【アメリカ】NIKE、人権派コリン・キャパニック元NFL選手を広告塔に起用。賛否分かれる

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 アパレル大手米NIKEは9月4日、米プロフットボールリーグ(NFL)のコリン・キャパニック元選手を同社ブランド「Just Do It」の広告塔として起用したと発表。そのことで、NIKEのスニーカーを燃やす行動や、米トランプ大統領がツイッター上で「NIKEは間違いなく、怒りと購買拒否によって殺される」と投稿する事態が発生している。  コリン・キャパニック氏は、名門チーム・フォーティナイナーズ(49ers)の元クオーターバック。アフリカ系国民に対する人種差別に抗議するため、一昨年前に試合前の国歌斉唱時に地面に膝をつける行為「taking a knee(テイキング・ア・二ー)」を開始。他のアフリカ系国民にも広がりを見せ、コリン氏は人権活動家としての名を上げてきた。通常、米国では国歌斉唱時に起立することが推奨される。これについてトランプ大統領は、「国旗に対して無礼だ。クビにしろ」とツイートし、米国民の間でも「国家の侮辱」とする声が上がっていた。  今回のNIKEの意思決定について、意図的に実施したのではという意見も多い。コリン氏に対しては、社会の空気に承服しない態度や、自分の意思を貫く行為等が、米国の若者世代の間で共感が強い。そのため、コリン氏のマーケティング起用が発表された後、一部若者の中ではNIKEの商品を敢えて買いにいくという現象も置きているという。

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【アメリカ】NIKE、再生素材を一部活用した製品割合が75%に到達。綿調達も大きく改善

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 世界的にサーキュラーエコノミーへの関心が高まる中、アパレル世界大手米NIKEはすでに全製品のうち75%で再生素材が活用している。NIKEが今年5月に発表したサステナビリティ報告書「FY16/17 Sustainable Business Report」の中で明らかにした。  再生素材を多く活用している部材は、服や靴用途の化学繊維、服の縁取り(トリム)、靴のソール。化学繊維ではペットボトルのリサイクル素材を使用。トリムには靴底のクッション材(エアバッグ)をリサイクルして使用し、回収したソールは一度粉砕して再利用している。  その他NIKEは、使用量の多い5つの原料の調達状況を公表。最も量の多いポリエステルでは2015年度からリサイクル素材利用率14%をキープしている。NIKEの再生ポリエステル利用量は業界最多で、背景には1979年に開発したナイキの「エアユニット」技術がある。NIKE Airで知られるエアユニットは、2枚の熱可塑性ポリウレタン(TPU)の中に空気を入れた素材。エアユニットの生産では、再生ポリエステル利用率が2008年からの累積でも50%を超えており、今後さらに技術開発し割合を増やしていく考え。  また、箱詰め等に使用されるボール紙や用紙のリサイクル素材使用率が84%を維持している。一方、EVA樹脂(エチレン酢酸ビニル共重合体)は再生素材利用率が1%未満の上、年々使用量が増加していた。綿については、ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)認証取得原料の利用率が2年前の17%から46%にまで向上。加えてその他のオーガニック・コットンも8%を占め、再生コットンも0.1%強ある。綿調達は2020年までに、BCI、オーガニック、再生素材で100%にする予定。ゴム素材については、再生ゴム利用率が2年前の89%から98%に上がった。 【参照ページ】DID YOU KNOW 75% OF ALL NIKE PRODUCT CONTAINS RECYCLED MATERIAL? 【報告書】FY16/17 Sustainable Business Report

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【アメリカ】NIKE、使用済シューズをリサイクルするためのアイデアを公募

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 アパレル世界大手米NIKEは2月27日、使用済商品リサイクルを進展させるための公募プログラム「Nike Circular Innovation Challenge」を発表した。同社が回収したシューズ新たな再利用先に関する「Design Nike Grind」と、使用済シューズを原材料を還元させるための新技術に関する「Meterial Recovery」の2つについて広くアイデアを募る。同プログラムは、NIKEのサーキュラーエコノミーへの取組の一環。「Design Nike Grind」ではOpenIDEO、「Meterial Recovery」ではNine Sigmaとパートナーシップを締結し、プログラムを運営する。  NIKEは、1990年に使用済シューズの自主回収プログラム「Reuse-a-Shoe」を開始。自社だけでなく他社のシューズも受け付け、これまでに3,000万足を回収した。回収されたシューズはリサイクル素材(同社はNike Grindと呼称)となり、これまでに運動場や公園の表面材として使用されている。「Design Nike Grind」では、Nike Grindの新たな有効活用アイデアを募集。優勝者には3万米ドル、最終選考に残った最大4者には5千米ドルが送られる。  一方、「Meterial Recovery」では、Nike Grindを原材料に還元するための技術アイデアを募集する。優勝者には5万米ドル、最終選考に残った最大5者には1万米ドルが送られる。  応募締切は5月1日。 【参照ページ】NIKE CIRCULAR INNOVATION CHALLENGE

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【アメリカ】ナイキなど企業・投資家365社、気候変動対策継続をトランプ次期政権に求める共同書簡送付

