【アメリカ】宗教団体連合体ICCR、科学的根拠に基づく温室効果ガス排出目標設定を大手上場企業に要請

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 宗教財団機関投資家が加盟する全米機関ICCR(Interfaith Center on Corporate Responsibility)は12月14日、米国の大手上場企業100社以上に対して書簡を送付し、今後2年間で科学的根拠に基づいた温室効果ガス(GHG)削減目標(SBT、science-based target)の設定を行うことを要請した。ICCRに加盟するのは全米のキリスト教教会を中心とする約300の宗教団体。宗教的寄付やお布施を管理する米国の宗教団体は株式投資を活発に行うなど巨大な機関投資家として知られており、ICCR加盟300団体の合計資産総額は約2,000億米ドル(約23兆円)にも上る。今回の書簡は、SBTが重要だとする60団体の共同署名が付されている。  ICCRは、宗教団体の機関投資家としての社会的責任を強化していくために1973年に設立。社会的責任投資(SRI)と呼ばれる初期ESG投資を推進してきな中心的な存在として活動してきた。今でも毎年、気候変動、水管理、食糧問題、人身売買、ヘルスケアへのアクセス、金融へのアクセスなどのテーマで毎年企業に対してアクションを要請してきている。  今回の書簡が送付された企業には、GM、ボーイング、3M、ダウ・ケミカル、インテル、マリオット・インターナショナル、ヒルトン・ワールドワイド、マクドナルド、ペプシコ、オラクル、ヤフー、ティファニー、ホーム・デポ、モルガン・スタンレーなど米国大手企業が含まれている。日本の山洋電気の米国現地法人も対象となった。書簡の中では、CDPに対して提出している毎年の回答の中でSBTの実施をコミットする表明をしていることなどを引き合いに出し、コミットメントの実施をICCRとして強く要請する内容などが書かれている。  ICCRはさらに、CDPが高い温室効果ガス削減目標を設定している企業は財務パフォーマンスが高いことや、ウォルマートやグーグル、アメリカン・エレクトリック・パワーなどが米政権の行方にかかわらず低炭素に向けた取組を継続する方針を表明したと12月8日のウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じたことにも触れ、企業に対して温室効果ガス削減の野心的な目標設定を迫った。書簡では、科学的根拠に基づく目標設定(SBT)を実施することで、ビジネスモデルを変換させるための戦略的投資、新たな市場開発、将来の政府規制への備え、リスクや機会の特定につながると効果を強調した。 【参照ページ】In Fight to Reduce Carbon Emissions, Investor Coalition Seeks to Turn Corporate Promises into Action 【書簡】Letter 【機関サイト】Science-based Targets.org

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【国際】WRI、埋蔵化石燃料からの潜在温室効果ガス排出量の推計方法ガイドライン案を発表

