し、ペットボトルの3分の1をリサイクルペットボトルに切り替えている。今回CCEが掲げたペットボトルのリサイクルおよび再生可能な素材の利用に関する2020年目標も上記の流れを汲んだもので、同社は今後もバリューチェーン全体における循環型経済への移行に向けたイノベーションを加速させる予定だ。 【レポートダウンロード】Corporate Responsibility & Sustainability Report 【参照リリース】Coca-Cola Enterprises Announces Most Ambitious Targets to Date in 10th Corporate Responsibility and Sustainability Report 【企業サイト】Coca-Cola Enterprises (※写真提供:kevin brine / Shutterstock.com)

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【国際】世界120の機関投資家CEOら、COP21での長期CO2排出削減目標の合意を呼びかけ

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 合計12兆米ドルの資産を運用している世界の機関投資家のCEOら120人は5月26日、各国の財務相宛に今年12月のCOP21で締結される気候協定に長期的なCO2排出削減目標を盛り込むよう強く求める公開書簡"For the attention of the Finance Ministers of the Group of Seven"を公表した。世界中の投資家が一丸となり、初めてCOP21における長期CO2排出削減目標の合意、および各国に対する短・中期排出削減目標およびアクションプランの提出を呼びかけた。  同書簡では「気候変動は投資家が直面する最も大きなシステミック・リスクの一つであり、政策関係者が適切なシグナルを発することで、低炭素・気候変動に強い投資の活性化が実現できる」としており、投資機関、政策関係者間における気候変動緩和に向けた調和の必要性に言及している。  また、気候変動緩和に向けた取り組みを後回しにすれば「より厳しい対策が後々に必要となる上、エネルギー関連投資に伴うリスクが膨らむ」と警鐘を鳴らしているほか、同書簡は平均温度上昇を2度以内に抑えるためにCOP21を重大な第一歩として位置づけており、「長期的排出削減目標を含めた協定により、我々は将来の低炭素社会に向かって軌道に乗ることができる」とCOP21の重要性を訴えた。  今回の投資機関による公開書簡は昨年9月に開催された国連気候変動サミットを前にして合計24兆米ドルの資産を運用する360以上の投資家が積極的な協定の策定を求めた"Global Investor Statement on Climate Change"に続くものだ。投資家、企業と市場からはCOP21での長期削減目標策定を切望する声が続々と上がってきている。COP21まで残り半年を切り、さらに各界から積極的な動きがありそうだ。 【参照リリース】120 CEOs Managing $12 Trillion Urge Finance Ministers to Support a Long-Term Emissions Reduction Goal in Global Climate Deal 【公開書簡】For the attention of the Finance Ministers of the Group of Seven 【団体サイト】Institutional Investors Group on Climate Change

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【国際】炭素価格制度の市場規模、約500億米ドルに到達

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 世界銀行グループおよびEcofysは5月26日、世界の炭素価格制度の現状についてまとめた報告書、"Carbon Pricing Watch 2015"を公表した。同報告書によると、排出される炭素量に応じて排出価格を設定する炭素価格制度の市場規模は全世界で500億米ドル近くに達したという。  これは、世界各地で実施されている既存の炭素税制度の140億米ドルに加え、新たに韓国で始まった排出権取引制度や米国カリフォルニア州、カナダのケベック州のキャップ・アンド・トレード制度の拡大により、世界の排出権取引制度の市場が2014年の320億米ドルから2015年には340億米ドルまで増えたことが起因しているとのことだ。  