【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[2018年版](火力・水力・原子力・風力・地熱・太陽光等)

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 ここ数年、世界のエネルギーや発電に関する状況は様変わりしました。まず、東日本大震災を機に、日本でも世界でも原子力発電に関する否定的な考え方が強くなりました。また、アメリカでのシェール革命により天然ガスや石油の価格が急落。化石燃料の輸出入ルートも大きく変化しました。その中で、日本のエネルギー・電力の供給量割合がどのように変化したのか、紹介していきます。 日本のエネルギー・発電の供給量割合 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらは経済産業省エネルギー庁が発表している「2018年度エネルギー白書」のデータです。この表は、日本の発電事業者全体での、石油、石炭、天然ガス、原子力、水力、再生可能エネルギー(風力、地熱、太陽光など)別の電源割合を示したものです。統計対象については、昨年度のエネルギー白書までは、旧一般電気事業者、すなわち「電力会社」10社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)のみが集計対象(「電源開発の概要」「電力供給計画の概要」)でしたが、今年度からは、製鉄や重工業メーカーや再生可能エネルギー発電事業者が主な主体となる独立系発電事業者(IPP)を含む発電事業者全体を集計対象(「総合エネルギー統計」)とする大きな変更がありました。それに伴い、2010年移行のデータも新手法により再計算されました。  この推移から、日本の発電の歴史が垣間見られます。発電の主要電源は、1965年頃までは水力、1973年の第一次オイルショックまでは石油、そしてその後は石油に変わって石炭とLNG、そして原子力が担っていきます。2011年の東日本大震災以降は、原子力発電の割合がほぼゼロにまで減り、その減少分の大半をLNGがカバーしています。  2016年時点で、割合が最も大きなものがLNGで42.1%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で、実に83.8%を占めています。火力発電の割合は2009年当時は61.7%でした。この急速な火力発電依存の背景には、ご存知の通り原子力発電所の稼働停止があります。  歴史の長い水力発電は一般水力と揚水発電を合わせて7.6%。揚水発電とは何かは後ほど説明します。一方、期待されている再生可能エネルギーは6.9%。こちらも2009年当時は1.1%でしが、電力固定価格買取(FIT)制度の導入により5.8%伸びました。  発電総量が2010年以降減少していることも、興味深いポイントです。東日本大震災から約4年経ち、市民の生活にはほぼ節電の印象はなくなりましたが、実際には電力会社の発電総量は当時には戻っていません。日本が発電量を減らしながら持ちこたえている背景には、企業による節電努力があると言えそうです。また、2015年末の気候変動枠組み条約パリ条約で化石燃料、とりわけ石炭火力発電からの脱却が世界的なトレンドとなる中、日本では石炭火力発電の割合が2012年の31.0%から2016年の32.3%へと増加したことにも注目です。 各電力源の状況 水力発電(一般水力・揚水水力)  上記のグラフからの分かるように、1960年代まで水力発電が日本の主要電源でしたが、1975年に落差日本最大の黒部ダムが完成した頃からほぼ変化していません。水力発電は、維持コストが低く、CO2排出のない自然エネルギーである反面、ダム建設時の莫大なコストと水没による社会・環境コストが大きく、世界的な統計でも水力発電は、再生可能エネルギーとして扱われるケースと扱われないケースがあり、意見が分かれています。日本で水力発電が伸長しなかった背景には、1990年代以降の公共事業の見直し、2001年に当時の田中康夫・長野県知事が掲げた「脱ダム宣言」があり、大規模工事となるダム建設に社会全体が慎重になっていくという状況の変化がありました。  また、2015年には揚水式水力発電が0.7%を担っています。こちらも水力発電ですが、少し特殊な発電方式です。揚水式発電とは、電力需要の少ない夜間に電気を使ってポンプを動かし水を高地に引揚げ、電力需要の多い昼間に、その水を使って水力発電を行うというものです。電力を使って発電をするという方式のため発電総量を増やすことには寄与しませんが、昼間の最大電力量を増やす需給バランス調整機能として活用されています。  昨今では、再生可能エネルギー型の水力として「中小水力発電」にも注目が集まっています。こちらは巨大なダム施設を建設するのではなく、河川の自然の急流を利用して発電を行う中型・小型のタイプです。中小水力発電は、一般的な水力発電が持つ巨大な初期投資や水没というデメリットがないのですが、規模が小さいため、発電量そのものが小さくなってしまったり、河川の生態系へも悪影響を与えるという懸念もあり、日本ではほとんど建設されていません。 石油等  日本の火力発電は当初は石油が主要燃料でした。その背景には、中東からの石油販路の確保がありました。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらは1960年から2016年まで長期に渡る日本の原油輸入量の推移です。