【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[2018年版](火力・水力・原子力・風力・地熱・太陽光等)

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 ここ数年、世界のエネルギーや発電に関する状況は様変わりしました。まず、東日本大震災を機に、日本でも世界でも原子力発電に関する否定的な考え方が強くなりました。また、アメリカでのシェール革命により天然ガスや石油の価格が急落。化石燃料の輸出入ルートも大きく変化しました。その中で、日本のエネルギー・電力の供給量割合がどのように変化したのか、紹介していきます。 日本のエネルギー・発電の供給量割合 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらは経済産業省エネルギー庁が発表している「2018年度エネルギー白書」のデータです。この表は、日本の発電事業者全体での、石油、石炭、天然ガス、原子力、水力、再生可能エネルギー(風力、地熱、太陽光など)別の電源割合を示したものです。統計対象については、昨年度のエネルギー白書までは、旧一般電気事業者、すなわち「電力会社」10社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)のみが集計対象(「電源開発の概要」「電力供給計画の概要」)でしたが、今年度からは、製鉄や重工業メーカーや再生可能エネルギー発電事業者が主な主体となる独立系発電事業者(IPP)を含む発電事業者全体を集計対象(「総合エネルギー統計」)とする大きな変更がありました。それに伴い、2010年移行のデータも新手法により再計算されました。  この推移から、日本の発電の歴史が垣間見られます。発電の主要電源は、1965年頃までは水力、1973年の第一次オイルショックまでは石油、そしてその後は石油に変わって石炭とLNG、そして原子力が担っていきます。2011年の東日本大震災以降は、原子力発電の割合がほぼゼロにまで減り、その減少分の大半をLNGがカバーしています。  2016年時点で、割合が最も大きなものがLNGで42.1%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で、実に83.8%を占めています。火力発電の割合は2009年当時は61.7%でした。この急速な火力発電依存の背景には、ご存知の通り原子力発電所の稼働停止があります。  歴史の長い水力発電は一般水力と揚水発電を合わせて7.6%。揚水発電とは何かは後ほど説明します。一方、期待されている再生可能エネルギーは6.9%。こちらも2009年当時は1.1%でしが、電力固定価格買取(FIT)制度の導入により5.8%伸びました。  発電総量が2010年以降減少していることも、興味深いポイントです。東日本大震災から約4年経ち、市民の生活にはほぼ節電の印象はなくなりましたが、実際には電力会社の発電総量は当時には戻っていません。日本が発電量を減らしながら持ちこたえている背景には、企業による節電努力があると言えそうです。また、2015年末の気候変動枠組み条約パリ条約で化石燃料、とりわけ石炭火力発電からの脱却が世界的なトレンドとなる中、日本では石炭火力発電の割合が2012年の31.0%から2016年の32.3%へと増加したことにも注目です。 各電力源の状況 水力発電(一般水力・揚水水力)  上記のグラフからの分かるように、1960年代まで水力発電が日本の主要電源でしたが、1975年に落差日本最大の黒部ダムが完成した頃からほぼ変化していません。水力発電は、維持コストが低く、CO2排出のない自然エネルギーである反面、ダム建設時の莫大なコストと水没による社会・環境コストが大きく、世界的な統計でも水力発電は、再生可能エネルギーとして扱われるケースと扱われないケースがあり、意見が分かれています。日本で水力発電が伸長しなかった背景には、1990年代以降の公共事業の見直し、2001年に当時の田中康夫・長野県知事が掲げた「脱ダム宣言」があり、大規模工事となるダム建設に社会全体が慎重になっていくという状況の変化がありました。  また、2015年には揚水式水力発電が0.7%を担っています。こちらも水力発電ですが、少し特殊な発電方式です。揚水式発電とは、電力需要の少ない夜間に電気を使ってポンプを動かし水を高地に引揚げ、電力需要の多い昼間に、その水を使って水力発電を行うというものです。電力を使って発電をするという方式のため発電総量を増やすことには寄与しませんが、昼間の最大電力量を増やす需給バランス調整機能として活用されています。  昨今では、再生可能エネルギー型の水力として「中小水力発電」にも注目が集まっています。こちらは巨大なダム施設を建設するのではなく、河川の自然の急流を利用して発電を行う中型・小型のタイプです。中小水力発電は、一般的な水力発電が持つ巨大な初期投資や水没というデメリットがないのですが、規模が小さいため、発電量そのものが小さくなってしまったり、河川の生態系へも悪影響を与えるという懸念もあり、日本ではほとんど建設されていません。 石油等  日本の火力発電は当初は石油が主要燃料でした。その背景には、中東からの石油販路の確保がありました。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらは1960年から2016年まで長期に渡る日本の原油輸入量の推移です。1960年から1973年にかけて、急速に原油の輸入量が増加していったことがわかります。当時の日本は高度経済成長期。日本の電力及びガソリン需要の増加していました。そしてその電力需要を賄うために、発電所建設コストの低い火力発電所の建設ラッシュが起き、その燃料として原油が用いられていました。  しかし、1973年から原油の輸入量は減少に転じます。第一次石油ショックです。発電を原油だけに依存することのリスク認識が高まっていきます。また、同時にマイカー時代の到来を支えるため、原油をガソリンに回す必要も出てきました。そんな環境下で、1975年、第3回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会が開催され、「石炭利用拡大に関するIEA宣言」が採択、石油火力発電所の新設禁止が盛りこまれました。その後も日本では、既存の石油火力発電所を石炭またはLNG火力発電へ転換することが促進されていきました。結果、火力発電の主役は、石炭やLNGに変わっていきました。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  東日本大震災まで石油での火力発電は減少の一途を辿ります。2012年からは増加に転じましたが、それ以上に石炭・LNGでの発電量は増えています。今でも火力発電と石油を結びつけて考えられることが多いですが、発電における石油の割合は大きくはありません。もちろん、原油はガソリンという貴重なエネルギー源でもありますので、エネルギー全体にとって重要性が低いわけでは決してありません。原油の輸入元も、過去しばらくは中東依存度を下げるためインドネシアからの輸入が増加していましたが、インドネシアの経済発展に伴い原油が輸出に回せなくなった結果、中東依存度は90%近くにまで戻っています。最近はイランからの原油輸入も減る一方、ロシアからの輸入が増えています。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会「エネルギー基本計画の要点とエネルギーを巡る情勢について」  原油価格のトレンドはこの数年で急速に変化しています。リーマンショックの2009年頃から原油価格は急速に高騰していきましたが、2014年秋から反落、今は2005年頃の水準に回帰しています。背景には、シェールガスやシェールオイルにより米国を始め世界中で化石燃料供給量が一気に増え、それに対し従来は価格調整機能を果たしていたOPECが対抗するために原油産出量を減らさない方針を発表したことがありました。その結果、石油火力発電のコストは減少していますし、この価格トレンドはこれからお話する、天然ガスや石炭の価格にも大きな影響を与えています。 石炭 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらのグラフは日本の石炭の国内生産量と輸入量の推移を示しています。今ではほぼ100%が輸入石炭となりましたが、かつて日本は石炭大国でした。明治時代から日本では機関車や工場の燃料、製鉄業の原料として石炭を大量に生産していました。中学校の教科書に出てきた福岡県の筑豊炭田、三井三池炭鉱、映画「フラガール」の舞台となった福島県の常磐炭田、世界遺産となった長崎県の軍艦島を始め、日本には北海道・福島県・山口県・九州北部を中心に800近くの生産量の豊富の炭鉱がありました。ところが戦後、液体で輸送利便性が高くさらに熱変換効率も高い石油と、安価な海外石炭に押され、国内石炭は競争力を失いました。その後、炭鉱の閉山が相次ぎ、現在、釧路炭田が国内唯一の坑内掘り炭鉱です。  一方、第一次石油ショック以降、火力発電の主役となった石炭は輸入量を急速に増やしていきます。石炭は石油に比べて地理的分布が偏在していないのが特長で、日本の一般炭の輸入元は、オーストラリアが76.5%、インドネシアが10.8%で、二カ国合計で全体の87.3%を占めています。日本は数年前まで世界一の石炭輸入国として君臨し続けていましたが、ついに中国が日本を抜き、現在世界一の石炭輸入国となりました。中国は少し前では世界有数の石炭輸出国だったのですが、国内の石炭需要が急増し、輸入国となったのです。同様にインドも近年石炭輸入を大幅に増やしており、2014年に日本を抜き世界第二位の石炭輸入国となりました。世界最大の石炭輸出国であるインドネシアにも変化の兆しが見られます。2014年6月に、ロイター通信が、「世界最大の一般炭輸出国インドネシアが生産抑制と輸出管理強化に向けた新たな規制を検討していることが6日、政府関係者の話で分かった」と報じました。インドネシアも国内の石炭需要が増えていることで、石炭輸出を控えようと言うのです。このように、石炭の需給は逼迫してきています。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  輸入石炭の価格は、石油や天然ガスと比べ遥かに安いですが、それでも近年じわじわと上昇してきており、昨今の石油・天然ガスの価格下落に比して、石炭価格はそこまで下落していません。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  石炭の今後を見ていく上で、やはり注目は中国の動向です。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"  実は中国は世界でダントツナンバーワンの石炭生産国です。その生産量32.4億トンで、2位インドの7億トンの約4.5倍です。その旺盛な石炭需要は国内の石炭だけでは賄い切れず、2010年には輸出国から純輸入国に転じました。2013年には世界最大の石炭輸入国となり、2014年の中国の石炭輸入量は3位日本の1.5倍の量まで増えましたが、2015年には大気汚染や気候変動の問題から中央政府が石炭への依存度を低減する政策に乗り出し、輸入量は日本と同等まで減少。しかしその後輸入は増え2016年には再び日本の1.3倍ほどに上がりました。 (出所)IEA  中国が膨大な石炭を必要としている背景には、石炭を用いた火力発電の伸長があります。中国は現在、再生可能エネルギーや原子力発電の建設を推し進めていますが、火力発電、特に石炭火力にかなり依存しています。石炭は石油や天然ガスと比しても世界での埋蔵量が多く、今後も安定的なエネルギー源として用いられていく見込みですが、需給が逼迫すれば当然価格は高騰します。また、石炭は他のエネルギー源に比べ、燃焼による窒素加工物含有量や硫黄加工物含有量が多く、後処理をしなければ深刻な大気汚染を引き起こします。環境対策も今後の大きな課題です。大気汚染問題を重く見た中国は、エネルギー消費量全体は伸ばしつつも、石炭の消費量は2014年以降は減少に転じています。 天然ガス (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  ガスと言うと、お風呂やガスコンロで用いられるガスのことを想像するかもしれません。確かにガスという燃料はそのまま家庭用や産業用に「ガス」という状態のままで使用されています。ところが、実際の日本での消費量を見てみると、都市ガスとして使われているのは全体の30%弱にすぎず、ほとんどのガス燃料は、火力発電のための燃料して使われています。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  天然ガスには、ガス採掘所から気体のままパイプラインを通して流通させるものと、一度冷却し液体状態にしたLNG(液化天然ガス)の2種類があります。ヨーロッパや米国では一般的に天然ガスはパイプラインで輸送されています。日本でも国内で採掘させる天然ガスはパイプラインで輸送されています。