世界銀行グループの副頭取を務めるRachel Kyte氏は「チリやメキシコなどの国々が炭素税を導入するなど、炭素価格制度は明らかに勢いを増している。炭素価格はもはや導入するかしないか、いつ始めるかといったことは問題ではなくなっている。12月にパリで開催予定の気候変動サミットに向け、企業と政府はこれまで平行線を辿ってきたが、現在となっては、どのように、そしてどれだけ早く正しい炭素価格を設定できるかを協同で模索している。もはや炭素に価格を設定することは避けられなくなってきている」と語る。  同報告書は、ここ10年間で炭素価格制度の市場規模は着実に拡大していると指摘しており、2014年の年初以降の広まりを肯定的に評価している。炭素税の仕組みはフランス、ポルトガル、メキシコで始まり、チリでも法案が通過した。また、韓国では排出権取引制度が実施されたほか、中国では湖北省、重慶市においてキャップ・アンド・トレード制度の試験的運用が始まっており、2016年には国全体の排出権取引制度が開始する予定だ。さらに、カナダのオンタリオ州も炭素税制度の導入を計画しており、カリフォルニア州やケベック州の制度と連携していく予定だ。  この動きは世界中で広まっており、2015年には世界の温室効果ガス排出量の約4分の1を担っている約40ヶ国と20以上の都市、州、地域が炭素価格制度の導入を進めているとのことだ。  なお、同報告書は今年公表予定の詳細な報告書”State and Trends of Carbon Pricing 2015”の簡易版で、他にも民間セクターによる炭素税の取り組みも紹介されている。興味がある方は下記からダウンロード可能。 【参照リリース】Carbon Pricing Initiatives Valued at Close to US$50 billion 【レポートダウンロード】Carbon Pricing Watch 2015 【機関サイト】World Bank Group 【企業サイト】Ecofys

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【ランキング】BrandZ「最も価値のあるグローバルブランド トップ100」に学ぶ業界別の代表的サステナビリティ

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 市場において競争に勝ち抜いていくための競争。マーケティングの権威と言われるマイケル・ポーター・ハーバードビジネススクール教授は、競争戦略の基本として、コストリーダーシップと差別化を提唱し、その概念は今や広くビジネス界に浸透しています。差別化とは、提供する財・サービスを他社のそれとにはない「付加価値」をつけるということ。企業が多種多様な「付加価値」を提供することで競争力を獲得しようとしています。この「付加価値」のあり方は様々です。価格や製品・サービス特性という付加価値もあれば、温室効果ガス排出量が少ないなどといった環境配慮型の経営方針も、一つの付加価値と言えます。  サステナビリティと付加価値。植林活動などがサステナビリティの代表事例だと思われていた時代には、両者は無関係だと思われていましたが、今やこの二つは密接に結びついてきています。事実、サステナビリティ戦略の目的を「付加価値の獲得」としている企業は多く、その戦略の策定に「クライアント・消費者」が最も影響を及ぼしていると認識されていることが、EY新日本サステナビリティ社とGreenzbiz社の合同調査によって明らかにされています。  「消費者」からの視点から、世界のブランドをランキングした代表的なものに、Millward Brown社が発表している“BrandZ Top100 Most Valuable Global Brands (最も価値のあるグローバルブランド トップ100)”があります。世界中の企業のブランド力を定量化しランキングにしたものであるため、マーケティング専門家の間では広く認知されています。今回はこのランキングで上位に入った企業がどのようにサステナビリティ戦略と「付加価値」を結びつけようとしているのか、その実態に迫ります。 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成) BrandZ 業界別上位企業とその対応 アパレル 自動車 ラグジュアリー トイレタリー 小売 ビール ファストフード ソフトドリンク 金融(銀行・保険) 石油・ガス テクノロジー 通信 アパレル (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者にとって情報を得るチャネルは、店舗だけでなくオンライン検索にまで拡大しました。