【インドネシア】インドネシア政府、2022年までに児童労働を根絶へ

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 ILO(国際労働機関)が定めたWorld Day against Child Labor(児童労働反対世界デー)の6月12日に合わせて、インドネシアの労働移住省は7年後の2022年までの間に同国からあらゆる児童労働を根絶するという計画を公表した。  同省によると、現在インドネシア国内には170万人以上の児童就労者がおり、その4分の1が危険な状態で就労しているとのことだ。同国は労働法において15歳以下の児童のフルタイム就労を禁止しているものの、実際には児童労働が蔓延しているのが現状だ。  労働者は2022年までに児童労働を根絶させる計画を立てており、今年は16,000人の児童を就労から救い出し、学校に通わせる予定だ。文房具や制服などに加えて月額23米ドルの奨学金も1年間提供し、ボランティアなども活用して児童の就学を支援する。また、他省との連携により児童労働の原因にもなっている低所得世帯向けの政策調整や社会セーフティーネットの充実、教育プログラムの実施なども計画に盛り込まれている。  児童労働の撲滅に向けた政府の計画は評価するべきだが、現状の170万人以上の児童労働者を7年間という短期間で全て救い出すためには1年あたり相当数の児童を就学させる必要がある。また、そのためには児童の保護だけではなく、児童が働かなければならない低所得家庭や現地企業の実情にも考慮し、根本的な原因の解決につながる政策が求められる。今後の政府の取り組みに真価が問われる。 【参考サイト】Ministry of Manpower and Transmigration 【参照ニュース】Channel News Asia "Indonesia plans to phase out child labour in 7 years" 【参照ニュース】UCANEWS.com "Indonesia announces plan to eliminate child labor" (※写真提供:udeyismail / Shutterstock.com)

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private 【レポーティング】サステナビリティ(CSR)報告ガイドラインを主導するグローバル機関

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(図)サステナビリティ報告ガイドライン カオスマップ。Sustainable Japan作成。 複雑化するサステナビリティ(CSR)ガイドライン  サステナビリティ報告やCSR報告を担当する方々からよく受ける質問があります。「一体、どのガイドラインを参照すれば良いのか」。実はこの種類の問いは非常に回答に窮します。もちろん、有名なガイドラインはあります。例えばGRI、サステナビリティ報告についての包括的なガイドラインと言っても過言ではなく、先進国・新興国問わず世界中で参照されています。しかしながら、当サイトSustainable Japanでは日々GRI以外の多の多くのガイドラインについてもご紹介をしています。ISOが定めたISO26001、温室効果ガス算出方法で有名なガイドラインのCDP、紛争鉱物報告ガイドラインを制定しているcfsi、財務情報と非財務情報の統合を試みる<IR>などなど。これらのガイドラインを全体として公式に統括する機関は今のところ存在していません。それぞれの機関はお互いに連携をしつつも、独立した動きを見せ発展してきています。こうした体系的に整理されずにルールやガイドラインが増殖していく動きは、中央政府の省庁が一元的にルールを管理する傾向の強い日本にはあまり馴染みのない状態です。整理されないルール増殖というのは悲観すべきなのかもしれませんが、それだけ今サステナビリティ報告や非財務情報報告の領域は急速に発展してきていることの証左でもあります。産業革命やIT革命の際に数多の技術が一度に勃興してきたように、サステナビリティや企業情報開示の分野も今まさに革命期にあると言うことができるでしょう。正直、この領域の専門家でない限り、全ての動きに日々目を向けていくのは非現実的です。ですので、今回は、いまこうしてますます複雑化していくサステナビリティ報告ガイドラインの状況を俯瞰的にまとめてお伝えしていきます。 GRI 〜サステナビリティ報告ガイドラインの中心的存在〜  GRIとは (more…)

