【インタビュー】地域を救う新たな官民連携の形 〜神奈川県の医療ベンチャーキャピタルファンド〜

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 2018年3月、神奈川県の呼びかけで新しいヘルスケアベンチャーキャピタル投資ファンドが組成されました。ファンドの名前は「ヘルスケア・ニューフロンティア投資事業有限責任事業組合」。最先端の医療技術開発や、病気になる手前の「未病」への対処を行う医療サービスに取り組むベンチャー企業に投資するファンドです。このファンドには、すでに約12億円の出資が集まり、複数のベンチャー企業に投資されています。今、このファンドには、「投資分野」「ファンドの座組」「ファンド評価」の3つの観点で大きな注目が集まっています。  まず投資分野。一般的に日本のベンチャーキャピタルは、インターネットサービスやゲーム開発会社に多く投資されています。日本ベンチャーキャピタル協会が今年4月に発表した最新の統計でも、ベンチャーキャピタルの投資分野の約半数がIT関連。その後には「バイオ/医療/ヘルスケア」が約18%と続きますが、バイオ医療と呼ばれる創薬開発が中心で、高齢者医療という深刻な社会課題の解決にはあまり資金が動員されていません。一方、今回発足した「ヘルスケア・ニューフロンティア投資事業有限責任事業組合」は、再生・細胞医療研究等の最先端医療技術開発だけでなく、食や運動習慣等にも焦点を当てた未病の改善分野に大きな主眼を置いています。  次にファンドの座組。「ヘルスケア・ニューフロンティア投資事業有限責任事業組合」は神奈川県の企画として立ち上がったものの、神奈川県が運営しているわけではありません。無限責任組合員(GP)としてファンドを運営しているのは、公募で選定された株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ。老人ホーム経営や病院の経営支援を行うキャピタルメディカ・グループのコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)子会社で、ヘルスケア分野に特化した投資を行っています。一方、神奈川県は、有限責任組合員(LP)という出資者の立場で1億円を出資し、ファンドをサポートするとともにリスクもとっています。同ファンドのLPには他に、横浜銀行、神奈川銀行、鹿児島銀行、スルガ銀行等の地方銀行や、中小企業基盤整備機構、ココカラファイン、戸田建設、社会的投資推進財団(SIIF)等がいます。神奈川県にとって、ベンチャーキャピタルファンドに直接投資するのは今回が初めて。  最後にファンド評価の観点。ファンド設立後の2018年4月、神奈川県、キャピタルメディカ・ベンチャーズ、そしてLPでもある社会的投資推進財団の3者は、同ファンドに「社会的インパクト評価」を導入することで合意しました。社会的インパクト評価とは、ファンド投資が社会に与えたインパクトを定量的・定性的に測定していくという試み。今回3者は、社会的インパクト評価が、投資先ベンチャー企業の企業価値向上だけでなく、ファンドの財務的パフォーマンスも向上させることにもつながると考え導入を決断しました。ヘルスケア分野に特化したファンドで「社会的インパクト評価」を導入するのは今回が国内初です。  この異例づくしの「ヘルスケア・ニューフロンティア投資事業有限責任事業組合」がどのように誕生したのか。何を狙っているのか。神奈川県、キャピタルメディカ・ベンチャーズ、社会的投資推進財団のキーマンたちに話を伺いました。 (左) 大木健一    神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室 ライフイノベーション担当課長 (中左)菅野文美    一般財団法人社会的投資推進財団(SIIF) 事業開発推進部 シニア・オフィサー (中右)青木武士    株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズ 代表取締役 (右) 新澤駿    神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室 最先端医療産業グループ 主事 ベンチャーキャピタルファンドを設立した経緯を教えてください 大木健一氏  神奈川県では、現在の黒岩祐治知事の下で、「ヘルスケア・ニューフロンティア政策」を展開しています。