消費者は、かつてないほどの膨大な情報を収集し、数ある商品の中から自分が最も価値を感じるものを選ぶようになってきています。上位を獲得した企業は、自らが選ばれるための付加価値のひとつとして、サステナビリティの分野でも凌ぎを削っています。  アパレル業界の主なサステナビリティ戦略は大きく分けて2つです。 サプライチェーンの改善 衣服に使われる資源のサステナビリティ向上  例えば、サプライチェーン改善のために、ナイキはサステナビリティの分野への関心が高く、長期的良好関係を築けるサプライヤーに調達先を限定しています。また、H&MはILO(国際労働機関)の定める国際労働基準および国連児童権利条約に基づいてCode of Conductを作成し、日々サプライヤー工場を訪問し、親密な関係を構築しています。(※1)さらに、これら2社だけでなくユニクロブランドを持つファーストリテイリングも2020年までに自社製品の製造工程すべてにおいて有害化科学物質を全廃することを約束しており、サプライチェーン改善に取り組んでいます。(※2)  資源のサステナビリティ向上の分野では、H&MはBetter Cotton Initiative(コットンのサステナビリティ向上に取り組む国際NPO)の活動に積極的に取り組んでいます。同社は2010年時点でオーガニックコットンを世界で最も多く利用した企業となり、2020年までに持続可能なコットンの調達を100%にするという目標を掲げています。2013年時点での進捗は15.8%で、毎年着実に比率を高めています。  ナイキのCSO(最高サステナビリティ責任者)・H&M担当社へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】ナイキが語る「サステナビリティ」と「イノベーション」 【スウェーデン】H&Mの考えるサステナビリティとファッション 自動車 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  自動車の売上高は、米国や中国では好調なものの、ヨーロッパの経済低迷が尾を引き、不況前の水準には戻っていません。また、各自動車の製品クオリティは全体的に向上している一方、ブランドとしての差別化は徐々に難しくなってきています。  自動車業界の主なサステナビリティ活動は大きく分けて2つです。 製品性能の改善 サプライチェーンの改善  現在、自動車メーカー各社は、エンジンの性能の向上に努めており、稼働効率や温室効果ガス排出量ともに以前と比べ改善されてきています。しかしながら、排ガス規制や燃費向上に関する規制は年々厳しくなっており、製造工程も含めたサプライチェーン全体での取組が求められるなど、社会からの要求レベルは上がっています。実際、気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPが発表している報告書では、(1)自動車の走行中の温室効果ガス排出量、(2)次世代車両技術への取り組み、(3)製造時の温室効果ガス排出量 の3つの基準で各社が評価付けされています。(※3)  また、自動車メーカーにおけるサプライチェーン改善には、製造工程で発生する温室効果ガスの削減だけでなく、サプライチェーン上の人権問題も関わります。例えば、トヨタやフォードはガイドライン(The Automotive Industry Guiding Principles to Enhance Sustainability in the Supply Chain)を策定しています。同ガイドラインはサプライチェーン全体を通じて、社会、環境面の改善に取り組み、持続可能な形で成長を実現していくという高い基準のコミットメントを明確に示しており、特に倫理・環境・人権・労働に焦点が当てられています。(※4)  自動車業界各社が上記のような活動を行う中、特にBMWはBrandZの自動車業界で2位にランクインするだけでなく、ダボス会議で発表されている「世界で最も持続可能性のある企業100」でも総合6位を獲得するなど、サステナビリティの分野においても先進的企業だといえます。活動内容としては前述のものに加えて、ドイツのハンブルグ市の交通インフラに関するサステナビリティ向上プロジェクト(※5)や、アルミニウムのバリューチェーン全体におけるサステナビリティ向上を目的とする国際イニシアチブなどに参画しており(※6)、自社の事業に関わるサステナビリティ分野で広くリーダーシップを発揮していることが伺えます。 ラグジュアリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  ラグジュアリー業界は中国やブラジル、ロシアなどの景気停滞を受けて、ほとんどのブランドがブランド価値を下げる結果となりました。