private 【食品・消費財】組織変革に寄与するサステナビリティ 〜ユニリーバに学ぶ長期成長戦略とは〜

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 オランダのマーガリンメーカーのマーガリン・ユニ社とイギリスの石鹸メーカーのリーバ・ブラザーズ社が経営統合し、設立されたユニリーバ社。現在は業界だけでなく世界を代表する企業の一社となるまで成長し、ブランド力はもちろんのこと、サステナビリティの観点でも世界をリードする企業となっています。今回はそんな同社がサステナビリティ活動を核とした経営の実施にいたった背景や、実際の活動内容、そしてその効果に迫ります。 サステナビリティに仇なす存在と考えられていた過去  現在はサステナビリティ先進企業と言われるユニリーバ社ですが、以前は社会起業家に仇なす存在だと考えられていました。事実、2000年にアイスクリームブランドのベン&ジェリーズを買収した際には、社会起業家の築き上げた「社会性」を浸食する存在として非難されたほどです。  ベン&ジェリーズは買収される以前より、業界のパイオニアとしてダブルボトムライン(経済性および社会性)を追求し、社会的価値を追求する姿勢が高く評価されていました。ところがその後ベン&ジェリーズは社会性こそ革新的であるものの、経済性すなわち収益が思うように上がらず、株価もピーク時の半分にまで低下するなど経営が逼迫していきます。経営状態は悪かったもののベン&ジェリーズの潜在的収益性に目を付ける企業は少なくなく、いくつかの企業が買収に乗り出しました。その際に最高値を入札し買収を成功させた企業がユニリーバ社でした。  かくしてベン&ジェリーズは子会社化されたもの、ユニリーバ社の管理下に置かれるのは飽くまで財務・オペレーションであり、本社とは独立した取締役会の下で創業者らの掲げてきたソーシャルミッションに基づき運営されることが約束されました。実際、ユニリーバ社はベン&ジェリーズ基金への寄付、従業員へのボーナス、マイノリティの経営する中小企業や資金不足の企業への支援にそれぞれ500万ドルずつ提供しています。それにも関わらず、創業者にとって「不本意な売却」というイメージが広く流布してしまい、社会起業家を落胆させることとなってしまったのです。 長期業績不振に喘ぐグローバルカンパニー  その後はユニリーバ社自体も業績低迷に喘ぎます。グローバル展開を進めつつも、国ごとに幅広く商品展開した結果、全社レベルでの製品ポートフォリオが複雑になり合理性を欠くようになったため、製造における規模の経済も機能しなくなってしまいました。  そこで2005年に「ワン・ユニリーバ (One Unilever)」という方針を打ちたて、保有ブランドのグローバルでの統一化と製造工程における生産性向上を図ります。結果、純利益を大きく伸ばすことに成功しました。しかしこの方策はコスト体質の改善にこそ寄与したものの、売上そのものを大きく伸ばすには至りませんでした。 (2000〜2008年アニュアルレポートに基づきニューラル作成)  このように長期わたる業績停滞は株主からの強いプレッシャーを招き、同社は当時ITシステムや社員教育といった長期的に競争力をもたらすであろう分野への投資を諦め、短期的な業績向上を追求せざるをえない状況にありました。 サステナビリティを核とした長期成長戦略の標榜  長きにわたる業績停滞に加え、さらにリーマン・ショックで業績は落ち込みます。不景気に喘ぐユニリーバでしたが、Paul Polman氏のCEO就任を機に風向きが変わり始め、現在ではサステナビリティと収益向上を両立し世界からの賞賛を浴びています。それではその長期成長戦略の全容および10年間の財務分析結果からはじき出される同社のサステナビリティ活動の有用性、さらにはこの戦略がいかに日本企業にも適しているかについて見ていきましょう。  まずPaul氏は2009年の就任と共に (more…)

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2015/07/29 事例を見る

private 【食品・消費財】コカ・コーラ社に学ぶ経営戦略とサステナビリティの統合

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 1886年5月アメリカ・ジョージア州アトランタの薬剤師ジョン・S・ペンバートン博士の薬品や飲みものを研究に端を発し、現在ではソフトドリンクメーカーとして世界的に圧倒的な知名度を誇るコカ・コーラ社。2014年末には世界での売上が65億1000万ユーロに達し、13万人近くの従業員を抱える企業へと成長を遂げました。また、同社はそのブランド力だけでなく、サステナビリティの分野においても先進企業として名を轟かせています。今回は同社におけるサステナビリティの戦略的位置付けや、その先進的活動の詳細に迫ります。 経営戦略におけるサステナビリティの位置づけ  コカ・コーラ社はサステナビリティをビジネスの中核に置きつつも、サステナビリティ活動それ自体がサステナブルであるためには、その活動が事業の成長を促すものでなければならないとしています。こうしたサステナビリティ活動に対する姿勢は「2020年までに世界での収益を2倍に成長させる」という同社の長期成長戦略2020 VISIONにも反映されており、同社にとってサステナビリティとは、単に社会貢献というわけではなく、ステークホルダーと自社のサステナブルな関係を構築し継続的成長を達成するための戦略の一つとして位置づけられていることが伺えます。 me, we, worldの活動詳細  では、コカ・コーラ社が掲げた目標の達成のために実際にどのような活動をしているのかをご紹介していきます。下図はサステナビリティ活動me,we,worldの全体像です。 (出所:2013/2014 SUSTAINABILITY REPORTより抜粋) meに関する活動事例  meは (more…)

