【日本】東邦テナックス、三島事業所での自家発電を石油火力からガス火力に転換

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 帝人子会社で炭素繊維大手の東邦テナックスは4月3日、国内の主要製造拠点である三島事業所での自家発電を、石油火力発電からガス火力発電所に切り替えた。従来は重油を燃料としていたが、二酸化炭素排出量を削減するため、今後は排出量が重油より小さいガスを燃料とする。これにより、年間で約5万tの二酸化炭素排出量を削減できるという。これは帝人グループ全体が排出する二酸化炭素排出総量の2%以上に相当する量。  同社の三島事業所では、炭素繊維の原料となるアクリル繊維プリカーサを酸化・焼成し、炭素繊維にするまでを一貫生産。ガス火力発電所で発電した電力は同事業所で使用する他、余剰した場合は現地の静岡ガス子会社の静岡ガス&パワーに売電する。静岡ガス&パワーは、静岡ガスが電力自由化で参入した新電力事業会社で2014年6月に設立。静岡ガスは東邦テナックスからの電力調達により9,000kWを賄う。これは同社の電力供給能力の約3割に当たる。また、ガス火力発電のために用いる天然ガスは静岡ガスが供給する。  帝人グループは、2020年度までの二酸化炭素排出削減目標として、国内外全体で2011年度比で毎年1%以上改善することを掲げている。 【参照ページ】東邦テナックス(株)三島事業所においてガスタービン発電の操業を開始しました!

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【日本】キリンHD、事業電力の再生可能エネルギー化に向け「グリーン電力証書」を活用

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 キリンホールディングスは3月28日、キリンビール取手工場とキリンビバレッジ湘南工場において、東京電力エナジーパートナーのグリーン電力メニュー「アクアプレミアム」を4月1日から導入すると発表した。アクアプレミアムは、東京電力エナジーパートナーが3月2日に発表した新たな電力供給サービスで、水力発電所で発電された電力のみを供給する。これにより、年間15,000t規模の二酸化炭素排出量削減効果が生まれる。  アクアプレミアムは、欧米で浸透しつつある「グリーン電力証書」に近い仕組み。グリーン電力証書とは、電力とは別に、水力を含む再生可能エネルギーで発電された電力であることを証明する証書を販売するサービス。通常発電された電力は、異なる電源のものが混在し、消費者に供給されているが、この証書を購入することで、形式的に再生可能エネルギーで発電された電力を購入しているということにできる。欧米では、このように発電事業者が「グリーン電力証書」を販売することから得られる収益を、再生可能エネルギー発電の活性化につなげていきたいと考えており、グリーン電力証書を異なる事業者に重複販売することなどを防ぐガイドラインなどが生まれている。東京電力のアクアプレミアムは、「グリーン電力証書」という名称では販売していないが、「二酸化炭素排出量ゼロの付加価値分の追加料金」を課しており、実質的に同じ。  アクアプレミアムは、4月1日から導入を開始しており、すでにキリンの他、三菱地所の新丸の内ビルディング、ソニー本社、ソニーシティ大崎が導入している。東京電力エナジーパートナーは、アクアプレミアム販売による追加売上について、「売り上げの一部を、設備改良による高効率化や水源涵養林の育成など水力電源の維持・拡大へ活用する」としており、売上の使途を完全には明確にしていない。  キリンホールディングスは、今回の施策の背景について、今年3月に「Science Based Targets(SBT)」から二酸化炭素排出量の長期削減目標の承認を受けており、その一環と説明。さらに今後、キリンビール神戸工場の化石燃料由来の熱消費量に相当する「グリーン熱証書」、シャトー・メルシャンの全電力使用量に相当する「グリーン電力証書」も購入する予定で、これによりさらに8,000t規模の二酸化炭素排出量削減効果があるとしている。  気候変動への関心が高まる中、企業には二酸化炭素排出量をさらに削減していくことが求められているが、「グリーン電力証書」や「グリーン熱証書」の購入はそのための手っ取り早い手段と言える。一方で、欧米先進企業では、「グリーン電力証書」や「グリーン熱証書」だけに頼らず、自前で再生可能エネルギー発電所を建設したり、再生可能エネルギー発電建設に出資したりすることが増えており、近い将来、日本企業にも同様の取組が期待されていくだろう。 【参照ページ】キリングループ2工場でCO2を排出しない水力発電による電力を使用 【参照ページ】法人のお客さま向け料金プラン「アクアプレミアム」の創設