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2015/04/28 体系的に学ぶ

【人権】「船の墓場」に学ぶサプライチェーン・マネジメント

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長年世界の物流を支えてきた海運業。現在に至っても物流の9割は貨物船による国際貿易が占めており、依然として世界経済の中核を担う存在であることは明らかです。ところが、サプライチェーンにおける重要性とは裏腹に、海運業の主役である貨物船がどのような末路をたどるのかはあまり注目されない部分でもあります。今回はバングラデシュ等の貨物船の解体作業地の現状、そしてそれに対する世界企業と日本企業の対応に違いについてご紹介し、船舶解体に関する問題から見える業界横断な問題に迫ります。 過酷な作業場としての「船の墓場」 船の墓場と呼ばれる場所があるのをご存知でしょうか。現在、我々が運輸に利用する貨物船もいずれは老朽化し、人知れずどこかで解体されることとなります。しかし、そんな船の材料にはアスベストや鉛などの有害物質が使われており、先進国で解体する場合、規制が厳しく解体業者は非常に高いコストを負担することになります。その結果、規制が緩く人件費を安く抑えることのできるバングラデシュ、インド、パキスタンといった国が選ばれ、まさしく「船の墓場」として解体作業場所となるのです。 アメリカの雑誌VICEが発表し、NGO団体Ship breaking platformでも紹介された動画“Where giant cargo ships go to die (貨物船はどこで死ぬのか)”において、この作業場が取り上げられています。 この動画において、働きに来ている人々は北部からの移民で最貧困国の出身であり、またそのほとんどは13-30才と若く、全体の四分の一は18才以下の少年であることが語られています。船舶の切断に関しても彼らには特別の防護服が用意されているわけではなく、部品の切断の際に発生する有害物質を吸い、日当$3程度という劣悪な労働条件の中でも家族を養うために否応なく働いています。 巨万の富を生む非道徳的リサイクルビジネス このような船舶解体ビジネスが横行する理由の一つとして、巨額の利益が見込めることが挙げられます。このビジネスモデルは以下のプロセスで成り立っています。 1)船を扱うブローカーから老朽化した船舶を買い取る 2)船長を雇い満潮時に海岸に船を着ける 3)干潮時に船舶の燃料や設備、備品を取り外し売り払う 4)干潮時に船を解体する 5)解体しスクラップとなったら建築用の鉄筋として売り払う 上記のプロセスで船舶の90%以上をリサイクルするわけですが、作業中に労働環境を整えず、低賃金で作業員を働かせているためコストが抑えられます。これが船舶解体ビジネスにより巨額の利益を生み出されるまでの大まかな流れです。 悪弊の一翼を担う日本 では、日本の海運業はこの問題にはどのような関係があるのでしょうか。海運業の全体像を捉えるためにWorld Biggest Shipping company(世界で最も大きな海運業者)を見てみましょう。 (TheRichestのWorld Biggest Shipping companyを元にニューラル作成) 日本国内で代表とされる日本郵船、三井商船は8位、9位と選出されており、世界に大きな責任を持つ存在として日本の海運業は、問題解決への取り組みが期待されます。 ところが、昨今のNGO団体Ship breaking platformの報告によると、これまで日本の海運業者は伝統的に中国の現代的なリサイクル施設を利用していたものの、2014年、ほとんどの日本船が南アジアの海岸に行き着いていたといいます。実際、同団体が発表しているTop dumpers (最も船舶を廃棄した企業)の一つとして商船三井が選出されてしまっています。不名誉な選出となった企業のリストは以下のようになっています。 (NGO SHIPBREAKING PLATFORMのプレスリリースを元にニューラル作成) この不名誉なリストの中にも商船三井は選出されており、海運業を代表する企業としての責任を果たすことを要求されていることが見て取れます。 目指すべき姿としてのリーディング・カンパニー それでは現状を踏まえた上で日本企業が目指すべき先進事例をご紹介します。前出のWorld Biggest Shipping company(世界で最も大きな海運業者)において日本企業よりも上位を占めるマースク(1位)とハパックロイド(6位)は現代的なリサイクル施設にて自身の船舶を解体することに取り組んでおり、Ship breaking platformからもRESPONSIBLE SHIPOWNERS(責任ある船舶所有者)として高評価を得ています。責任ある船舶所有者のリストは以下の通りです。 (NGO SHIPBREAKING PLATFORMのプレスリリースを元にニューラル作成) マースクを例にとって具体的活動内容を見てみましょう。同社は自社のホームページにおいて、提供するサービスとして「責任ある船舶リサイクル」について言及しており、その定義や背景、そして活動結果と今後の展望を公表しています。同社はISO14001 やOHSMS 18001の認定を受け、環境や安全性に関する厳格な国際基準を順守している施設を船舶解体場所として選び抜き、名実ともに世界最大の海運事業としての責任を果たしていると言えるでしょう。 他方、商船三井のCSRページにおける「シップリサイクル」は取り組み内容が箇条書きで記されており、達成度合いも◎達成、○概ね達成、△一部達成、●未達成といったやや抽象的なものとなっています。活動の進捗だけでなくステークホルダーとのコミュニケーションという観点から見ても行動指針や達成目標は明白であるべきだと言えるでしょう。 業界横断的に認識されるべきサプライチェーンの問題 今回、船舶解体に焦点を当てましたがこれは海運業だけに関わる問題ではありません。たとえば製造業であっても自社サプライチェーン上に海運が関わってくることは大いにあり得ます。マースクやハパックロイドといった世界を代表する企業は先進的に問題に取り組むことで、それを競争源としており、サステナブルな形での成長をこれからも続けていくと考えられます。そんな中、自社のサプライチェーン上に抱える問題に無関心であることは、環境や人権の配慮だけでなく事業成長の面からもマイナスであると言えます。長期的な展望の下、船舶解体を始めとするサプライチェーン上の問題に各社が積極的に取り組み、競争源泉としていくことが期待されます。

