【国際】SAP、世界貧困地域へのプロボノ派遣プロジェクト設立。多くの企業に参加呼びかけ

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 IT世界大手独SAPは9月5日、国連本部の場で、世界中の貧困地域へのプロボノ社員派遣ネットワーク「Corporate Champions for Education」を設立したと発表した。米NGOのPYXERA Globalが展開する「社会サバティカル制度」を用いたプロボノ派遣にSAPが資金援助し、幅広い企業に参加を呼びかける。  SAPとPYXERA Globalはすでに過去7年間連携しており、SAPは「社会サバティカル制度」を導入し、PYXERA Globalにプロボノ社員を供給していた。PYXERA Globalのプロボノ活動では、経歴が異なる複数人でチームを組み、貧困地域での短期間のプロジェクトに参加するというもの。とりわけ、若者や壮年のデジタル教育に力を入れてきた。しかし、プロボノを必要とする貧困地域は非常に多いとし、他社にも参加を呼びかけた。Corporate Champions for Educationでは、企業の垣根を越えチームを組み、課題解決に当たる。  SAPは今回のプロジェクトの開発と運営費用を拠出。事務局はPYXERA Globalが務める。参加企業は参加者毎に、旅費、滞在費、食費、研修費、現地サポート費等のための固定価格が設定されている。 【参照ページ】SAP Launches Multi-Company Collaboration to Support Agenda 2030 Through Skilled Volunteering

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【アメリカ・イギリス】モルガン・スタンレー、プロボノ活動で14非営利団体を支援

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 世界的金融大手モルガン・スタンレーは3月23日、同社が2009年から実施しているプロボノ・プログラム「Strategy Challenge」の2016年度活動を発表した。同社は米国と英国のNGO14団体を選出、今後8週間同社の従業員がプログラムに参加しNGOが実施する活動の発展を支援する。  同社は2009年にこの活動を開始して以来、合計で90団体にプロボノ・サービスを提供。従業員ののべ活動時間は56,000時間、給与に換算すると860万米ドル(約9億6,000万円)相当の労働量だという。「Strategy Challenge」では、大きな社会的インパクトを与えられる団体が自主応募形式で選出される。その後、同社の執行役員からアソシエイトレベルまでの幅広い従業員の中から、各団体のテーマに相応しいメンバーが4人選抜されチームを形成する。 従業員は、通常業務と並行でプログラムに参加し、財務分析や戦略構築の専門性を活かし、団体の戦略策定、戦略導入、意思決定ツールの提供などを行う。同時に、従業員が持っているビジネスネットワークも提供していく。プログラムの最後では、各チームが同社の経営陣の前で実施内容や成果を発表し、優秀なチームが表彰される。この活動を通じて、参加団体は、生産性を向上したり活動をスケールさせていくことに繋がっているという。  今年選抜された参加団体は、 ◯ ニューヨーク Brooklyn Free School: 社会主義をミッションとするフリースクール El Taller Latino Americano: オープンスペース運営 Global Goods Partners: 貧困削減を目指すNPO Harlem Lacrosse and Leadership: 子供たちへの教育NPO Jumpstart for Young Children: 就学前児童に言語、リテラシー、情動性を教育する団体 National Eating Disorders Association: 食生活改善を支援する団体 ◯ ニュージャージ州 Institute for Entrepreneurial Leadership: 街の内発的な経済発展を支援する団体 The Andrew Goodman Foundation: 若者の声を民主主義に反映させることを目指す団体 York Street Project: 女性や子どもたちの貧困脱却を支援する団体 ◯ ロンドン Centrepoint: 住居のない若者に就職や住居確保を支援するチャリティー Coram: 子供たちに健康や教育を届けるチャリティー NSPCC: 児童搾取から児童を解放する活動を行う団体 The Future Leaders Trust: 子供たちに公平や選択・機会の提供を目指す団体 Tower Hamlets Education Business Partnership: 学生とビジネスの場をつなぐ教育チャリティー団体 【参照ページ】Morgan Stanley Strategy Challenge to Benefit 14 Nonprofit Organizations in U.S. and UK 【活動サイト】Stanley Challenge

