【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[2018年版](火力・水力・原子力・風力・地熱・太陽光等)

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 ここ数年、世界のエネルギーや発電に関する状況は様変わりしました。まず、東日本大震災を機に、日本でも世界でも原子力発電に関する否定的な考え方が強くなりました。また、アメリカでのシェール革命により天然ガスや石油の価格が急落。化石燃料の輸出入ルートも大きく変化しました。その中で、日本のエネルギー・電力の供給量割合がどのように変化したのか、紹介していきます。 日本のエネルギー・発電の供給量割合 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらは経済産業省エネルギー庁が発表している「2018年度エネルギー白書」のデータです。この表は、日本の発電事業者全体での、石油、石炭、天然ガス、原子力、水力、再生可能エネルギー(風力、地熱、太陽光など)別の電源割合を示したものです。統計対象については、昨年度のエネルギー白書までは、旧一般電気事業者、すなわち「電力会社」10社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)のみが集計対象(「電源開発の概要」「電力供給計画の概要」)でしたが、今年度からは、製鉄や重工業メーカーや再生可能エネルギー発電事業者が主な主体となる独立系発電事業者(IPP)を含む発電事業者全体を集計対象(「総合エネルギー統計」)とする大きな変更がありました。それに伴い、2010年移行のデータも新手法により再計算されました。  この推移から、日本の発電の歴史が垣間見られます。発電の主要電源は、1965年頃までは水力、1973年の第一次オイルショックまでは石油、そしてその後は石油に変わって石炭とLNG、そして原子力が担っていきます。2011年の東日本大震災以降は、原子力発電の割合がほぼゼロにまで減り、その減少分の大半をLNGがカバーしています。  2016年時点で、割合が最も大きなものがLNGで42.1%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で、実に83.8%を占めています。火力発電の割合は2009年当時は61.7%でした。この急速な火力発電依存の背景には、ご存知の通り原子力発電所の稼働停止があります。  歴史の長い水力発電は一般水力と揚水発電を合わせて7.6%。揚水発電とは何かは後ほど説明します。一方、期待されている再生可能エネルギーは6.9%。こちらも2009年当時は1.1%でしが、電力固定価格買取(FIT)制度の導入により5.8%伸びました。  発電総量が2010年以降減少していることも、興味深いポイントです。東日本大震災から約4年経ち、市民の生活にはほぼ節電の印象はなくなりましたが、実際には電力会社の発電総量は当時には戻っていません。日本が発電量を減らしながら持ちこたえている背景には、企業による節電努力があると言えそうです。また、2015年末の気候変動枠組み条約パリ条約で化石燃料、とりわけ石炭火力発電からの脱却が世界的なトレンドとなる中、日本では石炭火力発電の割合が2012年の31.0%から2016年の32.3%へと増加したことにも注目です。 各電力源の状況 水力発電(一般水力・揚水水力)  上記のグラフからの分かるように、1960年代まで水力発電が日本の主要電源でしたが、1975年に落差日本最大の黒部ダムが完成した頃からほぼ変化していません。水力発電は、維持コストが低く、CO2排出のない自然エネルギーである反面、ダム建設時の莫大なコストと水没による社会・環境コストが大きく、世界的な統計でも水力発電は、再生可能エネルギーとして扱われるケースと扱われないケースがあり、意見が分かれています。日本で水力発電が伸長しなかった背景には、1990年代以降の公共事業の見直し、2001年に当時の田中康夫・長野県知事が掲げた「脱ダム宣言」があり、大規模工事となるダム建設に社会全体が慎重になっていくという状況の変化がありました。  また、2015年には揚水式水力発電が0.7%を担っています。こちらも水力発電ですが、少し特殊な発電方式です。揚水式発電とは、電力需要の少ない夜間に電気を使ってポンプを動かし水を高地に引揚げ、電力需要の多い昼間に、その水を使って水力発電を行うというものです。電力を使って発電をするという方式のため発電総量を増やすことには寄与しませんが、昼間の最大電力量を増やす需給バランス調整機能として活用されています。  昨今では、再生可能エネルギー型の水力として「中小水力発電」にも注目が集まっています。こちらは巨大なダム施設を建設するのではなく、河川の自然の急流を利用して発電を行う中型・小型のタイプです。中小水力発電は、一般的な水力発電が持つ巨大な初期投資や水没というデメリットがないのですが、規模が小さいため、発電量そのものが小さくなってしまったり、河川の生態系へも悪影響を与えるという懸念もあり、日本ではほとんど建設されていません。 石油等  日本の火力発電は当初は石油が主要燃料でした。その背景には、中東からの石油販路の確保がありました。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらは1960年から2016年まで長期に渡る日本の原油輸入量の推移です。1960年から1973年にかけて、急速に原油の輸入量が増加していったことがわかります。当時の日本は高度経済成長期。日本の電力及びガソリン需要の増加していました。そしてその電力需要を賄うために、発電所建設コストの低い火力発電所の建設ラッシュが起き、その燃料として原油が用いられていました。  しかし、1973年から原油の輸入量は減少に転じます。第一次石油ショックです。発電を原油だけに依存することのリスク認識が高まっていきます。また、同時にマイカー時代の到来を支えるため、原油をガソリンに回す必要も出てきました。そんな環境下で、1975年、第3回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会が開催され、「石炭利用拡大に関するIEA宣言」が採択、石油火力発電所の新設禁止が盛りこまれました。その後も日本では、既存の石油火力発電所を石炭またはLNG火力発電へ転換することが促進されていきました。結果、火力発電の主役は、石炭やLNGに変わっていきました。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  東日本大震災まで石油での火力発電は減少の一途を辿ります。2012年からは増加に転じましたが、それ以上に石炭・LNGでの発電量は増えています。今でも火力発電と石油を結びつけて考えられることが多いですが、発電における石油の割合は大きくはありません。もちろん、原油はガソリンという貴重なエネルギー源でもありますので、エネルギー全体にとって重要性が低いわけでは決してありません。原油の輸入元も、過去しばらくは中東依存度を下げるためインドネシアからの輸入が増加していましたが、インドネシアの経済発展に伴い原油が輸出に回せなくなった結果、中東依存度は90%近くにまで戻っています。最近はイランからの原油輸入も減る一方、ロシアからの輸入が増えています。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会「エネルギー基本計画の要点とエネルギーを巡る情勢について」  原油価格のトレンドはこの数年で急速に変化しています。リーマンショックの2009年頃から原油価格は急速に高騰していきましたが、2014年秋から反落、今は2005年頃の水準に回帰しています。背景には、シェールガスやシェールオイルにより米国を始め世界中で化石燃料供給量が一気に増え、それに対し従来は価格調整機能を果たしていたOPECが対抗するために原油産出量を減らさない方針を発表したことがありました。その結果、石油火力発電のコストは減少していますし、この価格トレンドはこれからお話する、天然ガスや石炭の価格にも大きな影響を与えています。 石炭 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  こちらのグラフは日本の石炭の国内生産量と輸入量の推移を示しています。今ではほぼ100%が輸入石炭となりましたが、かつて日本は石炭大国でした。明治時代から日本では機関車や工場の燃料、製鉄業の原料として石炭を大量に生産していました。中学校の教科書に出てきた福岡県の筑豊炭田、三井三池炭鉱、映画「フラガール」の舞台となった福島県の常磐炭田、世界遺産となった長崎県の軍艦島を始め、日本には北海道・福島県・山口県・九州北部を中心に800近くの生産量の豊富の炭鉱がありました。