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2015/07/01 事例を見る

【ランキング】BrandZ「最も価値のあるグローバルブランド トップ100」に学ぶ業界別の代表的サステナビリティ

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 市場において競争に勝ち抜いていくための競争。マーケティングの権威と言われるマイケル・ポーター・ハーバードビジネススクール教授は、競争戦略の基本として、コストリーダーシップと差別化を提唱し、その概念は今や広くビジネス界に浸透しています。差別化とは、提供する財・サービスを他社のそれとにはない「付加価値」をつけるということ。企業が多種多様な「付加価値」を提供することで競争力を獲得しようとしています。この「付加価値」のあり方は様々です。価格や製品・サービス特性という付加価値もあれば、温室効果ガス排出量が少ないなどといった環境配慮型の経営方針も、一つの付加価値と言えます。  サステナビリティと付加価値。植林活動などがサステナビリティの代表事例だと思われていた時代には、両者は無関係だと思われていましたが、今やこの二つは密接に結びついてきています。事実、サステナビリティ戦略の目的を「付加価値の獲得」としている企業は多く、その戦略の策定に「クライアント・消費者」が最も影響を及ぼしていると認識されていることが、EY新日本サステナビリティ社とGreenzbiz社の合同調査によって明らかにされています。  「消費者」からの視点から、世界のブランドをランキングした代表的なものに、Millward Brown社が発表している“BrandZ Top100 Most Valuable Global Brands (最も価値のあるグローバルブランド トップ100)”があります。世界中の企業のブランド力を定量化しランキングにしたものであるため、マーケティング専門家の間では広く認知されています。今回はこのランキングで上位に入った企業がどのようにサステナビリティ戦略と「付加価値」を結びつけようとしているのか、その実態に迫ります。 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成) BrandZ 業界別上位企業とその対応 アパレル 自動車 ラグジュアリー トイレタリー 小売 ビール ファストフード ソフトドリンク 金融(銀行・保険) 石油・ガス テクノロジー 通信 アパレル (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者にとって情報を得るチャネルは、店舗だけでなくオンライン検索にまで拡大しました。消費者は、かつてないほどの膨大な情報を収集し、数ある商品の中から自分が最も価値を感じるものを選ぶようになってきています。上位を獲得した企業は、自らが選ばれるための付加価値のひとつとして、サステナビリティの分野でも凌ぎを削っています。  アパレル業界の主なサステナビリティ戦略は大きく分けて2つです。 サプライチェーンの改善 衣服に使われる資源のサステナビリティ向上  例えば、サプライチェーン改善のために、ナイキはサステナビリティの分野への関心が高く、長期的良好関係を築けるサプライヤーに調達先を限定しています。また、H&MはILO(国際労働機関)の定める国際労働基準および国連児童権利条約に基づいてCode of Conductを作成し、日々サプライヤー工場を訪問し、親密な関係を構築しています。(※1)さらに、これら2社だけでなくユニクロブランドを持つファーストリテイリングも2020年までに自社製品の製造工程すべてにおいて有害化科学物質を全廃することを約束しており、サプライチェーン改善に取り組んでいます。(※2)  資源のサステナビリティ向上の分野では、H&MはBetter Cotton Initiative(コットンのサステナビリティ向上に取り組む国際NPO)の活動に積極的に取り組んでいます。同社は2010年時点でオーガニックコットンを世界で最も多く利用した企業となり、2020年までに持続可能なコットンの調達を100%にするという目標を掲げています。2013年時点での進捗は15.8%で、毎年着実に比率を高めています。  ナイキのCSO(最高サステナビリティ責任者)・H&M担当社へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】ナイキが語る「サステナビリティ」と「イノベーション」 【スウェーデン】H&Mの考えるサステナビリティとファッション 自動車 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  自動車の売上高は、米国や中国では好調なものの、ヨーロッパの経済低迷が尾を引き、不況前の水準には戻っていません。また、各自動車の製品クオリティは全体的に向上している一方、ブランドとしての差別化は徐々に難しくなってきています。  自動車業界の主なサステナビリティ活動は大きく分けて2つです。 製品性能の改善 サプライチェーンの改善  現在、自動車メーカー各社は、エンジンの性能の向上に努めており、稼働効率や温室効果ガス排出量ともに以前と比べ改善されてきています。しかしながら、排ガス規制や燃費向上に関する規制は年々厳しくなっており、製造工程も含めたサプライチェーン全体での取組が求められるなど、社会からの要求レベルは上がっています。実際、気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPが発表している報告書では、(1)自動車の走行中の温室効果ガス排出量、(2)次世代車両技術への取り組み、(3)製造時の温室効果ガス排出量 の3つの基準で各社が評価付けされています。(※3)  また、自動車メーカーにおけるサプライチェーン改善には、製造工程で発生する温室効果ガスの削減だけでなく、サプライチェーン上の人権問題も関わります。例えば、トヨタやフォードはガイドライン(The Automotive Industry Guiding Principles to Enhance Sustainability in the Supply Chain)を策定しています。同ガイドラインはサプライチェーン全体を通じて、社会、環境面の改善に取り組み、持続可能な形で成長を実現していくという高い基準のコミットメントを明確に示しており、特に倫理・環境・人権・労働に焦点が当てられています。(※4)  自動車業界各社が上記のような活動を行う中、特にBMWはBrandZの自動車業界で2位にランクインするだけでなく、ダボス会議で発表されている「世界で最も持続可能性のある企業100」でも総合6位を獲得するなど、サステナビリティの分野においても先進的企業だといえます。活動内容としては前述のものに加えて、ドイツのハンブルグ市の交通インフラに関するサステナビリティ向上プロジェクト(※5)や、アルミニウムのバリューチェーン全体におけるサステナビリティ向上を目的とする国際イニシアチブなどに参画しており(※6)、自社の事業に関わるサステナビリティ分野で広くリーダーシップを発揮していることが伺えます。 ラグジュアリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  ラグジュアリー業界は中国やブラジル、ロシアなどの景気停滞を受けて、ほとんどのブランドがブランド価値を下げる結果となりました。特に中国の影響は大きく、売上の1/3をアジア・パシフィック地域が占めているプラダなどは前年比で大きく収益やブランド価値を下げています。  