【アメリカ】ミレニアル世代のための「クラウド・コーズ・ショッピング」が誕生

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 米国では、社会貢献意識の高いミレニアル世代をターゲットにした「クラウド・コーズ・ショッピング」という新たなEコマース形態が登場している。クラウドファンディング、コーズマーケティング、モバイルEコマースの3つを掛け合わせた新たな購買体験を提供しはじめたのは、オンライン小売のSanaSanaだ。  同社は、ビジネスと社会的責任を融合させた新たなモバイルプラットフォームを通じ、9,200万人のミレニアル世代が「よりよい世界の実現に向けて」同じ志を持つ仲間とともにモバイルひとつで行動を起こすことができる機会を提供している。  SanaSanaはこれまでにも積極的に社会的責任を果たす数多くのメーカーと提携し、ラテンアメリカの孤児院に物資を寄付するなどの活動を展開してきた。今回新たに立ち上げられた「クラウド・コーズ・ショッピング」プラットフォームでは、消費者が商品を購入するごとに特定のプロジェクトに「コーズ・ポイント」が加算され、ポイントが一定の水準に達するとそのプロジェクトを代表する慈善団体に寄付される仕組みとなっている。消費者はSNSを通じてプロジェクトを共有することで追加ポイントを得ることもできる。  2017年までに年間2000億米ドルの購買力を持つといわれるミレニアル世代は、従来のビジネスの常識を変化させつつある。ミレニアル世代の65%は社会的責任を果たしている企業の製品を購入することが重要だと考えており、これまで通りのビジネス手法ではこうした世代を引きつけることはできない。  SanaSanaの創業者兼CEOを務めるNaor Fischbein氏は「ミレニアル世代が社会問題を重視していることは、見過ごされるべきではない。世界を変えたいという彼らの意志や情熱は無視できず、それが我々のインスピレーションでもある」と語る。Fischbein氏はさらに「テクノロジーに精通している消費者基盤によって、我々はここまでモバイル戦略を発展させることができた。ミレニアル世代が我々の寄付キャンペーンに常時関わり、スマートフォンやタブレットから容易にシェアできるよう、我々はモバイルプラットフォームを最優先して展開する必要があったのだ」と付け加えた。  なお、今回SanaSanaが発表したモバイルプラットフォームは「オンラインショッピングに革命を起こす」という同社の計画の第一歩に過ぎず、現在同社はバージョン2.0のプラットフォームを開発中とのことだ。次バージョンでは消費者が購入前にブランドの社会的責任をより簡単に評価できるようになるほか、慈善活動に与えられるインパクトも拡大される予定だという。  ミレニアル世代が新たな消費者層として市場の中心に台頭しつつある今、社会的責任を果たしているかどうかがブランドの売上を左右する時代はもうそこまで来ている。 【参照リリース】New Mobile ʺCrowd Cause Shoppingʺ Platform Delivers Socially Responsible Shopping To Millennials 【企業サイト】SanaSana.com

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【オランダ】ユニリーバ、森林破壊の抑止に向け木繊維の新たな調達方針を公表

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 消費財大手のユニリーバは4月7日、森林破壊を食い止めるための活動の一環として木繊維に関する新たな調達方針を公表した。今後、同社はアイスクリーム用の木製スティックなども含む製品パッケージの多くを2015年末までにより持続可能な形で調達していく。  ユニリーバの目標は2020年までに木繊維が含まれる全ての素材を追跡可能かつ品質が保証され、製造元が確実に分かるものにすることだ。同社は2014年に持続可能な形で調達された紙や板の割合を前年の62%から87%にまで大きく増加させるなど、2015年末までに全ての紙・板パッケージを持続可能な形で調達するという目標に向かって着実に前進している。  この木繊維に関する新たな調達方針により、ユニリーバのサプライチェーンから生じる森林破壊への影響を抑制することが期待されている。また、これは従業員やそのコミュニティの生活を向上させることでサプライチェーン全体を通じて社会に良いインパクトを生み出すという同社のコミットメントを支える、Unilever Responsible Sourcing Policy(ユニリーバ責任調達方針)一部でもある。  また、ユニリーバはサプライチェーンを通じた森林破壊の抑制だけではなく、消費者からの反響も見込んでいる。同社が11か国で実施した調査によると、消費者の4分の3は、商品が持続可能な原料でできていると知った場合、より購買意欲が高まるとしている。また、ミレニアル世代の消費者は50代以上の消費者よりもサステナビリティに対して4倍以上も敏感だというニールセンの調査もあり、実際に現在世界全体では責任消費の市場規模は4000億米ドルに達している。  ユニリーバの最高サプライチェーン責任者を務めるPier Luigi Sigismondi氏は「森林破壊ゼロという我々の野心的な目標を達成し、開発途上国における豊かで持続可能な土地利用への移行を支援するために、我々はサプライヤーやNGO、政府などバリューチェーンに関わる全ての組織と協働する必要がある。」と語った。  また、同氏は「これを実践する事業上の理由は明確だ。新たな調達方針は将来に渡って持続可能な調達を確実なものにしてくれる。また、それは森林だけではなく、森林に依存して生活している人々にとっても良いニュースだ。森林破壊の抑制により年間少なくとも45億トンのCO2を削減し、同時に食糧の生産を持続可能な形で拡大し、人々の暮らしも改善しているのだ」と付け加えた。  サステナビリティ先進企業のユニリーバが、気候変動の原因として大きくクローズアップされている森林破壊の抑制に向けたサプライチェーンの改善にも本格的に取り組み始める。新たな調達方針の詳細は下記から確認可能。 【参考サイト】Sustainable Wood Fibre-Based Material Policy 【企業サイト】Unilever

