【国際】2017年の再エネ関連投資額は約37兆円。中国が40%を占める。BNEFレポート

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 英エネルギーデータ大手ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は1月16日、2017年の再生可能エネルギー関連分野の投資トレンドをまとめたレポート「Clean Energy Investment Trends 2017」を発行した。世界の再生可能エネルギー関連投資は2017年、3,335億米ドル(約37兆円)。2016年の3,246億米ドルから3%上昇した。しかし、過去最高だった2015年の3,603億米ドルには達しなかった。 (出所)BNEF  増加の背景には、中国で再生可能エネルギー関連投資が1,072億米ドルから1,326億米ドルに24%増加したことが大きい。中国の投資額は世界全体の40%を占める。投資の内訳は、太陽光発電分野が60%を超え、風力発電分野が約30%。太陽光発電だけで53GWの設備容量が増加した。中国は昨年当初の予測を20GWも上回る設備容量の増加を見せた。政府の再生可能エネルギー導入補助金は、規定の予算内に限られているが、再生可能エネルギー発電事業者は、将来補助金を受け取れると見ている。また太陽光発電コストが大きく下がったことも大きく影響している。  投資額3位は日本の234億米ドル。太陽光発電が50%弱を占める。しかし、日本の投資額は、2014年に443億米ドルと過去最高記録した後、毎年減少しており、昨年も2016年の279億米ドルから16%減少した。再生可能エネルギー発電比率が35%にまで達しているドイツも、2016年から26%減少し146億米ドル。同じく約30%に達している英国も、2016年から56%減少し103億米ドルだった。投資額5位のインドは、2016年から20%減少し、110億米ドルだった。  一方、後続国は投資額が大きく増加してきている。ブラジル62億米ドル(10%増)、フランス50億米ドル(15%増)、スウェーデン40億米ドル(109%増)、オランダ35億米ドル(30%増)、カナダ33億米ドル(45%増)、韓国29億米ドル(14%増)、エジプト26億米ドル(495%増)、イタリア25億米ドル(15%増)。  世界全体の投資内訳は、太陽光関連1,610億米ドル、風力関連1,070億米ドル、スマートエネルギー技術490億米ドル、バイオエネルギー70億米ドル。  投資アセットクラス別では、1MW以上の大規模発電所のアセットファイナンスが約3分の2の2,161億米ドル。!MW未満の小規模発電が494億米ドル。企業R&D投資が221億米ドル、、政府R&D投資が145億米ドル。再生可能エネルギー関連上場企業の株式発行が87億米ドル。ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティが41億米ドル。 【参照ページ】Runaway 53GW Solar Boom in China Pushed Global Clean Energy Investment Ahead in 2017

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【国際】新興国の気候変動対応投資需要、2030年までに23兆米ドル。IFCレポート

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 世界銀行グループの国際金融公社(IFC)は11月2日、気候変動分野の投資ニーズをまとめたレポート「Creating Markets for Climate Business An IFC Climate Investment Opportunities Report」を公表。パリ協定の達成に向けた21主要新興国の気候変動対応投資需要は、2030年までに累計23兆米ドルと発表。投資の実現に向け、気候変動政策の改革を通して民間投資を促進すべきと伝えた。  同レポートは、気候変動投資分野として、グリッド接続再生可能エネルギー、オフグリッド太陽光発電・蓄電、気候変動対応農業ビジネス、グリーンビルディング、都市交通、水、都市廃棄物処理の7分野を分析した。7分野全体の全体投資額は、今日すでに1兆米ドルに達している。しかし、これら7分野はパリ協定で加盟国が提登録したNDC(各国が自主的に決定する約束)の実現手法に盛り込まれており、今後さらに急拡大していく見込み。 グリッド接続再生可能エネルギー:2040年までに6兆米ドルの潜在的投資需要。うち半分はアジア・太平洋地域 オフグリッド太陽光発電・蓄電:年間投資需要は現在の25億米ドルから2025年には230億米ドルに拡大。サブサハラ・アフリカの需要が大きい。プリペイド方式「Pay-as-You-Go」モデルの電力事業者の投資需要は2016年時点で2.23億米ドル。 気候変動対応農業ビジネス:2032年までに世界の食糧需要は20%増加。食糧生産量は70%増が必要。民間投資とともに、政府の土地所有権保証、交通インフラ整備、投資促進政策の導入等が必要。 グリーンビルディング:省エネルギービルディングの普及に2025年までに累積3兆4,000万米ドルの投資が必要。省エネ提案事業「ESCO事業」の市場は2015年時ですでに240億米ドル。 都市交通:EV市場は1,630億米ドル。バス高速輸送システム(BRT)プロジェクトが150都市で展開中。都市交通インフラ投資は2025年までに年間9,000億米ドルに成長。2025年までにアジア・太平洋地域は累計8兆米ドルの投資需要。 水:投資需要は2030年までに累計13兆米ドルに達する可能性がある。政府の予測可能な水料金設定、官民パートナーシップ、パフォーマンスに基づいた契約などが必要。 都市廃棄物:市場規模は2020年までに2兆米ドル。過去2年間の投資需要は3,000億米ドル。2013年だけで廃棄物エネルギー転換施設800ヶ所で74億米ドルの投資。廃棄物回収・リサイクル市場は2,650億米ドル。各都市政府は、廃棄物課税の導入等が必要。    地域別では、アジア・太平洋地域の気候変動対応技術への投資重要が旺盛。再生可能エネルギーに巨額の投資を続ける中国やインドが市場の牽引役となる。日本も、屋根への太陽光パネルの設置や小規模太陽光発電プロジェクトの投資額が世界2位と大きい。また、再生可能エネルギーに加え、アジア・太平洋地域はインフラ投資機会も2025年まで3兆米ドルと巨大。  政府が絡む大規模プロジェクトには、様々な投資リスクがあるが、IFCは、民間投資を行うための手法として、PPP(官民パートナーシップ)、インパクト・ボンド等のパフォーマンス・ベースト契約(PBC)、公的資金、民間資金、慈善団体資金等を組み合わせるブレンド・ファイナンスの3つを推奨した。 【参照ページ】IFC Report Finds Policy Reforms, Innovation Can Unlock Trillions in Climate Finance