しかし国内天然ガスの採掘量は非常に少なく、日本は海外からの輸入天然ガスに頼っています。日本が輸入している多くの天然ガス産地は日本から離れており、LNGの形でタンカーに載って国内に入ってきています。  冒頭で紹介したように、日本は現在電力の44.0%を天然ガスで調達しています。では、その天然ガスはどこから輸入しているのでしょうか。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  過去の推移を眺めると、日本の電力会社や商社は、天然ガス調達のために次々と輸入元を開拓してきたことがわかります。特に、2000年代に入ってから依存度の高かったインドネシアからの輸入量が減少したこと、そして東日本大震災以後の原子力発電所の稼働停止に伴い、マレーシア、オーストラリア、カタール、赤道ギニアからの輸入量が増えています。また、近年、「サハリンⅡプロジェクト」等の進展によりロシアからのLNG輸入も始まっています。一方、米国からの天然ガス輸入が少ないことに疑問を持つ方もいるかもしれません。確かに米国では昨今シェールガス開発が急伸しています。米国から日本へのシェールガス輸入は2017年1月から始まりました。 (出所)CSIS  さて、ガスの価格はどうでしょうか。こちらは世界の主要市場である米国、ドイツ、英国、日本を比較したものです。この3本の線はそれぞれ違う動きを見せています。まず日本。東日本大震災後価格が急騰しているのがわかります。通常天然ガスは安定的な輸入供給を実現するため長期契約で価格を取り決めています。そして長期調達で融通しきれない場合は、スポットで取引されているものを買うことになります。日本は震災後、一気に購入量を増やしたためスポット市場でも取引を行い、需給バランスが売り手優位に動いた結果、価格が高騰しました。  一方、米国ではシェールガス革命が始まったおかげでリーマンショックからの経済回復後も価格は低位へと推移しました。また、欧州では安全保障リスクの観点からロシアからの天然ガス購入を控え、中東からの石油・天然ガス輸入を強化した結果、価格は下がってきています。日本でも2014年以降は、世界的なガス価格の低下の流れや、ガス供給者との価格交渉等により価格が下がってきています。 (出所)EIA  今後の注目はやはり米国でのシェールガス採掘の動きです。2015年時点での予測では、今後米国でのガスは大半がシェールガスとなっていく見込みで、全体のガス生産量も急増していくと言います。2014年後半のガス価格の下落以降、シェールガス開発の動きも少し緩慢になってきているといいますが、米国の潜在的なシェールガス産出規模は巨大です。膨大なガスが市場に出てきますし、2017年からは日本にも米国からのガス輸入が開始され、日本のガス輸入価格も下落していきています。また、日本政府やエネルギー各社、商社は協力して新たな天然ガスの調達先を開拓しています。米国では、中部電力・大阪ガスがフリーポートLNGプロジェクトに、住友商事がコーヴポイントLNGプロジェクトに、東芝がフリーポート(拡張)LNGプロジェクトに、三菱商事・三井物産がキャメロンLNGプロジェクトに関与しています。カナダでは、三菱商事がLNGカナダプロジェクトに、石油資源開発がパシフィック・ノースウエストLNGプロジェクトに、出光興産がトリトンLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石がオーロラLNGプロジェクトに関与しています。オーストラリアでは北部準州のイクシスLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石が関与しています。インドネシアでは、東部のアラフラ海海上のガス田開発プロジェクトに国際石油開発帝石が関与しています。 原子力発電  東日本大震災後に原子力発電所が全て稼働停止となりましたが、その後も2013年まで少量ながら原子力発電量が存在している理由は、関西電力の福井県大飯発電所の原子力発電所が一時的に再稼働されていたためです。もともと原子力発電は、日本の高度経済成長期に膨れ上がる電力需要を賄うため政府主導で進められてきました。1955年12月原子力基本法が成立し原子力利用の大枠が決定、1957年には原子力発電を行う事業者として日本原子力発電が発足します。1963年に日本初の原子力発電に成功し、1966年には日本初の原子力発電所・東海発電所が完成し、商用の営業運転を開始しました。「省資源・二酸化炭素排出量ゼロ・エネルギー安全保障の確立」という夢の技術として期待された原子力発電は、2011年の東日本大震災で社会の捉え方が大きく変化しました。その後全ての原子力発電所は全て活動を停止しましたが、2015年8月に九州電力の川内原子力発電所が運転を再開、2016年2月に関西電力の高浜原子力発電所が運転を再開しました。しかし同3月大津地方裁判所の仮処分を決定、高浜原子力発電所は運転を再び停止しました。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)」  原子力発電の魅力的な点は発電コストの低さです。現在日本政府の検討会議で使われている比較データでも、原子力発電は最も発電コストの低い手法の一つとして扱われています。しかしこの発電コストの低さを強調する議論に対し、「原発事故が起こった場合の対策費用や社会的損失費用などがしっかり考慮されていない」という、原子力の発電コストの計算方法に異議を唱える人々も少なくありません。日本政府は2015年1月30日、経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に「発電コスト検証ワーキンググループ」を設置し、最新のエネルギー市場を踏まえて再度エネルギーコストを試算することとしています。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)」  また、日本政府が原子力発電を推進したいもう一つの要因は、日本の原子力発電産業の振興です。かつて原子力発電の将来の国内の主要電源として位置づけてきた日本は、原子力技術は言わば長期にわたって官民で投資してきた分野。これを海外に輸出することを産業振興の一つの柱としてきました。世界の主要原子力プラントメーカーは再編が進み、現在は3つのグループに分かれています。1つが三菱・アレバグループ、2つ目が東芝・ウエスチングハウスグループ、そして日立・GEグループで、いずれにも日の丸電機メーカーが入っています。しかしながら、東日本大震災以後、日本国内での原子力に対する期待が大きく下がる中、韓国・中国・ロシアの新興原子力プラントメーカーが台頭してきており、日本の産業界からは危機感が募っています。 (出所)日本原燃  原子力発電にはメルトダウンなどのリスク以外にも、放射性廃棄物の再処理・中間貯蔵・最終処分の問題があります。そのためもあり、日本政府が2014年4月に閣議決定した新しい「エネルギー計画」では、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」という方針が決まりました。しかしながら、全面廃止するという意味合いではなく、発電コストを下げるためにも、目下のところ経済産業省は原子力発電の再稼働に躍起になっています。 再生可能エネルギー(新エネルギー)  最後に、「未来のエネルギー」と呼ばれてきた再生可能エネルギーの状況を見ていきましょう。再生可能エネルギーと一言で言っても実は定義は曖昧です。経済産業省は、再生可能エネルギーと新エネルギーの用語を使い分けており、再生可能エネルギーは広義で、太陽光発電(PV)、太陽熱発電(CSP)、風力発電、地熱発電、潮力発電、バイオマス発電、水力発電などを全て含みます。一方で新エネルギーは、再生可能エネルギーから大規模水力発電、フラッシュ方式地熱発電、空気熱発電、地中熱発電を除いたものを指します。ですが、実態としては専門家の間でも定義は今でも揺り動いていますし、外国にいけばなおさら定義は異なります。  日本の2014年の電力事業者が行っている発電のうち、新エネルギーが占める割合は3.2%。震災前の2009年には1.1%でしたので多少は増えましたが、それでも微々たる数値です。期待されても期待されてもなかなか日本で導入が進んでこなかった理由はコスト面です。原子力発電所のコーナーでご紹介したように、再生可能エネルギーのコストは比較的高いと計算されているのです。しかしながら、近年諸外国では再生可能エネルギーは積極的に導入されてきており、技術革新が進展。結果として、コストはどんどん下がってきています。 (出所)IRENA  こちらは国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表したデータです。再生可能エネルギーの発電コストについて、2010年と2017年を比べたものですが、特に太陽光(PV)、太陽熱(CSP)でコストが大きく下がり、風力もコストが低減していることが見て取れます。背景には、太陽光発電パネルメーカーも風力発電機メーカーもグローバル規模で熾烈な企業競争があります。とりわけ、中国やインドなどの新興国メーカーの台頭が目覚ましく、それらが発電コストをどんどん押し下げてくれています。日本政府も、固定価格買取制度を2012年に本格開始しました。その後、電力事業者各社から送電網の不安定さを理由に電力買取を拒否する動きも出てきましたが、経済産業省は送電網強化指導に乗り出しています。  再生可能エネルギーのシェア目標については、低く設定されたままです。2010年6月に改訂された日本政府の「第3次エネルギー基本計画」では、原子力発電と再生可能エネルギー(水力含む)の比率を、2020年までに50%、2030年までに70%とする計画を打ち上げました。さらに、その中で、再生可能エネルギーが占める割合を、2020年までに全体の10%に達するという計画も含まれました。しかし、東日本大震災によって計画は方向性を失い、2018年7月の「第5次エネルギー計画」では、2030年目標として水力と再生可能エネルギーで22%から24%、原子力を20%から22%としています。  では、再生可能エネルギーはやはり期待できない電力源なのでしょうか。世界に目を向けるとそうとも言えません。世界各国の電力統計をまとめている国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2015年時点で世界主要国は再生可能エネルギーを重点的に強化しています。定義が異なるため、こちらの統計では日本の発電における再生可能エネルギー割合は8.2%(バイオマス発電が3.3%で牽引)です。この数値で比較していきましょう。ドイツはそれぞれ27.1%、同じ島国英国は23.8%、デンマークはなんと68.0%です。また、各国では2018年までの間にさらに再生可能エネルギー投資を活発化させており、年々この差は開いていきそうです。 電力の行方  電力問題の課題には基本的に2つの大きなテーマがあります。 ピーク電力需要の削減(ピークシフト・ピークカット) 電力コストの削減(再生可能エネルギーの技術革新)  ピーク電力需要の削減とは、1年や1日の中で最も電気を必要とする時間帯の電気使用量を減らすということです。電気は1日中満遍なく使われているわけではありません。基本的には夏の昼間が最も電力需要が大きく、春秋の夜は電力需要が著しく低下します。すなわち1日をかけて電力消費量を減らす必要はなく、ピーク時の電力需要を削減できれば発電容量を大きくする必要がなくなるというわけです。そこでピークシフトとピークカットという考え方が出てきます。ピークシフトとはピーク時に節電しピーク時でないとき電気を使うという電力需要の差を平準化する試みです。その方策としては、ピークでないときに蓄電してピーク時に使用するという供給側の対策と、電気料金を時間帯ごとに変えピーク時に高くそれ以外に安くすることで利用者のピーク時以外利用を促すという需要側の対策の2つが大きく検討されています。ピークカットとは節電技術を開発・導入して常時電力を下げるという方法と、ピーク時に活用できる太陽光発電などを利用してピーク時の商用発電量を減らすという方法があります。  一方で、電力コスト削減の突破口は技術革新です。特に上述したように再生可能エネルギーのコストは年々大きく低下しており、これは全て開発している研究者やエンジニア、企業や研究機関の努力によるものです。当サイトでも、太陽光、洋上風力、バイオマスの技術革新の様子をご紹介しています。この分野の技術革新には海外ではESG投資として年々多くの資金が投じられており、ますますテクノロジーの進化は進んでいきそうです。従事する企業にとっては国際競争がより激化していくことも意味しています。事業会社にとってもエネルギーの安定供給を実現していくことは企業のサステナビリティを高めることにも繋がり、アメリカのIT業界では再生可能エネルギーでの発電を自社で推進しています(参考:【IT】Greenpeaceの巨大な影響力 〜Amazon, Appleがクリーンエネルギー推進へ転換〜)。エネルギーの分野はこれからますます多くの企業の関心と協力を必要としていきます。