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 国際環境NGO世界資源研究所(WRI)は12月14日、石炭、石油、天然ガス会社が保有する化石燃料埋蔵量から将来発生する可能性がある温室効果ガスの推計手法のガイドラインについて、中間発表をまとめた報告書「A Recommended Methodology for Estimating and Reporting the Potential Green House Gas Emissions from Fossil Fuel Reserves」を発表した。  パリ協定で、気候変動を産業革命前から2℃上昇に抑える2℃目標が国際合意されたが、将来の排出に大きな影響を与える化石燃料の埋蔵量分については、潜在的な温室効果ガス排出量を推計、算出する方法が国際的に定まってはいない。今回WRIが発表したガイドライン案はこの分野に一矢を報いるものとなる。WRIは、現在国際機関や各国政府が温室効果ガス排出量の公的算出基準として用いている「温室効果ガス(GHG)プロトコル」を設計開発した重要NGO2つのうちの一つ。今回WRIは埋蔵化石燃料の推計基準を発表したことで、この分野の国際基準に発展していく可能性が高い。  今回中間案として発表された埋蔵化石燃料の算出ガイドラインは、 化石燃料の埋蔵量を推計するにあたり、石油と天然ガスはPetroleum Resource Management System(PRMS)、石炭は国際埋蔵量報告合同委員会が定めるテンプレート、を用いる。もしくは一貫して運用されている国の基準を用いる 石油、天然ガスについては、販売用ではなく企業内部使用用の燃料分も加算する フレアリング、放散、その他漏出など事業活動を通じて消費される化石燃料分も加算する 化石燃料燃焼と漏出メタンガスによる温室効果ガス排出量を本報告書で提示された方法で推計 二酸化炭素回収・貯留(CCS)で回収される温室効果ガス量は控除する 確定埋蔵量と推計埋蔵量からの潜在排出量は分けて推計する 推計に用いた主な仮定並びに排出源を明記する  パリ協定定められた2℃目標の達成に向けては、2011年から2100年の間の人為的な二酸化炭素排出量を986ギガトン以下に抑えなければならない。しかし、現在埋蔵量上位200社が保有する化石燃料の潜在二酸化炭素排出量は少なくとも1,541ギガtとされ、許容量をはるかに上回る。そのため、今後どのように化石燃料を利用していくかが気候変動対応においてカギを握るが、現時点で潜在的な二酸化炭素排出量データを公開している化石燃料関連企業は1社もないという。財務報告や業界基準も資源埋蔵量データにばかり注目し、二酸化炭素排出量の推計方法を定めているものはない。化石燃料関連企業の排出量報告も過去の活動に関するものに終始しており、将来の気候変動を語るうえで重要な埋蔵資源からのインパクトは俎上にまだ載っていない。  WRIは、今回のガイドラインの活用を、化石燃料関連企業だけでなく、市民団体、投資家、証券監督当局などにも呼びかけている。化石燃料埋蔵量の資産価値については「座礁資産」という考え方が普及してきており、将来化石燃料がエネルギー源として活用できなくなっていくことから、資産価値が減少していくことが唱えられてきている。WRIのガイドラインにより、世界的に統一した埋蔵分からの潜在排出量の算出がなされていくと、この「座礁資産」の考え方にとって大きな追い風となる。 【参考ページ】A Recommended Methodology for Estimating and Reporting the Potential Greenhouse Gas Emissions from Fossil Fuel Reserves 【ガイドライン】A Recommended Methodology for Estimating and Reporting the Potential Greenhouse Gas Emissions from Fossil Fuel Reserves

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【日本】味の素ら食品メーカー4社、九州と北海道の物流事業を統合。CO2排出削減にも寄与

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 味の素、カゴメ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社の食品メーカー4社は12月1日、北海道と九州エリアの物流事業を統合することに合意、合弁会社を発足させる契約を締結した。北海道エリアでは2017年3月に、九州エリアでは同4月に合弁会社が誕生する。  物流事業を4社で統合することとなった背景には、食品物流を取り巻く環境がある。食品物流は、トラックドライバー不足や物流コストの上昇、二酸化炭素削減をはじめとする環境保全への対応など様々な課題に直面している。荷主が協働し、積載率を向上させることで、トラックや鉄道での総輸送距離を削減していく。今回発表を行った食品メーカー4社と日清オイリオグループと、Mizkanは、すでに2015年2月から「食品企業物流プラットフォーム(F-LINE®)」を開始。このF-LINEプロジェクトでは6社で共同物流戦略を策定、2016年3月には関東・関西間で鉄道往復輸送を用いた中距離幹線輸送の再構築、2016年4月には北海道エリアでの共同配送を実現してきた。今回は、6社のうち4社で合弁会社を設立し、さらに物流事業を一体化させていく。  北海道エリアでの合弁会社は、現在味の素の関連企業である味の素物流100%子会社の北海道エース物流を受け皿会社とする。食品会社4社は、味の素物流から北海道エース物流の株式を均等に譲渡され、4社が25%ずつを保有する体制へと移行。また北海道エース物流は社名を「F-LINE」に変更する。現在、F-LINEプロジェクトで協働推進されている北海道エリアでの共同配送はF-LINE社が担っていく。続いて、九州エリアでは、現在味の素物流100%子会社である九州エース物流の全株式をF-LINEが取得し、「九州F-LINE」に社名を変更する。北海道エリアに続き、九州エリアでの共同物流体制を2018年中に実現する考え。  また、今後4社は、2019年中に物流子会社を統合させ、全国的に物流事業を一体化させていく検討も開始する。 【参照ページ】国内食品メーカー4社、物流事業の合弁会社発足に合意

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【国際】IMO海洋環境保護委員会、大型船舶に温室効果ガス排出量測定義務を課す新ルール案を採択

