【オランダ】オランダ鉄道運行全線、1月1日より100%風力エネルギーで走行

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 旧オランダ国鉄のオランダ鉄道(NS)は1月初め、2017年1月1日より同社の国内電鉄全線の電力源が100%風力発電となったと発表した。同社は運転電力を全て100%風力発電とするためのプロジェクトで入札を実施し、オランダエネルギー大手Enecoが受注。10年間の契約を結び、当面の目標として2017年末までに風力100%を目指していた。しかし、オランダ国内の陸上、洋上風力発電所の増加を背景に、目標より1年前倒しで風力100%を実現した。100%風力での運行を実現したのは世界初。  オランダ鉄道の現在の路線の営業キロは約2,800km。オランダは国土が狭いが、JR東日本の営業キロ約7,500kmの37%という巨大な路線を保有している。1日の運行本数は約5,500。毎日60万人の足となっている。全線の運行に必要な電力は約1.4TWhで、オランダ国内の総電力需要の1%を占める。2017年の調達電力は、オランダ国内の風力発電所から497GWh、フィンランドの風力発電所から418GWh、スウェーデンの風力発電所から400GWh、ベルギーの風力発電所から35GWhとなる見込み。  オランダ鉄道とEnecoは最終目標として、2020年までに乗客当たりのエネルギー消費量を2005年比で35%削減することを掲げている。 【参照ページ】Sustainable Energy 【参考ページ】Dutch electric trains become 100% powered by wind energy 【参考ページ】Dutch Trains Are Now Powered By Wind

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【中国】アップル、中国での風力発電でゴールドウィンドと提携。285MWの設備容量を確保

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 風力発電タービン製造中国最大手ゴールドウィンド(新疆金風科技)は12月7日、米アップルと風力発電分野で提携することを発表した。ゴールドウィンドは、同社100%子会社のBeijing Tianrun New Energy Investment(北京天潤新能投資)が保有・運営する風力発電所4社それぞれの権益30%をアップルに譲渡する。 【参考】アップルとサンパワー、170MWの太陽光発電計画。2016年末までに完成(2015年12月9日)  アップルは目下、事業電力全てを再生可能エネルギーで調達する計画を実施に移しており、さらに同社だけでなくサプライヤーの事業電力も100%再生可能エネルギーにするという壮大な計画を展開している。アップルは、今回の提携により中国国内で285MWの再生可能エネルギー供給能力を確保する。同社は他にも、太陽光発電中国大手サンパワーと共同で内モンゴル自治区に太陽光発電所170MWを建設する計画を進めており、さらにサンパワーの間でアバ・チベット族チャン族自治州にさらに40MWの太陽光発電所を建設することで合意している。今回発表の風力発電を合わせたこれらの再生可能エネルギー電力は、同社に製品や部品を提供するサプライヤーに対して提供される予定。アップルが完成品組立を委託しているフォックスコンとの間では、フォックスコンが運営する中国のiPhone工場で、600MWの再生可能エネルギー発電所を建設する計画も進んでいる。  アップルは将来的に中国で再生可能エネルギー発電設備容量を2GWにまで高める予定だ。 【参考ページ】Apple, Goldwind’s Unit Agree to Cooperate on Wind Power Projects 【参考ページ】Apple reaches clean energy deal with Goldwind

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【スウェーデン】イケアグループ、気候変動対策分野に30億ユーロを投資。年間純利益の約70%相当