1960年から1973年にかけて、急速に原油の輸入量が増加していったことがわかります。当時の日本は高度経済成長期。日本の電力及びガソリン需要の増加していました。そしてその電力需要を賄うために、発電所建設コストの低い火力発電所の建設ラッシュが起き、その燃料として原油が用いられていました。  しかし、1973年から原油の輸入量は減少に転じます。第一次石油ショックです。発電を原油だけに依存することのリスク認識が高まっていきます。また、同時にマイカー時代の到来を支えるため、原油をガソリンに回す必要も出てきました。そんな環境下で、1975年、第3回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会が開催され、「石炭利用拡大に関するIEA宣言」が採択、石油火力発電所の新設禁止が盛りこまれました。その後も日本では、既存の石油火力発電所を石炭またはLNG火力発電へ転換することが促進されていきました。結果、火力発電の主役は、石炭やLNGに変わっていきました。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  東日本大震災まで石油での火力発電は減少の一途を辿ります。2012年からは増加に転じましたが、それ以上に石炭・LNGでの発電量は増えています。今でも火力発電と石油を結びつけて考えられることが多いですが、発電における石油の割合は大きくはありません。もちろん、原油はガソリンという貴重なエネルギー源でもありますので、エネルギー全体にとって重要性が低いわけでは決してありません。原油の輸入元も、過去しばらくは中東依存度を下げるためインドネシアからの輸入が増加していましたが、インドネシアの経済発展に伴い原油が輸出に回せなくなった結果、中東依存度は90%近くにまで戻っています。最近はイランからの原油輸入も減る一方、ロシアからの輸入が増えています。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会「エネルギー基本計画の要点とエネルギーを巡る情勢について」  原油価格のトレンドはこの数年で急速に変化しています。リーマンショックの2009年頃から原油価格は急速に高騰していきましたが、2014年秋から反落、今は2005年頃の水準に回帰しています。背景には、シェールガスやシェールオイルにより米国を始め世界中で化石燃料供給量が一気に増え、それに対し従来は価格調整機能を果たしていたOPECが対抗するために原油産出量を減らさない方針を発表したことがありました。その結果、石油火力発電のコストは減少していますし、この価格トレンドはこれからお話する、天然ガスや石炭の価格にも大きな影響を与えています。 石炭 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらのグラフは日本の石炭の国内生産量と輸入量の推移を示しています。今ではほぼ100%が輸入石炭となりましたが、かつて日本は石炭大国でした。明治時代から日本では機関車や工場の燃料、製鉄業の原料として石炭を大量に生産していました。中学校の教科書に出てきた福岡県の筑豊炭田、三井三池炭鉱、映画「フラガール」の舞台となった福島県の常磐炭田、世界遺産となった長崎県の軍艦島を始め、日本には北海道・福島県・山口県・九州北部を中心に800近くの生産量の豊富の炭鉱がありました。ところが戦後、液体で輸送利便性が高くさらに熱変換効率も高い石油と、安価な海外石炭に押され、国内石炭は競争力を失いました。その後、炭鉱の閉山が相次ぎ、現在、釧路炭田が国内唯一の坑内掘り炭鉱です。  一方、第一次石油ショック以降、火力発電の主役となった石炭は輸入量を急速に増やしていきます。石炭は石油に比べて地理的分布が偏在していないのが特長で、日本の一般炭の輸入元は、オーストラリアが76.5%、インドネシアが10.8%で、二カ国合計で全体の87.3%を占めています。日本は数年前まで世界一の石炭輸入国として君臨し続けていましたが、ついに中国が日本を抜き、現在世界一の石炭輸入国となりました。中国は少し前では世界有数の石炭輸出国だったのですが、国内の石炭需要が急増し、輸入国となったのです。同様にインドも近年石炭輸入を大幅に増やしており、2014年に日本を抜き世界第二位の石炭輸入国となりました。世界最大の石炭輸出国であるインドネシアにも変化の兆しが見られます。2014年6月に、ロイター通信が、「世界最大の一般炭輸出国インドネシアが生産抑制と輸出管理強化に向けた新たな規制を検討していることが6日、政府関係者の話で分かった」と報じました。インドネシアも国内の石炭需要が増えていることで、石炭輸出を控えようと言うのです。このように、石炭の需給は逼迫してきています。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  輸入石炭の価格は、石油や天然ガスと比べ遥かに安いですが、それでも近年じわじわと上昇してきており、昨今の石油・天然ガスの価格下落に比して、石炭価格はそこまで下落していません。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  石炭の今後を見ていく上で、やはり注目は中国の動向です。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"  実は中国は世界でダントツナンバーワンの石炭生産国です。