【国際】WBCSD、化学製品の環境フットプリント測定のためのガイドラインを公表

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WBCSD(The World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)は10月1日、化学業界に関わる顧客やステークホルダーが、より十分かつ信頼できる情報を基にして持続可能な選択をできるように、新たなガイドライン”Life Cycle Metrics for Chemical Products(化学製品のためのライフサイクル測定法)”を作成したと発表した。このガイドラインはWBCSDが推進するReaching Full Potentialプロジェクトに参加している大手グローバル化学企業らが協働して作成したものだ。 同ガイドラインの主な目的は、化学製品の製品ライフサイクル測定に基づき、化学企業やその顧客、ステークホルダーらが、製品がもたらす環境フットプリントについてより信頼性の高く、比較可能な情報を提供・交換できるようにすることだ。 WBCSDによれば、化学業界の重要な役割はバリューチェーン全体を通じてサステナビリティ向上を実現することだが、真にサステナブルな製品が中心となる市場を作りだし、WBCSDの掲げるVision 2050(9 billion people living well within the limits of the planet:90億人が地球の限りある資源の中でよく生きる)を実現するためには、より広範な課題において、信頼できる情報を交換する必要性があるという。 なお、Reaching Full Potentialプロジェクトの参加企業は引き続きより優れた化学業界向けサステナビリティ測定法の開発に取り組む予定だ。同プロジェクトは現在、化学製品のもたらす影響や利益について、環境面だけではなく社会的観点から評価するガイドラインの作成にも取り組んでおり、2015年後半には完成する予定だ。 WBCSD の代表を務めるPeter Bakker氏は「製品の環境面における共通の評価ガイドラインを作成することは、WBCSDの化学業界における継続的な取り組みを大きく前進させる重要なステップとなる。このガイドラインにより、化学企業がサプライヤー企業と共通言語を用いてコミュニケーションをとれるようになり、バリューチェーン全体のサステナビリティ向上を実現するソリューションの拡大につながる」と語った。 また、Royal DSM NV社のCEOであり、WBCSD Reaching Full Potential Projectの共同代表も務めるFeike Sijbesma氏は、「我々の産業は、より持続可能な世界の実現に向けて、環境フットプリントを削減し、気候変動に立ち向かうことにコミットしている。我々が共同で作りあげたこの新たなガイドがあれば、我々は次のステップに進むことができる。DSMでは引き続き、サステナビリティを我々の展開する全ての活動に統合し、測定する機会を追求していく。我々は化学をよい輝かしい世界を創造するために使うのだ」と語った。 なお、今回ガイドラインを作成したReaching Full PotentialプロジェクトにはAkzoNobel、BASF、DSM、Cefic、Eastman Chemical、Evonik Industries、Henkel、SABIC、SCG Chemicals Company、Solvay、Mitsubishi Chemical Holdings Companyが参加しており、PricewaterhouseCoopers.が支援している。 【ガイドラインダウンロード】Life Cycle Metrics for Chemical Products 【団体サイト】The World Business Council for Sustainable Development

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【ドイツ】BASF、自社の製品ポートフォリオをサステナビリティの観点から分析

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世界最大級の化学企業であり、サステナビリティ先進企業としても有名なBASFは9月10日、サステナビリティ・ソリューション・ステアリングと呼ばれる独自の手法を用いて自社の製品ポートフォリオを分析した結果、分析済の製品のうち20%以上が同社および顧客のサステナビリティに大きく貢献していることが分かったと発表した。 BASFは同手法を用いて過去3年間で既に約50,000の製品群のうち80%以上の分析を終えており、各製品が健康面や安全面、コスト効率や資源保護などにどれだけ貢献しているかをデータ化しているという。また、分析には地域差はもちろん、顧客により異なる様々な業界のサステナビリティ要求基準も考慮に入れており、最終的に評価プロセスにおいて自社の製品ソリューションがそれらの基準にどこまで適応できているかを決定しているとのことだ BASFによれば、サステナビリティ・ソリューション・ステアリングにより自社の製品ポートフォリオを分析すると、製品群は下記4つのセグメントに分けることができるという。 Accelerators(牽引役):バリューチェーンにおけるサステナビリティに大きく貢献している。売上のうち22%の製品が該当。 Performers(合格ライン):業界の標準的なサステナビリティ基準を満たしている。約73%が該当。 Transitioners(変革中):特定のサステナビリティ課題が定義されており、具体的なアクションプランに基づき計画が実行中にある。約4.5%が該当。 Challenged(課題あり):サステナビリティに関する重大な懸念がある。BASFは、より優れたソリューションのためにこれらの製品に対するアクションプランを策定中で、現在は0.5%が該当。 サステナビリティ・ソリューション・ステアリングの目的は、BASFおよび同社の顧客のサステナビリティ向上に向けて長期的な視点で”Accelerator”に該当する製品数を増やしていくことだ。そのため、製品ポートフォリオは今後も継続的に見直され、上記4つのセグメンテーションも市場状況や新たな規制に対応し変化していくという。なお、全体の製品ポートフォリオは2014年末までに分析が完了する予定とのこと。 マーケティングの世界では製品ポートフォリオの分析は一般的だが、サステナビリティの観点から自社製品群を分類し、その分類に基づいてポートフォリオを改善していくという同社の考え方は、複数の製品やソリューションを展開する企業であれば業界に関わらず適用可能だ。サステナビリティ・ソリューション・ステアリングの詳細については下記ページも参考にしてほしい。 【参考ページ】Sustainable Solution Steering 【企業サイト】BASF