特に中国の影響は大きく、売上の1/3をアジア・パシフィック地域が占めているプラダなどは前年比で大きく収益やブランド価値を下げています。  さらに、ミレニアル世代はラグジュアリーブランドを「高い」と感じており、謙虚でサステナブルな生活を望む彼らのニーズに合致しづらくもなっています。MSL Groupの調査結果によると、ミレニアル世代の多くは、企業に対し消費者が社会的な課題に関われるようにしてくれることを望んでいることがわかっています。  ラグジュアリーブランドが全ての客層をターゲットにしているわけではないとはいえ、ミレニアル世代の経済圏は決して無視できるものではなく、サステナビリティ活動が新たな活路になることも考えられます。  そのようなラグジュアリー業界において、中心となっているサステナビリティ活動はサプライチェーンの改善です。例えば、グッチを抱えるファッション・コングロマリットのケリングは、自社およびグループ全体のサプライチェーンにおける環境への影響を計測し、金銭的な価値に置き換える自然資本会計を導入しています。(※7)それにより事業活動に対する理解を深め、環境負荷を減らすだけでなく原材料の調達リスクを含めたサプライチェーンの変化に対応することを可能にしています。  他にもジュエリーを取り扱うティファニーは、CSO(最高サステナビリティ責任者)を設置するだけでなく(※8)、ダイヤモンド産出国への積極的な投資によりサプライチェーンの健全性を維持する傍らで現地雇用の創出、スキルトレーニングなどを通じて地域経済にも貢献しています。同社はジュエリー業界の中でも珍しくダイヤモンドや貴金属を供給する鉱山の多くと直接取引を行っており、2013年には100%のダイヤモンド原石の調達を自社の目が行き届く採掘場所から行うことを実現しました。(※9)  一方で、ルイヴィトンをはじめ数多くのラグジュアリーブランドを抱えるLVMHグループやエルメスは、大手アパレル企業がサプライチェーン上で講じている有害物質除去・水質汚染対策の取り組み状況を評価した、グリーンピース・イースト・アジア公表のオンラインプラットフォーム「Detox Catwalk」で、コミットメント不足という評価をされてしまっています。(※10) トイレタリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  トイレタリー業界のグローバル大手は、製品性能そのものだけでなく、消費者および従業員の幸福といったサステナビリティ活動に本格的に取り組み始めています。  この理由は消費者の目が成熟してきていること、ミレニアル世代の存在、ソーシャルメディアの影響力の高まり等様々ですが、より崇高なビジョンを掲げることが製品の差別化に繋がっていると言えるでしょう。  そのためブランド各社、これまで理想像とされてきた美ではなく、健康やナチュラルさ、内なる美などを強調するようにもなってきています。消費者の選択性が強くなっていることや中国・ブラジルの成長鈍化などを受け、業界全体のブランド価値は昨年比2%しか伸びていませんが、消費者の目が成熟していることはサステナビリティ展開の追い風となると言えるでしょう。  トイレタリー業界は市場ニーズも相まってサステナビリティ活動が多岐にわたっています。 サプライチェーン改善 ダイバーシティの尊重 再生可能な原料の利用 再生可能エネルギーの利用 温室効果ガス削減 サーキュラーエコノミーの推進(廃棄物ゼロ&リサイクル) コミュニティ支援  例えば、ロレアルはSharing beauty with allというプロジェクトを実施し、全サプライヤーを社会・環境面での実績で評価することを宣言。結果として2014年末には2004年比で57%ものCO2削減に成功しています。また同プロジェクトでは再生可能エネルギーにも取り組んでおり、2020年の目標達成に向けて邁進しています。(※11)また、障がい者採用も積極的に行っており、社会に対して新たな機会を創出しています。(※12)CSR担当者向けITツールも積極導入しサステナビリティレポート作成に取り組んでいます。(※13)  「ダブ」ブランドの商品を持つユニリーバは、サステナビリティ戦略を積極展開していることで世界的に有名です。2010年にUnilever Sustainable Living Planというプロジェクトを開始、2020年までにビジネス規模を2倍にしながら環境負荷を減らし、社会にポジティブインパクトをもたらすことを目指しています。