さらに、ミレニアル世代はラグジュアリーブランドを「高い」と感じており、謙虚でサステナブルな生活を望む彼らのニーズに合致しづらくもなっています。MSL Groupの調査結果によると、ミレニアル世代の多くは、企業に対し消費者が社会的な課題に関われるようにしてくれることを望んでいることがわかっています。  ラグジュアリーブランドが全ての客層をターゲットにしているわけではないとはいえ、ミレニアル世代の経済圏は決して無視できるものではなく、サステナビリティ活動が新たな活路になることも考えられます。  そのようなラグジュアリー業界において、中心となっているサステナビリティ活動はサプライチェーンの改善です。例えば、グッチを抱えるファッション・コングロマリットのケリングは、自社およびグループ全体のサプライチェーンにおける環境への影響を計測し、金銭的な価値に置き換える自然資本会計を導入しています。(※7)それにより事業活動に対する理解を深め、環境負荷を減らすだけでなく原材料の調達リスクを含めたサプライチェーンの変化に対応することを可能にしています。  他にもジュエリーを取り扱うティファニーは、CSO(最高サステナビリティ責任者)を設置するだけでなく(※8)、ダイヤモンド産出国への積極的な投資によりサプライチェーンの健全性を維持する傍らで現地雇用の創出、スキルトレーニングなどを通じて地域経済にも貢献しています。同社はジュエリー業界の中でも珍しくダイヤモンドや貴金属を供給する鉱山の多くと直接取引を行っており、2013年には100%のダイヤモンド原石の調達を自社の目が行き届く採掘場所から行うことを実現しました。(※9)  一方で、ルイヴィトンをはじめ数多くのラグジュアリーブランドを抱えるLVMHグループやエルメスは、大手アパレル企業がサプライチェーン上で講じている有害物質除去・水質汚染対策の取り組み状況を評価した、グリーンピース・イースト・アジア公表のオンラインプラットフォーム「Detox Catwalk」で、コミットメント不足という評価をされてしまっています。(※10) トイレタリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  トイレタリー業界のグローバル大手は、製品性能そのものだけでなく、消費者および従業員の幸福といったサステナビリティ活動に本格的に取り組み始めています。  この理由は消費者の目が成熟してきていること、ミレニアル世代の存在、ソーシャルメディアの影響力の高まり等様々ですが、より崇高なビジョンを掲げることが製品の差別化に繋がっていると言えるでしょう。  そのためブランド各社、これまで理想像とされてきた美ではなく、健康やナチュラルさ、内なる美などを強調するようにもなってきています。消費者の選択性が強くなっていることや中国・ブラジルの成長鈍化などを受け、業界全体のブランド価値は昨年比2%しか伸びていませんが、消費者の目が成熟していることはサステナビリティ展開の追い風となると言えるでしょう。  トイレタリー業界は市場ニーズも相まってサステナビリティ活動が多岐にわたっています。 サプライチェーン改善 ダイバーシティの尊重 再生可能な原料の利用 再生可能エネルギーの利用 温室効果ガス削減 サーキュラーエコノミーの推進(廃棄物ゼロ&リサイクル) コミュニティ支援  例えば、ロレアルはSharing beauty with allというプロジェクトを実施し、全サプライヤーを社会・環境面での実績で評価することを宣言。結果として2014年末には2004年比で57%ものCO2削減に成功しています。また同プロジェクトでは再生可能エネルギーにも取り組んでおり、2020年の目標達成に向けて邁進しています。(※11)また、障がい者採用も積極的に行っており、社会に対して新たな機会を創出しています。(※12)CSR担当者向けITツールも積極導入しサステナビリティレポート作成に取り組んでいます。(※13)  「ダブ」ブランドの商品を持つユニリーバは、サステナビリティ戦略を積極展開していることで世界的に有名です。2010年にUnilever Sustainable Living Planというプロジェクトを開始、2020年までにビジネス規模を2倍にしながら環境負荷を減らし、社会にポジティブインパクトをもたらすことを目指しています。その達成に向けて同社は、サプライヤーやコミュニティの支援、貧困の撲滅に取り組むべくNGOと協力し気候変動への対応を呼びかけるキャンペーンや、リサイクル促進のために消費者家族に向けたキャンペーンを展開しています。  2015年現在、ユニリーバが調達する農作物原材料の55%以上は持続可能な形で調達されており、2020年までに100%持続可能な調達を実現するという目標を半分以上到達しています。さらに、同社は工場ネットワーク全体で非有害廃棄物の埋め立てをゼロにするという目標を達成したほか、2008年と比較して製造時にエネルギーから生まれるCO2排出量と水消費量をそれぞれ1トンあたり37%、32%削減することにも成功しています。(※14)  こうした試みもあって、サステナビリティ分野のアドボカシーNPOのセリーズが5月に発表した大手食品会社らの水リスク対応力を評価したランキングでユニリーバは1位を獲得したほか(※15)、国際NGOのオックスファムが3月に公表した大手食品・飲料企業10社の食糧課題・サステナビリティへの取り組み状況を評価したランキングにおいても1位、サステナビリティ分野のコンサルティング企業のSustainly社に公表した「ソーシャルメディア・サステナビリティ・インデックス」でも1位を獲得しています。(※16)  ユニリーバが全業界的に先進的であるために、同業者でサステナビリティ活動に遅れをとっている企業は何から始めればいいかを戸惑うかもしれません。そういった場合、まずはサプライチェーンの改善から取り組むべきだと言えます。サプライチェーンの見直しは、リスク管理になるだけでなく業務効率の向上も期待できるため、部門を超えて理解が得やすく、また数値的な効果も比較的見えやすいからです。  ユニリーバCEO、副社長そして、「ニベア」ブランドを持つバイヤスドルフ社のCorporate Communications & Sustainabilityを統括する副社長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【イギリス】ユニリーバのCEOが語るサステナビリティへのコミットメント 【イギリス】サステナビリティ目標の達成に向けてユニリーバが導入した新たな仕組みとは? 【ドイツ】世界を代表するスキンケアブランド「NIVEA(ニベア)」を支えるサステナビリティ戦略 小売 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  Alibabaの登場により、業界全体のブランド価値が急成長しているのが小売業界です。興味深いことに業界トップを走る二社はどちらもeコマースであり、実店舗を持っている企業ではありません。以前は価格、選択の幅、利便性のそれぞれがトレードオフであったものの、現在はこれらのeコマースを通し全ての便益を享受できるようになりました。来る高齢社会に向けてeコマースの存在は必要不可欠なものとなっていくでしょう。  小売業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 再生可能エネルギーの利用 再生可能な材料の利用 サプライチェーン改善  たとえば、アマゾンは国際NGOのGreenpeaceによる抗議活動を受けて、昨年11月にクラウドサービス部門、AWS(Amazon Web Service:アマゾン・ウェブ・サービス)に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達するという誓約を発表し、大きな一歩を踏み出しました。