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【国際】CDP、世界都市の水インフラ強化に約1兆円必要と分析。今後さらに増える可能性大

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 企業に気候変動情報開示を求める国際的な機関投資家イニシアチブでNGOのCDPは8月29日、都市の水管理に関する新たな報告書「Who’s tackling urban water challenges」を発表し、都市の水管理分野では95億米ドル(約1兆円)の顕在化した投資需要があると報告した。同報告書の作成にあたり、インフラ世界大手AECOMが協力、ブルームバーグ・フィランソロピーが資金提供した。  同報告書は、世界569都市と1,432社から質問票の回答を収集し、気候変動や人口増加が水管理分野に大きな課題を突きつけていることを明らかにしていた。とりわけ、気候変動による水供給にリスクが生じるとした都市自治体の回答は、アジア・オセアニア地域が84%と最多。アフリカでも80%、中南米で75%、北米でも63%だった。水管理について比較的取組が早い欧州では34%だった。企業でも、事業が水リスクに晒されているとした回答は、アフリカが76%と最多。それ以外は、アジア・オセアニア43%、北米42%、欧州41%、中南米40%とほぼ横並びだった。  水リスクの内容では、水ストレス・希少性と回答したのが196都市で最多。極めて深刻なリスクとなると答えたのが80%で、現在すでに困難に直面していると答えたところも59%と多かった。また、水質悪化と回答したのが132都市、洪水が103都市だった。企業からの回答でも、現在、工場停止等、水に関する影響がすでに140億米ドル(約1.6兆円)出ている。  水インフラ強化に向けて、現在62%の都市がプロジェクトを開始しており、80都市合計で95億米ドルの資金が必要となっている。その中でも、プロジェクト資金ニーズは中南米が67億米ドルで最大。例えば、エクアドルの首都キトでは水力発電所や河川の汚染対策に8億米ドルが必要となっている。次いで、北米27億米ドル、アジア・オセアニア0.3億米ドル、欧州0.2億米ドル、アフリカ0.06億米ドルの順。CDPの報告書からは、中南米では資金需要がすでに顕在化しているものの、アジア・オセアニアやアフリカでも今後大きな資金需要とが生まれると考えられる。 【参照ページ】US$9.5 billion city water projects open for investment 【報告】Who's tackling urban water challenges?

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【イギリス】ライフサイエンス投資会社BACIT、2件の大型買収を発表。がん研究を加速化