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【スイス】RepRisk、最も問題ある世界の採鉱プロジェクトTOP10を発表

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企業のESGリスクデータ分析を手がけるスイスのRepRiskは、世界で最も問題視されている10の採鉱プロジェクトに関する最新レポート「Most Controversial Mining Projects」を公表した。同社のESG分析によると、選出されたこれら10のプロジェクトは、過去2年間でESGの観点から最も強い批判の的になっていたという。 石炭やその他の金属類を採掘する鉱山は、先進国、発展途上国を問わず世界のあらゆる場所に存在しており、それらの鉱山のいくつかは健康や安全上の問題、低賃金労働、劣悪な労働環境、人権侵害、環境や地域コミュニティへの被害にいたるまで幅広い課題を抱えているのが現状だ。 今回RepRiskが選定した10の採鉱プロジェクトは下記の通り。 1. Marikana Platinum Mine(南アフリカ) 2. Soma Komur Isletmeleri Mine(トルコ) 3. Monywa Copper Project(ミャンマー) 4. Mount Polley Mine(カナダ) 5. Doornkop Mine(南アフリカ) 6. Abkhorak Coal Mine(Samangan Coal Mine)(アフガニスタン) 7. Obed Mountain Mine(カナダ) 8. Zogota Iron Ore Project(VBG Simandou Project)(ギニア) 9. Aviemore Anthracite Coal Project(南アフリカ) 9. Gyama Polymetallic Mine(中国) 過度に劣悪な労働環境のもと低賃金労働が行われている鉱山として1位に選出された南アフリカ共和国のプラチナ鉱山では、警察と鉱山の労働組合とが激しく衝突している。また、2位には今年の5月に労働者301名以上の死者が出る史上最も悲惨な事件が起こしたトルコの炭鉱が選出されている。 同調査レポートを公表したRepRiskは、世界中の企業やプロジェクトを対象にESGリスクの調査・情報収集・分析を実施しているビジネス・インテリジェンスのプロバイダーだ。同社の調査や報告は14カ国語以上に訳され、各国の地域メディア、政府、NGO、新聞などを通じて配信されており、これまでに同社が集めたESGに関するデータベースは44,000の企業、10,000のプロジェクト、7,000のNGO、5,000の政府関連機関に上る。 調査レポートの詳細は下記から確認可能。 【レポート】Most Controversial Mining Projects 【企業サイト】RepRisk

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【アメリカ】Freeport-McMoRan社のコミュニティ投資戦略