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 海運分野の国際機関である国際海事機関(IMO)は10月28日、10月24日から10月28日までロンドンで開催された第70回海洋環境保護委員会(IMO MEPC)会議で、総重量5,000トン以上の船舶に対し、船舶で使用した種別ごとの燃料消費量を測定する義務を課すことを採択した。総重量5,000トン以上の大型船は国際海運における温室効果ガス排出量の85%を占める。IMOには現在、日本、英国、韓国、中国、日本、ノルウェー、パナマ、米国、ロシア、オランダ、イタリア、ギリシャなど世界の海運大国を含む世界170ヶ国以上が加盟している。国際航空の分野では10月6のICAO総会にて、温室効果ガス排出量削減のための国際合意が誕生。今回IMOが海運分野の国際合意に至ったことで、これでほぼ全ての分野で温室効果ガス測定・削減の枠組みが出揃ったことになる。 【参考】ICAO総会、国際線への温室効果ガス排出削減制度で画期的な合意。排出権購入を義務化(2016年10月24日)  この制度のもとで、大型船の船主は今後、毎年年末に船籍国に対して温室効果ガス排出量データを報告しなければならなくなる。そして、収集したデータが船籍国は、IMOが定める測定方法に則しているかを確認した後、適合確認書を船主に対して付与、同時にIMOに対しデータを提出しなければならない。IMO事務局は、各国から収集したデータを年次報告書としてMPECに提出する。MPECへ提出される書類は、排出者に関するデータは匿名とされるため、船主が特定されないようになっている。このルールは、手続きが順調に進めば2018年3月1日に発効する予定。  MPECは同時に、海運業の温室効果ガス削減のための2017年から2023年までのロードマップを採択した。このロードマップでは、今後IMOが実施すべき研究、活動内容などがタイムラインを区切って設定されている。スケジュール通り進めば、2018年に「包括的IMO温室効果ガス排出削減戦略」が採択される見込み。海運業の省エネに向けた取組としては、今回採択した大型船の測定義務化を3つのステップのうちの第1段階と位置づけ、今後第1段階の状況を見極めながら新たなステップを定めていくという。ロードマップの期限となる2023年には、さらなる中長期的な計画を含めた次期戦略を採択していく予定。  IMOは、2011年に海運業の省エネに向けた取組を2011年に採択し2013年に発効している。その中では、2025年までに、新規建造船舶の温室効果ガス排出量を2014年比で30%削減することを謳っている。 【参照ページ】New requirements for international shipping as UN body continues to address greenhouse gas emissions

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【カナダ】連邦政府、CCS未整備石炭火力発電所を2030年までに停止すると発表

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 カナダ連邦政府のキャサリン・マッケナ環境・気候変動相は11月16日、同国のアルバータ州カルガリーで開催されたカナダ風力エネルギー協会(CanWEA)の年次総会の基調講演の中で、2025年までに連邦政府自身のエネルギー調達100%を再生可能エネルギーで賄う予定であると発表した。さらにマッケナ環境・気候変動相は11月21日、2030年までに炭素回収・貯蔵(CCS)技術を導入していない石炭火力発電所を全て停止し、再生可能エネルギーを推進していく計画を発表した。  マッケナ大臣によると、石炭火力発電所の停止により、同国の全発電量に占める再生可能エネルギー発電は現在の80%から90%に増加し、2030年までに5メガトン以上の二酸化炭素排出量を削減できるという。政府は同時に、再生可能エネルギー分野への投資を国内外から呼び込むための投資環境を各州や準州と協力しながら整備していく。その一つとして、カナダ政府が今秋に政策発表したインフラ投資のための政府系銀行「カナダ・インフラ銀行」の設立を実現させるとともに、今後11年間でグリーン・インフラ分野に219億カナダドル(約1.8兆円)を投資していく。  カナダではトルドー首相の強いリーダーシップにより、気候変動対策を連邦政府レベルで進めている。今回の発表はいずれも米国大統領選挙でトランプ候補の勝利が明らかとなったあとであり、カナダは米国の動向にかかわらず、気候変動対策を推し進める考えをはっきりさせている。 【参照ページ】Canadian government will source 100 per cent renewable energy for facilities 【参照ページ】The Government of Canada accelerates investments in clean electricity

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【中国】国務院、温室効果ガス削減アクションプランを発令。石炭消費量を大幅抑制