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【アメリカ】個人投資家の71%がサステナビリティ投資に関心。モルガン・スタンレー調査

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 米投資銀行大手のモルガン・スタンレーは2月27日、個人投資家のサステナビリティ投資に対する認識や傾向について分析した最新の報告書、"Sustainable Signals: The Individual Investor Perspective."を公表した。同報告書は同行のサステナビリティ投資研究機関、Morgan Stanley Institute for Sustainable Investingが作成したもので、報告書によると、個人投資家の71%がサステナビリティ投資に関心を示しているほか、65%が今後5年間でサステナビリティ投資は更に普及すると考えていることが分かった。  Morgan Stanley Institute for Sustainable Investingの代表を務めるAudrey Choi氏は「サステナビリティ投資は成長軌道に乗っている。投資家は資本市場の力を社会へ好影響を生み出すために活用しようと考えるようになってきており、利益のために投資するか、社会のために寄付するかという二択の選択から、両者は同時に実現可能な構図へと変わりつつある。投資家にとってサステナブルな事業慣行や投資機会の重要性が増す中、我々は市場金利と等しいリターンとグローバル課題への対応の双方を実現する、スケーラブルな投資ソリューションを開発していく」と述べた。  同報告書の主なポイントは下記の通り。 ミレニアル世代の84%がサステナビリティ投資に肯定的な姿勢を示しており、ジェネレーションX(79%)および団塊世代(66%)を上回った。 女性投資家(76%)は男性投資家(62%)よりサステナビリティ投資に関心が高い。 女性投資家(40%)は男性投資家(23%)と比べ、投資意思決定をする際に社会への影響と同様に財務リターンも考慮する傾向が強い。 個人投資家の71%が、優れたESG慣行を持つ企業への投資はより利益率が高く、長期的に見て優れた投資だと見なしている サステナビリティと財務リターンのトレードオフが生じるかについては投資家の間で意見が分かれており、54%の投資家は生じていると考えている。  同調査からは、サステナビリティ投資の概念が機関投資家だけではなく個人投資家にも浸透してきていることが伺える。投資を受ける企業にとっては、特にサステナビリティ投資への関心が高いミレニアル世代が市場で存在感を増してくる今後5年~10年の間にどこまでサステナブルな事業慣行を実現できるかが株価や業績を左右する分かれ目となりそうだ。 【レポートダウンロード】Sustainable Signals: The Individual Investor Perspective. 【企業サイト】Morgan Stanley Institute for Sustainable Investing

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【フィンランド】ミレニアル世代が形作るパッケージングの未来

