【国際】アパレル団体ZDHC、有害化学物質削減で代替品評価の新プログラム発足

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 アパレル業界大手等で構成する「有害化学物質排出ゼロ(ZDHC)」グループの「Roadmap to Zero Programme」は1月11日、有害化学物質を安全性の高い代替物質に切り替えていく新コンセプト「Screened Chemistry」で、新たな取組を開始すると発表した。これまで、リーバイ・ストラウス、NIKE、H&M、C&Aの4社が、各々展開してきた「Screened Chemistry」アクションを統合し、ZDHCとしての推進手法を開発する。  上記4社はこれまで、独自に「Screened Chemistry」のアクションを開発してきたが、ZDHCは共通性が高いと判断。ZDHCとして、「Roadmap to Zero Programme」を推進するためのタスクチームを発足した。4社もタスクチームに加わり、他の企業にも参加を呼びかける。  ZDHCはすでに使用禁止物質リスト「ZDHC MRSL」を運営しているが、今回のプログラムは、さらに進め、代替品のリスク特定と評価に焦点を当てる。たのステークホルダー・グループにも協働を呼びかける。 【参照ページ】ZDHC Signatory Brands to Converge their Screened Chemistry Programmes

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【バングラデシュ】アパレル業界を中心に労働運動激化。政府は対策協議会設置も、解決の道のりは険しい

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 バングラデシュで1月9日、首都ダッカ近郊で労働運動を激化。数千人の労働者が、道路封鎖やタイヤを燃やす行為等をを引き起こした。治安部隊との衝突も発生し、死傷者も出ている。バングラデシュでは、主要産業のアパレル業界を中心に、労働条件に対する不満が高まっている。アパレル業界は、同国の輸出額の8割を占める。  同国政府は2018年9月、アパレル業界の最低賃金を51%以上引き上げ、月額8,000タカ(約10,500円)とする方針を打ち出した。実現すれば2013年以来初の引き上げとなるが、労働組合関係者は恩恵を受けるのは一部だけと否定的な見方を示している。  バングラデシュのTipu Munshi商業相は、今回の労働運動を受け、工場経営者、労働組合リーダー、政府関係者からなる協議会を設置。1ヶ月以内に方針をまとめる意気込みを見せた。労働組合側は、納得の行く対策が出るまでは、労働運動を続ける構えを見せている。

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【日本】NGO、アパレル62社の人権取組状況調査。人権に対する取組に大きな遅れ

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   東京に本部を置く国際人権NGOヒューマンライツ・ナウと英国に本部を置く国際人権NGOビジネスと人権資料センター(BHRRC)は12月21日、日本を拠点に活動する主要な日本企業、グローバル企業計62社に対し、人権ポリシーの策定と取り組み状況に関する調査結果を発表した。一部の先進的企業を除いて、人権リスクへの対処ができていない実態が浮き彫りとなった。  今回の調査では、H&M、GAP、インディテックス、FOREVER 21、ディーゼル、ニューバランス、NIKE、アディダス、パタゴニア等のグローバル企業と、ファーストリテイリング、イオン、しまむら、ワールド、オンワードホールディングス、青山商事、AOKIホールディングス、はるやまホールディングス、コナカ、タカキュー、ワコールホールディングス、ユナイテッドアローズ、グンゼ、ライトオン、ゴールドウィン、アシックス、ミズノ、ユニー、良品計画、エドウィン、ウィゴー、レナウン等の日本企業の双方に対しアンケートを実施した。  このうちアンケートに回答した企業は21社と約3割と低かった。さらに、国際基準に適合する人権方針や調達指針を策定している企業は13社しかなかった。当該13社はH&M、GAP、アディダス、パタゴニア、ファーストリテイリング、ワコールホールディングス、ハニーズホールディングス、ダイドーリミテッド、イオン、イトーヨーカ堂、アシックス、ミズノ、三起商行。  一方、アンケートに回答したが、十分な人権方針や調達指針がなかった企業は、オンワードホールディングス、アダストリア、TSIホールディングス、三陽商会、レナウン、ヤマトインターナショナル、良品計画、ストライプインターナショナルは8社。  人権侵害が多発している外国人技能実習生に関する対応では、上記の21社のうち、ハニーズホールディングス、ダイドーリミテッド 、ヤマトインターナショナル、アシックス、良品計画、イトーヨーカ堂は対応しておらず、GAPは「わからない」と答えた。H&Mは、日本にサプライヤーがいないと回答した。 【参照ページ】ファッション・スポーツウェア企業62社の人権対応に関するアンケート調査結果公表 【参照ページ】Human rights concerns in the Japanese apparel industry

