【カナダ】アルバータ州政府、石炭火力発電所停止を電力会社3社との間で合意

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 カナダのアルバータ州政府は11月24日、同州に石炭火力発電所を有する電力会社Capital Power Corp、TransAlta、ATCOの3社との間で、石炭火力発電所を早期停止させるとともに、その補償として来年から2030年まで毎年9,700万カナダドル(約83億円)を支払うことで合意に至ったと発表した。これにより、同州で現在稼働中の石炭火力発電所18基のうち6基が早期に停止することが決まった。  アルバート州政府は昨年、気候変動対策として、同州内で稼働する全ての石炭火力発電所に対し、2030年までの運転停止もしくは天然ガス火力発電所へ転換を義務化した。電力会社はこれに一斉に反発し裁判所へ提訴。アルバート州政府は、根気強く説得を続け、今回3社との間で補償金額と訴訟の取り下げで合意に達した。同州にはこれ以外にも他の電力会社が運営する石炭火力発電所が12基あるが、政府は交渉を続けている。  アルバート州は補償金額の財源として、州政府として新たに導入した炭素税(カーボンプライシング)を活用する方針。 【参照ページ】Alberta to pay three power companies $1.36 billion to shut their coal-fired plants early 【政府サイト】Phasing out coal pollution

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【国際】気候変動対応の鍵を握るカーボン・プライシング ~COP21パネルディスカッションより

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 企業や国家による気候変動対応を加速させるためのツールとして期待されているのが「カーボン・プライシング(炭素価格制度)」だ。カーボン・プライシングとは、排出権取引制度や炭素税など、炭素排出に価格(コスト)を設定することで排出削減に対する経済的インセンティブを創出し、気候変動対応を促す仕組みのことを指す。  パリで開催されたCOP21においても、サイドイベントとして12月4日にカーボン・プライシングに関するパネルディスカッションが開催された。当日は会場の参加者から「炭素に価格を付けることは気候変動の国際的な取り組みの成功に不可欠だ」という声が聞かれるなど、その重要性が話し合われた。  世界銀行グループの気候変動特使を務めるRachel Kyte氏は「カーボン・プライシングは唯一の方法ではない。ただし、必要不可欠な方法だ。我々は成長モデルから炭素汚染を取り除く必要があり、それにはエネルギー政策、エネルギー補助金の改革、そしてカーボン・プライシングの導入が伴う」と話す。  カーボン・プライシングに関する取り組みは世界各国で進んでいる。中国では排出量取引制度について7つのパイロットが行われており、これを2017年までに国家レベルに引き上げることを表明した。中国の気候変動戦略および国際協力国立センター(National Center for Climate Change Strategy and International Cooperation)の副長官を務めるQimin Chai氏は、排出量取引制度における炭素価格が十分確保されれば、国の開発を促し、再投資を通じて景気の刺激になるとしたうえで、鍵となるのは気候変動を招く行動に「費用と効果」の概念を導入することだと説明した。  また、カナダのケベック州は2013年に排出量のキャップ・アンド・トレードを導入、翌年には米国カリフォルニア州の同制度と連携した。同州の1トンあたりの炭素価格は安定的に上昇し、景気を損なうことなく緩やかな移行が継続されている。カナダのオンタリオ州やマニトバ州もキャップ・アンド・トレードによる排出量取引に取り組む意思を発表しており、ブリティッシュコロンビア州は7年間にわたり炭素税を導入、アルバータ州も炭素税を計画している。ケベック州開発・環境・気候変動局長官を務めるDavid Heurtel氏は「国や地域は統合的な(炭素の)価格付けを行い、その制度に立脚することが重要だ」と述べた。  民間企業から唯一のパネリストとして参加した欧州のセメント会社、LafargeHolcimのBruno Lafont氏は、一部地域だけで炭素価格が設定されると競争が不公平になる可能性があり、カーボン・プライシングはグローバル全体で適用されることが重要だと主張した。同氏は、産業界は安定性と予測可能性を必要としており、あらゆるカーボン・プライシングシステムも企業競争に歪みを生むことは避けなければならない、と語った。  世界銀行の調査によると、現在世界では約40カ国、20以上の自治体が排出権取引や税制などの炭素価格制度を既に試験運用中か導入予定で、2014年時点で排出権取引の市場規模は世界全体で約300億米ドルに達しているという。今回のCOP21では国際的な目標および枠組み作りについて話し合われたが、これから大事になるのはカーボン・プライシングをはじめとする目標達成に向けた具体的な取り組みや制度設計だ。COP21のパリ協定にて気候変動に対する世界全体の方向性が定まった今、カーボン・プライシングも更に裾野が広がることを期待したい。 【参照リリース】Carbon Price Needed for Climate Change Success International Panel Discussion at COP 21  【関連サイト】気候変動枠組条約(UNFCCC)