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 家具世界大手イケアは12月5日、今年度のサステナビリティ報告書を発表し、パリ協定で掲げる国際的な目標の達成に向けた今後の戦略を発表した。  イケアグループの2016年度(8月決算)の売上は342億ユーロ(約4.2兆円)、純利益は42億ユーロ(約5,200億円)。ユーロ換算で比較すると売上は前年比7.1%増と絶好調。イケアグループの主力市場は、ドイツ、米国、フランス、英国、スウェーデンだが、中国での売上が大きく増加。インドやセルビアでも1号店の開店を予定しており、各国でビジネスを拡大していく計画だ。  このような事業環境の中、イケアは今回気候変動対策のために合計30億ユーロ(約3,700億円)を投資計画及び実績を発表した。すでに実施済みのものとしては、2009年以来太陽光発電と風力発電プロジェクトに15億ユーロを投資。さらに自社運営の再生可能エネルギー発電所建設に6億ユーロを投じた。同社は、現段階で71%まで向上させた事業運営エネルギーの再生可能エネルギーでの調達割合を2020年までに100%にすることを計画している。そして今回新たに10億ユーロを森林保全、リサイクル、再生可能ネルギー開発、生体材料(バイオマテリアル)開発に投資していくことを発表した。  イケアグループは、低炭素型事業運営に向け、特に風力発電に着目している。同社が投資してきた風力発電設備容量は、米国で263MW、ポーランドで180MW、スウェーデンで132MWなど世界全体で778MW。2016年度の風力発電量は1,789GWhにも上る。また店舗などで太陽光発電パネルの敷設も進めているが太陽光発電量は127GWhと風力と比べ10分の1にも満たない。一方、熱エネルギーの再生可能エネルギー割合を高めることも進めており、発電量相当で1,271GWhをバイオマス熱、太陽熱、地熱などで調達し、熱エネルギーに占める再生可能エネルギー割合も63.1%まで上がってきている。それ以外でも、店舗の省エネ運営なども展開している。現在建設中のドイツ・カールスト市の店舗では、自然光を大量に採り入れる設計にし電力消費量を最小化させる。  また、事業活動を通じた気候変動対策として、イケアグループは、2016年度中に店舗販売する照明器具を全てLEDにすることを実現。合計でLED電球8,000万個を販売した。販売されたLED電球によるエネルギー消費削減量は65万世帯の電力量に匹敵するという。  これ以外でも、綿製品全てでサステナビリティ調達を実現、木材製品61%でサステナビリティ調達を実現、原油由来のポリエチレン製の包装を再生可能原料へ変更、LGBT等を含めた社員が自分らしく働ける職場づくり、従業員の年金口座に一律金額を加算するプログラム「Tack!」に1.08億ユーロを拠出など戦略目標を達成してきている。職場環境や風土の改善では、同社は独自の従業員向け調査「Voice Index」「Leadership Index」を運用しており、そのスコアを目標値を設定することでマネジメントしている。管理職の女性比率でも48%まで向上させた。  廃棄物ゼロに向けた取組では、家具買い替え時に不要となった古い家具の引取制度を構築し、引取後の商品をリユース、リサイクル、慈善団体に寄付などを実施している。また製品寿命の長期化、リサイクルしやすい製品設計などにも着手している。  【参照ページ】IKEA Group reports strong sustainability progress during critical year for climate action 【参照ページ】IKEA Group presents strong growth in FY16 with a continued focus on multichannel retail and long-term sustainability investments 【サステナビリティ報告書】Sustainability Report FY2016

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【中国】国務院、温室効果ガス削減アクションプランを発令。石炭消費量を大幅抑制