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ミレニアル世代(1980年から2000年の間に生まれた世代)の59%が、バリューチェーン全体においてパッケージングのサステナビリティが重要だとの認識を持っている。これは、フィンランドに本拠を置く製紙メーカー大手のストラ・エンソが1月22日に発表した報告書”Future of Packaging for the Millennials”の中で紹介しているもの。 同報告書は、パッケージに対する消費者の期待と、それに伴う小売業者やブランドの収益拡大に焦点をあてた調査結果をまとめたものだ。調査では、ミレニアル世代は上の世代よりも環境に優しい製品を購入する傾向にあり、5人中4人が購買意思決定においてパッケージを重要視していると答えたという。また、パッケージ素材をブランド体験の一部と捉えている割合は、ミレニアル世代以外の世代では71%だったのに対し、ミレニアル世代は85%だったとのことだ。 さらに、同報告書ではミレニアル世代の44%が、持続可能なパッケージの製品にはより多くを支払ってもよいと考えており、繊維でできたパッケージ素材をサステナブルな選択だと考えていることが分かった。また、上記と関連して同調査ではさらに小売業者やブランドは持続可能なパッケージングに全力で取り組むことで売上、利益の双方を伸ばすことができるとする結果を公表しており、売上高は2%~4%増加し、そしてEBITマージンは1.0~2.5%を改善させることができるとしている。 ストラ・エンソ社で副社長兼パッケージングソリューションを担当するHannu Alalauri氏は「ミレニアル世代はどの世代よりも様々な面で要求が厳しく、製品のバリューチェーン全体におけるサステナビリティを求めている。それは紙・繊維などの再生可能なパッケージ素材が強く求められていることを意味しており、それが小売業者やブランドの売上と利益を増加させる機会となっている」と語った。 “Future of Packaging for the Millennials”はストラ・エンソ社のパッケージングソリューション部門による調査報告書シリーズの第4版で、業界に関する専門知識、インタビュー、レポート、国際調査を基にして、戦略コンサルティング会社のA.T.カーニーと共同で作成したもの。消費者データは28ヶ国347人の調査回答から得られたもので、財務データの分析はA.T.カーニーが作成したモデルを使用して行われた。 消費財メーカーや小売業界にとってパッケージングは売上や利益を伸ばすうえで非常に重要な役割を担っている。しかし、もはやパッケージは消費者の興味喚起や利便性の追求といった従来の役割を越えて、サステナビリティが重要な要素となってきている。ミレニアル世代が徐々に消費の中心世代となっていく中で、企業にとってはこの変化をどのように機会に変えることができるのかが勝負の分かれ目となりそうだ。 【レポートダウンロード】Future of Packaging for the Millennials 【企業サイト】Stora Enso / A.T. Kearney

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【国際】ミレニアル世代を惹きつける鍵は”Purpose”。デロイト調査

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世界29カ国のミレニアル世代(1982年以降に生まれた若者)の企業に対する考え方に関する興味深い調査結果が発表された。デロイト・トーマツが1月21日に公表したミレニアル世代の意識調査レポート”The Deloitte Millennial Survey 2015”によると、彼らは企業の製品(Product)や利益(Profit)だけではなく、人材に対する考え方(People)や明確な事業目的(Purpose)の有無を重視していることが分かった。また、その傾向は新興市場よりも先進国市場において顕著だった。 同調査によれば、ミレニアル世代の4人に3人が、現状の企業は社会への貢献よりも自社の利益を優先していると回答したとのことだ。デロイト・トーマツのCEOを務めるBarry Salzberg氏は今回の調査結果を受け「50年前、20年前、さらに10年前と比較すると、ミレニアル世代が企業に対して求めるものが劇的に増えている。とりわけ先進国市場においては、企業は彼らとの関わり方を変えない限り、置き去りにされる可能性がある。社会に対する事業目的を明確にする企業になるには、リーダーシップを再定義するところから始める必要がある」と語った。 今回の調査結果の主たるポイントは下記の通り。 ミレニアル世代の6割が企業の事業目的を現在の就職先を選んだ理由の一つに挙げている。また、特にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用度が比較的高い層(77%)のほうが低い層(46%)よりもその傾向が強い。 ミレニアル世代は、テクノロジー・メディア・通信(TMT)関連企業が一番価値のあるスキルを提供し、最も魅力的な就職先だと考えている。最先端を走る先進企業として、最も多く挙がったのはAppleとGoogleだった。 男性(59%)のほうが女性(47%)よりもリーダーの地位に就きたいと考えている。しかしながら、リーダーとして何に力を入れたいかという問いに対しては、男性(30%より女性(34%)のほうが、ミレニアル世代が現在の組織では不足していると指摘している「人材育成」に力を入れると回答した。 ミレニアル世代の72%が、現在所属する組織は彼らのスキルを最大限に引き出しきれていないと考えており、企業はより人材育成に力を入れるべきだと考えている。 ミレニアル世代のリーダー観は変わりつつあり、彼らは人脈が豊富(17%)でスキルも高い(17%)人物よりも、戦略的に思考し(39%)、人を鼓舞するのが得意で(37%)、親しみやすく(34%)、ビジョン(31%)を持った人物を理想のリーダーだと捉えている。 企業が将来に渡って持続可能な形で競争力を維持するためには、10 年後、20年後に企業の中核を担う世代となるミレニアル世代の採用、育成が欠かせない。彼らを惹きつけるためには、利益の追求だけではなく、事業を通じてどう社会に貢献したいのかという明確なPurpose(目的)を示す必要があり、その有無が優秀な人材を採用する上での鍵となりつつある。 同調査の詳しい内容は下記からダウンロード可能。 【レポートダウンロード】The Deloitte Millennial Survey 2015 【企業サイト】Deloitte Touche Tohmatsu Limited 関連おすすめ記事 【アメリカ】Cause(大義)とPurpose(目的)の違いは何か? 【アメリカ】現在世代と将来世代でサステナビリティに対する考え方はどう違うか? 【アメリカ】ネットインパクト、サステナビリティMBAに関する最新トレンド・ランキングを公表