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 英国に拠点を置くライフサイエンス分野投資会社BACIT(Battle Against Cancer Investment Trust)は11月7日、同じくライフサイエンス分野投資会社Synconaを買収するとともに、がん研究の独立慈善団体Cancer Research UKが保有するCRT Pioneer Fundの全受益権もしくは過半数受益権を取得することで、それぞれの株主や受益権保有者と合意したことを発表した。BACITは同社の株主総会の同意を得て買収を実施する予定で、買収により投資先拡大でのリスク分散をするとともに、Synconaの投資チームを吸収することで投資チームの陣容も拡大する。  BACITは、2012年にロンドン・シティの著名投資家らが立ち上げた投資会社で、同年にロンドン証券取引所に上場している。ライフサイエンス分野での社会的インパクトを重視しており、同社のアセットマネージャーは全て無報酬。同社のNAV(基準価額)の1%を毎年ライフサイエンス研究や社会活動に寄付することを定めている。半分の0.5%はロンドンのがん研究機関Institute of Cancer Research(ICR)に、残り半分は同社傘下のBACIT財団を通じて慈善団体に寄付されている。同社は、大手運用会社から投資を募り、集めた資産をライフサイエンス関連企業に投資して収益を上げている。  買収先のSynconaは、同じくライフサイエンス分野の投資会社Wellcome Trustによって2012年に設立された投資会社でライフサイエンス分野企業7社に投資している。Synconaの投資先はアーリーステージのライフサイエンスベンチャーが主。投資先には、がんの画像化機器製造会社のBlue Earth Diagnostics、疫細胞の活性化によりガンを治癒し予後を良好にするための免疫療法の開発を進めているAutolus、血友病などの血液疾患に対する治療法の開発を進めているFreeline Therapeutics等がある(他リストは本文最後尾に添付)。こうした企業には、すでに相当額の投資が行われている一方、今後の追加投資が必要な企業も多い。しかしBACITはこれらの会社の今後の成長可能性が非常に高いと評価している。  また、Cancer Research UKは、がんを根治するための研究を行なっており、ガン治療薬候補の発見と初期の開発に投資するCRT Pioneer Fundの受益権を35.5%保有している。CRT Pioneer Fundは2012年にCancer Research UKとCancer Research Technologyが設立した7,000万ポンド規模のライフサイエンスベンチャー投資ファンドで、抗がん剤の発見から臨床試験フェーズⅡに至るまでの潜在性のある薬に注目している。BACITはCancer Research UKからCRT Pioneer Fund受益権35.5%全てもしくは過半数を取得する予定で、現在BACITが保有している2,000万ポンドのCRT Pioneer Fund受益権と合わせると合計64.3%の保有比率となる。  BACITは今回の2件の大型投資を通じて、抗がん剤および難病の治療方法の開発促進を進めていく。 ≪Syncona LLPの投資先リスト≫ Blue Earth Diagnostics:ガンの画像化機器製造会社。すでにFDAの認可を取得。初回投資額は2014年に2億9,300万ポンド。 Autolus:免疫細胞の活性化によりガンを治癒し予後を良好にするための免疫療法の開発を実施。初回投資額は2015年に3,000万ポンド。 Achilles Therapeutics:後期固形ガン(全てのガンのうち80%を占める)に対する免疫療法の開発を実施。初回投資額は2016年に1,200万ポンド。 NightstaRx:失明につながる先天性脈絡膜欠如等のまれな病気を治療するための遺伝子療法の開発を実施。初回投資額は2014年に2,240万ポンド。 Freeline Therapeutics:血友病などの血液疾患に対する治療法の開発を実施。初回投資額は2015年に3,350万ポンド。 Gyroscope Therapeutics:失明を引き起こす病気を治療するための遺伝子治療法の開発を実施。初回投資額は2016年に1,500万ポンド。 Cambridge Epigenetics:DNAの事後変異の詳細を解明するための研究ツールの開発を実施。初回投資額は2013年に240万ポンド。 【参照ページ】PROPOSED EXPANSION OF INVESTMENT POLICY AND CAPITAL RAISE IN ORDER TO EVOLVE INTO A LIFE SCIENCE INVESTMENT CHAMPION 【機関サイト】BACIT(Battle Against Cancer Investment Trust)

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【アメリカ】モルスタとブルームバーグ、ESG投資に対するアセットマネージャー意識調査実施

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 金融機関世界大手モルガン・スタンレーのサステナブル投資研究所と金融情報世界大手ブルームバーグは11月17日、アセットマネージャーがESG投資に対してどの程度適応しているのかに関するレポート「Sustainable Signals: The Asset Manager Perspective」を発表した。レポートは米国のアセットマネージャー402人に対するアンケート調査結果を元に作成された。米国ではESG投資への関心が急速に高まっており、2012年以降の4年間でESG投資を行う米国の資産は135%の増加を遂げていた。背景には、ESG投資の一環であるインパクト投資への需要拡大が近年みられることがある。インパクト投資は、投資の結果として環境や社会面でのインパクトも重視する投資手法。  今回のレポートによれば、アセットマネージャーのうち、すでにESG投資に精通していると回答した人は89%であった。また、実際にESG投資を実践したことがあると回答した人は65%、ESG投資の実績が今後も増え続けるだろうと回答した人は64%だった。このような動向を受けて、現在ESG投資を行っていないアセットマネージャーの59%は今後1年以内にESG投資商品をリリースする予定だと答えた。一方、未だ課題も多い。アセットマネージャーのうち、ESG投資について自信をもって説明できると答えた人は51%にとどまった。また、ESG投資を決断するために必要な確実なデータが不足していると回答した人は55%、ESG投資が金融商品として機能する証拠が今以上に必要だと回答した人は62%だった。  今回のレポートは、ESG投資の手法を「ネガティブ・スクリーニング型」「ESGインテグレーション型」「テーマ投資型」「インパクト投資型」「積極的エンゲージメント型」の4つに分類。すでに実施済のESG手法の割合についての回答は、「ESGインテグレーション」50%、「インパクト投資」49%、「テーマ投資」42%、「積極的エンゲージメント」36%、「ネガティブ・スクリーニング」27%だった。また未実施マネージャーに対して今後1年間でリリースする予定の商品については、「ESGインテグレーション」と「インパクト投資」が28%、「テーマ投資」23%、「積極的エンゲージメント」16%、「ネガティブ・スクリーニング」15%だった。  ESG投資の上で重視するテーマについては、「気候変動」が最も多く29%、次に「潜在的財務リターン」が15%だった。リターンのためにESG投資をするとの回答が、受託者責任やリスクマネジメントを上回っていたのは非常に印象的だ。  ESG投資を拡大していくための課題としては3点を挙げた。1点目は、ESG投資の手法を明確にすること。2点目は、ESG投資の運用成績をはかるベンチマークを設定した上で戦略を考えること。3点目は、投資決定に至るまでの背景をきちんと説明すること。今後ESG投資の需要が増大すると考えられる中、アセットマネージャーにはより迅速で柔軟な対応が求められている。 【参照ページ】The demanding world of sustainable investing 【レポート】Sustainable Signals: The Asset Manager Perspective