その生産量32.4億トンで、2位インドの7億トンの約4.5倍です。その旺盛な石炭需要は国内の石炭だけでは賄い切れず、2010年には輸出国から純輸入国に転じました。2013年には世界最大の石炭輸入国となり、2014年の中国の石炭輸入量は3位日本の1.5倍の量まで増えましたが、2015年には大気汚染や気候変動の問題から中央政府が石炭への依存度を低減する政策に乗り出し、輸入量は日本と同等まで減少。しかしその後輸入は増え2016年には再び日本の1.3倍ほどに上がりました。 (出所)IEA  中国が膨大な石炭を必要としている背景には、石炭を用いた火力発電の伸長があります。中国は現在、再生可能エネルギーや原子力発電の建設を推し進めていますが、火力発電、特に石炭火力にかなり依存しています。石炭は石油や天然ガスと比しても世界での埋蔵量が多く、今後も安定的なエネルギー源として用いられていく見込みですが、需給が逼迫すれば当然価格は高騰します。また、石炭は他のエネルギー源に比べ、燃焼による窒素加工物含有量や硫黄加工物含有量が多く、後処理をしなければ深刻な大気汚染を引き起こします。環境対策も今後の大きな課題です。大気汚染問題を重く見た中国は、エネルギー消費量全体は伸ばしつつも、石炭の消費量は2014年以降は減少に転じています。 天然ガス (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  ガスと言うと、お風呂やガスコンロで用いられるガスのことを想像するかもしれません。確かにガスという燃料はそのまま家庭用や産業用に「ガス」という状態のままで使用されています。ところが、実際の日本での消費量を見てみると、都市ガスとして使われているのは全体の30%弱にすぎず、ほとんどのガス燃料は、火力発電のための燃料して使われています。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  天然ガスには、ガス採掘所から気体のままパイプラインを通して流通させるものと、一度冷却し液体状態にしたLNG(液化天然ガス)の2種類があります。ヨーロッパや米国では一般的に天然ガスはパイプラインで輸送されています。日本でも国内で採掘させる天然ガスはパイプラインで輸送されています。しかし国内天然ガスの採掘量は非常に少なく、日本は海外からの輸入天然ガスに頼っています。日本が輸入している多くの天然ガス産地は日本から離れており、LNGの形でタンカーに載って国内に入ってきています。  冒頭で紹介したように、日本は現在電力の44.0%を天然ガスで調達しています。では、その天然ガスはどこから輸入しているのでしょうか。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  過去の推移を眺めると、日本の電力会社や商社は、天然ガス調達のために次々と輸入元を開拓してきたことがわかります。特に、2000年代に入ってから依存度の高かったインドネシアからの輸入量が減少したこと、そして東日本大震災以後の原子力発電所の稼働停止に伴い、マレーシア、オーストラリア、カタール、赤道ギニアからの輸入量が増えています。また、近年、「サハリンⅡプロジェクト」等の進展によりロシアからのLNG輸入も始まっています。一方、米国からの天然ガス輸入が少ないことに疑問を持つ方もいるかもしれません。確かに米国では昨今シェールガス開発が急伸しています。米国から日本へのシェールガス輸入は2017年1月から始まりました。 (出所)CSIS  さて、ガスの価格はどうでしょうか。こちらは世界の主要市場である米国、ドイツ、英国、日本を比較したものです。この3本の線はそれぞれ違う動きを見せています。まず日本。東日本大震災後価格が急騰しているのがわかります。通常天然ガスは安定的な輸入供給を実現するため長期契約で価格を取り決めています。そして長期調達で融通しきれない場合は、スポットで取引されているものを買うことになります。日本は震災後、一気に購入量を増やしたためスポット市場でも取引を行い、需給バランスが売り手優位に動いた結果、価格が高騰しました。  一方、米国ではシェールガス革命が始まったおかげでリーマンショックからの経済回復後も価格は低位へと推移しました。また、欧州では安全保障リスクの観点からロシアからの天然ガス購入を控え、中東からの石油・天然ガス輸入を強化した結果、価格は下がってきています。日本でも2014年以降は、世界的なガス価格の低下の流れや、ガス供給者との価格交渉等により価格が下がってきています。 (出所)EIA  今後の注目はやはり米国でのシェールガス採掘の動きです。2015年時点での予測では、今後米国でのガスは大半がシェールガスとなっていく見込みで、全体のガス生産量も急増していくと言います。2014年後半のガス価格の下落以降、シェールガス開発の動きも少し緩慢になってきているといいますが、米国の潜在的なシェールガス産出規模は巨大です。膨大なガスが市場に出てきますし、2017年からは日本にも米国からのガス輸入が開始され、日本のガス輸入価格も下落していきています。また、日本政府やエネルギー各社、商社は協力して新たな天然ガスの調達先を開拓しています。米国では、中部電力・大阪ガスがフリーポートLNGプロジェクトに、住友商事がコーヴポイントLNGプロジェクトに、東芝がフリーポート(拡張)LNGプロジェクトに、三菱商事・三井物産がキャメロンLNGプロジェクトに関与しています。