【国際】150以上の企業・NGO、酸化型生分解性プラスチックの廃止を求める共同宣言発表

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 英エレン・マッカーサー財団が主導する「ニュー・プラスチック・エコノミー」は11月5日、酸化型生分解性プラスチックの廃止を求める共同宣言「Oxo statement」を発表した。欧米大手企業やNGOを中心にすでに150以上が共同宣言に署名した。「ニュー・プラスチック・エコノミー」は、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方に従い、企業、政府、NGO、学者、市民が一体となってプラスチック容器を循環可能なものにしていく取組を推進している。  酸化型生分解性プラスチックは、太陽の光や熱による酸化分解促進反応を利用し、自然環境で酸化崩壊、低分子化し、さらに微生物分解を用いることで分解できるプラスチックの総称。従来型のプラスチック素材である低密度ポリエチレン(LDPE)に化学物質を追加して生産される。廃棄プラスチックが自然環境で分解できるため、複数の国で利用促進が進んでいるが、最近の研究によると、分解が十分にできていないことが判明している。分解が途上で終わりバラバラになった素材がマイクロプラスチックとなり環境により悪影響を与えてしまうという。生分解可能プラスチックには、他に堆肥化環境で分解される加水分解型生分解性プラスチックがあるが、今回の話題の対象は酸化型生分解性プラスチック。  共同声明に署名した企業は、英蘭ユニリーバ、英マークス&スペンサー、米ペプシコ、独BASF、独ヘンケル、仏ヴェオリア、スイス・ネスレ、仏ダノン、仏ロレアル、国際NGO世界自然保護基金(WWF)、グリーンピース、Friends of the Earth(FoE)、欧州環境事務局(EEB)、China Zero Waste Alliance(零廃棄連盟)、国際自然保護連合(ICUN)生物技術エンジニア、元国連環境計画(UNEP)高官等の150以上の企業・団体。欧州議会議員10人や、欧米の大学研究者も署名に加わった。 【参照ページ】Over 150 organisations back call to ban oxo-degradable plastic packaging 【共同宣言】Oxo Statement

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【国際】世界カカオ財団と企業21社、コートジボワールとガーナの熱帯雨林保護・再生で協働

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 カカオ産業のサステナビリティ向上を目指す世界カカオ財団(WCF)は11月16日、気候変動枠組み条約ボン会議(COP23)の場で、新たなイニシアチブ「Frameworks for Action」の設立を発表した。世界のカカオの3分の2を生産するコートジボワールとガーナでカカオ栽培による熱帯雨林伐採を食い止め、国立公園を守る。熱帯雨林を保護することで大気中の二酸化炭素を固定化するにもつながり気候変動緩和にも貢献できる。  過去10年で、コートジボワールでは約210万ha(青森県と秋田県の足した面積)、ガーナでは82万ha(兵庫県の面積)の熱帯雨林が消失。その結果、コートジボワールではかつて国土の25%が熱帯雨林だったが、現在は4%未満にまで激減している。コートジボワールとガーナの熱帯雨林消失のうち4分の1がカカオ生産によるとものとみられている。カカオ生産により熱帯雨林破壊が進む背景には、現地のカカオ生産農家の間で、熱帯雨林を焼き払った土地でカカオを栽培したほうが実りが良いと信じられているという事情がある。 【参考】【西アフリカ】カカオ栽培により熱帯雨林が大規模消失。メーカー・流通企業の課題多い(2017年10月1日)  このままのペースで熱帯雨林破壊が進めばカカオ生産は持続可能でなくなってしまう。すると現地のカカオ農家の所得や雇用にも大きなダメージを与えることになる。そのため、熱帯雨林破壊を伴わない持続可能なカカオ栽培が、カカオを原料とするチョコレート産業を中心に大きな経営課題になっている。  今回のイニシアチブに参加するのは、チョコレート世界大手米マース、米モンデリーズ・インターナショナル、米ハーシー、米ギタード、米Blommer Chocolate Company、スイスのネスレ、スイスのバリーカレボー、ベルギーのゴディバ、伊フェレロ、仏Cemoi、デンマークのToms International、日本の明治、ニュージーランドのWhittaker's、カナダのCococo Chocolatiers、食品商社世界大手米ゼネラル・ミルズ、米カーギル・カカオ&チョコレート、シンガポールのオーラム・カカオ、スイスECOM Group、農業大手仏Touton、英小売大手セインズベリー、スイス育苗大手Tree Globalの21社。参加企業で世界のカカオ流通の80%以上を占める規模。  コートジボワールとガーナの両政府も、熱帯雨林地域の土地利用状況地図の更新やカカオ農家や地域社会の経済状況把握等、森林保護管理制度の向上をすでに開始している。今回のイニシアチブは、企業がカカオ流通の認証・モニタリング制度や衛星画像解析等を導入し、サプライチェーンの透明性を上げることで、政府の取組を後押しする。さらに政府と協働し、国レベルの透明性向上フレームワークなどの構築も支援していく。企業アクションの検討では、現地の農家やコミュニティと十分に対話していく方針も確認された。同時に企業はフレームワークに沿う具体的アクションの結果と進捗状況を毎年開示していくことでも合意した。  今回のフレームワークでは、「森林保護と再生」「持続可能なカカオ生産と農家の生活基盤整備」「コミュニティ・エンゲージメントと社会的インクルージョン」の3つを主なテーマとして掲げている。 森林保護と再生:国立公園や国立保護区の保護、都市部の緑地化、特にカカオ農家の侵入によって荒らされた森林保護区の再生 持続可能なカカオ生産と農家の生活基盤整備:持続可能なカカオ生産の集約化と生産性・農家の収入を増加させるための生産の多角化 コミュニティ・エンゲージメントと社会的インクルージョン:コミュニティ全体を巻き込み農家に社会的なセーフテティネットを提供 【参照ページ】Two-thirds of Global Cocoa Supply Agree on Actions to Eliminate Deforestation and Restore Forest Areas