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【エネルギー】世界各国の発電供給量割合[2017年版](火力・水力・原子力・再生可能エネルギー)

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世界の発電供給量割合  こちらの図は、国際エネルギー機関(IEA)が公表している最新データベース「Key World Energy Statistics 2017」をもとに、2015年のデータをまとめたものです。こちらのデータにより各国の状況を横並びで比較することができます。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"をもとにニューラル作成 世界全体の発電手法(2015年) 石炭   :39.2% 石油   : 4.1% 天然ガス :22.8% 原子力  :10.6% 水力   :16.3% 地熱   : 0.3% 太陽光  : 1.0% 太陽熱  : 0.0% 風力   : 3.4% 潮力   : 0.0% バイオマス: 1.8% 廃棄物  : 0.4% その他  : 0.1%  世界の発電総量割合の全体傾向は、石炭が1.4ポイント減少し、天然ガスが1.2ポイント増加。太陽光と風力もそれぞれ0.2ポイント、0.4ポイント伸びました。それ以外はほぼ横ばいです。 北米:資源が豊富で選択肢が幅広い  経済大国米国、そしてカナダ。両国は電力消費量が「一流」なだけではなく、電力生産量も「一流」です。世界の電力生産量のうち、米国だけで約18%、カナダを合わせて約21%を占めています。北米は化石燃料が豊富な地域です。2015年時点で、石炭生産量は米国が世界第3位。石油生産量は米国が3位で、カナダが4位。天然ガス生産量は米国が1位で、カナダが4位です。北米では、シェールガスやシェールオイルの採掘が大規模に始まっており、資源生産量はまだまだ増加します。化石燃料以外も「一流」です。広大な大地を要する両国は、水力発電用地にも恵まれ、水力発電量は米国が世界第4位、カナダが2位です。また科学技術力の高い両国は原子力発電にも積極的で原子力発電量も米国が世界1位、カナダが6位です。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"  このように資源が豊富な米国ですが、一方で再生可能エネルギーの導入も進んできています。2015年度は水力を除く再生可能エネルギーで7.6%、水力を含めると13.9%となります。米国は連邦政府レベルでは依然再生可能エネルギーのシェア目標(英語でRenewable Portfolio Standard。RPSが略称)は設定していませんが、州政府は自主的にRPSを設定を行っており、今日までにすでに30を超える州政府が公式に目標数値を発表しています。その中で特に有名なのはカリフォルニア州が掲げた2020年までに33%(水力発電含む・原子力は含まない)という目標です。2015年時点では、当時のオバマ政権の政策もあり、石炭火力発電が5.4ポイントと大幅に減少。天然ガスへのシフトも進みました。トランプ政権は、石炭への回帰を目指す政策を掲げていますが、州政府レベルではオバマ政権時代と変わらない、もしくはそれ以上の低炭素の動きを見せています。 西欧:原子力か、ロシア産天然ガスか、それとも再生可能エネルギーか  西欧諸国は国毎に原子力発電に対する考え方が大きく分かれています。イタリアは従来から原子力発電所を使用しない方針を堅持しており、現在も原子力発電所での発電はゼロ、フランスからの電力輸入で電力消費量の十数%を調達する道を選んできました。東日本大震災後には、ドイツ、ベルギー、スイスが原子力発電所を期限を決めて全廃する方針を決定。スペインもその流れに追随し、原発の新設中止を決めています。世界有数の原子力大国であったフランスでも原子力発電に対する考え方が大きく後退し、現在のマクロン政権は原子力依存度を大幅に下げる政策を展開しています。原子力を放棄しても西欧諸国が発電量を確保できるのは、ロシア産天然ガスがあるからです。ヨーロッパにはロシア産天然ガスを輸送するためパイプラインが縦横無尽に張り巡らされています。この天然ガスによる火力発電がヨーロッパにとっての安定的なエネルギー供給源となってきました。 (出所)一般財団法人高度情報科学技術研究機構  ところが、そのロシア産天然ガスにも依存できない状況が到来しました。それは政治的リスクです。ウクライナ情勢が不安定化する2000年代から、政治的に対立しやすいロシアに対しエネルギー源を大きく依存することは得策ではないという政治的な判断が生まれ、いくつかの国は原子力でもない、ロシア産天然ガスでもない道を選択しなければならなくなりました。そして登場するのが再生可能エネルギーです。  西欧諸国は世界の中で再生可能エネルギーを最も推進している地域だと言えます。政府は再生可能エネルギーの導入を推進する制度整備を行い、メガソーラーや大規模洋上風力発電所等への積極投資を呼び込みました。結果、スペインは太陽光・太陽熱・風力を合わせて23%、イタリアも太陽光・太陽熱・風力を合わせて13%、工業国ドイツも太陽光・風力合わせて18%、英国も太陽光・風力で14%を発電しています。この流れは2015年以降も続いておりIEAの次回データ発表の際には、各国の再生可能エネルギーによる発電のの割合はさらに高まっていると予想されます。  また特殊事情にあるのは資源保有国であるドイツと英国です。ドイツは世界第8位の石炭生産国、英国には北海油田・ガス田があります。その結果ドイツは石炭での発電割合が高く、英国は天然ガス(ロシア産ではなく自国産)の割合が高くなっています。ところが、その英国も北海油田には依存できない状態が到来しています。 (出所)JOGMEC「在来型・非在来型を共に追い求めるイギリスの石油・ガス動向」  英国の石油・天然ガス生産量は、2000年頃を境に急落しています。北海油田が成熟化し採掘コストが増加しているためです。英国は2004年に石油・天然ガスの純輸入国になり、2013年には石油製品も含めた純輸入国へ転換しました。それでも天然ガスはロシア産は購入せず、90%以上をカタールからの輸入LNGで賄っています。この状況下で、英国は自前のエネルギー源を確保するため、北海地域で天然ガスやシェールガスの開発を積極化していますが、一方で大規模洋上風力発電にも活路を見出そうとしています。 北欧:水力シェアが高い (出所)IEA "Key World Energy Statistics"  デンマークを除く北欧地域は一人当りの電力消費量が高い地域です。北極圏に近い寒冷地域のため、暖房での電力消費量が多いのです。同様のことは同じ北緯にあるカナダや、アルプス山脈地帯であるスイスにも言えます。このように燃費の悪い地域にはもう一つの特長があります。自然に恵まれた環境であるため、水力発電が盛んなのです。水力発電の割合は、アイスランド(73.3%)、ノルウェー(95.9%)、スウェーデン(46.6%)、フィンランド(24.4%)です。同じく地理的環境が似ているカナダ(56.8%)、スイス(58.%)です。  原子力発電所については北欧でも対応が分かれています。水力発電だけで電力をほぼ100%賄っているノルウェーや、アイスランド、デンマークは当初から原子力発電はゼロ。スウェーデンは現在34.8%を原子力発電に依存しており、一度は原発全廃の方針を掲げたものの、その後方針を撤回し、今後も原子力を継続することとなっています。フィンランドは原子力発電を今後も継続していく予定です。  北欧は西欧と並んで再生可能エネルギー意欲の高い地域です。地理的制約により水力発電が適さないデンマークは従来ロシアから輸入した石炭で火力発電を行ってきました。しかし、ロシア依存度の引き下げと気候変動への対応のため2025年までに石炭での発電をゼロにする検討を行っています。そこで目をつけたのが洋上風力。今では風力発電だけで48.8%を賄っており、世界の風力発電大国です。スウェーデンとフィンランドも同様に風力とバイオマスに力を入れており、2つを足したシェアはスウェーデンで15.6%、フィンランドで19.4%に達します。また、ホットプルームという特殊な地理的環境に恵まれたアイスランドは地熱発電で26.6%の発電を行っており、水力と地熱だけで100%の発電シェアを誇ります。  興味深いのはノルウェーです。ノルウェーは英国と同様に北海地区に油田・ガス田を有する資源大国です。天然ガスの生産量は世界第7位。しかしながら、水力発電が強く、石炭・石油・天然ガスを合わせた火力発電合計の割合はわずか1.3%です。ノルウェーは石油・天然ガスの多くを輸出しており、その半分は英国に輸出されています。 アジア・太平洋:火力発電への依存度が極めて高い  アジアは非常に火力発電割合の高い地域です。まずは資源保有国の状況。石炭生産量世界第1位の中国、同第2位のインド、同5位のインドネシアは石炭での火力発電が主力です。天然ガス生産量世界第3位のイラン、同9位のサウジアラビア、そして同じく産油国であるエジプトやマレーシアでは、天然ガスと石油が主力です。一方、日本、韓国、台湾、タイといった資源非保有国は輸入石炭や輸入天然ガスによる火力発電が主流です。特に、地理的環境や経済構造が日本と近い韓国や台湾では、かつての日本と同様、原子力発電によって自前のエネルギー源を確保する政策を採ってきています。しかし台湾は2016年に2025年までに原子力発電を全廃し、風力と太陽光をで補うことを決定しました。  経済成長著しい中国とインドは今後、大気汚染に苦しむ石炭火力発電の割合を大きく引下げ、太陽光発電と風力発電を大規模に展開していく計画をすでに立てています。  ここで特筆すべきは、インドネシアとフィリピンの地熱発電です。インドネシアは世界第2位の地熱資源保有国、フィリピンは同4位。両国は環太平洋造山帯に立地するという地の利を活かし、地熱発電の割合はインドネシア(4.3%)、フィリピン(13.4%)となっています。両国が地熱発電に踏み切った背景には、原子力発電計画の廃止がありました。フィリピンでは、もともと1976年に原子力発電所が着工し、1985年工事がほぼ終了したものの、1986年に発足したアキノ政権によって同発電所の安全性および経済性が疑問視され、運転認可が見送られた経緯がありました。その後、地熱発電に舵を切っています。また、インドネシアでも、一時検討されていた原子力発電所計画が、福島第一原子力発電所事故を契機に頓挫し、大規模な地熱発電の拡大計画を政府が打ち出すに至りました。今、両国では、海外の金融機関や商社が地熱発電プロジェクトに大規模に出資し、開発を展開しています。 (出所)JOGMEC  オセアニアの大国、オーストラリアも資源大国です。石炭生産量は世界第4位、石油・天然ガスも生産しています。そのため、化石燃料からの火力発電割合が86%(そのうち石炭が63%)と圧倒しています。人口当たりの二酸化炭素排出量が世界一とも言われるオーストラリアがその排出量を減らすため連邦政府は2006年に原子力発電の導入に踏み切ろうとしましたが、国民からの支持を得られず計画は頓挫しています。気候変動対策も迫られるオーストラリア政府は、脱石炭、太陽光・風力発電へと徐々にシフトしようとしています。 その他新興国  ロシア、南アフリカ、メキシコは、自国の資源を活用した火力発電に大きく依存しています。ロシアは天然ガス生産量世界第2位、石炭生産量6位。南アフリカは石炭生産量第7位、メキシコは天然ガス産出国。また、メキシコは地熱発電量世界第4位も誇り、今後は地熱発電プロジェクトへの投資も増えていく見込みです。一方ブラジルも国内で石炭や石油を生産している国ですが、火力発電の割合は高くはなく、電力の62%を水力発電で調達しています。世界最大の砂糖の生産・輸出国であるブラジルは、バイオエタノールによるバイオマス発電の割合が8.4%と高いのも特徴で、バイオマスでの再生可能エネルギー導入が進んでいます。

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2018/02/14 体系的に学ぶ

【国際】国際エネルギー機関IEA「世界エネルギー展望(Energy Outlook)2017」発行

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 国際エネルギー機関(IEA)は11月14日、「世界エネルギー展望(World Energy Outlook)2017」を発行した。過去1年間の大きなトレンドとして、再生可能エネルギーの急速な伸長と発電コストの低下、米国でのシェールガス・シェールオイルの急増、中国でのエネルギー政策の大転換を挙げ、内容を解説している。 (出所)IEA  今年の報告書では、2040年には今よりもエネルギー需要が30%伸びると予測。伸び率は今よりも下がるが、今より遥かにエネルギーが必要となる。世界経済は毎年3.4%成長し、人口も2040年には今よりも16億人多い90億人となる見込みで、4ヶ月毎に上海人口に相当する都市人口が増加していくことなる。とりわけ増加量が多いのがインド。1国だけで世界の増加量の30%を占める。中国も引き続き増加量が790Mtoe多く、他にも東南アジア、中東、アフリカでは400Mtoeを上回る増加を経験していく。 (出所)IEA  今後大きく成長するのは再生可能エネルギーで、2040年には世界の1次エネルギー需要増加量うち40%を再生可能エネルギーが占めることになる。とくに中国とインドの太陽光発電が牽引する。EUでも新規発電設備容量の80%は風力を中心とした再生可能エネルギーが占める。IEAはこれにより石炭の時代は終わるだろうと見通している。2000年以降、石炭火力発電は約900GWの設備容量を誇っているが、2040年までの新規増加は400GWに留まり、そのうちの大半はすでに建設が着工している。インドではすでに発電に占める石炭火力発電の割合は2016年に4分の3に下がっており、2040年には半分まで下がる見通しだという。炭素回収・貯蔵(CCS)技術が普及しなければ、石炭消費量は横ばいになるだろうとした。  一方、石油需要は2040年まで緩やかに増加を継続。天然ガスは2040年までに45%も増加するが、電源としてよりも産業利用の分野で伸びる。原子力発電の将来は昨年よりも暗雲が立ち込めているが、中国が世界をリードし2030年までに米国を上回り世界最大の原子力発電国となる見通し。 (出所)IEA  米国では、シェールガスとシェールオイルにより、石油・ガス生産量が増加に転じる。2025年までは年々増加し、それ以降も2040年まではほぼ横ばい。一方、米国のエネルギー消費量は2040年までに30Mtoe減少するため、大幅な生産増は輸出に回る。2020年台中頃には米国は世界最大の天然ガス輸出国になる見込み。 (出所)IEA  石油需要は2040年まで減少するもののさほどは減らない。背景には、電気自動車(EV)等の普及により自家用車のガソリン・ディーゼル需要は減少しつつも、航空機、輸送トラック、石油化学分野での需要は大きく伸びていくため。そのあめ石油エネルギー消費を抑えるためには、航空機、輸送トラックでの代替燃料や石油化学製品のリサイクルや使用量削減がカギを握る。 (出所)IEA  世界最大のエネルギー消費大国となっている中国の動向が世界の帰趨を左右すると言っても過言ではない。すでに中国は石炭依存度を削減する政策の大転換を行っており、今後も石炭火力発電所の増設は続くものの既存の発電所の建替えも多く、石炭消費量はすでに減少し始めている。また、太陽光、風力、水力の合計新規設備容量は石炭火力を上回り、再生可能エネルギーが急増していく。 (出所)IEA  大気汚染物質排出量では、現在深刻化している中国は今後大幅に減少していき、エネルギー消費量は伸びつつも、2040年までには半減する見込み。同様に石炭依存度が比較的高いドイツやポーランド等でも大気は清浄化していき、EUでも大きな削減が見込まれている。一方、今後大気汚染が深刻になっていくのはインドと東南アジア。  気候変動を1.5℃から2℃に抑えるためには、2040年には電源に占める再生可能エネルギー割合を60%、原子力を15%、炭素回収・貯蔵(CCS)技術で6%を回収しなければならない。そのため石炭火力発電を一刻も早く止めなければならない。また、自動車だけでなくトラックのEV化も進めなければならない。  日本では、再生可能エネルギーか、原子力発電か、CCS付石炭火力発電か等の議論が盛んだが、IEAの予測を見ると、CCSや原子力発電をやれば再生可能エネルギーはそこそこで良いというような結論にはなりえない。そもそも再生可能エネルギーを軽視した未来は到底描けない。 【参照ページ】World Energy Outlook 2017