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 中国政府の国務院(内閣に相当)は10月27日、温室効果ガスの排出抑制に関する規制「第13次5カ年計画における温室効果ガス排出抑制アクションプラン(“十三五”控制温室気体排放工作方案)」を制定したことを、11月4日に発表した。石炭火力発電を大幅に削減させるのが政策の柱。中国政府が石炭消費を抑制していく姿勢が明らかとなった。  アクションプランで定められた内容は、2020年までに対GDP比の二酸化炭素排出量を2015年比で18%削減し、エネルギー消費量も2015年比15%削減するというもの。試算によると石炭消費量を42億トン(47億ショートトン)に抑える。その代替として水力や原子力発電など非化石燃料発電がエネルギー供給量全体に占める割合を15%に引き上げる。大規模発電事業者に対しては1kW当たりの二酸化炭素排出量を550g以内に留めるよう命じた。  一方、再生可能エネルギーに対しては、中国はこれまで2020年までに太陽光発電150GW、風力発電250GWという計画を掲げていたが、今回発表では太陽光発電100GW、風力発電200GWへと後退した。背景には、再生可能エネルギーを電力系統網の接続限界に達していることがあるという。それに対し、水力発電目標は340GW、原子力発電は58GWとした。再生可能エネルギー懐疑派は、中国も再生可能エネルギーより原子力発電に力を入れているという言い方がされることもあるが、今回発表の計画では原子力より再生可能エネルギーの方が遥かに推進規模が大きい。  交通分野では、天然ガス発電を増加させるとともに電気自動車の普及を図り、天然ガスがエネルギー供給量全体に占める割合を10%前後にまで引き上げる。  アクションプランは他にも、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄という二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出抑制もさらに推し進め、植林などを通じて炭素吸収源の増加にも努めていくという。また優先開発区域(優化開発区域)の二酸化炭素排出絶対量を削減に展示させることに努め、とりわけ重化学工業分野では2020年頃にピークと以後削減とすることを謳った。さらに、全国規模の二酸化炭素排出権取引市場の整備、気候変動に関する法律や規制の強化、二酸化炭素排出削減成果を人事考課に反映させる仕組みづくりや責任追及制度も整備していく考えも見せた。二酸化炭素排出権取引市場については2017年に立ち上げ、2020年内に制度の完成を目指す。  アクションプランの中には、気候変動枠組条約パリ協定の尊重、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた貢献にも言及しており、二酸化炭素排出量の削減には各区・市に対しての達成目標も設定するなど、マクロとミクロの両面から細かい指示がされている。  中国はGDP世界2位であり、二酸化炭素排出量世界1位の大国。世界の温室効果ガス排出量削減も中国の本気度に左右されると言っても過言ではない。今回中国政府から石炭火力発電の大幅抑制の号令が出たことは、世界に大きな影響を与えそうだ。 【アクションプラン】“十三五”控制温室気体排放工作方案

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【国際】2030年までに風力で総電力の20%を賄うことは可能。世界風力会議レポート

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 風力発電の国際的連携機関、世界風力会議(GWEC)は10月18日、2016年度の「Global Wind Energy Outlook」を発表し、2050年までの風力発電の成長予測を更新した。GWECは2年毎に同レポートを発表している。今回のレポートでは、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの発電コストが劇的に減少していることを挙げ、2030年までの風力発電の伸び率予測を上方修正した。とりわけ、アフリカ、アジア、南米など新市場で風力発電は急速に進展しており、現地での持続可能な発展を支える電力源となっていくという。  Global Wind Energy Outlookは毎回、複数のシナリオを用意して、それぞれのシナリオに基づく風力発電導入量、発電コスト、雇用創出数などを予測している。前回の2014年度レポートでは、世界29ヶ国が加盟する国際エネルギー機関(IEA)のベースシナリオで現在の政策レベルで2030年までに3.5℃上昇するとみる「新政策シナリオ(NPS)」、NPSを基にしつつ風力発電コストは今後大幅に下ると見るGWECの独自ベースシナリオ「中庸シナリオ」、中庸シナリオより各国政府が原子力や炭素回収貯留(CCS)に頼らず再生可能エネルギーを一層推し進める「発展シナリオ」の3つを基に数値予測をしてきた。今回は新たに、IEAが2℃上昇に抑えるために大気中の温室効果ガス濃度を450ppmに留めるシナリオ「450シナリオ」に基づく数値予測も行い、4つのシナリオ全ての2020年、2030年、2050年時点の風力発電状況を定量分析した。  このシナリオ分析の結果によると、2030年までの累積風力発電導入量は、NPS、中庸シナリオ、発展シナリオのいずれにおいても前回予測時より上方修正。NPSでは1,260GW、中庸シナリオでは1,676GW、発展シナリオでは2,110GWとした。また450シナリオでは1,454GWとした。発展シナリオで算出された2,110GWはその時の世界全体の発電総量の20%に相当し、GWECは各国が真剣になれば2030年までに風力発電が世界全体発電量の20%を賄うことも可能だと熱弁している。風力発電コストの低下を見込む中庸シナリオや発展シナリオでは、とりわけ中国、南アジア、アフリカ、中南米での導入が大きく進むという数値となっており、これが実現できれば持続可能な発展に大きく貢献できる。  実際に風力発電コストはここ数年大きく下がってきている。風力タービンの価格は2009年以降、約3分の1削減し、価格競争力を高めている。レポートでは、風力発電の中でも陸上風力発電が最も価格が下がっていると言い、米国では原子力発電コストは陸上風力の3倍。欧州、アフリカ、中東では石炭火力発電やガス火力発電は陸上風力より30%高いとした。GWECは風力発電コストは今後さらに下がると見立て、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)を紹介。2025年までに陸上風力発電コストは26%、洋上風力では35%下がっていくという。さらにGWECは、米国での風力発電分野の雇用は、2015年だけで21%増加し、全米平均より12倍も高いと雇用創出効果も強調。また今後、水資源の希少価値が高くなる中、水を一切使わない風力発電の意義は大きいとした。  レポートは無料で誰でもオンライン上でダウンロードできる。 【参照ページ】Wind Power to dominate power sector growth 【レポート】Global Wind Energy Outlook 2016