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2015/03/24 体系的に学ぶ

【中国】BBC、Appleのサプライヤーにおける過酷な労働環境の実態をスクープ

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英国BBCのドキュメンタリー番組、BBC Panoramaが公開した、Appleのサプライヤーにおける労働環境の実態をスクープした映像が話題になっている。 BBC Panoramaは12月18日、Appleのサプライヤー、Pegatron社の上海郊外にある工場内部を覆面取材したスクープ映像を公開した。映像の中では、12時間シフトで疲れきった従業員が作業中に居眠りしてしまう様子や「1日の休暇も許可してもらえずに、18日連続で働かなければならなかった。」「寮に帰るたびに、動きたくなかった。たとえ空腹でも、食べに行く気はしなかった。ただ横になって休みたかった。ストレスで眠ることもできなかった。」など過酷な労働環境に関する衝撃的などの証言が赤裸々に記録されている。 また、同番組では更にインドネシア、バンカ島のサプライチェーンにおける実態についても取り上げられ、Appleが鉱物の倫理的な調達を掲げているにも関わらず、実際にはバンカ島のサプライチェーンにおいては違法に採掘された鉱物が含まれており、加えて採掘現場ではきわめて危険な労働環境において児童労働が行われている実態が放映された。 上記の報道を受け、翌19日にはAppleのSenior Vice Presidentを務めるJeff Williams氏が英国で働く約5,000名の社員に向けてBBCの番組内容に対する反論を含んだEメールを送信し、その全文がThe Telegraphによって公開された。 メールの中で、William氏はBBCの報道に対して「Appleがサプライチェーンにおける労働者との約束を破り、顧客を欺いているという指摘により、皆さんの多くと同様にTim(Apple社CEO)と私も深く気分を害している」としたうえで、インドネシアおよび中国のサプライチェーンにおける実態についてコメントしている。 Williams氏のメールによれば、同社はBBC Panoramaが取材したインドネシアの採掘現場をAppleも既に訪問しており、その現状に愕然としたと同時に、Apple製品の中にインドネシア経由の鉱物が含まれており、その一部は不法に採掘されたものであることも既に把握しているという。 その上で、Appleは全てのサプライヤーに対しインドネシア以外から鉱物を調達することを徹底させるという選択肢をとることもできたが、それは問題から逃避する簡単な方法であり根本的な問題解決にはつながらないため、あえてその選択肢を取らず、インドネシアが抱える問題に立ち向かうことにしたと説明している。具体的には、同社が先頭に立って他のテクノロジー企業らと協働でIndonesian Tin(スズ) Working Groupを立ち上げ、問題解決に取り組んでいるとのことだ。 また、中国サプライヤー工場におけるBBC Panoramaの報道に対しても「Appleほど公正で安全な労働環境に尽力している企業はない」とした上で、1,400人以上の従業員がサプライヤー工場の管理のために中国に滞在している点や、同社の掲げるサプライヤーの労働環境に関する基準”Supplier Code of Conduct”を遵守してもらうことをミッションとする専門チームを設けていることなどを説明している。 具体的には、数年前まではサプライヤー工場における従業員のほとんどの週労働時間が60時間以上となっており、70時間以上の労働も常態化していたが、Appleはこの問題解決に向けて100万人以上の週労働時間のトラッキングを開始し、その結果を毎月ウェブサイトで公表するという、どの企業も実施していないレベルの取り組みをスタートし、その結果、現在では平均93%のサプライヤーがAppleの掲げる週の労働時間60時間以内という基準を遵守しているとのことだ。 このように、Appleはメールの中でBBCの放送内容に対して反論を展開しつつも、「我々はこの他にも多くの問題が存在することを知っており、我々の戦いは決して終わることがない」としており、未だ自社の取り組みに改善の余地があることも認めている。 Appleは、2010年に同社最大のサプライヤーであるFoxconnの中国工場で14人の労働者が自殺するという事件で世間の批判にさらされて以降、サプライチェーンにおける労働慣行基準を定めた”Supplier Code of Conduct”を公表し、積極的にサプライヤーの労働環境改善に取り組んできた。 サプライヤーの労働問題に対するAppleの積極的な取り組みや開示が目立っていただけに、今回のBBC Panoramaによるスクープは衝撃を持って受け止められている。まずは実態の正確な把握およびその報告が期待されるが、実際に問題が認識された場合には、その解決に向けてAppleがどのようなアクションを示すのか、今後の動向に注目が集まる。 BBC Panoramaの全編は下記から閲覧可能。 【参照動画】Apple's Broken Promises 【参照記事】BBC “Apple 'failing to protect Chinese factory workers'” 【参照記事】BBC “Apple 'deeply offended' by BBC investigation” 【参照記事】Telegraph ” Apple goes to war with the BBC” 【参考サイト】Apple “Supplier Code of Conduct” (※写真提供:pio3 / Shutterstock.com)

