private 【台湾】経済部、2019年再エネ固定買取価格決定。洋上風力は原案から引き下げ幅を縮小

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 台湾経済部は1月30日、2019年の再生可能エネルギー固定買取価格を決定した。洋上風力発電の固定買取価格は、2018年11月の原案発表時には大幅に低下するとしていたが、今回引き下げ幅が縮小され、緩やかな引き下げに修正された。 【参考】【台湾】GWEC、台湾政府の洋上風力FIT価格大幅に引下げに反発。産業損なうと再考要求(2018年12月20日)  洋上風力の買取価格は、1kWh当たり5.8498台湾ドル(約20.8円)から (more…)

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【台湾】GWEC、台湾政府の洋上風力FIT価格大幅に引下げに反発。産業損なうと再考要求

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 風力発電国際業界団体の世界風力会議(GWEC)は12月11日、台湾政府が検討している洋上風力発電の固定価格引き下げについて声明を発表。洋上風力産業における台湾政府のリーダーシップを損なうことになると再考を求めた。  台湾経済部は11月下旬、2019年の洋上風力発電の固定価格買取制度(FIT)での買取価格案を発表。1kWh当たり5.8498台湾ドルから5.106台湾ドルに下がり、市場の予測を大幅に上回る12.71%の削減幅となった。台湾経済部は、2018年末までに新価格案についてパブリックコメントを求めるとし、来年2月に最終発表するとしている。大幅削減の理由については、導入コストが削減していることが一つの理由と説明した。  さらに台湾経済部の新価格制度では、洋上風力発電のFITでの固定価格買取を年間3,600時間に制限すると発表し、それ以降はFIT価格が適用されないとの案も示した。また、FIT価格の「階段価格表」も廃止すると表明した。  これに対しGWECは、洋上風力発電事業からの売上は年間で20%も低下すると懸念を表明。さらに年間時間制限を課させると投資リターンがさらに不透明になり、投資が集まらなくなる危惧も評した。台湾政府は今年4月と6月に、洋上風力発電の海域指定及びプロジェクト募集を実施し、設備容量5.5GWのプロジェクトが決まったばかり。GWECは、今回の政策案は、台湾の洋上風力発電産業を損なうものと反発した。  一方、台湾の蔡英文政権は、石炭火力発電及び原子力発電から再生可能エネルギーへの大規模シフトを進めたところ、市民から電力料金増加の懸念が広がったため、FIT価格の引き下げに走ったとの見方もある。 【参考】【台湾】住民投票、蔡政権の脱原発・同性婚政策にNO。石炭火力発電縮小は支持(2018年12月4日) 【参照ページ】GWEC calls on Taiwan government to rethink proposed changes to Feed in Tariffs to protect its leadership position in offshore wind, investment in the sector and jobs

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【日本】経産省、未稼働事業用太陽光発電案件の買取減額・運転期限設定を決定。開発中案件は適用除外

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 経済産業省は12月5日、事業用太陽光発電の未稼働案件について、買取価格を「系統連系工事の着工申込」の受領時期によって減額したり、FIT認定取得時からの運転開始期限を設定する新たなFIT制度改正を決定した。同省の小委員会は10月15日、改正案を示したものの、未稼働だが開発が進められているプロジェクトも対象になることに対し海外からも批判があり、今回原案内容を一部修正し、最終決定した。  2012年7月のFIT制度開始以降、FIT認定を受け、系統容量を確保しているものの未稼働となっている事業用太陽光発電案件が数多くある。例えば、10kW以上と設定されている事業用太陽光発電のうち、2012年認定案件では23%が、2013年認定案件では49%が、2014年度認定案件では59%が未稼働。一方、事業用太陽光発電は急速にFIT買取価格が、2012年度の40円/kWhから2018年度は18円/kWhにまで大幅に下がっているものの、未稼働案件は現行制度上、稼働時に認定時のFIT買取価格が適用される。同省はこれを「国民負担」と位置づけ、買取価格を減額できるよう改正した。  今回の改正は、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」が10月15日に開催した第9回会合の中で原案が示された。それに対し、在日米国商工会議所(ACCJ)、豪州・ニュージーランド商工会議所(ANZCCJ)、在日カナダ商工会議所(CCCJ)、在日フランス商工会議所(CCIFJ)、欧州商工会議所(EBC)の在日商工会議所が11月21日、共同声明を発表。「日本の市場ルールの安全性、安定性及び予見可能性に対する信頼を損なうおそれがあり、ひいては、日本への投資・日本経済の成長を阻害することにもなりかね」ないと厳しく批判。開発中の案件については、買取価格減額等の適用対象から除外するよう要求した。  最終発表された改正内容では、「開発工事に真に本格着手済みであることが公的手続によって確認できるものに限り、今回の措置(適用される調達価格の変更及び運転開始期限の設定)を適用しない」と言明。また猶予期間も設けた。また、今回新たに運転開始期限が設定される事業についても、系統連系工事着工申込み前であれば太陽光発電パネルの変更を行っても調達価格が変更されない仕組みとしコストダウンが図れるようにした。但し、太陽光発電パネルの変更を行うと、適用対象から除外されなくなる。 【参照ページ】FIT制度における太陽光発電の未稼働案件への新たな対応を決定しました 【参照ページ】第9回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会 【参照ページ】Joint Statement on Proposed Measures Regarding Renewable Power Project Development and Investment