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【オランダ】アクゾノーベル、海運のCO2排出量削減のため海運世界最大手マースクラインと提携

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 化学世界大手オランダのアクゾノーベルは3月28日、海運業界の二酸化炭素排出量削減のため、海運世界最大手デンマークのマースクラインとサステナビリティ・パートナーシップを締結したと発表した。マースクラインにとってアクゾノーベルは海運荷主顧客に当たる。海運輸送事業者と荷主企業が協働し、海運輸送するコンテナ当たりの二酸化炭素排出量を10%削減する。  両社は、二酸化炭素排出量削減という共通目標を達成するため、両社が保有するベストプラクティス事例や情報を相互に開示し、透明性を高めていく。また、海運業界全体の二酸化炭素排出量につなげていくため、荷主と海運事業者の双方にとってのベストな意思決定のあり方を模索していく。  両社は、海運業の持続可能性を高める国際的イニシアチブ「Sustainable Shipping Initiative(SSI)」の主要メンバー企業でもあり、両社が提携することで、SSIの活動も加速していくことが期待されている。 【参考ページ】Maersk Line partners with AkzoNobel to drive sustainability

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【スイス】テトラパック、2040年までにGHG削減目標でSBT承認を取得。食品包装業界で初

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 食品包装世界大手スイスのテトラパックは2月2日、2030年までに自社からの二酸化炭素排出量を2015年比で40%以上削減することを宣言した。さらに、2040年までに2016年比で58%削減する目標も設定し、科学的根拠に基づく二酸化炭素排出量の削減目標設定を推進する国際イニシアチブSBT(Science Based Targets)から目標承認を得たことも明らかにした。食品包装業界からのSBT承認企業は同社が初。 【参考】Science Based Targets(SBT)の加盟企業、150社を突破。トヨタ自動車も参加(2016年5月30日)  同社は目標達成に向け、3つの分野に焦点を当てる。 省エネを推進しエネルギー使用量をさらに12%削減 再生可能エネルギープロジェクトへの投資と再生可能エネルギー電力認証の購入を通じた再生可能エネルギー電力の購入 太陽光発電パネルなどの再生可能エネルギーシステムを自社施設内に設置  さらに、サプライチェーンでの二酸化炭素排出量削減も行い、2020年までに2010年比で16%削減する。  SBTは、国連グローバル・コンパクトと国際環境NGOのCDP、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)が2015年に組成したイニシアチブ。気候変動分野での企業の取組を加速させるため、企業の自主的な目標設定ではなく、科学的根拠に基づいた実現すべき目標設定を推進している。すでに世界208社がSBTに加盟しており、33社がSBTから目標の承認を得ている。 【参照ページ】Tetra Pak announces science based targets for climate impact reduction

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【国際】CDP、2017年版サプライチェーン報告書を公表。優秀サプライヤーとして日本企業7社入賞