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【アメリカ】P&G、CESイベントで新型洗剤・シャンプー「DC3」を披露。商品の水消費量ゼロ

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 消費財世界大手米P&Gは1月7日、米ラスベガスで開催された「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」の中で、革新的な一連の新商品を披露し、大きな注目を集めている。その一つが、シャンプー、洗濯用洗剤、石鹸をコンパクトに固形化した新技術「DC3」。商品で使用する水を大規模に削減でき、商品重量も軽くできる。  P&Gによると、DC3は、従来型商品に比べ、水消費量を100%削減し、重量も80%軽量化できる。商品陳列スペースも70%削減できるため、販売店にとっても利点がある。また、充填剤、保存料、リン酸といった添加物も不要となり、商品包装も生分解性プラスチックとした。P&Gは従来型の商品は、年間800億lの水を消費し、トラック輸送では5,400tの二酸化炭素を排出していることを問題視。DC3の開発には、10年間の研究開発を費やし、30以上の特許も取得した。P&Gは現在、クラウドファンディング「IndieGoGo」上でDC3のキャンペーンを実施し、幅広く要望を受け付けている。  その他P&GがCESで披露した商品には、IoTや人工知能(AI)を活用したものが多い。Olay Skin Advisorは、セルフィー等のオンライン画像を人工知能で解析し、自分に適したスキンケア方法をアドバイしてくれるオンラインサービス。Oral-B Genius Xは、人工知能を用いて自分に適した歯磨きにカスタマイズしてくれる電動歯ブラシ。Airiaは、アプリ操作が可能なインテリア・フラグランス。Optéは、自動的に顔表面上のシミを感知しケアしてくれる、シミ取りアイテム。シェーバー「ジレット」の新商品は、顔を温めてくれるヒーター機能がついた。

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【アメリカ】ティファニー、ダイヤモンドの原料トラッキングの取組開始。若年層の購買向上狙う

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 宝飾品世界大手米ティファニーは1月9日、販売する商品のダイヤモンドについて、原産地、カット地、研磨地、仕上地の情報を顧客に開示する取り組みを開始する。ダイヤモンドの原産地証明については、ダイヤモンド採掘の人権侵害関与を防止する「キンバリー・プロセス」認証を取得する動きが浸透してきているが、流通全てのトラッキングを試みるのは極めて新しい動き。  高額で取引されるダイヤモンドは、民族紛争の資金源(紛争鉱物)として活用されたり、児童労働による採掘を行っているケースがある等、問題を多く潜んだ資源でもある。「ブラッド・ダイヤモンド(血のダイヤモンド)」と呼ばれることもある。原材料トラッキングについては、アパレル製品や食品、また紛争鉱物等では取り組みが始まっているが、ダイヤモンドではまだ浸透していない。ダイヤモンドは、原石採掘から仕上げまでに数多くの企業を経由するため、トラッキングは容易ではない。現在、ティファニー等のブランド企業は、仕入元に原産地を確認することで原産地を特定しているが、申告された原産地が正しいかどうかを証明する術はなかった。  そこで今回、ティファニーは、トラッキングを開始することを決めた。トラッキングでは、ブロックチェーン技術を含め信頼性の高い手法を今後模索していく。  ティファニーの2017年のダイヤモンド婚約指輪の販売額は5億米ドル(約540億円)以上。しかし近年、ダイヤモンドの販売は振るわない状況にある。直近では、米中貿易摩擦により中国人の販売が滞っていることもあるが、同社は若者のダイヤモンド離れも問題視。そこでトラッキングを強化することで、「ブラッド・ダイヤモンド」という印象を持つ若年層からの購買を拡大する考え。

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【EU】欧州委、タイのIUU漁業対策を評価し輸入「イエローカード」解除。時期尚早との批判も