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 中国政府の国務院(内閣に相当)は10月27日、温室効果ガスの排出抑制に関する規制「第13次5カ年計画における温室効果ガス排出抑制アクションプラン(“十三五”控制温室気体排放工作方案)」を制定したことを、11月4日に発表した。石炭火力発電を大幅に削減させるのが政策の柱。中国政府が石炭消費を抑制していく姿勢が明らかとなった。  アクションプランで定められた内容は、2020年までに対GDP比の二酸化炭素排出量を2015年比で18%削減し、エネルギー消費量も2015年比15%削減するというもの。試算によると石炭消費量を42億トン(47億ショートトン)に抑える。その代替として水力や原子力発電など非化石燃料発電がエネルギー供給量全体に占める割合を15%に引き上げる。大規模発電事業者に対しては1kW当たりの二酸化炭素排出量を550g以内に留めるよう命じた。  一方、再生可能エネルギーに対しては、中国はこれまで2020年までに太陽光発電150GW、風力発電250GWという計画を掲げていたが、今回発表では太陽光発電100GW、風力発電200GWへと後退した。背景には、再生可能エネルギーを電力系統網の接続限界に達していることがあるという。それに対し、水力発電目標は340GW、原子力発電は58GWとした。再生可能エネルギー懐疑派は、中国も再生可能エネルギーより原子力発電に力を入れているという言い方がされることもあるが、今回発表の計画では原子力より再生可能エネルギーの方が遥かに推進規模が大きい。  交通分野では、天然ガス発電を増加させるとともに電気自動車の普及を図り、天然ガスがエネルギー供給量全体に占める割合を10%前後にまで引き上げる。  アクションプランは他にも、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄という二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出抑制もさらに推し進め、植林などを通じて炭素吸収源の増加にも努めていくという。また優先開発区域(優化開発区域)の二酸化炭素排出絶対量を削減に展示させることに努め、とりわけ重化学工業分野では2020年頃にピークと以後削減とすることを謳った。さらに、全国規模の二酸化炭素排出権取引市場の整備、気候変動に関する法律や規制の強化、二酸化炭素排出削減成果を人事考課に反映させる仕組みづくりや責任追及制度も整備していく考えも見せた。二酸化炭素排出権取引市場については2017年に立ち上げ、2020年内に制度の完成を目指す。  アクションプランの中には、気候変動枠組条約パリ協定の尊重、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた貢献にも言及しており、二酸化炭素排出量の削減には各区・市に対しての達成目標も設定するなど、マクロとミクロの両面から細かい指示がされている。  中国はGDP世界2位であり、二酸化炭素排出量世界1位の大国。世界の温室効果ガス排出量削減も中国の本気度に左右されると言っても過言ではない。今回中国政府から石炭火力発電の大幅抑制の号令が出たことは、世界に大きな影響を与えそうだ。 【アクションプラン】“十三五”控制温室気体排放工作方案

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【台湾】蔡内閣、2025年までの脱原発、再生可能エネルギー20%を閣議決定。太陽光と洋上風力に投資