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【インド】政府、風力発電のリパワーリング(建替)を支援。借入補助金や契約免除など

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 インドの新・再生可能エネルギー省(MNRE)が今年8月5日に発表した風力発電設備リパワーリング政策が、インドの風力発電に大きな拍車がかかると高く評価されている。リパワーリング(Repowering)とは、古くなった風力発電タービンの建替えを行い、風力発電力の増強や発電効率の向上させることを言う。  新・再生可能エネルギー省が発表した新政策は、発電設備容量1MW以下の風力タービンのリパワーリングを支援する。まず、リパワーリングのための設備投資にかかる利子に対し、インド再生可能エネルギー開発公社(IREDA)が0.25%分の補助金を支給する。従来は、新設の風力発電所のみ金利分を全額再生可能エネルギー開発庁が負担するという政策があったが、今回は金利支援の対象をリパワーリングにまで拡大した。また、リパワーリングに対しても前倒し減価償却を認め、発電量増加分に対しても補助金を支援する。リパワーリング後は、リパワーリングまでの3年間平均の発電量を当初の固定買取価格(FIT)で州電力公社(State Discoms)に売電できることが担保される。また、リパワーリングによって増加した発電分は、州電力公社にリパワーリング時の固定買取価格(FIT)で州電力公社に売電するか、オープンアクセスコンシューマ方式(1MW以上の発電所は電力事業者への売電以外に第三者の電力需要者に売電することが認められている)で第三者に売電するかを選択できる。  新政策はリパワーリング期間中の措置に対しても手当する。これまで風力発電のリパワーリングは、リパワーリングの期間に発電ができなくなることから、すでに電力事業者との間で締結している電力購入契約(PPA)が履行できなくなることが壁になっていた。今回の新政策では、リパワーリング期間は、風力発電事業者はPPAの契約義務が一時的に免除されることを制度化し、さらに自家用発電のために風力発電を行っている場合は、リパワーリング期間中、政府が定める優遇価格で電力事業者から電力を購入できるようにする。  インド風力タービン製造業協会(IWTMA)によると、2000年までにインドで建造された風力発電機の多くは、発電容量500kwという中型のものが大半。この中型風力発電機で約3GWの発電を、また1MW未満では約10GWの発電を、今日行っており、これらを1MW以上の大型風力発電機に建て替えれば大きな発電量の増加が見込める。インドでは、運用メンテナンス(O&M)費用が高くなるのを避ける傾向が強く、新規風力発電機の平均設備容量が1MWを超えたのは2011年から2012にかけて。一方、風力発電先進国のEUや米国では2003年までに、中国でも2007年に平均1MW超えをしている。インド政府は2022年までに風力発電容量を60GWにする目標を掲げており、今回の政策は大きな躍進に繋がるとIWTMAも高く評価している。 【参照ページ】IWTMA’s take on the new regulations on repowering policy 【参照ページ】Repowering India’s wind sector 【新政策】Policy for Repowering of the Wind Power Projects

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【ヨーロッパ】独シーメンスと西ガメサ、風力発電設備事業を統合