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 米国でビジネスを展開する企業、投資家、NGOなど365社は11月16日、米国政府に対し、気候変動枠組条約パリ協定の遵守と推進を求める公開書簡「Business Backs Low-Carbon USA」を送付した。公開書簡の宛先は、トランプ次期大統領、オバマ現大統領、米国連邦議会議員およびCOP22マラケシュ会議に集まった世界のリーダーたち。公開書簡の送付に加わっている米国企業(一部外国企業も含む)には、デュポン、HP、インテル、シュナイダー・エレクトロニック、ヒルトン、リーバイ・ストラウス、ナイキ、ギャップ、パタゴニア、バートン、スターバックス、ケロッグ、モンデリーズ、マーズ、ゼネラル・ミルズ、モンサント、ダノン、米国ロレアル、ユニリーバ、ティファニー、ヴァージン・グループ、eBay、セールスフォース、ハートフォード生命、ニューヨーク州退職年金基金、Calvert Investmentsなどがある。  公開書簡では、気候変動対策への歴史的取り組みであるパリ協定の支援継続と、世界レベルで今後数兆ドルの経済効果が見込まれる低炭素経済の推進を求めるほか、「低炭素経済の構築が失敗すれば、米国の繁栄はリスクにさらされるだろう」と警告している。さらに、トランプ次期大統領と次期政権幹部には特記事項として3項目を要請した。 米国の国別温室効果ガス削減目標の達成またはそれ以上の削減と将来の高い目標の設定 金融機関の意思決定に確実性を与え世界中の投資家の自信を加速させるため、国内外での国内外の低炭素経済への投資の実施 世界の2℃目標のための長期的方向性を維持するため、パリ協定への参加の継続  トランプ次期大統領がパリ協定からの離脱をちらつかせる中、米国企業や機関投資家からも危機感が募っている。トランプ氏は気候変動対策や環境対策は根拠がないでっちあげだという考えを選挙期間中に見せたが、世界の現場により近い状況を見ている企業からは、気候変動対策や環境対策を今進めなければ社会が大きなリスクを背負うという警告が出てきている。穀物メジャーのゼネラル・ミルズ、食品大手ユニリーバやダノンも共同書簡に加わっていることが、世界の現実を物語っている。 【参考】トランプ次期大統領就任後、米国の環境・気候変動政策はどうなるのか(2016年11月10日) 【参照ページ】Dear President-elect Trump, President Obama, Members of the US Congress, and Global Leaders at COP22 in Marrakech

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【アメリカ】NIKE、2020年サステナビリティ目標を発表。パリ協定2℃目標コミットへ

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 アパレル世界大手の米Nikeは5月11日、2014年と2015年の2年分のサステナビリティ報告書「Sustainable Business Report」を公表、2015年までの進捗状況を発表するとともに、2020年までの戦略目標を掲げた。戦略目標では、強化ポイントとして、(1)環境負荷の低減、(2)製造工程の変革、(3)人材の能力開発の3点を挙げた。  同社が報告書の中でまず、2015年までの達成状況を発表した。 売上52%増加する一方で、商品単位の二酸化炭素排出量を18%削減 染色・仕上げ工程での水消費量を商品単位18%削減、靴製造工程での水消費量を43%削減 86%の契約工場が同社独自の労働慣行調達基準においてブロンズ以上を獲得 新発売靴のうち98%が同社独自の環境調達基準でシルバー以上、新発売衣料では80%がブロンズ以上を獲得 契約靴工場廃棄物のうち埋立される割合を8%に削減  同社は、今後のサステナビリティ目標を立てるにあたり、昨年12月に国際合意に至ったパリ協定での2℃目標を強く意識。同社がこれまで設定してきた環境改善のペースでは2℃目標の次元には至らないと分析、より大きな投資を実施し2℃目標にコミットメントすることを表明した。同時に、サプライチェーンにおける労働慣行の改善も強化する。同社は靴や衣料品の生産を外部工場に委託しているが、委託先の労働慣行改善を目標に掲げた。さらに、同社内部の従業員政策やコミュニティ投資も実施していく。報告書の中では、これら3分野における2020年までの戦略目標を公開した。 (1)環境フットプリント    ・製品分野全体で10%の環境フットプリントを削減する    ・コットン調達100%を持続可能な調達にする    ・2025年までの再生可能エネルギー100%事業運営に向け、主要事業分野で25%のCO2削減    ・染色・仕上げ工程で35%のCO2削減    ・契約靴工場からの埋立廃棄物を0%に削減する    ・契約工場での有害化学物質(ZDHC)の排出をゼロにする (2)労働サプライチェーン    ・100%の契約工場が同社独自の労働慣行調達基準においてブロンズ以上を獲得する    ・契約工場従業員の待遇改善のため新たな報酬制度モデルを開発する    ・労働環境改善のためのパートナーシップの設立 (3)人間社会    ・ダイバーシティの向上、従業員福利の向上    ・税引前利益の1.5%をコミュニティ投資に回す (出所)Nike 2016 Sustainable Business Report  Nikeのサプライチェーン全体のフットプリントとしては、依然、コットンなどの原材料生産と加工時および製品そのものの利用時が大きい。もちろん、原材料生産や製品利用は、狭義の意味では同社自身の活動の範疇外だ。しかしながら、Nikeはサプライチェーン全体を視野に入れた対策を採る先進的な姿勢を示しており、高く評価できる。今回、同社は2020年までにコットンの持続可能調達割合を100%にまで上げる目標を掲げたが、今後の削減可能分野はこれらをどう対策していくかにありそうだ。 【報告書】Nike 2016 Sustainable Business Report

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【ランキング】BrandZ「最も価値のあるグローバルブランド トップ100」に学ぶ業界別の代表的サステナビリティ