この政策は、来る超高齢社会に対応できる新たな社会システムを構築するため、病気になる前の個々人での健康へのアクションとなる「未病の改善」と、新たな医療技術の追求の2つの視点で、新たな産業の創出と健康寿命日本一を実現していこうというものです。未病の改善の例では、運動習慣、医食農同源などがあります。また新技術開発では、再生・細胞医療研究やロボット医療機器が具体例として挙げられます。  しかしながら、最先端医療や未病に対し、神奈川県の予算だけでやるには限界があります。また、有望なベンチャー企業を目利きという視点でも、我々には十分な知見がありません。そこで、神奈川県も資金を出しつつ、民間の方々にも資金を入れていただくという発想に至りました。そして、そのファンドの運営も、ベンチャー企業の目利きのプロにやっていただくことになり、昨年度、今回の「ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンド」の設立に至りました。 青木武士氏  キャピタルメディカ・ベンチャーズは、病院の経営支援や介護施設の運営をしておりキャピタルメディカのグループ企業で、ヘルスケアに特化したベンチャーキャピタルです。神奈川県が、ヘルスケア部門での新たなファンドを立ち上げると聞き、公募に参加し、選定していただきました。  未病やヘルスケア分野でのベンチャー企業は、最近増えてきていると感じています。ですが、ベンチャー企業が成長に向け事業のPDCAをしっかり回していくための実証フィールドが極めて少ないという課題感があります。その背景には、ヘルスケア分野は命を預かる産業ですので、実証フェーズでは医療関係者の協力が必要となるとはいえ、新技術やサービスを簡単には実証できません。そのため、多くのヘルスケア領域ベンチャー企業はPDCAを回す困難さを抱えています。  その中で、キャピタルメディカ・グループは、経営支援先の病院や運営している介護施設において、2,000名以上の医療介護者、5,000名以上の患者をサポートしています。ですので、投資先のベンチャー企業に、製品やサービスの実証フィールドも同時に提供できるという強みがあります。 自治体のヘルスケア支援は助成金が一般的。なぜファンド出資の道を選んだのでしょうか? 大木氏  再生・細胞医療などの新しい分野が産業として確立するためには、新たな担い手となるベンチャー企業が生まれてこなければなりません。未病の分野も同じで、神奈川県では「未病産業」と呼んでいます。ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンドには、神奈川県も1億円を出資しましたが、神奈川県がファンドに直接出資をするのは今回が神奈川県政史上初めてです。これは、神奈川県が本気を出してベンチャー企業を育成したいという意志の表れです。  正直、1億円という出資額は決して大きな金額ではありません。これで、ヘルスケア領域の全ての社会課題が解決できるとも思っていません。しかし、神奈川県という自治体が、ヘルスケア領域でベンチャーファンドを立ち上げたというメッセージそのものに、大きな意味があると思っています。「神奈川県に行けばヘルスケアの新ビジネスができるかもしれない」「神奈川県に行けば支援が得られるかもしれない」。人々の間にこのような意識を醸成できれば、ヘルスケア領域で新産業を育てるという我々の目的の半分が達成できていると言えます。 投資先ベンチャー企業の発掘、選定はどのように実施していますか? 青木氏  投資先のソーシングには、3つのアプローチ方法があります。まず、毎日100から200のウェブサイトをクロールし、新たなサービスが出てきた際にすぐにコンタクトをとっています。次に、他のファンドや起業家からの紹介。当社は実証フィールドを提供できる強みがあるため、ヘルスケア案件では、他のベンチャーキャピタルや事業会社から共同出資の相談を受けることが頻繁にあります。最後に起業家創出。最近、医師等の医療関係者で起業を考える方が増えてきており、今回のファンド資金の12億円のうちいくらかは、ゼロからの起業支援の案件に投資したいと考えています。  今回のファンドは、神奈川県に事業所がない企業にも門戸を開いています。神奈川県の事業者と取引がある企業や、神奈川県の県民と関わりがある企業も投資の対象です。そのため、結果的にはほぼ全ての企業が対象となると考えています。 