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 機関投資家らによる国際イニシアチブで企業に気候変動の情報開示を求めるNGOのCDPは1月23日、サプライチェーンプログラムの今年度報告書「サプライチェーン報告書2017」を公表した。CDPの報告書は、従来からのCDPプログラムである「気候変動」「水」「森林」の3つを、サプライチェーンという観点で改善していくために開始されたもの。今回の報告書は、サステナビリティネットワーク団体のBSRおよび英国政府が設立した独立系企業カーボン・トラスト社と共同して作成された。  CDPサプライチェーンプログラムの会員企業数は現在89社で、購買力総計は2.7兆米ドル(約300兆円)。プログラムそのものを牽引するリーディング・パートナー企業は、バンク・オブ・アメリカ、デル、ゴールドマン・サックス・グループ、ウォルマート、コカ・コーラ、ペプシコ、フィリップス、マイクロソフト、ロレアル、レゴ、日本のJTインターナショナル、インペリアル・ブランズなど15社。通常の企業会員では、日本企業からもブリヂストン、花王、日産自動車、日東電工、大成建設、トヨタ自動車が入っている。  会員企業は、サプライヤーに対して、気候変動や水などの環境リスクの開示を求めており、気候変動対策に強いサプライチェーンを構築することを目指している。会員企業と会員企業に指名されたサプライヤーは、毎年CDPに対して気候変動や水、森林の質問票に回答をし、情報を開示することが求められる。今回気候変動に関する調査票が送付されたサプライヤー企業数は全部で8,180社。そのうち、4,366社が回答を寄せた。そのうち981社は中小企業。また回答企業の地域別数は、米国が36%、欧州が27%、日本が9%、ブラジルが7%、中国が6%、その他15%。同様に、水に関する調査票に回答を寄せた企業数は1,260社。サプライヤー・プログラムでは、森林に対する分析はまだ行われていない。  今回の報告書では、気候変動質問票に回答を寄せた企業4,366社による二酸化炭素排出削減量の合計は、4億3,400万トンに達し、フランス全土で2014年に排出された排出量を超える。排出削減によるコスト削減効果は124億米ドル(約14兆円)で昨年から2倍以上になったが、それでも依然削減目標を立てている企業は回答企業の47%に留まり、さらに昨年目標の削減量を情報開示している企業は34%しかなかった。その上、気候変動への対応がコスト削減や新たな事業開発からの売上増に繋がるとしたサプライヤー企業は全体の約25%しかいなかった。  また、サプライヤーに2次サプライヤーに対して気候変動や水関連のデータ開示を要請することを求めた大手企業数は20%増加したが、実際に2次サプライヤーに気候変動への取り組みを行ったサプライヤーはそのうちの20%、水関連では16%に過ぎなかった。取り組みへの障壁となっているのは、調達企業自身が二酸化炭素の測定や管理の経験が浅く2次サプライヤーを後押しする力が弱いことや、支援プログラムの管理コスト、調達基準や規制による強制力がないことが挙げられている。2次サプライヤーに情報開示を働きかけたケースでも、47%の2次サプライヤーが関連情報を開示せず、透明度の欠落という深刻な問題に直面していることも明らかとなった。  今回の報告書では、CDPとして初めての試みとなる「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード」の選定と発表も行われた。この選定は、今回回答を寄せたサプライヤーのうち評価対象となった約3,300社から、それら企業のサプライヤーに対する働きかけを評価する「サプライヤー・エンゲージメント格付」で高得点を獲得した企業。今年は29社が選ばれた。選定された企業には、バンク・オブ・アメリカ、ネスレ、GM、フィリップス、HP、ゼネラル・ミルズ、BTグループ、KPMGなどグローバル企業の他、日本企業からもブリヂストン、川崎汽船、小松製作所、ソニー、パナソニック、東芝、横浜ゴムの7社が入った。  気候変動への取組が求められる中、企業にはサプライチェーンによる排出量(スコープ3)の把握や削減対策の必要性が増してきている。今回の報告書でも、サプライチェーンからの排出量(スコープ3)は、企業の直接的な排出量(スコープ1+スコープ2)に比べ平均にして4倍と高いと述べられている。日本の大手企業では、自社のスコープ1対策は十分に根付いてきているが、スコープ2、さらにスコープ3の削減に向けた電力会社やサプライヤーに向けたエンゲージメントはまだまだこれからだ。 【参照ページ】Press release: Suppliers report 434 million tonnes of emissions reductions as big buyers flex purchasing muscle 【報告書】CDP Supply Chain Report 2017 【選定】Supplier Engagement Leader Board

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【国際】太陽光発電導入によるCO2削減量はパネル製造による排出量を上回る。ユトレヒト大学