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【スイス】ネスレ、2025年までに世界中で卵原料を全て「ケージフリー卵」へ切り替え

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 食品世界大手スイスのネスレは11月2日、世界中の食品商品に使用する卵を全て2025年までに「ケージフリー卵」にすると発表した。玉子商品の他、卵粉、液状卵等、全ての卵加工品を含む。動物福祉の一環。ケージフリー卵とは、ケージ飼いされていない鶏が産んだ卵のこと。  達成時期は地域毎に異なる。欧州や米国では2020年末までに達成。それ以外の地域では2025年末を目標とする。欧州等一部地域では、使用卵のうち40%がすでにケージフリー卵となっている。   ケージフリー卵への切替は、米ウォルマートや米マクドナルド、米セブン-イレブン等がすでに導入を決めている。 【参考】【アメリカ・カナダ】セブンイレブン、2025年までに玉子を全て「ケージフリー玉子」へ(2017年6月4日) 【参照ページ】Nestlé to source only cage-free eggs by 2025

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【アメリカ】コンシューマー・グッズ・フォーラム、「One for Good」キャンペーンを試験展開

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 主要食品・消費財メーカーや小売店が加盟する国際的な業界団体コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)は9月29日、健康的な食生活とライフスタイル支援する地域貢献プログラム「One for Good」の試験展開を、米メリーランド州・ヘイガーズタウンで実施すると発表した。参加企業の店舗やコミュニティ活動を通じて、市民に健康的な生活の重要性や方法を訴えていく。  今回のプログラム試験展開に参加するのは、食品大手キャンベルスープ、食品大手ダノン、食品大手ゼネラル・ミルズ、食品大手ケロッグ、食品大手モンデリーズ・インターナショナル、食品大手ネスレ、食品大手ペプシコ、消費財大手ジョンソン・エンド・ジョンソン、小売大手ウォルマート、小売大手ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、小売大手ターゲット、小売大手アホールド・デレーズ。同地域の官民連携ネットワーク「Healthy Washington County」も活動に協力する。  CGFは、消費者の健康やウェルビーイングに関する活動を実施しており、今回のプログラムもCGFのHealth & Wellness部門の取組。プログラムでは、第1ステップとして、「もう一つだけ健康的な選択」を市民に訴えていく。小売店では「One for Good」というロゴとメッセージを対象商品に貼付し、人々の意識を高める。またフェアやイベントも開催していく。 【参照ページ】New ‘One for Good’ Campaign Looks to Inspire Healthier Consumers

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【スイス】ネスプレッソ、コーヒー豆生産者のストーリーをシェアするキャンペーン開始

