【ヨーロッパ】BMW、ユミコア、Northvolt、EVバッテリー・リサイクル技術開発で協働体制発足

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 自動車世界大手独BMWグループは10月15日、ベルギー金属大手ユミコア、スウェーデンのリチウムイオン電池受託製造大手Northvoltと協働し、電気自動車(EV)向けバッテリーのリサイクル向けた欧州規模のコンソーシアムを発足したと発表した。EVバッテリーのサーキュラーエコノミー化に向けた技術開発を進める。「EU Battery Alliance」を設立したマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員も支持を表明した。  今回のコンソーシアムは、複数段階で技術開発を狙う。まず、EVバッテリーをリサイクル可能な素材や製造方法で生産する体制を築く。製造に用いる電力の再生可能エネルギー電力とする。次に、EVバッテリーの製品需要を拡大する。そして、使用済EVバッテリーを蓄電施設等でのバッテリーとしてリサイクルできるように、廃棄物にならないようにする。  EUは現在、EV推進だけでなく、サーキュラーエコノミー推進、再生可能エネルギー推進も同時に進めている。この市場環境を活かし、BMWグループらは、欧州はEVバッテリー・リサイクル技術開発を進める戦略的ポジションにあると判断した。  BMWグループは、今回の取組に合わせ、2019年夏に「バッテリーセル・エクセレンス・センター」を設立。バッテリー技術開発だけでなく、サステナビリティに配慮した調達体制も同時に検討する。Northvoltは、BMWグループの支援を受け、量産段階前の生産ライン研究施設「Northvolt Labs」を拡張する。再生可能エネルギーを用いた製造ライン実現も検討内容に含める。EVバッテリーの電極を開発するユミコアは、電極に用いる化学物質を、リサイクル用に分解しやすい素材や製造方法を模索する。再生素材の活用も検討する。 【参照ページ】BMW Group, Northvolt and Umicore join forces to develop sustainable life cycle loop for batteries.

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【国際】「2050年までに水素が全世界エネルギーの2割供給可能」トヨタ、エア・リキード参画の水素協議会

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 トヨタ自動車や本田技研工業、独ダイムラー、仏エア・リキード等が2017年1月に設立した「水素協議会(Hydrogen Council)」は11月13日、気候変動枠組み条約ボン会議(COP23)の場で、2050年までに水素エネルギーが世界の全エネルギー需要の約2割を賄えるとするレポートを発表した。同レポート作成では、戦略コンサルティング世界大手マッキンゼーが協力した。  水素協議会は、水素を利用した新エネルギー移行に向けた共同ビジョンと長期目標を提唱する国際イニシアチブ。2017年1月17日に発足。トヨタ自動車と仏エア・リキードが共同議長。他の発足時参加企業は、本田技研工業、川崎重工業、韓国の現代自動車、独ダイムラー、独BMWグループ、仏アルストム、化学世界大手独リンデグループ、原油・ガス世界大手英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、仏トタル、仏電気・ガス大手エンジー、資源世界大手英アングロ・アメリカン。その後、岩谷産業、独アウディ、米GM、仏自動車部品大手プラスチックオムニウム、ノルウェー原油大手スタトイルも加わり、さらに賛助会員として三菱商事、三井物産、豊田通商、カナダHydrogenics、カナダBallard Power、米プラグ・パワー、米True Zero、米WLゴア&アソシエイツ、仏ファウレシア、伊Faber Cylindersが賛助会員として参画。水素協議会は、各国政府などに水素エネルギーの利用を働きかけ、5年間で100億ユーロ(約1兆3,000億円)を超える投資を計画している。  今回のレポートでは、2050年までに世界の全エネルギー需要のうち約20%を水素エネルギーが供給でき、これにより現状より二酸化炭素排出量を年間6Gt削減できるとした。これは2016年の米国の排出量合計5.5Gtを上回る。また、パリ協定達成のために必要な削減量のうち20%を貢献できるとまとめた。また、2050年までの経済効果は2.5兆米ドル(約278兆円)で、合計3,000万人分の雇用創出効果があると試算した。  水素エネルギーの需要面では、2030年までに水素エネルギーで動く燃料電池自動車(FCV)やトラックは1,000万台から1,500万台となると予測。さらに建物の暖房や工業加工等でも水素エネルギーが使われるようになると見通しを示した。水素の年間需要は2050年までに10倍となり、80EJまで向上。最終エネルギー消費に占める割合は2050年までに18%となるだろうと述べた。また、世界人口が2050年までに20億人以上増加した場合には、水素エネルギーが持続可能な成長を実現するカギとなるとの見方も示した。  この実現に向けた投資額は、2030年まで毎年200億米ドルから250億米ドルが必要となり、合計で2,800億米ドル(約31兆円)。世界全体では毎年石油・ガス分野に6,500億米ドル、再生可能エネルギー電力に3,000億米ドル、自動車産業でも3,000億米ドル、エネルギー全体では合計1.7兆米ドルが投じられており、水素エネルギー分野に2030年までに2,800億米ドル投資することは実行可能だとした。 【参照ページ】HYDROGEN, SCALING UP – NEW ROADMAP LAUNCHES AT COP 23 【レポート】Hydrogen scaling up

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【ランキング】2016年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能性のある企業100社」