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【国際】持続可能なインフラ分野への投資が急務。経済と気候変動分野の国際イニシアチブ報告書

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 気候変動と経済に関する国際イニシアティブのThe Global Commission on the Economy and Climate(経済と気候変動に関するグローバル委員会)は10月6日、持続可能なインフラの分野への投資を呼びかける新たなレポート「The Sustainable Infrastructure Imperative: Financing for Better Growth and Development(急務な持続可能インフラ:より大きな成長と発展のためのファイナンス)」を発表した。レポートによると、持続可能な発展や世界的な経済成長のためには、インフラ分野への投資が急を要しており、今後2、3年間の投資選択により、今後数十年の方向性が、環境や社会と配慮した成長に向けたものとなるか、高炭素、非効率、持続不可能なものとなるか、道筋が分かれるという。  この委員会は、2013年9月に、当時の政府首脳や国際機関トップらが立ち上げたイニシアチブ。設立時から現在まで、委員長はフェリペ・カルデロン前メキシコ大統領が務めている。委員には、Nicholas Sternロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授兼英国学士院会長、中尾武彦アジア開発銀行(ADB)総裁、Suma Chakrabarti欧州復興開発銀行(EBRD)総裁、Helen Clark前ニュージーランド首相、Stuart Gulliver HSBCグループCEO、Angel Gurría OECD事務総長、Chad O. Hollidayシェル会長、ポール・ポールマン・ユニリーバCEO、Sri Mulyani Indrawatiインドネシア財相、Sharan Burrow国際労働組合総連合(ITUC)事務局長らが就いている。  レポートでは、今後15年間で、世界全体の現インフラ資産より多い、総額90兆米ドル相当の投資がインフラ部門に必要となるという。今後、先進国の古いインフラを修繕し、新興国や途上国で高度な経済成長と構造的変化を実現していくのにこれだけの金額が必要となる。グローバル・サウスにおけるエネルギーおよび輸送分野が必要な投資のおおよそ3分の2に相当する。このためには、現在の投資額である年間3.4兆米ドルから年間6兆米ドルへと大幅な増額が求められる。レポートの中では各業種や各地域ごとに必要となる分野や金額がまとめられている。全体の投資需要のうち3分の2は、南半球の発展途上国の交通、エネルギーインフラ分野だ。  同時にレポートはパリ協定による投資影響にも言及。パリ協定で各国がコミットした目標(INDCs)を達成するためにエネルギーや費用が節約することで、この分野への投資財源の多くは確保できるとの楽観的な見通しを示した。投資を実現させるためには、官民両面からの投資が必要で、とりわけ公的機関の投資は、民間資金をうまく引き込めるよう戦略的な使い方が必要だと提言した。持続可能な大規模インフラプロジェクトには、単体でも複数金融機関からの投資を受けるプロジェクト型となることがほとんどで、完成までに10数年を要する。プロジェクト準備期間だけでも、総投資額の2.5%から5%ほどのコストがかかり、民間投資を引き出すためには、リスクを低減させるための公的投資が不可欠となる。同委員会委員のCaio Koch-Weser元ドイツ銀行副総裁は、投資促進のためには、グリーン投資の定義と透明性の確保が握ると話す。  これらを受け、同委員会は、行動指針として4項目をまとめた。 化石燃料への助成金引き下げとカーボンプライシングを導入し、インフラの分野の基本的な価格の歪みを是正する 適切なプロジェクトと投資を実現するため、政策フレームワーク及び組織の計画能力とガバナンスを強化する グリーンボンドやグリーン融資とともに、企業の気候変動リスク情報開示を含め既存の投資手法をグリーン化する 再生可能エネルギー分野に投資し、持続可能なインフラを実現するためのコストを引き下げる 【参照サイト】Transform the financial system to deliver sustainable infrastructure and reignite growth, says Global Commission

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【金融】ESG投資をリードしてきたPRIの行方 〜PRI in Person 2016参加レポート〜