カナダでは、三菱商事がLNGカナダプロジェクトに、石油資源開発がパシフィック・ノースウエストLNGプロジェクトに、出光興産がトリトンLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石がオーロラLNGプロジェクトに関与しています。オーストラリアでは北部準州のイクシスLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石が関与しています。インドネシアでは、東部のアラフラ海海上のガス田開発プロジェクトに国際石油開発帝石が関与しています。 原子力発電  東日本大震災後に原子力発電所が全て稼働停止となりましたが、その後も2013年まで少量ながら原子力発電量が存在している理由は、関西電力の福井県大飯発電所の原子力発電所が一時的に再稼働されていたためです。もともと原子力発電は、日本の高度経済成長期に膨れ上がる電力需要を賄うため政府主導で進められてきました。1955年12月原子力基本法が成立し原子力利用の大枠が決定、1957年には原子力発電を行う事業者として日本原子力発電が発足します。1963年に日本初の原子力発電に成功し、1966年には日本初の原子力発電所・東海発電所が完成し、商用の営業運転を開始しました。「省資源・二酸化炭素排出量ゼロ・エネルギー安全保障の確立」という夢の技術として期待された原子力発電は、2011年の東日本大震災で社会の捉え方が大きく変化しました。その後全ての原子力発電所は全て活動を停止しましたが、2015年8月に九州電力の川内原子力発電所が運転を再開、2016年2月に関西電力の高浜原子力発電所が運転を再開しました。しかし同3月大津地方裁判所の仮処分を決定、高浜原子力発電所は運転を再び停止しました。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)」  原子力発電の魅力的な点は発電コストの低さです。現在日本政府の検討会議で使われている比較データでも、原子力発電は最も発電コストの低い手法の一つとして扱われています。しかしこの発電コストの低さを強調する議論に対し、「原発事故が起こった場合の対策費用や社会的損失費用などがしっかり考慮されていない」という、原子力の発電コストの計算方法に異議を唱える人々も少なくありません。日本政府は2015年1月30日、経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に「発電コスト検証ワーキンググループ」を設置し、最新のエネルギー市場を踏まえて再度エネルギーコストを試算することとしています。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)」  また、日本政府が原子力発電を推進したいもう一つの要因は、日本の原子力発電産業の振興です。かつて原子力発電の将来の国内の主要電源として位置づけてきた日本は、原子力技術は言わば長期にわたって官民で投資してきた分野。これを海外に輸出することを産業振興の一つの柱としてきました。世界の主要原子力プラントメーカーは再編が進み、現在は3つのグループに分かれています。1つが三菱・アレバグループ、2つ目が東芝・ウエスチングハウスグループ、そして日立・GEグループで、いずれにも日の丸電機メーカーが入っています。しかしながら、東日本大震災以後、日本国内での原子力に対する期待が大きく下がる中、韓国・中国・ロシアの新興原子力プラントメーカーが台頭してきており、日本の産業界からは危機感が募っています。 (出所)日本原燃  原子力発電にはメルトダウンなどのリスク以外にも、放射性廃棄物の再処理・中間貯蔵・最終処分の問題があります。そのためもあり、日本政府が2014年4月に閣議決定した新しい「エネルギー計画」では、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」という方針が決まりました。しかしながら、全面廃止するという意味合いではなく、発電コストを下げるためにも、目下のところ経済産業省は原子力発電の再稼働に躍起になっています。 再生可能エネルギー(新エネルギー)  最後に、「未来のエネルギー」と呼ばれてきた再生可能エネルギーの状況を見ていきましょう。再生可能エネルギーと一言で言っても実は定義は曖昧です。経済産業省は、再生可能エネルギーと新エネルギーの用語を使い分けており、再生可能エネルギーは広義で、太陽光発電(PV)、太陽熱発電(CSP)、風力発電、地熱発電、潮力発電、バイオマス発電、水力発電などを全て含みます。一方で新エネルギーは、再生可能エネルギーから大規模水力発電、フラッシュ方式地熱発電、空気熱発電、地中熱発電を除いたものを指します。ですが、実態としては専門家の間でも定義は今でも揺り動いていますし、外国にいけばなおさら定義は異なります。  日本の2014年の電力事業者が行っている発電のうち、新エネルギーが占める割合は3.2%。震災前の2009年には1.1%でしたので多少は増えましたが、それでも微々たる数値です。期待されても期待されてもなかなか日本で導入が進んでこなかった理由はコスト面です。原子力発電所のコーナーでご紹介したように、再生可能エネルギーのコストは比較的高いと計算されているのです。しかしながら、近年諸外国では再生可能エネルギーは積極的に導入されてきており、技術革新が進展。結果として、コストはどんどん下がってきています。 (出所)IRENA  こちらは国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表したデータです。再生可能エネルギーの発電コストについて、2010年と2017年を比べたものですが、特に太陽光(PV)、太陽熱(CSP)でコストが大きく下がり、風力もコストが低減していることが見て取れます。背景には、太陽光発電パネルメーカーも風力発電機メーカーもグローバル規模で熾烈な企業競争があります。とりわけ、中国やインドなどの新興国メーカーの台頭が目覚ましく、それらが発電コストをどんどん押し下げてくれています。日本政府も、固定価格買取制度を2012年に本格開始しました。その後、電力事業者各社から送電網の不安定さを理由に電力買取を拒否する動きも出てきましたが、経済産業省は送電網強化指導に乗り出しています。  再生可能エネルギーのシェア目標については、低く設定されたままです。2010年6月に改訂された日本政府の「第3次エネルギー基本計画」では、原子力発電と再生可能エネルギー(水力含む)の比率を、2020年までに50%、2030年までに70%とする計画を打ち上げました。さらに、その中で、再生可能エネルギーが占める割合を、2020年までに全体の10%に達するという計画も含まれました。しかし、東日本大震災によって計画は方向性を失い、2018年7月の「第5次エネルギー計画」では、2030年目標として水力と再生可能エネルギーで22%から24%、原子力を20%から22%としています。  では、再生可能エネルギーはやはり期待できない電力源なのでしょうか。世界に目を向けるとそうとも言えません。世界各国の電力統計をまとめている国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2015年時点で世界主要国は再生可能エネルギーを重点的に強化しています。定義が異なるため、こちらの統計では日本の発電における再生可能エネルギー割合は8.2%(バイオマス発電が3.3%で牽引)です。この数値で比較していきましょう。ドイツはそれぞれ27.1%、同じ島国英国は23.8%、デンマークはなんと68.0%です。また、各国では2018年までの間にさらに再生可能エネルギー投資を活発化させており、年々この差は開いていきそうです。 電力の行方  電力問題の課題には基本的に2つの大きなテーマがあります。 ピーク電力需要の削減(ピークシフト・ピークカット) 電力コストの削減(再生可能エネルギーの技術革新)  ピーク電力需要の削減とは、1年や1日の中で最も電気を必要とする時間帯の電気使用量を減らすということです。電気は1日中満遍なく使われているわけではありません。基本的には夏の昼間が最も電力需要が大きく、春秋の夜は電力需要が著しく低下します。すなわち1日をかけて電力消費量を減らす必要はなく、ピーク時の電力需要を削減できれば発電容量を大きくする必要がなくなるというわけです。そこでピークシフトとピークカットという考え方が出てきます。ピークシフトとはピーク時に節電しピーク時でないとき電気を使うという電力需要の差を平準化する試みです。その方策としては、ピークでないときに蓄電してピーク時に使用するという供給側の対策と、電気料金を時間帯ごとに変えピーク時に高くそれ以外に安くすることで利用者のピーク時以外利用を促すという需要側の対策の2つが大きく検討されています。ピークカットとは節電技術を開発・導入して常時電力を下げるという方法と、ピーク時に活用できる太陽光発電などを利用してピーク時の商用発電量を減らすという方法があります。  一方で、電力コスト削減の突破口は技術革新です。特に上述したように再生可能エネルギーのコストは年々大きく低下しており、これは全て開発している研究者やエンジニア、企業や研究機関の努力によるものです。当サイトでも、太陽光、洋上風力、バイオマスの技術革新の様子をご紹介しています。この分野の技術革新には海外ではESG投資として年々多くの資金が投じられており、ますますテクノロジーの進化は進んでいきそうです。従事する企業にとっては国際競争がより激化していくことも意味しています。事業会社にとってもエネルギーの安定供給を実現していくことは企業のサステナビリティを高めることにも繋がり、アメリカのIT業界では再生可能エネルギーでの発電を自社で推進しています(参考:【IT】Greenpeaceの巨大な影響力 〜Amazon, Appleがクリーンエネルギー推進へ転換〜)。エネルギーの分野はこれからますます多くの企業の関心と協力を必要としていきます。

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【エネルギー】世界各国の発電供給量割合[2017年版](火力・水力・原子力・再生可能エネルギー)