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【中国】五大発電企業の一つ中国国電と石炭大手・神華が合併。世界最大の電力会社誕生

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 中国国務院国有資産監督管理委員会は8月28日、国営発電大手の中国国電集団と、国営石炭採掘・加工大手の神華集団を合併させたと発表した。統合後の企業資産は1.8兆人民元(約30兆円)。世界の発電業界の中で、売上世界第二位、発電設備容量世界最大の巨大な電力会社が誕生した。  企業合併プロセスは、神華集団公司を存続会社とし社名を「国家能源投資集団」に変更。この新会社が中国国電集団公司を吸収し、新たなホールディングス会社となった。中国国電集団と神華集団の傘下にあった上場子会社はホールディングス会社の下にぶら下がるかたちで位置づけられた。また、中国国電集団と神華集団は同時に、火力発電の新合弁会社を立ち上げる計画も発表した。中国国電集団が373.73億元の資産を、神華集団が292.74億元の資産を現物出資し、合計企業資産は666.47億元となる見込み。新合弁会社は、必要な行政手続、株主決議等を経て、設立される。  新会社の発電設備容量は225GWとなり、現在世界最大のフランス電力(137.5GW)、伊エネル(83GW)を抜いて、世界最大となる。中国政府が両社の合併を決めた背景には、中国で深刻化する石炭火力発電の過剰設備容量を削減したいという思惑があると見られている。まず、これまで石炭関連事業のみが扱えた神華集団は、今回の統合により、再生可能エネルギー分野にも進出できるようになる。中国政府は、石炭火力から再生可能エネルギーへのシフトを進めているため、これに合わせ神華集団も事業領域を石炭火力から再生可能エネルギーにシフトしていくことができる。また、中国国電集団にとっても、この統合により、神華集団から量および金額面で安定的に石炭供給が受けられるようになり、さらに神華集団が保有する鉄道網、港、船舶といったインフラ資産も活用できるようになる。  統合後の国家能源投資集団の発電設備容量と石炭採掘量(年間5億トン)はそれぞれ中国全体13%を、再生可能エネルギー発電設備容量では中国全体の23%を占めることになる。  中国の発電事業は、かつて国営の国家電力総公司が電力市場シェアの50%以上をとる体制だったが、2002年12月に発電、送電、補助事業の3つに分離されるともに、各事業についても地域ごとに分割された。そのうち発電事業については、今回話題の中心となった中国国電集団と、中国華能集団、中国大唐電力集団、中国華電集団、中国電力投資集団の合わせて5社が五大発電企業と言われてきた。これら5社は、いずれも国営企業だが、子会社を香港で上場させており、投資家から資金調達できるようになっている。中国政府はさらに、残りの4社についても、企業統合を検討していると噂されている。

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【アメリカ】環境保護庁、火力・原子力発電所に課していた廃水制限ルールの見直しを決定

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 米環境保護庁(EPA)は4月13日、「水浄化法(Clean Water Act)」の下で火力発電や原子力発電に用いられる蒸気発電設備について定められていた廃水制限ガイドラインとその基準に関するルール(ELGルール)を見直すことを決定した。  同ルールは、1974年に制定された古いルールだが、前オバマ政権時代の2015年に改定。発電所が排出する廃水に含む有毒金属含有量を連邦政府として初めて制限した。これにより、発電所は、廃水に含む有毒金属、栄養素、汚染物質などの量を合計6.4億kg削減しなければならなくなった。連邦政府は、同ルールを遵守する経済コストは4.8億米ドル、一方これによる社会便益は4.51億米ドルから5.66億米ドルだと試算していた。  しかし、トランプ政権は、ELGルールを遵守するためコストは、実際には平均で12億米ドルを要するとこととなると判断。経済や雇用に悪影響を与えるとして、同ルールの再考を決めた。また同ルールについてはすでに反対する勢力がルールの施行停止を求めて裁判所に提訴しており、EPAは今回同時に、裁判所での結着がでるまで当面同ルールの遵守期限を延期することを決めた。  裁判所判決を待たずして、ELGルールは撤廃される可能性が高い。ELGルールは、間接的に火力発電や原子力発電を抑制する効果があったため、撤廃されると火力発電、原子力発電に対する重しがまた一つなくなる。 【参照ページ】EPA to Reconsider ELG Rule

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private 【エネルギー】世界と日本の地熱発電の現況〜日本、アメリカ、フィリピン、インドネシア、アイスランドを中心に〜