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※最新年度版は【ランキング】2018年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能性のある企業100社」へ  毎年恒例の世界経済フォーラム(通称ダボス会議)。1月20日から23日までスイス・ダボスで開催され、日本からも大臣が複数名参加しました。同フォーラムのひとつの目玉は、サステナビリティの観点で世界各国の企業を評価する“Global 100 Most Sustainable Corporations in the World” (Global 100 Index)のセッション。ここで発表された結果は、カナダの出版社Corporate Knights社によって「世界で最も持続可能性のある企業100社」(ランキング)として発表されます。2016年の顔ぶれはどうだったでしょうか。 Global 100 トップ10 (CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成) 昨年に引き続きトップ10にランクインしたのは、 BMW ダンスク銀行 レキットベンキーザーグループ の3社のみ。今年はトップ10の企業が大きく変化しました。特に注目なのは、米国企業が0社となり、変わってシンガポールから2社が入っています。これまでトップ10の常連であったバイオジェン・アイデック(アメリカ)の名前がなくなったのも印象的です。 また、日本でも知名度の高い以下のような企業もランクインしています。 13位 コカコーラ (アメリカ 食品) 14位 ロレアル (フランス 化粧品) 20位 H&M (スウェーデン 消費財) 22位 フィリップス (オランダ 電機) 35位 BNP パリバ (フランス 金融) 38位 インテル (アメリカ 半導体) 42位 シーメンス (ドイツ 電機) 44位 LG電子 (韓国 電機) 47位 ユニリーバ (イギリス 消費財) 48位 ダイムラー (ドイツ 自動車) 57位 シスコシステムズ (アメリカ ハードウェア) 59位 ジョンソン・エンド・ジョンソン (アメリカ 医薬品) 60位 ノキア (フィンランド ハードウェア) 68位 レノボグループ (中国 ハードウェア) 70位 GE (アメリカ 電機) 76位 アクセンチュア (アイルランド IT) 78位 プルデンシャル (アメリカ 金融) 80位 武田薬品工業 (日本 医薬品) 81位 プジョー (フランス 自動車) 84位 アップル (アメリカ ハードウェア) 88位 シスメックス (日本 医療機器) 89位 ネスレ (スイス 食品) 92位 Adobe (アメリカ ソフトウェア) 94位 サムスン電子 (韓国 電機) 95位 アステラス製薬 (日本 医薬品) 96位 HP (アメリカ ハードウェア) 97位 日産自動車 (日本 自動車) 98位 ノバルティス (スイス 医薬品)  日本からは、武田薬品工業、シスメックス、アステラス製薬、日産自動車の4社が入りました。毎年数を減らしていた日本企業は昨年の1社から今年は4社へと挽回しました。一方、昨年日本企業で唯一入っていたエーザイは今年はランクインできませんでした。 Global 100 地域別社数ランキング (CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成)  ヨーロッパ、北米の企業で80社となり、昨年に引き続き欧米で8割を占めました。 (CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成)  今年の変化ポイントは、昨年躍進した北米が数を減らし、一方でアジア・太平洋の数字が戻ったことです。では続いてアジア・太平洋の中身を見ていきましょう。 Global 100 アジア内国別ランクイン社数ランキング (CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成)  過去5年間ランクイン数を大きく減らしてきた日本が今年やや回復したことで、アジア・太平洋の数が戻っています。また、シンガポールの数は年々増え、ついに今年はTOP10の中に2社が入るまでになりました。日本と同数の韓国企業も、日本の最高ランクが武田薬品工業の80位だったのに対し、新韓フィナンシャルグループ(18位)、ポスコ(40位)、LG電子(44位)、サムスン電子(94位)と多くが日本企業を上回りました。中国大陸企業のレノボも昨年の初ランクインに続き今年も維持、73位から68位へと順位を上げました。 ランキングの基準①(4つのスクリーニング)  Global 100の選出方法は昨年からの変更はありません。まず、毎年10月1日時点において時価総額20億米ドル以上の企業が自動的に評価対象となります。その後に4段階のスクリーニングが行われ、そのスクリーニング基準を満たさない企業はその時点でランキング対象から除外されます(但し、昨年のGlobal 100ランクイン企業は、制裁スクリーニングに引っかからない限り、自動的にランキングの対象となります)。それを通過した企業のみにスコアリングが為され、ランキングされていきます。スクリーニングは以下の4点により行われます。 サステナビリティ情報開示 財務状況 製品カテゴリー 制裁 1. サステナビリティ情報開示  まず最初にスクリーニングがなされるのは、サステナビリティ情報の開示の有無によってです。開示情報は以下の12項目に分類されます。 エネルギー生産性 炭素生産性 水生産性 廃棄物生産性 リーダーシップ多様性 役員報酬制度 CEO報酬と従業員平均報酬の比率 年金保護 離職率 安全生産性 イノベーション能力 税納付  この12項目のうち業界ごとに「優先的KPI」が定められており、その優先的KPIを9つ以上開示していれば、このスクリーニングを突破することができます。業界ごとに定められる「優先的KPI」は、業界内に属している企業のうち最低でも10%の企業が開示しているものが選定されます。 2. 財務状況 情報開示のスクリーニングを通過すると次は財務状況でスクリーニングされます。具体的には以下の要件のうち5つ以上満たす必要があります。 純利益が黒字であること 営業キャッシュフローが黒字であること (純利益/期初総資産)が前年度の数値を上回っていること 営業キャッシュフローが純利益を上回っていること 長期負債÷総資産の年平均額が増加していないこと 流動比率が高まっていること 前年に普通株式発行を行っていないこと 粗利益が前年より増加していること 総資産回転率が向上していること 3. 製品カテゴリー  財務状況のスクリーニングを通過すると次は製品カテゴリーのスクリーンが行われます。以下のいずれかに該当する企業はランキング対象から除外されます。 GICS業界分類でタバコ業界に属する企業 GICS業界分類で宇宙・防衛業界に属し、かつ防衛事業が売上の半分以上を占める企業 4. 制裁  最後に、2015年10月1日までの過去12ヶ月の間に、サステナビリティに関する問題で罰金を受けていないかがチェックされます。罰金額が総収益に占める割合の大きさが業界内で上位(ワースト)25%以内にいなければ、このスクリーニングを通過します。 ランキングの基準②(スコアリング)  スコアリングする際の評価基準は、「サステナビリティ情報開示」のスクリーニングで使用した優先的KPIが用いられます。優先的KPIごとの数値の平均がその企業のスコアとなり、そのスコアに準じて順位が決まります。また、評価基準は毎年少しずつ変更がありましたが、2015年は前年からの変更はありませんでした。 エネルギー生産性: 売上 ÷ 直接的および間接的なエネルギー消費量 炭素生産性: 売上 ÷ 二酸化炭素排出量 水生産性: 売上 ÷ 水使用量 廃棄物生産性: 売上 ÷ 廃棄物排出量 リーダーシップ多様性: 女性役員の割合 役員報酬制度:サステナビリティ指標に連動した報酬制度の有無 CEO報酬と従業員平均報酬の比率 年金保護: 未積立年金債務 ÷ 時価総額 離職率: 離職者数 ÷ 総従業員数 安全生産性: 事故死者数+20万人時間当りの労働喪失時間数 イノベーション能力: R&D投資 ÷ 売上 税納付: 税金納付額 ÷ EBITDA 最終ランキングの作成  最終ランキングは全業界横断での評価ではなく、まず業界ごとのスコアランキング表が作られます。そして、ベンチマーク指標であるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI) でのセクター(業界)割合を用い、各業界からの最終ランキングに入ることができる業界ごとの企業数を割り当てます。そして、その業界割当数を用い業界ランキングの上位企業から最終ランキングに入れられていきます。 2016年のランキング発表を受けて  Global 100の特徴的な点は、そのランキングの順位もさることながら、絶対的なスコアも算出されていることにあります。すなわち企業が同じスコアを取り続けていたとしても他社がそれより努力をすれば順位が下がっていくということです。ランキングの手法は明確ですので、順位を上げるのであれば、挙げられているサステナビリティ項目の状況を改善していかなければなりません。  それでは、企業にとって、Global 100にランクインすることにはどのような意味があるでしょうか。厳しいスクリーニングを通過し、財務・非財務面で高い評価を得たGlobal 100企業の投資リターンは、ベンチマーク指標であるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI) に比べ高いことが統計的に報告されています。すなわち、Global 100に採用されることで、投資家からの高い評価を得やすくなるということです。  今年は日本企業のランクイン数が大きく増えました。来年もより多くの業界からより多くの企業がダボス会議の場で脚光を浴びられるとよいなと思っています。