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 食品大手スイス・ネスレ子会社でカプセル式コーヒー専業のネスプレッソは9月12日、同社の高品質コーヒー豆を支えるコーヒー農家のストーリーを共有していくキャンペーンを開始した。同社のコーヒー豆調達では、独自の調達プログラム「Nespresso AAA Sustainable Quality Program」を設け、現地の生産農家と直接改善を行う取組を2003年から行っている。  コロンビアのハルディンでは、コーヒー農家が異なる豆の処理プロセスを実施しており、コーヒー豆の品質に大きなばらつきが出る課題を抱えていた。そこで同社は、プログラムを通じ、同地域の農業組合と協力し、コミュニティ・ミルという共同の処理施設を整備した。これにより、コーヒー農家は同じ処理施設を活用することで、豆の品質が安定するとともに、品質向上も実現できた。また、農家にとっても各自行っていた処理業務がなくなったことで、一日最大5時間労働時間を削減することもできた。  今回のキャンペーンでは、ハルディンの協同処理施設によって、具体的に各農家にもたらした効果を伝えている。ある農家は労働時間とコスト削減が実現できたことで、蝶が好きな息女は大学に通い、生物学を専攻することができた。また、別の農家では、家族と過ごす時間が増え、地域活動の消防団員としても活躍している。子息と釣りに行くのが趣味の農家は、川の清掃活動に精を出しているという。  ネスプレッソは、生産者のストーリーを共有していくことで、消費者が嗜むコーヒーの裏側の努力を理解していってもらえればと語っている。 【参照ページ】Meet Humberto, LuisMiguel and Esteban: some of the real farmers behind Nespresso's extraordinary coffees

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【国際】IBM、世界食品大手とブロックチェーンを用いた食品サプライチェーンシステム運用開始

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 IT世界大手IBMは8月22日、食品関連大手と協働で、ブロックチェーン技術を活用した食品サプライチェーンシステム検討のコンソーシアムを結成したと発表した。同コンソーシアムに参加する企業には、ウォルマート、ユニリーバ、ネスレ、タイソン・フーズ、ドール・フード・カンパニー、クローガー、マコーミック、Driscoll’s、Golden State Foods、McLane Company等、欧米を代表する食品関連企業も名を連ねた。  食品のサプライチェーンは、原材料から小売までの間にいくつもの国や企業を跨ぐことが多く、トレーサビリティが確立されていない。そのため、食品汚染や異物混入が発生し、大量の食品廃棄やリコール(商品回収)を引き起こしている。最近では、サルモネラ菌が検出されたパパイヤの農場を特定するのに2か月以上も要したという例もあるという。  同コンソーシアムに参加する企業は、IBMのブロックチェーン技術を活用した食品サプライチェーンシステムの運用を開始していく。これにより、サプライチェーン上のあらゆるトランザクションデータが一元的に管理できるようになる。また、従来食品サプライチェーンは、書類により流通が管理されており、記載ミスや意図的な改竄が発生しているが、人の手によるデータ改竄が難しいブロックチェーン技術により、データの信頼性も高めることができる。この手法を用いると、生産者から消費者にいたるまで、誰もが商品の生産元や加工元などの情報を得ることができるようになる。  IBMはこの他、花、不動産、教育、保険・医療サービス分野でもブロックチェーン技術を用いたサプライチェーン管理を展開していく。すでにIBMは、開発、運用、保守までを一貫して行える企業向けブロックチェーンプラットフォームの運用も行っている。 【参照ページ】IBM Announces Major Blockchain Collaboration with Dole, Driscoll’s, Golden State Foods, Kroger, McCormick and Company, McLane Company, Nestlé, Tyson Foods, Unilever and Walmart to Address Food Safety Worldwide

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【国際】マース、ネスレ、リンツ等チョコレート大手、商品カロリー削減で新たに協働