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地熱発電が適した国  地熱発電は、地球が発する熱を利用したエネルギー源です。地球が発する熱は、地球上に均等に存在しているわけではありません。地球中心部の熱源は、プレートの境目に付近に多く表出しており、ホットスポットと呼ばれています。地熱発電には適している地域とそうでない地域があるのです。 (出所)オーストラリア・ビクトリア州政府HP  結果として、地熱発電が可能な国は、その立地する地理的環境によって自ずと決まってきます。地熱資源量が多い国は、上位から、アメリカ、インドネシア、日本、フィリピン、メキシコとトップ5は全て環太平洋火山帯(Ring of Fire)に属しています。6位のアイスランドは大西洋上のホットプルームという特殊な地熱資源環境に位置しており、7位のイタリアはアルプス・ヒマラヤ火山帯(Alpide Belt)に属しています。また、アフリカの大地溝帯(Great Rift Valley)も地熱資源量の多い地域です。 (出所)資源エネルギー庁「地熱資源開発の最近の動向 2012」  一方、上記の地熱発電設備容量は、各国での地熱発電への取組具合を反映しています。地熱資源量と地熱発電設備容量のトップ8は全くの同じ顔ぶれです。その中でも、フィリピンが積極的に地熱に力を入れていることと、地熱資源量第3位の日本は設備容量ランキングでは8位と大きく出遅れていることが目立ちます。 (出所)EIAをもとにニューラル作成  世界中のエネルギー情報を集めている米エネルギー情報局(EIA)の統計によると、2012年に地熱発電を行った国は世界で24ヶ国。トップを走っているのは、地熱資源量・地熱設備設置容量でもトップを快走するアメリカです。それを追うのが、フィリピン、インドネシア、ニュージーランドで、特にこの10年ほどで急速に発電量を増やしているのが見て取れます。イタリア、アイスランドの欧州勢も大きく伸長しています。一方、減速しているのがメキシコと日本です。今地熱の世界では何が起きているのか。日本、アメリカ、フィリピン、インドネシア、アイスランドを中心に、現状をウォッチしていきます。 地熱発電が停滞する日本  日本で初めて地熱発電所が実用化されたのは1966年。岩手県八幡平市の松川地熱発電所が日本第1号の実用地熱発電所です。日本重化学工業社が4年の歳月と20億円をかけて建設しました。最大出力量は23,500kw。現在も稼働している現役の発電所です。当時は戦後の電力不足に日本中が苦しんでいた時代。黒部川第四発電所のある黒部ダムも1963年に竣工。その中、地熱発電にも新たな電源としての活躍が期待が集まりました。1960年代は世界各国も地熱発電の開発を進めた時期でもあり、日本は地熱の世界でトップランナー群に属していたと言えます。松川地熱発電所は、現在は、東北電力のグループ会社、東北水力地熱が所有しています。 (出所)Wikipedia  1970年に入り地熱発電の開発は加速します。きっかけは、第1次オイルショック(1973)でした。国は主導して石油代替エネルギーの一つとして地熱発電の開発を本格的に進め、資金面でも通商産業省工業技術院が策定した「サンシャイン計画」により多額の予算が投じられます。火力原子力発電技術協会のレポートによると、地熱発電の技術開発や資源探査、開発費の補助等に係る国の関連予算は、1974年度の8.3億円程度から徐々に増加し、1980~1997年度にかけて年間130~180億円で推移したと言われています。この流れを受け、電気事業者以外にも三菱マテリアル社が東北で、出光興産社が九州で地熱発電分野に参入しました。この時代、東北地方と九州地方を中心に、合計18か所に地熱発電所が建設されます。 (出所)国立環境研究所 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2014」  しかしながら、1998年度以降は予算が徐々に削減され、地熱発電は停滞します。そして、最後に電力事業者が建設した地熱発電所は、1999年に運転を開始した八丈島地熱発電所。現在まで、東京電力が保有する最初にして唯一の地熱発電所です。最大出力は3,300kwと小規模ですが、八丈島で消費される電力の1/3を賄っています。この八丈島発電所の運転開始から今日まで16年間、日本で大型の地熱発電所は建設されていません。国の予算削減の背景には、(1)電力事業者に新エネルギー導入を促す1997年の新エネ法で、従来型のフラッシュ方式地熱発電が促進対象から外されたこと、(2)環境省による自然公園内での開発規制、(3)温泉業者からの反対、という社会情勢がありました。現在、全国18の地熱発電所で生産されている電力量は、年間2,600GWh。数が大きいように言えますが、日本の総発電量のうち、わずか0.025%を占めているにすぎません。  また、地熱発電設備容量の新設がストップして以降、2012年まで地熱発電量はどんどん減少しています。「再生可能」を謳う地熱発電量の年々減少してしまう理由としては、地中から汲み上げた熱水に溶け込んでいる鉱物が井戸(鉱井)や発電所の配管、タービンなどの表面に付着していくスケール(水垢)という現象や、計画時に地下水容量を実力値以上に見積もった結果、地下水の枯渇化が進んでしまったという計画の不備などが指摘されています。2006年には、地下熱の低下でも発電が可能なバイナリーサイクル方式が八丁原発電所に導入されましたが、全体の減少を覆すまでには至っていません。  2012年に固定価格買取制度が始まり、バイナリー型の地熱発電は固定価格買取の対象となったことを受け、地熱発電の開発は多少なりとも動き出しています。大型の地熱発電所の建設は、検討から竣工まで数年から十数年を要するため、まだ固定価格買取制度の適用を受けた大型地熱発電の新規運転開始実績はいまだゼロですが、既存の温泉源と共存活用できる小型のバイナリー型地熱発電施設は2014年頃から営業を開始し、電力会社への売電がスタートしています(コスモテック社のコスモテック別府バイナリー発電所[出力500kW]、新日本科学社の指宿市発電施設[出力1,500kW])。しかしながら、3万kWを超える大型の地熱発電の建設は、すでに公表しているものだけで14件あるものの、依然として建設着工にまで漕ぎつけたものはない状況です。 (出所)経済産業省資源エネルギー庁「平成25年度調達価格検討用基礎資料」  日本が世界第3位の地熱資源量を誇りながら地熱発電の開発が進まない阻害要因について、国立国会図書館の報告は、自然公園法と温泉法の問題を指摘しています。まず、自然公園法。日本の地熱資源賦存量の約8割は自然公園内に存在しており、1957年に制定された自然公園法は自然公園内の地熱発電の建設を大きく規制しています。特に1972年に当時の環境庁自然保護局と通商産業省公益事業局の間で取り交わされた覚書では地熱発電の開発地点を6地点(大沼、松川、鬼首、八丁原、大岳、葛根田)に制限することが決まり、その後6地点以外の国立・国定公園内での地熱開発の道は閉ざされることになりました。東日本大震災後の2012年、ようやく環境省は「国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて」という通知を出し、自然公園の中で第2種及び第3種特別地域については、一定の条件のもとで傾斜掘削による地熱開発が個別に認められる可能性を示しました。  一方、1948年に制定された温泉法は、温泉の保護のため、温泉事業者や地熱発電事業者など温泉地で掘削を行う者に対し、都道府県知事の許可が必要と定めています。ところが現実としては、温泉の賦存量に関するデータや温泉の採取による湧出量等への影響に関する科学的知見が不足しており、科学的な根拠に基づく許可・不許可判定は難しく、都道府県は対応に苦慮してきました。環境省は2012年に「地熱発電の開発のための温泉掘削等を対象とした温泉資源の保護に関するガイドライン」を策定し、都道府県に対して具体的・科学的な判定基準を提示しました。これにより、行政手続きはスムーズ化されましたが、ガイドラインで定められている掘削前の事前データ収集のためのモニタリングは、相応の時間を費やすため、その実施者には大きな負担となっていると、国立国会図書館の報告は指摘しています。  事業の採算性も地熱発電の普及にとって欠かせない問題です。地熱発電は原油発掘と同様、地質探査、ボーリング調査、発電設備建設に巨額の資金と約10年の歳月を要し、数十年という長期スパンでROIを出していくプロジェクトです。環境省が定める傾斜掘削や事前モニタリングは、自然環境保護のための配慮ではありますが、地熱発電プロジェクトにとって資金面・時間面で大きな足枷となっているのもまた事実です。そこで、経済産業省は、環境影響評価機関の短縮や、地熱資源探査リスクの軽減のために助成金で支援をしています。2015年に営業運転を開始した前述の新日本科学社の小型バイナリー発電所も、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業として資金援助を受けた上で実現しました。このように、地熱発電にはかなり大規模なインフラファイナンスが必要となる以上、政府からの援助だけでなく、インフラファイナンスというプライベートエクイティの発展とリスクマネーの担い手がますます必要となっています。 (出所)Geothermal Energy Association "2015 Annual U.S. & Global Geothermal Power Production Report" 世界の地熱発電大国アメリカ  地熱発電設備容量・地熱発電量の両分野での世界のトップは30年前からアメリカです。環太平洋火山帯を構成する西部の火山地帯にある広大な土地を中心に数多くの地熱発電所が営業運転しています。特に活発なのが (more…)