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 市場において競争に勝ち抜いていくための競争。マーケティングの権威と言われるマイケル・ポーター・ハーバードビジネススクール教授は、競争戦略の基本として、コストリーダーシップと差別化を提唱し、その概念は今や広くビジネス界に浸透しています。差別化とは、提供する財・サービスを他社のそれとにはない「付加価値」をつけるということ。企業が多種多様な「付加価値」を提供することで競争力を獲得しようとしています。この「付加価値」のあり方は様々です。価格や製品・サービス特性という付加価値もあれば、温室効果ガス排出量が少ないなどといった環境配慮型の経営方針も、一つの付加価値と言えます。  サステナビリティと付加価値。植林活動などがサステナビリティの代表事例だと思われていた時代には、両者は無関係だと思われていましたが、今やこの二つは密接に結びついてきています。事実、サステナビリティ戦略の目的を「付加価値の獲得」としている企業は多く、その戦略の策定に「クライアント・消費者」が最も影響を及ぼしていると認識されていることが、EY新日本サステナビリティ社とGreenzbiz社の合同調査によって明らかにされています。  「消費者」からの視点から、世界のブランドをランキングした代表的なものに、Millward Brown社が発表している“BrandZ Top100 Most Valuable Global Brands (最も価値のあるグローバルブランド トップ100)”があります。世界中の企業のブランド力を定量化しランキングにしたものであるため、マーケティング専門家の間では広く認知されています。今回はこのランキングで上位に入った企業がどのようにサステナビリティ戦略と「付加価値」を結びつけようとしているのか、その実態に迫ります。 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成) BrandZ 業界別上位企業とその対応 アパレル 自動車 ラグジュアリー トイレタリー 小売 ビール ファストフード ソフトドリンク 金融(銀行・保険) 石油・ガス テクノロジー 通信 アパレル (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者にとって情報を得るチャネルは、店舗だけでなくオンライン検索にまで拡大しました。消費者は、かつてないほどの膨大な情報を収集し、数ある商品の中から自分が最も価値を感じるものを選ぶようになってきています。上位を獲得した企業は、自らが選ばれるための付加価値のひとつとして、サステナビリティの分野でも凌ぎを削っています。  アパレル業界の主なサステナビリティ戦略は大きく分けて2つです。 サプライチェーンの改善 衣服に使われる資源のサステナビリティ向上  例えば、サプライチェーン改善のために、ナイキはサステナビリティの分野への関心が高く、長期的良好関係を築けるサプライヤーに調達先を限定しています。また、H&MはILO(国際労働機関)の定める国際労働基準および国連児童権利条約に基づいてCode of Conductを作成し、日々サプライヤー工場を訪問し、親密な関係を構築しています。(※1)さらに、これら2社だけでなくユニクロブランドを持つファーストリテイリングも2020年までに自社製品の製造工程すべてにおいて有害化科学物質を全廃することを約束しており、サプライチェーン改善に取り組んでいます。(※2)  資源のサステナビリティ向上の分野では、H&MはBetter Cotton Initiative(コットンのサステナビリティ向上に取り組む国際NPO)の活動に積極的に取り組んでいます。同社は2010年時点でオーガニックコットンを世界で最も多く利用した企業となり、2020年までに持続可能なコットンの調達を100%にするという目標を掲げています。2013年時点での進捗は15.8%で、毎年着実に比率を高めています。  ナイキのCSO(最高サステナビリティ責任者)・H&M担当社へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】ナイキが語る「サステナビリティ」と「イノベーション」 【スウェーデン】H&Mの考えるサステナビリティとファッション 自動車 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  自動車の売上高は、米国や中国では好調なものの、ヨーロッパの経済低迷が尾を引き、不況前の水準には戻っていません。また、各自動車の製品クオリティは全体的に向上している一方、ブランドとしての差別化は徐々に難しくなってきています。  自動車業界の主なサステナビリティ活動は大きく分けて2つです。 製品性能の改善 サプライチェーンの改善  現在、自動車メーカー各社は、エンジンの性能の向上に努めており、稼働効率や温室効果ガス排出量ともに以前と比べ改善されてきています。しかしながら、排ガス規制や燃費向上に関する規制は年々厳しくなっており、製造工程も含めたサプライチェーン全体での取組が求められるなど、社会からの要求レベルは上がっています。実際、気候変動対策の情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPが発表している報告書では、(1)自動車の走行中の温室効果ガス排出量、(2)次世代車両技術への取り組み、(3)製造時の温室効果ガス排出量 の3つの基準で各社が評価付けされています。(※3)  また、自動車メーカーにおけるサプライチェーン改善には、製造工程で発生する温室効果ガスの削減だけでなく、サプライチェーン上の人権問題も関わります。例えば、トヨタやフォードはガイドライン(The Automotive Industry Guiding Principles to Enhance Sustainability in the Supply Chain)を策定しています。