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 欧州委員会は1月8日、タイ政府が違法・未報告・未規制(IUU)漁業対策に非協力的として2015年4月から発動していた「イエローカード」措置を解除した。タイ政府が、漁業労働者への人権侵害や現代奴隷扱いを防止するための法規制や行政制度を整備したことに一定の評価をした。これによりタイからEUへの水産物輸出禁止警告が解かれた。  漁業のサステナビリティを脅かすIUU漁業は、世界全体で年間1,100万tから2,600万t水揚げされていると推定されている。市場規模にすると100億から200億ユーロ(約1.25兆円から約2.5兆円)で世界市場の15%に相当する。そのうちEUは世界最大の水産物輸入国であり、2010年に施行したEUのIUU規則により、輸出国政府のIUU漁業対策度合いを基に、輸出許可措置を「グリーンカード」「イエローカード」「レッドカード」の3つに分類している。  欧州委員会が、当該国をIUU漁業対策に非協力的と認定すると「イエローカード」が発動され、欧州委員会と当該国政府との間で公式協議が開始される。それでも非協力的と判断されると、「レッドリスト」が発動され、当該国からEUへの水産物輸入が禁止される。一方、公式協議を通じて、対策を開始したと判定されれば「グリーンカード」扱いとなり、警告が解かれる。  タイ政府は、2015年4月に「イエローカード」が発動されて以降、欧州委員会との協議に建設的に臨んで来た。その中で、国際法に即した国内法の整備、国家としての義務遵守の強化、漁船統制強化、漁業活動の遠隔監視、港湾での検査計画の改善等を整備してきた。  タイは、漁業国として世界有数で、太平洋とインド洋で操業を行っている。水産加工産業も発展しており、タイがIUU漁業に本腰を上げることは国際的に大きな意味を持つ。またタイは、国連食糧農業機関(FAO)の港湾国対策協定の締約国として、港での外国漁船上陸に対する規制を強化し、インド洋および太平洋海域の国々との協力も強化してきた。 また、EUは、タイ政府が最近、国際労働機関(ILO)漁業労働条約(第188号)を批准したことも評価した。  一方、今回のタイの「イエローカード」解除は時期尚早との批判もある。環境NGOのEnvironmental Justice Foundationは、タイでの対策は不十分との見方を示した。またタイが結社の自由を保障する他のILO条約を批准していないことも問題視されている。  欧州委員会は現在、カンボジア、コモロ諸島、セント ビンセント及びグレナディーン諸島の3カ国に対し「レッドカード」を発動している。また、キリバス、シエラレオネ、セントクリストファー・ネイビス、台湾、トリニダード・トバゴ、ベトナムには「イエローカード」が出ている。一方、かつて「レッドリスト」が発動されたが解除された国は、ベリーズ、ギニア、スリランカの3ヶ国。 【参照ページ】Commission lifts “yellow card” from Thailand for its actions against illegal fishing 【参照ページ】Questions and Answers - Illegal, Unreported and Unregulated (IUU) fishing in general and in Thailand

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【カンボジア】アパレル大手工場、未払賃金要求ストライキ実施の従業員1200人を一斉解雇

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 台湾アパレル大手の山華企業(W&D)のカンボジア工場は1月4日、未払賃金の支払を求めてストライキを実施していた従業員約1,200人を一斉に解雇した。同社は前週に48時間以内にストライキを止め出社しなければ解雇するとの最後通告を出しており、プノンペンの裁判所も会社側の判断を支持していた。これに対し従業員側は、要求を受け入れるまで工場を占拠すると表明していた。  カンボジア労働省によると、会社側は、最長6ヶ月毎に従業員に賃金を支払い、雇用契約の終了時には退職金を支払う義務がある。また解雇時には、未払い賃金に加え、前月1ヶ月分の給与を追加で支払わなければならない。また解雇では、解雇の1ヶ月以上前に従業員に通知しなければならない。  従業員側は、解雇予告からわずか2日後に解雇されたことに反発。一方、労働省は、会社側の判断について、今回のケースは、会社側は従業員側に業務への復帰を要請しており通常の解雇通知とは異なるという見解を表明。会社側は十分な時間と機会を与えたとの見方を示した。  ストライキの中では、従業員側は公道を封鎖する等も実施しており、労働省側へのネガティブの印象につながった模様。労働者側は、緊急措置で、仕方ない措置だったと反論している。  カンボジアでは、労働紛争が続いており、人権問題として海外からも注目されている。

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【オランダ】公的年金ABP、たばこと核兵器関連銘柄を投資除外指定

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 オランダ公務員年金基金ABPは1月3日、たばこと核兵器関連企業からのダイベストメントを表明した。すでに両業界関連銘柄は2018年末までに売却済だが、将来に対しても投資を禁止する。ABPは両業界に対し40億ユーロ(約4,940億円)保有していた。ABPの運用資産総額は4,090億ユーロ(約50兆円)。  公的年金基金であるABPは、たばこ及び核兵器関連への企業からのダイベストメントを実施しても十分なリターンが得られると判断。また今回、投資除外に該当する基準を4つ発表した。「人々に害となる」「株主としての影響力を行使しても変化できない」「その商品やサービスが存在しなくても悪影響を与えない」「根絶を目指す国際条約がある」の4つ全ての該当する場合に投資を除外するとし、今回たばこと核兵器を適用した。 【参照ページ】Missie volbracht: ABP belegt niet meer in tabak en kernwapens