ところが戦後、液体で輸送利便性が高くさらに熱変換効率も高い石油と、安価な海外石炭に押され、国内石炭は競争力を失いました。その後、炭鉱の閉山が相次ぎ、現在、釧路炭田が国内唯一の坑内掘り炭鉱です。  一方、第一次石油ショック以降、火力発電の主役となった石炭は輸入量を急速に増やしていきます。石炭は石油に比べて地理的分布が偏在していないのが特長で、日本の一般炭の輸入元は、オーストラリアが76.5%、インドネシアが10.8%で、二カ国合計で全体の87.3%を占めています。日本は数年前まで世界一の石炭輸入国として君臨し続けていましたが、ついに中国が日本を抜き、現在世界一の石炭輸入国となりました。中国は少し前では世界有数の石炭輸出国だったのですが、国内の石炭需要が急増し、輸入国となったのです。同様にインドも近年石炭輸入を大幅に増やしており、2014年に日本を抜き世界第二位の石炭輸入国となりました。世界最大の石炭輸出国であるインドネシアにも変化の兆しが見られます。2014年6月に、ロイター通信が、「世界最大の一般炭輸出国インドネシアが生産抑制と輸出管理強化に向けた新たな規制を検討していることが6日、政府関係者の話で分かった」と報じました。インドネシアも国内の石炭需要が増えていることで、石炭輸出を控えようと言うのです。このように、石炭の需給は逼迫してきています。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  輸入石炭の価格は、石油や天然ガスと比べ遥かに安いですが、それでも近年じわじわと上昇してきており、昨今の石油・天然ガスの価格下落に比して、石炭価格はそこまで下落していません。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  石炭の今後を見ていく上で、やはり注目は中国の動向です。 (出所)IEA "Key World Energy Statistics 2017"  実は中国は世界でダントツナンバーワンの石炭生産国です。その生産量32.4億トンで、2位インドの7億トンの約4.5倍です。その旺盛な石炭需要は国内の石炭だけでは賄い切れず、2010年には輸出国から純輸入国に転じました。2013年には世界最大の石炭輸入国となり、2014年の中国の石炭輸入量は3位日本の1.5倍の量まで増えましたが、2015年には大気汚染や気候変動の問題から中央政府が石炭への依存度を低減する政策に乗り出し、輸入量は日本と同等まで減少。しかしその後輸入は増え2016年には再び日本の1.3倍ほどに上がりました。 (出所)IEA  中国が膨大な石炭を必要としている背景には、石炭を用いた火力発電の伸長があります。中国は現在、再生可能エネルギーや原子力発電の建設を推し進めていますが、火力発電、特に石炭火力にかなり依存しています。石炭は石油や天然ガスと比しても世界での埋蔵量が多く、今後も安定的なエネルギー源として用いられていく見込みですが、需給が逼迫すれば当然価格は高騰します。また、石炭は他のエネルギー源に比べ、燃焼による窒素加工物含有量や硫黄加工物含有量が多く、後処理をしなければ深刻な大気汚染を引き起こします。環境対策も今後の大きな課題です。大気汚染問題を重く見た中国は、エネルギー消費量全体は伸ばしつつも、石炭の消費量は2014年以降は減少に転じています。 天然ガス (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  ガスと言うと、お風呂やガスコンロで用いられるガスのことを想像するかもしれません。確かにガスという燃料はそのまま家庭用や産業用に「ガス」という状態のままで使用されています。ところが、実際の日本での消費量を見てみると、都市ガスとして使われているのは全体の30%弱にすぎず、ほとんどのガス燃料は、火力発電のための燃料して使われています。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  天然ガスには、ガス採掘所から気体のままパイプラインを通して流通させるものと、一度冷却し液体状態にしたLNG(液化天然ガス)の2種類があります。ヨーロッパや米国では一般的に天然ガスはパイプラインで輸送されています。日本でも国内で採掘させる天然ガスはパイプラインで輸送されています。しかし国内天然ガスの採掘量は非常に少なく、日本は海外からの輸入天然ガスに頼っています。日本が輸入している多くの天然ガス産地は日本から離れており、LNGの形でタンカーに載って国内に入ってきています。  冒頭で紹介したように、日本は現在電力の44.0%を天然ガスで調達しています。では、その天然ガスはどこから輸入しているのでしょうか。 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2018」  過去の推移を眺めると、日本の電力会社や商社は、天然ガス調達のために次々と輸入元を開拓してきたことがわかります。特に、2000年代に入ってから依存度の高かったインドネシアからの輸入量が減少したこと、そして東日本大震災以後の原子力発電所の稼働停止に伴い、マレーシア、オーストラリア、カタール、赤道ギニアからの輸入量が増えています。また、近年、「サハリンⅡプロジェクト」等の進展によりロシアからのLNG輸入も始まっています。一方、米国からの天然ガス輸入が少ないことに疑問を持つ方もいるかもしれません。確かに米国では昨今シェールガス開発が急伸しています。米国から日本へのシェールガス輸入は2017年1月から始まりました。 (出所)CSIS  さて、ガスの価格はどうでしょうか。こちらは世界の主要市場である米国、ドイツ、英国、日本を比較したものです。この3本の線はそれぞれ違う動きを見せています。まず日本。東日本大震災後価格が急騰しているのがわかります。通常天然ガスは安定的な輸入供給を実現するため長期契約で価格を取り決めています。そして長期調達で融通しきれない場合は、スポットで取引されているものを買うことになります。日本は震災後、一気に購入量を増やしたためスポット市場でも取引を行い、需給バランスが売り手優位に動いた結果、価格が高騰しました。  一方、米国ではシェールガス革命が始まったおかげでリーマンショックからの経済回復後も価格は低位へと推移しました。また、欧州では安全保障リスクの観点からロシアからの天然ガス購入を控え、中東からの石油・天然ガス輸入を強化した結果、価格は下がってきています。日本でも2014年以降は、世界的なガス価格の低下の流れや、ガス供給者との価格交渉等により価格が下がってきています。 (出所)EIA  今後の注目はやはり米国でのシェールガス採掘の動きです。2015年時点での予測では、今後米国でのガスは大半がシェールガスとなっていく見込みで、全体のガス生産量も急増していくと言います。2014年後半のガス価格の下落以降、シェールガス開発の動きも少し緩慢になってきているといいますが、米国の潜在的なシェールガス産出規模は巨大です。膨大なガスが市場に出てきますし、2017年からは日本にも米国からのガス輸入が開始され、日本のガス輸入価格も下落していきています。また、日本政府やエネルギー各社、商社は協力して新たな天然ガスの調達先を開拓しています。米国では、中部電力・大阪ガスがフリーポートLNGプロジェクトに、住友商事がコーヴポイントLNGプロジェクトに、東芝がフリーポート(拡張)LNGプロジェクトに、三菱商事・三井物産がキャメロンLNGプロジェクトに関与しています。カナダでは、三菱商事がLNGカナダプロジェクトに、石油資源開発がパシフィック・ノースウエストLNGプロジェクトに、出光興産がトリトンLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石がオーロラLNGプロジェクトに関与しています。オーストラリアでは北部準州のイクシスLNGプロジェクトに、国際石油開発帝石が関与しています。インドネシアでは、東部のアラフラ海海上のガス田開発プロジェクトに国際石油開発帝石が関与しています。 原子力発電  東日本大震災後に原子力発電所が全て稼働停止となりましたが、その後も2013年まで少量ながら原子力発電量が存在している理由は、関西電力の福井県大飯発電所の原子力発電所が一時的に再稼働されていたためです。もともと原子力発電は、日本の高度経済成長期に膨れ上がる電力需要を賄うため政府主導で進められてきました。1955年12月原子力基本法が成立し原子力利用の大枠が決定、1957年には原子力発電を行う事業者として日本原子力発電が発足します。1963年に日本初の原子力発電に成功し、1966年には日本初の原子力発電所・東海発電所が完成し、商用の営業運転を開始しました。