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【イギリス】HSBC、185億円規模のコミュニティファンドを設立。世界中でコミュニティ投資へ

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 英銀行大手のHSBCは7月16日、同社の創立150周年を記念して新たに1.5億米ドル(約185億円)規模のコミュニティファンドを創設すると発表した。同ファンドの資金は2015年~2017年までの3年間で世界中のコミュニティ活動や慈善活動に充てられる。  2014年、HSBCでは5万人以上の従業員が慈善活動テーマに関する投票を行い、結果として「若年層支援と教育」「医療福祉と研究」「環境と野生動物」の3分野が同社の重点的な社会貢献活動領域として選定された。HSBCの各地域のマネジメントチームらは従業員らの投票に基づき140以上の慈善団体を慎重に選定した。  HSBC グループの会長を務めるDouglas Flint氏は「我々は、今回の1.5億米ドルのコミュニティファンドとともに150周年を迎えられることを嬉しく思う。企業として、我々は教育や、医療福祉、安全な水や衛生といった資源がレジリエントな地域社会には必要不可欠であり、それは同時に、経済や事業の繁栄にも繋がるものであると信じている」と語る。  同社は毎年世界全体で約1.1億米ドル(約140億円)をコミュニティ投資プログラムに投じているが、今回の1.5億米ドルはその予算に追加される形となる。HSBCはこれまで大小様々なNGOと提携し、教育、環境分野において社会貢献活動を展開してきた実績を持ち、世界中の従業員がプロボノとしてボランティア活動に参加している。  また、同社は2002年からはWWFとの提携により長江の保全活動を展開しているほか、国際NGOのSOS Children’s Village.との提携により世界62ヶ国で700以上のプロジェクトに取り組み、90万人以上の若年層を支援している。 【参照リリース】HSBC’s USD150 million community fund 【企業サイト】HSBC (※写真提供:Northfoto / Shutterstock.com)

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【国際】大手企業らの56%が過去3年間で寄付金額を増加。CECP調査

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 企業による社会貢献を推進するCEOらのグローバルネットワーク、CECP(Committee Encouraging Corporate Philanthropy)は6月2日、The Conference Boardと共同で企業の慈善活動トレンドに関する年次報告書、"Giving in Numbers"を公表した。同調査によると、2012年から2014年にかけて企業の56%が寄付金額を増加させていることが分かった。  同報告書は、売上が総計8.3兆米ドルに相当する大手企業271社に対する調査に基づくものだ。CECPは、多くの企業にとって寄付金額を伸びは個人ベースによるものだが、伸び率は業界に関わらず概して安定しており、企業はますますコミュニティ投資を事業運営上必要不可欠だとみなすようになってきているとしている。  CECPによると、今回の調査結果では2012年から2014年にかけて特に下記5つの指標について顕著な伸びが見られたという。 社内スキルの活用: 従業員を活用して企業の専門スキルを寄付する企業が増えている。プロボノ(企業の40%→50%)やNPOのマネジメント(企業の43%→53%)が最も早く拡大しているボランティアプログラムで、業務時間内としての活動が最も一般的となっている(企業の60%)。 社会貢献による成長:社会貢献活動を通じて、企業間連携、新製品開発、インパクト投資などのイノベーションが生まれるケースが増加した。 効果の測定: 企業の85%が社会貢献プログラムのインパクトを測定しており、結果を測定している企業は寄付額を18%増加させた。これらの企業は売上に占める寄付金額の割合を0.11%から0.13%まで増やしている。 社会貢献を通じた業績向上:寄付を10%以上増加させた企業は、税引前利益において中央値で14%の成長が見られた。最も業績が良かった企業らはもっとも寄付増加率が高い。 役割の地位向上: コミュニティ投資に関わる従業員の数はレジリエントで、社員規模を縮小した企業の65%が社会貢献活動チームの規模を維持もしくは増やしていた。  今回の調査結果を受けて、CECPのCEOを務めるDaryl Brewster氏は「これらの5つの指標は、企業が従来の社会投資プログラムを更に戦略的・革新的に展開し、会社全体に目的を浸透させようとしていることを示している。これらの企業の目的とは社会の改善をビジネス業績の重要な測定基準にすることであり、我々は、その追求に向けてさらなる投資を呼びかけている」と語った。  コミュニティへの投資は単なる慈善活動ではなく、企業の長期的な事業価値創造につながるという考え方がより一般的になってきている。ボランティア活動を通じた従業員のスキル開発やモチベーション向上、コミュニティとの関係構築によるブランドエンゲージメントの強化など、積極的な社会貢献プログラムが企業にもたらす価値は大きい。レポートの詳細は下記からダウンロード可能。 【レポートダウンロード】Giving in Numbers 【参照リリース】Five Indicators Show Growth in Purpose at World's Largest Companies 【団体サイト】Committee Encouraging Corporate Philanthropy 【団体サイト】The Conference Board