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銅・金の生産量ともに世界最大級を誇る米国の非鉄金属大手、Freeport-McMoRan社は7月22日、最新版サステナビリティ・レポート”2013 Working Toward Sustainable Development Report”と共に、同社のコミュニティ投資戦略の概要を発表した。同社のコミュニティ投資戦略は、鉱山の閉鎖後もコミュニティを維持するための地域におけるキャパシティ・ビルディングを中心に据えており、インフラ開発や教育プロジェクト、女性起業家の支援など様々なプロジェクトを展開している。同社が発表した主な取り組みは下記の通りだ。 インドネシアにおけるインフラ開発支援 PT Freeport Indonesia (以下PTFI社)は、インドネシアの高原地帯にある Amungme(先住民族)の居住地域におけるコミュニティのインフラ開発プロジェクト“Tiga Desa Project”を継続し、2013年は420万ドルを投資した。2000年のプロジェクト開始以降、PTFI社は住宅や橋、滑走路、道路など様々な公共インフラを建設され、2013年には建設中のものも含めてマイクロ水力発電、学校、寮、その他のコミュニティ支援施設が整備された。PTFI社はプロジェクトの開始以来、合計4,060万ドルを投資している。 コンゴ民主共和国における教育支援 コンゴ民主共和国の教育環境改善に対する投資の一部として、Tenke Fungurume Mining社(以下、TFM社)は6つの小学校、合計約3,000人の生徒の教育を支援している。2年目にはTFM社がFungurumeとTenkeに住む4,200人以上の子ども達向けに屋内・屋外活動や教育映画、コンピューターの授業など夏の活動を企画した。また、同社はBunkeyaにあるInstitut Technique de Garenganze の本館や4教室、多目的ワークショップ、トイレなどを建設した。この施設の完成により、当地域でさらに高度な教育を受けられるようになり、地域労働者のスキル向上が見込まれる。 ペルーにおける女性起業家支援 ペルー・アレキパ付近にあるFreeport-McMoRan社のCerro Verde事業は多数のインフラ基盤やサービスの改善に継続投資している。2013年には、21人の女性起業家達が、米国アリゾナにあるThunderbird School of Global Managementとの提携による女性向け事業創出プログラム、DreamBuilderを修了し、Arequipa地域での起業に必要な知識とスキルを学んだ。このプログラムを修了した起業家たちは収入や家庭の生活の質が向上したと報告されている。 世界的な人口増加や都市化の進行により天然資源への需要が高まる一方で、同社のような資源メジャーは常にコミュニティの環境破壊や先住民問題に対する批判リスクにさらされている。需要増とサステナビリティをバランスさせ、どのように持続可能な資源開発を実現していくのか、資源メジャーにとって優れたコミュニティ投資戦略の重要性はますます高まってきている。 下記ページおよびレポートにもFreeport-McMoRan社のコミュニティ投資における取り組みがグラフなどを用いて分かりやすくまとめられているので、興味がある方は見て頂きたい。 【企業サイト】Freeport-McMoRan Community Investment 【参考サイト】2013 Working Toward Sustainable Development Report

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【アメリカ】廃棄物処理業界の雇用人数が最高を記録

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米国労働統計局(The Bureau of Labor Statistics、以下BLS)の新たな統計によると、2014年7月における産業廃棄物処理業界の雇用人数は382,500人となり、最高値を記録した。これは6月と比較して1,200人(前月比0.3%)の増加となる。 廃棄物処理・リサイクル業界の業界団体、The National Waste & Recycling Associationの代表を務めるSharon H. Kneiss氏は、「BLSの統計データは業界の時期的要因だけではなく、現在の経済状況全体の改善も反映している。原材料の技術的進歩や運搬管理、新たな消費行動パターンは、引き続きこの業界における廃棄物処理方法や効率性向上、業界内のイノベーションに影響を与え続けるだろう」と述べた。 廃棄物処理業界の雇用トレンドは今年の米国全体のトレンドを反映している。米国全体では、先月は209,000人の雇用増となっており、2ヵ月連続で200,000人以上の雇用増となっている。 米国全体の失業率は6%強で停滞している一方で、7月の産業廃棄物処理業界の失業率は3.2%に止まっている。 廃棄物処理業界のカテゴリー(NAICS 562)は以下が含まれる。固形廃棄物回収、有害廃棄物回収、その他の廃棄物回収、有害廃棄物取扱並びに廃棄、固形廃棄物埋め立て、固形廃棄物コンバスターならびに焼却炉、その他の無害廃棄物取扱並びに廃棄、修復、材料回収施設、その他全ての廃棄物管理サービス。 廃棄物処理業界は産業界全体のサステナビリティを向上に向けて重要な役割を担う業界であり、更なるイノベーションが求められる業界でもある。同業界が新たに多くの雇用を生み出していることは、失業問題の観点だけではなく産業全体のサステナビリティという観点から考えても価値がある。 【参考サイト】Bureau of Labor Statistics: Economic News Release 【参考サイト】Bureau of Labor Statistics: Labor Force Statistics from the Current Population Survey 【団体サイト】National Waste & Recycling Association