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 機関投資家のESG投資行動を推進するため設立された国連責任投資原則(PRI)。今年で10週年を迎えたPRIは、国連環境計画(UNEP)と国連グローバル・コンパクト(UNGC)を推進母体として設立され、アセットオーナー、運用会社、サービスプロバイダーの3つのカテゴリーの合計署名機関数は、今この時点の公表数で世界1,549。組織ガバナンスとして、取締役に相当する理事(Board Member)、代表取締役に相当する理事長(Chair)と専属の執行機関が置かれています。PRIは毎年一度年次総会(General Session)を開催しており、この総会で昨年の事業報告や検討中の事案などが署名機関に対して発表されます。また、理事選挙や理事長選挙の案内もあります。選挙に関しては、年次総会に参加しない署名機関も多数あるため、その場では行われず、締切を設けたウェブ投票の形式を取っています。今年の年次総会はシンガポールで9月6日に開催され、その後9月8日まで情報共有フォーラム「PRI in Person」が開催されました。日本の公的年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が昨年9月にPRIに署名したことなどをきっかけに、日本の年金基金や運用会社の署名が急増しており、シンガポールには例年になく多くの日本企業が集まりました。当社、株式会社ニューラル、も昨年にPRIに署名をし、今年の年次総会に初参加してきました。 PRI理事にGPIFの水野弘道・理事が立候補  今年の年次総会での大きなニュースのひとつが、PRI理事に水野弘道・GPIF理事 (管理運用業務担当) 兼CIOが候補者として立ったことです。現在、アセットオーナー枠の理事2席が空席となっており、今回このポジションで2名の候補者が出ました。もう一人の候補者は、スウェーデンの公的年金基金AP2のEva Halvarsson CEO。2席のポジションに2名が立候補したため、信任投票が行われます。今年11月11日を締切とし、署名機関の投票が行われます。PRI理事はアセットオーナーの現職または元のCEOまたはCIOが候補者資格を持っており、当選後も水野氏はGPIF理事を継続していきます。  水野氏が当選すると、日本の金融界にとって大きな影響が予想されます。まず、日本のアセットオーナーからの初めてのPRI理事となります。もちろん日本の公的年金としても初めてPRI理事会にメンバーを送ることとなります。このことは日本国内にも大きな意味を持たらします。  GPIFのPRI署名に関しては、日本政府やGPIFの中にも反対をする方々がいたといいます。また、日本の金融業界には、ESG投資や責任投資という考え方に対する否定的な考え方が依然多くあります。ここでGPIFのCIO(最高投資責任者)が、ESG投資を推進するPRIの理事になるということは、日本の公的機関がESG投資に賛成するというメッセージを日本金融界や国政を担う国会議員や官僚に対しても明確に示すこととなります。これは大きなメッセージです。 PRIのプログラム改革  またPRIは10週年を迎え、ESG投資の流れをさらに加速させるためのプログラム改革を検討しています。来年3月に最終改革案が発表される予定ですが、総会の中でも概要が伝えられました。プログラム改革では、事前に署名機関に対しての意見募集が行われており、今回はその結果を踏まえ、計画の方向性が発表されました。 署名機関除名制度の創設  PRIの10年の歴史の中で、一度署名をした機関をPRI側から除名するということはありませんでしたが、今回除名制度を創設する考えを明らかにしました。除名に関しては、宣言している6原則に対して最低限の改善が見られない機関に対しては非公表で警告が出され、その後2年間の猶予期間の間に改善が見られなければ、除名となります。除名宣告された場合の不服申立て措置も整備される予定です。署名機関の管理範囲内で署名機関自身がESG原則に明確に反する行為を行い罰金や規制当局の制裁を受けた場合も除名候補となります。投資先企業の罰金や制裁に関しては対象としない考えです。 年次報告書の運用厳格化  署名機関に課されている年次報告書(R&Aレポート)にも外部保証制度を導入し、報告書の提出時にはCEO、CIOまたは他の経営陣の署名を必須とする案が検討されています。また、提出されたR&AレポートについてはこれまでPRIによる評価がなされていましがたが、今後は内容そのもののの信憑性をチェックするためのランダム監査も導入する考えです。 サービス・プロバイダー  これまで年次報告書の提出義務のなかったサービス・プロバイダーにも報告義務が課されていく予定です。報告内容の詳細は未定ですが、6つ原則の実施度合いに関する報告内容となりそうです。来年にトライアル実施をし、2018年からの本格導入を検討しています。 原則そのものの変更はなし  PRIは昨年頃から7番目の原則として、金融業界全体のシステミック・リスクに関する原則を追加することを検討していましたが、現状維持を望む署名機関の声も少なくなく、今回7番目の原則追加や既存の6つの原則変更はしないと発表されました。一方で、投資行動が経済、環境、社会に対して波及的な影響を及ぼすシステミック・リスクに署名機関も対処していくという考え方そのものについては、署名機関からも一定の支持が得られたということで、今後もPRIの活動内容に反映させていくとしています。 プロセス重視の詳細実施ガイドラインの策定  また、PRIは責任投資という考え方そのもののについての曖昧性からくる課題についても対処していく考えで、責任投資という定義そのものの明確化や、それに基づく実施内容の詳細化についても検討を深め、ガイドラインにまとめていく考えも見せました。PRIの組織としての達成目標にも曖昧性が残っていますが、PRIからはゴールよりもプロセスに拘りたいという姿勢が伺えました。あるべき責任投資の推進のためにも、署名機関のベストプラクティスを積極的に共有していく考えも見せていました。 注目のキーワード「コレクティブ・エンゲージメント(協働エンゲージメント)」  今年の年次総会での質疑応答やセッションでのスピーチを通じて浮かび上がってきた今後重要になりそうなキーワードは、「コレクティブ・エンゲージメント(協働エンゲージメント)」です。これまで、エンゲージメントと言えば、投資家と投資先企業との間での対話を意味してきましたが、投資家の間では1社1社対応することの煩雑さと、投資先企業に対してより大きな影響力を行使したいという思惑から、複数の投資家がまとまって投資先企業にエンゲージメントをするというものが「コレクティブ・エンゲージメント」です。米国では今年春の株主総会時に、複数の機関投資家がチームを結成して、集合体として企業に対して気候変動対応を迫るという動きも見られました。PRIとしても、より投資先企業に影響力を持つESG投資を推進するため、今後この「コレクティブ・エンゲージメント」をどのように推奨していくかに今後注目が集まりそうです。