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 米食品大手のマースは5月11日、同じくチョコーレート事業を手掛けるスイスのネスレ、スイスのリンツ、イタリアのフェレロ、米Ferrara Candyと協働し、チョコレート菓子のカロリー削減を実現していく新たな取組を発表した。欧米では現在、国際的に深刻化する肥満症の問題に対する官民の関心が高まっており、とりわけ英国では政府が砂糖含有量のガイドラインを発表するまでになっている。今回の発表は、産業界が自ら率先して、肥満症という社会課題に米国で取り組んでいく姿勢を示したもの。米国健康NGOのPartnership for a Healthier America(PHA)もこの取組に参加する。  マースは、すでにカロリー問題には取組を進めており、商品パッケージへのカロリー表示、特大サイズ商品の販売中止、100カロリー商品の展開など、一定の健康への配慮を見せてきた。直近に市場投入した新商品「マース・キャラメル」と「MALTESERS」でも200カロリー以内に抑えることを実現している。マースは、今回、同業他社とさらにカロリー問題について業界をあげて協働をしていくことを宣言。さらに、同社が北米で展開してるチョコレートブランド「マース・チョコレート・ノース・アメリカ」と「リグレー(Wrigley)US」について、2億米ドルを投じ、2022年までに両ブランドの半分の商品で、商品当たりのカロリーを200以内に抑えることをコミットした。  業界全体との取り組みでは、マースが先陣を切って始めた特大サイズの販売停止を参加他社にも広げていく。マースは2013年までに、特大サイズの替わりに、小分けし再密封可能なパッケージに入れた商品を投入。消費者が一度に大きな商品を食べてしまわない効果を狙った。同社は、このような施策を他社にも紹介し、消費者のカロリー摂取量削減に取り組む。また、PHAとの協働を通じて、チョコレートの正しい健康知識や食べ方の普及も行っていく。  さらにマースは、チョコレート以外の食品を扱う「マース・フーズ」ブランドでも、健康志向食品のラインナップを増やしていくことを宣言した。この分野でも今後6年間PHAと協働する。  食品分野ではここ数年、原材料農園などの人権問題や、森林伐採など環境問題が世界的にクローズアップされてきたが、新たに消費者の健康も大きな問題になってきた。 【参照ページ】Mars Chocolate & Wrigley Lead Confectionery Industry Evolution with Partnership for a Healthier America, Ensuring More Choice & Transparency for Consumers

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【アメリカ】リサイクル表示ラベルのHow2Recycle、有力企業8社が参加表明。新たな業界標準に

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 米国でリサイクル可能製品の共通ラベルを推進している「How2Recycle」プログラムは4月19日、米大手企業のキャンベル・スープ・カンパニー、ネスレ・ウォーターズ・ノースアメリカ、ユニリーバ、ヘンケル、レキットベンキーザー、Ocean Spray、Church&Dwightの8社が新たに同プログラムに参加することを発表した。  How2Recycleプログラムは、米環境NGOのGreenblueが運営するプロジェクト「Sustainable Packaging Coalition」が展開するプログラム。米国では、従来数多くの団体が製品リサイクルマークを制定し複雑になっており、消費者にとってマークの統一が望まれていた。そこで、How2Recycleプログラムが2008年に立ち上がり、2012年までに統一ラベルを完成させた。同ラベルは企業の自発的参加を呼びかけており、すでに全米50社以上が参加している。とりわけ米小売最大手ウォルマートが同ラベルの活用を強く推進しており、今回有力企業8社がこの取組に参加することとなった。ウォルマートも、自社PB商品で2016年からHow2Recycleラベルの表示を始めた。  今回How2Recycleプログラムに参加した各社は、それぞれ多くの有名商品ブランドを展開している。今回同ラベルを表示する商品ブランドは、 ネスレ・ウォーターズ・ノースアメリカ:Poland Spring Deer Park、Nestlé Pure Life、Perrier、San Pellegrino、NESTEAの北米販売分 ヘンケル:Dial、Persil、Schwarzkopf、Kenra Professional、Right Guardブランドの北米販売分 Church&Dwight:Arm & Hammar、Nair、Orajel、Trojan、First Response各家庭用品ブランドの北米販売分 ユニリーバ:Degree、Hellmann’s、Dove、Ben&Jerry’s、Vaselineの北米販売分 レキットベンキーザーは、Lysol、Durex、Air Wick、Woolite、Mucinexブランドの北米販売分 キャンベル・スープ・カンパニー:Campbellの北米販売分(Plumブランドではすでに表示済) Ocean Spray:Ocean Sprayブランド商品  また、すでに同ラベル表示を始めているペプシコも、あらためてこの日同ラベルの推進を表明した。 【参照ページ】Campbell Soup Company, Church & Dwight, Henkel, Nestlé Waters North America, RB, Unilever, and Ocean Spray join How2Recycle® label program 【プログラム】How2Recycle 【プロジェクト】Sustainable Packaging Coalition 【機関サイト】Greenblue