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世界の発電供給量割合  こちらの図は、国際エネルギー機関(IEA)が公表している最新データベース「Key World Energy Statistics 2017」をもとに、2015年のデータをまとめたものです。こちらのデータにより各国の状況を横並びで比較することができます。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"をもとにニューラル作成 世界全体の発電手法(2015年) 石炭   :39.2% 石油   : 4.1% 天然ガス :22.8% 原子力  :10.6% 水力   :16.3% 地熱   : 0.3% 太陽光  : 1.0% 太陽熱  : 0.0% 風力   : 3.4% 潮力   : 0.0% バイオマス: 1.8% 廃棄物  : 0.4% その他  : 0.1%  世界の発電総量割合の全体傾向は、石炭が1.4ポイント減少し、天然ガスが1.2ポイント増加。太陽光と風力もそれぞれ0.2ポイント、0.4ポイント伸びました。それ以外はほぼ横ばいです。 北米:資源が豊富で選択肢が幅広い  経済大国米国、そしてカナダ。両国は電力消費量が「一流」なだけではなく、電力生産量も「一流」です。世界の電力生産量のうち、米国だけで約18%、カナダを合わせて約21%を占めています。北米は化石燃料が豊富な地域です。2015年時点で、石炭生産量は米国が世界第3位。石油生産量は米国が3位で、カナダが4位。天然ガス生産量は米国が1位で、カナダが4位です。北米では、シェールガスやシェールオイルの採掘が大規模に始まっており、資源生産量はまだまだ増加します。化石燃料以外も「一流」です。広大な大地を要する両国は、水力発電用地にも恵まれ、水力発電量は米国が世界第4位、カナダが2位です。また科学技術力の高い両国は原子力発電にも積極的で原子力発電量も米国が世界1位、カナダが6位です。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"  このように資源が豊富な米国ですが、一方で再生可能エネルギーの導入も進んできています。2015年度は水力を除く再生可能エネルギーで7.6%、水力を含めると13.9%となります。米国は連邦政府レベルでは依然再生可能エネルギーのシェア目標(英語でRenewable Portfolio Standard。RPSが略称)は設定していませんが、州政府は自主的にRPSを設定を行っており、今日までにすでに30を超える州政府が公式に目標数値を発表しています。その中で特に有名なのはカリフォルニア州が掲げた2020年までに33%(水力発電含む・原子力は含まない)という目標です。2015年時点では、当時のオバマ政権の政策もあり、石炭火力発電が5.4ポイントと大幅に減少。天然ガスへのシフトも進みました。トランプ政権は、石炭への回帰を目指す政策を掲げていますが、州政府レベルではオバマ政権時代と変わらない、もしくはそれ以上の低炭素の動きを見せています。 西欧:原子力か、ロシア産天然ガスか、それとも再生可能エネルギーか  西欧諸国は国毎に原子力発電に対する考え方が大きく分かれています。イタリアは従来から原子力発電所を使用しない方針を堅持しており、現在も原子力発電所での発電はゼロ、フランスからの電力輸入で電力消費量の十数%を調達する道を選んできました。東日本大震災後には、ドイツ、ベルギー、スイスが原子力発電所を期限を決めて全廃する方針を決定。スペインもその流れに追随し、原発の新設中止を決めています。世界有数の原子力大国であったフランスでも原子力発電に対する考え方が大きく後退し、現在のマクロン政権は原子力依存度を大幅に下げる政策を展開しています。原子力を放棄しても西欧諸国が発電量を確保できるのは、ロシア産天然ガスがあるからです。ヨーロッパにはロシア産天然ガスを輸送するためパイプラインが縦横無尽に張り巡らされています。この天然ガスによる火力発電がヨーロッパにとっての安定的なエネルギー供給源となってきました。 (出所)一般財団法人高度情報科学技術研究機構  ところが、そのロシア産天然ガスにも依存できない状況が到来しました。それは政治的リスクです。ウクライナ情勢が不安定化する2000年代から、政治的に対立しやすいロシアに対しエネルギー源を大きく依存することは得策ではないという政治的な判断が生まれ、いくつかの国は原子力でもない、ロシア産天然ガスでもない道を選択しなければならなくなりました。そして登場するのが再生可能エネルギーです。  西欧諸国は世界の中で再生可能エネルギーを最も推進している地域だと言えます。政府は再生可能エネルギーの導入を推進する制度整備を行い、メガソーラーや大規模洋上風力発電所等への積極投資を呼び込みました。結果、スペインは太陽光・太陽熱・風力を合わせて23%、イタリアも太陽光・太陽熱・風力を合わせて13%、工業国ドイツも太陽光・風力合わせて18%、英国も太陽光・風力で14%を発電しています。この流れは2015年以降も続いておりIEAの次回データ発表の際には、各国の再生可能エネルギーによる発電のの割合はさらに高まっていると予想されます。  また特殊事情にあるのは資源保有国であるドイツと英国です。ドイツは世界第8位の石炭生産国、英国には北海油田・ガス田があります。その結果ドイツは石炭での発電割合が高く、英国は天然ガス(ロシア産ではなく自国産)の割合が高くなっています。ところが、その英国も北海油田には依存できない状態が到来しています。 (出所)JOGMEC「在来型・非在来型を共に追い求めるイギリスの石油・ガス動向」  英国の石油・天然ガス生産量は、2000年頃を境に急落しています。北海油田が成熟化し採掘コストが増加しているためです。英国は2004年に石油・天然ガスの純輸入国になり、2013年には石油製品も含めた純輸入国へ転換しました。それでも天然ガスはロシア産は購入せず、90%以上をカタールからの輸入LNGで賄っています。この状況下で、英国は自前のエネルギー源を確保するため、北海地域で天然ガスやシェールガスの開発を積極化していますが、一方で大規模洋上風力発電にも活路を見出そうとしています。 