「省資源・二酸化炭素排出量ゼロ・エネルギー安全保障の確立」という夢の技術として期待された原子力発電は、2011年の東日本大震災で社会の捉え方が大きく変化しました。その後全ての原子力発電所は全て活動を停止しましたが、2015年8月に九州電力の川内原子力発電所が運転を再開、2016年2月に関西電力の高浜原子力発電所が運転を再開しました。しかし同3月大津地方裁判所の仮処分を決定、高浜原子力発電所は運転を再び停止しました。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)」  原子力発電の魅力的な点は発電コストの低さです。現在日本政府の検討会議で使われている比較データでも、原子力発電は最も発電コストの低い手法の一つとして扱われています。しかしこの発電コストの低さを強調する議論に対し、「原発事故が起こった場合の対策費用や社会的損失費用などがしっかり考慮されていない」という、原子力の発電コストの計算方法に異議を唱える人々も少なくありません。日本政府は2015年1月30日、経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に「発電コスト検証ワーキンググループ」を設置し、最新のエネルギー市場を踏まえて再度エネルギーコストを試算することとしています。 (出所)経済産業省エネルギー庁総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会「参考資料(事務局提出資料)」  また、日本政府が原子力発電を推進したいもう一つの要因は、日本の原子力発電産業の振興です。かつて原子力発電の将来の国内の主要電源として位置づけてきた日本は、原子力技術は言わば長期にわたって官民で投資してきた分野。これを海外に輸出することを産業振興の一つの柱としてきました。世界の主要原子力プラントメーカーは再編が進み、現在は3つのグループに分かれています。1つが三菱・アレバグループ、2つ目が東芝・ウエスチングハウスグループ、そして日立・GEグループで、いずれにも日の丸電機メーカーが入っています。しかしながら、東日本大震災以後、日本国内での原子力に対する期待が大きく下がる中、韓国・中国・ロシアの新興原子力プラントメーカーが台頭してきており、日本の産業界からは危機感が募っています。 (出所)日本原燃  原子力発電にはメルトダウンなどのリスク以外にも、放射性廃棄物の再処理・中間貯蔵・最終処分の問題があります。そのためもあり、日本政府が2014年4月に閣議決定した新しい「エネルギー計画」では、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」という方針が決まりました。しかしながら、全面廃止するという意味合いではなく、発電コストを下げるためにも、目下のところ経済産業省は原子力発電の再稼働に躍起になっています。 再生可能エネルギー(新エネルギー)  最後に、「未来のエネルギー」と呼ばれてきた再生可能エネルギーの状況を見ていきましょう。再生可能エネルギーと一言で言っても実は定義は曖昧です。経済産業省は、再生可能エネルギーと新エネルギーの用語を使い分けており、再生可能エネルギーは広義で、太陽光発電(PV)、太陽熱発電(CSP)、風力発電、地熱発電、潮力発電、バイオマス発電、水力発電などを全て含みます。一方で新エネルギーは、再生可能エネルギーから大規模水力発電、フラッシュ方式地熱発電、空気熱発電、地中熱発電を除いたものを指します。ですが、実態としては専門家の間でも定義は今でも揺り動いていますし、外国にいけばなおさら定義は異なります。  日本の2014年の電力事業者が行っている発電のうち、新エネルギーが占める割合は3.2%。震災前の2009年には1.1%でしたので多少は増えましたが、それでも微々たる数値です。期待されても期待されてもなかなか日本で導入が進んでこなかった理由はコスト面です。原子力発電所のコーナーでご紹介したように、再生可能エネルギーのコストは比較的高いと計算されているのです。しかしながら、近年諸外国では再生可能エネルギーは積極的に導入されてきており、技術革新が進展。結果として、コストはどんどん下がってきています。 (出所)IRENA  こちらは国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表したデータです。再生可能エネルギーの発電コストについて、2010年と2017年を比べたものですが、特に太陽光(PV)、太陽熱(CSP)でコストが大きく下がり、風力もコストが低減していることが見て取れます。背景には、太陽光発電パネルメーカーも風力発電機メーカーもグローバル規模で熾烈な企業競争があります。とりわけ、中国やインドなどの新興国メーカーの台頭が目覚ましく、それらが発電コストをどんどん押し下げてくれています。日本政府も、固定価格買取制度を2012年に本格開始しました。その後、電力事業者各社から送電網の不安定さを理由に電力買取を拒否する動きも出てきましたが、経済産業省は送電網強化指導に乗り出しています。  再生可能エネルギーのシェア目標については、低く設定されたままです。2010年6月に改訂された日本政府の「第3次エネルギー基本計画」では、原子力発電と再生可能エネルギー(水力含む)の比率を、2020年までに50%、2030年までに70%とする計画を打ち上げました。さらに、その中で、再生可能エネルギーが占める割合を、2020年までに全体の10%に達するという計画も含まれました。しかし、東日本大震災によって計画は方向性を失い、2018年7月の「第5次エネルギー計画」では、2030年目標として水力と再生可能エネルギーで22%から24%、原子力を20%から22%としています。  では、再生可能エネルギーはやはり期待できない電力源なのでしょうか。世界に目を向けるとそうとも言えません。世界各国の電力統計をまとめている国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2015年時点で世界主要国は再生可能エネルギーを重点的に強化しています。定義が異なるため、こちらの統計では日本の発電における再生可能エネルギー割合は8.2%(バイオマス発電が3.3%で牽引)です。この数値で比較していきましょう。ドイツはそれぞれ27.1%、同じ島国英国は23.8%、デンマークはなんと68.0%です。また、各国では2018年までの間にさらに再生可能エネルギー投資を活発化させており、年々この差は開いていきそうです。 電力の行方  電力問題の課題には基本的に2つの大きなテーマがあります。 ピーク電力需要の削減(ピークシフト・ピークカット) 電力コストの削減(再生可能エネルギーの技術革新)  ピーク電力需要の削減とは、1年や1日の中で最も電気を必要とする時間帯の電気使用量を減らすということです。電気は1日中満遍なく使われているわけではありません。基本的には夏の昼間が最も電力需要が大きく、春秋の夜は電力需要が著しく低下します。すなわち1日をかけて電力消費量を減らす必要はなく、ピーク時の電力需要を削減できれば発電容量を大きくする必要がなくなるというわけです。そこでピークシフトとピークカットという考え方が出てきます。ピークシフトとはピーク時に節電しピーク時でないとき電気を使うという電力需要の差を平準化する試みです。その方策としては、ピークでないときに蓄電してピーク時に使用するという供給側の対策と、電気料金を時間帯ごとに変えピーク時に高くそれ以外に安くすることで利用者のピーク時以外利用を促すという需要側の対策の2つが大きく検討されています。ピークカットとは節電技術を開発・導入して常時電力を下げるという方法と、ピーク時に活用できる太陽光発電などを利用してピーク時の商用発電量を減らすという方法があります。  一方で、電力コスト削減の突破口は技術革新です。特に上述したように再生可能エネルギーのコストは年々大きく低下しており、これは全て開発している研究者やエンジニア、企業や研究機関の努力によるものです。当サイトでも、太陽光、洋上風力、バイオマスの技術革新の様子をご紹介しています。この分野の技術革新には海外ではESG投資として年々多くの資金が投じられており、ますますテクノロジーの進化は進んでいきそうです。従事する企業にとっては国際競争がより激化していくことも意味しています。事業会社にとってもエネルギーの安定供給を実現していくことは企業のサステナビリティを高めることにも繋がり、アメリカのIT業界では再生可能エネルギーでの発電を自社で推進しています(参考:【IT】Greenpeaceの巨大な影響力 〜Amazon, Appleがクリーンエネルギー推進へ転換〜)。エネルギーの分野はこれからますます多くの企業の関心と協力を必要としていきます。