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 総合電機大手で風力発電設備世界2位の独シーメンスと風力発電設備世界8位・スペインのガメサは6月17日、両社の風力発電事業を合併することで合意した。実質的にシーメンスがガメサ株式の59%を企業買収を通じて取得、ガメサ株主に一株当たり3.75ユーロを支払う。その後、シーメンスの風力発電設備事業を存続会社のガメサに移管する。ガメサは現在、マドリード証券取引所に上場しているが、統合後も上場を維持する。風力発電事業は昨今世界中で大きく成長しているが、企業競争を激化している。とりわけ洋上風力は設備の大型化を伴うため、技術開発や設備投資の額が大きくなる。両社は生き残りをかけ統合する道を選んだ。  統合会社の本社はスペインに置かれるが、洋上風力発電事業本部はドイツのハンブルグとデンマークのヴァイレに置く。統合会社の売上は93億ユーロ(約1兆300億円)、年間EBITは8億3,900万ユーロ(約940億円)を見込む。シーメンスの風力事業は、北米やヨーロッパ北部で強く、ガメサはインドや南米、ヨーロッパ南部など急成長地域でシェアが高く、両社が地理的強みを補完し合う。また、シーメンスは洋上風力発電で世界1位を独走している中、ガメサは陸上風力で事業を伸ばしてきた経緯があり、それぞれの製品分野でも補完し合う。  風力発電設備市場では、世界首位ヴェスタスと日本の三菱重工業が洋上風力発電設備分野で合弁企業を設置し、2014年1月から事業を開始している。陸上分野でシェアを伸ばし世界で存在感のあるヴェスタスに、洋上風力分野での技術開発を続けてきた三菱重工業が連携する形となった。新興国では、中国のゴールドウィンドが世界4位にまで成長しており、さらに6位のインド・Suzlon社、8位の中国・明陽風電も大きく市場シェアを伸ばしてきている。今回シーメンスとガメサが統合することで、さらに競争は激しさを増しそうだ。 【参照ページ】Siemens and Gamesa to merge wind businesses to create a leading wind power player 【関連ページ】世界の風力発電導入量とビジネス環境 〜2015年の概況〜

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【イギリス】スタトイル、スコットランド沖で世界最大の浮体式洋上風力を建設

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   エネルギー世界大手のノルウェー国有石油会社スタトイルは5月16日、世界最大の浮体式洋上風力発電所「Hywind」をスコットランド東岸沖で建設すると発表した。開発会社がこの日正式に英国王室領を管理するCrown Estateから海底借地の許可が出た。Hywindには、シーメンス社製の6MWタービンが5機設置され、設備容量は30MW。2017年中に操業を開始する予定。  浮体式洋上風力発電は、風力発電を海底に固定させず、洋上に浮かべたままにしておく風力発電で、海底の深い沖合に設置できる新しい技術。既存の固定式洋上風力は、コンクリートと鉄の土台を海床に固定する方式のため、水深約40m以上では建設コストが高くなることが課題となっていた。今回導入される浮体式洋上風力では、重りで平衡感覚を安定させた鉄製の支柱の上にタービンが設置され、全体が漂流しないよう支柱はケーブルで海底に繋がれる仕組み。遠瀬でも比較的建設コストが安くすみ、固定式に比べ嵐や荒波など自然環境に対する柔軟性が高い。Hywindは、スコットランド北東部の街ピーターヘッドの沖合約25kmの地点に設置される。既にスタトイルはノルウェー沖で同型の設備を1基試験設置しており、正常に機能することが確認されている。   スコットランドが世界最大の風力施設を建設する背景には、スコットランド自治政府が定めた法律「The Climate Change (Scotland) Act 2009」がある。自治政府自らが気候変動に積極的に取り組もうと2020年までに1990年比で42%の二酸化炭素排出量の削減、さらに2050年までには8%を上乗せ削減することを定めている。自治政府は、この目標を達成するため、2020年までにスコットランドの電力需要の100%に相当する電力を再生可能エネルギーで発電すると表明している。英国全体としては、2020年までに全エネルギー需要の15%を再生可能エネルギーにするとコミットしており、予測によると、2020年までに電力エネルギーの30%以上が再生可能エネルギーで発電されるという。現在、洋上風力は全ての風力発電設備容量の3%に過ぎず、ほとんどの風力発電所は陸地に設置されているが、英国のように陸地で施設建設認可が得にくい国では、洋上風力発電は発展の可能性が高い。  スタトイルは、今回のプロジェクトを運営するにあたり、計画段階から環境アセスメントを実施してきている。内容としては、(1)発電所や送電ケーブルが与える環境負荷、(2)海底生物の生態系への影響、(3)魚介類の生体系への影響、(4)鳥類への影響、(5)海洋哺乳類への影響、(6)航空機および電波探知機への影響、(7)商業漁業への影響、(8)船舶と航海への影響、(9)海底の文化・歴史資産への影響、(10)それ以外の海洋活動への影響、(11)社会経済や観光業への影響があり、これら11項目に関する影響について調査・報告して当局から認可を得ている。  これまでエネルギー生成ができなかった沖合洋上での発電が可能となる浮体式洋上風力発電には、ドイツでも実証実験が進んでおり、日本の福島沖や、米国、中国でも浮体式洋上風力には大きな関心が集まっている。浮体式の設計では、同じく洋上建設されているガス・石油掘削プラントから多くのヒントを得ており、耐久性や安定性などが研究されてきた。浮体式の分野でも企業の開発競争が激しくなってきているが、今回のHywindでは、この分野で先行しているシーメンス社が受注を勝ち取った。浮体式洋上風力発電もついに建設が本格化してきた。 【参照ページ】Statoil Set to Build the World's First Floating Wind Farm 【参照ページ】Hywind Scotland Pilot Park 【報告書】Hywind Scotland Pilot Park - Statoil