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【ドイツ】アクセンチュア、女性の就労・起業支援に向けてSocial Business Womenに130万ドルを支援

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戦略コンサルティング大手のアクセンチュア、およびアクセンチュア財団は12月11日、ドイツで女性の自立支援事業を展開しているNPOのSocial Business Womenに130万ドルを寄付したと発表した。今後、同資金はドイツ国内の2,000人の女性に向けた就労・起業スキルトレーニングなどに充てられる予定だ。 アクセンチュアは“Skills to Succeed”というコーポレート・シティズン・プログラムを展開しており、2015年までに世界中の就労・起業希望者70万人に対してスキル・トレーニングプログラムを提供することを目指している。今回の寄付も同プログラムの一環として行われ、Social Business Womenに対する支援としては金銭の寄付に加えてアクセンチュア社員によるプロボノサービスも含まれる。 Social Business Womenは地元のNPOらと協力しながら、失業中、シングルマザー、貧困など何らかの困難を抱える女性に対して就職やスモールビジネスの創出に必要なスキルを習得するためのトレーニングを実施していく予定だ。 アクセンチュアのグローバル•コーポレート•シティズンシップでマネージングディレクターを務めるJill Huntley氏は「Social Business Womenは、雇用創出や起業支援を通じて女性やその家族、ひいては地域コミュニティの経済的自立を実現するという我々のコミットメントを共有している。Social Business Womenと協働することで、我々は彼らの組織を拡大し、更なるインパクトを生み出す手助けをすることができる」と語った。 また、Social Business Womenの共同創業者Gabriele Moehlke氏は「ドイツでは多くの女性が経済的理由や規制、社会の障壁によって仕事を見つけたり新たに事業を始めたりすることが難しくなっている。今回の寄付により女性は社会に参画するためのスキルや自信を身につけることができ、我々は女性およびその家族、地域社会の経済状況を改善することができる」と語った。 【企業サイト】Accenture 【参考サイト】Accenture "Skill to Succeed" 【団体サイト】Social Business Women

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【国際】グローバル企業の社会貢献活動、地域による違いが明らかに