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コーズマーケティング(Cause Marketing)

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コーズマーケティングとは?  コーズマーケティングとは、特定の商品・サービスの購入が寄付などを通じて環境保護や社会貢献に結びつくことを消費者に訴求することで、商品・サービスの販売促進、製品ブランドや企業のイメージアップを狙う手法のことを指します。  Cause(コーズ)とは「社会的大義」を意味しており、Cause Related Marketing(コーズ・リレーテッド・マーケティング)と呼ばれることもあります。企業による一般的な寄付活動との違いとしては、コーズを顧客に対して訴えかけることで単なる社会貢献だけではなく売上、利益の向上も同時に追求している点が挙げられます。主にマーケティング・広報セクションが担当しうるCSRの手段の一つとしても注目を集めています。 コーズマーケティングの歴史  CSRやサステナビリティの概念と共に広く知られるようになったコーズマーケティングという概念ですが、その歴史は意外と古く、米国では1976年にホテル大手のMarriott CorporationとMarch of Dimes(早産や乳児死亡などを減らし、母子の健康を改善することをミッションとする慈善団体)が協働して実施したキャンペーンが、最初の大々的な成功事例として知られています。  Marriottの目的は、米国サンタクララ州に建設した大規模ファミリー向けエンターテイメント施設のオープンにあたって効率的なPRとメディア露出を図ることでした。また、March of Dimesの目的はキャンペーンを通じてより多くの寄付を集めることでした。このキャンペーンは米国西部の67都市で同時に開催され、結果として当時としては前代未聞となる240万USドルもの寄付金を集めると同時に、数多くの無料のメディア露出によりMarriottの施設にオープン年に220万人が訪れることになり、キャンペーンは双方にとって大成功に終わりました。  このキャンペーンを考案し、指揮したのがBruce Burtch氏で、現在米国最大のコーズマーケティング推進団体のCause Marketing Forumは彼のことを「コーズマーケティングの父」と名付けています。Burtch氏が1977年に残した"Do well by doing good”という言葉は今ではコーズマーケティングに携わる人々の中で広く知られる言葉となっています。  また、「コーズマーケティング」という言葉が広く普及するきっかけとなった成功事例として日本でも良く知られているのが、1983年のAmerican Expressによる「自由の女神修復プロジェクト」です。同社はカードの発行1枚あたり、カードの利用1回ごとにアメリカン・エキスプレスが寄付を行うというキャンペーンを展開し、結果として自由の女神の修復基金として170万ドルを寄付することに成功しました。(同社の社会貢献の取り組みについてはこちらを参照。) コーズマーケティングの市場規模  コーズマーケティングの市場規模は、どのようになっているのでしょうか?企業のスポンサーシップ・マーケティングを支援している米国IEG社が2014年の1月に公表した調査結果によると、米国における2013年のコーズ関連キャンペーンへの支出総額は17億8,000万USドルで、2014年には18億4,000万USドルへと3.4%増加すると見込んでおり、市場は順調に拡大していることが分かります。 (※引用元:IEGSR ”Sponsorship Spending Growth Slows In North America As Marketers Eye Newer Media And Marketing Options”)  ただし、市場の伸びについては、上図を見て頂ければ分かる通り企業のスポンサー支出そのものがコーズに限らずあらゆるジャンルで増加しているため、コーズマーケティングの効果をトリガーとする市場の成長というよりは、景況感の回復なども影響した全体的なトレンドと捉えるほうがよいでしょう。 コーズマーケティングに関連する消費者意識調査  コーズによる訴求は、本当に消費者の購買意思決定に影響を与えるのでしょうか?コーズマーケティングに関連する最近の消費者意識調査をいくつかご紹介したいと思います。 価格と品質が同等なら、コーズがあるブランドで切り替える  マーケティング・PRエージェンシーのCone Communications社による調査”2013 Cone Communications Social Impact Study”は、下記の結果を示しています。 回答者の54%が過去1年以内にコーズに関連する商品を購入した経験があり、この割合は1993年から170%増加している 米国人の89%は、価格と品質が同等なのであれば、よりコーズに関連したブランドへと切り替えるだろうと回答し、この割合は1993年から約35%増加している 回答者の88%が、企業の社会や環境課題への取り組みについて聞くことを望んでいる  ここで特に重要なのは2点目の「価格と品質が同等なのであれば」という点です。