【アメリカ】カーギル、2030年までにカカオ豆サプライチェーンでの森林破壊をゼロに

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 食糧世界大手米カーギルは10月3日、持続可能なカカオ調達サプライチェーンの構築イニシアチブ「Cargill Cocoa Promise」について、3回目の進捗レポートを発表した。同イニシアチブでは、長期的な視点に立ってカカオ農家や地域コミュニティを支援し、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与する活動を展開。すでに小規模農家14万5,000人にグローバル市場へのアクセスを提供し、500の農家団体や協同組合と連携している。  今年度のレポートでは、特にカカオの直接調達、森林伐採の抑止、情報のトレーサビリティの改善、農家と地域コミュニティの社会経済的なレジリエンス向上をテーマとした。同社が推進してている農家団体や協同組合を通じたカカオの直接調達割合は85%に達した。同社はこれにより、直接的に農家の事業運営を改善するサポートが可能となっており、収益性の向上にも貢献している。2016年から2017年にかけてコートジボワールで実施した農家向けトレーニングでは、平均で49%収穫高が上がった。  また、ガーナとコーボジボワールの村175ヶ所では、農家の経営安定化のための、国際人権NGOのCAREと連携した金融プログラム「Village Savings and Loan Associations 」を実施。農家向けの預貯金・融資サービスを提供している。これにより、4,000人が融資を受け事業を開始できた。そのうち半数は女性。  児童労働の撲滅では、累計で農家14万5,000人に児童労働廃止を呼びかけ、すでに2万人の児童が学校への通学や医療機関のサービスを受けることができるようになった。  トレーサビリティ改善では、すでに世界中で農家56,000人にGPSマッピングシステムを導入し、収穫物の出自を記録したり、生育計画を立てたりするのに役立てている。ガーナでは、農家25,000人がカーギル向けのカカオ豆の情報を追跡するためのタグ付けシステムに参加している。商品配達時には、農家はモバイル決済サービスを通じて即時に入金を受けることができるようになっている。GPS技術は、カーギルのリスク評価にも活用されており、これまで森林230万haの状態や伐採状況を調査した。その調査結果は、カーギルが2030年までに森林伐採をなくすという目標達成のために活用されている。  同社は今回、今後の注力分野として、5つの2030年目標も発表した。 農家の生活改善:カカオ農家100万人と地域コミュニティが社会経済的に持続可能な生活を送るための支援 コミュニティの幸福:カカオ農家が暮らすチキの家族や子供の幸福な生活を支援。児童労働を撲滅し、100万世帯に必要最低限の生活インフラを提供 地球保護:サプライチェーン上の森林伐採をゼロにする 消費者からの信頼獲得:調達するカカオ豆について農家から加工工場まで100%の情報を把握し、自社サステナビリティ基準に適合する調達割合を100%に上げる パートナーシップの構築:目標獲得のために、適切なパートナーと協力 【参照ページ】Cargill sets clear course for cocoa sustainability

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【アメリカ】労働省、2016年児童労働レポートと企業対策強化アプリ発表。135ヶ国・地域を評価