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世界各地域における企業による社会貢献活動の違いをまとめた興味深い報告書が公表された。 グローバル企業のCEOらが集まり企業の社会貢献活動を推進しているNPOのCECP(The CEO Force for Good)は11月18日、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパの各地域におけるグローバル企業の社会的投資の現状をまとめた調査報告書を公表した。 今回CECPが発表した報告書”Giving Around the Globe: 2014 Edition”は、米国以外の17ヶ国に拠点を置くグローバル企業54社が展開している社会貢献活動の状況をまとめたもので、対象企業54社による2013年の社会貢献活動への投資額は現金・現金以外を含めて総額36億ドルにのぼる。 また、CECPは同報告書とは別に北米に本拠を置くグローバル企業を対象に分析を行った”Giving in Numbers: 2014 Edition”も発表しており、これらの報告書が各地域における企業の社会貢献活動の質の違いを示している。各地域の主な傾向は下記の通りだ。 アジア 2013年のアジアにおける企業の社会貢献活動費は、従業員一人あたり680ドルという高い割合を示しており、調査対象企業の70%が海外市場向けの投資を行っている。アジア地域に特有の文化規範や効率性を重視する企業文化により、従業員の時間を費やす社会貢献活動に対しては消極的な傾向にある。 ヨーロッパ 古くから慈善活動が根付いているヨーロッパにおいては、91%の企業が国際的に社会的投資を行っている。しかしながら、プロボノ活動についてはあまり積極的に行われておらず、国内でプロボノ活動を展開している企業は27%、国際的に展開している企業は17%にとどまっている。 ラテンアメリカ ラテンアメリカの企業は社会貢献活動に多額の費用を投じており、1企業につき平均32人のコミュニティ支援チームを社内に擁している。こうした多額の投資に関わらず、同地域では従業員の支援やボランティアプログラムへの取り組みが弱く、国内でボランティア活動を展開している企業は17%しかいない。 アフリカ アフリカでは、政府や営利企業とのパートナーシップにより社会的投資を行っている企業の割合が高い。調査対象企業の中には国際的に社会的投資を行っている企業はなかったが、これはアフリカの地域内における切迫した社会的ニーズに起因していると考えられる。 北米 北米の企業は2013年、教育分野に対して最も多くの投資を行った。同地域では、寄付以外の投資も伸び続けており、金融業界を中心として調査対象企業の半数が社会貢献活動の一環としてプロボノ・サービスを提供している。 今回の調査結果を受けて、CECPでCEOを務めるDaryl Brewster氏は「Giving Around the Globeは企業が現在展開している社会的投資を評価するためのベンチマークとベストプラクティスを提供し、企業がグローバルの慈善活動戦略によってどのように将来の自社の価値を高めていくことができるかを教えてくれる、価値のあるビジネスツールだ」と語った。 また、同報告書の著者で評価・規格担当マネージャーを務めるCarmen Perez氏は「今回の報告書で注目すべきは企業に対してCSR投資の義務化を進めている新興市場の動きだ。インド、ブラジル、インドネシアでは既に同地域内で事業を行う企業にCSRを義務づける法律が制定されている。企業がこれらの義務を戦略的かつ確実に果たしていくことができれば、それは国が真に社会的発展を遂げる大きな機会をもたらす」と述べ、新興各国の政策を評価した。 社会貢献活動の展開状況やプログラム内容は各地域の企業文化やニーズによって異なる傾向を見せることがよく分かる。同レポートは下記からダウンロード可能。 【レポートダウンロード】Giving Around the Globe: 2014 Edition / Giving in Numbers: 2014 Edition 【団体サイト】CECP

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【国際】広がるグローバル・プロボノプログラム、企業間の協働が増加