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【イギリス】世界最大規模風力発電所、最終投資を意思決定。設備容量1.2GW

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 イギリス沖で世界最大規模の洋上風力発電所プロジェクトが展開されている。設備容量は1.2GW。東日本大震災前の福島第一原子力発電所の設備容量が約4.7GW、再稼働した九州電力の川内原子力発電所の設備容量は1.78GW。1.2GWの設備容量がどれほど大きい規模か想像に固くない。もちろん、常時安定出力が可能な原子力発電所と異なり、風力発電所の実際に発電能力はそれに大きく劣るが、海外では再生可能エネルギーへの投資が今も続いている。  この発電所の名称は「Hornsea Project One」。イギリス東部ヨークシャーから120kmの沖に建設中で、面積は407km²(東京ドーム10個分)、ここにシーメンス製の出力7MWの大規模風力発電機が約240基設置される予定だ。設備容量が1GWを超える風力発電所はこれまで世界に例がなく、完成すれば世界最大規模となる。 (出所)Dong Energy  この発電所の建設を手がけているのは、デンマークの国営電力会社DONG Energy社だ。もともと「Hornsea Project One」プロジェクトは、2010年に再生可能エネルギー専門の民間電力会社Mainstream Renewable Power(本社アイルランド・ダブリン)と独総合電機大手シーメンスのインフラ投資子会社であるSiemens Project Venturesが50%ずつを出資する子会社「SMart Wind社」によって組成され、英国王室領を管理するCrown Estate社からプロジェクト承認を獲得していた。DONG Energyは2011年にSMart Wind社の33.3%の株式を取得、2015年に残りの株式を取得し、SMart Wind社を同社の完全子会社にした。そして、今年3月2日、Dong Energyは「Hornsea Project One」への最終投資意思決定を下した。「Hornsea Project One」の建設は、陸上部分が2016年から、洋上部分は2018年から始まり、全体の完成は2020年を予定している。「Hornsea Project One」で発電された電力については、英国が15年間固定価格で買い取ることですでに2014年に英国政府との契約(Final Investment Decision Enabling contract)が交わされている。  DONG Energyのチャレンジはさらに続く。SMart Wind社が英国から洋上風力発電許可を得ているのは「Hornsea Project One」の470km²だけでなく、その10倍以上あるHoensea地区全体4,735km²だ。今後DONG Energyは「Hornsea Project One」の後に、「Hornsea Project Two」「Hornsea Project Three」という風力発電所をさらに拡大していく予定だ。全部完成すると総設備容量は4.2GWに達し、福島第一原子力発電所の設備容量に近づく。その上、DONG Energyは「Honrsea」以外でもすでに英国内で合計2GWの風力発電所プロジェクトを展開中だ。DONG Energyは2020年までに風力発電設備容量を6.5GW保有する戦略を打ち出しており、今回の投資決定により、その目標達成に大きく近づいた。また、英国政府も2020年までに再生可能エネルギー電力割合を15%に上げる目標を掲げている。  このような大胆な投資決定は、デンマーク国営だからというわけでもなさそうだ。DONG Energyの株主構成はながらく、デンマーク政府76%、別のデンマーク電力会社であるSEAS-NVEとSyd Energiがそれぞれ11%、7%、残り6%が少数株主という状況であった。これが一変したのが2014年、DONG Energyは今に続く大規模投資を展開するために大型増資を行い、結果米投資銀行ゴールドマン・サックス19%、デンマーク労働市場付加年金(ATP)が5%、デンマークPFA年金基金(PFA)が2%を取得した。ゴールドマン・サックスとの契約により、DONG Energyは2018年までに株式上場させることが決まっている。  ゴールドマン・サックスの株式取得はデンマーク国会でも議論が真っ二つに分かれた。反対派は株式売却価格が低すぎることを糾弾したが、最終的には賛成派であった与党側が押し切った形だ。その後、ゴールドマン・サックスが参画することにより、風力発電事業の縮小を危惧する声も出たが、結果的には巨額増資により風力発電への投資は拡大している。そのことが風力発電が高いリターンを挙げると判断されているかはまだわからない。ゴールドマン・サックスは、割安で株式取得を実現した上に、株式取得時に大幅な意志決定への関与と2018年の株式上場を勝ち取っており、少なくとも数年後の株式売却時には高値で売れるとの判断もありそうだ。風力発電の事業性についての本格的な判断は、上場後の株価に委ねられるのかもしれない。 【参照ページ】About Hornsea Project One 【参照ページ】DONG Energy to build new record size offshore wind farm 【参照ページ】DONG Energy IPO could be the biggest in Denmark’s history 【参照ページ】Goldman Sachs ready to disclose DONG info