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 米労働省(DOL)は9月20日、2016年版「児童労働レポート(TDAレポート)」を発表した。同レポートは毎年発表されており今年で16年目。米労働省は米国だけでなく、発展途上国を中心に135ヶ国・地域の児童労働を分析しており、国毎の評価も行っている。日本は対象に含まれていない。発表前日には国際労働機関(ILO)も2016年の児童労働・強制労働統計を発表したが、その内容を踏まえたものにもなっている。今年は新たに企業が具体的に児童労働を削減するためのステップを解説するスマートフォン用アプリもリリースした。 【参考】【国際】2016年の現代奴隷4,000万人、児童労働1.5億人。ILO統計発表。減少速度が低下と警鐘(2017年10月2日)  米労働省国際労働局(ILAB)は、連邦法と大統領令によって、児童労働分析と報告を毎年実施することが義務付けられている。そのため労働省は、発展途上国の児童労働削減に向け各国政府に働きかけを実施している。今年対象となった135ヶ国のうち、抜き打ち監査を実施しているのは79ヶ国。さらに86ヶ国では定期的な監査が実施されている。64ヶ国では査察官に罰金を課す権限が与えられている。しかし、ILOが推奨する数以上の労働査察を行ったのは39ヶ国に留まった。  米労働省は国毎の改善状況について、Significant(非常に進んでいる)、Moderate(進んでいる)、Minimal(最低限)、No Advancement(行動なし)の4段階に分類しており、Significantに分類された国は23ヶ国・地域だった。当該23カ国は、アルバニア、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、コンゴ民主共和国、コスタリア、コートジボワール、エクアドル、エチオピア、ガーナ、グアテマラ、コソボ、マリ、モロッコ、パナマ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、タイ、チュニジア、ウガンダ、西サハラ。一方、No Advancement評価受けたのは、クリスマス諸島、ココス島、ニウエ、トラケウ、南スーダン、スワジランド、ウズベキスタン、エリトリア、ミャンマー、ウォリス・フツナ。  米労働省は、過去40年間で児童労働が40%削減されたと強調。しかし、労働長官はレポート発表時に、前日発表のILO統計が15年以上の推移データをもとに減少スピードが低下していると警鐘していることを踏まえ、「以前と比べこの4年間の減少幅は大きく低下してしまった」と言及。さらに取組を強化しかなければいけないと意気込みを見せた。  児童労働の分析からは、近年、小分けした麻薬輸送への関与、児童ポルノのインターネット配信など新たな課題も生まれてきている。同レポートは国別に取るべき行動を列挙しておりその数は1,700以上。そのうち約1,100は法規制による政府の取締強化に関連したもの。各国政府の素早い行動が期待される。  同時に発表されたアプリ「Comply Chain」では、ステークホルダー・エンゲージメント、リスク評価、行動指針の制定、トレーニング、モニタリング、被害者救済措置の整備、レポーティングなど、企業が実施すべき各ステップについて細かい解説がなされている。また労働省は、児童レポートの内容を閲覧するためのアプリ「Sweat & Toil」も別途リリースしており、国毎や業界毎の状況を閲覧できるようにしている。 【参照ページ】NEW RESEARCH AND APP TO COMBAT CHILD LABOR AND MODERN SLAVERY 【レポート】2016 TDA Report 【機関サイト】Bureau Of International Labor Affairs

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【国際】2016年の現代奴隷4,000万人、児童労働1.5億人。ILO統計発表。減少速度が低下と警鐘

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 国際労働機関(ILO)と国際人権NGOのWalk Free Foundation(WEF)は9月19日、世界全体の2016年の現代奴隷の数が4,000万人だったと発表した。またILOは同日、同年の5歳から17歳までの児童労働の数を1億5,200万人と発表した。  現代奴隷の防止に向けては、ILOが中心となって国際的なアライアンス「Alliance 8.7」が2016年9月21日に発足している。国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標8のターゲット7には現代奴隷を2025年までに撲滅することが掲げられており、「8.7」という名称が付けられた。この中で現代奴隷の定義は、強制労働と強制結婚の双方を合わせたもの。強制労働には、ヒューマントラフィッキングや家庭内や企業による強制労働、性産業での強制動労、軍、刑務所での労働搾取など政府が関与している(State-imposed forced labour)の3つに分けられる。  今回の発表の統計では、現代奴隷4,000万人のうち、強制労働2,500万人、強制結婚1,500万人。強制労働の数は2,500万人。そのうち1,600万人が家庭内労働、建設、農業等で従事。約500万人は性産業に従事、約400万人は軍、刑務所での労働搾取など政府が関与している。また、全体のうち女性が2,900万人と全体の71%を占め、ほとんどが性産業に強制労働として従事させられている。また、児童も1,000万人と全体の約25%を占めた。18歳未満で強制結婚をさせられた児童の数は570万人。そのうち44%は15歳未満で強制結婚させられていた。  ILOの国際条約上の定義では、児童労働には、放課後や休日に家業を手伝うことや日常的なお手伝いは含まれない。そうではなく、大人と同じような勤務状態にある児童が世界で1億5,200万人いる。そのうち8,800万人が少年、6,400万人が少女。この数は、世界全体の児童の約10%を占める。業種別では、農業が70.9%と最多。17.1%がサービス産業、11.9%が工業分野。一方、地域別では、アフリカに7,210万人、アジア太平洋に6,200万人、北米・南米に1,070万人、欧州・中央アジアに550万人、中東に120万人。児童労働の中でも、5歳から14歳と低年齢の児童のうち3分の1は学校に通えていない。また、5歳から14歳のうち38%、15歳から17歳のうち43%は、危険有害労働(hazardous work)に従事している。 (出所)ILO「Global Estimates of Child Labour 2012-2016」  それでも児童労働は2012年から比べると、実数、割合ともに減少してきている。児童労働従事数は2012年の1億6,800万人から2016年には1億5,200万人に減少。世界の児童全体に占める割合も10.6%から9.6%に減少した。危険有害労働従事数も2012年の8,500万人から7,300万人に減少している。しかし、2008年から2012年までの4年間に比べ減少スピードが3分の1にまで落ちてきており、ILOは大きな危機感を抱いている。  ILOが実施している現代奴隷の集計作業は、各国関係者へのインタビューや国際機関等が保有しているデータ等100以上のデータソースから統計的に推計値を算出。別の国連機関である国際移住機関(IOM)も協力した。 【参照ページ】40 million in modern slavery and 152 million in child labour around the world