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世界90ヶ国以上で企業のプロボノプロジェクトを支援しているグローバルNGOのPYXERA Globalが10月17日に公表したグローバル・プロボノに関するベンチマーク調査結果”5th annual benchmarking survey”によると、企業や従業員らによる国境を越えたスキル・ベースド・ボランティアプログラムはますます広がりを見せているという。 同調査によれば、企業は現在急速にグローバル・プロボノプログラムの展開を拡大しており、あらゆる機会を通じて他の企業や組織との連携を模索しているとのことだ。今年の同ベンチマーキング調査に参加した企業らのプロボノ参加者数は約2,100名に上り、調査を開始した2009年時の574名から大きく増えているという。 同調査では、現在のグローバル・プロボノにおける3つの最新トレンドとして下記を挙げている。 企業間の協力に対する関心 効果的かつ定量的な効果測定手法の模索 インパクトを示す効果的なストーリーの強調 PYXERA Globalは、上記の中でも特に企業同士の協働によるグローバル・プロボノプロジェクト展開への関心の高まりは、より多くの人々のサステナブルかつインパクトのあるプログラムへ参画につながるとしている。 例えば、企業単体としては世界最大規模のグローバル・プロボノプログラムを展開しつつ、企業横断、業界横断のコラボレーション機会も模索しているIBMは、The Dow Chemical Companyがエチオピアの近隣にプロボノチームを派遣したタイミングに合わせてエチオピアでプロボノチームを組成し、ともに協働したことで、現地で医療プロジェクトを展開する国際NGO、International Medical Corpsの支援において大きな相乗効果を生み出したとのことだ。 グローバル・プロボノプログラムは、従業員、地域コミュニティ、そして企業という3者に対して大きなインパクトをもたらす。同調査によれば、地域コミュニティへの社会的インパクト創出がグローバル・プロボノプログラムの最も大きなメリット(54%)だとしたうえで。プロボノによる従業員のスキル開発(41%)も次なるメリットとして挙げられている。 また、グローバル・プロボノプログラムは、企業と従業員との関係性を深め、より長期的な関係を構築する役割も果たしているという。いくつかの企業では、プロボノの参加経験と社員のリーダーシップ開発、従業員の定着率との間に相関関係が見られると報告しているとのことだ。 PYXERA Globalの調査結果が示す通り、グローバル・プロボノプログラムは企業・従業員・地域コミュニティがwin-win-winの関係を構築できる魅力的な機会として捉えられているようだ。同社は今後も企業横断、業界横断の協働プロボノプログラムに対する更なる関心の高まりを期待したいとしている。 同レポートの詳細は下記から確認可能。インフォグラフィックを用いて最新のグローバル・プロボノトレンドが分かりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ見て頂きたい。 【レポートダウンロード】5th annual benchmarking survey 【団体サイト】PYXERA Global

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【従業員】プロボノの戦略的活用方法 〜企業×プロボノ セミナー参加レポート〜

