【インタビュー】小田急電鉄が国内鉄道会社初のグリーンボンド発行 〜事業地域密着型のIRと広報〜

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 関東の大手私鉄の一つ、小田急電鉄が2019年1月、国内鉄道会社初のグリーンボンド発行を決定した。発行額は100億円。年限は3年、利率は0.10%。愛称は「小田急ゆけむりグリーンボンド」で、個人投資家向け。主幹事は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券とみずほ証券。  グリーンボンドは、環境関連プロジェクトを資金使途とする債券なのだが、小田急電鉄は今回の調達資金を、車両の新造・リニューアル、複々線化事業、ホーム延伸・ホームドアの設置などの駅改修に使うという。これらのプロジェクトが、鉄道会社にとってどのような環境との関連性があるのか。CSR・広報部の須永文雄課長、財務部の石渡智也課長、財務部の阿部俊介氏に話を伺った。 (右)須永文雄 CSR・広報部課長 (中)石渡智也 財務部課長 (左)阿部俊介 財務部資金担当 今回のグリーンボンドの概要は? 石渡智也氏  当社グループは、運輸業をはじめとして、流通業・不動産業など、さまざまな分野で事業を展開しています。航空機や自動車に比べ二酸化炭素排出量や大気汚染物質の少ない鉄道は、気候変動対応として脚光を浴びるようになってきており、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)でも、鉄道事業は「クリーン輸送(Clean Transportation)」としてグリーンボンド使途としての適格事業に位置付けられています。海外では鉄道事業に関するグリーンボンドの発行事例は多くあります。  さらに当社では、鉄道事業を運営する上でも、電力消費量を削減するため、消費電力削減効果のある車両の新造及び既存車両のリニューアルを以前から継続的に実施しています。今回のグリーンボンドについても、それらに調達資金の多くを充当する予定です。 車両の新造やリニューアルでどのような環境インパクトが見込めますか? 須永文雄氏  やや細かい話になりますが、今回資金使途とする車両の新造・リニューアルでは、通勤車両用の「1000形」、特急ロマンスカーとして使っている「EXE(30000形)」と「GSE(70000形)」の3タイプを対象とします。一般的に、鉄道車両は40年程度使用しますが、当社では、15年から20年経過を目途にリニューアルを実施し車両を長く使っています。リニューアルを行うのは、その間の技術進化により省エネルギー性能が向上することも理由の一つです。  例えば1000形通勤車両は、もともとは1988年に就役しました。その車両を2014年から順次リニューアルを実施し、従来型に比べ体積・重量ともに約80%小型軽量化された新型の「VVVFインバータ制御装置」に切り替えています。それにより消費電力を約40%も削減でき、二酸化炭素排出量も約40%削減できます。2018年9月時点で、196両ある1000形車両のうち、すでに50両がリニューアル済みで、残りの車両のリニューアルも進めています。  VVVFインバータ制御装置のVVVFとは、可変電圧可変周波数の英語の略でして、交流モーターの電圧と周波数を変化させ、電車の加速度をコントロールする装置です。新型のVVVFインバータでは、熱に強く、スイッチング損失の少ないフルSiC素子を採用したことで、車両のブレーキ時に発電する「回生ブレーキ」の効率が大きく向上し、消費電力を削減することが可能となりました。  同様に、特急ロマンスカーでも、2018年に就役したGSE(70000形)は、2005年就役のVSE(50000形)に比べ消費電力を約30%削減でき、1980年に就役したLSE(7000形)と比較すると、一編成あたり約80%も削減できます。今回、LSEの2編成をGSEに切り替えました。また、1996年就役の特急ロマンスカーのEXE(30000形)も、リニューアル後のEXEα(30000形)では消費電力と二酸化炭素排出量が約20%減ります。2018年9月時点で、リニューアル前のEXE(30000形)が50両、リニューアル後のEXEα(30000形)が20両という構成です。  他にも、全密閉式主電動機や低騒音コンプレッサー等を採用することで、走行時の騒音や振動を抑制することができます。  さらに今回の使途とは直接関係はありませんが、当社では車両の廃車・解体によって発生する廃棄物の金属は、可能な限りリサイクルしています。 残りの使途は? 石渡氏  輸送需要に対する改善策として以前から取り組んできた線路の複々線化工事が終わり、代々木上原~登戸間約11.7kmの複々線化が完成しました。これに伴い、2018年3月から新しいダイヤによる運行を開始し、輸送力の増強や所要時間の短縮、速達性の向上など抜本的な輸送サービスの改善を実現しました。鉄道輸送の効率化による消費電力の削減や、自動車から鉄道へのシフト効果などにより、二酸化炭素の排出量削減に貢献できるものと考えています。  また、さらなる輸送サービスの改善に向けて、代々木八幡駅と開成駅ではホーム延伸工事を、代々木八幡駅から梅ヶ丘駅までの6駅ではホームドア設置工事を実施します。