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【アメリカ】米国環境保護庁、発電所からの大規模な温室効果ガス排出削減計画を発表

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EPA(米国環境保護庁)は6月2日、既存の化石燃料発電所から生じる二酸化炭素排出量の大幅な削減を目的とする気候変動対策案"Clean Power Plan"を公表した。 化石燃料発電所から排出される温室効果ガスは米国における排出量全体の約3分の1を占めており、国内最大の二酸化炭素排出源となっている。現状、ヒ素や水銀、二酸化硫黄、窒素酸化物など一部の大気汚染物質には既に排出規制が設けられているが、二酸化炭素の排出量に関する国としての規制は存在しておらず、発電所の二酸化炭素の削減を目的とする計画は今回が初めてとなる。 EPA長官のGina MaCarthy氏は、「二酸化炭素排出による気候変動は我々の健康や経済、生活スタイルにとって大きなリスクとなっている。EPAは、米国における発電所からの排出量削減を目指す"Clean Power Plan"の提案により、オバマ大統領が掲げる"Climate Action Plan"の重要な一核を担うことになる。」と述べた。 同氏はまた、「クリーンエネルギーの推進とエネルギー消費の削減を通じて、この計画は空気を綺麗にし、気候変動ペースを緩和し、次世代に安全で健康な将来を残すことができるだろう。我々は健全な経済と健全な環境を二者択一する必要はない。我々の行動は米国に競争力ををもたらし、イノベーションを促進し、新たな雇用を作り出すことになる。」と付け加えた。 今回の"Clean Power Plan"はオバマ大統領が昨年夏に発表した"Climate Action Plan"の中で定められている段階的な目標に従っており、EPAによれば、具体的には2030年までの目標として下記を定めている。 2005年と比較して化石燃料発電所からの二酸化炭素排出量を30%削減する。これは米国内における1年間の家庭用電力から出る二酸化炭素排出量の半分以上に相当する。 窒素酸化物および二酸化硫黄を25%以上削減する。 930億ドルを気候変動対策、公衆衛生に投じ、若年死亡者数を6,600人、小児喘息数を150,000人、失業者および失学者数を490,000人減らす。 エネルギー効率を高め、電力システム需要を抑制することで、電力料金を約8%下げる。 このCean Power Planは各州と連邦政府の協力のもと進められる予定で、提供されたガイドラインに沿ってそれぞれの州が二酸化炭素排出量削減に向けた具体的な目標を定めることになる。今回の計画の特徴は、各州に対して個別の事情に応じて柔軟に計画を策定する裁量権が与えられている点だ。 再生可能エネルギーなどの電力源の構成比率、エネルギーの効率化、電力需要の抑制、キャップ・アンド・トレードプログラムなどを含めて各州が自身のニーズに応じて最適な計画を策定することが可能で、一つの州が単独で計画を策定することも、複数の州が協力して共同で計画を策定することも認められている。 また、今回の計画は各州が計画をEPAに提出するまでのタイムラインにも柔軟性が設けられており、2016年6月が提出の期限となっているが、計画策定により多くの時間が必要な場合、最終計画の提出までに2段階のプロセスを踏むオプションも用意されている。 米国では現在のところ、47の州が電力需要に応じてエネルギー効率性を高める設備を有しており、38の州が再生可能エネルギーに関する基準や目標を持っている。更に10の州は温室効果ガスに関する排出権取引プログラムを有しているが、今回の計画により今後これらの数字がどのように変化していくのかも見どころだ。 一方で、今回のEPAの発表により、今後米国内で規制がもたらす経済面への悪影響も含めて様々な議論が巻き起こることも予想される。特に化石燃料発電事業者や業界団体、発電所を多数保有する州の政治家など、今回の規制による経済コストの増加を懸念する人々からの反発により、州によっては予定通りに計画策定が進まないところも出てきそうだ。 【参考サイト】US Environmental Protection Agency

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【ロシア】ダウが手掛けたもう一つのソチ冬季オリンピック2014