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【人権】進展する児童労働撲滅に向けた動き 〜企業が新たな担い手に〜

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児童労働関与の疑いで投資家に訴えられる事業会社 今年3月、ブルームバークがあるニュースを報じました。「チョコレート世界大手のハーシー(Hersey Co.)が、出資者であるルイジアナ年金基金から違法な児童労働関与の疑いを指摘され、ハーシーに対して証拠提出を要求する法廷闘争に突入した。」というものです。ハーシーは、世界的なカカオ産地である西アフリカからカカオを仕入れており、その仕入元で違法児童労働行為があったことをハーシーが認識していたにも関わらず、仕入れを続けたことをルイジアナ年金基金は追及しています。 児童労働問題は日本国内ではあまり注目されていませんが、国外では企業のブランド維持や社会的責任としてとても重視されているテーマです。児童労働は自社内、グループ企業内での慣行でなくとも、サプライチェーン上で発生していれば、その責任は追及されてしまいます。また、今回のルイジアナ年金基金のケースのように、SRIに敏感になっている投資家からは、児童労働に関与しないことを確実にする取組が求められています。企業はどのように児童労働問題に向き合っていかなければならないのか。先進事例をもとに見て行きましょう。 児童労働はILOが定義している そもそも児童労働とは何でしょうか。児童労働とは、「未成年で就業している者」のことではありません。日本でも、親が経営する喫茶店でお手伝いをしたり、子役が舞台で演じていたり、未成年者で仕事をしている人は少なからずいます。児童労働の定義は、国際労働機関(ILO)が細かく定めています。ILOは、現在世界185カ国が加盟する国際機関で、日本ももちろん加盟しています。ただ、ILOは他の国際機関と異なる特徴を持っています。ほとんどの国際機関は、各国の政府代表によって代表団が構成されているのに対し、ILOでは加盟国の代表は政府代表2名、労働者代表1名、使用者代表1名の計4名からなる三者構成を採っています。決議案の採択に際しても、投票は1国1票ではなく、政労使の各代表はそれぞれ独立して発言や投票を行う形式をとっており、ILOは幅広いステークホルダーの声を包接するとともに、ステークホルダーに対する影響力の大きい存在にもなっています。 (出所:ILO "UN Global Compact Human Rights and Labour Working Group Child Labour Platform Meeting Report") ILOが発表している児童労働(Child Labour)数は、2012年時点で1億6,800万人。年々数は減少していますが、それでも依然膨大な数の児童が、「児童労働」に関与していると算定されています。ILOはまず「児童」の定義として、満18歳以下の子どもは全て児童だと位置づけています。そして児童労働の定義は、1973年に採択されたILO第138号「就業の最低年齢に関する条約」(ILO Conventions No.138)で定められています。この条約は日本も2000年に批准しています。 ILO第138号「就業の最低年齢に関する条約」 ◯ 就業最低年齢は義務教育終了年齢、原則15歳   →但し、開発途上国の場合は届出により当面14歳以下とすることができる ◯ 軽労働については、一定の条件の下に13歳以上15歳未満でも就労可能   →但し、開発途上国の場合は届出により当面12歳以上14歳未満でも就労可能   軽労働とは、以下の2つを満たすもの   (a) これらの者の健康又は発達に有害となるおそれがないこと。   (b) これらの者の登校若しくは権限のある機関が認めた職業指導若しくは訓練課程への      参加又はこれらの者による教育、職業指導若しくは訓練内容の習得を妨げるもの      でないこと。 ◯ 危険有害業務は18歳未満禁止   重労働とは、年少者の健康、安全若しくは道徳を損なうおそれのある性質を有する業務   又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務 このように、軽労働においては原則12歳以下、それ以外は15歳以下の労働は「児童労働」と見なされます。これが、現在一般的に使われている児童労働の定義です。