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【ポルトガル】世界初の水力・太陽光コンビネーション型発電所が運転開始

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 世界初の水力発電と太陽光発電を組み合わせた発電所が7月13日、ポルトガル北部のAlto Rabagãoダムで運転を開始した。Alto Rabagãoダムそのものが水力発電を開始したは1964年だが、今回ダムの水面上に、仏シエル・テール・インターナショナルが開発した水上太陽光発電設備「Hydrelioシステム」のパネルが840枚導入された。これにより発電量が68MWhから0.22MWh分上乗せできるという。水上太陽光発電設備だけで年間の発電量を332MWhにできる見込み。  今回Alto Rabagãoダムの水域に設置された水上太陽光発電設備は、土地開発が不要な上、環境にやさしくリサイクルも可能。さらにこれらのパネルには部分的な防水作用があり、水の蒸発を遅らせ、藻類の発生を低減させるメリットもある。シエル・テール・インターナショナルによると、世界の巨大ダム50ヶ所のうち約10%が同設備を導入するだけで、400GWの発電が可能になるという。

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【UAE】政府、2050年までのエネルギー戦略発表。再エネ44%、原子力6%、高効率石炭12%、ガス38%

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 アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム副大統領兼首相兼ドバイ首長国首長は1月10日、同国の今後30年間のエネルギー戦略「Dubai Clean Energy Strategy 2050」を発表した。現状0.1%にも満たない発電量に占める再生可能エネルギー割合を2050年までに44%にまで引き上げ、二酸化炭素排出量を70%削減する。さらに企業と家庭のエネルギー消費効率を現状より40%向上させる。  今回発表されたエネルギー戦略は、エネルギー関連の各当局と閣僚評議会(内閣に相当)が連携して作成し、エネルギー省と内閣総務・幸福省をはじめとする連邦政府の監督のもとでまとめられた。エネルギー戦略は全体として3段階で進められる。第1段階は、省エネの推進とエネルギーの多様化と安定を目標とする。第2段階は、交通分野のエネルギーで新たな手法を見出していく。第3段階では持続的なエネルギーを供給するための創発やイノベーションに加え、研究開発を進める。  2015年の時点でUAEの発電量割合は、天然ガスが約98%と大半を占め、残りのほとんどは石油。再生可能エネルギーは太陽光発電のみで割合は0.1%未満。原子力や水力はゼロ。今回発表したエネルギー戦略では、2050年までに、再生可能エネルギー44%、天然ガス火力38%、高効率石炭火力12%、原子力6%とする。  実現に向けては、2050年までに6,000億UAEディルハム(約18.5兆円)をエネルギー分野に投資する。現在ドバイ電気・水道局が世界過去最大の太陽光発電所(メガソーラー)「Mohammed bin Rashid Al Maktoum Solar Park」計画が進行しており、すでに完成した第1期の設備容量は1GW。第2期のプロジェクトも始まっており2017年4月に0.2GW、現在計画中の第3期では0.8GWが追加される。最終的には2030年までに5GW規模に拡大させる。第2期0.2GW分は、すでに25年間の電力購入契約(PPA)がまとまっており、売電価格は1kW時当たり5.89米セントと世界で最も低い金額。世界の注目を集めた。太陽光パネルは米ファースト・ソーラー製。建設はサウジアラビア系企業が受注している。  原子力発電では、2009年に韓国電力公社が4基(総額約5兆円)の運営を受注しており、2016年10月には同社はさらに60年間の運営権も獲得した。今年後半には1号機が運転を開始すると見られている。4基全ての完成は2020年の予定。韓国電力公社にとって、原発の建設から運営までを一貫して行う海外案件として初のケースとなる。 【参照ページ】Vice President unveils UAE energy strategy for next three decades

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【中国】石炭から再生可能エネルギーへのシフトを鮮明に。国家エネルギー局「エネルギー発展計画」発表