同ガイドラインはサプライチェーン全体を通じて、社会、環境面の改善に取り組み、持続可能な形で成長を実現していくという高い基準のコミットメントを明確に示しており、特に倫理・環境・人権・労働に焦点が当てられています。(※4)  自動車業界各社が上記のような活動を行う中、特にBMWはBrandZの自動車業界で2位にランクインするだけでなく、ダボス会議で発表されている「世界で最も持続可能性のある企業100」でも総合6位を獲得するなど、サステナビリティの分野においても先進的企業だといえます。活動内容としては前述のものに加えて、ドイツのハンブルグ市の交通インフラに関するサステナビリティ向上プロジェクト(※5)や、アルミニウムのバリューチェーン全体におけるサステナビリティ向上を目的とする国際イニシアチブなどに参画しており(※6)、自社の事業に関わるサステナビリティ分野で広くリーダーシップを発揮していることが伺えます。 ラグジュアリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  ラグジュアリー業界は中国やブラジル、ロシアなどの景気停滞を受けて、ほとんどのブランドがブランド価値を下げる結果となりました。特に中国の影響は大きく、売上の1/3をアジア・パシフィック地域が占めているプラダなどは前年比で大きく収益やブランド価値を下げています。  さらに、ミレニアル世代はラグジュアリーブランドを「高い」と感じており、謙虚でサステナブルな生活を望む彼らのニーズに合致しづらくもなっています。MSL Groupの調査結果によると、ミレニアル世代の多くは、企業に対し消費者が社会的な課題に関われるようにしてくれることを望んでいることがわかっています。  ラグジュアリーブランドが全ての客層をターゲットにしているわけではないとはいえ、ミレニアル世代の経済圏は決して無視できるものではなく、サステナビリティ活動が新たな活路になることも考えられます。  そのようなラグジュアリー業界において、中心となっているサステナビリティ活動はサプライチェーンの改善です。例えば、グッチを抱えるファッション・コングロマリットのケリングは、自社およびグループ全体のサプライチェーンにおける環境への影響を計測し、金銭的な価値に置き換える自然資本会計を導入しています。(※7)それにより事業活動に対する理解を深め、環境負荷を減らすだけでなく原材料の調達リスクを含めたサプライチェーンの変化に対応することを可能にしています。  他にもジュエリーを取り扱うティファニーは、CSO(最高サステナビリティ責任者)を設置するだけでなく(※8)、ダイヤモンド産出国への積極的な投資によりサプライチェーンの健全性を維持する傍らで現地雇用の創出、スキルトレーニングなどを通じて地域経済にも貢献しています。同社はジュエリー業界の中でも珍しくダイヤモンドや貴金属を供給する鉱山の多くと直接取引を行っており、2013年には100%のダイヤモンド原石の調達を自社の目が行き届く採掘場所から行うことを実現しました。(※9)  一方で、ルイヴィトンをはじめ数多くのラグジュアリーブランドを抱えるLVMHグループやエルメスは、大手アパレル企業がサプライチェーン上で講じている有害物質除去・水質汚染対策の取り組み状況を評価した、グリーンピース・イースト・アジア公表のオンラインプラットフォーム「Detox Catwalk」で、コミットメント不足という評価をされてしまっています。(※10) トイレタリー (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  トイレタリー業界のグローバル大手は、製品性能そのものだけでなく、消費者および従業員の幸福といったサステナビリティ活動に本格的に取り組み始めています。  この理由は消費者の目が成熟してきていること、ミレニアル世代の存在、ソーシャルメディアの影響力の高まり等様々ですが、より崇高なビジョンを掲げることが製品の差別化に繋がっていると言えるでしょう。  そのためブランド各社、これまで理想像とされてきた美ではなく、健康やナチュラルさ、内なる美などを強調するようにもなってきています。消費者の選択性が強くなっていることや中国・ブラジルの成長鈍化などを受け、業界全体のブランド価値は昨年比2%しか伸びていませんが、消費者の目が成熟していることはサステナビリティ展開の追い風となると言えるでしょう。  トイレタリー業界は市場ニーズも相まってサステナビリティ活動が多岐にわたっています。 サプライチェーン改善 ダイバーシティの尊重 再生可能な原料の利用 再生可能エネルギーの利用 温室効果ガス削減 サーキュラーエコノミーの推進(廃棄物ゼロ&リサイクル) コミュニティ支援  例えば、ロレアルはSharing beauty with allというプロジェクトを実施し、全サプライヤーを社会・環境面での実績で評価することを宣言。結果として2014年末には2004年比で57%ものCO2削減に成功しています。また同プロジェクトでは再生可能エネルギーにも取り組んでおり、2020年の目標達成に向けて邁進しています。(※11)また、障がい者採用も積極的に行っており、社会に対して新たな機会を創出しています。(※12)CSR担当者向けITツールも積極導入しサステナビリティレポート作成に取り組んでいます。(※13)  「ダブ」ブランドの商品を持つユニリーバは、サステナビリティ戦略を積極展開していることで世界的に有名です。2010年にUnilever Sustainable Living Planというプロジェクトを開始、2020年までにビジネス規模を2倍にしながら環境負荷を減らし、社会にポジティブインパクトをもたらすことを目指しています。その達成に向けて同社は、サプライヤーやコミュニティの支援、貧困の撲滅に取り組むべくNGOと協力し気候変動への対応を呼びかけるキャンペーンや、リサイクル促進のために消費者家族に向けたキャンペーンを展開しています。  