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2016/01/25 体系的に学ぶ

【中国】BMW愛用家、企業と一体となり社会貢献活動を展開

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 BMWの愛用家たちが集う「BMWオーナーズクラブ」の2015年会合が10月30日、西安で開催された。  BMWは中国進出以来積極的に慈善活動を展開。2008年にはBMW基金プラットフォームを設立し、10年間でのべ7万人を超える愛用家・従業員がBMWの慈善活動に携わり、還元型社会の構築に貢献してきている。その一環として、これまで重慶、西安、成都、広州、北京など11の都市でオーナーズクラブが設立され、今年は北京で2つ目となるオーナーズクラブも誕生した。西安で開催された今年の全体会合では、中国全土から150名近くが一同に介し、チャリティー活動を報告しあった。  BMWオーナーズクラブは、愛用家が自発的に組織した地域性の高い団体。各地のオーナーズクラブは積極的にBMWの社会貢献活動に参加するとともに、自らもボランティア活動を展開してきた。現在のメンバー総数は2,500名を超える。目下、BMWの慈善活動は現地ニーズに合わせた活動にとどまらず、全国のクラブと連携することで成果を上げてきている。 同社の孫瑋・グレーターチャイナエリア総務担当副社長は、「社会的責任を実践することは中国に深く根ざすためには不可欠。私たちは自分の長所と中国の国情を結びつけるだけでなく、リソースの革新、文化交流、社会融合及び教育などの領域で企業の社会的責任を実践し、全員参加の原則のもとで、更なる利益と還元化社会をもたらせたいと考えています。私たちはオーナーが自ら社会責任活動に携わるお手伝いができることを大変嬉しく思っており、彼らの参加とサポートはBMWの企業社会責任実践の維持発展の重要な力となっています。」と述べ、愛好家と一体となって社会に良いインパクをもたらしていく方針を示した。

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【中国】BMW、200台の高級車を「中国アラブ諸国博覧会」に提供

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 今年9月10日に中国寧夏市で行われる「2015年中国アラブ諸国博覧会」。BMWグループは8月21日、この博覧会にBMW7シリーズ150台とBMW5シリーズGT50台を提供することを発表した。博覧会期間中に各国の出展者を対象としたプレミア交通サービスを提供するという。また、BMW5シリーズ、BMW X1型完全装甲警察車両の提供も行い、BMWグループの警備車と安全防御領域でのイノベーションを披露する。  アラブ諸国は、中国の経済戦略の柱である「マーケット多元化」と「走出去(積極的な海外進出)」の実施においてとても重要な地域だ。中国とアラブ諸国は相互了解と協力を強化するために、2010年から第1回の経済貿易フォーラムを開き、年々発展して、現在は国際影響力のある重要な経済貿易協力プラットフォームとなっている。今年の中国アラブ博覧会は第五回の開催。「シルクロード精神を発揚、中国アラブ協力を強化」というテーマによって、「一帯一路」(シルクロード経済帯と21世紀海上シルクロードの略称、2014年習近平中国国家主席が提唱した経済圏構想)戦略とシルクロードのエコ持続発展に寄与すると思われている。  サステナビリティはBMWグループの重要な企業戦略目標でもある。BMWグループは2009年から各節々で目標を立て、全面的な持続発展を実現しようとしてきた。2014年末までに、BMWが生産に要するエネルギー消費量のうち51%を再生エネルギーで調達するにまで至り、耳目を集めている。  ここ数年、BMWの高級モデルは中国の社会経済と文化盛会にとってますます重要な役割を果たしている。例えば、第十一回の中国全国運動会、第十六回アジア競技大会、第十五回東南アジア諸国連合(ASEAN)サミット、また、BMWグループは長い間中国・ASEANビジネス投資サミット、中国西部国際博覧会、アジア・ヨーロッパ博覧会など様々なトップクラスの国際会議とフォーラムを積極的に応援し、国際交流と協力を促進してきている。  サステナビリティを強く意識した経営を行い、その姿勢を武器に幅広い国々で強いブランドを築き、高級車市場マーケットで盤石な地位を築いていく。BMWの戦略は好循環を描いている。 【企業サイト】BMW Brilliance

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【ランキング】BrandZ「最も価値のあるグローバルブランド トップ100」に学ぶ業界別の代表的サステナビリティ