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2016/08/06 体系的に学ぶ

【エネルギー】世界の風力発電導入量とビジネス環境 〜2015年の概況〜

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風力発電は再生可能エネルギーの中で最大規模  大きな風車が象徴的な風力発電。風力発電は気象現象として気圧差から発する風力を、風車で捉えてタービンを回し、その動力エネルギーを電力エネルギーに変える発電手法です。従来の化石燃料エネルギー型発電と比べ、二酸化炭素の排出量が著しく小さく、気候変動を抑制する効果が大きいとされています。 (出所)IEAのデータをもとに、ニューラル作成  一般的に再生可能エネルギーには、太陽光発電、太陽熱発電、風力発電、地熱発電、潮力発電、バイオマス・廃棄物発電の5種類がありますが、これまでの導入実績は大きく異なります。再生可能エネルギーの中で最大規模の発電量を誇るのは風力発電。2013年の世界全体での風力発電電力量は年間63万GWh、世界の年間総発電量の2.7%を占めています。また、再生可能エネルギー発電量全体を分母とすると、約半数の48.4%を占めています。風力発電の特徴のひとつに海上での発電が可能だというものがあります。そのため、洋上風力発電は、世界の広大な海を発電所に変えることができるため、候補地となる面積が広大。風力発電は、今後、再生可能エネルギーの中で最も伸びる分野だとも言われています。 風力発電の増加率は過去20%以上を超え、今後も増加傾向は続く (出所)GWECのデータをもとに、ニューラル作成  世界の風力発電に関する統計は、世界風力エネルギー会議(GWEC)がデータを集めています。GWECの報告書によると、風力発電の設備容量は、2001年から平均20%以上の年間成長率で増加してきました。また今後も2020年まで約13%の成長率で伸びるという予測も立てています。風力発電設備が20%成長を続けているということは、産業全体としても20%伸びているということです。つまり、風力発電の設備メーカー、建設事業者も同様に業績が拡大し、雇用も創出されています。 中国の導入量がヨーロッパを抜いた (出所)GWECのデータをもとに、ニューラル作成  世界の風力発電を牽引しているのは、今や中国です。風力発電は2000年前後から米国、ドイツ、スペイン、デンマークの4カ国がリードしてきました。特にドイツ、スペイン、デンマークは環境政策の一環として再生可能エネルギーに注力、風力発電の建設が急速に増加しました。2005年からはそれに加え、 イギリス、イタリア、フランス、ポルトガル、スウェーデン、オランダといったEU諸国も追随、またこの頃から経済発展に応じて急速に電力需要が増加した中国とインドでも導入量が増えていきます。日本は2004年時はイギリスに次ぐ世界第8位の風力発電国でしたが、その後は新規導入量が停滞。2015年時点では世界第18位にまで後退しています。今日、風力発電はEU諸国と北米、そして世界の人口大国である中国、インドが牽引しています。また、ブラジル、トルコ、ポーランドなど新興国も積極的に風力発電を伸ばしています。 ヨーロッパでは風力発電が幅広く浸透 (出所:GWEC、IEAのデータをもとに、ニューラル作成)  これまで風力発電の中心地域はヨーロッパでしたが、2015年に中国がEU28カ国全体の風力発電設備容量を超え、世界のリーダーとなりました。中国は2015年時点で世界の1/3の風力発電設備が設置されています。中国の風力発電割合は2.7%、EUの7.2%には及びませんが、日本の0.5%より高い水準です。同じく風力発電導入量が増えているインドは、2015年にスペインを抜き世界第4位となりました。  洋上風力の分野では、世界の9割以上の設備はEU諸国に偏在しています。特にイギリスが牽引しており、イギリスだけで世界の4割以上を占めています。また、イギリスの風力発電設備全体に占める洋上風力の割合も37%と高く、イギリスは洋上風力に注力していることもわかります。その他、ドイツとデンマークを足した3ヶ国の世界シェアは約80%、洋上風力は北海・バルト海で占められています。一方で、他の風力大国であるアメリカ、インド、スペイン、カナダ、フランスなどでは洋上風力は全く進んでいません。  風力発電が全発電に占める割合ではドイツ、スペイン、ポルトガル、デンマークという国で非常に高い数値が見られます。特に、スペイン、ポルトガル、デンマークでは上記の推移グラフで近年導入量が停滞しているのがわかりますが、その背景にはすでに風力発電での発電シェアが高い水準にあるためということが言えます。 風力発電の種類(陸上・着床式洋上・浮体式洋上・小型) 陸上風力発電  陸上風力発電は、風力発電の中で最も伝統的なタイプです。日本でも山間部や海外付近で風車が回転しているのをご覧になったことがある方も多いと思います。今でも世界の風力発電全体の95%以上はこの陸上風力発電です。発電機にとって命となるのは発電効率。風力発電の場合、発電力は、(1)風速の3乗、(2)風力発電の羽(ブレード)の受風面積、に比例し、すなわち風がたくさんある環境の立地であることが最も重要で、さらにその地に羽の大きな風力発電を建てるほど発電力が高まることになります。一般的に風が強い場所は、山頂と海岸。そのため、山頂と海岸が風力発電の候補地として検討されています。  風力発電が太陽光発電と大きく異なるのは発電設備の規模。太陽光が基本的に太陽光パネルを設置しさえすれば、どこでも太陽光発電が可能となるのに比べ、風力発電を効率よく行うには大きなブレードが必要とあり、自ずと発電設備が大型となります。結果的に、広い用地となります。その上、製造場所と設置場所が離れていると膨大な輸送コストもかかります。したがって、山頂部は風が多い反面、平面の場所が少なく、輸送コストもかさむため、経済合理性からみてあまり設置には適しません。また、大きな羽を陸上輸送する場合、風力発電の一基あたりの出力容量は2MWが限界とも言われています。  陸上風力発電にはさらなる制約があります。落雷や台風など自然災害の多い地域では、風力発電の破損による事故の観点から立地には適しません。また、国立公園などでは景観の観点から風力発電の設置が禁止されている国も少なくありません。風力発電は再生可能エネルギーの中でも発電効率が良く注目されてきましたが、陸上の設置には制約が多い。そこで新たに注目を集めているのが、洋上風力発電です。 着床式洋上風力発電 (出所:EWEA)  着床式洋上風力発電は、水深20m以内の遠浅の地形を活かした海の上の風力発電です。海上は陸上に比べて風が強く、設置のための輸送制約も少なく、より大型のブレードを用いることも可能なため、発電力の高い風力発電が実現できます。洋上での発電効率は陸上の1.5倍とも言われています。さらに、海上は人間社会からの距離もあるため、社会的な制約も少なくなります。こうして、着床式洋上風力発電は、2011年末の時点で設置容量は4,096MWに到達。割合は風力全体の2%と小さいですが、今、ヨーロッパで急速に増加しています。  ヨーロッパで洋上風力が伸びている背景には、遠浅の地形が多いという地理上のメリットがあります。特に力を入れているのがイギリスとデンマーク。とりわけイギリスは単独で着床式洋上風力発電の40%を占めています。さらにイギリスでは数百MWの大規模洋上風力発電プロジェクトが次々と始まっており、風力発電をまだまだ増加させる見込みです。日本もこの洋上風力に力を入れています。すでに、北海道、山形県、茨城県、千葉県、福岡県で、1GW〜3GW程度の着床式風力発電所が営業運転されていますが、ヨーロッパ諸国と比べると規模の見劣りは否めません。そんな日本でも、茨城県鹿島港で100MWの大規模洋上風力発電がソフトバンクや丸紅の出資で建設されています。 (出所)Crown Estate 浮体式洋上風力発電 (出所:国土交通省)  浮体式洋上風力発電は、最新の手法で、現在、実用化に向けた実証研究がノルウェー、ポルトガル、日本などで行われています。浮体式洋上風力発電の特徴は、浮いているということです。風力発電の発電効率をより高くするには、風がより強い沖合へと出て行く必要がありますが、沖合は水深が深く、着床式で海底に固定するためには大規模な構造物と工事を要し、非常にコスト高となってしまいます。