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【イギリス】政府、再エネ固定価格買取FITの新規受付を2019年3月31日に終了の意向。CfDは継続

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 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は7月19日、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の新規受付を2019年3月31日に終了させる政策案をまとめた。9月13日までパブリックコメントを受け付け、その後最終判断を下す。英国政府は2015年、同日までのFIT終了の方針を掲げていた。  英国では、2002年から電力事業者に対し再生可能エネルギーでの発電を一定程度義務付けるRO(Renewable Obligation)制度が導入され、2010年から5MW以下の小規模発電所を対象とした固定価格買取制度(FIT)が導入された。それにより、再生可能エネルギー発電設備容量は、2010年末の9.3GWから38.9GWの急増。一方、2012時点ではFITにより75万の申請が集まるとしていた予想は大幅に上回り、2017年末時点で80万に到達。それに伴い、固定価格買取制度を支えるための消費者への電気料金転嫁は当初年間4.4億ポンド(約640億円)と見ていたが、2020年には16億ポンド(約2,300億円)にまで到達した。  そのため英政府は、これ以上の電気料金負担を抑制するため、2017年度から予算に上限を適用していくことを表明。また、再生可能エネルギー発電コストが低下する中、固定価格買取制度なしでも事業が成り立つケースが出てきていることもあり、2019年3月31日をもってFITの新規受付を停止する考え。  英国では2015年から、固定価格買取制度(FIT)とは別に、差金決済契約制度(CfD)も導入されている。FITが予め政府により電源種別毎に買取価格が長期間固定で設定されるのに対し、CfDは発電事業者と電力の買い手と成る政府系企業との間で契約により長期間の固定価格(ストライク・プライスと呼ばれる)を設定する制度。英エネルギー・気候変動省が、2015年に第1回の公募結果を、2017年に第2回の公募結果を発表。対象となる電源種別は、洋上風力、潮力、廃棄物火力、嫌気消化、バイオマス混焼、地熱の他、原子力やCCS付火力にも認められている。今回小型発電所を対象としたFITは終了させる考えだが、大型発電所を対象としたCfDは残る。 【参照ページ】Feed-In Tariffs Scheme 【参照ページ】Contracts for Difference (CFD) Scheme 【参照ページ】Contracts for Difference

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【日本】経済産業省、第1回メガソーラー入札結果発表。最安値17.2円/kWh