(※17)しかし、その透明性については疑問視されており、風力発電によって生み出された100メガワットの電力を購入する計画を発表したものの、AWSがいまだ再生可能エネルギー比率が2%しかなく、これからの取組みに期待が寄せられます。(※18)  他にも、サステナビリティ先進企業として知られるIKEAは、自社および自社製品のサステナビリティ向上を通じて消費者の毎日の生活をより持続可能なものにするというビジョンの下、再生可能エネルギー投資を加速しており、その具現化が進んでいます。(※19) また同社は、LED技術を活用した省エネの追求やリサイクル可能な材料を利用することで、自社製品のサステナビリティを担保しつつ、手頃な価格を維持しています。(※20)  同じく実店舗を保有するウォルマートも、サプライヤーと協働によりサステナブル素材でできた商品の開発をしています。(※21)それだけにとどまらず、3月にサステナブルな商品だけを集めたオンラインショップを開設し、より一層の意気込みを見せています。(※22) ウォルマート会長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】「消費者はサステナビリティのためにより多くを支払うか?」に対するウォルマート会長の答え ビール (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国と南米の消費量の増大により、消費者からのブランド価値が向上しています。ミレニアル世代はビールの味において、間違いのないものよりも新感覚を欲しており、ビールメーカー各社はブランド内の商品ラインナップの拡充や、他社買収・ブランド開発による新ブランドの確立などの対応を迫られています。  それぞれのビールブランドには固有のアイデンティティーがありますが、時折クラフトビールの方がメジャーブランド以上に巧みなストーリーテリングでアイデンティティーの確立に成功しています。  そういったストーリーテリングとしての役割をも果たすのがサステナビリティ活動です。ビール業界が主に展開しているのは次の2つです。 サプライチェーンの改善 水の利用効率の改善  例えばハイネケンはストーリーテリングを通して同社のサステナビリティに対する取り組みをより多くの消費者に知ってもらおうと、ソーシャルメディアなどを活用したユニークなデジタルキャンペーンを展開しています。同社は2020年までに主要な原材料の50%を持続可能な調達にすることを宣言しているほか、新興国の水のサステナビリティに向けてUNIDO(国連工業開発機関)と協働で解決に取り組んでいます。(※23) 実際にハイネケンが行っているストーリーテリングの詳細は以下をご覧ください 【オランダ】ハイネケンが仕掛けるユニークなデジタル・サステナビリティ・ストーリーテリング ファストフード (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  マクドナルドの事件を受け、食の安全への関心が一層の高まりを見せています。ヘルシーかどうか、サプライチェーンは倫理的か、環境への責任を考えているか、そういった関心ある消費者にとってファストフードは不充分だと感じられてきています。  消費者の期待に応えるため、ファストフード企業各社も材料の調達からメニュー、店舗での経験価値を検討し直しています。ファストフード業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 サプライチェーンの改善 コミュニティ支援 ダイバーシティ  例えば、食の安全性に関する事件に揺れたマクドナルドは、今年3月に抗生物質を使用していない鶏肉のみの調達、rbSTと呼ばれる人工成長ホルモンが投与されていない牛の低脂肪ホワイトミルクと無脂肪チョコレートミルクを提供など、原材調達に関する新たな方針を発表しています。(※24)  他にもスターバックスは、CSRを単独の行動ではなく企業のDNAそのものとしており、水不足に対処するため水の供給源をカリフォルニア州からペンシルヴァニア州に変更するなど節水に取り組んでいます。(※25)また恵まれない若者を対象に就業プログラムを提供するなど地域コミュニティにも貢献しています。  ダイバーシティに関しても退役軍人を採用するだけでなく、アメリカ国内で白人警官による黒人射殺事件が発生した際には、顧客に手渡すカップに “Race Together”というメッセージを書き、消費者間における人種問題についての会話を促すキャンペーンも実施しています。(※26)  さらに、対内的には従業員の学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担するなど従業員にも細やかな対応が見られます。(※27) ソフトドリンク (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者が人工甘味料を避けるようになり、ダイエットコークやエナジードリンクの消費量はあまり増えていません。長きにわたりコーラが人気であった中国やインド、メキシコ市場にも健康や肥満への問題認識が高まってきています。市場ニーズに応え、メジャーブランドは商品ラインナップの拡充や製品工場の見直し、生産工程におけるカーボンニュートラルなどに取り組み始めています。  ソフトドリンク業界が主に行っているサステナビリティ活動は次の2つです。 水の利用効率の改善 コミュニティ支援  たとえば最大手のコカ・コーラは2020年までの水資源保護目標を掲げ、進捗状況を公開しています。(※28)同社は世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを締結し、この水資源保護にグローバルに取り組んでいます。(※29)  また同社の持つロジスティクスを活かし、「100万人の就学児童に安全な飲料水を届ける」というプロジェクトも展開。(※30)それだけでなく医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」をも展開し地域コミュニティの支援にも貢献しています。  さらに技術革新により世界初の100%植物性由来のペットボトルを開発することにも成功し、環境・社会面への正の影響の向上、食品の安全性に対する悪影響の回避というコカ・コーラの基本原則の下、強固なブランドを築き上げています。(※31)  コカ・コーラの地域コミュニティ支援の詳細は以下をご覧ください 【アフリカ】コカ・コーラ、アフリカで医薬品を供給する「ラストマイル・プロジェクト」を10ヶ国へ拡大 【アラブ首長国連邦】1ヶ月で200万人が視聴。コカコーラが始めた新キャンペーン”Hello Happiness” 金融(銀行・保険) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  グローバルに展開する銀行は、世界を不況に陥れたことが明らかになり、依然として社会から厳しい目で見られています。他方、ローカルに展開する銀行は、世界的な金融危機の際に、悪事に加担していないとみられたことからグローバルバンクと比べて社会的信用力が高いとされており、現在業界全体での成長性はローカル銀行の方が高くなっています。  また、保険業界は、提供するサービスのコモディティ化を避ける取り組みを展開しています。