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【国際】英皇太子、チョコレートメーカー世界大手を招集。森林破壊撲滅に向けた共同趣旨書発表

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 英国チャールズ皇太子は3月16日、世界カカオ基金(WCF)、Sustainable Trade Initiative(IDH)と共同で、チョコレート産業に関する国際会議をロンドンで開催した。チャールズ皇太子は、2004年にサステナビリティ情報開示の推進機関The Prince’s Accounting for Sustainability Project(A4S)を立ち上げ、国際統合報告評議会(IIRC)を2010年にの設立する際にも尽力するなど、この分野に非常に関心が高い。  ロンドンで開催された国際会議には、チョコレート世界大手のハーシーCEO、バリーカレボーCEO、マース社長、カーギル・ココア&チョコレート社長、オーラム・ココアCEO、ネスレのチョコレート部門グローバルヘッド、フェレロ執行役員、モンデリーズ副社長など12社の代表者が参加。共同で「カカオと森林イニシアチブ(The Cocoa and Forests Initiative)設立に関する共同趣旨書」を発表した。共同趣旨書には、企業、政府、市民社会が一体となってカカオ豆生産による森林破壊と森林減少を抑止することが謳われている。詳細な枠組みについては、今年後半にドイツ・ボンで開催されるCOP23で発表される。  共同趣旨書には、最初の注力地域として、コーボジボワールとガーナを挙げている。森林破壊の問題を論じる際には、最大の要因として家畜、特に大量の穀物を必要とする牛の飼育、パーム油、大豆、木材が挙げられる事が多い。しかし近年、チョコレートの世界的な需要拡大が、特にカカオ豆の最大の生産地であるコートジボワールとガーナにおいては、森林破壊の要因となっている。コートジボワールは、森林面積が半減しており、ガーナの熱帯雨林面積も当初の約4分の1にまで削減したと推計されている。チョコレート産業は年間で300万tのココア及びチョコレート製品を製造し市場規模は1,000億米ドルにも成長しているが、世界自然保護基金(WWF)やRainforest Rescue等のNGOは、今後チョコレート産業が土地管理を慎重にしなければ、長期にわたるカカオの収穫量減少リスクがあると警鐘を鳴らしている。  チョコレート業界では、以前はカカオ豆よりもパーム油と森林破壊の関連性が問題視されていた。2010年代初めには国際環境NGOグリーンピースはキットカット等人気のあるチョコレートのメーカーを激しく攻撃。以後、批判の対象となった企業は、パーム油の生産管理を強化し、数年後にはネスレやフェレロはグリーンピースから賞賛されるほどに改善された。そして続いて対象となってきているのがカカオ豆生産と森林破壊のつながりだ。  米食品大手のマ-スは、森林破壊を抑止するためにいくつかの対策を講じている。その1つはカカオ豆生産者と共に森林保全と持続可能な農業実践を併行しつつ、収穫量を増やすためのプログラム「森林複合経営(agroforestry)の展開。WWFはマ-スのこの取り組みを支援している。  クラフトフーズから分社化し、キャドバりー、ミルカ、トブラローネ等のブランドを有する米モンデリーズも、2012年からガーナ、コートジボワール、インドネシア、ドミニカ、インド、ブラジルの6ヶ国を対象として、独自の森林破壊抑止およびサステナビリティの促進プログラム「ココア・ライフ」を実践。2015年後半からは、コートジボワール政府がココア生産での森林破壊ゼロのために取り組んでいる国連主導の「REDD+」プログラムに参加するとともに、西アフリカ沿岸国で26,000の小規模カカオ豆生産者に対して森林破壊を伴わない生産性改善を指導している。  巨大な企業の寡占状態にあるパーム油生産とは異なり、カカオ豆生産は何百万という小規模農家が生産を担っている。そのため、カカオ豆生産現場の改善のためには、持続可能な農法、女性エンパワーメント、土地修復など幅広い目標を多くの関係者に伝えていく必要がある。カカオ豆に従事している労働者は、1日約1ドル米ドルで厳しい労働を強いられている人々も多く、人権や健康面での改善も重要となる。  今回の国際会議には、当事国であるコートジボワールやガーナの政府関係者も招集された。イニシアチブを進めるには、両国政府からの支援も必要だが、両国とも汚職などの問題も抱えている。国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナルが発表した2016年版の腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index)によると、176か国中、コートジボワールは108位、ガーナは70位。しかし、業界が長期的に生き残るには、腐敗の問題も克服しながら、生産現場の改善に努めていく他には選択肢はない。 【共同趣旨書】Collective Statement of Intent The Cocoa and Forests Initiative 【参考ページ】Mars, Nestlé, Mondelēz Pledge to End Deforestation in Cocoa Supply Chain 【参考ページ】世界カカオ豆需給推移:日本チョコレート・ココア協会 【参考ページ】Mars, Deforestation Prevention Policy 【参考ページ】Mondelez International to Lead Private Sector Action in Côte d'Ivoire's Program to Combat Deforestation 【参考ページ】Corruption Perceptions Index 2016