その達成に向けて同社は、サプライヤーやコミュニティの支援、貧困の撲滅に取り組むべくNGOと協力し気候変動への対応を呼びかけるキャンペーンや、リサイクル促進のために消費者家族に向けたキャンペーンを展開しています。  2015年現在、ユニリーバが調達する農作物原材料の55%以上は持続可能な形で調達されており、2020年までに100%持続可能な調達を実現するという目標を半分以上到達しています。さらに、同社は工場ネットワーク全体で非有害廃棄物の埋め立てをゼロにするという目標を達成したほか、2008年と比較して製造時にエネルギーから生まれるCO2排出量と水消費量をそれぞれ1トンあたり37%、32%削減することにも成功しています。(※14)  こうした試みもあって、サステナビリティ分野のアドボカシーNPOのセリーズが5月に発表した大手食品会社らの水リスク対応力を評価したランキングでユニリーバは1位を獲得したほか(※15)、国際NGOのオックスファムが3月に公表した大手食品・飲料企業10社の食糧課題・サステナビリティへの取り組み状況を評価したランキングにおいても1位、サステナビリティ分野のコンサルティング企業のSustainly社に公表した「ソーシャルメディア・サステナビリティ・インデックス」でも1位を獲得しています。(※16)  ユニリーバが全業界的に先進的であるために、同業者でサステナビリティ活動に遅れをとっている企業は何から始めればいいかを戸惑うかもしれません。そういった場合、まずはサプライチェーンの改善から取り組むべきだと言えます。サプライチェーンの見直しは、リスク管理になるだけでなく業務効率の向上も期待できるため、部門を超えて理解が得やすく、また数値的な効果も比較的見えやすいからです。  ユニリーバCEO、副社長そして、「ニベア」ブランドを持つバイヤスドルフ社のCorporate Communications & Sustainabilityを統括する副社長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【イギリス】ユニリーバのCEOが語るサステナビリティへのコミットメント 【イギリス】サステナビリティ目標の達成に向けてユニリーバが導入した新たな仕組みとは? 【ドイツ】世界を代表するスキンケアブランド「NIVEA(ニベア)」を支えるサステナビリティ戦略 小売 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  Alibabaの登場により、業界全体のブランド価値が急成長しているのが小売業界です。興味深いことに業界トップを走る二社はどちらもeコマースであり、実店舗を持っている企業ではありません。以前は価格、選択の幅、利便性のそれぞれがトレードオフであったものの、現在はこれらのeコマースを通し全ての便益を享受できるようになりました。来る高齢社会に向けてeコマースの存在は必要不可欠なものとなっていくでしょう。  小売業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 再生可能エネルギーの利用 再生可能な材料の利用 サプライチェーン改善  たとえば、アマゾンは国際NGOのGreenpeaceによる抗議活動を受けて、昨年11月にクラウドサービス部門、AWS(Amazon Web Service:アマゾン・ウェブ・サービス)に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達するという誓約を発表し、大きな一歩を踏み出しました。(※17)しかし、その透明性については疑問視されており、風力発電によって生み出された100メガワットの電力を購入する計画を発表したものの、AWSがいまだ再生可能エネルギー比率が2%しかなく、これからの取組みに期待が寄せられます。(※18)  他にも、サステナビリティ先進企業として知られるIKEAは、自社および自社製品のサステナビリティ向上を通じて消費者の毎日の生活をより持続可能なものにするというビジョンの下、再生可能エネルギー投資を加速しており、その具現化が進んでいます。(※19) また同社は、LED技術を活用した省エネの追求やリサイクル可能な材料を利用することで、自社製品のサステナビリティを担保しつつ、手頃な価格を維持しています。(※20)  同じく実店舗を保有するウォルマートも、サプライヤーと協働によりサステナブル素材でできた商品の開発をしています。(※21)それだけにとどまらず、3月にサステナブルな商品だけを集めたオンラインショップを開設し、より一層の意気込みを見せています。(※22) ウォルマート会長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】「消費者はサステナビリティのためにより多くを支払うか?」