コーズをマーケティングに組み込むことで価格が高くなったり、品質が落ちたりしている場合、消費者が商品を購入してくれるとは限らないということです。 社会や環境のためなら多くを支払ってもよい  また、リサーチ会社大手のNielsenは、米国だけではなくグローバルを対象とした調査を実施しています。同社が2014年に公表した調査“Doing Well by Doing Good”によれば、「社会や環境に対してポジティブなインパクトを生み出すことに対してコミットしている企業の製品やサービスに対しては、多くを支払ってもよい」と回答した人の割合は、世界全体で55%に達し、2011年の調査時(45%)から10%上昇したとのことです。  また、その割合はアジア・パシフィック(64%)、ラテンアメリカ(63%)、中東・アフリカ(63%)で高くなっており、逆に北米(42%)やヨーロッパ(40%)は他地域と比較して相対的に高くありませんでした。 (※引用元:Nielesen ”Doing Well By Doing Good”)  この調査結果からは、コーズマーケティングというと欧米を中心とした先進国で特に盛んなイメージがありますが、実は「社会や環境のためなら多少多くを支払ってもよい」と考えている割合は、より環境問題や社会問題が顕在化している途上国地域のほうが高く、地域が抱える社会問題に対してより敏感な消費者が多いことが分かります。  また、先ほどご紹介したCone Communications社の調査にも共通することですが、大事なことはこうした調査における消費者の回答内容と、実際の消費者の行動はしばしば異なるケースがあるということです。この意識と行動のギャップを抜きにして調査結果を鵜呑みにしてしまうと、正しい消費者像を見誤ってしまう可能性があるため注意が必要です。  こうした調査結果は一つの消費者意識のポジティブな変化の兆しとして参考にすることはできるものの、これらのデータをコーズマーケティングの効果が高まりつつある証拠として示すにはリスクもあるということを頭に入れておくことが重要です。 社会課題に関心の強いミレニアル世代の登場  また、コーズマーケティングと直接関連するわけではありませんが、コーズマーケティングの将来を明るく照らす材料の一つとして語られることが多いのが、ミレニアル世代(1983年以降生まれ)の台頭です。  MSL Groupが2014年の9月に公表した17か国、8,000名以上のミレニアル世代に対して行った調査結果” The Future of Business Citizenship”によれば、世界のミレニアル世代の69%が、企業に対して消費者がより社会的な課題に関わりやすくしてくれることを望んでいると回答しています。  こうしたミレニアル世代の社会課題に対する関心の高さを示す調査結果は非常に多く、彼らが消費の中心世代となる今後10年~20年の間で、企業は消費者に対する向き合い方を大きく変えなければいけなくなるかもしれません。 コーズマーケティングに対する否定的な意見  コーズマーケティングはCSRとマーケティングを融合した次世代型のプロモーションとして大きな期待を集めている反面、既に数多くの失敗例と共にコーズマーケティングの有用性に対する疑問やデメリット、限界などを挙げる声も増えてきています。そこでここでは、企業側の視点から見た否定的な意見をいくつかご紹介したいと思います。 他のマーケティング手法と比較すると費用対効果が低い コーズマーケティングがよく機能するのはPOP(Point of Purchase)のみ グリーンウォッシュと捉えられ、かえってブランド毀損する可能性がある  否定的な意見として挙がることが多いのが、コーズのマーケティング戦略としての有効性です。結局のところ、コーズだけでは消費者の心を動かすことはできず、価格や品質、パッケージ、プロモーション、販売チャネルなど他の要素を総合的に加味したマーケティングプランとしてどこまでそこに予算を投下する合理性があるかというと、相対的に有効とは言えないという意見です。  また、これに関連する意見として、コーズマーケティングが機能するのはPOP(Point of Purchase:購買時点)に限られるという声もあります。POPとは、テレビや新聞などのマス広告ではなく、より消費者の購買地点に近い店頭で展開されるプロモーションのことを指します。” Cause to Close(クロージングに向けたコーズ)”という表現もありますが、消費者が実際に店頭で似たような複数の商品を手にとって比較しているときに、コーズがきっかけとなりその商品が選択されることはありえますが、マス広告などを利用してコーズキャンペーンを広く知らしめたとしても、それを理由に店頭へ足を運ぶほどのフックにはならない、という意見です。  さらに、コーズマーケティングは効果がないどころか、場合によってはネガティブな結果を生み出すという意見もあります。