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今回のテーマは、今年の2月?3月にかけてロシアのソチで行われた"SOCHI 2014"(冬季オリンピック(2月7日?23日)・冬季パラリンピック(3月7日?16日))のサステナビリティ。世界中に多くの感動を与えてくれたソチ五輪の舞台裏で大活躍していたのは、Dow Chemical Company(ダウ・ケミカル、以下「ダウ」)だ。 ダウは言わずと知れた世界最大のグローバル総合化学品メーカーで、約180ヶ国で53,000人以上の従業員が活躍している。ダウはオリンピックのオフィシャルパートナーである”Worldwide Olympic Partner”、および"Official Carbon Partner of Sochi 2014"として、今回のソチ五輪のサステナビリティプログラムに多大なる貢献を果たした。 ソチ五輪では今年も出場選手から多くの感動と勇気をもらったという方が多いと思うが、オリンピックは世界最大のスポーツの祭典として大会の運営を通じたサステナビリティの向上にも積極的に取り組んでいる。2012年に開催された夏季ロンドン五輪からは大会のプラン段階から本格的に「サステナビリティ」がテーマとして取り入れられるようになり、今年のソチ五輪でも大会の裏で多くの取り組みが実践された。 こうした背景の中、ダウは今回、”Sustainable Future”プログラムの実施によって、ソチ五輪の大会運営から直接発生すると想定される360,000MT(メトリックトン)相当のカーボンフットプリントを大きく上回る560,000MT相当のCO2排出量を、なんと大会のオープニングよりも前の段階で削減することに成功したのだ。 オープニングセレモニーよりも前に、大会運営により直接生じると想定されるカーボンフットプリント全体を上回るカーボンフットプリント削減に成功したのは、オリンピックの歴史上初めてのことだ。 ちなみに、「直接生じると想定されるカーボンフットプリント」の中には、選手やスタッフ、ボランティアなどの宿泊施設や渡航から生じるカーボンフットプリントなども含まれており、ロシアが2014年ソチ五輪のホスト国となる権利を獲得し、五輪委員会を組織した2007年から、パラリンピックの競技が終わる2014年3月17日までに発生すると想定されるカーボンフットプリント全体を指している。 また、ダウはこの”Sustainable Future”プログラムによるカーボンフットプリント削減をサポートするために、国際的な専門家とパートナーシップを組んで革新的な温室効果ガスの会計フレームワークを開発しており。このフレームワークは2013年11月にポーランドのワルシャワで開催され国際気候変動会議「COP19/CMP9」で発表された。 ダウは、2013年の3月からロシアの顧客や企業とカーボンフットプリント削減に取り組み、ロシアの"Infrastructure(インフラ)"、"Agriculture(農業)"、"Industry(産業)"の各領域においてエネルギー効率が高い低炭素技術を用いることで莫大な量のカーボンフットプリント削減を達成した。 このダウの取り組みはソチ五輪だけではなく、その後のロシア経済やロシアの人々にとっても大きな財産となる。ここでは、動画の内容にも沿いながら、それぞれの領域の取り組みを簡単にご紹介する。 Infrastructure ダウはロシアのProfflexと共に、光熱費とCO2排出量の削減につながる断熱素材(動画では窓枠に吹き付けている断熱用の泡製品が紹介されている)のプロモーションと消費者の節約意識向上を目的として大規模なキャンペーンを展開した。加えて製品の製造工程におけるカーボンフットプリント削減にも取り組み、数十万トン相当のCO2削減につながった。 また、ダウは鉄やコンクリートなどの伝統的な建築素材を代替する炭素繊維でできた合成素材(動画ではローラーやはけで塗装している様子が紹介されている)を提供することで、ビル橋などの都市インフラを建設する際のカーボンフットプリントを大きく削減することにも成功した。この素材は軽量で建物の耐久性向上にもつながるという。 Agriculture Dow Agro Sciencesが展開しているブランド"Dow Seeds"では、ロシアの農家に対して持続可能な農業の実践をサポートした。土壌の浸食を抑えつつ、温室効果ガスの発生を最小化できるように耕地面積の削減に取り組んだり、従来型農業で使用されている重機や化学肥料、水などの利用を抑えることで燃料費やCO2を削減するなど、より経済的で持続可能な農業への取り組みを進めた。 Industry 石油精製所や天然ガスプラントでは蒸気の生成のために大量のエネルギーを消費するが、ダウが提供する"Dow’s Amine Management Program?"ではより少ない蒸気で同量のガスを生成するソリューションを提供している。このプログラムにより多大なエネルギー消費とコスト、そしてCO2排出量が削減されている。 こうしたダウの取り組みの素晴らしい点は、オリンピックという大会の一過性にとどまらない実践を実現しているという点だ。五輪の開催前からロシアにおいて農業・産業・インフラのサステナビリティ向上に取り組み、結果としてロシアに蓄積された”Legacy(財産)”は、五輪の終了後もロシアで生き続けることになる。ソチ五輪はあくまできっかけに過ぎず、大会が終わればそれで終わりという活動ではないのだ。 2012年6月には持続可能なイベントマネジメントシステムの国際規格となるISO20121が発行されるなど、MICE(Meeting・Incentive・Convention・Exhibition)やスポーツ、音楽などイベント業界でも「サステナビリティ」は徐々に浸透してきている。しかし、イベントにおけるサステナビリティというとどうしてもその場限りの取り組みで終わってしまい、結果として継続的なインパクトを生み出すことができないケースも多いものだが、ダウの取り組みにはそれ自体にサステナビリティがある。 動画の最後でも述べられているように、上記のようなダウの革新的なパートナーシップとリーダーシップを通じて、ダウとオリンピックは本当に意味で「持続可能な」大会を実現させた。"SOCHI 2014"が残したこれらの財産は、ロシアの将来はもちろん、地球全体や次世代にとっても大きな一歩となる。 【企業サイト】Dow Chemical Company 【プレスリリース】Sochi 2014’s Direct Carbon Footprint Mitigated before Opening Ceremony 【Sochi2014 Olympic partnership】Dow at the Sochi 2014 Olympic Winter Games