2015年現在、ユニリーバが調達する農作物原材料の55%以上は持続可能な形で調達されており、2020年までに100%持続可能な調達を実現するという目標を半分以上到達しています。さらに、同社は工場ネットワーク全体で非有害廃棄物の埋め立てをゼロにするという目標を達成したほか、2008年と比較して製造時にエネルギーから生まれるCO2排出量と水消費量をそれぞれ1トンあたり37%、32%削減することにも成功しています。(※14)  こうした試みもあって、サステナビリティ分野のアドボカシーNPOのセリーズが5月に発表した大手食品会社らの水リスク対応力を評価したランキングでユニリーバは1位を獲得したほか(※15)、国際NGOのオックスファムが3月に公表した大手食品・飲料企業10社の食糧課題・サステナビリティへの取り組み状況を評価したランキングにおいても1位、サステナビリティ分野のコンサルティング企業のSustainly社に公表した「ソーシャルメディア・サステナビリティ・インデックス」でも1位を獲得しています。(※16)  ユニリーバが全業界的に先進的であるために、同業者でサステナビリティ活動に遅れをとっている企業は何から始めればいいかを戸惑うかもしれません。そういった場合、まずはサプライチェーンの改善から取り組むべきだと言えます。サプライチェーンの見直しは、リスク管理になるだけでなく業務効率の向上も期待できるため、部門を超えて理解が得やすく、また数値的な効果も比較的見えやすいからです。  ユニリーバCEO、副社長そして、「ニベア」ブランドを持つバイヤスドルフ社のCorporate Communications & Sustainabilityを統括する副社長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【イギリス】ユニリーバのCEOが語るサステナビリティへのコミットメント 【イギリス】サステナビリティ目標の達成に向けてユニリーバが導入した新たな仕組みとは? 【ドイツ】世界を代表するスキンケアブランド「NIVEA(ニベア)」を支えるサステナビリティ戦略 小売 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  Alibabaの登場により、業界全体のブランド価値が急成長しているのが小売業界です。興味深いことに業界トップを走る二社はどちらもeコマースであり、実店舗を持っている企業ではありません。以前は価格、選択の幅、利便性のそれぞれがトレードオフであったものの、現在はこれらのeコマースを通し全ての便益を享受できるようになりました。来る高齢社会に向けてeコマースの存在は必要不可欠なものとなっていくでしょう。  小売業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 再生可能エネルギーの利用 再生可能な材料の利用 サプライチェーン改善  たとえば、アマゾンは国際NGOのGreenpeaceによる抗議活動を受けて、昨年11月にクラウドサービス部門、AWS(Amazon Web Service:アマゾン・ウェブ・サービス)に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達するという誓約を発表し、大きな一歩を踏み出しました。(※17)しかし、その透明性については疑問視されており、風力発電によって生み出された100メガワットの電力を購入する計画を発表したものの、AWSがいまだ再生可能エネルギー比率が2%しかなく、これからの取組みに期待が寄せられます。(※18)  他にも、サステナビリティ先進企業として知られるIKEAは、自社および自社製品のサステナビリティ向上を通じて消費者の毎日の生活をより持続可能なものにするというビジョンの下、再生可能エネルギー投資を加速しており、その具現化が進んでいます。(※19) また同社は、LED技術を活用した省エネの追求やリサイクル可能な材料を利用することで、自社製品のサステナビリティを担保しつつ、手頃な価格を維持しています。(※20)  同じく実店舗を保有するウォルマートも、サプライヤーと協働によりサステナブル素材でできた商品の開発をしています。(※21)それだけにとどまらず、3月にサステナブルな商品だけを集めたオンラインショップを開設し、より一層の意気込みを見せています。(※22) ウォルマート会長へのインタビューの詳細は以下をご覧ください 【アメリカ】「消費者はサステナビリティのためにより多くを支払うか?」に対するウォルマート会長の答え ビール (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国と南米の消費量の増大により、消費者からのブランド価値が向上しています。ミレニアル世代はビールの味において、間違いのないものよりも新感覚を欲しており、ビールメーカー各社はブランド内の商品ラインナップの拡充や、他社買収・ブランド開発による新ブランドの確立などの対応を迫られています。  それぞれのビールブランドには固有のアイデンティティーがありますが、時折クラフトビールの方がメジャーブランド以上に巧みなストーリーテリングでアイデンティティーの確立に成功しています。  そういったストーリーテリングとしての役割をも果たすのがサステナビリティ活動です。ビール業界が主に展開しているのは次の2つです。 サプライチェーンの改善 水の利用効率の改善  例えばハイネケンはストーリーテリングを通して同社のサステナビリティに対する取り組みをより多くの消費者に知ってもらおうと、ソーシャルメディアなどを活用したユニークなデジタルキャンペーンを展開しています。同社は2020年までに主要な原材料の50%を持続可能な調達にすることを宣言しているほか、新興国の水のサステナビリティに向けてUNIDO(国連工業開発機関)と協働で解決に取り組んでいます。