ホーム延伸やホームドア設置は、乗客の安全性を向上できるとともに定常運行にも寄与するため、鉄道輸送の魅力を高めることにもつながります。 環境へのインパクトをどのように測定しますか? 石渡氏  調達資金は、グリーンボンド発行から約2年以内に支出することにしています。また、調達資金の全額が充当されるまで、当社ウェブサイトで毎年、資金充当状況と環境インパクトを報告します。  資金使途の中で、最も二酸化炭素排出量削減効果を可視化しやすい車両の新造及びリニューアルについては、輸送1km当たりの二酸化炭素排出削減量を中心に、騒音・振動の低減度合いを測定します。線路の複々線化やホーム延伸・ホームドア設置については、平均遅延時間や回数の改善効果、平均混雑率の改善効果や所要時間の短縮効果を公表する予定です。  これらの環境インパクトを勘案したセカンドオピニオンでは、Sustainalytics(サステイナリティクス)からは、グリーンボンド原則に対し「適合」との評価を、日本格付研究所(JCR)からもグリーン性評価で最も高い「g1」の評価を得ました。 資金使途の中にはすでに実施済のプロジェクトもありますね 石渡氏  はい。例えば、特急ロマンスカーGSE(70000形)の就役は2018年です。線路の複々線化も2018年3月に完了し、朝のラッシュピーク時における主要駅から新宿までの所要時間が最大10分程度短縮されました。  ICMAのグリーンボンド原則では、既存のプロジェクトのリファイナンスを使途とすることが認められています。またグリーンボンド原則では、リファイナンスについてはルックバック期間を明確にすることを求めていますが、今回のグリーンボンドでは、ルックバック期間を過去2年間と設定しました。今回、当社のグリーンプロジェクトのうち、すでに資金支出が完了している案件については、その一部を手元資金にて支払ってきました。そのため、当該案件によって減少した手元資金への充当についても、資金使途としております。 調達資金の分別管理の方法は? 石渡氏  調達資金の充当と管理は財務部が担当し、エクセル等のシステムによってプロジェクトへの充当状況を管理します。未充当資金については、充当までの間、現金または現金同等物として管理します。もし今後充当予定のプロジェクトが中止となった場合には、適格クライテリアに適合する新たなプロジェクトに充当します。 阿部俊介氏  JCRのグリーンボンド評価は、私が直接担当しましたが、調達資金管理の妥当性や透明性について、厳密なチェックがありました。当社の資金調達や設備投資の状況についてきちんとお伝えしたところ、資金管理面でも最も高い「m1」の評価を、グリーンボンド全体としても最上位である「Green 1」の評価をいただけました。   今回のグリーンボンドを個人投資家向けにした背景は? 石渡氏  今回のグリーンボンドは、当社としては82回目の無担保社債発行となりますが、個人投資家向けの社債発行には以前から力を入れており、今回債で37回目の発行となります。個人向け社債の発行を続けているのは、当社が小田急線沿線の社会や人々との一体感を大切にしているためです。そのため、社債だけでなく株式についても、証券会社にもご協力いただき、沿線を中心とした個人投資家の方々に、幅広くご購入いただきたいと考えております。  当社の個人の株主や社債購入者の方々には、心理面でも当社のファンになっていただきたいと考えております。ですので、より一層、当社の状況や取組内容を深く知っていただけるよう、駅貼りポスターやパンフレット等で積極的な広報を行っています。今回のグリーンボンド発行でも、当社の環境への取組を知っていただくだけでなく、ご自身の資金が当社のグリーンプロジェクトに充当されることで、当社の環境に配慮した事業の推進及び環境改善に寄与しているという点をご理解・ご実感いただければ幸いです。 小田急電鉄として環境面での次の行き先は? 須永氏  小田急電鉄本体の車両の省エネへの取組は、技術革新が進めば進むだけ改善の余地があると思いますし、小田急グループの他の鉄道会社やバス会社などでも、二酸化炭素排出量の抑制を図れる余地があるかもしれません。また、運輸業以外でも、不動産業でのグリーンビルディング推進は、今後の大きなテーマになってくると思います。  電力の電源面でも、2014年から世田谷区の喜多見電車基地内と周辺施設に太陽光発電パネル(発電容量590kW)を設置し、固定価格買取制度(FIT)を活用した売電事業を開始しました。さらに、12ヶ所の駅にも太陽光発電パネルを設置し、鉄道施設での自家消費をしています。 石渡氏  今回のグリーンボンド発行は、当初こそ財務部から話を切り出しましたが、CSR・広報部との深い連携のもとで進めることができました。正直申し上げて、以前の財務部は環境プロジェクトに対する理解が不足していた面は否めません。ですが、今回のプロジェクトを機にCSR・広報部との距離感が一気に近くなりました。 須永氏  CSR・広報部でも、これまでステークホルダーに向けたESG情報の発信には課題を感じていました。今回、グリーンボンドの発行を通じて、当社の考えやアクションを多くのステークホルダーに知っていただく良い機会になったと感じています。