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【アメリカ】Avery Dennison(エイブリィ・デニソン)社のCEOが語るサステナビリティ戦略

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今回ご紹介するのは、粘着ラベル分野におけるグローバルリーディングカンパニー、Avery Dennison(エイブリィ・デニソン)社の会長兼CEO、Dean A. Scarborough氏が自社のサステナビリティについて語っている動画だ。 粘着用ラベルというとあまり馴染みがないと感じる方も多いかもしれないが、粘着機能がついた様々なオフィス用品やアパレル製品のタグ、シール切手、道路標識など、Avery Dennisonが提供する製品・ソリューションは我々の生活にも非常に密着している。同社は粘着ラベル技術・粘着剤ソリューション分野のリーディングカンパニーとしてAveryブランドのオフィス製品やFassonブランドの粘着剤製品などをはじめBtoC・BtoB双方の市場で幅広い分野の製品を開発、生産、販売している。 米国カルフォルニア州に本社を置き、日本を含む60ヶ国以上で30,000人以上の社員を雇用しており、2008年には約6,700億円の売上を誇るグローバルカンパニーで、フォーチュン500社にも選定されている。 同社は"To make brands more inspiring and the world more intelligent"という理念のもと、経営陣の強いリーダーシップでサステナビリティ戦略を事業オペレーション全体に組み込んでおり、理念を実現するための柱として下記3つの"P"を掲げている。 Planet:Social Responsibility(企業市民として模範を示し、従業員のダイバーシティや健康・安全を約束する。コミュニティ投資やボランティアプログラムを通じて生活の質向上やポジティブな変化を生み出す) People:Environmental Responsibility(自社事業の環境負荷を減らし、持続可能な製品・ソリューションを提供することで顧客の環境負荷も減らし、顧客のブランド価値を高める) Prosperity:Shareholder Value(サステナビリティを自社に組み込むことで競合優位性を生み出し、長期的な株主価値創造を実現する) 上記の通り、社会・環境・経済のトリプルボトムラインそれぞれに柱を置いており、いずれも明確な指針を持っている点が特徴的だが、その同社を率いているのが、会長兼CEOを務めるDean A. Scarborough氏だ。 インタビュー内の同氏の発言の中で特に印象的なのは、"Sustainability is simply another lens to look at our market and our customers and it's driving an amazing amount of innovation in our business and in our industry.(サステナビリティは、シンプルに言えば我々の市場や顧客を見るためのもう一つのレンズであり、我々の産業やビジネスに驚くほどのイノベーションをもたらしている)"という言葉だ。 サステナビリティの観点から自社の事業やオペレーションを見直すことが新たなイノベーションの創出をもたらし、ブランド力と競争力を高め、結果として利益を生み出すという同氏の考え方がはっきりと見て取れる。サステナビリティという新たな「レンズ」で企業活動に光を当ててみれば、そこには多くのリスクとチャンスが広がっていることが分かるのだ。 また、同氏は自ら従業員とともにブラジルの熱帯雨林へ足を運び、地元の原住民やローカルコミュニティと関係構築をしたときの体験を「これまでのビジネス出張のなかでもっとも刺激的な旅だった」と語っている。持続可能な形で森林資源を活用しながら長期的に生計を立てている彼らと接し、"I thought like I was talking to business people. they were capitalist(まるでビジネスマンと話しているようだった。彼らはキャピタリストだ)"と表現しているのも印象的だ。 同社では2011年に2015年までのサステナビリティ目標を定め、持続可能な原料調達や温室効果ガス15%削減、廃棄物15%削減など様々な目標を定めているが、企業がサステナビリティ目標を達成するためには、同氏のように実際に現場に足を運んで先住民と対話をするなど、CEO自らの行動力や熱意も欠かせない。 "I think that leading our markets and leading our industry for responsible sourcing, for innovative solutions that enables companies to produce products that are more recyclable or more sustainable is our future.(企業のより再生可能な、もしくは持続可能な製品づくりを可能にする責任ある調達や革新的なソリューションに向けて、我々の市場と業界を牽引していくことこそが、我々の未来だ。)"という言葉には、率先してサステナビリティ戦略を推進することで新たなイノベーションをもたらそうと考えている同氏の強い意思を感じる。 CEOのコミットメント次第で事業とサステナビリティは統合できると強く感じさせてくれる好事例だ。 【企業サイト】Avery Dennison 【サステナビリティページ】Sustainability