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 中国の国家発展改革委員会と同委員会直属の国家エネルギー局は1月5日、「第13次5カ年計画(2016年から2020年)」期間の包括的エネルギー政策を示した文書「第13次5カ年エネルギー発展計画」を発表した。国家発展改革委員会と国家エネルギー局は12月に再生可能エネルギー分野のエネルギー政策を記した「第13次5カ年再生可能エネルギー発展計画」を発表していたが、今回の発表により現5カ年計画のエネルギー政策の全体像が出揃ったことになる。  発表されたエネルギー政策は、主に、エネルギー消費量、エネルギー構成の調整、エネルギー生産地の調整、エネルギー効率、エネルギー安全保障、イノベーションのの6分野で構成されている。まずエネルギー消費量では、2020年まで国内のエネルギー消費量を標準炭換算で50億トン以内に抑えるとの目標を示した。中国がこうした目標を設定するのは初めて。同時に総消費量増加率を2011年から2015年までの第12次5カ年計画期の3.6%から1.1%下げ、2.5%に留めることも定めた。  エネルギー構成では、石炭割合を58%以下にまで低減させ、天然ガス割合を10%に、水力、原子力、再生可能エネルギーを含む非化石燃料エネルギー割合を15%にまで引き上げる。第13次5カ年計画期のエネルギー増加分の割合に対しては、非化石燃料エネルギーと天然ガスが全体の68%以上を占め、石炭に比べ3倍の規模で増強していくとした。また、石油エネルギーに関しては、大気汚染に悪影響を与える硫黄含有量の低減を行う燃費基準の厳格化と同時にバイオ燃料を用いた石油消費量そのものの低減も掲げた。 【参考】国務院、主要都市の排出ガス規制を「ユーロ5」並みに強化することを決定(2015年6月10日)  5年間で増加を見込む各発電設備容量は、風力発電79GW、太陽光発電68GW、水力発電60GW(うち揚水発電17GW)、原子力発電31GW、天然ガス火力発電44GW、石炭火力発電20GW未満。これにより2020年の発電設備容量は、多い順に、石炭火力1,100GW未満、水力380GW(うち揚水発電40GW)、風力発電210GW、太陽光発電110GW、天然ガス火力発電110GW、原子力発電58GWとなる。このように中国は原子力発電開発を進めているが、それ以上に風力や太陽光発電の増加率が非常に高い。またバイオエネルギー発電を15GW、地熱利用を標準炭換算で4,200万tにまで高めていくことも掲げた。さらに、今回の計画では、2020年までに、水力、風力、太陽光、バイオエネルギーで全体の15%以上を調達することを目標とした。  エネルギー生産地の調整では、従来から続いてきた「西部で生産し東部の消費地へ送る」という構造を改める。今後の方針としては、エネルギー消費地での生産に重点を置き、中国の中部及び東部での再生可能エネルギー開発を加速させる。そのため、開発する風力発電の58%、太陽光発電の56%は中部及び東部に集中させる。  エネルギー効率の向上では、主に石炭火力発電を対象に余剰発電設備の削減を実施するととともに、既存の石炭火力発電所の二酸化炭素排出量削減及び省エネ化に向けた施設改修を大規模に実施する。またピーク時電力需要対策のため、揚水発電や天然ガス火力発電の強化も実施する。エネルギー安全保障の側面では、エネルギー自給率を高めるため省エネを最優先事項とするとともに、国内での資源開発を推進していくことも盛り込んだ。そのため、新疆やオルドス盆地などでの資源探索、海洋資源探索などを推進していく。海外エネルギーの輸入では、「一帯一路」政策を通じて資源各国との関係強化を図る。最後にイノベーション分野では、新たな技術開発には、競争原理や市場原理が不可欠とし、国家による開発を推進しつつ市場メカニズムも採り入れていく。  世界のエネルギー消費大国中国は、石炭から再生可能エネルギーへのシフトを鮮明にしている。 【参考】【インド】政府、今後10年間の国家電力計画案を公表。石炭火力発電の新設をゼロに(2016年12月31日) 【参照ページ】能源局发布《能源发展“十三五”规划》等 【政策】电力发展“十三五”规划(2016-2020年) 【政策】可再生能源发展“十三五”规划

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【アメリカ】自動車大手GM、同社最大の風力発電エネルギー調達契約を発表

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 自動車世界大手GMは11月16日、再生可能エネルギー発電世界大手Renewable Energy Systems(RES)との間で、同社過去最大となる再生可能エネルギーの調達契約を結んだことを発表した。テキサス州コンチョ郡Cactus FlatsにRESが建設中の風力発電所から50MWを購入する。この発電所からの電力調達は2018年前半には始まる見込みで、GMの世界全電力使用量の6%が再生可能エネルギーで賄われることになる。  同風力発電所から調達される電力は年間で19万3000MW時。テキサス州オースティン市ののITイノベーション・センターや、Fort Worthにある同社の財務オフィス、その他の13か所の倉庫での電力需要を満たす。テキサス州アーリントン市にある組立工場では、現在でも総電力の半分を再生可能エネルギーで賄っているが、これにより再生可能エネルギー割合が100%となる。  同社は、太陽光発電にも積極的で、すでに太陽光発電での発電量が全米自動車企業の中で最大となっているが、さらに世界24ヶ所で太陽光発電の建設を進める計画。 【参照ページ】GM Makes its Largest Green Energy Purchase to Date

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【中国】国務院、温室効果ガス削減アクションプランを発令。石炭消費量を大幅抑制

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 中国政府の国務院(内閣に相当)は10月27日、温室効果ガスの排出抑制に関する規制「第13次5カ年計画における温室効果ガス排出抑制アクションプラン(“十三五”控制温室気体排放工作方案)」を制定したことを、11月4日に発表した。石炭火力発電を大幅に削減させるのが政策の柱。中国政府が石炭消費を抑制していく姿勢が明らかとなった。  アクションプランで定められた内容は、2020年までに対GDP比の二酸化炭素排出量を2015年比で18%削減し、エネルギー消費量も2015年比15%削減するというもの。試算によると石炭消費量を42億トン(47億ショートトン)に抑える。その代替として水力や原子力発電など非化石燃料発電がエネルギー供給量全体に占める割合を15%に引き上げる。大規模発電事業者に対しては1kW当たりの二酸化炭素排出量を550g以内に留めるよう命じた。  一方、再生可能エネルギーに対しては、中国はこれまで2020年までに太陽光発電150GW、風力発電250GWという計画を掲げていたが、今回発表では太陽光発電100GW、風力発電200GWへと後退した。背景には、再生可能エネルギーを電力系統網の接続限界に達していることがあるという。それに対し、水力発電目標は340GW、原子力発電は58GWとした。再生可能エネルギー懐疑派は、中国も再生可能エネルギーより原子力発電に力を入れているという言い方がされることもあるが、今回発表の計画では原子力より再生可能エネルギーの方が遥かに推進規模が大きい。  交通分野では、天然ガス発電を増加させるとともに電気自動車の普及を図り、天然ガスがエネルギー供給量全体に占める割合を10%前後にまで引き上げる。  アクションプランは他にも、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄という二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出抑制もさらに推し進め、植林などを通じて炭素吸収源の増加にも努めていくという。また優先開発区域(優化開発区域)の二酸化炭素排出絶対量を削減に展示させることに努め、とりわけ重化学工業分野では2020年頃にピークと以後削減とすることを謳った。さらに、全国規模の二酸化炭素排出権取引市場の整備、気候変動に関する法律や規制の強化、二酸化炭素排出削減成果を人事考課に反映させる仕組みづくりや責任追及制度も整備していく考えも見せた。二酸化炭素排出権取引市場については2017年に立ち上げ、2020年内に制度の完成を目指す。  アクションプランの中には、気候変動枠組条約パリ協定の尊重、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた貢献にも言及しており、二酸化炭素排出量の削減には各区・市に対しての達成目標も設定するなど、マクロとミクロの両面から細かい指示がされている。  中国はGDP世界2位であり、二酸化炭素排出量世界1位の大国。世界の温室効果ガス排出量削減も中国の本気度に左右されると言っても過言ではない。今回中国政府から石炭火力発電の大幅抑制の号令が出たことは、世界に大きな影響を与えそうだ。 【アクションプラン】“十三五”控制温室気体排放工作方案

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【台湾】蔡内閣、2025年までの脱原発、再生可能エネルギー20%を閣議決定。太陽光と洋上風力に投資