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【インド】国有インド鉄道、太陽光発電電力での鉄道運行検討開始。4GWの石炭火力代替効果

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 国有のインド鉄道は、線路脇のスペースに太陽光発電パネルを敷設し、鉄道を太陽光発電電力で走行させるプロジェクトを検討している。1月16日、インド紙タイムズ・オブ・インディアが報じた。石炭発電から太陽光発電へのシフトともに、インド鉄道にとって電力コストを削減する効果が期待されている。  今回のプロジェクトは、インド新・再生可能エネルギー省(MNRE)所管の太陽光発電会社Solar Energy Corporation of Indiaが、インド鉄道に提案したもの。太陽光発電電力をインバーターを通じて直接、鉄道に電力供給する装置を導入することにより、個別に太陽光発電用の送電網やインバーターを整備するより費用が抑えられるという。現在、インド鉄道の取締役会での検討に入っている。  今回の計画では、太陽光発電を10州に敷設。これにより4GWの石炭火力発電所を代替できる。インド鉄道は現在、単位当たり5インドルピー(約7.7円)で電力を購入しているが、導入後は初年度の電力コストを20%、次年度以降は40%の削減できる見込み。太陽光発電会社は、インド鉄道に売電することで、パネル敷設コストや運営費用を回収する。  今回の計画に対しては、線路脇の太陽光発電パネルから鉄道へ電力を供給する装置の開発に、ABB、華為技術(ファーウェイ)、デルタ、Sungrow Power Supply(陽光電源)等が関心を示している。  ピユシュ・ゴーヤル鉄道・石炭相は、今回の計画により、インド鉄道の二酸化炭素ネット排出量を2030年までにゼロにできると大きな意気込みを見せている。インド鉄道もすでに2025年までに5GWの太陽光発電パネルを設置すると発表していた。すでに駅舎や鉄道列車屋根に太陽光発電の設置を開始している。 【参考ページ】Indian Railways drawing 4 GW solar project bid for powering locos

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【ラオス】中国とラオスを結ぶ鉄道建設、ラオス市民4,400世帯が強制移住。政府補償にも遅れ

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 ラオスと中国を結ぶ鉄道路線建設が2016年に開始して以降、ラオスでは約4,400世帯が強制移住させられているが、正当な補償が受け取れないでいる。一部の人は、行き場をなくし、タイ等の近隣諸国へ移住した人もいる。鉄道網は、ラオスから中国への輸出促進が期待される一方、補償な強制移住については人権問題が潜んでいる。  移住者への補償については、2016年4月に発布されたラオス政府令84号で、土地を収用された人は、所得、財産、収穫物等の補償を受けられると定めているが、2年経っても音沙汰がない人が続出。政府は、家屋を喪失した人が優先で、農地収用の人は後回しと説明しているが、政府が補償をしないのではという憶測も生まれ始めている。  ABCラオス・ニュースによると、2018年11月時点までで政府が補償責任を負う3億米ドルのうち、すでに補償したのは半分の1.56億米ドルのみ。政府は、残りの補償を実施するためには、中国からの借入をしなければいけない状況だという。  ラオスと中国の鉄道網は2021年に完成予定。 【法令】Decree 84