(※23) 実際にハイネケンが行っているストーリーテリングの詳細は以下をご覧ください 【オランダ】ハイネケンが仕掛けるユニークなデジタル・サステナビリティ・ストーリーテリング ファストフード (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  マクドナルドの事件を受け、食の安全への関心が一層の高まりを見せています。ヘルシーかどうか、サプライチェーンは倫理的か、環境への責任を考えているか、そういった関心ある消費者にとってファストフードは不充分だと感じられてきています。  消費者の期待に応えるため、ファストフード企業各社も材料の調達からメニュー、店舗での経験価値を検討し直しています。ファストフード業界の主なサステナビリティ活動は次の3つです。 サプライチェーンの改善 コミュニティ支援 ダイバーシティ  例えば、食の安全性に関する事件に揺れたマクドナルドは、今年3月に抗生物質を使用していない鶏肉のみの調達、rbSTと呼ばれる人工成長ホルモンが投与されていない牛の低脂肪ホワイトミルクと無脂肪チョコレートミルクを提供など、原材調達に関する新たな方針を発表しています。(※24)  他にもスターバックスは、CSRを単独の行動ではなく企業のDNAそのものとしており、水不足に対処するため水の供給源をカリフォルニア州からペンシルヴァニア州に変更するなど節水に取り組んでいます。(※25)また恵まれない若者を対象に就業プログラムを提供するなど地域コミュニティにも貢献しています。  ダイバーシティに関しても退役軍人を採用するだけでなく、アメリカ国内で白人警官による黒人射殺事件が発生した際には、顧客に手渡すカップに “Race Together”というメッセージを書き、消費者間における人種問題についての会話を促すキャンペーンも実施しています。(※26)  さらに、対内的には従業員の学位取得プログラムの学費の全額をスターバックス社が負担するなど従業員にも細やかな対応が見られます。(※27) ソフトドリンク (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  消費者が人工甘味料を避けるようになり、ダイエットコークやエナジードリンクの消費量はあまり増えていません。長きにわたりコーラが人気であった中国やインド、メキシコ市場にも健康や肥満への問題認識が高まってきています。市場ニーズに応え、メジャーブランドは商品ラインナップの拡充や製品工場の見直し、生産工程におけるカーボンニュートラルなどに取り組み始めています。  ソフトドリンク業界が主に行っているサステナビリティ活動は次の2つです。 水の利用効率の改善 コミュニティ支援  たとえば最大手のコカ・コーラは2020年までの水資源保護目標を掲げ、進捗状況を公開しています。(※28)同社は世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを締結し、この水資源保護にグローバルに取り組んでいます。(※29)  また同社の持つロジスティクスを活かし、「100万人の就学児童に安全な飲料水を届ける」というプロジェクトも展開。(※30)それだけでなく医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」をも展開し地域コミュニティの支援にも貢献しています。  さらに技術革新により世界初の100%植物性由来のペットボトルを開発することにも成功し、環境・社会面への正の影響の向上、食品の安全性に対する悪影響の回避というコカ・コーラの基本原則の下、強固なブランドを築き上げています。(※31)  コカ・コーラの地域コミュニティ支援の詳細は以下をご覧ください 【アフリカ】コカ・コーラ、アフリカで医薬品を供給する「ラストマイル・プロジェクト」を10ヶ国へ拡大 【アラブ首長国連邦】1ヶ月で200万人が視聴。コカコーラが始めた新キャンペーン”Hello Happiness” 金融(銀行・保険) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  グローバルに展開する銀行は、世界を不況に陥れたことが明らかになり、依然として社会から厳しい目で見られています。他方、ローカルに展開する銀行は、世界的な金融危機の際に、悪事に加担していないとみられたことからグローバルバンクと比べて社会的信用力が高いとされており、現在業界全体での成長性はローカル銀行の方が高くなっています。  また、保険業界は、提供するサービスのコモディティ化を避ける取り組みを展開しています。また、中国では生命保険は急成長している業態で、中国の保険会社らが牽引し業界全体での成長率は高くなっています。  金融業界が長期的な視点に基づく投資として主に取り組んでいるサステナビリティ活動は以下の3つです。 ESG投資 グリーンボンド リスク管理  ESG投資としてはUNPRI(国連投資原則)に署名し、今まで特殊な資産運形態とみなされていたESGを、通常のアセット運用でもリスク管理のひとつに加えていく動きが加速しています。また、気候変動の原因となる温室効果ガスの主たる排出元セクターに対する投資を長期的な観点からリスクと認識し、再生可能エネルギーファンドへの出資も大きなトレンドです。  グリーンボンドの発行分野では、例えば、モルガン・スタンレーは昨年10億円規模のグリーンボンド案件に関わるなどで貢献しています。(※32)  またリスク管理としては、ERP(統合リスク管理)やバーゼルⅢで検討されている銀行の資産健全性の強化などが挙げられます。  ESG投資に関する詳細は以下をご覧ください。 【金融】世界と日本のSRI・ESG投資最前線 石油・ガス (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  アメリカのシェールガス革命や中国の景気の減速を受けて原油価格が低下したため、上流ビジネスである石油の採掘は控えられるようになっています。このような事態を受けて業界各社は、比較的利益率の低い下流ビジネスの製油所やガソリンスタンドの見直しに注力する結果となりました。  