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 オランダのユトレヒト大学のウィルフリート・ファン・サーク(Wilfried Van Sark)准教授らのグループは10月28日、過去40年間に太陽光発電パネルで発電により節約されたエネルギーは、そのパネルの製造に使用されたエネルギーをほぼ相殺したとする論文を、学術ジャーナル「Nature Communications」に発表した。太陽光発電は二酸化炭素排出量の削減に寄与する一方、パネルの製造ではエネルギーを消費している。太陽光発電懐疑派からはパネルの製造によりエネルギー消費量はむしろ増えているという議論があり、サーク准教授らが実態調査を行っていた。  サーク准教授らは、1975年から2015年にかけての太陽光発電の導入量とエネルギー消費量、二酸化炭素排出量を調査。調査からは、太陽光発電の導入発電設備容量が2倍になるごとに、パネル製造に使われるエネルギーは多結晶パネルで12%、単結晶パネルで13%減少し、二酸化炭素排出量も多結晶パネルで17%、単結晶パネルで24%削減することがわかった。このように、太陽光発電の製造工程では、年を経る毎にエネルギー消費量や二酸化炭素排出量を減少させる、一種の「経験曲線(Experience Curve)」が機能していることがわかった。  その他研究の要点として、ユトレヒト大学は以下の成果を発表している。  規模の経済と効率性  生産コストは、1970年代に太陽光発電が導入され始めた当時の1ワット当たり75ユーロから、今日では1ユーロ以下にまで減少した。その理由には、太陽光パネル生産における規模の経済性の効果に加え、技術や生産プロセスの革新が挙げられる。その結果、パネル1枚当たりのエネルギー及び原材料の消費量も減少する一方、パネルあたりの発電量が上昇したことで大幅な効率性改善につながった。 温室効果ガス排出  同2014年末に太陽光発電利用による二酸化炭素削減量は生産時における排出量に並び、現時点では上回っている。 全電力供給量の1.5%分  現時点で、世界では300GW分の太陽光発電が設置されており、パネルの延べ面積は約1,800km2に及ぶ。その広さはサッカー場約25万個分。これらのパネルの総発電量は2016年1年間で370TWhに上るものの全電力供給量に占める割合は1.5%に過ぎない。それでも、二酸化炭素削減効果は170Mtに及び、太陽光発電の更なる拡大余地は十分に大きい。 更なる効率性の追求  太陽光パネルの生産プロセス、技術革新が依然可能であることを踏まえると、太陽光発電導入による二酸化炭素排出量の実質量(パネル生産時の排出量ー導入による削減量)はさらに改善するものと考えられる。例えば、太陽光パネルの主要素材であるシリコンウエハーの薄型化、ウエハー切断工程の効率化、廃棄量削減、電気の取り出し口となる銀電極の銀使用料削減などが期待されている。 【参照ページ】Solar energy currently cheapest and cleanest alternative to fossil fuels 【論文】Re-assessment of net energy production and greenhouse gas emissions avoidance after 40 years of photovoltaics development

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【カナダ】連邦政府、CCS未整備石炭火力発電所を2030年までに停止すると発表

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 カナダ連邦政府のキャサリン・マッケナ環境・気候変動相は11月16日、同国のアルバータ州カルガリーで開催されたカナダ風力エネルギー協会(CanWEA)の年次総会の基調講演の中で、2025年までに連邦政府自身のエネルギー調達100%を再生可能エネルギーで賄う予定であると発表した。さらにマッケナ環境・気候変動相は11月21日、2030年までに炭素回収・貯蔵(CCS)技術を導入していない石炭火力発電所を全て停止し、再生可能エネルギーを推進していく計画を発表した。  マッケナ大臣によると、石炭火力発電所の停止により、同国の全発電量に占める再生可能エネルギー発電は現在の80%から90%に増加し、2030年までに5メガトン以上の二酸化炭素排出量を削減できるという。政府は同時に、再生可能エネルギー分野への投資を国内外から呼び込むための投資環境を各州や準州と協力しながら整備していく。その一つとして、カナダ政府が今秋に政策発表したインフラ投資のための政府系銀行「カナダ・インフラ銀行」の設立を実現させるとともに、今後11年間でグリーン・インフラ分野に219億カナダドル(約1.8兆円)を投資していく。  カナダではトルドー首相の強いリーダーシップにより、気候変動対策を連邦政府レベルで進めている。今回の発表はいずれも米国大統領選挙でトランプ候補の勝利が明らかとなったあとであり、カナダは米国の動向にかかわらず、気候変動対策を推し進める考えをはっきりさせている。 【参照ページ】Canadian government will source 100 per cent renewable energy for facilities 【参照ページ】The Government of Canada accelerates investments in clean electricity