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日本経済界でも関心が高まるプロボノ 「プロボノ」。ラテン語で「公共善のために」を意味する"pro bono publico"を語源とし、英語でpro bonoと呼ばれている言葉です。日本では、専門的なスキルをもとにしたボランティア活動などと紹介され、通常のボランティアと区別する意味合いで使われています。もともとはアメリカで発展してきたこのプロボノという概念、当初は専門的なスキルが内部調達できないNPOなどに対し、ビジネスパーソンがボランティアとして力を貸すという、個人とNPOの直接的な関係性によって成り立ってきました。そのプロボノが今、海外企業によって、積極的に活用されるようになってきています。そして、この流れが日本にも波及しようとしています。 日本の経済界を代表する組織、経団連。今年9月19日、経団連の中で社会貢献担当者が集まる社会貢献担当者懇親会に、プロボノを推進する2つのNPOが招かれ、国内外のプロボノの状況を踏まえ、プロボノの活用方法に関するプレゼンテーションがなされました。 社会貢献担当者懇談会でプレゼンテーションを行ったNPOのひとつがNPO法人サービスグラント(以下、サービスグラント)です。2005年からプロボノ活動家を登録し、NPOに対して紹介する団体としてスタートしました。2009年にはNPO法人となり、企業に対して積極的にプロボノ活動への参加を呼びかけています。10月29日、そのサービスグラントが経団連会館で「企業×プロボノ セミナー」を開催。企業のCSR部門の方々を中心に約100名が集まりました。私もこのセミナー参加してきましたので、セミナーでの報告内容も踏まえ、プロボノの今と明日をご紹介していきます。 社会貢献活動としての日本のプロボノ セミナーは、日本企業による事例紹介、海外のプロボノ推進団体からの事例紹介、そして日本での普及に向けたパネルディスカッションの3部構成。冒頭の日本企業の事例紹介は、日本のジョンソン・エンド・ジョンソン社と三菱商事社が担当します。ジョンソン・エンド・ジョンソン社がプロボノを開始したのは今年7月、参加するNPO団体から課題を共有し、それに対しジョンソン・エンド・ジョンソンの社員が業務の知見をもとにアドバイスをするという1日限定のイベントをサービスグラントのサポートのもとで開催しました。ジョンソン・エンド・ジョンソン社が会社としてプロボノを始めるきっかけとなったのは、もともと個人的にプロボノ活動に従事していた同社社員からの紹介でした。プロボノ活動の良さを知ってもらいたいと社内に自ら働きかけた結果、社会貢献活動の一環として会社として取り組むようになったと言います。一方、三菱商事社のプロボノは東日本大震災の被災地支援。すでにのべ3,000人以上がボランティアとして現地入りした他、奨学金や復興融資資金としての資金提供もなされています。 このように、現在、プロボノに取り組んでいる日本企業の多くは、プロボノを社会貢献活動として実施しています。社会貢献活動と言えば、従来はNPOや被災者に対する金銭的な支援が主でした。しかしながら、資金提供は比較的手間も少ないのに対し、プロボノは準備やアフターケアなど労力を要します。それでもプロボノが企業内で機運が醸成されたきた背景には、従業員による「社会貢献したい」という思いがあります。特に最近では若い世代から「何か自分で社会の役に立ちたい」と思う人が増えているようで、プロボノを実施していることで自社に対するロイヤリティも高まっているようです。 この社員からの自発的なプロボノ欲求には、取り組んでいる企業自身もメリットを感じているようです。ジョンソン・エンド・ジョンソン社と三菱商事社のプレゼンテーションの中でも、参加した社員が充実感を得、再度参加したいというフィードバックが多いことも共有されました。また、参加した人々から、日頃接点がない他の部署の社員との交流を通じて社内ネットワークが広がった、NPOへのアドバイスを通じて自身のスキル向上にもつながったという、企業の組織力向上にも繋がるという嬉しい声が続々出ていると言います。プロボノには、サービスの受益者であるNPOだけでなく、サービスの提供者であるプロボノ実施者や実施企業にも感謝されるという、ウィン・ウィンの関係が構築できる効果があるようです。 人材開発としての海外のプロボノ 一方で、日本とは桁外れてプロボノが進展しているアメリカの状況はどうでしょうか。アメリカでのプロボノ推進の老舗的な存在であるTaprootから、現況の説明がありました。Taprootは2001年に設立されたNPOで、現在は、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンジェルス、ワシントンDC、シカゴにオフィスを構える全米を代表するプロボノ支援団体です。 Taprootがこれまでに動員したプロボノ活動者は約7,500人で、およそ2,500のプロジェクトが進行しています。この原稿を執筆時点でのサービスグラントの動員数が186プロジェクト、2,200名なので、いかにTaprootが巨大な存在になっているかご理解いただけるかと思います。 さらに、Taprootはプロボノを狭義で定義しています。上図は、Taprootによる分類ですが、彼らはプロボノは専門知識を有する「Pro bono Professional Expertise」や「Board Service」をプロボノとし、それ以外の単純労働力提供(ゴミ拾いなど)や一般技能提供(日本人による日本語教育など)はプロボノではないとしています。