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private 【エネルギー】世界と日本の地熱発電の現況〜日本、アメリカ、フィリピン、インドネシア、アイスランドを中心に〜

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地熱発電が適した国  地熱発電は、地球が発する熱を利用したエネルギー源です。地球が発する熱は、地球上に均等に存在しているわけではありません。地球中心部の熱源は、プレートの境目に付近に多く表出しており、ホットスポットと呼ばれています。地熱発電には適している地域とそうでない地域があるのです。 (出所)オーストラリア・ビクトリア州政府HP  結果として、地熱発電が可能な国は、その立地する地理的環境によって自ずと決まってきます。地熱資源量が多い国は、上位から、アメリカ、インドネシア、日本、フィリピン、メキシコとトップ5は全て環太平洋火山帯(Ring of Fire)に属しています。6位のアイスランドは大西洋上のホットプルームという特殊な地熱資源環境に位置しており、7位のイタリアはアルプス・ヒマラヤ火山帯(Alpide Belt)に属しています。また、アフリカの大地溝帯(Great Rift Valley)も地熱資源量の多い地域です。 (出所)資源エネルギー庁「地熱資源開発の最近の動向 2012」  一方、上記の地熱発電設備容量は、各国での地熱発電への取組具合を反映しています。地熱資源量と地熱発電設備容量のトップ8は全くの同じ顔ぶれです。その中でも、フィリピンが積極的に地熱に力を入れていることと、地熱資源量第3位の日本は設備容量ランキングでは8位と大きく出遅れていることが目立ちます。 (出所)EIAをもとにニューラル作成  世界中のエネルギー情報を集めている米エネルギー情報局(EIA)の統計によると、2012年に地熱発電を行った国は世界で24ヶ国。トップを走っているのは、地熱資源量・地熱設備設置容量でもトップを快走するアメリカです。それを追うのが、フィリピン、インドネシア、ニュージーランドで、特にこの10年ほどで急速に発電量を増やしているのが見て取れます。イタリア、アイスランドの欧州勢も大きく伸長しています。一方、減速しているのがメキシコと日本です。今地熱の世界では何が起きているのか。日本、アメリカ、フィリピン、インドネシア、アイスランドを中心に、現状をウォッチしていきます。 地熱発電が停滞する日本  日本で初めて地熱発電所が実用化されたのは1966年。岩手県八幡平市の松川地熱発電所が日本第1号の実用地熱発電所です。日本重化学工業社が4年の歳月と20億円をかけて建設しました。最大出力量は23,500kw。現在も稼働している現役の発電所です。当時は戦後の電力不足に日本中が苦しんでいた時代。黒部川第四発電所のある黒部ダムも1963年に竣工。その中、地熱発電にも新たな電源としての活躍が期待が集まりました。1960年代は世界各国も地熱発電の開発を進めた時期でもあり、日本は地熱の世界でトップランナー群に属していたと言えます。松川地熱発電所は、現在は、東北電力のグループ会社、東北水力地熱が所有しています。 (出所)Wikipedia  1970年に入り地熱発電の開発は加速します。きっかけは、第1次オイルショック(1973)でした。国は主導して石油代替エネルギーの一つとして地熱発電の開発を本格的に進め、資金面でも通商産業省工業技術院が策定した「サンシャイン計画」により多額の予算が投じられます。火力原子力発電技術協会のレポートによると、地熱発電の技術開発や資源探査、開発費の補助等に係る国の関連予算は、1974年度の8.3億円程度から徐々に増加し、1980~1997年度にかけて年間130~180億円で推移したと言われています。この流れを受け、電気事業者以外にも三菱マテリアル社が東北で、出光興産社が九州で地熱発電分野に参入しました。この時代、東北地方と九州地方を中心に、合計18か所に地熱発電所が建設されます。 (出所)国立環境研究所 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2014」  しかしながら、1998年度以降は予算が徐々に削減され、地熱発電は停滞します。そして、最後に電力事業者が建設した地熱発電所は、1999年に運転を開始した八丈島地熱発電所。現在まで、東京電力が保有する最初にして唯一の地熱発電所です。最大出力は3,300kwと小規模ですが、八丈島で消費される電力の1/3を賄っています。この八丈島発電所の運転開始から今日まで16年間、日本で大型の地熱発電所は建設されていません。国の予算削減の背景には、(1)電力事業者に新エネルギー導入を促す1997年の新エネ法で、従来型のフラッシュ方式地熱発電が促進対象から外されたこと、(2)環境省による自然公園内での開発規制、(3)温泉業者からの反対、という社会情勢がありました。現在、全国18の地熱発電所で生産されている電力量は、年間2,600GWh。