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 台湾の蔡英文内閣は10月20日、2025年までに原子力発電を廃止した上で再生可能エネルギーによる発電割合を20%にまで引き上げる政策を、行政院会議(閣議に相当)で決定した。台湾外交部(外務省に相当)のメディア「Taiwan Today」が10月21日報じた。さらに、この政策では、2025年までに現行の国営電力事業者である台湾電力公司を発送電分離し、発電会社と送配電会社に分割すること、これまで台湾電力公司が独占してきた発電事業を他の企業に許可し、再生可能エネルギー発電を分割後の発電会社に売電できるようにすること、再生可能エネルギー推進のために行政府に部署を新設することなども盛り込んでおり、台湾のエネルギー政策を大きく変える内容となっている。蔡内閣は今年末までに立法院(国会に相当)で法成立を目指す考えだ。  台湾の再生可能エネルギー発電割合は現在4%。これを2025年までに25%までにいっきに引き上げる。カギを握るのは太陽光発電と洋上風力発電だ。とりわけ太陽光発電の拡大を急ぐ考えで、政府はこの分野に1.2兆台湾ドル(約4兆円)を投資し、2025年までに現在1GWしかない太陽光発電設備容量を20GWまで20倍に増やす。さらに現在、政府は洋上風力発電について研究を進めており、台湾東岸に巨大な洋上風力施設を建設していく考えを示した。組織体制としては、再生可能エネルギー推進のため、経済部の中に太陽光発電推進部局を、内閣の直下に温室効果ガス削減部局を設置する組織改革を法案に盛り込んだ。  原子力発電政策についても大きく方向転換する。台湾では現在稼働中の原子力発電所は全部で3基。北部の第一原発で1基(604MW)、第二原発で1基(948MW)、南部の第三原発で1基(922MW)が稼働しており、2015年の原子力発電割合は14.1%。しかし福島第一原子力発電所事故以降、台湾の世論は原子力発電反対に傾き、前・馬英九国民党政権が推進していた第四原発(2基合計2,600MW)建設プロジェクトが建設途中に頓挫。今年5月に就任した蔡英文総統は、選挙活動中に脱原発政策を掲げた上で当選しており、今回の法案にも脱原発が盛り込まれることとなった。脱原発によって減少する14.1%の発電量は、再生可能エネルギー発電で代替していく。  発送電分離などの電力制度改革は2段階に分けて実施していくという内容。第1段階では、まず発電事業を規制緩和し、これまで国営台湾電力が独占してきた発電事業をその他の企業に認め、太陽光発電を地域社会や企業が実施できる体制を築く。続いて第2段階では、段階的に発送電分離を進め、発電事業者が配送電会社に対し売電できる仕組みを整えるとともに、電力消費者も電力会社を選べるようにする。  台湾は、全政権時代の昨年7月に「温室効果ガス削減及びマネジメント法」が成立しており、2050年までに2005年比で温室効果ガスを50%以上削減することを法律として定めている。台湾は太陽光発電やLEOの世界的な生産大国であり、蔡内閣は国内産業を活かし太陽光発電の導入とLEDへの切り替えによって、大幅に温室効果ガス削減を図りたい考えだ。現在3%しかないまた、政府はこれらの電力改革を行ったとしても電力の小売価格水準は変えない方針。  国内資源に乏しい台湾は、大きく依存する発電量の80%弱を依存する火力発電原料と、原子力発電のための核燃料を全て輸入している。政府は原子力発電割合を下げ、再生可能エネルギー割合を高めることで、現在3%しかないエネルギー自給率を向上させることができるという利点も挙げている。  島国の台湾は、日本と同じく、化石燃料発電と原子力発電に大きく依存してきた。さらに日本と違い国土の狭い台湾では水力発電も数%と日本より遥かに少ない。その中で、原子力発電を推進するのか、化石燃料に頼るのか、それとも再生可能エネルギーに活路を見出すのかという議論がここ数年、世論を巻き込んで繰り広げられてきた。日本が依然、原発再稼働と石炭火力発電新設に必死になり、再生可能エネルギーは電力価格が上がると忌避する中、お隣台湾のリーダーはついに、脱原発・再生可能エネルギー推進、電力価格据え置きという判断を下した。 【参照ページ】Taiwan moves toward opening renewable energy market 【参照ページ】Taiwan committed to 20 percent renewable energy target: VP

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【物流】ヤマト運輸が展開する「客貨混載」。温室効果ガス削減と地域貢献の二大効果