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 市場において競争に勝ち抜いていくための競争。マーケティングの権威と言われるマイケル・ポーター・ハーバードビジネススクール教授は、競争戦略の基本として、コストリーダーシップと差別化を提唱し、その概念は今や広くビジネス界に浸透しています。差別化とは、提供する財・サービスを他社のそれとにはない「付加価値」をつけるということ。企業が多種多様な「付加価値」を提供することで競争力を獲得しようとしています。この「付加価値」のあり方は様々です。価格や製品・サービス特性という付加価値もあれば、温室効果ガス排出量が少ないなどといった環境配慮型の経営方針も、一つの付加価値と言えます。  サステナビリティと付加価値。植林活動などがサステナビリティの代表事例だと思われていた時代には、両者は無関係だと思われていましたが、今やこの二つは密接に結びついてきています。事実、サステナビリティ戦略の目的を「付加価値の獲得」としている企業は多く、その戦略の策定に「クライアント・消費者」が最も影響を及ぼしていると認識されていることが、EY新日本サステナビリティ社とGreenzbiz社の合同調査によって明らかにされています。  「消費者」からの視点から、世界のブランドをランキングした代表的なものに、Millward Brown社が発表している“BrandZ Top100 Most Valuable Global Brands (最も価値のあるグローバルブランド トップ100)”があります。世界中の企業のブランド力を定量化しランキングにしたものであるため、マーケティング専門家の間では広く認知されています。今回はこのランキングで上位に入った企業がどのようにサステナビリティ戦略と「付加価値」を結びつけようとしているのか、その実態に迫ります。 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成) BrandZ 業界別上位企業とその対応 アパレル 自動車 ラグジュアリー トイレタリー 小売 ビール ファストフード ソフトドリンク 金融(銀行・保険) 石油・ガス テクノロジー 通信 アパレル (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者にとって情報を得るチャネルは、店舗だけでなくオンライン検索にまで拡大しました。消費者は、かつてないほどの膨大な情報を収集し、数ある商品の中から自分が最も価値を感じるものを選ぶようになってきています。上位を獲得した企業は、自らが選ばれるための付加価値のひとつとして、サステナビリティの分野でも凌ぎを削っています。  アパレル業界の主なサステナビリティ戦略は大きく分けて2つです。 サプライチェーンの改善 衣服に使われる資源のサステナビリティ向上  例えば、サプライチェーン改善のために、ナイキはサステナビリティの分野への関心が高く、長期的良好関係を築けるサプライヤーに調達先を限定しています。また、H&MはILO(国際労働機関)の定める国際労働基準および国連児童権利条約に基づいてCode of Conductを作成し、日々サプライヤー工場を訪問し、親密な関係を構築しています。(※1)さらに、これら2社だけでなくユニクロブランドを持つファーストリテイリングも2020年までに自社製品の製造工程すべてにおいて有害化科学物質を全廃することを約束しており、サプライチェーン改善に取り組んでいます。(※2)  資源のサステナビリティ向上の分野では、H&MはBetter Cotton Initiative(コットンのサステナビリティ向上に取り組む国際NPO)の活動に積極的に取り組んでいます。同社は2010年時点でオーガニックコットンを世界で最も多く利用した企業となり、2020年までに持続可能なコットンの調達を100%にするという目標を掲げています。2013年時点での進捗は15.8%で、毎年着実に比率を高めています。  ナイキのCSO(最高サステナビリティ責任者)・H&M担当社へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】ナイキが語る「サステナビリティ」と「イノベーション」 【スウェーデン】H&Mの考えるサステナビリティとファッション 自動車 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  自動車の売上高は、米国や中国では好調なものの、ヨーロッパの経済低迷が尾を引き、不況前の水準には戻っていません。また、各自動車の製品クオリティは全体的に向上している一方、ブランドとしての差別化は徐々に難しくなってきています。  自動車業界の主なサステナビリティ活動は大きく分けて2つです。 製品性能の改善 サプライチェーンの改善  現在、自動車メーカー各社は、エンジンの性能の向上に努めており、稼働効率や温室効果ガス排出量ともに以前と比べ改善されてきています。しかしながら、排ガス規制や燃費向上に関する規制は年々厳しくなっており、製造工程も含めたサプライチェーン全体での取組が求められるなど、社会からの要求レベルは上がっています。実際、気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPが発表している報告書では、(1)自動車の走行中の温室効果ガス排出量、(2)次世代車両技術への取り組み、(3)製造時の温室効果ガス排出量 の3つの基準で各社が評価付けされています。(※3)  また、自動車メーカーにおけるサプライチェーン改善には、製造工程で発生する温室効果ガスの削減だけでなく、サプライチェーン上の人権問題も関わります。例えば、トヨタやフォードはガイドライン(The Automotive Industry Guiding Principles to Enhance Sustainability in the Supply Chain)を策定しています。同ガイドラインはサプライチェーン全体を通じて、社会、環境面の改善に取り組み、持続可能な形で成長を実現していくという高い基準のコミットメントを明確に示しており、特に倫理・環境・人権・労働に焦点が当てられています。(※4)  自動車業界各社が上記のような活動を行う中、特にBMWはBrandZの自動車業界で2位にランクインするだけでなく、ダボス会議で発表されている「世界で最も持続可能性のある企業100」でも総合6位を獲得するなど、サステナビリティの分野においても先進的企業だといえます。活動内容としては前述のものに加えて、ドイツのハンブルグ市の交通インフラに関するサステナビリティ向上プロジェクト(※5)や、アルミニウムのバリューチェーン全体におけるサステナビリティ向上を目的とする国際イニシアチブなどに参画しており(※6)、自社の事業に関わるサステナビリティ分野で広くリーダーシップを発揮していることが伺えます。 ラグジュアリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  ラグジュアリー業界は中国やブラジル、ロシアなどの景気停滞を受けて、ほとんどのブランドがブランド価値を下げる結果となりました。特に中国の影響は大きく、売上の1/3をアジア・パシフィック地域が占めているプラダなどは前年比で大きく収益やブランド価値を下げています。  さらに、ミレニアル世代はラグジュアリーブランドを「高い」と感じており、謙虚でサステナブルな生活を望む彼らのニーズに合致しづらくもなっています。MSL Groupの調査結果によると、ミレニアル世代の多くは、企業に対し消費者が社会的な課題に関われるようにしてくれることを望んでいることがわかっています。  ラグジュアリーブランドが全ての客層をターゲットにしているわけではないとはいえ、ミレニアル世代の経済圏は決して無視できるものではなく、サステナビリティ活動が新たな活路になることも考えられます。  そのようなラグジュアリー業界において、中心となっているサステナビリティ活動はサプライチェーンの改善です。例えば、グッチを抱えるファッション・コングロマリットのケリングは、自社およびグループ全体のサプライチェーンにおける環境への影響を計測し、金銭的な価値に置き換える自然資本会計を導入しています。(※7)それにより事業活動に対する理解を深め、環境負荷を減らすだけでなく原材料の調達リスクを含めたサプライチェーンの変化に対応することを可能にしています。  他にもジュエリーを取り扱うティファニーは、CSO(最高サステナビリティ責任者)を設置するだけでなく(※8)、ダイヤモンド産出国への積極的な投資によりサプライチェーンの健全性を維持する傍らで現地雇用の創出、スキルトレーニングなどを通じて地域経済にも貢献しています。同社はジュエリー業界の中でも珍しくダイヤモンドや貴金属を供給する鉱山の多くと直接取引を行っており、2013年には100%のダイヤモンド原石の調達を自社の目が行き届く採掘場所から行うことを実現しました。(※9)  一方で、ルイヴィトンをはじめ数多くのラグジュアリーブランドを抱えるLVMHグループやエルメスは、大手アパレル企業がサプライチェーン上で講じている有害物質除去・水質汚染対策の取り組み状況を評価した、グリーンピース・イースト・アジア公表のオンラインプラットフォーム「Detox Catwalk」で、コミットメント不足という評価をされてしまっています。(※10) トイレタリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  トイレタリー業界のグローバル大手は、製品性能そのものだけでなく、消費者および従業員の幸福といったサステナビリティ活動に本格的に取り組み始めています。  この理由は消費者の目が成熟してきていること、ミレニアル世代の存在、ソーシャルメディアの影響力の高まり等様々ですが、より崇高なビジョンを掲げることが製品の差別化に繋がっていると言えるでしょう。  そのためブランド各社、これまで理想像とされてきた美ではなく、健康やナチュラルさ、内なる美などを強調するようにもなってきています。