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【インド】政府、児童労働撲滅に向けILO「最低年齢条約」と「最悪の形態の児童労働条約」を批准

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 インド政府は6月13日、児童労働撲滅のための主要な国際条約を2つ批准した。1つ目は、1973年に国際労働機関(ILO)が採択した「最低年齢条約(第138号)」および同時採択の補足的勧告「就業の最低年齢に関する勧告(第146号)」。もうひとつは、1999年に同機関が採択した「最悪の形態の児童労働条約(第182号)」。これにより政府は、未成年の雇用に関する国際労働基準を適用し、他国による監査に対する受け入れを容認。政府としてこの問題への取り組みを本格化させた。  2011年のインドの国勢調査によると、全世界で1億6,800万人いる5歳から14歳の児童労働者のうち、インドには400万人以上が存在していたとされている。しかし児童労働問題の活動家は、さらに数百万人の児童が貧困のため児童労働リスクにさらされていると述べている。バンダルー・ダタトレヤ労働大臣は、今回の批准について、「児童労働のない社会へのコミットメント」の再確認だと表明した。  先述の児童労働に関する条約2つは、各国が国内法を整備するための基本的な原則を規定している。就業の最低年齢は、義務教育終了年齢後で原則15歳とされているが、軽労働については一定の条件の下に13歳以上15歳未満とされている。また危険有害業務については、18歳未満は禁止されている。しかし発展途上国のための例外措置として、就業最低年齢を14歳に引き下げ、軽労働については12歳以上でも可としている。    また、最悪の形態の児童労働とは、18歳未満の児童による(1)人身売買、武力紛争への強制的徴集を含む強制労働、債務奴隷等のあらゆる形態の奴隷労働またはそれに類似し行為、(2)売春、ポルノ製造、わいせつな演技のための児童の使用、斡旋、提供、(3)薬物の生産、取引等、不正な活動に児童を使用、斡旋または提供すること、(4)児童の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働、と定義されている。  これらの条約を批准すると、各国は4年ごとに進捗状況をレビューする義務を負う。インドの批准が遅れた背景について、児童労働問題の活動家は、政府が同国における児童労働の存在を否定していたため、批准には否定的だったと説明している。今回の決定について、児童の権利擁護の活動家でノーベル賞受賞者のカイラシュ・サティアテイ氏は、大きな転換だと語る。児童労働および最悪の形態の児童労働の存在を政府が認めたことにより、児童に対する予算の増加や、関連団体への強力な法的ツールの提供に繋がるという見解を示した。  2011年の国勢調査によると、インドの人口12億人のうち、18歳以下が実に40%以上。この比率は世界最多クラスだ。過去20年間の急速な経済発展により、数百万人が貧困から脱した。また、社会福祉制度の導入、未成年者保護や教育確保に関する法律が制定されたことで、児童労働も抑制されてきている。しかし、依然として、世界の3億8,500万人の最も貧しい子供のうち30%以上がインドに住んでいることが、2016年の世界銀行とユニセフの報告で明らかになっている。  このような子供達は、より良い人生をという誘いに応じて人身売買業者の犠牲者になりやすく、強制労働や債務奴隷状態に陥ってしまう頻度が高い。インドの児童労働者の半数以上が農業に従事しており、4分の1以上が、衣服の刺繍、絨毯織り、マッチ製造業等で雇用されている。また、レストランやホテルに加え個人の家庭での家事労働などにも従事し、女の子の多くは性的な奴隷として売春宿に売られている。従って貧困との闘いが、条約の有効性の鍵になる。  今回はインドの児童労働について述べてきたが、日本で第138号条約および第146号勧告が批准されたのは2000年6月であり、第182号が批准されたのは2001年6月だ。2015年10月時点での批准国は、前者が168カ国、後者が180カ国となっていた。 【参照ページ】India commits to global pacts on eradicating child slavery 【参照ページ】ILO駐日事務所:児童労働に関するILO条約 【参照ページ】ILO駐日事務所:1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号) 【参照ページ】ILO駐日事務所:1973年の最低年齢条約(第138号)