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【国際】グーグル、世界で過去最大規模となる再生可能エネルギーの購入を発表

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 米グーグルは公式ブログの中で12月3日、電力会社以外としては過去世界最大となる再生可能エネルギーの購入を行うと公表した。同社は既に他社に先駆けて再生可能エネルギーの調達を進めてきたが、今回、新たに世界中の電力会社6社から合計842メガワットの再生可能エネルギーを購入することに合意した。  米国では61メガワットの太陽光発電および合計625メガワットの風力発電、チリでは80メガワットの太陽光発電、そしてスウェーデンでは76メガワットの風力発電をそれぞれ調達し、データセンターの運営を賄う。グーグルの再生可能エネルギー購入量はこれまでの約2倍となり、合計2ギガワットへと到達する。これは車100万台分の温室効果ガス排出削減に相当する規模だ。  今回の購入を通じて、グーグルは2025年までに再生可能エネルギーの調達量を3倍に増やし、事業運営の100%を再生可能エネルギーで賄うという目標の達成に大きく近づいた。  グーグルは、これらの電力購入契約は10~20年の長期に及んでおり、風力発電所や太陽光発電所の建設に必要となる経済的安定性と規模を提供することで、各地域における新たな再生可能エネルギー送電網の発達にもつながるとしている。また、同社はこれらの契約は環境負荷の軽減につながるだけではなく、費用対効果の面でも優れた選択だとしている。  2006年に初めて自社保有のデータセンターを開設して以降、グーグルはデータセンターのエネルギー効率化や再生可能エネルギーの大規模な購入契約など、様々な手段を通じて持続可能かつ再生可能なエネルギーの利用促進に取り組んできた。 https://www.google.com/green/efficiency/datacenters/  今年の7月には米国アラバマ州にある現在は使用されていない石炭火力発電所を、100%再生可能エネルギーで運用されるデータセンターへと転用するという低炭素シフトの象徴とも言えるプロジェクトを公表した。  他にも、自宅に太陽光発電パネルを設置した場合の想定発電量や節約コストが簡単に分かるツール"Project Sunroof"や、空飛ぶ風力発電機として注目を集めている"Makani"、グーグル・ストリート・ビューを活用した空気質モニタリングなど、同社の技術を活かしたユニークな取り組みを幅広く展開している。  グーグルは今や世界最大のインターネット企業としてだけではなく、世界最大の再生可能エネルギー調達企業としてもその影響力を高めつつある。インターネットを世界のインフラにした同社の次なる目標は、そのインフラを100%再生可能エネルギーで運営することだ。今後も同社の革新的な取り組みに期待したい。 【参照リリース】Powering the Internet with renewable energy (※写真提供:Maglara / Shutterstock.com)

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