数が大きいように言えますが、日本の総発電量のうち、わずか0.025%を占めているにすぎません。  また、地熱発電設備容量の新設がストップして以降、2012年まで地熱発電量はどんどん減少しています。「再生可能」を謳う地熱発電量の年々減少してしまう理由としては、地中から汲み上げた熱水に溶け込んでいる鉱物が井戸(鉱井)や発電所の配管、タービンなどの表面に付着していくスケール(水垢)という現象や、計画時に地下水容量を実力値以上に見積もった結果、地下水の枯渇化が進んでしまったという計画の不備などが指摘されています。2006年には、地下熱の低下でも発電が可能なバイナリーサイクル方式が八丁原発電所に導入されましたが、全体の減少を覆すまでには至っていません。  2012年に固定価格買取制度が始まり、バイナリー型の地熱発電は固定価格買取の対象となったことを受け、地熱発電の開発は多少なりとも動き出しています。大型の地熱発電所の建設は、検討から竣工まで数年から十数年を要するため、まだ固定価格買取制度の適用を受けた大型地熱発電の新規運転開始実績はいまだゼロですが、既存の温泉源と共存活用できる小型のバイナリー型地熱発電施設は2014年頃から営業を開始し、電力会社への売電がスタートしています(コスモテック社のコスモテック別府バイナリー発電所[出力500kW]、新日本科学社の指宿市発電施設[出力1,500kW])。しかしながら、3万kWを超える大型の地熱発電の建設は、すでに公表しているものだけで14件あるものの、依然として建設着工にまで漕ぎつけたものはない状況です。 (出所)経済産業省資源エネルギー庁「平成25年度調達価格検討用基礎資料」  日本が世界第3位の地熱資源量を誇りながら地熱発電の開発が進まない阻害要因について、国立国会図書館の報告は、自然公園法と温泉法の問題を指摘しています。まず、自然公園法。日本の地熱資源賦存量の約8割は自然公園内に存在しており、1957年に制定された自然公園法は自然公園内の地熱発電の建設を大きく規制しています。特に1972年に当時の環境庁自然保護局と通商産業省公益事業局の間で取り交わされた覚書では地熱発電の開発地点を6地点(大沼、松川、鬼首、八丁原、大岳、葛根田)に制限することが決まり、その後6地点以外の国立・国定公園内での地熱開発の道は閉ざされることになりました。東日本大震災後の2012年、ようやく環境省は「国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて」という通知を出し、自然公園の中で第2種及び第3種特別地域については、一定の条件のもとで傾斜掘削による地熱開発が個別に認められる可能性を示しました。  一方、1948年に制定された温泉法は、温泉の保護のため、温泉事業者や地熱発電事業者など温泉地で掘削を行う者に対し、都道府県知事の許可が必要と定めています。ところが現実としては、温泉の賦存量に関するデータや温泉の採取による湧出量等への影響に関する科学的知見が不足しており、科学的な根拠に基づく許可・不許可判定は難しく、都道府県は対応に苦慮してきました。環境省は2012年に「地熱発電の開発のための温泉掘削等を対象とした温泉資源の保護に関するガイドライン」を策定し、都道府県に対して具体的・科学的な判定基準を提示しました。これにより、行政手続きはスムーズ化されましたが、ガイドラインで定められている掘削前の事前データ収集のためのモニタリングは、相応の時間を費やすため、その実施者には大きな負担となっていると、国立国会図書館の報告は指摘しています。  事業の採算性も地熱発電の普及にとって欠かせない問題です。地熱発電は原油発掘と同様、地質探査、ボーリング調査、発電設備建設に巨額の資金と約10年の歳月を要し、数十年という長期スパンでROIを出していくプロジェクトです。環境省が定める傾斜掘削や事前モニタリングは、自然環境保護のための配慮ではありますが、地熱発電プロジェクトにとって資金面・時間面で大きな足枷となっているのもまた事実です。そこで、経済産業省は、環境影響評価機関の短縮や、地熱資源探査リスクの軽減のために助成金で支援をしています。2015年に営業運転を開始した前述の新日本科学社の小型バイナリー発電所も、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業として資金援助を受けた上で実現しました。このように、地熱発電にはかなり大規模なインフラファイナンスが必要となる以上、政府からの援助だけでなく、インフラファイナンスというプライベートエクイティの発展とリスクマネーの担い手がますます必要となっています。 (出所)Geothermal Energy Association "2015 Annual U.S. & Global Geothermal Power Production Report" 世界の地熱発電大国アメリカ  地熱発電設備容量・地熱発電量の両分野での世界のトップは30年前からアメリカです。環太平洋火山帯を構成する西部の火山地帯にある広大な土地を中心に数多くの地熱発電所が営業運転しています。特に活発なのが (more…)