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【国際】責任ある雲母イニシアチブ発足。ロレアルなど欧米中韓印の化粧品や電気電子企業が参画

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 化粧品世界大手ロレアルは2月22日、インドでの雲母(マイカ)採掘に児童労働が関与している問題の解決を目指す「責任ある雲母イニシアチブ(Responsible Mica Initiative)」の創設メンバーとして参加したと発表した。同イニシアチブは、2016年2月にインド・デリーで開催された雲母採掘会議をきっかけに発足。官民からの資金提供を受け、インドの雲母採掘産業の健全化に向け5年間の活動を行う。  雲母は、塗料、電材、化粧品、切削油など産業用途で幅広く利用されている物質。世界の主な産地は、中国、ロシア、フィンランド、米国、韓国、カナダなどだが、インドも上位10位内に入っている。中でも、マイカをシート状に伸ばし電子部品等の材料となっているマイカシートの生産ではインドは世界トップクラスに位置している。一方、インドのマイカ生産では、多数が手を使った違法採掘で、多くの自動が採掘作業に従事している。  ロレアルは、同イニシアチブの設立母体となった天然資源スチュワードシップ·サークル(NRSC)にも参加しており、早くから雲母採掘産業の持続可能性向上に向けて取り組んできた。同社は天然雲母の60%をアメリカから調達し、残りをインドなどの諸外国及び合成雲母によって賄っているが、2016年末までには調達マイカの97%を健全な採掘事業者から調達できており、最終的には100%を目指している。ロレアルは、児童労働現場からの撤退ではなく、現場への働きかけを通じて事態を改善する道を選んできた。そのため、改善が行われた数社の供給者からのみ調達を行い、定期的な監督と問題解決のためのコミュニティ開発を行ってきた。  責任ある雲母イニシアチブに現在参画しているのは、全部で21社・団体。ロレアル、エスティローダー、コティ、クラランス、シャネル、レブロン、ロシェ、H&M、独Schwan Cosmetics、韓国CQV、中国・坤彩(Kuncai)、中国・欧克加工(Oxen)、インドSudarshan、仏terre de hommes、フィリップス、独メルク、アクゾノーベル、米PPG、米アクサルタ、米Sun Chemical、ノーベル平和賞受賞者インドのカイラシュ・サティーアーティ氏、天然資源スチュワードシップ·サークルが参画している。 【参照ページ】L’ORÉAL FOUNDING MEMBER OF THE RESPONSIBLE MICA INITIATIVE 【参照ページ】SUSTAINABLE MICA SOURCING 【機関サイト】Responsible Mica Initiative

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【アメリカ】カーギル、国際カカオイニシアチブが開発した児童労働監視システムを導入