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 経済産業省は11月21日、2,000kW以上の大型非住宅用太陽光発電(メガソーラー)の2017年度第1回入札結果を公表した。再生可能エネルギーの固定価格買取制度では従来、政府が決める一律の固定価格での買取がなされていたが、増加するメガソーラーに関しては今年から入札制度が導入され、売電希望価格が安い案件から電力を買い取る仕組みに転換した。今回は8社が落札し、売電価格の最安値は1kWh当たり17.2円だった。 【参考】【日本】経済産業省、2017年度のFIT買取価格を発表。地熱、洋上風力、超小型水力以外は総じて低下(2017年3月29日)  経済産業省は、2017年度と2018年度(7月、12月予定)の2年間で合計3回の入札を試行的に実施。募集電力容量は第1回か第3回までの合計で1から1.5GWとしている。そして、今回実施された2017年度第1回入札では、募集電力容量が500MWに、買取上限額1kWh当たり21円に設定された。それに対し、入札参加資格の審査のために提出された事業計画数は29件(合計489.840kW)と全ての案件が入札に参加すれば募集要領とほぼ同等だったが、実際に入札したのはわずか9件(141.366kW)に留まった。結果、9件は全て落札された。背景には多くの企業が買取上限額以下の金額を提示できず、入札に参加しなかったためと見られている。入札に参加しない場合は、次回以降にあらためて参加するか、FIT制度を用いずに売電または自家消費することになる。  指定入札機関の一般社団法人低炭素投資促進機構の発表によると、9件の落札者と入札価格は、 落札企業入札価格設備容量(kW) HINA17.207,260 カナディアン・ソーラー・プロジェクト17.9715,400 自然電力18.9718,000 自然電力19.3910,500 QソーラーB19.5012,000 X-Elio1719.9530,000 ハンファエナジージャパン20.4930,006 ロイヤルリース21.005,600 新日邦21.0012,600    最安価格を提示したのは千葉県のHINA。しかし目立つのは海外勢。太陽光世界大手カナディアン・ソーラー・プロジェクトの案件1件、韓国ハンファQセルズの案件が2件入っている。太陽光パネルの価格は海外で大きく下がっており、大手太陽光パネルメーカーが競争優位性を持つ。再生可能エネルギー世界大手独juwi(ユーイ)と提携している福岡県の自然電力も2件落札した。落札企業は、入札価格で売電することになる。調達期間は20年間。 ※価格は税引き (出所)株式会社ニューラル  固定価格買取制度(FIT)が導入された時点の買取価格40円に比べ、今回の入札で買取価格はほぼ半減したことになる。それでもドイツ、フランス、オランダの買取価格は10円前後、英国でも約15円という状況と比較すると、依然として日本のメガソーラーの買取価格は高いことになる。それでも今回、多くのメガソーラー事業者が入札を見送らざるをえなかった背景には、太陽光発電の建設工事費用が高すぎることが指摘されている。 (出所)経済産業省  来年に実施される入札募集は第2回が6月、第3回が12月に開始される予定。買取上限額は今回の入札結果を考慮し引き下げられる見込み。 【参照ページ】第1回入札(平成29年度)の結果について

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【日本】経済産業省、2017年度のFIT買取価格を発表。地熱、洋上風力、超小型水力以外は総じて低下

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 経済産業省は3月14日、2017年度の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の新規参入者向け買取価格を発表した。  太陽光発電は、10kW未満の住宅用、10kW以上2,000kW未満の中型非住宅用、2,000kW以上の大型非住宅用の3つに分類されている。まず、住宅用については、ダブル発電型ではない従来型のものは3円低下。ダブル発電型は昨年価格が維持される。中型非住宅用は、同じく3円低下。大型非住宅用は、法令による一律の価格設定から入札制に移行。落札した価格が買取価格となるため、売電競争が激しくなれば価格が大きく下がることになる。  風力発電は、陸上風力のうち20kW未満の小型のものは昨年と同じ。一方、20kW以上のものは1円下がる。また今年度から新規設置ではないリプレース型のものについても価格が定められ、新規設置に対して3円低く設定された。今後大きな成長が期待される洋上風力は価格が維持された。  地熱発電は、15,000未満の小型、15,000kW以上の大型ともに、価格維持となった。また今年度からはリプレース型のものについても価格が定められた。  水力発電は、発電容量による区分分けが行われ、1,000kW以上5,000kW未満の超小型タイプは3円アップ、5,000kW以上30,000kW未満のものは4円下がった。既設導水路活用型でも、1,000kW以上5,000kW未満の超小型タイプは1円アップ。5,000kW以上30,000kW未満のものは3円ダウンとなった。  バイオマス発電は、木質バイオマスや農作物廃棄物等を原料とする主流タイプは、20,000kW以上のものと、それ未満のものに区分分けされ、大型は3円ダウン、小型は価格維持となった。それ以外を原料とするものも価格は維持。 【参照ページ】再生可能エネルギーの平成29年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました

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private 【エネルギー】世界と日本の地熱発電の現況〜日本、アメリカ、フィリピン、インドネシア、アイスランドを中心に〜