さらにILOは別途例外基準も定めており、子役など撮影や舞台に出演する児童については、ILO79号「年少者夜業(非工業的業務)条約」で認められています。また、同様に工業と農業においては、ILO90号「年少者夜業(工業)改正条約」ILO14号「児童及年少者夜業(農業)勧告」で例外の定めを設けています。 児童労働の多くは、農場、加工工場、アパレル産業、露天商などで働いています。雇用形態の内訳は、ILOの統計では、家族の手伝いとして無報酬で働いている児童が68.4%、給与労働者として働いている児童が22.5%、自身で働いて生計を立てている児童が8.1%。中には、下記のように、かなり悪質な形態で働いている児童もいます。 最悪形態の児童労働を定義したILO182号条約 さらにILOは、児童労働の中でも悪質度の高い児童労働のいち早い撲滅を進めるため、1999年にILO182号「最悪の形態の児童労働に関する条約」を採択しました。最悪形態と定められたのは、以下の4つです。 (1) 人身売買、徴兵を含む強制労働、債務労働などの奴隷労働 (2) 売春、ポルノ製造、わいせつな演技に使用、斡旋、提供 (3) 薬物の生産・取引など不正な活動に使用、斡旋、提供 (4) 児童の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働 これらは英語でHazardous Workという名称で呼ばれています。これらは、最も悪質だと位置づけられましたが、2012年時点で8,500人の児童が依然従事していると算定されています。 児童労働を生み出す構造はデマンドサイドとサプライサイドの両面がある どうして児童労働は生み出されてしまうのでしょうか。児童労働と聞くと、貧困など家庭の経済状況などにより子どもを労働力としてあてにしたいというようなシチュエーションを想起しやすいと思います。ただ一方で、児童労働には、低コスト(もしくは無報酬)の生産をビジネス界側、ひいては消費者が欲しているという事情も大きな原因となっています。このように、児童労働の原因には、児童労働を発生させてしまう側の問題(サプライサイド)と、児童労働を必要としてしまう側の問題(デマンドサイド)の両方があります。 サプライサイド (1) 貧困:子どもの労働力を使って生産をしないと生計が成り立たない。教材が高い (2) 教育機会の欠如:魅力的な教育機会がなく、子どもを学校に通わせる動機が小さい。 (3) 武力紛争:子どもを戦闘力として徴集。 (4) 自然災害:孤児の増加。 デマンドサイド (1) 安い労働力の追求:児童労働による生産コストの削減 (2) 社会の無関心:児童労働が関与した商品を意識せず購入 (3) 児童労働を当然視する地域社会:児童労働削減のための社会運動の欠如 伝統的アプローチ「サプライサイド対策」 児童労働撲滅に向けた取組は、伝統的には児童労働に対する各国での法整備、そしてその法規制を徹底させるための社会監視によって進められてきました。児童労働の定義を定めたILO138号条約、ILO182号条約でも、加盟各国政府に対して条約内容を国内法として整備するよう要求しています。現在では、ILO138号条約は167ヶ国が、ILO182号条約は179ヶ国が批准し、未批准国の多くでも同様の国内法が整備されています。法規制の徹底は各国の中央政府や地方政府に基本的には委ねられていますが、ILOもCLM(児童労働モニタリング)という制度を用い児童労働モニタリングのためのノウハウを提供しています。 同時に、経済的支援や教育機会の提供といったサプライサイドの原因を取り除く努力も続けられています。まず、ILOは、児童労働撤廃国際計画(IPEC)をドイツ政府のイニシアチブにより1992年にスタートしました。これは、ILOに各国政府が資金を拠出し、危険有害労働をはじめとする最悪の形態の児童労働の撤廃に重点を置きながら、最終的にはすべての児童労働をなくすことを目標とする技術協力プログラムです。資金規模は年間4000万USドルほどで、各国の法整備のサポートや援助を必要とする家庭に対して経済的自立を促すようなプログラムを展開しています。また、各国政府も開発途上国などの児童労働のために直接資金や援助を拠出しており、米国労働省は年間約6000万USドル、EUは毎年数千万USドルをIPECに拠出しています。経済的自立支援や教育機会・教材の提供としては、国連機関であるUNICEFやUNDPなども毎年多額の資金を提供しています。 サプライサイド対策には、国際機関や各国政府だけでなくNGOも大きな力を発揮しています。有名どころでは、世界的な国際NGOであるセーブ・ザ・チルドレン、日本国内ではACE(エース)があります。