に対するウォルマート会長の答え ビール (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国と南米の消費量の増大により、消費者からのブランド価値が向上しています。ミレニアル世代はビールの味において、間違いのないものよりも新感覚を欲しており、ビールメーカー各社はブランド内の商品ラインナップの拡充や、他社買収・ブランド開発による新ブランドの確立などの対応を迫られています。  それぞれのビールブランドには固有のアイデンティティーがありますが、時折クラフトビールの方がメジャーブランド以上に巧みなストーリーテリングでアイデンティティーの確立に成功しています。  そういったストーリーテリングとしての役割をも果たすのがサステナビリティ活動です。ビール業界が主に展開しているのは次の2つです。 サプライチェーンの改善 水の利用効率の改善  例えばハイネケンはストーリーテリングを通して同社のサステナビリティに対する取り組みをより多くの消費者に知ってもらおうと、ソーシャルメディアなどを活用したユニークなデジタルキャンペーンを展開しています。同社は2020年までに主要な原材料の50%を持続可能な調達にすることを宣言しているほか、新興国の水のサステナビリティに向けてUNIDO(国連工業開発機関)と協働で解決に取り組んでいます。(※23) 実際にハイネケンが行っているストーリーテリングの詳細は以下をご覧ください 【オランダ】ハイネケンが仕掛けるユニークなデジタル・サステナビリティ・ストーリーテリング ファストフード (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  マクドナルドの事件を受け、食の安全への関心が一層の高まりを見せています。ヘルシーかどうか、サプライチェーンは倫理的か、環境への責任を考えているか、そういった関心ある消費者にとってファストフードは不充分だと感じられてきています。  消費者の期待に応えるため、ファストフード企業各社も材料の調達からメニュー、店舗での経験価値を検討し直しています。ファストフード業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 サプライチェーンの改善 コミュニティ支援 ダイバーシティ  例えば、食の安全性に関する事件に揺れたマクドナルドは、今年3月に抗生物質を使用していない鶏肉のみの調達、rbSTと呼ばれる人工成長ホルモンが投与されていない牛の低脂肪ホワイトミルクと無脂肪チョコレートミルクを提供など、原材調達に関する新たな方針を発表しています。(※24)  他にもスターバックスは、CSRを単独の行動ではなく企業のDNAそのものとしており、水不足に対処するため水の供給源をカリフォルニア州からペンシルヴァニア州に変更するなど節水に取り組んでいます。(※25)また恵まれない若者を対象に就業プログラムを提供するなど地域コミュニティにも貢献しています。  ダイバーシティに関しても退役軍人を採用するだけでなく、アメリカ国内で白人警官による黒人射殺事件が発生した際には、顧客に手渡すカップに “Race Together”というメッセージを書き、消費者間における人種問題についての会話を促すキャンペーンも実施しています。(※26)  さらに、対内的には従業員の学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担するなど従業員にも細やかな対応が見られます。(※27) ソフトドリンク (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者が人工甘味料を避けるようになり、ダイエットコークやエナジードリンクの消費量はあまり増えていません。長きにわたりコーラが人気であった中国やインド、メキシコ市場にも健康や肥満への問題認識が高まってきています。市場ニーズに応え、メジャーブランドは商品ラインナップの拡充や製品工場の見直し、生産工程におけるカーボンニュートラルなどに取り組み始めています。  ソフトドリンク業界が主に行っているサステナビリティ活動は次の2つです。 水の利用効率の改善 コミュニティ支援  たとえば最大手のコカ・コーラは2020年までの水資源保護目標を掲げ、進捗状況を公開しています。(※28)同社は世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを締結し、この水資源保護にグローバルに取り組んでいます。(※29)  また同社の持つロジスティクスを活かし、「100万人の就学児童に安全な飲料水を届ける」というプロジェクトも展開。