プレゼンの中でも、三菱商事社の被災地支援はプロボノではなくExtra HandsだとTaprootは言明していました。この狭義のプロボノで、常時7,500人規模を動員しているプロボノは本当に大きな存在です。 また、この動員数の多くは企業から提供されています。Taprootにプロボノ人材を提供している企業には、LinkedIn, GAP, Chevron, HP, CITI BANK, American Express, Microsoft, UPSなど錚々たる企業がいます。多くの企業では6ヶ月間〜9ヶ月間という長期のプロボノプロジェクトに参加していたりもします。もちろん、企業には無償で行っているため、ここから収益は得られません。一見すると、業務妨害にもなりかねないこのプロボノ活動に、なぜここまでアメリカの企業は参加しているのでしょうか。 アメリカ企業の多くは、このプロボノを社会貢献活動ではなく人材開発という実利に着目しています。ここが現在の日本企業との大きな相違点です。プレゼンの中でも、「91%のFortune500企業の人事部門の管理職は、NPOに対して知識や専門性をボランティアで提供することは、ビジネススキルやリーダーシップを磨く効果的な方法だと回答している」との報告がありました。私自身、以前、Taprootのサンフランシスコ支社を訪問したことがあるのですが、そこでも「GAPではプロボノに参加しリーダーシップを育成することが管理職昇進への条件となっている」と説明を受けたこともあります。従って、アメリカの企業の中でプロボノ活動を遂行しているのはCSR部門ではなくむしろ人事部。ヘッドカウント(人員の頭数)を意識するアメリカ企業は日本企業以上に人件費に神経を尖らせていると言われますが、それでも人材開発としてプロボノに人員を会社の人事部が送り込んでいたりします。 もちろん、中には「6ヶ月〜9ヶ月間も人員派遣するのは長すぎる」ということで、1日で完結するプロボノプログラムの企業ニーズも多く、Taprootはこの短期間プログラムの実施も進めているようです。 次にはシンガポールの様子を見てみましょう。セミナーではシンガポールのプロボノ推進団体であるEmpactによる現状報告もありました。Empactは2011年に設立された若いNPOく、「アメリカと比べたらシンガポールはまだベイビーです」と謙遜していましたが、共有された活動内容は既に高い次元に行っていました。プレゼンテーションの中での紹介事例には、部署間のコミュニケーション不足に悩んでいた世界的な大手金融機関がプロボノを使ってプロジェクトに取り組むことで社内のコミュニケーション向上に寄与したという事例や、シンガポールにアジア地域統括拠点を置く世界的な消費財メーカーの役員陣がプロボノプロジェクトを使って自身のメンター力を向上させた事例などが紹介されていました。Empactでは、企業側の組織課題とNPO側の経営課題をうまくマッチングするプロジェクトを考案することで双方にとって大きな実利のあるプロボノ案件を生み出しています。 また、Empactは、役員陣が参加した消費財メーカーのプロジェクトからの大きな収穫として、プロボノに役員が参加することで社内全体のCSR意識が大きく向上したことを挙げ、昨今CSRの社内浸透に苦労している企業にとって、プロボノへの経営幹部の参加が大きな打開策になるのではと提言もしていました。これには私もなるほどと納得してしまいました。 企業がプロボノに取り組むための課題とその解決策 最後のセッションは、「企業がプロボノに取り組むための課題とその解決策」と題し、長年プロボノを続けてきているNEC社とパナソニック社のCSR担当の方をパネラーに、経団連社会貢献担当者懇親会の座長を務める、金田晃一・武田薬品工業コーポレート・コミュニケーション部(CSR)シニアマネジャーがモデレーター役となったパネルディスカッションでした。金田氏からは「シンガポールがベイビーだとしたら、日本は一体何なのか」とのコメントもあり、NEC社とパナソニック社からも率直な課題感が飛び出していました。両社から伺えたのは、事業部からの理解と人事部からの理解の双方の面で苦しんできたということです。ディスカッションの中では、「無償でサービス提供したら事業と競業してしまうのではないか」という事業部からの懸念にどのように対処するのかという話題も出、プロボノ推進団体のサービスグラントからは「そもそもサービスを購入できるような団体はプロボノではなくサービスを購入したほうが早いし確実。プロボノを提供する団体とはサービスを有償で受けられないようなところが対象」と説明もありました。一方、人事部からの理解の面では、そもそも社会貢献活動として始まっているため人事部との意見交換もまだ少なく、新人研修としてプロボノを導入しようとしたが人事部の理解が得られず実現できなかった企業の事例も紹介されていました。 このように、日米の間にはプロボノの位置づけに大きな格差が存在しています。アメリカ企業は、人材開発というプロボノの戦略的な活用方法を見出し、多くの企業が積極的に取り組んでいます。また、シンガポールでの事例のようにCSRの社内浸透のため役員クラスのプロボノ動員という戦略的な活用方法も新たに発見されてきています。繰り返しですが、プロボノは受益者であるNPOだけでなく提供者である企業そのものにも使い方次第でプラスの効果を創出できます。プロボノを検討している企業の皆さんも、サービスグラントのようなプロボノ推進団体の協力を得つつ、「どのような組織課題をプロボノを解決するのか」というテーマで一度人事部の方々と話し合ってみると良いように思います。 文:サステナビリティ研究所所長 夫馬賢治