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【国際】採掘大手11社ら、気候変動により100億米ドルを喪失するリスク。CDP調査

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 企業に対して気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPは11月23日、合計時価総額3290億米ドルにのぼる鉱物・採掘業界の世界最大手11社らの気候変動対応状況についてまとめた調査報告書、"Making the grade: are some miners chasing fool’s gold?"を公表した。  同調査はCDPのデータを用いて、英BHBビリトン、住友金属鉱山、米フリーポート・マクモラン、スイスのグレンコアら世界の鉱物・採掘大手11社の排出削減目標や水ストレス評価、新たな炭素排出規制に関する準備状況などを調査したものだ。これら11社だけで、最も炭素排出量が多い業界の一つでもある採掘業界の85%以上の炭素排出量を占めている。  CDPは同調査の中で、大手11社らは適切なカーボンリスク・水リスク管理に失敗しており、新たな気候関連規制に対して消極的で、もし炭素価格が1トンあたり50米ドルとして設定されると、11社は利益総額の15%にあたる約100億米ドルを喪失するリスクにさらされると指摘した。  調査の結果、Energy efficiency(エネルギー効率)、Water resilience(水レジリエンス)、Coal exposure(石炭露出)、Carbon cost exposure(炭素コスト露出)、Carbon regulation readiness(炭素規制対応)の5項目全てにおいてAないしB評価を獲得した企業は1社もなく、ブラジルのValeおよび住友金属鉱山の2社を除き、残り9社全てが少なくともいずれかの項目でD評価だった。  また、有効な温室効果ガス排出削減目標を開示している企業は11社中6社しかなく、反対に新たな気候関連規制に反対している企業は11社中9社に上った。さらに、これらの企業の施設の約50%が、水ストレスが中・高程度の地域に存在していることも分かった。現状11社の約半数が石炭生産に関わっており、併せると世界の原料炭輸出の40%、燃料炭の27%を占めているという。  CDPにて投資リサーチ責任者を務めるJames Magness氏は「この調査は投資家にとっての『炭鉱のカナリア』だ。(炭鉱で毒ガス検知にカナリアを使っていたことに由来)。現在3290億米ドル以上の時価総額を誇る世界最大の採掘企業ら低炭素経済への移行の準備ができていないことを示している。一部の企業ではエネルギー効率および水レジリエンスの分野において明確な進展が見られるものの、全体としてみれば全くもって不十分だ。最初の一歩として、全ての大手採掘企業は有意義な温室効果ガス排出削減目標を公表し、新たな気候関連規制を支持するべくより多くに取り組むべきだ」と語った。  今、世界では大手銀行や年金基金らによる化石燃料からの投資引揚げが一大ムーブメントとなっている。既に世界の投資家が石炭への投資リスクを強く認識し、資金をよりクリーンな分野に移動し始めている中、採掘業界の企業らは1日も早い事業方針の転換が求められている。 【レポードダウンロード】Making the grade: are some miners chasing fool’s gold? 【参照リリース】Extractive sector struggles to make the grade: New report finds largest global miners failing to handle major climate risks 【団体サイト】CDP

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【国際】炭素価格の設定に向け、国家や企業リーダーらが過去大規模の連携へ