消費者の選択性が強くなっていることや中国・ブラジルの成長鈍化などを受け、業界全体のブランド価値は昨年比2%しか伸びていませんが、消費者の目が成熟していることはサステナビリティ展開の追い風となると言えるでしょう。  トイレタリー業界は市場ニーズも相まってサステナビリティ活動が多岐にわたっています。 サプライチェーン改善 ダイバーシティの尊重 再生可能な原料の利用 再生可能エネルギーの利用 温室効果ガス削減 サーキュラーエコノミーの推進(廃棄物ゼロ&リサイクル) コミュニティ支援  例えば、ロレアルはSharing beauty with allというプロジェクトを実施し、全サプライヤーを社会・環境面での実績で評価することを宣言。結果として2014年末には2004年比で57%ものCO2削減に成功しています。また同プロジェクトでは再生可能エネルギーにも取り組んでおり、2020年の目標達成に向けて邁進しています。(※11)また、障がい者採用も積極的に行っており、社会に対して新たな機会を創出しています。(※12)CSR担当者向けITツールも積極導入しサステナビリティレポート作成に取り組んでいます。(※13)  「ダブ」ブランドの商品を持つユニリーバは、サステナビリティ戦略を積極展開していることで世界的に有名です。2010年にUnilever Sustainable Living Planというプロジェクトを開始、2020年までにビジネス規模を2倍にしながら環境負荷を減らし、社会にポジティブインパクトをもたらすことを目指しています。その達成に向けて同社は、サプライヤーやコミュニティの支援、貧困の撲滅に取り組むべくNGOと協力し気候変動への対応を呼びかけるキャンペーンや、リサイクル促進のために消費者家族に向けたキャンペーンを展開しています。  2015年現在、ユニリーバが調達する農作物原材料の55%以上は持続可能な形で調達されており、2020年までに100%持続可能な調達を実現するという目標を半分以上到達しています。さらに、同社は工場ネットワーク全体で非有害廃棄物の埋め立てをゼロにするという目標を達成したほか、2008年と比較して製造時にエネルギーから生まれるCO2排出量と水消費量をそれぞれ1トンあたり37%、32%削減することにも成功しています。(※14)  こうした試みもあって、サステナビリティ分野のアドボカシーNPOのセリーズが5月に発表した大手食品会社らの水リスク対応力を評価したランキングでユニリーバは1位を獲得したほか(※15)、国際NGOのオックスファムが3月に公表した大手食品・飲料企業10社の食糧課題・サステナビリティへの取り組み状況を評価したランキングにおいても1位、サステナビリティ分野のコンサルティング企業のSustainly社に公表した「ソーシャルメディア・サステナビリティ・インデックス」でも1位を獲得しています。(※16)  ユニリーバが全業界的に先進的であるために、同業者でサステナビリティ活動に遅れをとっている企業は何から始めればいいかを戸惑うかもしれません。そういった場合、まずはサプライチェーンの改善から取り組むべきだと言えます。サプライチェーンの見直しは、リスク管理になるだけでなく業務効率の向上も期待できるため、部門を超えて理解が得やすく、また数値的な効果も比較的見えやすいからです。  ユニリーバCEO、副社長そして、「ニベア」ブランドを持つバイヤスドルフ社のCorporate Communications & Sustainabilityを統括する副社長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【イギリス】ユニリーバのCEOが語るサステナビリティへのコミットメント 【イギリス】サステナビリティ目標の達成に向けてユニリーバが導入した新たな仕組みとは? 【ドイツ】世界を代表するスキンケアブランド「NIVEA(ニベア)」を支えるサステナビリティ戦略 小売 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  Alibabaの登場により、業界全体のブランド価値が急成長しているのが小売業界です。興味深いことに業界トップを走る二社はどちらもeコマースであり、実店舗を持っている企業ではありません。以前は価格、選択の幅、利便性のそれぞれがトレードオフであったものの、現在はこれらのeコマースを通し全ての便益を享受できるようになりました。来る高齢社会に向けてeコマースの存在は必要不可欠なものとなっていくでしょう。  小売業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 再生可能エネルギーの利用 再生可能な材料の利用 サプライチェーン改善  たとえば、アマゾンは国際NGOのGreenpeaceによる抗議活動を受けて、昨年11月にクラウドサービス部門、AWS(Amazon Web Service:アマゾン・ウェブ・サービス)に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達するという誓約を発表し、大きな一歩を踏み出しました。(※17)しかし、その透明性については疑問視されており、風力発電によって生み出された100メガワットの電力を購入する計画を発表したものの、AWSがいまだ再生可能エネルギー比率が2%しかなく、これからの取組みに期待が寄せられます。(※18)  他にも、サステナビリティ先進企業として知られるIKEAは、自社および自社製品のサステナビリティ向上を通じて消費者の毎日の生活をより持続可能なものにするというビジョンの下、再生可能エネルギー投資を加速しており、その具現化が進んでいます。(※19) また同社は、LED技術を活用した省エネの追求やリサイクル可能な材料を利用することで、自社製品のサステナビリティを担保しつつ、手頃な価格を維持しています。(※20)  同じく実店舗を保有するウォルマートも、サプライヤーと協働によりサステナブル素材でできた商品の開発をしています。(※21)それだけにとどまらず、3月にサステナブルな商品だけを集めたオンラインショップを開設し、より一層の意気込みを見せています。(※22) ウォルマート会長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】「消費者はサステナビリティのためにより多くを支払うか?」に対するウォルマート会長の答え ビール (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国と南米の消費量の増大により、消費者からのブランド価値が向上しています。ミレニアル世代はビールの味において、間違いのないものよりも新感覚を欲しており、ビールメーカー各社はブランド内の商品ラインナップの拡充や、他社買収・ブランド開発による新ブランドの確立などの対応を迫られています。  それぞれのビールブランドには固有のアイデンティティーがありますが、時折クラフトビールの方がメジャーブランド以上に巧みなストーリーテリングでアイデンティティーの確立に成功しています。  そういったストーリーテリングとしての役割をも果たすのがサステナビリティ活動です。ビール業界が主に展開しているのは次の2つです。 サプライチェーンの改善 水の利用効率の改善  例えばハイネケンはストーリーテリングを通して同社のサステナビリティに対する取り組みをより多くの消費者に知ってもらおうと、ソーシャルメディアなどを活用したユニークなデジタルキャンペーンを展開しています。同社は2020年までに主要な原材料の50%を持続可能な調達にすることを宣言しているほか、新興国の水のサステナビリティに向けてUNIDO(国連工業開発機関)と協働で解決に取り組んでいます。(※23) 実際にハイネケンが行っているストーリーテリングの詳細は以下をご覧ください 【オランダ】ハイネケンが仕掛けるユニークなデジタル・サステナビリティ・ストーリーテリング ファストフード (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  マクドナルドの事件を受け、食の安全への関心が一層の高まりを見せています。ヘルシーかどうか、サプライチェーンは倫理的か、環境への責任を考えているか、そういった関心ある消費者にとってファストフードは不充分だと感じられてきています。  消費者の期待に応えるため、ファストフード企業各社も材料の調達からメニュー、店舗での経験価値を検討し直しています。ファストフード業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 サプライチェーンの改善 コミュニティ支援 ダイバーシティ  例えば、食の安全性に関する事件に揺れたマクドナルドは、今年3月に抗生物質を使用していない鶏肉のみの調達、rbSTと呼ばれる人工成長ホルモンが投与されていない牛の低脂肪ホワイトミルクと無脂肪チョコレートミルクを提供など、原材調達に関する新たな方針を発表しています。(※24)  他にもスターバックスは、CSRを単独の行動ではなく企業のDNAそのものとしており、水不足に対処するため水の供給源をカリフォルニア州からペンシルヴァニア州に変更するなど節水に取り組んでいます。(※25)また恵まれない若者を対象に就業プログラムを提供するなど地域コミュニティにも貢献しています。  ダイバーシティに関しても退役軍人を採用するだけでなく、アメリカ国内で白人警官による黒人射殺事件が発生した際には、顧客に手渡すカップに “Race Together”というメッセージを書き、消費者間における人種問題についての会話を促すキャンペーンも実施しています。(※26)  さらに、対内的には従業員の学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担するなど従業員にも細やかな対応が見られます。(※27) ソフトドリンク (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者が人工甘味料を避けるようになり、ダイエットコークやエナジードリンクの消費量はあまり増えていません。