具体的には、企業が売上や利益を増やすためのエサとして社会貢献を利用していると認識されたり、グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)だと捉えられたりすることで自社のブランドを毀損しかねないという意見です。そもそも企業理念や事業戦略として社会性が備わっていない企業が、流行や見せかけのブランディングとしてコーズマーケティングを利用することのリスクがよく指摘されています。 コーズマーケティングを成功させるポイント  コーズマーケティングについては上記のように否定的な意見もありますが、基本的には他のマーケティングプロモーションと同様、コーズマーケティング自体が「効果がある」「効果がない」という議論は本質的ではなく、大事なのは「やり方」であり、「どうすれば成功するコーズマーケティングが実現できるのか」という点が重要となります。 成功に向けた10のヒント  コーズマーケティングを成功させるヒントについて、Cone Communicationsは”Top 10 Tips for Cause Branding”と称して10の実践的なアドバイスを紹介しています。 自社のミッションやゴール、組織に沿ったテーマにフォーカスする 自社の”Will”(意思)とリソースを精査する(自社の社員や同僚が投資したくないコーズには誰も投資したくない) 競合がどんなコーズを設定しているか分析する パートナー(NPOなど)は慎重に選定する キャンペーン名の重要性を見落とさない より効果的なプログラム開発に向け、組織横断型の戦略チームを構成する ボランティアやキャッシュ、店舗など自社とパートナーの資産をフルに活用する 可能な限りあらゆるチャネルを活用してコミュニケーションを図る 地域に根差す(ローカルの気軽なイベントを通じて市民やボランティアなどと草の根から真の変革を起こす) イノベーションによるプログラムを進化させる  上記のように重要なポイントは数多くありますが、特に1~3はまず準備段階で、4~6はキャンペーンの企画段階で、7~10はキャンペーンの実行段階でそれぞれ重要となります。いずれも成功に欠かせない要素ですので一つ一つのプロセスを慎重に進めていくことが重要です。 3C分析で考える  また、コーズマーケティングはそもそもマーケティング手法の一つですので、マーケティングの中でも一番基本的なフレームワークである3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)の視点で考えてみることも効果的です。  例えば、日本でコーズマーケティングの概念を広げるきっかけとなったキャンペーンとして有名な、Volvic(ボルヴィック)の「1L for 10L」キャンペーンを考えてみましょう。  ボルヴィックとユニセフの共同により2005年からドイツで始まったこのプログラムは2007年から日本でも開始され、日本では飲料水ブランドのボルヴィックを1リットル購入するごとにユニセフを通じて水衛生問題を抱えるアフリカのマリ共和国に10リットルの水が生まれるというキャンペーンで、消費者に訴えかけるダイレクトな表現のテレビコマーシャルと共に大きな反響を呼び、結果として非常に高い成果を上げることに成功しました。 キリンビバレッジ株式会社が公開している実績によると、2007年~2012年における支援金額は約2億2,130万円に及び、これまでの活動により供給される水の総量は3,686,599,915リットルに及ぶとのことで、水衛生問題を抱えるマリ共和国に対して大きな貢献を実現しています。  では、この「1L for 10L」キャンペーンを、3Cの視点から分析してみましょう。 Company(自社):ボルヴィック Customer(顧客):ミネラルウォーターのターゲット層 Competitor(競合):コモディティ市場  ボルヴィックの販売を手がけていたのはダノングループですので、正確なCompany(自社)はダノングループとなりますが、ここでは話を分かりやすくするために自社をブランド名である「ボルヴィック」と設定します。  ボルヴィックは商品カテゴリとしてはミネラルウォーターに属します。この商品属性からCustomer(顧客)を考えてみましょう。水道水が安全な形で飲める日本において、わざわざお金を払ってミネラルウォーターを購入する顧客層というのは、比較的可処分所得が多い高所得層、健康意識の高い層だと考えられます。  次はCompetitor(競合)の環境も考えてみると、ミネラルウォーター市場はボルヴィックの他にも数多くあり、加えて品質面ではどの商品もそれほど変わらないという、いわばコモディティ市場であることが分かります。コモディティ化した製品は消費者のブランドスイッチコストが低いという特徴があります。  ここまで説明するとマーケティングに馴染みの深い方であればすぐに感づかれると思いますが、ボルヴィックのキャンペーンにはそもそも3Cの視点で分析するとコーズマーケティングが成功しやすい要因が巧妙に重なっているのです。具体的に言えば、ミネラルウォーターを購入する高所得で健康意識の高い層は、社会貢献といったテーマに対する親和性、共感性も高く、さらにボルヴィックの戦っているミネラルウォーター市場はコモディティ市場であり、消費者が自身の共感を行動に移すためのハードルも低かった、ということです。  