沖合は水圧も強く耐久性も問題となります。そこで考案されたのが、海底に固定させずに洋上に浮かべる風力発電です。  この浮体式洋上風力発電を熱心に推進しているのが日本です。着床式洋上風力発電は水深50mを超えるとコストが跳ね上がるため、ヨーロッパと違って遠浅が少ない日本は着床式洋上風力を推進しづらい。そこで、水深50m~200mで実現可能と言われる浮体式洋上風力を用いて、一気に遅れを取り戻そうとしています。それを具現化したのが、福島洋上風力コンソーシアム。日本政府が、東日本大震災後の2011年度第3次補正予算で福島復興のために125億円を計上し、丸紅、東京大学、三菱商事、三菱重工業、アイ・エイチ・アイマリンユナイテッド、三井造船、新日本製鐵、日立製作所、古河電気工業、清水建設、みずほ情報総研の11社からなるコンソーシアムが、経済産業省から委託を受けて進めています。使われるブレードは、三菱重工業が同じく政府の助成金を受けて開発した一基7MWという世界最大級のものが使われる予定です。 (出所:日本風力発電協会。日本の将来展望を示したもので計画値ではない。)  浮体式洋上風力発電の実用化には多くのハードルがあると言われているのも実状です。日本政府は7MWブレードの実績を引っさげて新たな産業育成にしようとも考えていますが、世界には有力な風力発電メーカーが多数あり、日本企業は遅れをとっているのも事実。風力発電という領域で、日本政府や日本企業が注目されるようになるには、まだまだ努力が必要なようです。 小型風力発電 (出所:ウィンドパワー社)  本稿では触れていませんが、太陽光発電と同様「どこでも型」の風力発電として考案された小型風力発電というものもあります。小型で設置が容易なため、発展途上国など電気がまだ届いていない山間部の地域や遊牧民族用の電力として期待されています。街灯や公園などで見かけることがありますが、やはり発電力が小さく補助電源レベルに留まっており、送電網でグリッド接続されているのは多くはないのが現状です。まだ風力発電の柱のひとつして認知されるまでには時間がかかりそうです。 世界の風力発電メーカーの顔ぶれ  風力発電と太陽光発電の違いは、機器の構造にもあります。太陽光発電は太陽光パネルとバッテリーとそれを支えるフレームという非常にシンプルな構造をしているのに対し、大型化が進む風車設備は、電気機器、制御装置、駆動部、ブレードなどが凝縮された電気工学・機械工学の結晶。大型風車一基あたりの部品は2万点近くにものぼり、自動車産業にも匹敵すると言われています。そのため、風力発電産業は産業としても大規模となり、多数の雇用を生むとも言われています。 (出所:Nagigant Research、2014年の数値)  世界の風力発電メーカーの競争は激化しています。上位を占めるのは欧州勢で、1位は老舗のデンマーク・ヴェスタス社。1945年に風力タービンメーカーとして誕生し、1979年に風力発電機を製造開始。2012年時点では、累積で世界70ヶ国、46,000基以上の風力タービンを設置。2014年には世界最大8MWの風力タービンV164の試験発電を開始し、歴史・技術力ともに高い実績を誇っています。2位は老舗の独シーメンス社、洋上風力で特に強い存在感を示しており、欧州の洋上風力の約2/3はシーメンス製です。3位は、世界的な総合電機メーカーのGE、早くからで風力発電設備を手掛けており、シーメンスと同様老舗ブランドです。4位は新興の中国Goldwind社、高まる中国内需を後ろ盾にしつつ、低コスト戦略で海外市場でも力を伸ばしています。5位にはドイツのエネルコン社、7位米国のユナイテッドパワー社、8位スペインのガメサ社と風力発電の導入量が多い国の企業が並びます。また、新興勢力としては6位のインド・Suzlon社、8位の中国・明陽風電(Ming Yang Wind Power)の姿も見られます。老舗メーカー、新興メーカーともに、近年同業企業の買収合戦が展開さており、各社生き残りをかけ規模の拡大を続けています。  日本で風力発電を手がけているのは、三菱重工業、日本製鋼所、日立製作所の3社。数年前までは10位以内にランクインしていたのですが、近年、中国勢に押され、残念ながらマーケットシェア上位企業から姿を消してしまっています。日本国内の風力発電にも海外製のものが多数採用されているのが現状です。日本企業が生き残るためには、福島洋上風力コンソーシアムで高い実績を上げるともに、海外での販売力の強化や、海外M&Aが必要となります。このような市場環境下で、三菱重工業はトップのヴェスタス社と洋上風力発電事業に特化した合弁会社「MHI Vestas Offshore Wind A/S」を2014年4月にデンマーク・オーフス市に設立、両社の洋上風力発電設備事業を分割集約しました。 風力発電と証券化ビジネス  繰り返しになりますが、風力発電は太陽光発電と異なり、大規模投資事業となります。そのため、風力発電の建設は、従来は国家予算がサポートして実現していました。しかし欧米ではすでに新たな時代に突入しています。民間資金の活用です。世界には国家予算の何倍もの投資資金が運用されています。投資家にとって、魅力的な投資先とは、長期にわたって安定的にキャッシュを生み、リターンをもたらしてくれる事業。人間社会にとって今後数十年は電気が必要であることは確実で、電気料金が大きく減少するリスクも少なく、売電事業は投資家にとって魅力的に映る事業です。さらに、近年、投資家たちは社会にとって価値のある事業を投資先に選定する傾向があり(世界と日本のSRI・ESG投資最前線)、売電事業は投資先としてますます魅力的になっています。 (出所:環境省)  大規模な風力発電事業の資金調達には、証券化という金融手法が活用されています。証券化とは、プロジェクト単位で資金調達を行う手法のことです。発電事業を運営する企業(例えばソフトバンク)とは切り離された特別目的会社(SPV)を設立して倒産リスクを隔離し、SPVが発電事業を行います。こうすることで、今後発電事業を運営する企業がどうなろうとも、投資家は安心して発電事業からの収益を期待できます。SPVには、事業を運営する企業の他、投資銀行や商社、ファンドが出資し、さらに銀行がシンジケートローンを組んでレバレッジドファイナンスを実施します。こうして、年間キャッシュフローの何倍もの大規模な資金調達が可能となっています。近い将来、国内でも再生可能エネルギーを対象とした上場ファンドが誕生するとも予想されます。 風力発電と事業会社サステナビリティ  比較的導入が容易な太陽光発電は、日本国内でも固定買取価格制度の開始ともに普及しましたが、風力発電はなかなか普及してきませんでした。原因には立地制約、投資規模、プロジェクト規模などが関係しています。事業会社がCSRの一環として風力発電に取り組もうとしても、事業所内に風力発電に優れた立地はあまりなく、あったとしても膨大な投資額にリスクを取れないという状況に陥りがちです。実際に、エネルギーに対するサステナビリティの取組が多い欧米でも、風力発電を事業会社が自らの施設内に建設する企業は極めて少なく、辛うじて米Safewayなどが大規模店舗に風力発電を設置している程度です。一方で、RE100など再生可能エネルギー100%での事業運営を目指すグローバル企業たちは、昨今風力発電からの電力の購入を積極的に進めています。 (出所:日本政府エネルギー・環境会議)  再生可能エネルギーの中でも風力発電が注目されている理由には、その発電コストの低さがあります。風力は、太陽光やバイオマスより発電コストは格段に安く、好立地での風力発電は火力発電と同等です。ヨーロッパでは、風力発電が、従来型の化石燃料の発電コストを下回るグリッド・パリティをすでに迎えた地域もあります。資本効率の良い風力発電は、エネルギーのサステナビリティを高める上で欠かせません。そこで、事業会社のサステナビリティとして可能なことは、第一に自社の電力割合における風力発電の割合を高めていくために、風力発電電源の電力を積極的に購入することです。欧米のグローバル企業では、事業用電力のサステナビリティを高めていくため、事業用電力における電源別割合を公表し、再生可能電源のシェア目標を具体的に設定しています。さらなるステップとして、米グーグルのように風力発電ファンドを組成したり、ファンドに出資していくことも可能です。風力発電は、規模の大きなサステナビリティ事業であるからこそ、複数社が協力して大きな安定電源を獲得していくというアクションが必要なのです。