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【日本】成田、関西、大阪の3国際空港、ACIの空港カーボン認証で上から2番目のレベル3獲得

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 成田国際空港は11月29日、国際空港評議会(ACI)の二酸化炭素排出量削減に取り組む国際空港に付与する認証制度「Airport Carbon Accreditation」で、上から2番目の「レベル3」を獲得したと発表した。1月に「レベル2」を獲得していた。また、関西エアポートも12月6日、関西国際空港と大阪国際空港が「レベル3」を獲得したと発表した。両空港は2016年に「レベル2」を獲得していた。同時に関西エアポートが運営する神戸空港も「レベル2」を獲得した。日本ではそれ以外の空港は認証を獲得していない。 【参考】【国際】国際空港評議会、加盟641社に気候変動適応整備要請。246社認証取得し日本の空港は3つ(2018年10月15日)  ACIの認証は4段階で構成。空港が管理を実施している内容によってレベル分けされる。レベル1は空港からの二酸化炭素排出量の測定。レベル2は空港からの二酸化炭素排出量の測定と削減。レベル3は航空会社等の空港以外からの二酸化炭素排出量の測定と削減計画の策定。最も高いレベル3+は空港からの二酸化炭素ネット排出量をゼロ化(オフセット活用も可)。現在世界49空港がレベル3+を獲得している。  レベル3+獲得空港は、40空港が欧州。英ロンドン・ガトウィック空港、ロンドン・スタンステッド空港、マンチェスター空港、仏ニース・コートダジュール空港、蘭スキポール空港、ベルギーのブリュッセル空港、イタリアのローマ・レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港、ヴェネツィア・マルコポーロ空港、ナポリ空港、ミラノ・マルペンサ空港、スイスのジュネーブ空港、ハンガリーのブダペスト空港、ノルウェーのベルゲン空港、スウェーデンのストックホルム・アーランダ空港、ストックホルム・ブロンマ空港、ギリシャのアテネ空港等がある。他には、インドのデリー国際空港、ラジブ・ガンジー国際空港、バンガロール国際空港、ムンバイ国際空港、ヨルダンのクィーンアリア国際空港、米ダラス・フォートワース国際空港等。   【参照ページ】空港カーボン認証レベル3を取得しました 【参照ページ】関西国際空港及び大阪国際空港が空港カーボン認証レベル3を取得 【機関サイト】Airport Carbon Accreditation

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【日本】三菱商事、オーストラリア炭鉱権益2つを売却。売り先の一つは、住友商事の出資先

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 三菱商事は12月18日、豪100%子会社の三菱デベロップメントが保有していたオーストラリアの2つの炭鉱(一般炭)権益を売却すると発表した。売却完了は2019年中を想定。売却対価は総額7.5億豪ドル(約600億円)。  売却対象資産は、クイーンズランド州クレアモント炭鉱の保有権益31.4%とニューサウスウェールズ州のユーラン炭鉱権益10%。前者は、グレンコアと住友商事が折半出資するジーエス・コールが売却先。後者は、グレンコアの豪100%子会社グレンコアコールが売却先。  総合商社では、三井物産も12月3日、オーストラリアのニューサウスウェルズ州で石炭(一般炭)採掘を行っていたベンガラ・ジョイント・ベンチャーの保有権益10%全てを、豪ニューホープに売却すると発表。三井物産に続いて、三菱商事も石炭(一般炭)ダイベストメントが進めてきた模様。 【参考】【日本】三井物産、豪州ニューサウスウェルズ州の石炭採掘合弁企業権益を全て売却(2018年12月6日) 【参照ページ】豪州クレアモント炭鉱及びユーラン炭鉱の売却合意