このように、コーズマーケティングが優れたマーケティングとして成立するためには、そもそも前提としてブランドを取り巻く3Cとコーズマーケティングとの相性が良いかどうかも重要であり、ただ表面的なベストプラクティスだけを真似ても成功にはつながりにくいという点を忘れてはいけません。  また、実際のキャンペーン展開にあたっては、3C戦略はもちろん、販売チャネルやプロモーションの施策面もとても重要となります。ボルヴィックのケースでは「1L for 10L」というキャッチコピーやテレビCMやウェブサイトを活用したプロモーションなど施策面も優れており、ブランドを取り巻く3Cの前提とこれらの施策が上手く噛みあったことで成果が最大化されたと考えるべきです。  そのため、コーズマーケティングを成功させるためには、自社や自社のブランドがターゲットとする顧客層が響くコーズは何なのか、そのコーズのためにターゲット顧客層はどの程度のコストまでであれば実際の購買行動として共感を示してくれるのか、そしてそれは自社の理念や事業に沿うものであり、事業上の価値を生み出すことができるのか、などを総合的に勘案したうえでマーケティングプランを練り上げていくことが重要なのです。 ソーシャルメディア時代のオンラインコーズマーケティング 成功するコーズマーケティングを考えるうえでは、IT化の進展によりインターネットやモバイル端末などが広く普及し、消費者の購買行動が大きく変化している点も見逃せません。  特に今後のコーズマーケティングと深く関わることが予想されるのがソーシャルメディアの普及です。最近はソーシャルメディアを活用した企業のマーケティング活動も増えてきていますが、ソーシャルメディアは文字通り「ソーシャル(社会的な)」なメディアであり、ソーシャルメディアに参画する企業は従来のコマーシャルメディア(商業メディア)とは異なる振る舞い方や消費者との関わり方が求められます。  ソーシャルメディア、特にFacebookのようなソーシャルグラフ(「Who:誰が言っているか」が重視されるメディア。対義語はインタレストグラフ「What:何を言っているか」)がコンテンツ共有の核となっているソーシャルメディアの場合、コーズマーケティングなど社会貢献性の高いトピックは非常に相性が良い(シェアされやすい)傾向があるため、活用次第ではコーズマーケティングを成功させる大きなドライバーとなるでしょう。  さらに、先述の通り今後はソーシャルメディアを日常的に使いこなしているミレニアル世代が消費者層の中心となっていくことも考慮すれば、もはやコーズマーケティングに成功に効果的なソーシャルメディアの活用は欠かせないと言っても過言ではありません。  このように、コーズマーケティング自体も他のマーケティングと同様、時代や消費者行動の変化に応じて進化していくものであることを忘れてはいけません。 Cause(コーズ)よりPurpose(目的)  最近では、特定のコーズと自社ブランドを睦びつけることで社会貢献するのではなく、そもそも社会性の高いミッションを掲げ、将来実現したい世界観の共有を通じて消費者の心を惹きつけることが重要だという意見も出てきています。詳しくは「【アメリカ】Cause(大義)とPurpose(目的)の違いは何か?」を参考にしてください。 代表的な団体  コーズマーケティングを推進している著名な団体としては、米国ニューヨークに拠点を置くCause Marketing Forumが挙げられます。Cause Marketing Forumは2003年の設立以降、コーズマーケティング専門の会員ネットワーク組織としてコーズマーケティングのベストプラクティスの普及を推進しており、毎年定例のカンファレンスCause Marketing Forumを開催しているほか、企業の優れたコーズマーケティング事例を表彰するCause Marketing Halo Awardsなどを開催しています。  コーズマーケティングに関するニュースやブログ、研究結果やインサイトなどもWeb上に公開していますので、興味がある方はぜひ見てみてください。 Cause Marketing Forum 参考文献・URL Cause Marketing Forum Cone Communications ”2013 Cone Communications Social Impact Study” Cone Communications ”Top 10 Tips for Cause Branding” IEGSR ”Sponsorship Spending Growth Slows In North America As Marketers Eye Newer Media And Marketing Options” MSL Group ”The Future of Business Citizenship” Nielsen “Doing Well by Doing Good” Wikipedia “Cause Marketing”