また、中国では生命保険は急成長している業態で、中国の保険会社らが牽引し業界全体での成長率は高くなっています。  金融業界が長期的な視点に基づく投資として主に取り組んでいるサステナビリティ活動は以下の3つです。 ESG投資 グリーンボンド リスク管理  ESG投資としてはUNPRI(国連投資原則)に署名し、今まで特殊な資産運形態とみなされていたESGを、通常のアセット運用でもリスク管理のひとつに加えていく動きが加速しています。また、気候変動の原因となる温室効果ガスの主たる排出元セクターに対する投資を長期的な観点からリスクと認識し、再生可能エネルギーファンドへの出資も大きなトレンドです。  グリーンボンドの発行分野では、例えば、モルガン・スタンレーは昨年10億円規模のグリーンボンド案件に関わるなどで貢献しています。(※32)  またリスク管理としては、ERP(統合リスク管理)やバーゼルⅢで検討されている銀行の資産健全性の強化などが挙げられます。  ESG投資に関する詳細は以下をご覧ください。 【金融】世界と日本のSRI・ESG投資最前線 石油・ガス (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  アメリカのシェールガス革命や中国の景気の減速を受けて原油価格が低下したため、上流ビジネスである石油の採掘は控えられるようになっています。このような事態を受けて業界各社は、比較的利益率の低い下流ビジネスの製油所やガソリンスタンドの見直しに注力する結果となりました。  資源が直接収益に繋がる石油・ガス業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動は温室効果ガス排出量の削減です。  たとえば英国エネルギー大手のBPは4月の年次総会で低炭素経済の実現に向けた事業の変革を促すための株主提案であるResolution 25を可決しました。この決議案の中には、温室効果ガス排出削減マネジメントによりCDPのパフォーマンスバンドでA評価を獲得することや、ポスト2035シナリオに向けたアセットポートフォリオのレジリエンス強化、低炭素エネルギーのR&Dや投資戦略策定などが含まれています。(※33) テクノロジー(消費者・法人向け) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  テクノロジー業界は、競争と移り変わりが激しく、それぞれのブランドにとって消費者を安心させロイヤリティを高めることがより重要となってきます。BrandZ総合ランキングのトップ4は全てテクノロジー企業が占めており、その影響力の高さが伺えます。  テクノロジー業界はそれぞれの企業の提供しているサービスが多岐にわたりそれぞれの企業が強みを活かしたサステナビリティ活動を展開していますが、主なものは次の3つです。 サプライチェーン改善 再生可能エネルギー ビッグデータを活用したサステナビリティ活動のサポート  例えば、アップルはサプライヤー19カ国633施設での監査及び3万人の従業員に電話インタビューを実施し、サプライヤー規範に則したサプライヤーのみと契約を継続しています。実際2014年時点で規範に違反する18社との契約を解除しています。(※34)それだけでなく、同社は初めて有害物質のポリ塩化ビニル(PVC)と臭素化難燃剤(BFRs)を外部ケーブルも含む全製品から取り除いた企業でもあります。(※35)  また、同社は国際NGOのGreenpeaceの抗議活動を受けて再生可能エネルギーへの投資も行っており、太陽光発電所や再生可能エネルギー100%のデータセンターの建設などが進められています。(※36)アップルに並び業界を代表するグーグルも風力発電ファンドを組成し、再生可能エネルギーへの投資を進めており、グリーンインターネット化が推進されています。(※37)  SAPはToyota Info Technology Center USA、VeriFoneと共同でドライバーのガソリンスタンド探しをシンプルにするプロジェクトを推進し、無駄なエネルギー消費の削減に取り組んでいます。これら3社はそれぞれの技術を活かし、車両の位置やルート、燃料レベルなどの情報収集、POSソリューション、テレマティックスデータを統合しソリューションを提供しています。(※38)  IBMは食品大手のMarsと提携しグローバルサプライチェーンにおける食の安全の確保に取り組んでいます。(※39)同じく食に関わるものとしては農業のサステナビリティ向上のためにビッグデータ解析ソリューションを提供もしています。(※40)さらには、市民一人一人から寄付されたコンピュータの空き容量を集め、仮想スーパーコンピュータを創りだし、科学者に気候変動関連オープンデータ分析のために無料で提供するといったプロジェクトのコーディネートも行っており、自社の強みをサステナビリティに活かす好事例といえるでしょう。(※41)  これらテクノロジー企業を代表するアップルの環境イニシアチブ担当副社長、SAPのサステナビリティ責任者へのインタビューおよびオラクルのサステナビリティ戦略に興味のある方は以下をご覧ください。 【アメリカ】アップルはどのようにサステナビリティ先進企業になったのか? 【アメリカ】SAPのサステナビリティ責任者が語る、統合報告とサステナビリティ戦略 【アメリカ】オラクルのサステナビリティ戦略 通信 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国やインドでのスマートフォン利用者の拡大を受けて、通信業界では巨大市場を押さえるためのM&A等が進んでいます。またIoTへのインフラ投資といった将来への投資機会にも恵まれています。一方でインターネット・プロバイダーがネット回線での通話を可能にするなど新たな競合の参入という事態にも直面しています。  そのような通信業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動はエネルギー利用効率の改善です。  たとえばAT&Tはエネルギー効率化や省エネを目指しIoTを推進しています。しかし一方でIoTの進展は、電子廃棄物の増加という新たな問題を生むことを危惧されてもいるのも事実です。(※42)また同社は、ダイバーシティの促進に積極的なことでも知られ、ダイバーシティがビジネスにもたらす利益について周知することを目的とする組織DiversityIncからも、ダイバーシティへの取り組みに積極的な上位50社に選ばれ、見事トップ10入りを果たしています。(※43)  他にもVerizonはアメリカ国内において教育水準の低い24の地域の教師に対し、モバイル通信記述を活用した教育メソッドを提供し、地域コミュニティに貢献しています。(※44) 総論  今回のBrandZのランキングは中国の景気減速を示しつつも、中国企業の台頭を明確に示すものとなりました。市場のグローバル化に伴い、新興国企業がグローバル市場での新たなプレーヤーとして登場するなど、今後製品性能や価格戦略による差別化はますます厳しさを増していきます。  その中、BrandZに選定されている企業の投資パフォーマンスは2006年からの10年間で102.6%上昇しています。これはS&P 500の63%、MSCIの30.3%よりはるかに高く、消費者視点でのブランドがいかに企業にとって重要なものかを物語っています。  そのBrandZにランクインする各業界トップ企業のサステナビリティ戦略を参考にすることで、より現実的な路線でそれぞれの企業が自社の事業領域の中でどのように責任を負い、またその責任を全うするためにどのような行動をしていくべきかが見えてくるでしょう。