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 台湾の蔡英文内閣は10月20日、2025年までに原子力発電を廃止した上で再生可能エネルギーによる発電割合を20%にまで引き上げる政策を、行政院会議(閣議に相当)で決定した。台湾外交部(外務省に相当)のメディア「Taiwan Today」が10月21日報じた。さらに、この政策では、2025年までに現行の国営電力事業者である台湾電力公司を発送電分離し、発電会社と送配電会社に分割すること、これまで台湾電力公司が独占してきた発電事業を他の企業に許可し、再生可能エネルギー発電を分割後の発電会社に売電できるようにすること、再生可能エネルギー推進のために行政府に部署を新設することなども盛り込んでおり、台湾のエネルギー政策を大きく変える内容となっている。蔡内閣は今年末までに立法院(国会に相当)で法成立を目指す考えだ。  台湾の再生可能エネルギー発電割合は現在4%。これを2025年までに25%までにいっきに引き上げる。カギを握るのは太陽光発電と洋上風力発電だ。とりわけ太陽光発電の拡大を急ぐ考えで、政府はこの分野に1.2兆台湾ドル(約4兆円)を投資し、2025年までに現在1GWしかない太陽光発電設備容量を20GWまで20倍に増やす。さらに現在、政府は洋上風力発電について研究を進めており、台湾東岸に巨大な洋上風力施設を建設していく考えを示した。組織体制としては、再生可能エネルギー推進のため、経済部の中に太陽光発電推進部局を、内閣の直下に温室効果ガス削減部局を設置する組織改革を法案に盛り込んだ。  原子力発電政策についても大きく方向転換する。台湾では現在稼働中の原子力発電所は全部で3基。北部の第一原発で1基(604MW)、第二原発で1基(948MW)、南部の第三原発で1基(922MW)が稼働しており、2015年の原子力発電割合は14.1%。しかし福島第一原子力発電所事故以降、台湾の世論は原子力発電反対に傾き、前・馬英九国民党政権が推進していた第四原発(2基合計2,600MW)建設プロジェクトが建設途中に頓挫。今年5月に就任した蔡英文総統は、選挙活動中に脱原発政策を掲げた上で当選しており、今回の法案にも脱原発が盛り込まれることとなった。脱原発によって減少する14.1%の発電量は、再生可能エネルギー発電で代替していく。  発送電分離などの電力制度改革は2段階に分けて実施していくという内容。第1段階では、まず発電事業を規制緩和し、これまで国営台湾電力が独占してきた発電事業をその他の企業に認め、太陽光発電を地域社会や企業が実施できる体制を築く。続いて第2段階では、段階的に発送電分離を進め、発電事業者が配送電会社に対し売電できる仕組みを整えるとともに、電力消費者も電力会社を選べるようにする。  台湾は、全政権時代の昨年7月に「温室効果ガス削減及びマネジメント法」が成立しており、2050年までに2005年比で温室効果ガスを50%以上削減することを法律として定めている。台湾は太陽光発電やLEOの世界的な生産大国であり、蔡内閣は国内産業を活かし太陽光発電の導入とLEDへの切り替えによって、大幅に温室効果ガス削減を図りたい考えだ。現在3%しかないまた、政府はこれらの電力改革を行ったとしても電力の小売価格水準は変えない方針。  国内資源に乏しい台湾は、大きく依存する発電量の80%弱を依存する火力発電原料と、原子力発電のための核燃料を全て輸入している。政府は原子力発電割合を下げ、再生可能エネルギー割合を高めることで、現在3%しかないエネルギー自給率を向上させることができるという利点も挙げている。  島国の台湾は、日本と同じく、化石燃料発電と原子力発電に大きく依存してきた。さらに日本と違い国土の狭い台湾では水力発電も数%と日本より遥かに少ない。その中で、原子力発電を推進するのか、化石燃料に頼るのか、それとも再生可能エネルギーに活路を見出すのかという議論がここ数年、世論を巻き込んで繰り広げられてきた。日本が依然、原発再稼働と石炭火力発電新設に必死になり、再生可能エネルギーは電力価格が上がると忌避する中、お隣台湾のリーダーはついに、脱原発・再生可能エネルギー推進、電力価格据え置きという判断を下した。 【参照ページ】Taiwan moves toward opening renewable energy market 【参照ページ】Taiwan committed to 20 percent renewable energy target: VP

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【アメリカ】サンフランシスコ市、新築中層ビルへの太陽光パネル設置を義務化

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 サンフランシスコ市監理委員会は4月19日、今後新たに建設される10階建て以下の全建物の屋根に、太陽光発電パネルまたは太陽熱システムパネルの設置を義務付ける法律を全会一致で可決した。この法律は2017年1月より施行される。サンフランシスコ市は2020年までに再生可能な資源から電気を100%供給することを目標としており、今回の法律はそのひとつの具体策となる。  サンフランシスコ市政府は、全米の中でも稀な市と郡の権能を兼ねる「市郡(City-county)」制を採用している。そのため、サンフランシスコ市の正式名称は、"The City and County of San Francisco"と言う。市政府は、二府で構成され、行政府トップを市長が、最高意思決定機関である立法府を監理委員会(Board of Supervisors)が担う。サンフランシスコ市の管理委員会は11名で構成されている。今回、監理委員会が可決したことで、市長が署名すれば、正式に法律として発効される。  カリフォルニア州政府はすでに、屋根面積の最低15%を将来的に太陽光発電パネルを設置できるよう日光に露出させること義務化する法律が施行されており、今回のサンフランシスコ市の決定は州法に追加される規制となる。カリフォルニア州では他にランカスター市やセバストポル市といった小規模市で同様の義務化が制定されている。  サンフランシスコ市監理委員会のスコット・ウィエナー委員はさらに、「緑化屋根(Living roof)」の法制化についても取り組んでいる。緑化屋根とは、屋根で植物を栽培することで、低コストの断熱、大雨洪水の緩和、野生生物の保護などを同時に実現するというもの。この提案は翌週以降に監理委員会で議論される見込みだ。 【参照ページ】San Francisco adopts law requiring solar panels on all new buildings 【参照ページ】San Francisco Is Requiring Solar Panels on All New Buildings