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地熱発電が適した国  地熱発電は、地球が発する熱を利用したエネルギー源です。地球が発する熱は、地球上に均等に存在しているわけではありません。地球中心部の熱源は、プレートの境目に付近に多く表出しており、ホットスポットと呼ばれています。地熱発電には適している地域とそうでない地域があるのです。 (出所)オーストラリア・ビクトリア州政府HP  結果として、地熱発電が可能な国は、その立地する地理的環境によって自ずと決まってきます。地熱資源量が多い国は、上位から、アメリカ、インドネシア、日本、フィリピン、メキシコとトップ5は全て環太平洋火山帯(Ring of Fire)に属しています。6位のアイスランドは大西洋上のホットプルームという特殊な地熱資源環境に位置しており、7位のイタリアはアルプス・ヒマラヤ火山帯(Alpide Belt)に属しています。また、アフリカの大地溝帯(Great Rift Valley)も地熱資源量の多い地域です。 (出所)資源エネルギー庁「地熱資源開発の最近の動向 2012」  一方、上記の地熱発電設備容量は、各国での地熱発電への取組具合を反映しています。地熱資源量と地熱発電設備容量のトップ8は全くの同じ顔ぶれです。その中でも、フィリピンが積極的に地熱に力を入れていることと、地熱資源量第3位の日本は設備容量ランキングでは8位と大きく出遅れていることが目立ちます。 (出所)EIAをもとにニューラル作成  世界中のエネルギー情報を集めている米エネルギー情報局(EIA)の統計によると、2012年に地熱発電を行った国は世界で24ヶ国。トップを走っているのは、地熱資源量・地熱設備設置容量でもトップを快走するアメリカです。それを追うのが、フィリピン、インドネシア、ニュージーランドで、特にこの10年ほどで急速に発電量を増やしているのが見て取れます。イタリア、アイスランドの欧州勢も大きく伸長しています。一方、減速しているのがメキシコと日本です。今地熱の世界では何が起きているのか。日本、アメリカ、フィリピン、インドネシア、アイスランドを中心に、現状をウォッチしていきます。 地熱発電が停滞する日本  日本で初めて地熱発電所が実用化されたのは1966年。岩手県八幡平市の松川地熱発電所が日本第1号の実用地熱発電所です。日本重化学工業社が4年の歳月と20億円をかけて建設しました。最大出力量は23,500kw。現在も稼働している現役の発電所です。当時は戦後の電力不足に日本中が苦しんでいた時代。黒部川第四発電所のある黒部ダムも1963年に竣工。その中、地熱発電にも新たな電源としての活躍が期待が集まりました。1960年代は世界各国も地熱発電の開発を進めた時期でもあり、日本は地熱の世界でトップランナー群に属していたと言えます。松川地熱発電所は、現在は、東北電力のグループ会社、東北水力地熱が所有しています。 (出所)Wikipedia  1970年に入り地熱発電の開発は加速します。きっかけは、第1次オイルショック(1973)でした。国は主導して石油代替エネルギーの一つとして地熱発電の開発を本格的に進め、資金面でも通商産業省工業技術院が策定した「サンシャイン計画」により多額の予算が投じられます。火力原子力発電技術協会のレポートによると、地熱発電の技術開発や資源探査、開発費の補助等に係る国の関連予算は、1974年度の8.3億円程度から徐々に増加し、1980~1997年度にかけて年間130~180億円で推移したと言われています。この流れを受け、電気事業者以外にも三菱マテリアル社が東北で、出光興産社が九州で地熱発電分野に参入しました。この時代、東北地方と九州地方を中心に、合計18か所に地熱発電所が建設されます。 (出所)国立環境研究所 (出所)経済産業省エネルギー庁「エネルギー白書2014」  しかしながら、1998年度以降は予算が徐々に削減され、地熱発電は停滞します。そして、最後に電力事業者が建設した地熱発電所は、1999年に運転を開始した八丈島地熱発電所。現在まで、東京電力が保有する最初にして唯一の地熱発電所です。最大出力は3,300kwと小規模ですが、八丈島で消費される電力の1/3を賄っています。この八丈島発電所の運転開始から今日まで16年間、日本で大型の地熱発電所は建設されていません。国の予算削減の背景には、(1)電力事業者に新エネルギー導入を促す1997年の新エネ法で、従来型のフラッシュ方式地熱発電が促進対象から外されたこと、(2)環境省による自然公園内での開発規制、(3)温泉業者からの反対、という社会情勢がありました。現在、全国18の地熱発電所で生産されている電力量は、年間2,600GWh。数が大きいように言えますが、日本の総発電量のうち、わずか0.025%を占めているにすぎません。  また、地熱発電設備容量の新設がストップして以降、2012年まで地熱発電量はどんどん減少しています。