(※30)それだけでなく医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」をも展開し地域コミュニティの支援にも貢献しています。  さらに技術革新により世界初の100%植物性由来のペットボトルを開発することにも成功し、環境・社会面への正の影響の向上、食品の安全性に対する悪影響の回避というコカ・コーラの基本原則の下、強固なブランドを築き上げています。(※31)  コカ・コーラの地域コミュニティ支援の詳細は以下をご覧ください 【アフリカ】コカ・コーラ、アフリカで医薬品を供給する「ラストマイル・プロジェクト」を10ヶ国へ拡大 【アラブ首長国連邦】1ヶ月で200万人が視聴。コカコーラが始めた新キャンペーン”Hello Happiness” 金融(銀行・保険) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  グローバルに展開する銀行は、世界を不況に陥れたことが明らかになり、依然として社会から厳しい目で見られています。他方、ローカルに展開する銀行は、世界的な金融危機の際に、悪事に加担していないとみられたことからグローバルバンクと比べて社会的信用力が高いとされており、現在業界全体での成長性はローカル銀行の方が高くなっています。  また、保険業界は、提供するサービスのコモディティ化を避ける取り組みを展開しています。また、中国では生命保険は急成長している業態で、中国の保険会社らが牽引し業界全体での成長率は高くなっています。  金融業界が長期的な視点に基づく投資として主に取り組んでいるサステナビリティ活動は以下の3つです。 ESG投資 グリーンボンド リスク管理  ESG投資としてはUNPRI(国連投資原則)に署名し、今まで特殊な資産運形態とみなされていたESGを、通常のアセット運用でもリスク管理のひとつに加えていく動きが加速しています。また、気候変動の原因となる温室効果ガスの主たる排出元セクターに対する投資を長期的な観点からリスクと認識し、再生可能エネルギーファンドへの出資も大きなトレンドです。  グリーンボンドの発行分野では、例えば、モルガン・スタンレーは昨年10億円規模のグリーンボンド案件に関わるなどで貢献しています。(※32)  またリスク管理としては、ERP(統合リスク管理)やバーゼルⅢで検討されている銀行の資産健全性の強化などが挙げられます。  ESG投資に関する詳細は以下をご覧ください。 【金融】世界と日本のSRI・ESG投資最前線 石油・ガス (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  アメリカのシェールガス革命や中国の景気の減速を受けて原油価格が低下したため、上流ビジネスである石油の採掘は控えられるようになっています。このような事態を受けて業界各社は、比較的利益率の低い下流ビジネスの製油所やガソリンスタンドの見直しに注力する結果となりました。  資源が直接収益に繋がる石油・ガス業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動は温室効果ガス排出量の削減です。  たとえば英国エネルギー大手のBPは4月の年次総会で低炭素経済の実現に向けた事業の変革を促すための株主提案であるResolution 25を可決しました。この決議案の中には、温室効果ガス排出削減マネジメントによりCDPのパフォーマンスバンドでA評価を獲得することや、ポスト2035シナリオに向けたアセットポートフォリオのレジリエンス強化、低炭素エネルギーのR&Dや投資戦略策定などが含まれています。(※33) テクノロジー(消費者・法人向け) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  テクノロジー業界は、競争と移り変わりが激しく、それぞれのブランドにとって消費者を安心させロイヤリティを高めることがより重要となってきます。BrandZ総合ランキングのトップ4は全てテクノロジー企業が占めており、その影響力の高さが伺えます。  テクノロジー業界はそれぞれの企業の提供しているサービスが多岐にわたりそれぞれの企業が強みを活かしたサステナビリティ活動を展開していますが、主なものは次の3つです。 サプライチェーン改善 再生可能エネルギー ビッグデータを活用したサステナビリティ活動のサポート  例えば、アップルはサプライヤー19カ国633施設での監査及び3万人の従業員に電話インタビューを実施し、サプライヤー規範に則したサプライヤーのみと契約を継続しています。実際2014年時点で規範に違反する18社との契約を解除しています。