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 物流大手のヤマト運輸が「客貨混載」という取組を拡大しています。客貨混載(きゃくかこんさい)とは、人と貨物を同じ車両で一緒に運ぶこと。通常、運輸・物流の世界では「客貨分離」と呼ばれる旅客(人間)と貨物(モノ)の運搬を分けて行うことが多くなっていました。例えば電車では、旅客列車と貨物列車は別々に運行されています。同様に、航空分野でも旅客機と貨物機は別の機体で運航されていることが一般的です。旅客と貨物は運航において配慮する点が異なるため、これまで客貨分離は理に適った効率的な手段だと言われてきましたが、今、ヤマト運輸は「客貨混載」という手法に着目しています。  ヤマト運輸が最初に客貨混載を導入したのは2015年6月3日、舞台は岩手県です。ヤマト運輸は現地のバス運行会社である岩手県北自動車と連携し、岩手県中部の盛岡市-宮古市(約90km)を結ぶ路線で客貨混載を開始しました。同地は、過疎化や高齢化が進む中山間地帯にあり、路線利用客の減少からバス路線の存続そのものが危ぶまれている地域です。仕組みは、まず岩手県北自動車の運航バスの座席の一部を荷台スペースに改造し、ヤマト運輸の宅急便を積載できるようにします。そして、盛岡市-宮古市の路線では、盛岡市地域と宮古市地域のそれぞれの地域の宅急便の集配送はヤマト運輸が自身で行いますが、ヤマト運輸の盛岡市の営業所と宮古市の営業所の間の宅急便の輸送は、岩手県北自動車の都市間路線バスが替わりに実施するというものです。さらに同時に、宮古市内ー同市重茂半島(約18km)を結ぶ一般路線バスの「重茂路線バス」でも同様の取組を開始しました。なんだか回りくどい方法のようにも思えますが、これには大きなメリットがあります。  まず、ヤマト運輸のメリット。ヤマト運輸としては、盛岡市ー宮古市の区間のトラック輸送を一部取りやめることができるため、まずトラック代や燃料費を節約することができます。また、それに伴い、燃料やトラックによって発生していた二酸化炭素排出量も削減できます。日本の部門別二酸化炭素排出量のうち、運輸部門の排出量は、発電などエネルギー部門、工場など産業部門に次いで3番目に多く、客貨混載によって二酸化炭素排出量を削減できることは大きな意味を持ちます。  バスを運行する岩手県北自動車にもメリットがあります。岩手県北自動車は、ヤマト運輸の荷物を同社のバスが代行輸送するというサービスが、新たな収入源になります。とりわけ過疎地では赤字路線が発生していることが多く、路線からの新たな収入はバス路線網の維持につながります。当然このことは地域住民にとっても大きなメリットとなります。路線バスの維持は、病院やスーパーなどへの移動が容易になり、生活基盤の維持や向上につながります。その上、地域住民にとって客貨混載は別のメリットもあります。ヤマト運輸のドライバーは、盛岡市と宮古市のそれぞれの担当地域に滞在する時間が長くできることから、日々の集荷や配送の最終時刻を延長することが可能となり、地域住民にとって利便性が向上するのです。  ヤマト運輸は、この夢のような三方良しの取組を、過疎に悩む全国地域へと拡大しようとしています。同年9月には、宮崎県の宮崎交通と連携し、同県中部の西都市ー西米良村(約45km)を結ぶ路線バスで客貨混載を開始。2016年6月には同じく宮崎交通と連携し、同県北部の延岡市-高千穂町(約50km)、諸塚村-日向市(約50km)を結ぶ2路線でも開始します。続いて9月には北海道の名士バス、士別軌道、十勝バスの3社と一斉に連携し、名寄市-美深町(約20km)、名寄市-下川町(約20km)、士別市-朝日町(約20km)、足寄町-陸別町(約35km)の4路線で、10月には熊本県の産交バスと連携し、熊本県南部の人吉市-五木村(約30km)を結ぶ路線で客貨混載を開始しました。いずれも深刻な過疎地域で、バスだけでなく最近ではJR路線の廃止なども取り沙汰されたりしている地域でもあります。  パナソニックも、別の角度から運輸分野での二酸化炭素排出量削減に資する取組を開始します。今年10月、同社は福井県で「宅配ボックス実証実験」を11月から開始すると発表しました。「宅配ボックス実証実験」は、同社の戸建住宅用宅配ボックスを一般世帯に配置、留守中でもこのボックスに荷物を投下することで再配達の手間をなくすというものです。再配達は荷物を受け取る人にとってもストレスとなるだけでなく、再配達をする宅配事業者にとっても大きな負担。同社によると、宅配便配達の走行距離のうち25%は再配達のために費やされているという結果も出ており、再配達だけで年間約42万トンの二酸化炭素(JR山手線の内側の約2.5倍の面積の杉林が吸収するのと同じ量)が排出されていると言います。また、再配達が減ることで、宅配事業者の労働時間の削減にもなります。パナソニックはこの実証実験を、日本郵便、ヤマト運輸、そして現地の福井県あわら市と共同で実施していきます。  二酸化炭素排出量の削減、過疎地域の赤字路線問題、従業員の労働時間削減。どれも現代社会において重要なテーマですが、ついつい私たちはそれぞれを別の問題として考えがちです。ともすると、何を優先し、何を犠牲にするのかという、問題それぞれを二者択一で考えたりしてしまうこともあります。しかし、今回ヤマト運輸やパナソニックが編み出した作戦は、これらを同時に解決してしまうというもの。最近企業の間でも意識するところが増えてきた国連持続可能な開発原則(SDGs)に照らし合わせると、二酸化炭素排出量の削減は、「目標13 気候変動に具体的な対策を」、過疎地域の赤字路線問題は、「目標11 住みつづけられる街づくりを」、従業員の労働時間削減は、「目標8 働きがいも経済成長も」に該当します。発想は変えた素晴らしいアイデアは、企業の新たな収入源を創出しながら、自然にSDGsの貢献にもつながっていきます。 【参照ページ】路線バスを活用した宅急便輸送「貨客混載」の開始について 【参照ページ】西日本初!路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載(きゃくかこんさい)」の開始 【参照ページ】路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」の路線拡大 【参照ページ】北海道で路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」を開始 【参照ページ】熊本県で路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」の開始 【参照ページ】「宅配ボックス実証実験」をスタート