「再生可能」を謳う地熱発電量の年々減少してしまう理由としては、地中から汲み上げた熱水に溶け込んでいる鉱物が井戸(鉱井)や発電所の配管、タービンなどの表面に付着していくスケール(水垢)という現象や、計画時に地下水容量を実力値以上に見積もった結果、地下水の枯渇化が進んでしまったという計画の不備などが指摘されています。2006年には、地下熱の低下でも発電が可能なバイナリーサイクル方式が八丁原発電所に導入されましたが、全体の減少を覆すまでには至っていません。  2012年に固定価格買取制度が始まり、バイナリー型の地熱発電は固定価格買取の対象となったことを受け、地熱発電の開発は多少なりとも動き出しています。大型の地熱発電所の建設は、検討から竣工まで数年から十数年を要するため、まだ固定価格買取制度の適用を受けた大型地熱発電の新規運転開始実績はいまだゼロですが、既存の温泉源と共存活用できる小型のバイナリー型地熱発電施設は2014年頃から営業を開始し、電力会社への売電がスタートしています(コスモテック社のコスモテック別府バイナリー発電所[出力500kW]、新日本科学社の指宿市発電施設[出力1,500kW])。しかしながら、3万kWを超える大型の地熱発電の建設は、すでに公表しているものだけで14件あるものの、依然として建設着工にまで漕ぎつけたものはない状況です。 (出所)経済産業省資源エネルギー庁「平成25年度調達価格検討用基礎資料」  日本が世界第3位の地熱資源量を誇りながら地熱発電の開発が進まない阻害要因について、国立国会図書館の報告は、自然公園法と温泉法の問題を指摘しています。まず、自然公園法。日本の地熱資源賦存量の約8割は自然公園内に存在しており、1957年に制定された自然公園法は自然公園内の地熱発電の建設を大きく規制しています。特に1972年に当時の環境庁自然保護局と通商産業省公益事業局の間で取り交わされた覚書では地熱発電の開発地点を6地点(大沼、松川、鬼首、八丁原、大岳、葛根田)に制限することが決まり、その後6地点以外の国立・国定公園内での地熱開発の道は閉ざされることになりました。東日本大震災後の2012年、ようやく環境省は「国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて」という通知を出し、自然公園の中で第2種及び第3種特別地域については、一定の条件のもとで傾斜掘削による地熱開発が個別に認められる可能性を示しました。  一方、1948年に制定された温泉法は、温泉の保護のため、温泉事業者や地熱発電事業者など温泉地で掘削を行う者に対し、都道府県知事の許可が必要と定めています。ところが現実としては、温泉の賦存量に関するデータや温泉の採取による湧出量等への影響に関する科学的知見が不足しており、科学的な根拠に基づく許可・不許可判定は難しく、都道府県は対応に苦慮してきました。環境省は2012年に「地熱発電の開発のための温泉掘削等を対象とした温泉資源の保護に関するガイドライン」を策定し、都道府県に対して具体的・科学的な判定基準を提示しました。これにより、行政手続きはスムーズ化されましたが、ガイドラインで定められている掘削前の事前データ収集のためのモニタリングは、相応の時間を費やすため、その実施者には大きな負担となっていると、国立国会図書館の報告は指摘しています。  事業の採算性も地熱発電の普及にとって欠かせない問題です。地熱発電は原油発掘と同様、地質探査、ボーリング調査、発電設備建設に巨額の資金と約10年の歳月を要し、数十年という長期スパンでROIを出していくプロジェクトです。環境省が定める傾斜掘削や事前モニタリングは、自然環境保護のための配慮ではありますが、地熱発電プロジェクトにとって資金面・時間面で大きな足枷となっているのもまた事実です。そこで、経済産業省は、環境影響評価機関の短縮や、地熱資源探査リスクの軽減のために助成金で支援をしています。2015年に営業運転を開始した前述の新日本科学社の小型バイナリー発電所も、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業として資金援助を受けた上で実現しました。このように、地熱発電にはかなり大規模なインフラファイナンスが必要となる以上、政府からの援助だけでなく、インフラファイナンスというプライベートエクイティの発展とリスクマネーの担い手がますます必要となっています。 (出所)Geothermal Energy Association "2015 Annual U.S. & Global Geothermal Power Production Report" 世界の地熱発電大国アメリカ  地熱発電設備容量・地熱発電量の両分野での世界のトップは30年前からアメリカです。環太平洋火山帯を構成する西部の火山地帯にある広大な土地を中心に数多くの地熱発電所が営業運転しています。特に活発なのが (more…)