資源が直接収益に繋がる石油・ガス業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動は温室効果ガス排出量の削減です。  たとえば英国エネルギー大手のBPは4月の年次総会で低炭素経済の実現に向けた事業の変革を促すための株主提案であるResolution 25を可決しました。この決議案の中には、温室効果ガス排出削減マネジメントによりCDPのパフォーマンスバンドでA評価を獲得することや、ポスト2035シナリオに向けたアセットポートフォリオのレジリエンス強化、低炭素エネルギーのR&Dや投資戦略策定などが含まれています。(※33) テクノロジー(消費者・法人向け) (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  テクノロジー業界は、競争と移り変わりが激しく、それぞれのブランドにとって消費者を安心させロイヤリティを高めることがより重要となってきます。BrandZ総合ランキングのトップ4は全てテクノロジー企業が占めており、その影響力の高さが伺えます。  テクノロジー業界はそれぞれの企業の提供しているサービスが多岐にわたりそれぞれの企業が強みを活かしたサステナビリティ活動を展開していますが、主なものは次の3つです。 サプライチェーン改善 再生可能エネルギー ビッグデータを活用したサステナビリティ活動のサポート  例えば、アップルはサプライヤー19カ国633施設での監査及び3万人の従業員に電話インタビューを実施し、サプライヤー規範に則したサプライヤーのみと契約を継続しています。実際2014年時点で規範に違反する18社との契約を解除しています。(※34)それだけでなく、同社は初めて有害物質のポリ塩化ビニル(PVC)と臭素化難燃剤(BFRs)を外部ケーブルも含む全製品から取り除いた企業でもあります。(※35)  また、同社は国際NGOのGreenpeaceの抗議活動を受けて再生可能エネルギーへの投資も行っており、太陽光発電所や再生可能エネルギー100%のデータセンターの建設などが進められています。(※36)アップルに並び業界を代表するグーグルも風力発電ファンドを組成し、再生可能エネルギーへの投資を進めており、グリーンインターネット化が推進されています。(※37)  SAPはToyota Info Technology Center USA、VeriFoneと共同でドライバーのガソリンスタンド探しをシンプルにするプロジェクトを推進し、無駄なエネルギー消費の削減に取り組んでいます。これら3社はそれぞれの技術を活かし、車両の位置やルート、燃料レベルなどの情報収集、POSソリューション、テレマティックスデータを統合しソリューションを提供しています。(※38)  IBMは食品大手のMarsと提携しグローバルサプライチェーンにおける食の安全の確保に取り組んでいます。(※39)同じく食に関わるものとしては農業のサステナビリティ向上のためにビッグデータ解析ソリューションを提供もしています。(※40)さらには、市民一人一人から寄付されたコンピュータの空き容量を集め、仮想スーパーコンピュータを創りだし、科学者に気候変動関連オープンデータ分析のために無料で提供するといったプロジェクトのコーディネートも行っており、自社の強みをサステナビリティに活かす好事例といえるでしょう。(※41)  これらテクノロジー企業を代表するアップルの環境イニシアチブ担当副社長、SAPのサステナビリティ責任者へのインタビューおよびオラクルのサステナビリティ戦略に興味のある方は以下をご覧ください。 【アメリカ】アップルはどのようにサステナビリティ先進企業になったのか? 【アメリカ】SAPのサステナビリティ責任者が語る、統合報告とサステナビリティ戦略 【アメリカ】オラクルのサステナビリティ戦略 通信 (Millward Brown社の発表を元にニューラル作成)  中国やインドでのスマートフォン利用者の拡大を受けて、通信業界では巨大市場を押さえるためのM&A等が進んでいます。またIoTへのインフラ投資といった将来への投資機会にも恵まれています。一方でインターネット・プロバイダーがネット回線での通話を可能にするなど新たな競合の参入という事態にも直面しています。  そのような通信業界が主に取り組んでいるサステナビリティ活動はエネルギー利用効率の改善です。  たとえばAT&Tはエネルギー効率化や省エネを目指しIoTを推進しています。しかし一方でIoTの進展は、電子廃棄物の増加という新たな問題を生むことを危惧されてもいるのも事実です。(※42)また同社は、ダイバーシティの促進に積極的なことでも知られ、ダイバーシティがビジネスにもたらす利益について周知することを目的とする組織DiversityIncからも、ダイバーシティへの取り組みに積極的な上位50社に選ばれ、見事トップ10入りを果たしています。(※43)  他にもVerizonはアメリカ国内において教育水準の低い24の地域の教師に対し、モバイル通信記述を活用した教育メソッドを提供し、地域コミュニティに貢献しています。(※44) 総論  今回のBrandZのランキングは中国の景気減速を示しつつも、中国企業の台頭を明確に示すものとなりました。市場のグローバル化に伴い、新興国企業がグローバル市場での新たなプレーヤーとして登場するなど、今後製品性能や価格戦略による差別化はますます厳しさを増していきます。  その中、BrandZに選定されている企業の投資パフォーマンスは2006年からの10年間で102.6%上昇しています。これはS&P 500の63%、MSCIの30.3%よりはるかに高く、消費者視点でのブランドがいかに企業にとって重要なものかを物語っています。  そのBrandZにランクインする各業界トップ企業のサステナビリティ戦略を参考にすることで、より現実的な路線でそれぞれの企業が自社の事業領域の中でどのように責任を負い、またその責任を全うするためにどのような行動をしていくべきかが見えてくるでしょう。