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【国際】加速する培養肉栽培の研究開発。水消費量や二酸化炭素排出量削減への期待の一方懸念も

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 食肉の生産に向けて、大学や企業の研究所等で家畜および家禽類の幹細胞を採取し、培養する研究開発が加速している。米サンフランシスコに本拠地とするメンフィス・ミーツやジャスト、イスラエルのフューチャー・ミート・テクノロジーズが先導。ジャストはこれまでに約250億円以上の資金を調達し、肉類に加え海産物の培養を進め、培地となる独自の血清「植物ベースのカクテル」を開発したという。英紙ガーディアンは、タイソン・フーズ、カーギル等の食品大手に加え、ビル・ゲイツ、リチャード・ブランソン等の資産家による培養肉への投資を報じている。  「培養肉」は、英語ではcultured meat、lab-grown meat、in vitro meat、clean meat等の用語が使われ、日本語でも「クリーン・ミート」と表現される場合もある。米国農務省(USDA)の報告書によると、2018年に平均的な米国人は、100kg以上、1人1日平均約274gの肉類を消費すると推計されている。近年は食材の多様化やベジタリアンの増加等により食肉以外からタンパク質を摂取する傾向もあるが、多くの人にとっては家畜や家禽の肉が主要なタンパク源となっている。  培養肉が普及した場合、環境面ではどのような影響があるだろうか。2011年にオックスフォード大学とアムステルダム大学の研究チームが試算したところ、1,000kgの培養肉の生産には、エネルギーを26から33GJ、水を367から521㎥、土地を190から230㎡必要とし、二酸化炭素排出量が1,900から2,240kg排出される。この数値をヨーロッパにおける従来の畜産と比較した場合、培養肉の方がエネルギーの使用を7%から45%、水を82%から96%、土地を99%、二酸化炭素排出量を78%から96%削減できることが明らかになった。削減幅にバラツキがあるのは、家畜類の中で環境への負荷がすべての側面で最大なのは牛肉であり、羊肉、豚肉と比較すると突出しているため。その一方、すべての側面で負荷が最少なのは家禽であり、この差が大きい。  研究チームは、上記の計算には輸送や冷凍・冷蔵に必要なエネルギー等は入っていないため、その分を加算した場合、培養肉の効用は一段と大きいと指摘する。また培養肉の製造に必要とされる面積は僅かであることから、従来の畜産で余剰となった土地を再森林化し、温室効果ガスをさらに削減することを提案している。そして、培養肉にはまだ不明な点も多いが、人口増に伴う食料需要や環境問題への対策として、従来の畜産より効率的で可能性が大きいと結論づけている。  米国農務省(USDA)と米国食品医薬品局(FDA)は、培養肉の研究開発が加速している状況を受けて2018年10月に公聴会を開催し、この革新的な食品の促進と、最高レベルの公衆衛生基準の維持に向けた規制の必要性がステークホルダー間で共有されたという。米食品医薬品法研究協会(FDLI)は、(1)食品添加物と同様の安全基準を満たしている、(2)公開されている科学的情報に基づき、有資格専門家によって安全であると確認される等のFDAの規定を満たしているとして、11月に培養肉の製造を認めた。  政府機関による体制としては、FDAが細胞の収集、保管、増殖と分化を監督し、細胞を収穫する段階で監督はUSDAに移行し、食品製造と表示について取り仕切ることになった。両機関はそれぞれの役割を果たすために協力体制を築き、情報を共有しつつ、培養肉に関わる技術の精緻化を積極的に推進するとしている。この新たな取り組みの実施に向けて、12月26日までパブリックコメントを募集していた。  一方、全米肉牛生産者協会(NCBA)は、従来の畜産による牛肉と、同協会が「フェイク」としている培養肉との明確な違いをラベルにより消費者に示すことに重大な関心を示している。USDAとFDAが管轄を明確にしたことを評価しつつも、「本物の牛肉の製造業者と消費者が保護され、公正に扱われるべきであり、まだ多くの課題が残されている」と訴え、製造業者に対してパブリックコメントを送るよう呼びかけた。  培養肉は動物の殺生も避けられるため、この動きを動物保護団体は歓迎しているという。さらに、鳥インフルエンザ、豚コレラ等、野外からもたらされる感染症の危険性は極めて小さくなりそうだ。今後の課題としては、更なる安全性の確保や、現在進められている低価格化の推進、そして消費者への十分な情報提供等が挙げられる。法務ニュースとリサーチを手がける米Juristは、市場に出回るまでには少なくともあと1年はかかると予測している。 【参照ページ】Lab-grown meat of the future is here – and may even sustainably fill demand 【参照ページ】Lab-grown meat would cut emissions and save energy 【参照ページ】Environmental Impacts of Cultured Meat Production 【参照ページ】Statement from USDA Secretary Perdue and FDA Commissioner Gottlieb on the regulation of cell-cultured food products from cell lines of livestock and poultry 【参照ページ】FDA and USDA announce production of lab-grown meat 【参照ページ】Cultured meat regulation ‘a step in the right direction’, says NCBA