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2014/03/05 最新ニュース

【オーストラリア】政府とコンサルティング企業が共同し、LED普及を大規模に促進

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オーストラリアの電気利用効率化コンサルティング企業 Easily Greenは、オーストラリア州政府と連携し、企業へのLED普及をいっきに進めていくサービスをスタートした。LEDライトは電力使用料を大幅に削減でき、企業のコスト削減と環境保全に繋がると注目されているが、多くの企業は初期費用が高いことを理由に導入を躊躇っている。そこで、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州政府とEasily Greenはスクラムを組むことを決めた。まず、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州政府は企業のLEDライト導入に際し初期費用を補填する助成金制度スタート。そして、Easily GreenはLEDライトへの切り替えに必要な作業をすべて請け負い、さらに政府への助成金申請作業もサポートするというサービスを開始した。これにより、LEDライト導入にあたり、企業は初期費用も切り替えに必要なマンパワーも負担する必要がなくなる。Easily Greenは、政府、導入企業、LEDメーカー、設置会社などのハブとして機能してくれるため、導入企業にとって非常に頼もしい存在となる。LEDライトの環境優位性は広く認知されているが、企業には導入してこなかった理由があった。今回オーストラリア政府とEasily Greenはその企業課題を丁寧に捉え、その課題克服を企業とともに解決できる方策を生み出した。導入しないことを責めるのではなく、導入できるようともに考えるという姿勢は、他の分野にもたくさん応用できるだろう。【企業サイト】Easily Green