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【国際】持続可能な海運イニシアチブ、船舶リサイクル透明性イニシアチブのウェブサイト公開

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 持続可能な海運イニシアチブ(SSI)は12月10日、3月に発表した「船舶リサイクル透明性イニシアチブ(Ship Recycling Transparency Initiative:SRTI)」について船舶リサイクルの情報をまとめたウェブサイトをリリースした。業界主導で船舶リサイクル(シップリサイクル)を推進するため、船舶リサイクルの現状の透明化を図る。世界全体で2018年に835隻の船舶がリサイクルされた。  SSIには船舶・海運業に関わる世界の主要な企業が自主的に加盟している。現在の加盟企業は、海運世界最大手デンマークのA.P.モラー・マースク、シンガポールのChina Navigation Company、シンガポールのIMC、独オルデンドルフ・キャリアーズ、食品業界で海上輸送に関わる米バンジと仏ルイ・ドレフュス、船舶エンジンメーカーであるフィンランドのバルチラ、船舶塗料メーカーであるオランダのアクゾノーベル、歴史的に海運事業と関わりの深いオランダの金融大手ABNアムロ、船級協会であるロイズ船級協会(ロイドレジスターグループ)、英船舶審査大手RightShip、印船舶リサイクル大手Priya Blue、英サステナビリティ推進NGOのForum for the Future、世界自然保護基金(WWF)。SSIの加盟企業は過去2年間で脱退、新規加盟が相次いだ。 【参考】【国際】持続可能な海運イニシアチブ、2040年までの達成目標とロードマップ策定(2016年3月26日)  船舶リサイクルは、多くがバングラデシュ、インド、パキスタン等の南アジア諸国で実施されている。現地の沿岸部では、干満差を利用し船舶を座礁させ、潮が退いている時間帯に船舶を解体する「ビーチング」が一大産業となっている。解体作業では、船舶の残された残油や汚水による汚染、揮発性ガスによる火災・爆発、高所からの墜落、船体に残されたアスベスト、PCB、重金属等による環境破壊や人体健康被害が発生している。そのため、解体時に問題となる有害物質を含む装置等を船舶に設置・使用することを禁止または制限することを主とする「シップリサイクル条約」が、2009年に国際海事機関(IMO)の下で採択されたが、署名国が規定に達せず、発効には至っていない。また劣悪労働環境の問題もある。  SSIが3月に発表した「船舶リサイクル透明性イニシアチブ」は、国際規制が存在しない状況下で、船舶リサイクルのバリューチェーンを透明化するため、船主が自主的にリサイクル情報を開示し、荷主や投資家、金融機関等が事業の意思決定に活用できるようにするもの。今回リリースしたウェブサイトでは、船主の情報開示と、荷主や投資家、金融機関の情報活用への署名を同時に募っている。  他にもSSIは5月、二酸化炭素排出量ゼロの船舶を建造するためのレポートを発表。今後の課題を示した。 【参照ページ】Ship Recycling Transparency Initiative launches new platform to drive responsible ship recycling 【参照ページ】New transparency initiative launched to accelerate responsible ship recycling practices 【イニシアチブ】SRTI 【ウェブサイト】Ship Recycling Transparency Initiative 【参照ページ】SSI Launches ‘Zero Emission Vessel, what needs to be done’ Report 【参照ページ】世界の船舶解撤の現状とシップリサイクル条約への対応に関する調査調査報告書 【参照ページ】シップ・リサイクル条約に関する動向について

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【デンマーク】マースク、2050年までにCO2ネット排出量ゼロ目標。燃料・船舶改革進める

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 海運世界大手デンマークのA.P. モラー・マースクは12月4日、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにする目標を発表した。中間目標として、2030年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロの船舶を実用可能な状態にし、さらに新たな技術革新を加速させる。マースクはすでに2007年比46%の二酸化炭素排出量削減を実現しており、業界平均と比べても9%低い。今後さらに大規模な削減を目指す。  海運大手が二酸化炭素排出量削減に乗り出す一方、経済のグローバル化や経済成長に伴い、世界の海運量は近年大きく増加。海運量当たりの二酸化炭素排出量削減が不可欠となってきている。  マースクは、二酸化炭素ネット排出量ゼロ海運の実現のためには、二酸化炭素ネット排出量ゼロの燃料と二酸化炭素排出量を大幅に抑えた造船が必要と言及。陸運では電気自動車等の可能性も出てきているが、海運では航行距離が長い上に、洋上には充電ステーションが設置しにくいため、別のソリューションが必要となる。同社は、過去4年間で省エネに、毎年10億米ドルを投資し、50人以上のエンジニアも投入しているが、マースクのSøren Toft COOは「今後5年から10年がカギを握る」と表明した。 【参照ページ】Maersk sets net zero co2 emission target by 2050