大木氏  神奈川県で起業した企業のみを投資対象に限定したら、パイが限られてしまいます。むしろいろいろな企業に集まってきてほしい。神奈川県で事業を拡大してみよう、神奈川県の事業者と何か取り組んでみよう。そうやって盛り上がっていかなければ意味がありません。例えば、東京で起業しても、神奈川県で事業を拡大してくれれば、神奈川県としては大きなプラスの効果が期待できます。どこで起業したかには、こだわっていません。 インパクト評価の意義についてはどのように考えていますか? 菅野文美氏  今年4月に、神奈川県、キャピタルメディカ・ベンチャーズ、SIIFの3者で、ファンドの社会的インパクトを評価するという覚書を交わしました。社会的インパクト評価とは、ファンドの投資先の事業を通じて提供される技術や商品、サービスにより社会に生まれる変化や効果を定量的・定性的に測定することです。SIIFは、社会的インパクトという概念を普及させていく財団として活動しています。今回も、社会的インパクト評価を支援するという狙いをもって、ファンドに出資しました。最終的には、ファンド全体のインパクトレポートを発表する予定です。 青木氏  SIIFと一緒に社会的インパクト評価を実施することにした理由は、当然ファンドに大きなメリットがあると考えたからです。ヘルスケア領域での事業は、ほぼ全てが社会に良いインパクトを与えられます。投資先企業が、社会的インパクト評価を通じて価値を定量化できるということは、企業が製品やサービスをマーケティング(企画・販売)していく上でプラスでしかありません。たとえ社会的インパクト評価をする工数が多少かかったとしても、企業価値を向上する上で、こんなありがたいことはありません。 大木氏  県政としては、予算対効果を議会や県民に報告する責任を負っているのですが、効果をわかりやすく示すことが課題となっていました。県としても、投資先ベンチャー企業の価値を高めるだけではなく、投資対効果を議会や県民の皆様に示していく上で、社会的インパクト評価は非常に有効だと考えています。社会的インパクト評価の話をSIIFから提案されたときには、助かると思ったのが正直な気持ちです。 地方銀行にLP参画していただく上で工夫をした点は? 青木氏  さきほどの話とは変わりますが、地方銀行を初めLP出資して頂いた投資家には、特に「インパクト投資」という言葉は用いていません。それは、当ファンドは、純粋に利益を追求しているファンドであり、とりわけヘルスケア領域では、利益の最大化が結果的にインパクトの最大化となると考えているからです。ですので、投資家の方々には、投資リターンを期待していただいていると思っています。  ヘルスケア領域のベンチャーファンドが今後発展していくためには、我々が成功する姿を示すしかないと思っています。実績を見せなければ、どれだけ美辞麗句を並べたとしても意味がありません。地方銀行も投資のプロですので、エモーショナルな面ではなく、純粋にファンドのパフォーマンスを評価いただくしかないと思っています。  神奈川県がバックにいるというところも、大きな信用力になっていることは間違いないです。 菅野氏  SIIFも、インパクト投資は必ずしもリターンを犠牲にするものではないと考えています。一方で、日本では主にソーシャルセクター(財団や社会的企業など)からインパクト投資の概念が広がったという経緯があり、インパクト投資はリターンが低いというイメージがあります。今回のファンドを通じて、このイメージを払拭していきたいと考えています。 ヘルスケア領域のファンドとしての魅力は何でしょうか? 青木氏  ヘルスケア領域は、IPOもさることながらバイアウトが実施しやすい領域だと見ています。昨今ヘルスケア領域は非常に大きな成長産業と認識されており、業界を問わず大手企業が参入を試みていたり、少なくとも興味を持っています。一方で、ヘルスケア領域は参入障壁が高い。大手企業にとって、ベンチャー企業のバイアウトは、業界参入のための極めて合理的な選択肢となるだろうと考えています。  さらに、繰り返しになりますが、当社は実証フィールドの場も提供できます。投資先企業は、実証フィールドを通じた製品・サービスの磨き込みが可能となるため、一定程度の成長までは自ずと確保できます。その後、オーガニック(自力)で成長できればそれでいいし、大手企業からのリソース(経営資源)が必要となれば、大手企業の傘下に入り、成長するという道を選ぶこともできます。  