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2016/08/06 体系的に学ぶ

【日本】ブルームバーグ、温室効果ガス26%削減に向けた政府のシナリオと現状との矛盾を指摘

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 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は6月2日、日本政府による温室効果ガス排出削減目標の発表を受け、日本の現在のエネルギー事情を分析したレポート"Japan’s likely 2030 energy mix: more gas and solar"を発表した。BNEFはレポートの中で、日本政府が発表した2030年までの温室効果ガス排出量を2013年比で26%削減という目標自体は現実的だが、政府が提示した目標達成シナリオは日本の実情と大きくかけ離れていると指摘している。BNEFの主な分析内容は下記の通りだ。 原子力  日本政府は原子力発電が38GWの稼働能力に相当する総電力供給量の20~22%を占める予測しているのに対し、BNEFは最も楽観的な再稼動シナリオだとしても最大26GWの電力しか賄うことができないと分析している。また、BNEFの分析によれば、原子炉の寿命を40年以上に延ばすにあたっての費用と規制負担を考慮すると、2030年の原子力発電による電力供給率は10%以下となるとしている。20~22%の供給率を達成するためには原子炉の新設が不可欠になるが、現在の政府方針では新設が明確に拒否されており、矛盾があるという。 火力  日本政府は2030年には石炭、ガス、石油による火力発電割合が電力供給の56%になり、2013年の87%から大きく下がるとしているが、一方のBNEFは火力発電の割合は65%までしか下がらないと推定している。両者の推定の大きな違いは主にガスに対する予測の違いによるもので、日本政府は石炭、ガスが26%、27%と同程度まで下がると見込んでいるのに対し、BNEFは石炭が23%、ガスは42%としており、現状の日本のインフラ設備やパイプラインプロジェクトなどを考慮すると、ガス割合は政府の予測ほど下がらないとしている。 再生可能エネルギー  また、再生可能エネルギーの普及については、日本政府は現状の固定価格買取(FIT)制度への設備認定申請件数に基づき太陽光発電による電力供給率が2030年には7%に到達すると推定しているが、一方のBNEFはその数値が12%になると見込んでいる。BNEFの分析では、日本においても他国と同様にFIT制度などの支援体制の縮小に伴い太陽光発電が他の電力に匹敵する価格競争力を持つようになるとしている。  これらの分析を踏まえ、BNEFは現状の日本政府の展望は「温室効果ガスの削減」と「政治的に望ましい原子力・石炭火力の保護」という競合する2つの目標を擦り合わせようという試みのように見えると指摘している。  BNEFで日本の分析を担当しているAli Izadi-Najafabadi氏は「現在の市場傾向と政策を分析したところ、日本政府の展望とは大いに違うそれぞれの供給率に至った。ただし、我々の試算においても2030年までに2013年と比べて28%の温室効果ガス排出削減が実現されるため、政府の排出削減目標は十分に現実的だ」と語った。  掲げた目標数値自体は現実的に達成可能なものだとしても、そのシナリオが正しくなければ結果として目標の達成は実現できない。国際的に認められる目標数値の提示はもちろんだが、その中身についても現実性が問われている。 【レポートダウンロード】Japan’s likely 2030 energy mix: more gas and solar 【参照リリース】TOKYO TOO BULLISH ON NUCLEAR, TOO BEARISH ON GAS AND SOLAR 【企業サイト】Bloomberg New Energy Finance

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【エネルギー】再生可能エネルギー政策は失敗したのか? 会計検査院報告を読み解く