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【日本】岐阜県で大規模な豚コレラ感染発生。3ヶ月間で約1万頭を殺処分。沈静化目処立たず

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 岐阜県は12月27日、同県関市の県内有数規模の養豚場で出荷前の検査から豚コレラ感染が12月23日に確認された(陽性確定は12月25日)問題で、同養豚場内の豚全8,083頭の殺処分を完了した。当初は飼育頭数は7,547頭としていたが、最終的に536頭増えた。岐阜県では9月に県内の養豚場で豚コレラ感染が確認されて以降、岐阜県内で複数件、愛知県でも感染が発例。静岡県も臨戦態勢に入るなど不安が広がっている。豚コレラは、人体には感染しないが、豚やイノシシに対して高い伝染力と高い致死率がある。  今回の一連の事件は、9月3日に県内の養豚場で豚の死亡を県に報告したことに始まる。幾度の死体検査を実施したところ、9月9日に農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門で実施された精密検査で豚コレラ感染が確認された。豚コレラの国内での発生は 1992年に熊本県で発生して以来26年ぶりとなった。農林水産省は同日、豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針に基づき、豚コレラ防疫対策本部を設置。同養豚場で飼育されていた繁殖豚79頭と肥育豚531頭を殺処分にし、豚肉輸出を停止するなど対応を実施したが、豚コレラは媒介がイノシシの生体に限られ、ワクチンもあることから、感染拡大は食い止められるとの見方もあった。  しかし、9月13日、同養豚場から7km離れた岐阜県内の道路脇水路で、野イノシシの死体を住民が発見し通報。翌14日に岐阜県の検査施設で豚コレラの陽性反応が出た。農林水産省も同14日、最初の養豚場で感染した豚の遺伝子解析をした結果、これまでに国内で発生したウイルスとは別の型で、海外から持ち込まれた可能性が高いことを明らかにした。  その後、岐阜県内の野イノシシの感染チェックが進められ、11月14日までに49頭の感染を確認。11月16日には、岐阜市畜産センター公園の飼育豚2頭を遺伝子検査し、豚コレラ感染を確認。岐阜県の指示を受けた岐阜市は即日、全21頭の子豚を殺処分した。防疫対策が万全と思われていた市の施設での感染は一気に人々の不安を高めた。そして、12月5日、今後は岐阜県畜産研究所養豚・養鶏研究部の飼育豚2頭で感染を確認し、子豚424頭、繁殖用豚67頭の計491頭を殺処分。同研究部は岐阜県産ブランド豚「ボーノポーク」の生産に必要な種豚を開発していた。3例目が防疫の要となる県の中核施設で発生したことで、ますます事態は深刻となる。  さらに12月12日には、岐阜県関市内のいのしし飼養施設(飼育22頭)で4例目の感染確認。12月15日には岐阜県立の岐阜県農業大学校(肥育豚7頭、繁殖豚3頭)で5例目の確認。12月22日には、岐阜県に近い愛知県犬山市でも野イノシシ1頭が感染していることがわかり、愛知県でも1例目が誕生してしまった。そして12月25日、6例目の感染が岐阜県関市の大規模養豚場で確認され、冒頭の約8,000頭の殺処分となった。この殺処分は大規模となったため、古田肇・岐阜県知事は初めて陸上自衛隊に災害派遣を要請し、名古屋市駐屯の第10師団の約470人が作業に加わった。  豚コレラの問題では、岐阜県の防疫指導の不備による責任の声も上がっている。豚コレラが発生した施設では洗浄・消毒や野鳥の侵入防止などが徹底されていなかった。岐阜市の市畜産センター公園の感染では、近くで豚コレラ感染の野イノシシが発見されていたのだが、イノシシが出没した場所で使用した重機を豚舎のある畜産エリアでも使っていた。  今後については、まだ感染拡大防止の目処は立っていない。さらに冬にはウイルスの生存期間が長くなり、ウイルス媒介者となるイノシシが活発に動く春先に感染がさらに拡大するリスクを指摘する声もある。

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