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【エネルギー】太陽光発電の構造とテクノロジーの進化

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太陽光発電の技術的側面と今後の展望 太陽電池は、太陽光の力を利用して電気を発電する技術で、再生可能エネルギーの中でも注目が集まる技術です。太陽光のエネルギーを利用して発電を行う方法は大きく分けて、太陽光発電と太陽熱発電に分けられます。本記事では太陽光発電、一般的に太陽電池と呼ばれている方式の技術的側面を中心に説明します。 基本的な原理 一般的に太陽電池は、光の持つエネルギーを直接電気に変換する現象である「光起電力効果」を利用しています。一般的に光起電力効果は、物質に光をあてられることにより、電子にエネルギーが与えられる効果のことを指し、マイナスの電気を帯びた電子と、電子と対になるプラスの電気を帯びた正孔を発生させます。2種類のp型とn型と呼ばれる異なる性質の半導体を接合した際に発生するエネルギーレベルの差に従って、マイナスの電気を帯びた電子はn型へ、プラスの電気を帯びた正孔はp型へ向けそれぞれ動き出し、電流が流れます。このようにして光から電流を取り出すことが可能となります。(図1) 図1 太陽電池原理。半導体の接合とエネルギーレベルの対応関係。 太陽光は様々な波長の光を含んでいます。太陽の光の波長と取り出せるエネルギーの関係には、一般的に以下の関係が成立しています。 E…ある波長の光が持つエネルギー λ…光の波長 h…プランク定数 この式からエネルギーは波長に反比例することがわかります。エネルギーの状態を表現する方法にエネルギーバンドがあります。半導体のバンド構造にはバンドギャップと呼ばれるエネルギーレベルの隙間が存在しており、電子がこのバンドギャップを越えて遷移するには、バンドギャップを越えられるだけの高いエネルギーが必要なり、それ以下のエネルギーしか発生できない場合は絶縁体、それ以上のエネルギーを発生できる場合は導体なります。よってバンドギャップの大きさにより吸収できる光の波長が決まります。これら変換効率に関連する条件は材料の性質や構造に依存するため、太陽電池の電力変換効率を上げるためには、適切な材料を適切な構造で利用する必要があります。 基本的な構造 太陽電池の工学的な基本的な構造は、セル、モジュール、アレイの大きく3つに分けられます。図2にそれらの関係を示します。まずセルは、太陽電池の部品の最小単位で、上述の基本的な構造で記した半導体で構成されています。モジュールは、セルを敷き詰め、ガラスや樹脂で固定し、1枚の大きなパネルにしたものです。アレイは、それらのセルを並べて電気的に直列・並列に接続、利用するために例えば家屋の屋根に設置する形状のものです。太陽電池を装置として実用する際にはアレイの状態で利用されます。一般的に太陽電池材料の研究では、セル規模の大きさの実験試料を利用し、理想上の環境で性能データを測定するのに対し、実際上はアレイの状態で動作するため、最新の研究で発表されている最高変換効率と一般的に利用されている太陽電池の効率が異なる場合があるのは、この両者の環境の差にも起因しています。 図2 セル、モジュール、アレイの関係図 様々な種類の太陽電池と各種の動向 現在実用化されている太陽光発電は、素材や構造に違いがあります。図3、図4に現在の主な太陽電池の大まかな素材と構造による分類図を示します。 図3 主な太陽電池の素材による分類分けの図 図4 主な太陽電池の構造による分類分けの図 それぞれの特徴について説明していきましょう。 材料 シリコン 現在普及している太陽光発電機の大部分は半導体を利用したものです。その中でもシリコン(Si)タイプのものが大部分のシェアを占めています。シリコンはクラーク数(地球に存在する材料の指数で、大きいほうが多く存在する)が酸素に次いで2番目に高く、安価で安定的に存在する物質です。現在の太陽電池の大半がこのシリコンを利用して作製されています。シリコンタイプのものもシリコンの利用方法によって様々な種類に分けられます。 シリコンタイプの中で高効率を誇るものが単結晶シリコンタイプです。一般的に物質は規則性を持つ塊結晶には向きがあり、大きなひとつの結晶として捉えられるものを単結晶といいます。単結晶の場合、結晶の向きが小さな単位で様々な方向を向いている多結晶タイプと比較して変換効率が高くなる傾向にあります。しかし単結晶の作製には結晶の向きをそろえるための精製が必要なため作製コストが高くなりがちです。これに対し多結晶シリコンは、巨大な結晶を精製する必要が無いため作製コストを低く抑えることができます。多結晶は、比較的小さな単結晶が様々な方向を向いたまま、まとまったものです。同じ時間で10倍ほどの結晶を得ることができます。また比較的大きなセルを作製することもできます。ただし、性能も数%程ですが単結晶のものよりも劣ります。 結晶タイプのほかにも薄い膜の形状である薄膜タイプのものもあります。通常のシリコン結晶ですと吸収係数が低く薄膜には適しませんが、水素と反応させた水素化アモルファスシリコンでは吸収係数が大きくなるため、この水素化アモルファスシリコンを用いた薄膜太陽電池が実用化されています。アモルファスとは物質の構造が結晶のように揃って規則的に配列していない状態を指します。水素化アモルファスシリコンは、結晶シリコンに比べ吸収係数(単位長さあたりの吸収できる光の量)が大きいため、薄膜化しても利用できることから、電卓などの比較的消費電力が少なくても可動するシステムへ利用されています。 化合物半導体型 シリコンの間接遷移型と呼ばれるエネルギーバンドの構造上、直接遷移型物質の方が性能面では優れています。半導体の重要な特長のひとつとして、様々な材料を組み合わせることで、材料の性質を変化させ、性質を比較的容易に調整することが可能な点が挙げられます。太陽電池でもこの半導体の特長を生かしたものがあります。メンデレーフの周期表によるグループの名前がついたりなど、種類は多岐にわたります。 メンデレーフの周期表における13列目および15列目の半導体はそれぞれIII族、V族と呼ばれ、それらの組み合わせの物質体系はIII-V族型と総称されます(先述のシリコンは、間のIV族)。これらの化合物半導体は、比較的他の結晶との混ぜ合わせが容易で、様々な特性を持つ太陽電池が開発されています。代表的なものではGaAs等があげられます。 III-V族系と同様に周期表の12列目と16列目の物質を組み合わせた材料をII-VI族化合物と呼びます。一般的にII-VI族系の物質の特徴は、物質の価格が安価である点が挙げられます。代表的なものはCdTe等です。銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)で構成されるCIGS系は比較的新しいグループの太陽電池です。吸収効率が良く、薄膜に利用できる点や、放射線耐性が優れているなど今後の発展が期待されています。 有機薄膜型 半導体のほかにも、炭素を含む有機材料を利用した太陽電池も幅広く研究が行われています。現段階では発電効率は数%と低いですが、半導体などの無機物質と比較して価格が安価である点が、最大の利点として挙げられます。また有機物質には曲げられるという特長があり、曲げても破損しないなど、半導体タイプの太陽電池にはない特性を持っています。熱に弱いなど、課題点は多々ありますが、今後の発展が期待される方式です。 色素増感型 色素増感型は1991年にスイス連邦工科大学のグレッツェル教授らにより提案された比較的新しい方式です。この方式では半導体結晶を使わず粉末や液体物質を利用します。半導体方式と比較して材料が安価であることから低コストで、構造が比較的シンプルであることから製作コストも抑えることができます。一般的な色素増感型の方式ではレアメタルであるルテニウム(Ru)を利用している点が材料面では費用がかさむひとつの原因となっていました。比較的安価な有機物質を利用して低コスト化を目指している方式など今後の高性能化および低コスト化が期待されています。 ペロブスカイト型 結晶構造のうち灰チタン石(CaTiO3)と同じ構造を持つ物質をロシアの研究者L. A Perovskiにちなんでペロブスカイト型と呼びます。ペロブスカイト系物質の特長として比較的物質が安定で合成が容易である点があげられます。一部の有機物と無機物により構成されるペロブスカイト型物質では、液体材料を薄く塗り乾かすだけで薄膜が作製できることが報告されています。後述の表からも分かるように、最高効率も、他の種類の太陽電池と比較して最高速度で年々順調に上昇しており、今後の応用が注目されています。 構造 発電時の変換効率は材料選定だけでなく、発電素子の構造によっても向上させることができます。材料選択による発電時変換効率の限界は現在は20%程ですが、素子の構造を最適化することで変換効率をさらに上げられることが、理論的には予測されています。構造の最適化にも様々な種類があります。 多層構造 異なる波長の光を吸収するバンドギャップを持つ材料を重ねて接合させた構造(ヘテロ構造)を用いたものを多層構造と言います。多層構造は、多くの波長の光を吸収することで、セル単体の太陽光吸収率を上げることができます。典型例としてはInGaP、GaAs、InGaAsの集光型化合物3接合セルで40%を超える効率を達成しています。材料により、層同士の接続可否などの課題がありますが、今後の更なる向上が理論的には見込まれています。 量子ナノ構造型 スケールがごく小さい数十ナノメートルほどの大きさの領域では、量子効果と呼ばれる我々の世界とは異なる固有の物理現象が起こります。その量子効果を太陽電池に応用したものが、量子ナノ構造型です。量子ドットや量子ナノワイヤはごく小さいナノスケールの"点"や"線"を作製し、量子効果により、吸収できる太陽光の波長領域を拡大することで、大幅な変換効率の向上を図る取組がなされています。これらの固有の構造を利用した高変換効率を持つ太陽電池は、材料や加工方法ともに非常に高価になる傾向があるため、再生可能エネルギー発電向けの太陽電池よりも、価格は考慮する必要がほぼ無く、設置するスペースが狭く制限されている宇宙関係の開発向けへの活用が期待されています。 各種太陽電池の最高変換効率の遷移 NRELが作成したグラフ(図5)によると、2014年現在で最高効率の太陽電池はSoitec社の4接合型かつ集光したのもので44.7%を記録しています。シャープの3接合型のものが44.4%と続きます。4接合以上で集光をしていないタイプの最高はBoeing-Spectrolabで38.8%, 3接合で集光していないものではシャープが37.9%がトップです。GaAsの単接合、2接合ともにNRELの34.1%、31.1%です。GaAsの薄膜ではAlta Devicesの28.8%、GaAsの単結晶ではFhG-ISEの26.4%が最高です。 シリコン系では、単結晶集光型のAmonixの27.6%が最高ですが、ここ10年ほど記録が更新されていません。多結晶の20.4%も同様です。ヘテロ構造ではパナソニックの25.6%、単結晶単体ではNRELの25.0%、薄膜ではSolexcelの21.2%が最高です。薄膜系では、Solexcel の集光CIGSが23.3%、続いて集光しないZSWの21.7%、First SolarのCdTe21.0%が続きます。アモルファスではLGの13.4%が最高です。新型として比較的新しい技術として出てきたものではペロブスカイト型がSolibro KRICの20.1%、色素増感型では11.9%、有機系では三菱化学の11.1%、有機タンデム型では住友化学の10.6%、量子ドット型ではトロント大学が9.2%を記録しています。比較的まだ効率の低いタイプは大学などの研究施設が多いのに対し、高効率は各企業がリードしています。高効率の太陽電池は年々最高記録が更新され、トップが毎年入れ替わる状況が続いています。 図5 各種太陽電池の種類別最高効率の遷移(出所:NREL 編,Best Research Cell Efficiencies) 新型技術 最新の研究では、上記のような現在すでに実用化されている太陽電池の他に、新たなタイプの太陽電池も登場しています。 無機物質と有機物質のハイブリッドタイプ 有機物質と無機物質を利用したものは既に色素増感型やペロブスカイト型物質などで報告されていますが、更なる向上が期待されるタイプです。ペンタセンは有機ELにも利用される有機物質で、葉の中に天然に存在します。ペンタセンと適切な物質を用いると、エネルギー効率を飛躍的に向上させることができ、結果として理論的な太陽電池の最高変換効率が95%程になると予想されています。 University of Cambridge, Credit: Maxim Tabachnyk アップコンバージョン発光物質 アップコンバージョンとは、比較的低いエネルギーの光を、比較的高いエネルギーの光に変換する方法です。これにより、従来利用できていなかった低いエネルギーの光を高いエネルギーに変換することで、太陽電池の効率を上げることができます。一般的には発光特性に特殊な性質を持つランタノイドが用いられています。現在は研究段階ですが、今後の発展が望まれています。 デザイン性に富んだ太陽電池 一般的なイメージでは、太陽電池パネルは濃い青色のパネルを思い浮かべることかと思います。最近ではその一般的な青色のパネル以外にもデザイン性に富んだ太陽電池が開発されています。 透明な太陽電池 光の波長と色には密接な関係があります。人間の目に見える可視光と呼ばれる約400nmから800nmの範囲に入らない波長の光は、人間の目には見えません。その目に見えない波長の光を利用して発電する透明な太陽電池の研究・開発が進んでいます。従来の太陽電池は可視光を吸収するために色のついたものである必要がありましたが、不可視光の吸収を可能とする新しい太陽電池には色をつける必要がないということです。透明な太陽電池を利用すれば、太陽電池の機能を持つ窓ガラスの開発なども可能になってきます。 カラフルな太陽電池 透明な太陽電池とは対照的に、先述の色素増感型に適当な色素を用いることで、カラフルな色を持つ太陽電池も作製することができます。この性質を利用して、ステンドガラスの太陽電池なども近々登場するかも知れません。 今後の展望 太陽光発電は今後も注目の集まる再生可能エネルギーの一つです。今後は大規模商用化へ向けたさらなる低コスト化や、集約型施設へ向けた高効率化のみならず、新型の登場により新たな需要の創造も実現していきそうです。 各技術の詳細や今後の可能性については様々な説があり、専門的な領域になるとさらに多くの科学的な背景や前提知識や条件が必要になるため、詳細の内容については専門書をあたられることをお勧めいたします。また例としてあげた代表的な企業以外にも取り組んでいる団体は多岐にわたりますので、詳細につきましては自ら更なる調査されることをお勧めいたします。 文:サステナビリティ研究所研究員 ケンブリッジ大学 篠原肇