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【日本】三井物産、豪州ニューサウスウェルズ州の石炭採掘合弁企業権益を全て売却

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 三井物産は12月3日、豪州ニューサウスウェルズ州で石炭(一般炭)採掘を行っていたベンガラ・ジョイント・ベンチャーの保有権益10%全てを、豪ニューホープに2億1,500万豪ドル(約180億円)で売却すると発表した。同社は、10月31日の決算説明会の中で、オーストラリアの石炭鉱山採掘権益を売却する可能性を表明していた。  ベンガラ・ジョイント・ベンチャーの資本構成は、ニューホープ70%、台湾電力20%、三井物産10%。また、ベンガラ・ジョイント・ベンチャーの年間生産量は900万tであったため、三井物産は今回の売却により石炭持分生産量が年間約90万t減少する。  ベンガラ・ジョイント・ベンチャーは1993年設立。当初は英豪リオ・ティントと豪ウェスファーマーズ、台湾電力、三井物産が出資していたが、2016年リオ・ティントは保有していた40%の権益を全てニューホープに売却。2018年8月には、ウェストファーマーズも保有していた40%の権益全てをニューホープに売却することで合意。ニューホープ持分が80%と集中することになったが、中国の独占禁止法当局が集中に反対した等もあり、ニューホープ70%、台湾電力20%となっていた。 【参照ページ】豪州ベンガラ炭鉱の持分売却について 【参照ページ】New Hope Bengalla Acquisition Update 【参照ページ】AGREEMENT TO SELL 40 PER CENT INTEREST IN BENGALLA JOINT VENTURE 【参照ページ】New Hope Corporation Limited收购Bengalla Joint Venture等3家公司股权案

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【国際】国際環境NGOのCI等、養殖環境マネジメント・ガイド発行。FAOの生態系アプローチ適用

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 国際環境NGOのConservation International(CI)、漁業NGOのSustainable Fisheries Partnership(SFP)、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の持続可能な漁業グループは11月26日、養殖マネジメントの環境ベストプラクティスをまとめたガイドブックを発表した。  同ガイドブックは、国連食糧農業機関(FAO)が提唱する生態系アプローチを養殖分野に適用したもの。特に、「空間計画とゾーニング」「水槽容量限界」「養殖疾病マネジメント」の3つ分野を主に扱っている。また事例としてインドネシアを上げているが、世界中で適用できるものとなっている。  同ガイダンスは、養殖業界と規制当局の双方に向けられており、また小売店等のステークホルダーに対しても調達先管理として活用することが推奨されている。  CIとSFPは現在、インドネシアのえび養殖場で試験導入を行っている。 【参照ページ】New Aquaculture Management Guide Provides Seafood Farmers with Sustainability Best Practices

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【国際】ILO合同海事委、船員の最低賃金引き上げで合意。2019年のILO理事会で最終承認予定

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 国際労働機関(ILO)の合同海事委員会(JMC)は11月21日、 船員の最低賃金を上げることで合意した。現在の月給614米ドルから、2019年6月1日から618米ドル、2020年1月1日から625米ドル、2021年1月1日から641米ドルに引き上げる。2019年前半のILO理事会で最終承認する予定。  船員の最低賃金は、2006年制定のILO海上労働条約(MLC)で定められている。同条約は2013年8月20日に発効し、現在89ヶ国が加盟している。加盟国は、日本、欧州主要国、中国、インド、バングラデシュ、タイ、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アルゼンチン、南アフリカ、イラン、ロシア、ケニア、モロッコ等。米国は加盟していない。 【参照ページ】ILO body adopts new minimum monthly wage for seafarers

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