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2016/05/06 体系的に学ぶ

【アメリカ】HP Inc. RE100に加盟、将来的に100%再エネでの事業運営方針発表

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 個人向け家電の世界大手HP Inc.は3月30日、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す企業連合「RE100」に加盟し、2020年までに再生可能エネルギーでの事業運営割合40%、将来的に100%を目指す方針を発表した。現在の同割合は13%。  目標に向けHP Inc.は、3つのアクションを実施する。まず、エネルギー効率を向上させ積極的にエネルギー消費量を削減する。そして、事業所での自前の再生可能エネルギー発電所を建設し、さらに再生可能エネルギーを外部の発電所からの購入調達していく。既にHPは2015年に、米国で112MWの風力発電所と12年間の電力調達契約を締結、テキサスのデータセンターに必要な電力を賄っている。特に、再生可能エネルギー発電量が豊富でない国において、自前の発電所の建設を推し進め、発電所インフラ事業にも積極的に関与していく。  旧Hewlett-Packard Company(HP)は、2015年11月1日に会社を分割し、個人向け製品はHP Inc.で、企業向け製品はHewlett Packard Enterpriseがで事業活動を行っている。今回の発表は個人向け製品を扱うHP Inc.が実施したものだ。旧HPの時代から、HPは、先陣を切ってカーボンフットプリントの測定・公表を行い、バリューチェーン全体の炭素削減目標を掲げるなど、サステナビリティに大きな関心を寄せてきていた。 【参照ページ】HP joins RE100 with a global commitment to using 100% renewable electricity 【機関サイト】RE100

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【中国】北京を襲った大気汚染。2016年の当局の対策は如何に

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 昨年末に北京を襲った深刻な大気汚染。12月7日から10日までの4日間、そして18日から22日までの5日間、大気汚染警戒レベルで最も深刻な「赤色警報」が発令された。これは健康被害をもたらすため外出を控えるようにという程のレベルだ。学校は休校になり、屋外工事なども休業となった。2015年1月から10月までは北京の大気汚染レベルは昨年より改善していたため、当局も油断していた気配がある。その後当局はどのような対応をとったのだろうか。  年越し間もない1月4日、共産党中央政治局常務委員(チャイナセブン)の一人、張高麗・国務院常務副総理(第一副首相)が北京市で関係者を集め座談会を開催した。北京市幹部に対し、直ちに厳格な対応策をとるように指示し、もし環境目標を達成できない場合は問責を行うとまで言及した。張氏は、具体的な措置として、石炭煤煙汚染取締の強化、自動車規制の強化、コーポレートガバナンスの強化、大気汚染警報発令時の対応強化、周辺地区との連携強化を挙げ、各関連当局が一丸となって事に当たることを言明した。  その10日後の1月13日、北京市政府常務会は「北京市2016年クリーン空気行動計画」を発表した。2016年中に他の市から北京市に入境する大型ディーゼル車は北京市首都高速道路である北京六環路以内に侵入することを禁止するという内容だ。さらに2020年までに同越境大型ディーゼル車は北京市への侵入を禁止することを目指す。また、違反者の取締を強化し、とりわけ同国が定める国Ⅲガソリン車、国Ⅳディーゼル車と偽る車両に対しては高額の罰金を課していく。さらに、2016年末までにハイブリッド車やEV車の累計台数目標を5万台とし、EV小型バス車両に対するEV充電ステーションの割合が70%となるようインフラ設備を設置、北京六環路以内では5km圏内ごとに公共EV充電ステーションを設置する。  ハイブリッド車、EV車、FCV車など新エネルギー車両については、中央政府も大規模に支援していく発表を昨年末にしていた。12月16日、国務院財政部、科学技術部、興業情報化部、国家発展改革委員会、国家エネルギー局の5部門は協働で「第13次5ヵ年計画・新エネルギー自動車充電設備奨励政策及び新エネルギー自動車普及通知」を発布し、全国省・市の新エネルギー車両普及助成金が総額2億元(約36億円)に達することを発表していた。さらに前日の12月15日には、国家発展改革委員会、住宅都市農村建設部、交通運輸部により、新エネルギー車両には駐車料金を割安にするなどの政策の方向性が示された。中国の自動車市場で、新エネルギー車両に対する需要は大きく拡大しそうだ。  また同行動計画では、石炭煤塵対策として2〜3年をかけて主要地区の「無煙化」を実施し、農村部では5年をかけて燃焼コンロの無煙化を進める。また、企業取締では、煤塵規制を遵守しない企業には対応を迫り、改善されない場合は北京市からの立ち退きを実施する。立ち退きは2016年だけでも2,500社に上る見通しだという。煤塵対策に関しては、9月30日に国際NGOのグリーンピースが中国の電力事業者26社の煤塵、二酸化硫黄、窒素酸化物排気量に関する調査をまとめ、主要12社全てがいずれかの排気量規制に実態として違反していることを明らかにしていた。グリーンピースは法規制の穴を指摘し、短時間に排気量を大幅に増やすオペレーションをすることで、「合法的に」違法行為を行えてしまうことに警鐘を鳴らしていた。煤塵については中央政府も北京市当局も目下規制強化の必要性を感じており、グリーンピース調査が大きな貢献をもたらしたと言えそうだ。  12月22日を最後に今日まで「赤色警報」は出ていないが、ひとつ手前の「黄色警報」は12月31日から1月2日にも発令されている。北京市、天津市、河北省のエリアは中国でも最も大気汚染が深刻なエリアだと言われている。改善が急を要しているものの時間はまだまだかかりそうだ。 【当局サイト】北京市環境保護局 【参照URL】新能源汽车产业2015年12月获9项政策支持 【参照URL】【新闻摘要】国内12家“超低排放”燃煤电厂的实际排放情况调查  

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【中国】新環境相「今後数年間で環境投資需要は約195兆円」、環境投資が活発化する見通し

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国務院環境保護部の陳吉寧部長(環境大臣に相当)は、3月7日、全国人民代表大会(全人代)の合間をぬって、メディアに対して昨年の環境保護部の取組を総括するとともに、「環境保全に全力を尽くす」と将来への意気込みを語った。 環境保護部の昨年の成果としては、(1)発電分野に環境改善設備を導入し、脱硫装置・脱硝装置・粉塵除去装置の導入量はそれぞれ1.3億kW、2.6億kW、2.4億kWに到達、脱硫装置の導入シェアは95%、脱硝装置の導入シェアは82%に到達、(2)鉄の焼結機に最新型排煙脱硫装置を導入、導入量は3.6万平米分、導入シェアは81%に到達、(3)新型セメント原料製造装置に脱硝設備を導入、導入量は6.5億トン分、導入シェアは83%に到達、(4)環境装置未整備車や老朽車を600万車両以上使用停止処分(過去3年分の総和を超える水準)(5)小型の石炭燃焼設備を5.5万台以上使用停止処分、(6)環境違反の摘発2,080件(過去10年の合計の2倍以上の水準)。結果として、PM2.5濃度は、全国74都市全体で平均11%低下、京津冀地区(北京市・天津市・河北省)では12.3%低下したという。 一方、将来への取組として、環境分野への民間投資を積極的に呼びこむ方針を発表。従来、環境投資に占める政府投資割合が30~40%を占めるなど、政府に依存していた状況を問題視し、今後環境分野を市場解放していく。陳吉寧部長は、「今後数年間で、中国国内における環境保全への投資需要はおよそ8兆元(約156兆円)から10兆元(約195兆円)に達することが予想できる」と語った。

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