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2015/06/18 体系的に学ぶ

【アメリカ】コカ・コーラと世界自然保護基金が年次報告書を公表

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コカ・コーラと世界自然保護基金(World Wildlife Fund、以下WWF)は7月10日、両者がパートナーシップを締結してグローバルに取り組んでいる水資源保護、環境保全、自然保護などのサステナビリティ活動に関する年次報告書"Partnering to Protect Our Freshwater Resources: Annual Review 2013"を公表した。 コカ・コーラでグローバル・ウォーター・スチュワードシップ責任者を務めるGreg Koch氏は、「我々のパートナーシップ年次報告は、活動の進捗報告だけを目的としているわけではなく、我々が共同で行っている活動を発展・改善させるための記録でもある。活動報告書を作成することで活動の進捗状況を認識することができ、このパートナーシップの力が地球に利益をもたらしているという確信を強めている」と語る。 コカ・コーラとWWFが初めて水資源保護を目的に世界的パートナーシップを結んだのは2007年のことだ。2013年に両者は2020年まで契約を更新し、コカ・コーラのバリューチェーン全体により深く関わるために取り組みを拡大することを決めた。その中には、活動規模やインパクト拡大に向けた新たなパートナーの巻き込み、淡水資源をはじめとする天然資源の保全と保護に関する取り組みに対する産業界、政府、消費者からコミットメントを引き出すことなどが含まれる。 WWFのプライベートセクター・エンゲージメント副社長を務めるSuzanne Apple氏は、「農業の問題や天然資源不足、気候変動や淡水資源保護といった課題は単独では解決できないため、我々は政府、多国籍企業、学術研究機関、産業、市民社会といった、国境やセクターを越えた協力体制を構築している。今年の年次報告では、このようなグローバルなコラボレーションの実例に焦点を当てている」と述べた。 2020年までの目標に対する2013年時点での主な進捗状況は以下の通り。 世界11の主要地域における淡水河口湖の環境保全 アジア、アフリカ、南北アメリカなど世界11地域におけるプロジェクト。成功例としては、Mesoamerican Reef地域の農家と共同開発したより持続可能な農法が挙げられる。同地域ではこの活動により生産性の向上に加えて農薬の毒性が低減され、水と肥料の使用量も削減された。また、リオグランデ川およびリオブラボー川の国境を跨いだコラボレーションでは、川幅を狭くし洪水被害の拡大を及ぼすギョリュウやダンチクといった侵入生物種の減少に取り組んでいる。 コカ・コーラのバリューチェーン全体における環境パフォーマンスの向上 WWFとコカ・コーラは、農業、気候、パッケージング、水資源利用に関するパフォーマンス向上を目指している。コカ・コーラは2013年、11年連続で水資源利用の効率を向上させ、2010年のベースラインから約8%の改善に成功した。2010年比で25%の改善という目標に向け、順調に取り組みが進められている。 公的部門および民間部門における意思決定プロセスに自然保護の観点を組み入れる 持続可能な生産基準を世界規模で取り入れることで、環境に対してどのようなメリットが生まれるのかについて調査を行うプロジェクトを開始。公的部門および民間部門に対し、調達における意思決定の改善につながる方針の設定方法や、持続可能な商品の生産が社会にもたらす利益を消費者に伝える方法などの支援を目的としている。 世界規模の環境問題解決に向け、影響力の大きいパートナーの招集 2013年、WWFとコカ・コーラは同じ目標を持ったいくつかの団体や組織との連携を開始。また同年にストックホルムで開催されたWorld Water Weekに参加し、影響力の大きいステークホルダーを招集したうえで、パートナーシップについて学ぶ機会と、共通の目標に向けたエンゲージメントの機会を提供した。 Koch氏は、「食料と水への世界的需要が拡大するなか、ビジネス、地域社会、自然の相互利益を追求できるソリューションを求めなければならない。セクターを跨いだ共同活動が行われて初めて、持続可能なソリューションは実現される」と語った。 コカ・コーラとWWFのパートナーシップはグローバル企業とNGOの協働によるサステナビリティへの取り組みの好事例だ。同報告書では世界11地域における様々な自然資源保護に関する取り組みが写真とともに分かりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ見てみてほしい。 【年次報告書ダウンロード】Partnering to Protect Our Freshwater Resources: Annual Review 2013 【企業サイト】The Coca-Cola Company 【団体サイト】World Wildlife Fund

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【ベトナム】コーヒー農家の支援を通じてベトナムの水問題解決を目指すネスレ