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 食品世界大手カーギルは2月7日、国際カカオイニシアチブ(ICI)と協働し、両者が共同で取り組んでいるコートジボワールでの児童労働撲滅プログラムを拡大していくことを発表した。コートジボワールにあるカーギルのサプライチェーン全体で、児童労働の関与を監視するシステム「児童労働監視改善システム(CLMRS)」を導入する。  ICIは、カカオ農園から児童労働を撲滅するため、食品メーカー、米国政府、ILO、労働組合、NGO、消費者団体などが2002年に共同で設立した組織。発足当初からカーギルも同イニシアチブに参加している。ICIは、2016年9月から、カーギルに原料を納品している農家の中から「優秀農家」を選抜し、農家の生活や経営データを携帯電話を通じて収集しながら、児童労働の危険性を伝えるプログラムを実施。今回カーギルが導入する監視システムも、ICIがカーギルとの協働の中で開発してきたもので、運用をカーギルが企業内部で実施できるようにすることで、カーギルの事業活動の中に組み込むことを目指す。ICIは、他の食品メーカーにも、CLMRSの導入を呼びかけている。 【参照ページ】Cargill and the International Cocoa Initiative on a journey to improve the lives of children

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【インド】児童労働規制強化法が制定、家族経営企業労働を容認したことにユニセフは批判

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 インド連邦上院(ラージヤ・サバー)は7月19日、児童労働(禁止及び規制)修正法案を通過し、インド連邦下院(ローク・サバー)も7月26日に通過、同法案が成立した。この法律は、全ての産業において14歳以下の児童労働を禁止することを定めるもの。また14歳から18歳までは危険を伴う労働に従事させてはならない。違反雇用主に対しては懲役3年以下と5万ルピー以下の罰金が科される。但し、例外規定があり、家族経営企業での放課後や長期休暇中の労働は規制しない。今回の法律制定の背景には、インドで根強く残る児童労働を抑止する狙いがあるが、早速国際機関やNGOからは今回の法律に対する批判の声が上がっている。     国連児童基金のインド支部、ユニセフ・インディアは7月25日、児童労働修正法が、家族経営企業での児童労働を容認したことに対し、家族労働を合法化し、貧しい家庭の子供たちの不利益を助長しかねないとする声明を発表した。ユニセフ・インディアは、この修正法により、ILO条約が「危険を伴う職業」と定めている職種リストを実質的に無効化してしまい、不法な環境下での児童労働につながってしまう可能性があることについても懸念している。  インドではおよそ1,020万人の子供たちが働いているという。2011年の国勢調査によると、児童労働に従事する割合は、指定部族で6.7%、指定カースト(いわゆる「不可触民」階級を指す)で3.9%と最も高くなっている。どちらのグループにおいても、地方部に住む児童のほうが都市部にすむ児童よりも多く労働に従事している傾向にあり、労働している多くの少年少女が学校をやめざるをえなくなっている。また、全体として働く少年少女の数は減ってはいるものの、都市部での児童労働は増えつつある。背景には、上京あるいは人身売買の結果、危険を伴う産業や建設現場での労働を強いられている実態があるという。とりわけ、綿、腕輪、巻たばこ、織絨毯などの製造や金属加工業などに多い。ユニセフ・インディアは、「家族経営の手伝いをする子供たち」という条件を除くよう強く勧告している。  さらに、今回制定した法律には人身売買に関する言及一切ない。ユニセフ・インディアは、全ステークホルダーの責任を確証する健全な監視機構が必要だとの見解も示した。同時に、徹底的に危険を伴う職業を洗い出し、定期的なチェックを進めること、また、新たなものが出てくれば追加してくべきであるとも勧告した。 【参照ページ】UNICEF concerned about amendments to India’s Child Labour Bill

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【国際】FAOとILO、農業分野での児童労働防止にむけたEラーニングの提供開始