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【アメリカ】ペプシコ、2025年までのサステナビリティ長期目標発表。商品の砂糖含有量削減など

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 食品世界大手ペプシコは10月17日、2015年のサステナビリティレポートを発表する中で、2025年までに向けた長期サステナビリティ戦略「2025 Sustainability Agenda」を明らかにした。消費者の健康食志向が高まっていく消費者需要の変化を見越し、全社の商品内容を大きく見直していく。同時に環境や人権に配慮した世界の食品システムの構築を目指し、地域社会のウェルビーイングの向上も目指していく。  同社は2006年に「Performance with Purpose」というビジョンを発表、「ビジネスの成功を私達が共有する世界の持続可能性を不可分だ」とする信念を事業の中心に据えてきた。それ以降すでに数多くのサステナビリティ行動目標を設定し遂行してきたが、2025年に向けてさらに内容を発展させていく。新たな戦略では、国連持続可能な開発目標(SDGs)を考慮しつつ、(1)商品そのものの健康やウェルビーイングの向上、(2)地球保護、(3)世界中の人々のエンパワーメントの3点を柱として掲げた。同社は、これらの目標達成は、長期的な財務パフォーマンスや株主総利回りの向上につながるという考えを示した。  まず、製品分野では、消費者の健康志向やWHOが発表した声明などに基づき、商品に含む砂糖、飽和脂肪酸、ナトリウムの量を削減していく。2025年までの数値目標として、 飲料商品量の最低3分の2で、355ml当たりの付加砂糖量を100カロリー以下に下げる 食品商品量の最低4分の3で、100カロリー当たりの飽和脂肪酸含有量を1.1g以下に下げる 食品商品量の最低4分の3で、1カロリー当たりのナトリウム含有量を1.3mg以下に下げる 穀物、果物、野菜、乳製品、プロテイン、水分など同社が「日常食」と定義する商品の売上成長率を同社平均以上に上げる 貧困層に対し栄養食や栄養飲料を30億食以上提供する 【参考】WHO、加盟国政府に「砂糖税」導入による甘味食品・飲料の消費量減少を提言  環境の分野では、気候変動枠組み条約パリ協定を支援するとともに、新たな数値目標を発表した。 2025年までに水リスクが高い地域での農業の水消費効率を15%向上させる 2006年に設定した製造現場での水消費効率25%向上に加え、さらに2025年までに25%向上させる 2025年までに水リスクが高い地域で製造現場での水消費量100%を現地の水源に還元する 2006年に設定した水リスクが高い地域の住民2,500万人に安全な水を供給する取組を2025年まで継続する 2030年までに企業のサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量を20%以上削減する 農作物原料調達分野で直接調達を2020年までに、間接調達を2030年までに100%持続可能な手法にする 2020年までにパーム油とさとうきびの調達100%を持続可能な手法にできるよう関連分野に投資する 2025年までに自社事業からの埋立廃棄物をゼロにする 2025年までに自社事業からの食品廃棄物を50%削減する 2025年までに商品パッケージを100%再利用またはリサイクル可能なものに変える  地域社会の分野では、国連のビジネスと人権に関する指導原則に言及しつつ、新たな数値目標を発表した。 2025年までに環境配慮、農業生産性向上、生産者生活改善、人権尊重を内容とする同社の持続可能な農業イニシアチブ(SFI)の対象を、同社の関係農地の4分の3に当たる700万エーカーに拡大する すでに同社内100%遵守となった同社のサステナビリティ調達基準を、全フランチャイズ企業と全合弁企業で遵守させる 2025年までにペプシコ財団と協力し、世界の女性1,250万人の支援のため1億米ドルを投じる 管理職の女性比率や男女の賃金平等化など地域状況を配慮した従業員ダイバーシティ活動を継続する  世界中で事業展開するペプシコは、今回の長期目標の発表の中でも、WHOの最新報告を引用するなど、世界の幅広い情報を常にキャッチアップし、事業内容に反映させている姿が伺える。砂糖の含有量などについては、コカ・コーラなどがNGOからの批判を浴び対応をするなどした例が過去にあるが、全社的に砂糖の含有量を減らしていく発表する企業は世界的にも珍しい。また、近年将来のリスクが大きくクローズアップされる水分野では、同社はすでに昨年までに事業で消費した水と同量の水を、同社や同社の財団を通じて社会で利用可能にするという目標を達成したことを発表していていが、今回早速、「2025年までに水リスクが高い地域で製造現場での水消費量100%を現地の水源に還元する」と現地での水循環を100%達成する目標を掲げたことは高く評価できる。 【参考】ペプシコ、水使用量削減で大きな成果。コスト削減効果は5年間で82億円 【参照ページ】PepsiCo Launches 2025 Sustainability Agenda Designed to Meet Changing Consumer and Societal Needs