セーブ・ザ・チルドレンの年間活動資金は19億USドルと巨額で、児童労働対策を含む世界中の子どもの権利保護のために活動を続けています。 新たなアプローチ「デマンドサイド対策」 各国での法整備やサプライサイド対策の結果、児童労働の数は大きく減少してきています。一方、現在未だ1億6800万人もの児童が児童労働を行う状況が続いているのも事実。従来からの伝統的アプローチの限界も指摘され始めた中、新たに注目を集めているのがデマンドサイド対策です。すなわち、児童労働が関与している商品をサプライチェーンや消費者が買わないようになれば、生産者も児童を労働力として活用しなくなるだろうという考え方です。 デマンドサイドに対する取組として有名なものは、2012年に、セーブ・ザ・チルドレン、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、UNICEFが共同で発表した「子どもの権利とビジネス原則」です。「子どもの権利とビジネス原則」は10原則からなり、企業が子どもの権利を職場、市場、そして地域社会の中で尊重し、支援するためにどんな取り組みをすべきかについて包括的に示しています。 企業も自主的にデマンドサイドに対する対策を開始しています。2014年5月、ハーシーやネスレ、マーズなどのチョコレート世界大手12社は、ガーナ政府と合意して「ココア・アクション」と呼ばれるプログラムを開始、カカオの生産性向上と同時に児童労働を共同で監視しています。 消費者に対して直接「反・児童労働」を訴求する取組も数十年前から始まっています。代表的なものはフェアトレードの推進です。フェアトレードとは、児童労働などの人権侵害に関与せず生産された製品に対して付与される認証制度で、「国際フェアトレード認証ラベル」が有名です。フェアトレードは、従来、人権侵害に関与した製品を前提とした中で、そうではない商品として「フェアトレード商品」という概念を構築してきましたが、どの商品であっても人権侵害は許されないという時代になってきた今、その存在価値は徐々に小さくなっています。消費者の間でも、フェアトレード商品を敢えて意識して購入するという試みは市場行動の多数を取るまでには至らず、児童労働撲滅のためには商品全てがフェアトレードとなるように市場を誘導する必要があると言えます。 投資家からの児童労働撲滅への意識は始まったばかり 冒頭で紹介したルイジアナ年金基金のケースのように、児童労働問題に敏感になる機関投資家も増えてきています。2014年に、子ども問題を討議する世界的なフォーラムであるGlobal Child Forum(世界子どもフォーラム)と、ヨーロッパのESG投資シンクタンクであるGESが共同で発表した調査レポート「Investor Perspectives on Children’s Rights」では、回答数が極めて少ないながらも、回答したうちの99%の機関投資家が投資先選定において児童労働を考慮すると回答しています。 サプライサイド・デマンドサイドの両面が欠かせない サプライサイドとデマンドサイド。この2つは車の両輪のような役割を果たしており、どちらも欠くことができません。従来、サプライサイドを中心に対策を講じてきましたが、児童労働を使う動機を持つ企業は隠れて児童労働を継続してきました。また、デマンドサイド対策だけになってしまっては、児童労働の受け皿はなくなりますが、生産力を失った家庭がより経済力を下げる状況を作り出したり、教育機会や教材の欠如のままでは児童は働くことも学ぶこともできない存在となり、将来の発展につながりません。 そこで、デマンドサイドとして取り組む企業の中には、セーブ・ザ・チルドレンやACEなどと協力してサプライサイドの対策に共に乗り出すところも出てきています。例えば、セーブ・ザ・チルドレンのホームページに掲載されているコーポレート・パートナーには、P&F、ユニリーバ、シティバンク、ウォルマート、ソニーなどが名を連ねています。日本では森永製菓がACEと協働して「国際フェアトレード認証チョコレート」を販売するまでに至っています。今後は投資家から事業会社の事業運営に対する目も厳しくなると予想され、企業には国外の児童労働の動向に対してよりシビアな姿勢が求められていきそうです。 文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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2014/08/30 体系的に学ぶ