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今回ご紹介するのは、ネスレが SDC(Swiss Agency of Development and Cooperation)らと共同で実施した、ベトナムにおけるコーヒー豆生産に関する研究とその成果に関する動画だ。ネスレは現在ベトナムで農家支援プログラムを展開しており、技術支援や生産性向上トレーニングなどを通じて現在12,000以上のコーヒー農家を支援している。 ベトナムは世界最大のロブスタコーヒー豆の輸出国であり、輸出総額は年間10億USドルを超え、ネスレにとっての最大の調達国でもある。ロブスタ種は日本でも最も流通しているコーヒー豆の品種だ。ベトナムのコーヒー産業は雇用の増加に貢献しており、国内最大の産地となっているベトナム中央の高地に位置するDak Lak 地方もその恩恵を受けている。 しかし、それと同時にいくつかの課題にも直面している。その中でも最も懸念されているのが、過度な灌漑による水資源の酷使だ。ベトナムの高地では水資源の96.3%が農業用水として使用されており、その中でも30%以上をコーヒー農家が占めている。そのため、水不足はコーヒー豆を栽培している地域で特に深刻な問題になっているのだ。 Dak Lakでは地下水の水位の低下に加え、乾季には地下水がひどく枯渇し給水制限が実施されるなど、家庭にも悪影響を及ぼしている。 また、 ベトナムでは過去50年間で平均気温が0.7度も上昇している。Dak Lakに40年以上住んでいるある農家は、「昔は温暖な天候に恵まれて、豊作だったが、近年は不安定な風雨や長い干ばつが農家に大きな損失を与えている」と語る。 さらに、Dak Lakの全ての地下水資源のうち71%は既に開発されていると予想されており、現在急激に経済成長しているベトナムだが、水資源の酷使と気候変動による農業への損害のため、将来が不安視されている。 ベトナムのロブスタコーヒーは他のコーヒー生産国とは違い、1月から4月までの間に3回灌漑が行われる。従来、コーヒー農家は「水を多く撒けば収穫量も増える」という考え方から、各植木につき1回に1,000リットルもの水を撒いていた。 しかし、今回ネスレと共同でプロジェクトを実施したWASI(Western Highlands of Agriculture and Forestry Science Institute)、IWMI(International Water Management Institute:国際水管理研究所)、持続可能なコーヒー専門のコンサルティング会社EDE(Epping Consulting)らの研究により、各植木につき1回に400リットルの水さえあれば、少なくとも同程度の生産量が見込めることが判明した。 もし、全てのコーヒー農家が従来の1,000リットルではなく400リットルの水を撒くことにすれば、50%もの真水を節約できると予想されている。これにより水不足が解消されるだけではなく、飲用水の確保、そして環境保護にも貢献する。また、エネルギーコストと人件費も削減することができる。 ベトナムでは現在、コーヒー栽培の発展のため、この新しい灌漑法を基にした持続的なコーヒー栽培法を導入しており、官民共同でコーヒー農家の灌漑慣行改善に取り組んでいる。現在のところ、初期の成果はとても良好とのことだ。 ネスレにとって、コーヒー豆の持続可能な調達は自社の事業を大きく左右する重要な問題だ。 そして、コーヒー豆の持続可能な調達を実現するためには、サプライヤーの持続可能な農業慣行と水利用が鍵を握る。 実際にネスレが掲げるCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)においても「水資源」「農業・地域開発」は「栄養」と並んで三大注力分野に指定されている。 水資源については、農家などのサプライヤーと協力して「ネスレ持続可能な農業イニシアチブ(SAIN)」を展開しており、2012年にはベトナム以外にもオーストラリアや中国、インドなどで水の利用効率を上げるためのプロジェクトを実行している。 また、現在ネスレの製品に使用されている原料の生産を直接契約している農家は約69万軒あり、工場の73%は農村部に立地しているため、同社は農業・地域開発についても積極的に取り組んでおり、地域開発のマネジメントから財政面の支援、人権の尊重、責任調達にいたるまで取り組みは幅広い。 今回ご紹介したベトナムのコーヒー農家における灌漑慣行の改善プロジェクトもその中の好事例の一つだが、自社のバリューチェーンを通じて社会課題の解決に取り組んでいる同社の姿勢から学べる点はとても多い。 【企業サイト】ネスレ

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2014/07/25 最新ニュース

【ポルトガル】ハイネケングループの醸造所、GEの技術で年間7200万リットルを節水

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世界最大のビール醸造会社、HEINEKEN Group(ハイネケン・グループ)であり、ポルトガルのリスボン近郊でビール醸造を行うソシエダ・セントラル・デ・セルヴェジャス(以下、SCC)が、ゼネラル・エレクトリック(以下、GE)の節水技術により大幅に水の使用量を削減することに成功した。 同社は排水を冷却塔で使用する水として再利用することで、年間7,200万リットルの節水が可能になり、醸造工程における生産能力が40%増加した。 この大幅な節水と水の再利用に対する新たなアイディアが認められ、GEからSCCにエコマジネーション賞が贈られた。GEのエコマジネーション賞はGEのエコマジネーション・コミットメントの一部で、環境面、産業面、サステナビリティのバランスを保つ優れた取り組みを行った企業などに贈られる賞だ。GEのエコマジネーション・コミットメントは特に水不足のような厳しい環境課題に対応する技術とソリューションの開発に重点を置いている。 SCCのCEOを務めるRonald den Elzen氏は、「SCCはビール会社として社会に良い影響を与えるべく、継続的に環境へのインパクトを減らす努力をしている。ビールの醸造には水が欠かせないため、その水という貴重な資源の利用を減らし、サステナビリティを高めることにコミットしている」と述べた。 同社はいくつかの地下水を確保していたが、醸造所のニーズを満たすには十分ではなかった。他の選択肢として非常に高価な上水道を使用することもできたが、ポルトガルは今後数十年にわたって水不足に陥る可能性が高いとされており、その解決策として同社が考えたのは先進的な水技術を持つGEからの協力を得ることだった。 GEの低ファウリング逆浸透膜と高度な化学技術のおかげで、SCCは醸造工程における水使用効率を向上させ、コスト削減を果たした。GEとSCCの環境に対する共同の取り組みは今回が初めてではないが、年間7,200万リットルの節水という実績は革新的だ。 今回のSCCとGE社の取り組みのように、今後は豊かさを追求するための技術だけではなく、サステナビリティを実現するための技術がより重要性を増してくる。水不足や環境問題といった社会課題を解決する最新技術の開発が大きなビジネスチャンスをもたらす時代が到来している。 【企業サイト】Sociedade Central de Cervejas 【企業サイト】General Electric Company

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【インド】GEWPが小規模農家30万軒に点滴灌漑システムを提供