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 国連食糧農業機関(FAO)と国際労働機関(ILO)は6月13日、農業分野における児童労働を根絶するためのキャンペーンの一環として、新たなEラーニングコースを開設した。Eラーニングコースでは、貧しい小農家が児童労働を防止するための取り組み事例などが紹介されている。これにより、サプライチェーン上に児童労働を抱える企業、政策関係者、研究者、コンサルタントなどが児童労働の実態や児童労働を防止するための具体的な方策を習得できることができる。コースの内容には、関連分野である畜産業、林業、漁業の各分野にも触れられている。  2012年のILOによるデータによると、現在世界的全体で児童労働者が1億6,800万人おり、そのうち8,500万人が危険・有害労働に従事しているという実態だという。児童労働とは法律で定められた就業最低年齢を下回る年齢の児童(就業最低年齢は原則15歳、健康・安全・道徳を損なう恐れのある労働については18歳)によって行われる労働のことをいう。とりわけ、全世界の児童労働者の約60%に相当する1億人の少女少年が農業分野で働いている。 【関連】進展する児童労働撲滅に向けた動き 〜企業が新たな担い手に〜  農業に従事するすべての子どもが児童労働と定義されるわけではない。農業への部分的な関わりは知識を増やし、スキルを磨くのに役立つ場合もある。しかし長時間労働や危険な作業は年齢的に適しておらず、健康や勉学に害を及ぼしかねない。今回のコースでは、児童労働の需要を減少させる方法や、労働力を節約するノウハウについての情報等を提供し、危険な労働状況を減らし、より安全な農業実践に向けたものだ。  例えば耕作に使う雄牛の適切なトレーニングのような単純な事でも事態は改善する。雄牛が適切に調教されていないところでは、子どもたちが雄牛を引き具で誘導する際に危険を伴うものとなる。また多くの国では、子どもたちは雑草刈りをしているが、その時間を節約する技術の習得や複数の作業の併行、例えば列植と機械による除草との組み合わせ等により子どもの労働力への需要を減らすことができる。さらにアフリカでは、エネルギー効率のよい新たな魚類乾燥用オーブンを導入することで、子どもが有害な煙に曝される機会や薪を集める作業が減ってきている。 Eラーニングコースの内容 コース全体の所要時間は12時間、構成は7ユニット15レッスンで、1レッスンにかかる時間は30~65分。 ユニット1 農業分野での児童労働:コースの概要、児童労働の状況、有害な仕事について ユニット2 ステークホルダーの特定と調整・協調:農業分野での児童労働根絶・削減の目標に向け、ステークホルダーの分類(農業、畜産業、林業、漁業)と、計画の立案、実施、モニタリングに関わるステークホルダーやパートナーの相互関係の構築 ユニット3 データの収集、評価、使用:農業分野での児童労働に関する既存データの収集と使用方法、情報ギャプの発見、情報収集技術やデータ処理手段の改善による新たな情報の取得や知識の生成、政策やプラグラム作成に効果的なデータの使用方法 ユニット4 児童労働対策の政策、戦略への組み入れ:児童労働根絶に向けた各国および国際的な法律と実施されている政策、地域の振興政策や農業政策との適合性 ユニット5 農業プログラムの中での取り組み:農業関連のプログラムを展開する際の計画や実践の各段階における児童労働問題への喚起 ユニット6 モニタリング・評価・報告: 農業分野での児童労働に対処するモニタリングシステムの強化と、その結果の査定・評価、さらにそれらが改善に反映された証拠の把握と報告       ユニット7 能力開発と効果的なコミュニケーション: 当該問題に関わるステークホルダーの個人、組織レベルでの対処能力を向上させる方法や、当該問題への喚起を促す効果的なコミュニケーションの方法                    【参照ページ】FAO and ILO working together to stamp out child labour in agriculture 【Eラーニング】End Child Labour in Agriculture E-Learning Course

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【アメリカ】デロイトとFree the Slaves、現代奴隷の撲滅に向けた報告書を公表