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【国際】WBCSDとEAT、持続可能な食品業界のための新イニシアチブ「FReSH」発足。世界25社が参加

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 持続可能な開発を目指すグローバル企業ら約200社で構成されるWBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)とスウェーデンのNGO等3団体が2016年3月に立ち上げた食品に関する財団「EAT Foundation」は1月19日、世界経済フォーラム年次総会(通称、ダボス会議)の場で、世界の食糧危機に立ち向かう新たなイニシアチブ「FReSH(Food Reform for Sustainability and Health program)」を発足したと発表した。すでに企業25社からの参加が集まっている。  参加企業は、食品世界大手ダノン、ネスレ、ケロッグ、ペプシコ、ユニリーバ、化学世界大手バイエル、デュポン、DSM、シンジェンタ、エボニック、ソルベイ、戦略コンサルティング世界大手BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)、IT世界大手グーグル、タイ食品大手チャロン・ポカパン(CP)グループ、メキシコの食品加工Sigma Alimentos、ノルウェーのサーモン養殖加工大手Cermaq、香料メーカー世界大手スイスのジボダン、スイスの香料メーカー・フィルメニッヒ、オランダ乳製品メーカーのフリースラントカンピーナ、デンマーク乳製品メーカーのアーラ・フーズ、窒素肥料世界最大手ノルウェーのヤラ・インターナショナル、環境・社会・労働安全衛生コンサルティングの英ERM、環境ライフサイクルアセスメントのスイスQuantis、オランダの農業金融機関ラボバンク、オランダの新興プロテインメーカーPROTIXの25社。  FReSHは、食品サプライチェーンのほぼ100%が民間セクターで構成されていることを背景に、民間企業が中心となり、科学、研究機関、政府、NGOらと協働しながら、食品業界をより持続可能なものにしていくことを目的としている。発足にあたり、5つの主な活動を設定した。 健康的で持続可能な食に関するガイドラインの策定 健康的で持続可能な食を実現するための新たな食品生産方式の提案 健康的で持続可能な食への需要を増やすための消費者向けの活動 食糧調達方法の見直しと食料廃棄の削減 食糧危機への取組の成果測定と報告  世界経済フォーラムも1月13日に、食品業界の未来を見据える報告書「Shaping the Future of Global Food Systems:A Scenarios Analysis」を発表。食への需要の変化の不確実性と、自由経済の不確実性という食品業界の2つの大きな課題を提起し、今後の社会について4つの異なる道筋(シナリオ)分析をまとめている。また、世界経済フォーラムが昨年4月に立ち上げたSDGs達成を目指すビジネス委員会(Business & Sustainable Development Commission)でも、すでにユニリーバなどの企業が取組を開始している。  食糧危機の問題解決に向けて、2030年までに年間2兆米ドル以上の事業機会が発生するとも言われており、FReSHは今後より具体的で包括的なアクションプランを作り上げていく。また同イニシアチブに集まる知見を活かし、食品業界におけるSDGs達成に向けたロードマップ作成も実施していく予定。 【参照ページ】25 leading global companies join together to accelerate transformational change in global food systems 【報告書】Shaping the Future of Global Food Systems:A Scenarios Analysis

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