ヘルスケア領域のベンチャーキャピタルでは、米国西海岸にメイヨー・クリニック・ベンチャーズやカイザーパーマネンテ・ベンチャーズという成功事例があり、キャピタルメディカ・ベンチャーズも彼らをベンチマークしています。彼らも、スタンフォード大学の医療施設といった実証フィールドを提供できるベンチャーキャピタルとして成長してきています。自治体も彼らのファンドの積極的に出資しています。我々もいろいろ調査してきましたが、ヘルスケア領域では実証フィールドが得られたベンチャー企業が生き残っているという印象があります。 菅野氏  海外のインパクト投資ファンドと意見交換する中でも、日本のヘルスケア領域は大きく注目されています。世界の中でも高齢社会化が進む日本は、課題先進国として新たなソリューションを生み出していけると考えています。 特に注目している投資領域はありますか? 青木氏  在宅医療や在宅介護の領域には注目しています。現在の在宅医療制度である訪問医や訪問看護ステーションの体制はすでに限界がきており、在宅医や在宅看護士が今後急増することは人口構造上ありえません。そうした中、医師や看護師1人当たりの在宅患者数を増やすことが絶対的に不可欠となります。そのためには、何かしらのITデバイスを活用した遠隔診療体制を確立する以外にないのですが、まだ本格的なサービスは誕生していません。  また血圧等のバイタルデータの測定に関する技術にも着目しています。常時バイタルデータが把握できていれば、必要以上に投薬する必要がなくなり、薬漬けになるリスクも避けられるようになります。このような一人ひとりの状況にあったパーソナルヘルスケアも今後10年以内に実現していきたいです。 自治体としてファンドでのベンチャー育成に至るまでの苦労話はありますか? 大木氏  特定の産業に特化したベンチャー投資ファンドを自治体がつくるという話は、過去にほとんど前例がありません。また、複数の産業にまたがるファンドや企業再生ファンドを自治体が作った例はありますが、投資リターンが低く、成功しにくいという評判があるのも事実です。  こうした状況で、神奈川県としてヘルスケア領域に特化したファンドに向けた予算化を検討していったのですが、実は初年度は予算が通りませんでした。しかし、将来を見据え社会課題に挑むためにヘルスケア領域でのファンドが必要だということを粘り強く説明していき、結果1年半をかけて予算を承認して頂くことができました。  行政の役割は、社会システム全体を大きく変革させていくことにあると思っています。例えば、未病という概念を打ち出し、個々人の健康に対する自覚や意識を変えていこうとした場合、お題目だけでは浸透しません。そこには、ツールやサービスを展開する企業の役割が不可欠です。そうした事業者がたくさん生まれてくることで、社会システムの変革が成し遂げられるのだと思います。 インタビューを終えて  インタビューの中でも登場したインパクト投資という概念は、ESG投資とともに日本では比較的新しいものです。ESG投資が環境・社会・ガバナンスを考慮した投資であるのに対し、インパクト投資は、投資が生む社会や環境に対するインパクトを測定をすることに力点が置かれています。海外では両者の垣根はどんどん小さくなっており、またインパクト投資は非上場企業の領域で盛り上がってきているため、私はインパクト投資のことを「ESGベンチャーキャピタル」と呼んだりもしています。インパクト投資は様々なセクターでなされていますが、世界的に注目を集めているセクターの一つがヘルスケア領域です。  世界の中でも先陣を切って高齢社会へ突入する日本。これまで海外からいろいろな概念やサービスを「輸入」してきた日本ですが、この領域では自ら解決策を導き出していくしかありません。またその分、この分野で確固としたソリューションを構築できれば、海外への展開もしやすい領域だと言えます。  こうした観点から、ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンドが「未病」に力を入れていることには大きな可能性を感じます。従来の日本の医療システムは、医療施設も保険も「健康」と「病気」の二元論を軸に構築されており、その中間の「未病」領域では既存の担い手がいない領域です。しかしながら、社会保障費を抑えつつ元気な高齢社会を迎えるには、この未病領域での担い手となる新たなプレーヤーが必要となってきます。この新たな担い手に、ファンドとその関係者が資金と実証フィールドを提供してくれることは、非常に大きな支援となります。