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2015/06/18 体系的に学ぶ

【アメリカ】ナイキが語る「サステナビリティ」と「イノベーション」

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今回ご紹介するのは、世界のサステナビリティ業界を代表するアドボカシーNGO、Ceresの25周年記念カンファレンスでの一幕。ナイキでCSO(最高サステナビリティ責任者)・イノベーション推進担当副社長を務めるHannah Jones氏へのインタビューだ。 ナイキというと1990年代に起こったNGOらによる不買運動を思い浮かべる方も多いかもしれないが、同社はその苦い経験をきっかけに積極的にサプライチェーン改善に取り組み、現在ではサステナビリティ先進企業として知られるようになった。 ナイキのサステナビリティを一手に担うのがHannah Jones氏だ。同氏は元々BBCラジオのソーシャル・アクション部門でレポーター、リサーチャーとしてキャリアをスタートし、その後に人種差別やAIDS・HIV 問題を扱うNGOを経て、コンサルタントとしてマイクロソフトのコミュニティ投資に携わった後、1998年にナイキに入社する。 ナイキでは中東・アフリカ地域におけるCSR担当役員として実績を積み重ね、現在では同社のサステナビリティ及びイノベーションを統括している。2009年にはWorld Economic ForumでYoung Global Leaderに選出されており、現在はCSR Europeの役員も務めているなど、ナイキのみならず世界のサステナビリティを牽引するリーダーの一人だ。 上記は非常に短いインタビューながら、ナイキのサステナビリティに対する考え方のエッセンスが詰まっている。ここでは、同氏が語るポイントを質問に合わせて簡潔にご紹介したい。 サステナビリティの向上に向けた動きがより早く、より広範に広まるためには、何が起こる必要があるか? Jone氏は、サステナビリティの推進には下記に挙げる3つのレバーを引く必要があると主張する。 Concept:サステナビリティを、企業のビジネスモデル、ガバナンス、経営陣の説明責任などの仕組みに統合するという考え方。ビジネスモデル構造の中でサステナビリティがしっかりと制度化されていることが重要。 Advocacy:政策、サステナブル経済への移行、正しい基準に基づく正しいインセンティブの必要性に向けたアドボカシー。企業の声をはっきり届ける必要がある。 Innovation:「サステナビリティ」とは「イノベーション」をただ異なる表現で言い換えたものに過ぎない。イノベーションによって、消費者、投資家、経営者を喜ばせる新たなソリューションを生み出し、未来に飛び込むことができる。 中でもJones氏が最も重点的に取り組んでいるのは3つ目のイノベーションだという。「サステナビリティ」とは「イノベーション」の言い換えに過ぎないという同氏の力強い言葉からは、ナイキがサステナビリティを新たなビジネスを創出する機会と捉えていることがよく分かる。 同社の核にあるのは「サステナブル・イノベーション」という考え方で、"We're making athletes faster, stronger and better - with less impact(我々は、より少ないインパクトで、アスリートをより早く、強く、よくする)”というコンセプトを掲げている。同社のサステナブル・イノベーションにおける取り組みはNIKE BETTER WORLDに紹介されている。 ナイキはどのようにサステナビリティを事業に統合しているのか? サステナビリティを事業にどのように統合するかはどの企業にとっても重要な課題だが、Jones氏が挙げるポイントをまとめると、大きく下記の2つに絞ることができる。 統合はトップから始まる ガバナンス、評価、報酬といった仕組みを通じて組織に浸透させる 同氏は、サステナビリティと事業の統合はトップから始まると語る。統合はリーダーシープのある経営陣からの合図と共に始まり、ナイキの場合はCorporate Responsibility and Sustainability Committee of the Board(企業責任・サステナビリティ委員会)がその役割を果たしているという。そしてサステナビリティは成長戦略の一部へと落とし込まれ、各事業のオーナーシップや説明責任、業績評価、インセンティブなどの仕組みに浸透していくという。 トップのリーダーシップでサステナビリティの概念が導入され、それをガバナンス、制度、評価などを通じて企業の細部構造にシステムとして組み込まれることが重要だというのが同氏の考えだ。 ナイキはどのように目標をサステナビリティに関連づけているのか? Jone氏は「自分の仕事の将来の価値は誰にも分からない」というサステナビリティ担当者にありがちな悩みに対し、「ほとんどのイノベーションもそれは同じだ」としたうえで、ナイキではサステナビリティの機能がイノベーションの機能と同様に推進されており、全てはステージゲート式で進んでいくと語る。 この話は「CSR=コスト」という考えに対する一つの反論としても有効だ。CSRに限らず、イノベーションを生み出すためのR&Dや、営業、マーケティング、採用など、企業活動の全ては必ずしも利益につながるとは限らない。どの取り組みにも失敗はつきものだし、やり方が悪ければ大きな損失につながることもある。CSR活動が利益につながるか、コストで終わるのかは「CSRそのもの」ではなく「どうやるか」にかかっているのだ。 また、同氏は短期・中期・長期の利益のバランスがとれた投資ポートフォリオを見つけ出す努力をしていると語り、サステナビリティはイノベーションと同様、あくまで「コスト」ではなく「投資」だという姿勢を強調する。 そして、同氏がナイキの一番の強みとして挙げるのが同社のカルチャーだ。ナイキにはもともとリスクを恐れないカルチャーが根付いており、イノベーションが同社の源泉となっている点を挙げている。 サステナビリティの推進に向けてナイキはどのようにサプライヤーと協働しているのか? Jones氏によれば、ナイキはサステナビリティを推進するために、サプライヤーの数を減らすという明確な調達戦略を進めてきたという。サプライヤーを限定することで、ナイキとサプライヤー工場のトップ同士がサステナビリティ戦略について対話することができ、 良好な長期的関係を築くことができるという。 また、ナイキでは独自のバランス・スコアカードを作成しており、このスコアカードにはコスト・品質・納期という一般的な3項目に加えて、環境への影響、労働者の人権などのサステナビリティ項目が含まれているという。サプライヤーは独立した第三者機関の監査により評価され、その評価に基づく罰則やインセンティブが用意されているとのことだ。 ナイキのサプライチェーンにおける取り組みは、ウェブサイトでも閲覧可能だ。例えば同社はサプライチェーンの透明性向上・情報開示を目的としてManufacturing Mapで全世界のサプライヤーリストを公開している。 まとめ 上記インタビューから伝わってくるのは、ナイキのサステナビリティの根底にある「イノベーション」という考え方だ。 同社のサステナビリティ活動には、環境・社会面への負荷をできる限り減らしながら、アスリートを支えるより優れたプロダクトを作り出すというミッションが貫かれており、そのためのイノベーションこそがナイキのサステナビリティの源泉となっている。 同社にとっての「リスク」は、管理するべき「危機」であると同時にナイキをさらに前進させるための「機会」でもある。リスクを恐れないという同社のカルチャーが、結果として世の中をよりよくする革新的なソリューションを生み出しているのだ。 ナイキのサステナビリティへの取り組みはウェブサイト上にも非常にスタイリッシュにまとめられているので、ぜひ下記も参考にして頂きたい。 【企業サイト】Nike 【参考ページ】Nike Sustainable Business 【参考ページ】Nike CR Report 【参考サイト】Ceres

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2014/09/10 最新ニュース
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