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【物流】ヤマト運輸が展開する「客貨混載」。温室効果ガス削減と地域貢献の二大効果

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 物流大手のヤマト運輸が「客貨混載」という取組を拡大しています。客貨混載(きゃくかこんさい)とは、人と貨物を同じ車両で一緒に運ぶこと。通常、運輸・物流の世界では「客貨分離」と呼ばれる旅客(人間)と貨物(モノ)の運搬を分けて行うことが多くなっていました。例えば電車では、旅客列車と貨物列車は別々に運行されています。同様に、航空分野でも旅客機と貨物機は別の機体で運航されていることが一般的です。旅客と貨物は運航において配慮する点が異なるため、これまで客貨分離は理に適った効率的な手段だと言われてきましたが、今、ヤマト運輸は「客貨混載」という手法に着目しています。  ヤマト運輸が最初に客貨混載を導入したのは2015年6月3日、舞台は岩手県です。ヤマト運輸は現地のバス運行会社である岩手県北自動車と連携し、岩手県中部の盛岡市-宮古市(約90km)を結ぶ路線で客貨混載を開始しました。同地は、過疎化や高齢化が進む中山間地帯にあり、路線利用客の減少からバス路線の存続そのものが危ぶまれている地域です。仕組みは、まず岩手県北自動車の運航バスの座席の一部を荷台スペースに改造し、ヤマト運輸の宅急便を積載できるようにします。そして、盛岡市-宮古市の路線では、盛岡市地域と宮古市地域のそれぞれの地域の宅急便の集配送はヤマト運輸が自身で行いますが、ヤマト運輸の盛岡市の営業所と宮古市の営業所の間の宅急便の輸送は、岩手県北自動車の都市間路線バスが替わりに実施するというものです。さらに同時に、宮古市内ー同市重茂半島(約18km)を結ぶ一般路線バスの「重茂路線バス」でも同様の取組を開始しました。なんだか回りくどい方法のようにも思えますが、これには大きなメリットがあります。  まず、ヤマト運輸のメリット。ヤマト運輸としては、盛岡市ー宮古市の区間のトラック輸送を一部取りやめることができるため、まずトラック代や燃料費を節約することができます。また、それに伴い、燃料やトラックによって発生していた二酸化炭素排出量も削減できます。日本の部門別二酸化炭素排出量のうち、運輸部門の排出量は、発電などエネルギー部門、工場など産業部門に次いで3番目に多く、客貨混載によって二酸化炭素排出量を削減できることは大きな意味を持ちます。  バスを運行する岩手県北自動車にもメリットがあります。岩手県北自動車は、ヤマト運輸の荷物を同社のバスが代行輸送するというサービスが、新たな収入源になります。とりわけ過疎地では赤字路線が発生していることが多く、路線からの新たな収入はバス路線網の維持につながります。当然このことは地域住民にとっても大きなメリットとなります。路線バスの維持は、病院やスーパーなどへの移動が容易になり、生活基盤の維持や向上につながります。その上、地域住民にとって客貨混載は別のメリットもあります。ヤマト運輸のドライバーは、盛岡市と宮古市のそれぞれの担当地域に滞在する時間が長くできることから、日々の集荷や配送の最終時刻を延長することが可能となり、地域住民にとって利便性が向上するのです。  ヤマト運輸は、この夢のような三方良しの取組を、過疎に悩む全国地域へと拡大しようとしています。