【アメリカ】カリフォルニア州上級裁、モンサント除草剤の発がん性を巡る裁判で賠償金を減額

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 サンフランシスコ上級裁判所は10月22日、除草剤「ラウンドアップ」の製造元であるバイエルに対する陪審判決を行い、懲罰賠償金の金額を、2億5,000万米ドルから3,925万米ドルに減らす判断を下した。同裁判所は8月、バイエルに対し、モンサント製除草剤ががんの原因となったと判断し、モンサントを買収したバイエルに対し、補償金3,925万米ドルと懲罰賠償金2億5,000万米ドルの2億8,900万米ドル(約320億円)の賠償支払いを命ずた。しかしその後、バイエルは懲罰賠償金2億5,000万米ドル全額取り消しを求め、提訴していた。 【参考】【アメリカ】カリフォルニア州裁、モンサント除草剤の発がん性を認定。約320億円の賠償命令(2018年8月13日)  同裁判所は今回、バイエルが求めた懲罰賠償金の全額取り消しは退けたが、賠償金と懲罰賠償金の比率は1対1である必要があるとし、懲罰賠償額を3,925万米ドルに減額した。理由は、バイエルのモンサント除草剤ががんの原因となったという確たる証拠がないため。一時は、判事は全額取り消しを行う可能性もありうるという観測も出ていたが、最終的に休業を強いられたことによる損害賠償額と同等の懲罰賠償は認めた。

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【ドイツ】バイエル、BASFに遺伝子組換え種子と除草剤事業を売却。モンサント買収成功が条件

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 化学世界大手独BASFは10月13日、同業独バイエルから除草剤グルホシネートアンモニウム事業と種子事業の一部を59億ユーロ(約7,800億円)で買収すると発表した。バイエルは、2016年9月に米モンサントを企業買収することで合意しているが、欧州委員会によるEU競争法上の承認取得が難航している。バイエルは今回、モンサント買収が成功することを条件にBASFに一部事業を売却することで、独占への懸念を緩和する考え。  バイエルのモンサント買収が成功すると、モンサントの主力除草剤ラウンドアップと、ラウンドアップに耐性を持つ遺伝子組換え作物を手に入れることができる。モンサントの除草剤・種子事業売上は約146億米ドルで、遺伝子組換え種子では世界最大。バイエルも除草剤・種子事業で世界3位となる99億ユーロを誇っており、自社開発の遺伝子組換え種子も持つ。両社が統合すれば、遺伝子組換え種子で大きなシェアを握ることになる。  今回BASFが買収予定の事業の売上は、約13億ユーロで、バイエルの除草剤・種子事業売上の約13%に上る。まず、アミノ酸系除草剤グルホシネートアンモニウム塩(対象地域は全世界)。製品名「リバティー」「バスタ」「フィナーレ」で知られる。そして種子事業の一部。一つ目は、バイエルが開発した遺伝子組換え作物「リバティリンク」の形質と商標。次に「リバティリンク」技術を使用した遺伝子組換え菜種油「InVigor」で、除草剤「リバティー」に耐性を持つ。欧州での菜種、欧州と南北米大陸での綿花、南北米大陸での大豆も買収対象となる。関連研究所、生産工場、育成技術も買収対象。関連研究開発部門等、米国、ドイツ、ブラジル、カナダ、ベルギーを始めとする社員1,800人もバイエルからBASFに移る。 【参照ページ】BASF signs agreement to acquire significant parts of Bayer’s seed and non-selective herbicide businesses 【参照ページ】Bayer signs agreement to sell selected Crop Science businesses to BASF for EUR 5.9 billion

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【国際】WBCSDとEAT、持続可能な食品業界のための新イニシアチブ「FReSH」発足。世界25社が参加

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 持続可能な開発を目指すグローバル企業ら約200社で構成されるWBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)とスウェーデンのNGO等3団体が2016年3月に立ち上げた食品に関する財団「EAT Foundation」は1月19日、世界経済フォーラム年次総会(通称、ダボス会議)の場で、世界の食糧危機に立ち向かう新たなイニシアチブ「FReSH(Food Reform for Sustainability and Health program)」を発足したと発表した。すでに企業25社からの参加が集まっている。  参加企業は、食品世界大手ダノン、ネスレ、ケロッグ、ペプシコ、ユニリーバ、化学世界大手バイエル、デュポン、DSM、シンジェンタ、エボニック、ソルベイ、戦略コンサルティング世界大手BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)、IT世界大手グーグル、タイ食品大手チャロン・ポカパン(CP)グループ、メキシコの食品加工Sigma Alimentos、ノルウェーのサーモン養殖加工大手Cermaq、香料メーカー世界大手スイスのジボダン、スイスの香料メーカー・フィルメニッヒ、オランダ乳製品メーカーのフリースラントカンピーナ、デンマーク乳製品メーカーのアーラ・フーズ、窒素肥料世界最大手ノルウェーのヤラ・インターナショナル、環境・社会・労働安全衛生コンサルティングの英ERM、環境ライフサイクルアセスメントのスイスQuantis、オランダの農業金融機関ラボバンク、オランダの新興プロテインメーカーPROTIXの25社。  FReSHは、食品サプライチェーンのほぼ100%が民間セクターで構成されていることを背景に、民間企業が中心となり、科学、研究機関、政府、NGOらと協働しながら、食品業界をより持続可能なものにしていくことを目的としている。発足にあたり、5つの主な活動を設定した。 健康的で持続可能な食に関するガイドラインの策定 健康的で持続可能な食を実現するための新たな食品生産方式の提案 健康的で持続可能な食への需要を増やすための消費者向けの活動 食糧調達方法の見直しと食料廃棄の削減 食糧危機への取組の成果測定と報告  世界経済フォーラムも1月13日に、食品業界の未来を見据える報告書「Shaping the Future of Global Food Systems:A Scenarios Analysis」を発表。食への需要の変化の不確実性と、自由経済の不確実性という食品業界の2つの大きな課題を提起し、今後の社会について4つの異なる道筋(シナリオ)分析をまとめている。また、世界経済フォーラムが昨年4月に立ち上げたSDGs達成を目指すビジネス委員会(Business & Sustainable Development Commission)でも、すでにユニリーバなどの企業が取組を開始している。  食糧危機の問題解決に向けて、2030年までに年間2兆米ドル以上の事業機会が発生するとも言われており、FReSHは今後より具体的で包括的なアクションプランを作り上げていく。また同イニシアチブに集まる知見を活かし、食品業界におけるSDGs達成に向けたロードマップ作成も実施していく予定。 【参照ページ】25 leading global companies join together to accelerate transformational change in global food systems 【報告書】Shaping the Future of Global Food Systems:A Scenarios Analysis