北欧:水力シェアが高い (出所)IEA "Key World Energy Statistics"  デンマークを除く北欧地域は一人当りの電力消費量が高い地域です。北極圏に近い寒冷地域のため、暖房での電力消費量が多いのです。同様のことは同じ北緯にあるカナダや、アルプス山脈地帯であるスイスにも言えます。このように燃費の悪い地域にはもう一つの特長があります。自然に恵まれた環境であるため、水力発電が盛んなのです。水力発電の割合は、アイスランド(73.3%)、ノルウェー(95.9%)、スウェーデン(46.6%)、フィンランド(24.4%)です。同じく地理的環境が似ているカナダ(56.8%)、スイス(58.%)です。  原子力発電所については北欧でも対応が分かれています。水力発電だけで電力をほぼ100%賄っているノルウェーや、アイスランド、デンマークは当初から原子力発電はゼロ。スウェーデンは現在34.8%を原子力発電に依存しており、一度は原発全廃の方針を掲げたものの、その後方針を撤回し、今後も原子力を継続することとなっています。フィンランドは原子力発電を今後も継続していく予定です。  北欧は西欧と並んで再生可能エネルギー意欲の高い地域です。地理的制約により水力発電が適さないデンマークは従来ロシアから輸入した石炭で火力発電を行ってきました。しかし、ロシア依存度の引き下げと気候変動への対応のため2025年までに石炭での発電をゼロにする検討を行っています。そこで目をつけたのが洋上風力。今では風力発電だけで48.8%を賄っており、世界の風力発電大国です。スウェーデンとフィンランドも同様に風力とバイオマスに力を入れており、2つを足したシェアはスウェーデンで15.6%、フィンランドで19.4%に達します。また、ホットプルームという特殊な地理的環境に恵まれたアイスランドは地熱発電で26.6%の発電を行っており、水力と地熱だけで100%の発電シェアを誇ります。  興味深いのはノルウェーです。ノルウェーは英国と同様に北海地区に油田・ガス田を有する資源大国です。天然ガスの生産量は世界第7位。しかしながら、水力発電が強く、石炭・石油・天然ガスを合わせた火力発電合計の割合はわずか1.3%です。ノルウェーは石油・天然ガスの多くを輸出しており、その半分は英国に輸出されています。 アジア・太平洋:火力発電への依存度が極めて高い  アジアは非常に火力発電割合の高い地域です。まずは資源保有国の状況。石炭生産量世界第1位の中国、同第2位のインド、同5位のインドネシアは石炭での火力発電が主力です。天然ガス生産量世界第3位のイラン、同9位のサウジアラビア、そして同じく産油国であるエジプトやマレーシアでは、天然ガスと石油が主力です。一方、日本、韓国、台湾、タイといった資源非保有国は輸入石炭や輸入天然ガスによる火力発電が主流です。特に、地理的環境や経済構造が日本と近い韓国や台湾では、かつての日本と同様、原子力発電によって自前のエネルギー源を確保する政策を採ってきています。しかし台湾は2016年に2025年までに原子力発電を全廃し、風力と太陽光をで補うことを決定しました。  経済成長著しい中国とインドは今後、大気汚染に苦しむ石炭火力発電の割合を大きく引下げ、太陽光発電と風力発電を大規模に展開していく計画をすでに立てています。  ここで特筆すべきは、インドネシアとフィリピンの地熱発電です。インドネシアは世界第2位の地熱資源保有国、フィリピンは同4位。両国は環太平洋造山帯に立地するという地の利を活かし、地熱発電の割合はインドネシア(4.3%)、フィリピン(13.4%)となっています。両国が地熱発電に踏み切った背景には、原子力発電計画の廃止がありました。フィリピンでは、もともと1976年に原子力発電所が着工し、1985年工事がほぼ終了したものの、1986年に発足したアキノ政権によって同発電所の安全性および経済性が疑問視され、運転認可が見送られた経緯がありました。その後、地熱発電に舵を切っています。また、インドネシアでも、一時検討されていた原子力発電所計画が、福島第一原子力発電所事故を契機に頓挫し、大規模な地熱発電の拡大計画を政府が打ち出すに至りました。今、両国では、海外の金融機関や商社が地熱発電プロジェクトに大規模に出資し、開発を展開しています。 (出所)JOGMEC  オセアニアの大国、オーストラリアも資源大国です。石炭生産量は世界第4位、石油・天然ガスも生産しています。そのため、化石燃料からの火力発電割合が86%(そのうち石炭が63%)と圧倒しています。人口当たりの二酸化炭素排出量が世界一とも言われるオーストラリアがその排出量を減らすため連邦政府は2006年に原子力発電の導入に踏み切ろうとしましたが、国民からの支持を得られず計画は頓挫しています。気候変動対策も迫られるオーストラリア政府は、脱石炭、太陽光・風力発電へと徐々にシフトしようとしています。 その他新興国  ロシア、南アフリカ、メキシコは、自国の資源を活用した火力発電に大きく依存しています。ロシアは天然ガス生産量世界第2位、石炭生産量6位。南アフリカは石炭生産量第7位、メキシコは天然ガス産出国。また、メキシコは地熱発電量世界第4位も誇り、今後は地熱発電プロジェクトへの投資も増えていく見込みです。一方ブラジルも国内で石炭や石油を生産している国ですが、火力発電の割合は高くはなく、電力の62%を水力発電で調達しています。世界最大の砂糖の生産・輸出国であるブラジルは、バイオエタノールによるバイオマス発電の割合が8.4%と高いのも特徴で、バイオマスでの再生可能エネルギー導入が進んでいます。