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2014/10/30 体系的に学ぶ

【エチオピア】DowとIBM、サステナビリティプロジェクトを通じて従業員のリーダーシップ教育

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DowのLeadership in Action program(以下、LIA)とIBMのCorporate Service Corps(以下、CSC)は8月4日、NPOのPYXERA Globalの協力のもとで、エチオピアにおけるサステナビリティ活動プログラムを共同で実施すると発表した。このプロジェクトではコミュニティへのインパクト創出だけではなくプロジェクトに参加する従業員のリーダーシップ開発も期待されている。 まずはLIAから5名、CSCから3名の従業員がこの共同プロジェクトにプロボノとして参画し、International Medical Corps(以下、IMC)と協力してエチオピアのWolayitaにおける公衆衛生改善プロジェクトを推進していく予定だ。 IMCは現在、エチオピアのWolayita市で戦争被害や自然災害、病気によって苦しむ人々に対するヘルスケアサービスを提供しており、彼らに自立を促すためのトレーニングに集中的に取り組んでいる。IMCとの取り組みを通じ、Dowは市民や政府が病気や燃料不足、食糧難、干ばつといった人災、天災を回避し、コミュニティを持続可能な形で繁栄させることができるように、彼らの行動変容を促すソーシャルマーケティングプログラムを開発する。また、IBMは、特に公衆衛生の分野においてコミュニティのレジリエンスを測定するための方法論を評価・開発する予定だ。 Dow Sustainability Corpsのプログラムリーダーを務めるMichelle氏は「世界のあらゆる課題に対して、一つの企業が持っている解決策は限られている以上、企業間におけるコラボレーションは問題解決の上で非常に役立つ。現在でも世界人口の35%以上の人々が十分な衛生設備を利用できずにいる。二社が一つの戦略のもとでお互いの従業員の才能を引き出すことで、DOWとIBMはこの地域に継続的なインパクトを残すことができるだろう」と語った。 また、DowのHRマネジャーを務めるKolmer氏は、従業員がこのプロジェクトに参加する意義について「チームを率いるとき、そこにはマニュアルや教科書は存在しない。これまでの経験を基に、その時々でベストな意思決定をしていく必要がある。このプロジェクトは、従業員を彼らのコンフォート・ゾーンから追い出してリアルな実体験を積ませ、違う経験や文化を持つ人々と交流することを促している」と述べた。 DowとIBMの事例が示す通り、優れたサステナビリティ活動プログラムはコミュニティへのインパクト創出につながるだけではなく従業員にとっても貴重な機会となる。サステナビリティ活動を通じて自社従業員のリーダーシップ開発を試みる両社の取り組みから学べる点は多い。 【企業サイト】Dow 【企業サイト】IBM's Corporate Service Corps 【団体サイト】International Medical Corps 【団体サイト】PYXERA Global (※写真提供:Martchan / Shutterstock.com)

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