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【アメリカ】バイエル、殺虫剤からの花蜂保護強化へ方針転換

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 ドイツ化学大手のバイエルは、広く使用されている同社の殺虫剤がミツバチやマルハナバチなど花蜂を含む花粉媒介昆虫に対して悪影響を及ぼしているとした米環境保護庁(EPA)の発表を過大評価だとして非難していたが、方針を改め、EPAの発表は科学的根拠に基づくとして花蜂保護の強化に向けて対処すると発表した。1月12日付英紙ガーディアンが報じている。  今回バイエルの方針転換の契機となったのは、EPAが1月初旬に公表した予備リスクアセスメントの内容だ。EPAは、世界中で多用されている殺虫剤の「イミダクロプリド」が一定の環境下ではミツバチを害しうるというアセスメント結果を公表した。花の蜜にイミダクロプリドが含まれており、昨年のミツバチコロニー(蜂群)の危機的減少に繋がった可能性があるとの結論を出している。  同アセスメントでは、柑橘類および綿花にもこれ以上のレベルでイミダクロプリドが含有されているのが確認されたが、じゃがいも、米、とうもろこしに関してはそれ程大きなリスクとはなっていなかった。そのため今後の課題としては、イミダクロプリドによって害された花蜂が他の植物と触れ合うことによるリスクの評価が行われることだ。  なお、EAPはイミダクロプリドの他にもクロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフランの3種のネオニコチノイド系が持つ影響に加えて、殺虫剤が花蜂だけでなく蝶や水棲昆虫等の生物に及ぼす影響について調査を始めており、結果は今年12月に公表予定だという。  しかし、環境活動家からは殺虫剤による花蜂への危害に関するEPAの対処は遅すぎるという非難の声も挙がっている。安全な食料確保に向けて活動している米国NPOの Center for Food Safetyは、養蜂業者や農業者と共にEAPに対して訴訟を起こしている。環境への影響に関する正確なアセスメントを実施しないまま、同国の1億5000万エーカーもの土地にネオニコチノイド系殺虫剤をまぶした種子(種子粉衣)を植えることをEPAが許可しているのがその理由だ。なお、この種子粉衣については、今回調査が行われておらず、EAPの対応が注目される。  米農務省が昨年公表した調査結果によると、2014年~2015年の1年間で、殺虫剤、生息地の消失、寄生虫や病害などが原因で蜂群は42%減少しているというデータもある。我々が口にする全ての食料品の3分の1が花粉 媒介昆虫に依存しているということを考えると、これは重要かつ危機的なサステナビリティ課題の一つだ。  昨年5月に科学雑誌Natureに発表された2本の論文でも、殺虫剤の使い過ぎで花蜂の数が減っていることが指摘されている。そのうち1本の論文では、花蜂はニコチンを含有するネオニコチノイド系殺虫剤に引き寄せられ、神経系に害を及ぼす食べ物を好む可能性があるとしている。  もう1本の論文では、ネオニコチノイド系クロチアニジンと非浸透性ピレスロイド系ベータシフルトリンの合成物であるEladoによるアブラナ種子の粉衣は、圃場の条件により、野生の花蜂の密度低下や個別の営巣活動の減少、マルハナバチのコロニー増殖と繁殖の抑制を引き起こすことが解明されたと記述している。  今回のEAPの発表そしてNatureの論文の他にも、近年、米国での花蜂の急速な減少に関する報告や論文が多数発表されている。求められているのは、殺虫剤をはじめとする化学物質の多様な環境下における生態系への影響を精査する、広範で詳細なデータの収集と開示だ。 【参照記事】Bayer revises position to propose extra protections for bees from pesticides 【参照記事】Wild bees on the decline in key US agricultural ecosystems – study 【参照記事】Bees prefer foods containing neonicotinoid pesticides Nature 521,74-76 07 May 2015 【参照記事】Seed coating with a neonicotinoid insecticide negatively affects wild bees Nature 521,77-80 07 May 2015 【参照記事】Colony Loss 2014-2015: Preliminary Results 【機関サイト】Environmental Protection Agency 【企業サイト】bayer (※写真提供:360b / Shutterstock.com)

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