長きにわたりコーラが人気であった中国やインド、メキシコ市場にも健康や肥満への問題認識が高まってきています。市場ニーズに応え、メジャーブランドは商品ラインナップの拡充や製品工場の見直し、生産工程におけるカーボンニュートラルなどに取り組み始めています。  ソフトドリンク業界が主に行っているサステナビリティ活動は次の2つです。 水の利用効率の改善 コミュニティ支援  たとえば最大手のコカ・コーラは2020年までの水資源保護目標を掲げ、進捗状況を公開しています。(※28)同社は世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを締結し、この水資源保護にグローバルに取り組んでいます。(※29)  また同社の持つロジスティクスを活かし、「100万人の就学児童に安全な飲料水を届ける」というプロジェクトも展開。(※30)それだけでなく医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」をも展開し地域コミュニティの支援にも貢献しています。  さらに技術革新により世界初の100%植物性由来のペットボトルを開発することにも成功し、環境・社会面への正の影響の向上、食品の安全性に対する悪影響の回避というコカ・コーラの基本原則の下、強固なブランドを築き上げています。(※31)  コカ・コーラの地域コミュニティ支援の詳細は以下をご覧ください 【アフリカ】コカ・コーラ、アフリカで医薬品を供給する「ラストマイル・プロジェクト」を10ヶ国へ拡大 【アラブ首長国連邦】1ヶ月で200万人が視聴。コカコーラが始めた新キャンペーン”Hello Happiness” 金融(銀行・保険) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  グローバルに展開する銀行は、世界を不況に陥れたことが明らかになり、依然として社会から厳しい目で見られています。他方、ローカルに展開する銀行は、世界的な金融危機の際に、悪事に加担していないとみられたことからグローバルバンクと比べて社会的信用力が高いとされており、現在業界全体での成長性はローカル銀行の方が高くなっています。  また、保険業界は、提供するサービスのコモディティ化を避ける取り組みを展開しています。また、中国では生命保険は急成長している業態で、中国の保険会社らが牽引し業界全体での成長率は高くなっています。  金融業界が長期的な視点に基づく投資として主に取り組んでいるサステナビリティ活動は以下の3つです。 ESG投資 グリーンボンド リスク管理  ESG投資としてはUNPRI(国連投資原則)に署名し、今まで特殊な資産運形態とみなされていたESGを、通常のアセット運用でもリスク管理のひとつに加えていく動きが加速しています。また、気候変動の原因となる温室効果ガスの主たる排出元セクターに対する投資を長期的な観点からリスクと認識し、再生可能エネルギーファンドへの出資も大きなトレンドです。  グリーンボンドの発行分野では、例えば、モルガン・スタンレーは昨年10億円規模のグリーンボンド案件に関わるなどで貢献しています。(※32)  またリスク管理としては、ERP(統合リスク管理)やバーゼルⅢで検討されている銀行の資産健全性の強化などが挙げられます。  ESG投資に関する詳細は以下をご覧ください。 【金融】世界と日本のSRI・ESG投資最前線 石油・ガス (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  アメリカのシェールガス革命や中国の景気の減速を受けて原油価格が低下したため、上流ビジネスである石油の採掘は控えられるようになっています。このような事態を受けて業界各社は、比較的利益率の低い下流ビジネスの製油所やガソリンスタンドの見直しに注力する結果となりました。  資源が直接収益に繋がる石油・ガス業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動は温室効果ガス排出量の削減です。  たとえば英国エネルギー大手のBPは4月の年次総会で低炭素経済の実現に向けた事業の変革を促すための株主提案であるResolution 25を可決しました。この決議案の中には、温室効果ガス排出削減マネジメントによりCDPのパフォーマンスバンドでA評価を獲得することや、ポスト2035シナリオに向けたアセットポートフォリオのレジリエンス強化、低炭素エネルギーのR&Dや投資戦略策定などが含まれています。(※33) テクノロジー(消費者・法人向け) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  テクノロジー業界は、競争と移り変わりが激しく、それぞれのブランドにとって消費者を安心させロイヤリティを高めることがより重要となってきます。BrandZ総合ランキングのトップ4は全てテクノロジー企業が占めており、その影響力の高さが伺えます。  テクノロジー業界はそれぞれの企業の提供しているサービスが多岐にわたりそれぞれの企業が強みを活かしたサステナビリティ活動を展開していますが、主なものは次の3つです。 サプライチェーン改善 再生可能エネルギー ビッグデータを活用したサステナビリティ活動のサポート  例えば、アップルはサプライヤー19カ国633施設での監査及び3万人の従業員に電話インタビューを実施し、サプライヤー規範に則したサプライヤーのみと契約を継続しています。実際2014年時点で規範に違反する18社との契約を解除しています。(※34)それだけでなく、同社は初めて有害物質のポリ塩化ビニル(PVC)と臭素化難燃剤(BFRs)を外部ケーブルも含む全製品から取り除いた企業でもあります。(※35)  また、同社は国際NGOのGreenpeaceの抗議活動を受けて再生可能エネルギーへの投資も行っており、太陽光発電所や再生可能エネルギー100%のデータセンターの建設などが進められています。(※36)アップルに並び業界を代表するグーグルも風力発電ファンドを組成し、再生可能エネルギーへの投資を進めており、グリーンインターネット化が推進されています。(※37)  SAPはToyota Info Technology Center USA、VeriFoneと共同でドライバーのガソリンスタンド探しをシンプルにするプロジェクトを推進し、無駄なエネルギー消費の削減に取り組んでいます。これら3社はそれぞれの技術を活かし、車両の位置やルート、燃料レベルなどの情報収集、POSソリューション、テレマティックスデータを統合しソリューションを提供しています。(※38)  IBMは食品大手のMarsと提携しグローバルサプライチェーンにおける食の安全の確保に取り組んでいます。(※39)同じく食に関わるものとしては農業のサステナビリティ向上のためにビッグデータ解析ソリューションを提供もしています。(※40)さらには、市民一人一人から寄付されたコンピュータの空き容量を集め、仮想スーパーコンピュータを創りだし、科学者に気候変動関連オープンデータ分析のために無料で提供するといったプロジェクトのコーディネートも行っており、自社の強みをサステナビリティに活かす好事例といえるでしょう。(※41)  これらテクノロジー企業を代表するアップルの環境イニシアチブ担当副社長、SAPのサステナビリティ責任者へのインタビューおよびオラクルのサステナビリティ戦略に興味のある方は以下をご覧ください。 【アメリカ】アップルはどのようにサステナビリティ先進企業になったのか? 【アメリカ】SAPのサステナビリティ責任者が語る、統合報告とサステナビリティ戦略 【アメリカ】オラクルのサステナビリティ戦略 通信 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国やインドでのスマートフォン利用者の拡大を受けて、通信業界では巨大市場を押さえるためのM&A等が進んでいます。またIoTへのインフラ投資といった将来への投資機会にも恵まれています。一方でインターネット・プロバイダーがネット回線での通話を可能にするなど新たな競合の参入という事態にも直面しています。  そのような通信業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動はエネルギー利用効率の改善です。  たとえばAT&Tはエネルギー効率化や省エネを目指しIoTを推進しています。しかし一方でIoTの進展は、電子廃棄物の増加という新たな問題を生むことを危惧されてもいるのも事実です。(※42)また同社は、ダイバーシティの促進に積極的なことでも知られ、ダイバーシティがビジネスにもたらす利益について周知することを目的とする組織DiversityIncからも、ダイバーシティへの取り組みに積極的な上位50社に選ばれ、見事トップ10入りを果たしています。(※43)  他にもVerizonはアメリカ国内において教育水準の低い24の地域の教師に対し、モバイル通信記述を活用した教育メソッドを提供し、地域コミュニティに貢献しています。(※44) 総論  今回のBrandZのランキングは中国の景気減速を示しつつも、中国企業の台頭を明確に示すものとなりました。市場のグローバル化に伴い、新興国企業がグローバル市場での新たなプレーヤーとして登場するなど、今後製品性能や価格戦略による差別化はますます厳しさを増していきます。  その中、BrandZに選定されている企業の投資パフォーマンスは2006年からの10年間で102.6%上昇しています。これはS&P 500の63%、MSCIの30.3%よりはるかに高く、消費者視点でのブランドがいかに企業にとって重要なものかを物語っています。  そのBrandZにランクインする各業界トップ企業のサステナビリティ戦略を参考にすることで、より現実的な路線でそれぞれの企業が自社の事業領域の中でどのように責任を負い、またその責任を全うするためにどのような行動をしていくべきかが見えてくるでしょう。