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【イギリス】ライフサイエンス投資会社BACIT、2件の大型買収を発表。がん研究を加速化

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 英国に拠点を置くライフサイエンス分野投資会社BACIT(Battle Against Cancer Investment Trust)は11月7日、同じくライフサイエンス分野投資会社Synconaを買収するとともに、がん研究の独立慈善団体Cancer Research UKが保有するCRT Pioneer Fundの全受益権もしくは過半数受益権を取得することで、それぞれの株主や受益権保有者と合意したことを発表した。BACITは同社の株主総会の同意を得て買収を実施する予定で、買収により投資先拡大でのリスク分散をするとともに、Synconaの投資チームを吸収することで投資チームの陣容も拡大する。  BACITは、2012年にロンドン・シティの著名投資家らが立ち上げた投資会社で、同年にロンドン証券取引所に上場している。ライフサイエンス分野での社会的インパクトを重視しており、同社のアセットマネージャーは全て無報酬。同社のNAV(基準価額)の1%を毎年ライフサイエンス研究や社会活動に寄付することを定めている。半分の0.5%はロンドンのがん研究機関Institute of Cancer Research(ICR)に、残り半分は同社傘下のBACIT財団を通じて慈善団体に寄付されている。同社は、大手運用会社から投資を募り、集めた資産をライフサイエンス関連企業に投資して収益を上げている。  買収先のSynconaは、同じくライフサイエンス分野の投資会社Wellcome Trustによって2012年に設立された投資会社でライフサイエンス分野企業7社に投資している。Synconaの投資先はアーリーステージのライフサイエンスベンチャーが主。投資先には、がんの画像化機器製造会社のBlue Earth Diagnostics、疫細胞の活性化によりガンを治癒し予後を良好にするための免疫療法の開発を進めているAutolus、血友病などの血液疾患に対する治療法の開発を進めているFreeline Therapeutics等がある(他リストは本文最後尾に添付)。こうした企業には、すでに相当額の投資が行われている一方、今後の追加投資が必要な企業も多い。しかしBACITはこれらの会社の今後の成長可能性が非常に高いと評価している。  また、Cancer Research UKは、がんを根治するための研究を行なっており、ガン治療薬候補の発見と初期の開発に投資するCRT Pioneer Fundの受益権を35.5%保有している。CRT Pioneer Fundは2012年にCancer Research UKとCancer Research Technologyが設立した7,000万ポンド規模のライフサイエンスベンチャー投資ファンドで、抗がん剤の発見から臨床試験フェーズⅡに至るまでの潜在性のある薬に注目している。BACITはCancer Research UKからCRT Pioneer Fund受益権35.5%全てもしくは過半数を取得する予定で、現在BACITが保有している2,000万ポンドのCRT Pioneer Fund受益権と合わせると合計64.3%の保有比率となる。  BACITは今回の2件の大型投資を通じて、抗がん剤および難病の治療方法の開発促進を進めていく。 ≪Syncona LLPの投資先リスト≫ Blue Earth Diagnostics:ガンの画像化機器製造会社。すでにFDAの認可を取得。初回投資額は2014年に2億9,300万ポンド。 Autolus:免疫細胞の活性化によりガンを治癒し予後を良好にするための免疫療法の開発を実施。初回投資額は2015年に3,000万ポンド。 Achilles Therapeutics:後期固形ガン(全てのガンのうち80%を占める)に対する免疫療法の開発を実施。初回投資額は2016年に1,200万ポンド。 NightstaRx:失明につながる先天性脈絡膜欠如等のまれな病気を治療するための遺伝子療法の開発を実施。初回投資額は2014年に2,240万ポンド。 