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2015/01/13 体系的に学ぶ

【アメリカ】気候宣言 企業が政治家に対して気候変動への対応を要求

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Appleなど、アメリカ・カリフォルニア州を拠点にしている120社以上の企業は、気候変動がもたらすビジネスチャンスを掴むため、連邦議会議員と州議会議員に対して行動を要求する宣言「気候宣言」に署名した。他に署名した企業は、太陽光発電設備を提供するSolarCityやSungevity、バイオ燃料を手がけるSapphire Energy、エコハウスメーカーのKB Homeの他、温室効果ガス排出量削減に取り組むサンディエゴ国際空港なども名を連ねた。気候宣言は、サステナビリティーに関する総研であるCeresが仕掛け人。すでに、全米で800社が署名しており、その中には、GM、ユニリーバ―、GAP、eBayなど錚々たる企業が参加している。今回、カリフォルニア州の企業が多数参加したことで、署名宣言の政治力は大きく増す形となった。カリフォルニア州は、2013年に大規模の干ばつ被害に直面し、またAB32という気候変動に関する州法をいち早く整備するなど、環境に対する意識が非常に高い。同州は再生エネルギーの開発において、2012年も太陽光発電産業で43,700人以上の雇用(アメリカにおける同産業の雇3分の1に当たる)を、風力発電において7,000人以上の雇用を生むなど、再生可能エネルギーの分野でアメリカ合衆国を牽引している。2013年には、屋上太陽光パネルの設置量が1000MWから2000MWへと倍増。州政府が強力に推し進めるエネルギー効率プログラムの影響もあり、経済活動が活発な州でありながら、人口一人当りのエネルギー消費量は全米48位と極めて少ない。今回、署名に及んだカリフォルニア州の企業は、カリフォルニア州のエコ推進姿勢を評価し、再生可能エネルギー関連事業が大きく発展する土壌ができたことを誇りに感じてる。いずれの企業も、再生可能エネルギーが大きな収益事業になると信じ、連邦政府に対しても大きな変革と後押しを求めている。環境に対する意識が薄い思われているアメリカだが、営利企業からエコ推進の狼煙が上がっている。

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