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 デロイトのシンクタンク、Deloitte University Pressは10月26日、現代奴隷の撲滅に向けた協働の重要性についてまとめた報告書、"The Freedom Ecosystem – How the Power of Partnership Can Help Stop Modern Day Slavery"を公表した。  同報告書はデロイトと現代奴隷の問題に取り組む米国のNGO、Free the Slavesとの協働により作成されたもので、現代奴隷を撲滅するために、民間セクターや市民社会、政府、投資家など多様なステークホルダーがセクター横断で協働して取り組む際のポイントを提示している。  具体的には、各セクターの専門家からのヒアリングや成功事例の分析を通じ、協働を成功に導くための3要素として「共通の目標への整合」、「相互の当事者意識の確立」「拡大可能な解決策の創出」を挙げている。同報告書は、これら3つの要素を統合することで、クロスセクターの協働により人身売買の基準となる定義や情報・データの共有不足、限定的なリソースや政策といった現状の課題解決に加えて、将来の変革に向けた基盤も構築することができるとしている。  また、報告書の中では現代奴隷の撲滅に向けた最新のアクション事例も盛り込まれており、大きなインパクトを生み出す上で組織がどのように協働すべきかについて示されている。  デロイトの社長を務めるSean Morris氏は「我々は2011年からデータの力が人身売買や奴隷制の根絶にどのように役立ちうるかを示すデータ分析プロジェクトに取り組み始めた。そのプロジェクトの結果が、何が現代の奴隷制の要因となっており、どのようにその要因を根絶することができるかを把握するためにFree the Slavesなどの団体と連携し、さらに深くこの問題に関わるきっかけとなった」と語る。  国際人権団体のWalk Free Foundationが公表している2014年のGlobal Slavery Indexによると、現在世界では3580万人の現代奴隷がいると推計されている。現代奴隷は強制労働や児童労働、人身売買など様々な名称で呼ばれることもあるが、ILO(国際労働機関)の調査によると、強制労働による違法な利益は年間1500億米ドルにも上っているという。(関連記事:【水口教授のヨーロッパ通信】現代奴隷法 - サプライチェーンの人権リスク - )  現代奴隷の撲滅に向けた第一歩としては、まずはデータや数値を基に現状を正しく把握し、奴隷制の温床となる根本的な原因にアプローチする必要がある。そのためには政府や企業、NGOらによるクロスセクターによる協働が不可欠だ。同報告書はそのための具体的な取り組みを考える上で参考になる。 【レポートダウンロード】The Freedom Ecosystem – How the Power of Partnership Can Help Stop Modern Day Slavery 【参照リリース】New Deloitte University Press Report Shows How the Power of Partnership Can Help Stop Modern Slavery 【参考サイト】Deloitte University Press 【企業サイト】Deloitte 【団体サイト】Free the Slaves

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SA8000

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 SA8000(Social Accountability 8000)は、米国のNGOであるSAI(Social Accountability International)が公表している、国際人権宣言、ILO条約、その他の国際的な人権・労働に関する国家法規に基づいた、すべての従業員の権利の行使及び従業員の保護のための国際規格です。  SA8000は以下の9つの社会的責任の説明責任に関する要求事項を定めています。 児童労働に携わること・支援することの禁止 強制労働に携わること・支援することの禁止 業務に関係する健康と安全の確保 結社の自由及び団体交渉権の所持 差別の禁止 非人道的な懲罰の禁止 適当な労働時間の遵守 公正な報酬 マネジメントシステム SA8000の背景  1990年代、米国企業の東南アジアによる児童労働、強制労働、低賃金といった問題が明らかになり、大きな問題となりました。これをきっかけに、米国政府、米国企業、人権擁護団体などが中心となって、途上国における企業の搾取労働を解決するためのいくつもの行動指針が作られました。しかし、これらはILO条約や国連人権宣言に基づいていなかったことから、世界共通の労働環境規約の必要性が認識され、米国のCSR評価機関であるCEP(Council on Economic Priorities)における団体(のちのSAI)によって、1997年にSA8000が策定されました。2014年6月に第4版が公表され、企業は適切かつ有効なマネジメントシステムを通じて、この規格に適合することが期待されます。 他の認証規格との違い    第三者認証規格では、品質にフォーカスしたISO9001や、環境にフォーカスしたISO14001が有名ですが、同様に、従業員や人権、企業倫理という側面にフォーカスした国際規格がSA8000です。労働者の雇用環境を含む規格としては他にも、組織の社会的責任に関する国際規格であるISO26000がありますが、ISO26000が第3者認証を目的としないガイドライン規格であるのに対し、SA8000の取得には、第3者検証による監査が必要であり、取得後も6か月ごとに審査を受ける必要があります。 SA8000の活用状況  認証取得のメリットとしては、社会的説明責任の実証や、労働環境改善やサプライチェーンマネジメントによる生産性の向上、訴訟リスクの低減などが挙げられ、2015年3月31日時点での取得企業数は72か国3490社にのぼる一方、日本での取得は2社にとどまっており、日本では浸透していないことがうかがえます。SA8000の認証取得数は国ごとに偏りがあり、近年は開発途上国において取得が増えています。 参考 Social Accountability International SA8000 Certified Facilities | Social Accountability Accreditation Services 報誌 ISO NETWORK Vol.21 「SA8000」詳細解説 - ビジネス - 緑のgoo

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2015/08/06 辞書
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