Freeline Therapeutics:血友病などの血液疾患に対する治療法の開発を実施。初回投資額は2015年に3,350万ポンド。 Gyroscope Therapeutics:失明を引き起こす病気を治療するための遺伝子治療法の開発を実施。初回投資額は2016年に1,500万ポンド。 Cambridge Epigenetics:DNAの事後変異の詳細を解明するための研究ツールの開発を実施。初回投資額は2013年に240万ポンド。 【参照ページ】PROPOSED EXPANSION OF INVESTMENT POLICY AND CAPITAL RAISE IN ORDER TO EVOLVE INTO A LIFE SCIENCE INVESTMENT CHAMPION 【機関サイト】BACIT(Battle Against Cancer Investment Trust)

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【デンマーク】ノボノルディスク 環境省と共同で環境会計の実務雑誌を発刊

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ヘルスケアビジネス世界大手、デンマークのNovo Nordiskは、デンマークの環境省と共同で、製薬業界初の環境会計に関する雑誌「TBL Quarterly」を発行する。内容は水の消費量、温室効果ガス(GHG)の排出量や大気汚染など。発刊の背景について、同社の副社長のSusanne Stormer氏は、「当社は環境CSR活動において長い歴史を有している。それらを生かした質の良い情報を提供することを目指したい。」と語った。TBLは年4回発刊され、PDF形式で提供される。環境会計は新たな概念で、Novo Nordiskは環境会計を体系的に事業に取り入れている数少ない企業の1社だ。同社が実践している、トリプルボトムライン(TBL)を重視した、事業管理や、ステークホルダーへの情報提供のあり方がTBLの中で紹介される。新たな視点の提示や実例分析に力点が置かれ、実務に役立つ内容が多くなりそうだ。【企業サイト】Novo Nordisk

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【パキスタン】Naya JeevanがBusiness Call to Actionに参加

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ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を促進することを目的とした企業や援助機関の集まるグローバルなネットワークであるBusiness Call to Action(BCtA)は、パキスタンの社会的企業Naya Jeevaを新たにメンバーとして登録すると発表した。登録に際して、Naya Jeevanは2015年までにパキスタンの39,000人以上の低収入労働者に安価で高品質のヘルスケアサービスを保証することを達成目標として掲げている。同社はまた2019年までに、医療請求からの利益のうち約1500万米ドルを受益者へ分配することも計画している。 Naya Jeevanは、市場原理に基づいて貧困層に健康保険を提供するとい革新的なアプローチが評価され、パキスタン企業としてBCtAに参加する初めての企業となった。同社は健康保険の仲介人であるとともに、受益者である貧困層に高品質のヘルスケアを提供する家庭医のチームも運営している。1カ月所得が150米ドルに満たない労働者が保健サービスに結びつくように、グループ健康保険をまとめて購入。携帯電話を使い24時間家庭医にアクセスできるようにしたり、保険がカバーされないような状況でも緊急的対応できるようにしたりと、低所得者のニーズに見合うような保険システムを生み出すことに成功している。一連のシステムを実現するために、多国籍企業や地元中小企業や学校などとパートナーシップを結んでいる。Naya Jeevanは、アメリカ合衆国やメキシコなどの新興国へのサービス拡大も計画している。【団体サイト】Business Call to Action

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