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 世界銀行は10月19日、気候変動対策の肝となる世界規模の適正なカーボン・プライシング(炭素価格付け)に向けて、国家や都市・州、大手企業のリーダーらによる史上最大規模の連携が実現したと発表した。連携を呼びかけたのは世界銀行のカーボン・プライシング・パネルで、各国や企業のリーダーらはパリで行われる国際気候変動会議に先立ち更なる迅速な行動が取られることを要望するとともに、温暖化を招く炭素が危険な水準に達しないよう炭素に価格を設定し、生産的で競争力のある低炭素型のグローバル経済の実現を目指すよう呼びかけている。  本パネルはOECD事務総長アンヘル・グリア氏の協力の元、世界銀行総裁ジム・ヨン・キム氏、世界通貨基金専務理事クリスティーヌ・ラガルド氏により招集されたもので、ドイツ首相アンゲラ・メルケル氏、チリ大統領ミチェル・バチェレ氏、フランス大統領、フランソワ・ホランド氏、エチオピア首相ハイレマリアム・デサレン氏、フィリピン大統領ベニグノ・アキノ3世、メキシコ大統領エンリケ・ペニャ・ニエト氏、カリフォルニア州知事ジェリー・ブラウン氏、リオデジャネイロ市長エドゥアルド・パエ ス氏が参加している。  また、民間企業からは米国機関投資家のCalPERS、フランスのENGIE、インドのマヒンドラ・グループ、オランダの化学メーカーロイヤルDMSが参加している。これらの企業は11月末に発足予定のCarbon Pricing Leadership Coalition(炭素価格リーダーシップ連合)を通じ、産業界と政策レベルの連携を支援する。  世界銀行総裁のジム・ヨン・キム氏は「炭素の価格設定に向けてこれほどまでの世界的な動きがなされたことはない。低炭素型成長に必要な経済システムに関する議論から、雇用創出やクリーンな成長、繁栄のために政策や価格メカニズムの実行段階へと移る転換点となる」と語る。  また、国際通貨基金の専務理事クリスティーヌ・ラガルド氏は「各国財務省は、労働や資本に対する課税から炭素燃料に対する課税に切りけることを考える必要があり、炭素税導入に向けた評価を実施してほしい」としている。  現在世界では約40か国と23の都市が排出量取引制度や炭素税などカーボン・プライシングを実施しており、世界の排出量の約12%をカバーしている。既に実行されているもしくは計画中のカーボン・プライシング制度の数は2012年以降約倍増しており、その市場規模はおよそ500億米ドルに達する。  日本でも東京都をはじめ低炭素社会に向けた制度が整いつつある一方、ドイツの環境NGO、Germanwatchが毎年発表しているClimate Change Performance Indexでは、日本の温暖化対策の取り組みは61ヶ国の中53位 となっており、非常に厳しい状況だ。日本がこの分野におけるリーダーシップを発揮できるよう期待したい。 【参考サイト】Carbon Pricing Panel 【参照リリース】Leaders Unite in Calling for a Price on Carbon Ahead of Paris Climate Talks 【団体サイト】World Bank 【団体サイト】IMF

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【国際】CDPら、効果的なカーボン・プライシングの設計に向けたツールキットを公表

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 企業に対して気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPと、低炭素経済への移行を推進する企業・投資家らによる団体のWe Mean Businessは9月24日、カーボン・プライシング(炭素価格付け)制度に関する政府や企業、投資家らの対話の質を向上させ、効果的なカーボン・プライシングの実現を支援するためのツールキット、"The Carbon Pricing Pathways Toolkit"を公開した。  同ツールキットは、世界のCO2排出量を削減し、脱炭素化に向けた新技術のイノベーションを促進し、各国にクリーンエネルギーへの移行インセンティブを提供する上で必要かつ適正となる炭素価格水準に関する知見を提供するものだ。  カーボン・プライシングは脱炭素社会の実現に向けてグローバル経済の構造的な変化を促すための重要な政策フレームワークの一部だという認識は既に多くの政策立案者や企業、政府指導者らの間で一致しているものの、現状では多くの国が効果的な炭素価格制度を構築できていないのが現状だ。  その一因はカーボン・プライシング制度が内包する複雑性にある。国際合意と国内法との整合や、規制と産業界主導の取り組みとの相互作用、炭素税とキャップ・アンド・トレード制度との関係など様々な要因を考慮する必要があるうえ、現状の不透明な市場環境や政府のCO2排出削減に向けたコミットメントの曖昧性を考慮すると、将来の炭素価格を適切な形で設定するのは非常に困難が伴う。  今回CDPらが公表したツールキットは、それらの課題を乗り越え、地球の気温上昇を2℃未満に抑える上で必要となる炭素価格水準とタイムフレームに焦点をあてて関係者間のより質の高い対話を促すことを目的として作られている。  同ツールキットは、低炭素経済に向けた理想的な道筋として国内の取り組みと国際的な取り組みを均衡させる補完的な気候変動政策パッケージの重要性を挙げており、その道筋の中心に、時間軸に沿った段階的な炭素価格水準の設定を含む強固な枠組みを据えている。  具体的には、カーボン・プライシング制度の導入、運用、移行の各段階において、異なる経済状況の国家がそれぞれ実行するべき炭素価格水準を提示しており、例えば「石炭からガスによる発電への移行を促すためにはどの程度の価格設定が必要か」といった議論を促すための具体的な価格レンジを提示している。  炭素価格制度が上手く機能するためには、低炭素化に向けた取り組みやイノベーションが各プレイヤーにとって経済インセンティブとなる状況を創り出す必要がある。その上で何より重要となるのが、いかに適切な炭素価格水準を設定するかという点だ。同ツールキットを参考に、各国にてより質の高い議論が行われることに期待したい。 【ツールキットダウンロード】The Carbon Pricing Pathways Toolkit 【参照リリース】CDP and We Mean Business Unveil Toolkit to Unlock Large-scale Decarbonization 【団体サイト】CDP 【団体サイト】We Mean Business

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