【ガーナ】チョコレート産業のグローバル企業12社、サステナビリティ戦略「カカオ・アクション」を発表

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The Hershey Company(ザ・ハーシー・カンパニー)やNestlé(ネスレ)、Mars(マーズ)など世界を代表するチョコレート産業に関わる企業12社は5月22日、ガーナのカカオ産業のサステナビリティ向上を目指して新たな計画を進めることについてガーナ政府と合意した。 「Cocoa Action(カカオ・アクション)」と呼ばれるこの計画は、カカオ産業に関わる企業とガーナ政府との更なる協力強化を通じて、カカオ産業をより活性化し、経済的にも持続可能な産業にすることを目指している。 今回の計画はカカオ農園の生産性向上とコミュニティの発展を結びつけることに重きが置かれており、2020年までに少なくともガーナにある10万以上のカカオ農園が、生産性を100%向上させ、コミュニティの質を改善することが期待されている。また、この取り組みはWCF(World Cocoa Foundation:世界カカオ財団)が中心となり推進される予定だ。 Marsのサステナビリティ部門の責任者であり、WCFの新会長に就任したBarry Parkin氏は、「今回の合意はカカオ産業を持続可能なものにする上でとても重要なステップとなる。目標の共有、資源利用に対するコミットメント、そしてベストプラクティスの共有により、カカオ農園の生産性を向上させ、カカオ産業の将来をより安定的なものにできる。また、この合意はカカオ産業界が原産国と協働する上での新たな道を示すだけではなく、より強固な関係構築にもつながる。我々はこうした関係の変化が次のステップに進むために重要な役割を果たすと確信している」と述べている。 「カカオ・アクション」はカカオの供給量世界トップを誇るガーナ政府、コートジボワール政府と企業との協力によって自主的に進められてきた。現在この2国だけで世界のカカオ供給の約55%を占めているが、カカオ産業のサステナビリティ促進を支援するため、他の国にも拡大していく予定だ。 WCFのトップを務めるBill Guyton氏は、「『カカオ・アクション』はカカオ農園に対し、彼らの住むコミュニティの生活水準を向上させながら、農園経営を成功に導くうえで必要不可欠となる知識・技術のトレーニングをフルパッケージで提供することに重点を置いている。各企業のプログラムの中から最も優れた要素だけを取り出し集めた上で、それを共有し発展させることができるようになったのだ」と語る。 「カカオ・アクション」を通して、企業はガーナ政府や他の政府機関とより密に協力できるようになる。より改良された原料や肥料、農家へのトレーニングだけでなく、教育や児童労働の監視、女性のエンパワーメントを高める活動を通してコミュニティの発展を促進できる。WCFが開発した一連の指標が「カカオ・アクション」に統合され、今後、企業と政府はこの計画の進捗状況を測定、管理できるようになる。 「カカオ・アクション」に参加する企業はADM、Armajaro、Barry Callebaut、Blommer Chocolate Company、Cargill、Ecom、Ferrero、The Hershey Company、Mars, Incorporated、Mondelēz International、Nestlé、Olam International Ltd.の12社で、世界のカカオ・チョコレート産業を代表するグローバル企業が名を連ねている。 カカオの主たる原産国であるガーナやコートジボワールにおける児童労働や強制労働などは過去にもたびたびNGOやメディアからの批判にさらされており、チョコレート産業に携わるグローバル企業も自主的な取り組みを進めてきた。今回の合意によりチョコレート産業のサプライチェーンの更なる健全化が進むことを期待したい。 【参考サイト】World Cocoa Foundation

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