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2016/08/06 体系的に学ぶ

private 【金融】プライベート・エクイティとESG、業界世界最大フォーラムでの論点とは

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 2016年2月22日から25日までベルリンで開催されたプライベート・エクイティ業界の国際大会「SuperReturn International 2016」。日本ではまだプライベート・エクイティという言葉はそこまでは浸透していないかもしれませんが、資本市場の世界ではプライベート・エクイティは新たなアセットクラス(投資カテゴリー)として注目を集めてきています。プライベート・エクイティを日本のビジネスパーソンに馴染み深い言葉で表すと、ベンチャー・キャピタルであり、買収ファンドであり、再生ファンドであり、インフラファンドであり、このような株式公開企業ではない未公開企業を対象にした投資のことを総じてプライベート・エクイティと呼ばれています。英語ではPEと略されるのが一般的です。 ESG投資が大きく取り上げられた今年のフォーラム  このプライベート・エクイティの世界にもESG投資という言葉登場し始めたのがここ数年のことです。ESG投資と言えば、一般的には株式市場への投資を念頭に議論されることが多く、最近では債券市場や不動産市場におけるESG投資のあり方も模索されてきていますが、ついにこの波がPEにも及び始めています。今回開催された「SuperReturn International 2016」では、22日に丸一日をかけて行う4つのサミットのうち、「ESGをPEに統合する」というテーマが1つに選ばれました。登壇者には、世界三大PEファンドの一角を占めるKKR社、スウェーデンの公的年金基金からAP2、AP3、アル・ゴア元米国副大統領がインパクト投資のために創設したジェネレーション・インベストメント・マネジメント社など欧米の錚々たるメンバーが揃いました。さらには、23日に開かれた全体集会での基調講演にはアル・ゴア氏と同じくジェネレーション・インベストメント・マネジメント創業者のデイビッド・ブラッド氏が務め、今年のPEフォーラムではESG色が色濃く打ち出されました。この背景には何があるのか、そしてどのような議論があったのでしょうか。 参加者の顔ぶれ:GP、LP、サービス・プロバイダー  本題に入る前にこのフォーラムに集まった参加者のことに触れておきます。今年のイベントには約2,000人が参加。会場を見回した所、参加者の90%以上は欧米からの参加者で、中東・アフリカ地域やアジアからの参加者はほぼいませんでした。参加者の属性は主に、GP、LP、サービスプロバイダーの3種類に分かれます。GP(General partners)とは、投資ファンドを組成し投資先企業のマネジメントを行う企業のことです。よりイメージしやすい説明をすると、ベンチャー・キャピタルや買収ファンドと言われるファンド運営会社そのもののことです。  PEからの投資リターンを上げるためには、株式公開市場で多いように投資をして待っていてもリターンは上がりません。PEは投資をした後に投資先企業の企業価値を上げ最終的に買収金額よりも高値で売却(エグジット)をすることでリターンを上げるものです。GPは投資をした後に企業価値を上げるための企業経営やオペレーションにまで深く関与し経営陣と二人三脚となって企業を成長していくという重要な役割を担っています。最近報道されているケースだと、シャープ社の買収に名乗りをあげた政府ファンドの産業革新機構はGPに該当します。  LP(Limited partners)とはPEへの資金の出し手です。PEでは企業の株式をバイアウトするためかなり大きな資金力を必要とします。GPの自己資金だけでの資金では足りないことも多く、またGPとしてもリスク分散のために一つの企業に賭けるのではなく自己資金を分散投資したいという思惑もあります。そこで登場するのがLPです。LPとは所謂機関投資家で、保険会社、公的年金、企業年金などが主たる担い手です。中には富裕層や資産家ファミリーなどの資金もPEに流れていることも多く、資産家ファミリーの資産管理団体のことを業界では英語でファミリー・オフィスとも呼ばれています。LPは直接的には投資先企業との接点を持たず、GPを通じて間接的に投資先企業に関与することになります。LPがPEに関与する理由には、より高いリターン、アセットクラスの分散などが挙げられます。 GPにとってのESGとは価値創造と価値保全  「ESGをPEに統合する」サミットで数多くあった発言は、 (more…)

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2016/03/02 体系的に学ぶ

【中国】新環境相「今後数年間で環境投資需要は約195兆円」、環境投資が活発化する見通し

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国務院環境保護部の陳吉寧部長(環境大臣に相当)は、3月7日、全国人民代表大会(全人代)の合間をぬって、メディアに対して昨年の環境保護部の取組を総括するとともに、「環境保全に全力を尽くす」と将来への意気込みを語った。 環境保護部の昨年の成果としては、(1)発電分野に環境改善設備を導入し、脱硫装置・脱硝装置・粉塵除去装置の導入量はそれぞれ1.3億kW、2.6億kW、2.4億kWに到達、脱硫装置の導入シェアは95%、脱硝装置の導入シェアは82%に到達、(2)鉄の焼結機に最新型排煙脱硫装置を導入、導入量は3.6万平米分、導入シェアは81%に到達、(3)新型セメント原料製造装置に脱硝設備を導入、導入量は6.5億トン分、導入シェアは83%に到達、(4)環境装置未整備車や老朽車を600万車両以上使用停止処分(過去3年分の総和を超える水準)(5)小型の石炭燃焼設備を5.5万台以上使用停止処分、(6)環境違反の摘発2,080件(過去10年の合計の2倍以上の水準)。結果として、PM2.5濃度は、全国74都市全体で平均11%低下、京津冀地区(北京市・天津市・河北省)では12.3%低下したという。 一方、将来への取組として、環境分野への民間投資を積極的に呼びこむ方針を発表。従来、環境投資に占める政府投資割合が30~40%を占めるなど、政府に依存していた状況を問題視し、今後環境分野を市場解放していく。陳吉寧部長は、「今後数年間で、中国国内における環境保全への投資需要はおよそ8兆元(約156兆円)から10兆元(約195兆円)に達することが予想できる」と語った。

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