同年9月には、宮崎県の宮崎交通と連携し、同県中部の西都市ー西米良村(約45km)を結ぶ路線バスで客貨混載を開始。2016年6月には同じく宮崎交通と連携し、同県北部の延岡市-高千穂町(約50km)、諸塚村-日向市(約50km)を結ぶ2路線でも開始します。続いて9月には北海道の名士バス、士別軌道、十勝バスの3社と一斉に連携し、名寄市-美深町(約20km)、名寄市-下川町(約20km)、士別市-朝日町(約20km)、足寄町-陸別町(約35km)の4路線で、10月には熊本県の産交バスと連携し、熊本県南部の人吉市-五木村(約30km)を結ぶ路線で客貨混載を開始しました。いずれも深刻な過疎地域で、バスだけでなく最近ではJR路線の廃止なども取り沙汰されたりしている地域でもあります。  パナソニックも、別の角度から運輸分野での二酸化炭素排出量削減に資する取組を開始します。今年10月、同社は福井県で「宅配ボックス実証実験」を11月から開始すると発表しました。「宅配ボックス実証実験」は、同社の戸建住宅用宅配ボックスを一般世帯に配置、留守中でもこのボックスに荷物を投下することで再配達の手間をなくすというものです。再配達は荷物を受け取る人にとってもストレスとなるだけでなく、再配達をする宅配事業者にとっても大きな負担。同社によると、宅配便配達の走行距離のうち25%は再配達のために費やされているという結果も出ており、再配達だけで年間約42万トンの二酸化炭素(JR山手線の内側の約2.5倍の面積の杉林が吸収するのと同じ量)が排出されていると言います。また、再配達が減ることで、宅配事業者の労働時間の削減にもなります。パナソニックはこの実証実験を、日本郵便、ヤマト運輸、そして現地の福井県あわら市と共同で実施していきます。  二酸化炭素排出量の削減、過疎地域の赤字路線問題、従業員の労働時間削減。どれも現代社会において重要なテーマですが、ついつい私たちはそれぞれを別の問題として考えがちです。ともすると、何を優先し、何を犠牲にするのかという、問題それぞれを二者択一で考えたりしてしまうこともあります。しかし、今回ヤマト運輸やパナソニックが編み出した作戦は、これらを同時に解決してしまうというもの。最近企業の間でも意識するところが増えてきた国連持続可能な開発原則(SDGs)に照らし合わせると、二酸化炭素排出量の削減は、「目標13 気候変動に具体的な対策を」、過疎地域の赤字路線問題は、「目標11 住みつづけられる街づくりを」、従業員の労働時間削減は、「目標8 働きがいも経済成長も」に該当します。発想は変えた素晴らしいアイデアは、企業の新たな収入源を創出しながら、自然にSDGsの貢献にもつながっていきます。 【参照ページ】路線バスを活用した宅急便輸送「貨客混載」の開始について 【参照ページ】西日本初!路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載(きゃくかこんさい)」の開始 【参照ページ】路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」の路線拡大 【参照ページ】北海道で路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」を開始 【参照ページ】熊本県で路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」の開始 【参照ページ】「宅配ボックス実証実験」をスタート