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2018/02/14 体系的に学ぶ

【インド】政府、今後10年間の国家電力計画案を公表。石炭火力発電の新設をゼロに

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 インド電力省中央電力庁(Central Electricity Authority)は12月中旬、第12次5ヵ年計画期(2012年4月~2017年3月)の同国の電力状況を振り返るとともに、第13次5ヵ年計画期(2017年4月~2022年3月)および第14次5ヵ年計画期(2022年4月~2027年3月)のこの先10年の電力政策案を示した文書「Draft National Electricity Plan(Volume 1)Generation」を公表した。今後10年間の間に石炭火力発電の新設をゼロとする内容が含まれており、大きな注目を呼んでいる。  インドでは2003年の電力法(Electricity Act)に基づき、中央電力庁が5年単位で「国家電力計画」を策定している。今回公表された「国家電力計画案」はパブリックコメントを一定期間受け付け、その後中央政府による承認審議に移る。承認後は、公式の「国家電力計画」となり、これに基づき各電力事業者、送電事業者が事業を展開していくこととなる。今回は、2003年電力法制定後3回目となる「国家電力計画」だが、電力の長期需給を見通していくため、次期第13次5ヵ年計画期(2017年4月~2022年3月)の計画だけでなく、第14次5ヵ年計画期(2022年4月~2027年3月)の展望の内容が盛り込まれた。  インドの2015年時の発電電力構成は、石炭76%、天然ガス4%、原子力3%、水力12%、再生可能エネルギー6%。再生可能エネルギーではそのうち半分を風力発電が占めている。また、発電設備容量の構成比では、石炭61%、天然ガス8%、原子力2%、水力14%、再生可能エネルギー14%。このようにインドは現状石炭に大きく依存している。これを、今回発表の「国家電力計画案」では、非化石燃料(原子力、水力、再生可能エネルギー)設備容量の割合を現在の30%から、2022年までに46.8%、2027年までに56.5%に大幅に増加させる。  非化石燃料の中でも設備容量を大きく増強するのが再生可能エネルギーだ。「国家電力計画案」では、2022年までの設備容量増加計画として、再生可能エネルギー115.3GW、水力15.3GW、原子力2.8GWとしており、再生可能エネルギーの増加分は原子力の40倍以上。さらに石炭依存を下げるため天然ガス発電の設備容量も2022年までに4.3GW増やす。インドでは今後経済発展に伴い電力需要も大きく増加していくと予測されているが、これら設備容量の増強により需要増分は賄えるため、2022年までに石炭火力発電の新設は不要とした。  また2027年までの設備容量増加計画では、再生可能エネルギー100GW、水力12GW、原子力4.8GWとし、この時期でも再生可能エネルギーは原子力の20倍の増加となる。また同時期には電力需要の伸びにより、石炭火力設備容量44GWが不足し増強が必要となるが、すでに建設着工中の石炭火力設備容量50GWが2022年までに完成する見込みのため、やはり2027年までに石炭火力発電の新設は不要だとした。  しかし既存およびすでに建設着工中の石炭火力発電所は稼働させていく。現行の第12次5ヵ年計画期(2012年4月~2017年3月)には、石炭86.3GW、褐炭1.3GW、天然ガス6GW、水力5.5GW、原子力2.5GW、再生可能エネルギー17.9GWの設備容量を増加させており、石炭・褐炭の増加分が大半を占めた。この新規石炭・褐炭火力発電のうち39%が超臨界圧石炭火力発電、日本の政官財が推進しているいわゆる「高効率石炭火力発電」だった。インドは気候変動などにより今後モンスーンによる水力発電効率が30%低下すると見立てており、この低下分を既存の石炭火力発電の稼働率を上げ補う。  今後の設備容量増加分を大きく担う再生可能エネルギーの今後の資金需要は、2022年までで約10兆インド・ルピア(約18兆円)以上。2027年まででさらに約6兆インド・ルピア(約10兆円)以上が必要と見積もっている。この金額に含まれていない電力系統接続や2028年以降の設備容量増加に向けた設備投資なども加えると資金需要はさらに増えていくとみられている。一方、現時点での再生可能エネルギー、水力、原子力ともに投下資金不足もあり設備容量の伸びが思うように進んでいないことから、脱石炭に舵を切れるかに懐疑的な見方もある。  パリ協定以降、二酸化炭素排出量削減の動きが新興国にも広がりを見せている。新興国2大大国であり世界人口大国のうち、中国はすでに脱石炭の動きを鮮明にし、今回インドでも脱石炭の計画案が表明されたことで、さらに石炭火力は世界的に縮小していきそうだ。 【参考】【中国】国務院、温室効果ガス削減アクションプランを発令。石炭消費量を大幅抑制 【報告書】Draft National Electricity Plan(Volume 1)Generation

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