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2014/01/29 最新ニュース

【カナダ】オンタリオ裁判所がエクアドル先住民を支持しシェブロンに賠償命令

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カナダのオンタリオ州高等裁判所は、エクアドルの土壌・水質・大気汚染に対する賠償請求で訴えられていたアメリカの石油会社・シェブロンに対して、原告であるエクアドル先住民グループへの95億ドルの支払いを命じた。シェブロンは、カナダ最高裁判所へ上告する見通しだが、今回の判決は多くの論点をはらんでおり、国際石油資本にとって非常に画期的なものとなった。 シェブロンとエクアドル先住民グループの法廷闘争の発端は20年前にまで遡る。当初の被告はシェブロンではなく、同業のテキサコだった。テキサコは1964年に現地から撤収してから1992年まで、エクアドルのスクンビオスとオレリャナ州だけで7100万リットルの原油廃棄物と6400万リットルの原油を放出し、200万エーカーの土壌を汚染。エクアドル先住民グループは1993年に、テキサコの本社があったアメリカのニューヨーク地方裁判所に提訴し賠償請求を要求した。ニューヨーク地裁は審議の後、ニューヨーク地裁には適切な裁判管轄権がなく、管轄権はエクアドルの裁判所にあると判断し、法廷の場はエクアドルへと移された。エクアドルの裁判所で審議が続く中、テキサコは環境汚染の実態を確認し回復するための措置を取った。そして、1998年当時のエクアドル政府はテキサコとの間で合意を交わし、「テキサコは環境復元費用を支払ったとエクアドル政府が承認し、過去と未来のいかなる環境的責任も問わないと約束した」という文書に署名した。2001年シェブロンがテキサコを買収し、エクアドルでの裁判はテキサコからシェブロンへと引き継がれる。その後、2011年にエクアドル北東部のスクムビオス州地方裁判所はシェブロンに95億ドルの賠償と2週間以内の公式な謝罪と判決し、これを履行しなければ、2倍の賠償額を追徴すると明示した。シェブロンはこの判決を拒否し、テキサコはエクアドル政府との間で1998年に免責を獲得しているとして、エクアドル地方裁判所判決の履行差し止めを要求するためニューヨーク州地方裁判所へ提訴。2011年3月ニューヨーク州地裁は、シェブロンの訴えを認めて、エクアドル判決の履行差し止めを命令したが、同年9月ニューヨーク州控訴裁判所は一転、ニューヨーク州地裁の一審判決を棄却した。シェブロンが賠償支払と謝罪を拒否する状態が続く中、2012年エクアドル高等裁判所は、シェブロンに対して190億ドルの賠償支払を命令した。 話はまだまだ続く。シェブロンは再びエクアドル高裁判決を拒否し、さらに裁判所からの資産差し押さえを恐れ、シェブロンが保有するエクアドル国内の資産を海外へと移転させた。そして、シェブロンはハーグの国際仲裁裁判所にエクアドル政府を逆提訴した。シェブロンの言い分はこうだ。1993年にエクアドルと米国が締結した二国間投資協定(BIT)で定められている投資家保護をエクアドル政府は履行していないという。2013年9月、国際仲裁裁判所は、シェブロンがエクアドルでの環境破壊の集団訴訟の対象にはならないとの判断を下し、シェブロン側が勝利。しかし、今度はエクアドル政府が仲裁裁判所判決の受け入れを拒否。エクアドル政府側は、1998年のテキサコとエクアドル政府の合意では、エクアドル国民がテキサコを提訴することに関する規定はなく、さらにエクアドル政府は憲法上エクアドル司法の裁定に介入することはできないと主張。エクアドル高裁は、エクアドル最高裁判所に最終的な判定を預けた。2013年11月、エクアドル最高裁はシェブロンに対し95億ドルに減額しつつも賠償を命ずる判決を最終的に出した。しかし、シェブロンはこれを再び拒否。 エクアドル先住民原告側もただでは転ばない。エクアドル高裁判決後、賠償の履行を進めるため、シェブロンが資産を保有するカナダ、ブラジル、アルゼンチンの裁判所にシェブロンを提訴。そして、その結果が今回のニュースへとつながる。カナダ・オンタリオ高等裁判所は、シェブロンに対して95億ドルの賠償を命令し、エクアドル先住民側が勝利した。シェブロンはカナダ子会社を通じてカナダ国内に150億ドルの資産を有しており、賠償額には十分だが、カナダの高裁判決は、賠償執行の方法については明らかにしていない。 95億ドルの賠償額は、シェブロンの会社経営に痛恨のダメージを与えるほどの巨額だ。カナダ最高裁にもつれ込む可能性は高いが、シェブロンが賠償から逃れる可能性はさほど高くない。先住民のシェブロンに対する訴訟は、引き続きブラジル、アルゼンチン、さらにアメリカでも進み、コロンビア、ベネズエラでも追加訴訟される可能性があるという。今回の案件では、複数国の裁判所および国際仲裁裁判所を巻き込みつつ、国と国の二国間協定、国と政府の合意書名、免責の効果までもが争点となった。通常、資源開発会社は、資源地国との合意を拠り所として資源開発を行っている。その合意を拠り所としシェブロンは反論を続けたが、結果的にはそれが認められない状況だ。テキサコの環境汚染は20年以上も前の古い企業規範のもとで起こった悲劇かもしれないが、今回の教訓は現在にも生きている。環境や社会を考慮しない事業活動は、最終的に企業にとって遅かれ早かれ社会的正義を追及されることになり、大きなしっぺ返しを食らうことになる。 【森林の被害を伝えるブログ】THE CHEBRON PIT

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2014/01/21 最新ニュース
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