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2015/06/18 体系的に学ぶ

【ランキング】2015年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能性のある企業100社」

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※最新年度版は【ランキング】2017年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能性のある企業100社」へ 世界経済フォーラムが毎年1月にスイス東部のダボスで開催するダボス会議。同フォーラムで毎年恒例のセッションとなっているのが“Global 100 Most Sustainable Corporations in the World” (Global 100 Index)であり、この結果がカナダの出版社により「世界で最も持続可能性のある企業100社」(ランキング)として発表されます。それではまず2015年、上位にランクインした企業から見て行きましょう。 Global 100 トップ10 (CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成) 昨年に引き続きトップ10にランクインしたのは、 バイオジェン・アイデック アディダス ケッペル ランド ケスコ BMW セントリカ シュナイダーエレクトリック の7社。つまり大半は2年連続での上位ランクインということになります。2014年のダボス会議の記事「【ランキング】2014年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能性のある企業100社」」でもお話したように、最近は上位の顔ぶれが安定しつつあり、事実この7社のうち6社は三年連続でのトップ10入りとなります。このトレンドは全体にも言え、全100社のうち64社は昨年から、そのうち45社は2年前から、つまり三年連続でランクインをしています。 また、日本でも知名度の高い以下のような企業もランクインしています。 14位 ロレアル (フランス 化粧品) 18位 ジョンソン&ジョンソン (アメリカ 医薬品) 22位 ユニリーバ (イギリス 消費財) 26位 コカコーラ (アメリカ 食品) 33位 ノキア (フィンランド ハードウェア) 45位 サムソン電子 (韓国 電機) 50位 エーザイ (日本 医薬品) 51位 LG電子 (韓国 電機) 54位 アクセンチュア (アイルランド IT) 55位 シーメンス (ドイツ 電機) 56位 インテル (アメリカ 半導体) 60位 ダイムラー (ドイツ 自動車) 61位 Adobe (アメリカ ソフトウェア) 69位 シスコシステムズ (アメリカ ハードウェア) 73位 レノボ グループ (中国 ハードウェア) 74位 GE (アメリカ 電機) 75位 H&M (スウェーデン 消費財) 81位 ルノー (フランス 自動車) 82位 BNP パリバ (フランス 金融) 88位 ロンドン証券取引所グループ (イギリス 金融) Global 100 地域別社数ランキング 次に地域別ランクイン企業数に着目してみましょう。 (CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成) ヨーロッパ、北米の企業で84社と8割以上を占めていることがお分かりいただけると思います。 (CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成) さらに過去5年間の地域別ランクイン企業数の変化に着目すると、ヨーロッパが多く占めている一方、北米地域の躍進が目覚ましいことがわかります。それに対してアジア企業のランクイン数は右肩下がりになっています。この原因は何なのでしょうか。 Global 100 アジア内国別ランクイン社数ランキング そこで今度はアジアの詳細に着目してみましょう。 (CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成) 過去5年間で著しくランクイン数を減らしているのは、日本です。実際、2015年にランクインしたのは50位のエーザイのみ。他方、韓国やシンガポールは着実にランクイン数を増やしており、特にシンガポールはケッペル ランド社が2015年のグローバル100で4位につけるに至っています。また今回、2005年にランキングが始まって以来初めて香港以外の中国企業としてレノボグループがランクインしたことも注目すべき点だと言えます。 ランキングの基準①(4つのスクリーニング) それでは、具体的にどのようなプロセスを経てGlobal 100が選出されているかをご紹介しましょう。まず、毎年10月1日時点において時価総額200万米ドル以上の企業が自動的に評価対象となります。その後に4段階のスクリーニングが行われ、そのスクリーニング基準を満たさない企業はその時点でランキング対象から除外されます(但し、昨年のGlobal 100ランクイン企業は、制裁スクリーニングに引っかからない限り、自動的にランキングの対象となります)。それを通過した企業のみにスコアリングが為され、ランキングされていきます。スクリーニングは以下の4点により行われます。 サステナビリティ情報開示 財務状況 製品カテゴリー 制裁 1. サステナビリティ情報開示 まず最初にスクリーニングがなされるのは、サステナビリティ情報の開示の有無によってです。開示情報は以下の12項目に分類されます。 エネルギー生産性 炭素生産性 水生産性 廃棄物生産性 リーダーシップ多様性 役員報酬制度 CEO報酬と従業員平均報酬の比率 年金保護 離職率 安全生産性 イノベーション能力 税納付 この12項目のうち業界ごとに「優先的KPI」が定められており、その優先的KPIを9つ以上開示していれば、このスクリーニングを突破することができます。業界ごとに定められる「優先的KPI」は、業界内に属している企業のうち最低でも10%の企業が開示しているものが選定されます。 2. 財務状況 情報開示のスクリーニングを通過すると次は財務状況でスクリーニングされます。具体的には以下の要件のうち5つ以上満たす必要があります。 純利益が黒字であること 営業キャッシュフローが黒字であること (純利益/期初総資産)が前年度の数値を上回っていること 営業キャッシュフローが純利益を上回っていること 長期負債÷総資産の年平均額が増加していないこと 流動比率が高まっていないこと 前年に普通株式発行を行っていないこと 粗利益が前年より増加していること 総資産回転率が向上していること 3. 製品カテゴリー 財務状況のスクリーニングを通過すると次は製品カテゴリーのスクリーンが行われます。以下のいずれかに該当する企業はランキング対象から除外されます。 GICS業界分類でタバコ業界に属する企業 GICS業界分類で宇宙・防衛業界に属し、かつ防衛事業が売上の半分以上を占める企業 4. 制裁 最後に、2014年10月1日までの過去12ヶ月の間に、サステナビリティに関する問題で罰金を受けていないかがチェックされます。罰金額が総収益に占める割合の大きさが業界内で上位(ワースト)25%以内にいなければ、このスクリーニングを通過します。 ランキングの基準②(スコアリング) スコアリングする際の評価基準は、「サステナビリティ情報開示」のスクリーニングで使用した優先的KPIが用いられます。優先的KPIごとの数値の平均がその企業のスコアとなり、そのスコアに準じて順位が決まります。また、評価基準は毎年少しずつ変更がありましたが、2015年は前年からの変更はありませんでした。 エネルギー生産性: 売上 ÷ 直接的および間接的なエネルギー消費量 炭素生産性: 売上 ÷ 二酸化炭素排出量 水生産性: 売上 ÷ 水使用量 廃棄物生産性: 売上 ÷ 廃棄物排出量 リーダーシップ多様性: 女性役員の割合 役員報酬制度:サステナビリティ指標に連動した報酬制度の有無 CEO報酬と従業員平均報酬の比率 年金保護: 未積立年金債務 ÷ 時価総額 離職率: 離職者数 ÷ 総従業員数 安全生産性: 事故死者数+20万人時間当りの労働喪失時間数 イノベーション能力: R&D投資 ÷ 売上 税納付: 税金納付額 ÷ EBITDA 2015年のランキング発表を受けて Global 100のランキング上位の企業は順位を守り続けているものの、変化がないわけではなく、むしろランクインしている企業全体のスコアは前年比で向上しています。これは現状ランク外にいる企業が新たにランクインするハードルが高くなっていることを意味しており、国際的に高い評価を得ることは以前と比べ難しくなってきていると言えます。 それでは、企業にとって、Global 100にランクインすることにはどのような意味があるでしょうか。厳しいスクリーニングを通過し、財務・非財務面で高い評価を得たGlobal 100企業の投資リターンは、ベンチマーク指標であるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI) に比べ高いことが統計的に報告されています。すなわち、Global 100に採用されることで、投資家からの高い評価を得やすくなるということです。 実は、今回選定されたGlobal 100企業の投資パフォーマンスは、初めてMSCI ACWIを下回るという数値も観測されました。しかしこの数値の背景には、両インデックスの選定基準ではなく、単純に為替による影響が大きいと言われています。2014年は米ドルが多くの通貨に対して高騰するというマクロ経済環境となりましたが、Global 100企業の米ドル取引割合が19%に過ぎないのに対し、MSCI ACWIを構成する企業の米ドル取引割合は約50%でした。結果的に、米ドルベースでの取引が多いMSCI ACWIが為替益の恩恵を受けやすく、Global 100よりパフォーマンスが上がったと分析されています。そのため、Global 100企業に対する投資家の期待は引き続き高くなっていくと思われます。 CorporateKnights以外にもいろいろな機関が評価指標やランキングを発表する中、依然として大きな関心を集めるGlobal 100。海外のグローバル企業の取組や意識のレベルが大きく向上する中、日本企業の今後の動きにも期待していきたいです。