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会計検査院が過去5年間の再エネ公共事業の成果を監査 10月8日に、会計検査院が「再生可能エネルギーに関する事業の実施状況等について」という報告書を発表しました。これを受け、読売新聞が「故障・苦情…国補助金の再生エネ41設備が休止」というニュース記事をリリース。再生可能エネルギーに懐疑的な人々からは、ツイッターやブロクなどで「言わんこっちゃない。」「もうやめようよ。税金ををドブに捨てるようなもの。」などの声が上がっています。一体何が、書かれていたのか。今回は、会計検査院の報告書の中身をご紹介したいと思います。 ちなみに、会計検査院とは、政府の税金の使い方に関する監査を行う機関。企業に例えるなら監査役による会計監査と似ています。会計検査院の監査は税務調査のように選択式で実施されており、今回は最近注目されている再生可能エネルギー案件も対象となりました。但し、今回の報告において、東日本大震災で被害が大きかった岩手県、宮城県、福島県は対象外となっています。 読売新聞の記事で設備の休止がクローズアップされたことで、政府による再生可能エネルギー事業そのものが失敗だと非難する声が上がっていますが、本当にそうなのでしょうか。一般的にプロジェクトの成否を判断するには判断軸が必要です。政府による事業にも同様に成否を測る尺度が必要。では、再生可能エネルギー事業における成否の尺度とは何でしょうか。本来的には、政策目標である再生可能エネルギー比率の向上にどれだけ貢献しているか、さらにその政策目標をいかに低コストで実現できたのかが尺度と言えそうです。しかしながら、今回の会計検査院の報告にはこれらのデータは示されていません。替わりに用いられている主要なデータは、?各補助金の金額、?補助金によって建設された再エネ設備の数、計画エネルギー量と実績エネルギー量です。これらからは、補助金の投資効率はわからないものの、補助金によって何が生み出されたのかがわかるようになっています。 国庫投入と固定価格買取制度 国が行っている再生可能エネルギー推進事業には大きく分けて2つあります。1つ目は、補助金を投じて再生可能エネルギー設備そのものを直接的に増やそうというもの。もう一つは、電力会社に再生可能エネルギーによる電力を強制的に固定価格で買い取らせることで、市場原理を用いて再生可能エネルギー設備を増やそうというもの。巷で話題の固定価格買取制度は当然後者です。ちなみに、読売新聞が報じた41設備云々という話は、前者の補助金事業によるものの話であり、固定価格買取制度によって進んだ民間の大規模再生可能エネルギー施設等は全く関係ないということは先にお伝えしておきます。 2009年度から2013年度までの過去5年間で投入された国庫の額を報告書から計算しました。 過去5年間で総額4,763億円が投じられています。また国庫のほとんどは、地方政府による中規模の再生可能エネルギー設備と、住宅用の太陽光発電設備(経済産業省が太陽光発電協会を通じて補助金を給付している事業)に投じられています。また、この国庫によって建設された又は建設が補助された設備は合計約110万。住宅用の太陽光発電普及のための助成を除いた国と地方政府双方によるものだけでも7,836設備あります。 次に容量の内訳を見ていきましょう。発電設備の合計は629万kW、発熱容量は115MJ/hです。629万kWと言われてもピンとこないかもしれません。ちなみに、福島第一原子力発電所の1号機から6号機までの合計が約470万kWですので、福島第一原子力発電所の1.3個分に相当するということです。住宅用を除いた国・地方政府の合計は154万kWで、関西電力の美浜原子力発電所の容量が167万kWですので、これより若干下回る程度です。エネルギー関連にお詳しい方であれば、発電設備容量がそのまま実際の推定発電可能量を表すことではないということはご存知かと思います。例えば、常時容量いっぱい稼働可能な原子力発電所に比べ、風がないと風力発電は発電できませんし、雨天では太陽光発電は発電できません。そこで続いて、発電量の計画値と実績値を見ていきましょう。 (※データは2013年度の数値) 上記は地方政府が国庫を活用して導入した6,628設備のうち、年間計画発電量が設定され、かつ発電実績が把握できる4,407設備の2013年度のデータです。まず、注目すべきは、再生可能発電全体において計画値に対して発電実績が96.4%と悪くない数値であるという点です。何かと槍玉にあげられる太陽光発電においては計画値に対して112.6%とかなり好調です。もうひとつの注目すべき点は発電量が絶対量としてどのぐらい高いのかという点です。地方政府の導入設備の年間発電量は合計約26億kWh。これを6,628設備全体に換算し直すと約41億kWh。震災前の2010年度の福島第一原子力発電所の年間発電量が約330億kWhですので、およそ8分の1の発電量を地方政府が導入した再生可能エネルギー発電で賄っている計算になります(美浜原子力発電所の2010年度年間発電量121億kWhを基点とすると約3分の1です)。この福島第一原子力発電所の1/8という数値のインパクトは捉え方により意見が異なりますが、5年間で地方政府だけで大型原子力発電所の1/8の電力を賄うの発電所を設置したというのは、決して少ない数字ではないと思います。 さらに、上図で示した地方政府の設備設置場所を見てみると興味深いことがわかります。まず、設備のうち太陽光発電が占める割合が極めて高く(95.5%)、中でも、学校、庁舎、ごみ処理施設、上下水道施設、その他の公共施設という既存の政府関連施設の太陽光発電だけで全体の80%を占めています。