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インドの灌漑システム販売会社GlobalEasy Water Products(GEWP)は、Business Call to Action(BCtA)プログラムに参加し、小規模農家30万軒に対して水消費量の少ない点滴灌漑システムを提供すると発表した。BCtAは、2008年に発足した持続可能な開発を支援するグローバルな会員ネットワーク組織で、国連開発計画(UNDP)を始め、ヨーロッパ各国の政府開発援助機関が共同運営している。今回取り上げられた点滴灌漑システムとは、農作物生産に必要な水を点滴型で地面に供給することで水消費量を極限まで下げることができ、最近世界中で注目されている新しい技術。設備も小型化が可能で、場所の制約も少なく、必要最低限のメンテナンスで導入可能だ。インドの小規模農家は収穫量が少ないことが課題だ。特に経済力の高くないインドの農村部では、低コストで実現できる灌漑手法が求められている。GEWPは今回の取組を通じて、収穫高を50%向上でき、農家世帯の収入も年間400米ドル増加するとしている。ちなみに、GEWPはメーカーではないため、提供するものは専売代理店契約を結んでいるKrishak Bandhu(KB)社の点滴灌漑システム。KBもインドの企業。KBの点滴灌漑システムがどんなものが興味がある方向けに、同社のインド風プロモーションビデオを紹介しておく。【企業サイト】GEWP

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2014/03/19 最新ニュース

【デンマーク】複数ガイドライン準拠を成し遂げたNovo Nordiskの統合報告書

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デンマークに本社のある製薬世界大手のNovo Nordiskは、2013年度年次報告書を発表した。同社は2004年より財務、社会、環境をすべてカバーする統合報告書を作成。今回の統合報告書では、自社の活動だけでなく、業界全体をとりまくイシューやステークホルダーの関心事にもページを割き、世界で高まっている糖尿病への関心、医療機関に対する信頼性の問題、肥満を病気としてみるか否かの社会的問題などに対する同社の考えや取組も紹介している。 統合報告書の様式についてはまだデファクトスタンダードがないのが現状。その中、Novo Nordiskは複数のガイドラインをカバー。IFRS, International Integrated Reporting Councilのフレームワーク, AA1000, UNグローバル・コンパクトリード, 米SOX法, ISAE3000, デンマーク政府推奨のコーポレートガバナンスガイドラインに準拠する形式をとった。 統合報告書の中に記載されている社会面、環境面での成果は、 【社会面】 糖尿病ケア製品が必要な患者2430万人に商品提供。(2012年は2280万人) 2013年度中に3700人の雇用を創出。 年に1度の全社調査で、同社の企業方針の支持が上昇。 【環境面】(下記は前年度との比較) 二酸化炭素の排出量が2%増加。 水消費量が2%増加。 エネルギー消費量が6%増加。 同報告書は同社ホームページにてPDFファイルで公開されている。 【レポート】Novo Nordisk Annual Report 2013 【企業サイト】Novo Nordisk

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2014/03/13 最新ニュース

【アメリカ】拡大するEli Lillyのレポーティング・バウンダリー

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グローバル製薬会社のEli Lilly and Company(本社:アメリカ)は、サスティナビリティレポートを発表した。 本レポートには、同社が2012〜2013年にかけて実行してきたサスティナビリティについて記されている。主な成果として挙げられているのは、まず、2012年から2016年からにかけて、発展途上国での非伝染病対策に3千万ドルの寄付を公約。Eli Lilly and Companyが得意とする結核薬ノウハウを応用し、多剤耐性結核を減らすための医療機関トレーニングに対し3千万ドルの資金提供を公約。勤務時間に医療システムが未整備な国々で従業員がボランティア活動をすることを許可するプログラムを実施し600人が参加。環境に配慮した点としては2007年度に比べ水の使用量を37%減らし、温室ガスの排出量を17%減らした。 Eli Lillyのレポーティングの素晴らしさは他にもある。レポーティングのバウンダリー(Boundary)だ。GRIのガイドラインでは、開示内容の対象が、自社だけなのか、連結子会社まで含むのか、サプライヤーまで含むのかなどを明確にすることを推奨している。Eli Lillyの今回のレポートでは、ひとつひとつの開示データのバウンダリーを明らかにするところまではできていないが、概ね開示データは同社が事業活動をしている125カ国を含めるところまできている。 さらに、サプライヤーのセクションでは、いわゆる「原材料提供者」としてのサプライヤーだけでなく、オフィス、消耗品、サービスなどを提供している企業をすべてサプライヤーとして位置づけ、彼らに関与していく姿勢を見せている。バウンダリーの流れは、本国のみから各国、単体のみから連結グループ、自社のみからサプライヤーへと拡大してきている。このバウンダリーの拡大は、欧米企業が積極的に取り組んでいる。 【企業サイト】Eli Lilly and Company 【サスティナビリティレポート(PDF)】2012-13 Corporate Responsibility Report

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2014/02/10 最新ニュース

【スウェーデン】IKEAが提案するサステナブルなキッチン

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サステナビリティ戦略の先進企業として知られるスウェーデンの家具メーカーIKEAは、"Creating a Sustainable Kitchen with IKEA"と題して手頃な価格で実現できるサステナブルなキッチンの形を提案している。IKEAが提案するサステナブルなキッチンのポイントは、以下の3つ。REUSE AND RECYCLE(再利用とリサイクル)LESS WATER(節水)LESS ENERGY(省エネルギー)"REUSE AND RECYCLE"では、リサイクル可能な木製台や容器、100%リサイクルペットでできたごみ箱などの製品が提案されている。"LESS WATER"では、水の利用を40%節約できる蛇口やミキサー、手洗いと比べて85%の水と50%のエネルギーが節約できる食器洗い機など、環境にも優しく時間も節約できる優れた製品が並ぶ。そして"LESS ENERGY"では、一般的な電球よりも80%も効率的で25倍も長持ちするLEDライトや日中に太陽光エネルギーをチャージできるソーラーランプなど、電気代の削減にもつながるアイデアが満載だ。こうしたIKEAならではのサステナブルなキッチンへの提案は非常に素晴らしいが、何より特筆すべきなのは、IKEAは一貫して"Affordable(手頃な価格で手に入る)"な製品にこだわっている点だ。どれだけ優れたデザインや持続可能なソリューションを提供していても、価格が高ければ多くの消費者には受け入れられない。IKEAは、手頃な価格とサステナビリティを両立させることで、自社のブランドを高めている。【企業サイト】IKEA AUSTRALIA 【CSRページ】PEOPLE&PLANET

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2014/01/24 最新ニュース
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