(※34)それだけでなく、同社は初めて有害物質のポリ塩化ビニル(PVC)と臭素化難燃剤(BFRs)を外部ケーブルも含む全製品から取り除いた企業でもあります。(※35)  また、同社は国際NGOのGreenpeaceの抗議活動を受けて再生可能エネルギーへの投資も行っており、太陽光発電所や再生可能エネルギー100%のデータセンターの建設などが進められています。(※36)アップルに並び業界を代表するグーグルも風力発電ファンドを組成し、再生可能エネルギーへの投資を進めており、グリーンインターネット化が推進されています。(※37)  SAPはToyota Info Technology Center USA、VeriFoneと共同でドライバーのガソリンスタンド探しをシンプルにするプロジェクトを推進し、無駄なエネルギー消費の削減に取り組んでいます。これら3社はそれぞれの技術を活かし、車両の位置やルート、燃料レベルなどの情報収集、POSソリューション、テレマティックスデータを統合しソリューションを提供しています。(※38)  IBMは食品大手のMarsと提携しグローバルサプライチェーンにおける食の安全の確保に取り組んでいます。(※39)同じく食に関わるものとしては農業のサステナビリティ向上のためにビッグデータ解析ソリューションを提供もしています。(※40)さらには、市民一人一人から寄付されたコンピュータの空き容量を集め、仮想スーパーコンピュータを創りだし、科学者に気候変動関連オープンデータ分析のために無料で提供するといったプロジェクトのコーディネートも行っており、自社の強みをサステナビリティに活かす好事例といえるでしょう。(※41)  これらテクノロジー企業を代表するアップルの環境イニシアチブ担当副社長、SAPのサステナビリティ責任者へのインタビューおよびオラクルのサステナビリティ戦略に興味のある方は以下をご覧ください。 【アメリカ】アップルはどのようにサステナビリティ先進企業になったのか? 【アメリカ】SAPのサステナビリティ責任者が語る、統合報告とサステナビリティ戦略 【アメリカ】オラクルのサステナビリティ戦略 通信 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国やインドでのスマートフォン利用者の拡大を受けて、通信業界では巨大市場を押さえるためのM&A等が進んでいます。またIoTへのインフラ投資といった将来への投資機会にも恵まれています。一方でインターネット・プロバイダーがネット回線での通話を可能にするなど新たな競合の参入という事態にも直面しています。  そのような通信業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動はエネルギー利用効率の改善です。  たとえばAT&Tはエネルギー効率化や省エネを目指しIoTを推進しています。しかし一方でIoTの進展は、電子廃棄物の増加という新たな問題を生むことを危惧されてもいるのも事実です。(※42)また同社は、ダイバーシティの促進に積極的なことでも知られ、ダイバーシティがビジネスにもたらす利益について周知することを目的とする組織DiversityIncからも、ダイバーシティへの取り組みに積極的な上位50社に選ばれ、見事トップ10入りを果たしています。(※43)  他にもVerizonはアメリカ国内において教育水準の低い24の地域の教師に対し、モバイル通信記述を活用した教育メソッドを提供し、地域コミュニティに貢献しています。(※44) 総論  今回のBrandZのランキングは中国の景気減速を示しつつも、中国企業の台頭を明確に示すものとなりました。市場のグローバル化に伴い、新興国企業がグローバル市場での新たなプレーヤーとして登場するなど、今後製品性能や価格戦略による差別化はますます厳しさを増していきます。  その中、BrandZに選定されている企業の投資パフォーマンスは2006年からの10年間で102.6%上昇しています。これはS&P 500の63%、MSCIの30.3%よりはるかに高く、消費者視点でのブランドがいかに企業にとって重要なものかを物語っています。  そのBrandZにランクインする各業界トップ企業のサステナビリティ戦略を参考にすることで、より現実的な路線でそれぞれの企業が自社の事業領域の中でどのように責任を負い、またその責任を全うするためにどのような行動をしていくべきかが見えてくるでしょう。

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2015/06/18 体系的に学ぶ
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