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【国際】ICAO総会、国際線への温室効果ガス排出削減制度で画期的な合意。排出権購入を義務化

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 航空分野の国際機関である国際民間航空機関(ICAO)は10月6日、加盟各国が集う第39回年次総会を開催、国際線の分野に、市場メカニズムを活用した世界的な温室効果ガス排出削減制度(GMBM)を導入することで合意。航空業界の持続可能な未来の実現に向けた包括的なロードマップを公表した。これまでICAOでは、(1)燃料効率を毎年2%改善、(2)2020 年以降総排出量を増加させない、の2つを基本原則とした検討を進めてきており、今回その具体策が固まった。  二酸化炭素排出量の算出においては、これまで国際機関や各国政府の努力により、各業界や製品ごとの二酸化炭素排出量の算出方法が徐々に固まってきているが、これまで二国間に跨がる国際線の分野では算出方法が定まっておらず、各国の二酸化炭素排出量の算出や規制の対象がとなっていた。国際線は航空業界の中でも燃料消費量が多く、気候変動における需要な温室効果ガス削減対象でもあったことから、国際線分野のルールを確立する必要性が長年提唱されており、ついに今回国際線分野でのルールの大枠が固まった。  今回合意されたGMBM制度は「CORSIA」と名付けられて、二段階で導入される。まず2021年から2026年の間、自発的に参加を表明する国の航空会社に対して、二酸化炭素排出量が割り当てられ、割当量より多くの温室効果ガスを排出した場合、排出権を購入する義務が課せられる。そのうち、2021年2023年の間は試験導入機関と位置づけられている。すでにこの制度に自発的参加を表明している国は、日本の他、中国、米国、ヨーロッパ諸国、韓国、カナダなどロシアを除くほとんどの主要国を含む64ヶ国で、これらの国の国際線輸送量は世界全体の84%をカバーする。各航空会社への割当量は、2020年の実績が割当量となる。すなわち、2021年以降、2020年実績を上回る量に関して排出権を購入しなければならなくなる。  2027年から2035年の第2段階では、小規模排出国や後発開発途上国などを除く全ICAO加盟国が、GMBM制度への参加を義務付けられる。2030年からは、割当量の算出において、各社の個別の削減努力が段階的に反映される仕組みに移行する。  国際線の運航量は今後も年々増加していくと思われるが、各航空会社への二酸化炭素排出割当量が2020年実績にキャップをはめられたことで、以後の排出量増加については全て排出権購入という経済的な追加費用を負うことになる。そのため各航空会社には、燃費の良い新型機材の導入、排出量を減らすための最適な運航ルートの構築、バイオ燃料の活用が迫られていく。国土交通省の試算では、日本の航空会社合計での負担額は、制度開始当初で年間十数億円、2035年には年間数百億円程度となるという。今回のICAOの発表では、いわゆるコードシェア便の扱いについては明らかにされていないが、今後コードシェア便についても細かいルールが整備されていくと見られる。  ICAO総会はその他、数多くの決議を行っている。その中には、未来の飛行機と呼ばれる超音速型航空機の騒音・振動規制を2020年から2025年にかけて行っていくこともあり、航空会社の持続可能性向上のために、気候変動、事故防止、期待の安全性、国連持続可能な開発目標(SDGs)への寄与など、幅広い取組をしていくことを表明した。 【参照ページ】Historic agreement reached to mitigate international aviation emissions 【参照ページ】ICAO Assembly achieves historic consensus on sustainable future for global civil aviation 【参照ページ】国際航空分野の温室効果ガス排出削減制度への参加を決定

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