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2015/02/07 辞書

【アメリカ】現在世代と将来世代でサステナビリティに対する考え方はどう違うか?

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GlobeScan、BSR、Net Impactの3団体は11月6日、現在および将来のサステナビリティ分野のリーダーらが、現在のサステナブルビジネスの状況をどのように捉えているのかを比較・分析したレポート”State of Sustainable Business: Perspectives from Current and Future Leaders”を共同で発表した。同レポートでは、現在世代と将来世代に見られる共通点や差異、最新のトレンドが分析されている。 同レポートは、リサーチ会社のGlobeScanがBSRに所属するプロフェッショナル及びNet Impactに所属するMBA学生を対象に実施したアンケート調査に基づいている。サステナビリティの分野において、それぞれ現在世代と将来世代を代表する両組織に所属するリーダーらの間にどのような意識の差があるのかを明らかにした、とても興味深い調査だ。 調査結果の概要としては、サステナブルビジネスの状況に対する見方については現在世代と将来世代でかなり一致しており、将来世代は現在のサステナビリティ分野の専門家が直面している問題に対してかなり現実的に捉えていることが分かった。一方で、ビジネスの透明性やサステナブルビジネスの優先順位といった点では、両者の間にいくつかの顕著な違いも見られた。今回の調査から得られた主なキーポイントは下記の通りだ。 1. サステナビリティのコアビジネスへの統合が重要 現在および将来世代のいずれも、今日のビジネスが直面する最も重要な課題は、サステナビリティの事業オペレーションへの統合だと考えており、Net Impact回答者の47%、BSR回答者の63%が最優先課題に挙げている。 2. ビジネスの透明性は大きな改善の余地がある 現在および将来のリーダーの双方が、概して企業の透明性は低い状況にあると考えているが、将来世代ではよりその傾向が顕著となっている。Net Impact回答者の31%が、企業の透明性は低いと回答したのに対して、BSR回答者は20%だった。BSRのCEOを務めるAron Cramer氏は「透明性の向上は企業が信頼を構築する上で必須だ」語った。 3. 気候変動がサステナビリティの最優先課題であり続けるが、ミレニアル世代の登場により新たな優先課題が表面化する可能性がある 2009年以降、現在世代を代表するBSRのプロフェッショナルらは一貫して人権、労働者の権利、気候変動を企業のサステナビリティにとって最も優先順位の高い課題として位置付けてきた。現在世代と同様、Net Impactに所属する将来世代のリーダーらも気候変動を最優先課題だと位置づける一方で、彼らはサステナブルな消費や水問題も重要課題として認識している。 今回の調査から、将来世代のリーダーらは特にサステナブルな消費について、企業の取り組みに高い期待をしていることが分かった。彼らはサステナブルな消費(85%)を気候変動(80%)よりも高い優先順位に挙げており、具体的な消費行動の変化を重要視している。 Net ImpactのメンバーであるKelsey Moyes氏は「私はストーリーに惹かれる。もし企業が私と共鳴する価値を持っていなければ、彼らの製品を買う理由も価値も提供することができないだろう」と語る。同氏のコメントにあるように、将来世代は自らの消費行動と選択を通じて企業に自らの意思を示すようになることが想定される。 【レポートダウンロード】State of Sustainable Business: Perspectives from Current and Future Leaders 【企業サイト】GlobeScan 【団体サイト】BSR 【団体サイト】Net Impact

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