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2015/01/27 体系的に学ぶ

【国際】Google、Microsoft、Walt Disney、BMWら、CSRにおいて最も名声ある企業に選出

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コーポレート・レピュテーションに特化したリサーチ・コンサルティング会社のReputation Institute(以下RI)は12月3日、CSR分野において高い名声を得ているグローバル企業トップ100社ランキング、2014 CSR RepTrak® Studyを公表した。 2014年度の最新ランキングでは2012年、2013年と首位の座を占めていたMicrosoftを抑え、Googleがトップに選ばれた。また、Walt Disney、BMWがTOP4にランクインしている。 CSR RepTrak® Studyはシティズンシップ・ガバナンス・職場の観点に基づきCSR分野で最も高い名声を得ている企業100社を表彰するもので、CSRやサステナビリティを企業戦略やオペレーションに統合している優れた企業の事例を紹介している。 RIによれば、今回の調査結果は、CSRにおいて高い評判を得ている企業は消費者からより好意的に受け入れられ、「製品を購入してもらえる」「自社をお薦めしてもらえる」「問題が起きたときでも正しい対処をするだろうと信用してもらえる」など、その企業を支持する行動をとってもらえるということを示しているという。 また、同調査は同時に、多くの企業が自身のコーポレート・シティズンシップを市民に効果的に伝えることに苦戦していることを示しており、米国および英国企業の回答者の半分以上は「自社はよき企業市民か?」という質問に対して「中立」もしくは「はっきりしない」と回答したとのことだ。 RIでCSR・評判リスク管理担当のリサーチ・ディレクターを務めるViktoria Sadlovs氏は「消費者は世界的に、シティズンシップの側面から見た企業のパフォーマンスについては未だあまりよく知らないままだ。企業のCSRパフォーマンスに対する一般の人々の認知を向上させていくことはCSR・サステナビリティ活動のROI(投資対効果)を最大化する上で鍵となる」と語った。 2014年のランキングでは、IT、自動車、消費財、メディア・エンターテインメント業界からトップ企業が選出された。トップ10にランクインした新たな顔ぶれとしてはLEGOが挙げられ、Nestleは漏れた。トップ100ランキングは下記からダウンロード可能だ。 【レポートダウンロード】2014 CSR RepTrak® 100 Study 【企業サイト】Reputation Institute

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【ドイツ】ハンブルグ、持続可能な交通インフラの実現に向けてWBCSDと協力へ

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ドイツ第2の都市ハンブルグで、国際機関、地方行政、企業の協働による交通インフラのサステナビリティ向上プロジェクトが始まる。 WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)は12月5日、ハンブルグの交通環境をよりクリーンで安全かつより移動しやすい環境にするためのソリューション開発に向け、ハンブルグ特別市と2015年末まで提携することに合意したと発表した。 今回の提携は、WBCSD会員企業らの最新のテクノロジーや交通マネジメント手法を用いて世界中の都市における交通環境の改善を目指すSustainable Mobility Project(以下、SMP2.0)の一貫だ。 今後、WBCSDはハンブルグ特別市の経済・交通・技術革新省と共に特別委員会を設置し、当初は都ドイツ自動車大手のDaimler社のリーダーシップのもと、BMW、Brisa、Deutsche、Bahn、Ford、Fujitsu、Pirelli、Toyota、Volkswagenなどと協力しながらプロジェクトを進めていく。 具体的には、ハンブルグの交通状況を「環境との調和」「経済効率性」「生活の質」といった基準から分析し、同市の交通システムのサステナビリティを向上させる方法について提言を行う予定だ。 今回の提携合意にあたり、ハンブルグ特別市で経済・交通・技術革新担当大臣を務めるAndreas Rieckhof氏は「WBCSDおよびその会員企業との提携は、ハンブルグの交通インフラのサステナビリティを向上させる新たなアイデアを生み出すだろう。我々はこのプロジェクトが現在進行中の持続可能な都市交通計画にさらなる価値をもたらしてくれることを期待している」と語った。 また、SMP2.0のディレクターを務めるMichael Fahy氏は、「ハンブルグのような先進都市と協働することで、このプロジェクトは世界の都市が交通システムのサステナビリティを改善する手助けとなるだろう。ハンブルグはこのプロジェクトに対して強い関心を示し、ヒト、モノの移動状況を改善し、またその過程もより持続可能なものにすることを望んできた」と語る。 Daimlerの渉外担当副社長およびWBCSDのハンブルグ市プロジェクト特別委員会のリーダーも務めるEckart von Klaeden氏は「Daimlerを含むすべての会員企業は、持続可能な都市交通の実現に取り組むことが強く求められている。我々の狙いは、ハンブルグの革新的な交通センターとしての役割を高める手助けをすることだ」と語る。 SMP2.0の最終目標は、安全で、信頼性が高く、快適な移動手段を全ての人々が利用可能にすると同時に、利用コストの低下、交通事故の撲滅、環境負荷の軽減、エネルギー需要の軽減を実現することだ。 WBCSDは2013年に世界の都市をモビリティ状況に基づき6つのクラスターに分類し、持続可能性な交通システムを実現するためのロードマップ開発に向けて6つの都市をパイロット都市として選出した。この中にはハンブルグの他にリスボン(ポルトガル)、カンピナス(ブラジル)、成都(中国)、インドール(インド)、そしてバンコク(タイ)が含まれる。 世界中の都市で人口集中やインフラ老朽化が進む中、交通インフラの改善による都市機能のサステナビリティ向上は大きなテーマとなっている。大手自動車メーカーやIT企業らが結集し、最新テクノロジーを用いてどのような新しいソリューションが生まれるのか、今後の取り組みに注目だ。 【参照リリース】Mobility of the Future 【団体サイト】WBCSD

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