新たに用地を確保することなく、既存施設のスペース活用だけで、福島第一原子力発電所の1/8を賄えているということはとても優秀だと言えます。 41設備が休止の意味 さて冒頭が示した41設備が休止の意味を見ていきましょう。会計検査院の報告書では、国・地方政府により設置された7,836設備を対象とした調査で、現在41設備が休止していることを明らかにしています。 ここでの注目点は、?7,836設備のうち活動休止はわずか41設備で、7,795設備は稼働している(稼働率99.5%)、?休止41設備のうち故障原因解明中や修理中のものが21と半数を占める、?再稼働予定のない設備はゼロ、ということです。故障や修理については他の発電設備でも避けられないことであり、地方政府導入の設備は基本的に高い稼働率を誇っていると言えます。会計検査院は報告書の中で、休止中の設備について、中央政府から地方政府に対して再稼働か廃止かを迫るよう求めているのも事実ですが、それは一般的な話であり、何も会計検査院が再生可能エネルギー設備に対して烙印を押しているわけではありません。 また、報告書の中では、すでに7設備が廃止されたことも明らかにしていますが、そのうち、やむを得ない故障が2件、事故が2件、建物売却が1件、事業中止が1件、経営破綻が1件であり、事業者の過失や都合による4件については国庫補助金が返金されています。(事業中止の1件については、文部科学省の補助金事業であり、こちらについては返金規定が未整備で返金されないようです。) 固定価格買取制度は国庫とは無関係 ここまで、政府の補助金による直接的な再生可能エネルギーの拡大事業をみてきましたが、では固定価格買取制度についてはどうでしょうか。まず、繰り返しになりますが、固定価格買取制度においては、国庫の負担はありません。電力会社が発電事業者から電力を固定価格で買い取る財源については、電力消費者から賦課金という形で徴集されているからです。 固定価格買取制度については、政府から対象設備として認定を受けた件数(認定件数)に対して、実際に運転を開始した件数(導入件数)が著しく低いということが、以前からメディアなどでも指摘されてきました。 この状況に対して、会計検査院報告書では、 経済産業省は、特段の理由なく認定設備の運転を開始しない事業者がいるとして、24年度中に認定を受けた運転開始前の400kW以上の太陽光発電設備計4,699件(これに係る認定出力1331万kW)について、認定基準等を踏まえて当該設備を設置する場所及び当該設備の仕様がそれぞれ土地の取得若しくは賃貸借又は発注により決定しているかなどについて再エネ法の報告規定に基づき調査し、26年2月にその結果を公表している(図表2-8参照)。この調査結果によれば、設置場所又は仕様のいずれかが未決定のもの、いずれも未決定のもの及び調査に対し未回答等のものがあり、その認定件数は計1,643件(4,699件の34.9%)、これらに係る認定出力は737万kW(1331万kWの55.3%)となっていた。そして、経済産業省によれば、これら1,643件の再エネ発電設備について、順次、行政手続法(平成5年法律第88号)に基づく聴聞を開始し、聴聞においても当該設備の設置場所及び仕様が未決定と認められた場合には、当該設備の認定を取り消すこととしている。 と経済産業省が対策に乗り出すことを明らかにしています。 また、国庫が投入されていないと言えども、国民から賦課金という形で強制的に徴集をしている政策でもあり、無駄のないお金の流れについて注意するよう会計検査院も報告書の中で呼びかけています。 再生可能エネルギーの国庫補助金事業は失敗とは言えない 再生可能エネルギー事業に5年間で投下された4,763億円。この税金投入は意味があった、事業が成功したというためには、税金投入の資金効率性や再生可能エネルギー比率の向上、ひいては国民のエネルギー予算全体の削減への寄与、CO2排出量の削減への寄与など、最終的なアウトカムに関するデータ収集がまだまだ必要です。しかしながら、今回の会計検査院の報告を見る限りにおいては、再生可能エネルギーに対する国庫補助金は無駄遣いであったとか、再生可能エネルギーそのものが失敗しているとは言えないのではないかと思います。特に税金を投下した事業では、主に既存施設のスペースを活用するだけで、大規模原子力発電所の数分の一の規模の発電をすでに実現していますし、さらに住宅用の太陽光発電も急速に増加してきているからです。41設備の休止というのも全体のわずか0.5%であり、全てが再稼働を予定していることを考えると、地方政府の補助金申請過程で審査がある程度はしっかりと機能していた言うことができます。 日本にとってしばらく重要な課題であり続けるエネルギー問題。重要であるからこそ、方向性についての見極めが非常に大切です。すでに取り組まれている予算投下プロジェクトは、謂わば判断の上での試金石。今回は会計検査院の報告書を細かく紹介してきましたが、試金石の判断においては感情的な判断や決め付けは結果の意味を取り違える危険性が大いにあります。大事な問題だからこそ、しっかりとした分析と議論が必要なのではないかと考えています。 文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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2014/10/19 体系的に学ぶ
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