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【アメリカ】環境保護庁、運輸省、自動車環境技術の中期見通し発表。将来の規制基準に反映

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 米環境保護庁(EPA)、米運輸省国家道路交通安全局(NHTSA)、カリフォルニア州大気資源局(CARB)は7月18日、2022年から2025年にかけての軽量自動車および軽量トラックの二酸化炭素排出量及び燃費規制のベースとなる自動車関連技術の中期的評価をまとめた「テクニカルアセスメントレポート」の草案を公表し、パブリックコメントの受付を開始した。過去米国では、連邦政府と各州政府がそれぞれ二酸化炭素排出量や燃費規制に定めてきた経緯があったが、環境保護庁と運輸省国家道路交通安全局は、2012年に全米統一の二酸化炭素排出量及び燃費規制を定めていくことを決めた。今回のテクニカルアセスメントレポートは、2022年から2025年という中期の環境基準数値を検討するためのベースとなる分析の役割を担う。今後のスケジュールでは、2017年中に全米統一の環境基準の草案を発表し、2018年4月に2022年から2025年の環境基準を決定する。  テクニカルアセスメントレポートで分析された技術は非常に多岐にわたり、レポートのページ数も1,200ページを超える。レポートでは、自動車産業の技術革新が非常に速い速度で進んでいることを認識し、これらの技術が盛り込まれていけば、2012年時点で想定した2022年から2025年の二酸化炭素排出量・燃費目標を達成できる見込みであると述べた。また、電気自動車や燃料電池自動車など次世代自動車でなくとも、ガソリン車の環境技術性能の向上によって2022年から2025年目標の達成は可能であるという見方も示した。さらに、技術の進化により、2012年に予測したよりも低コストで、自動車メーカーはより厳しい環境基準を達成できるであろうとした。  2012年に環境保護庁と運輸省国家道路交通安全局が中長期の環境規制基準「National Program」を制定して以降、近年、自動車メーカーは、ターボチャージャー、エンジン小型化、トランスミッション技術の高度化・軽量化、空力性能改善、アイドリングストップといった技術を開発してきた。市場に投入されている100車種以上の自動車・SUV車・トラックがすでに2020年もしくはそれ以降の基準を満たしていることから、更なる技術開発によって将来の基準も満たせるのであろうとの展望を示した。  このレポート公表を受け、サステナビリティ分野の国際アドボカシーNGOのCeresは即日声明を発表。将来のガソリン価格が不透明な中、急激にガソリン価格の上昇に備えて、自動車環境基準を高く維持することが重要だとの見解を表明した。 【参照ページ】US EPA, US DOT, California’s Air Resources Board Issue Draft Technical Assessment Report of Greenhouse Gas Emissions and Fuel Economy Standards for Model Year 2022-2025 Cars and Light Trucks 【参照ページ】Ceres Responds To Fuel Economy Report, Argues Against Weakening MPG Standards

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【イギリス】前キャメロン政権、2032年までにCO2の57%削減を決定。世界一高い目標

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 英国政府は6月30日、2032年までに二酸化炭素排出量を1990年比で57%削減するという目標を発表した。この発表は、6月23日のEU離脱国民投票のあとに前キャメロン政権が発表したもの。英国では、炭素排出量削減の長期目標を5年に一度定めることを「気候変動法」で定められている。今年度の炭素予算設定は5期目にあたり、2028年から2032年の5年間での達成ゴールを定めることなっていた。同法では、最終目標として2050年までに1990年比80%の削減を掲げており、この5年に一度の「炭素予算」はそれに向けてのマイルストーンを設定するという性格を有している。また同法の規定では、今年6月末までに今回の炭素予算を英国上院(貴族院)と下院(庶民院)で可決させることを定めているものの、政府はこの期限の遵守は不可能だとしつつも、予算成立は近々なされるという見解を示した。  過去4期までの長期目標では、1期目2008年から2012年で23%削減、2期目2013年から2017年で29%削減、3期目2018年から2022年で2020年までに35%削減、4期目2023年から2027年で2025年までに50%削減としてきた。政府の諮問機関である気候変動委員会の最新の報告書によると、気候変動法の最終目標である2050年までの80%削減は達成可能なペースだという。しかしながら、今回2032年までに57%削減を定めたことについては、さらなる政策の変更がない限り、目標達成は困難であるとの意見も添えた。  今回の発表を受けて、EU離脱国民投票後の政治的混乱に危惧していた環境保護活動家らは安堵の声をあげているものの、今回の決定がメイ新政権にも確実に引き継がれるか、EU離脱交渉後にも継続されるのかなどを懸念する声は大きい。メイ政権は先週、エネルギー・気候変動省を廃し、経済官庁と統合させ「ビジネス・エネルギー・産業戦略省」を新設することを発表しており、気候変動分野の政策が後退するのではないかとの懸念も起きている。英国の気候変動に関する目標はこれまでも世界トップクラスであったため、再生可能エネルギーや電気自動車に対する大規模な企業投資がなされてきているため、産業界も今後の動向を敏感に見守っている。気候変動委員会は、今回の目標の達成向けては、住宅セクター以外にも、農業や輸送交通など二酸化炭素排出量が増えつつあるセクターにおいて新たなアプローチが必要だとしている。メイ政権の気候変動に対する政策の方向性は、キャメロン政権が最後の最後で駆け込みで決定した、この「炭素予算」がどう変更されるかによって明らかになると言っても過言ではない。 【参照ページ】Climate change: UK backs world-leading climate target

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