【アメリカ】グーグルとDeepMind、データセンター制御にAI活用でエネルギー消費量30%削減達成

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 IT世界大手米グーグルと同社子会社AI開発DeepMindは8月17日、グーグルのデータセンターでAIを活用した省エネについて進捗状況を発表した。DeepMindは2010年創業で、2014年にグーグルが買収。2016年から共同でデータセンター省エネプロジェクトを開始した。導入開始からわずか9ヶ月間でエネルギー消費量を約30%削減できた。  AIを活用した省エネプロジェクトでは、当初はAIが算出した提案を従業員にフィードバックする形で開始し、その方法でも12%の省エネを実現できていた。その後、AIが実データからの学習を通じ、直接冷却システムを制御する手法へと転換。結果、約30%までエネルギー消費量を削減できた。今後、さらに学習を続けることで、一層の省エネが実現できる見込みだという。 (出所)DeepMind  具体的な手法は、5分単位でクラウド上のAIが数千個のセンサーからデータセンターの冷却制御システム関連データを収集。それらデータを、ディープ・ニューラルネットワークを用いてデータの組み合わせから未来のエネルギー消費量を予測。数十億のアクション・パターンの中から安全性を担保した上でエネルギー消費量を必要最小限に抑えられるアクションを算出する。それをデータセンターの別のコントロールシステムが診断し、最終的に導入可否を判断している。これら一連の流れがコンピュータ制御されているが、いつでも手動モードに切り替えられるようにもしている。  グーグルは、DeepMind買収に4億米ドルを費やしたが、実現できた電気料金削減だけでもすでに大きなリターンとなっている。 【参照ページ】Safety-first AI for autonomous data centre cooling and industrial control

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【アメリカ】マイクロソフト、英国沖で海底データセンターの敷設・稼働実験開始

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 IT世界大手米マイクロソフトは6月5日、英スコットランド北部オークニー諸島沖のヨーロッパ海洋エネルギー・センター(EMEC)敷地内に、海底データセンター「ノーザン・アイルズ」を試験的に設置したと発表した。同社は、量産カプセル型のデータセンターの検討プロジェクト「Project Natick」に取り組んでおり、今回が敷設第1号となる。  ノーザン・アイルズは、長さ12.2mの円筒形状。内部にはサーバー864台を搭載しており、メンテナンスなしで最長5年間海底で稼働できるよう設計されている。海底に敷設することで、冷却コストを節約できるという。サーバー運転に必要な電力は、沿岸に設置されている太陽光発電と風力発電からケーブルで送電する。マイクロソフトの「Project Natick」では、カプセル型のデーターセンターを船で運搬し、世界中の需要に応じて迅速にデーターセンターを立ち上げる体制づくりを目標としており、海底に敷設できれば可能性は大きく広がると考えている。  ヨーロッパ海洋エネルギー・センターは、潮力発電の研究を進める施設。周辺海域は、潮の満ち引きが激しく、潮力が強い厳しい環境。今回の試験的設置では105日間稼働実験を行い、今後の研究の材料とする。  海底データセンターのアイデアは、マイクロソフトの従業員のアイデアコンテストから生まれた。2014年にプロジェクトが正式発足し、プロトタイプの開発と生産を進めていた。 【参照ページ】Under the sea, Microsoft tests a datacenter that’s quick to deploy, could provide internet connectivity for years

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【アメリカ】グーグル、2017年までにデーターセンターとオフィス電力を100%再生可能エネルギーに

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 インターネット大手グーグルは12月6日、2017年までに同社の全世界のデータセンターとオフィスのエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを宣言した。同社は低炭素社会への移行を推進するため、2010年にアイオワ州で風力発電電力の購入をスタートしたことを皮切りに、再生可能エネルギー電力の購入をスタート。現在では電力購入契約を結んでいる風力発電と太陽光発電の設備容量は2.6GWにまで達し、同社によると世界最大の再生可能エネルギー購入企業となっている。今回の発表では、2017年までに全世界のデータセンターとオフィスで消費する電力総量を、同社の再生可能エネルギー購入電力量が上回るようにしていく。 (出所)Google  同社は近年、AIを導入した省エネルギーに取り組んできているが、事業拡大もあり電力消費総量は増加し続けている。2015年の同社の再生可能エネルギー電力量は5.7TWh。英国の太陽光発電総発電量が7.6TWhであることを考えると、その量は膨大だ。同社が2015年に購入した再生可能エネルギーの大半は、米国の風力発電であったが、今後はベースロード電源として活用できる水力発電やバイオマス発電などとの10年間長期契約も検討していくという。安全面やコスト面等で条件が合えば原子力発電も検討対象に加えていくが、まだまだ「Controversial」だとしている。 【参照ページ】We’re set to reach 100% renewable energy — and it’s just the beginning 【参考ページ】https://blog.google/topics/environment/100-percent-renewable-energy/

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【アメリカ】グーグル、同社の世界全データセンターで「埋立廃棄物ゼロ」を宣言

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 グーグルは9月14日、同社の世界中のデーターセンターからの埋立廃棄物をゼロにする「Zero Waste to Landfill」を宣言した。達成期限は特に定めていない。同社が掲げる「Zero Waste to Landfill」は、データセンターからの排出される廃棄物が埋立処理されるものをゼロにする。また、廃棄物のうち燃焼エネルギー源として活用されるものも10%以下に留め、基本的に物質として再利用するというもの。同社は、「Zero Waste to Landfill」イニシアチブを推進する米国のUL社とパートナーシップも結んだ。  グーグルがすでに保有するデータセンターのうち、アイルランド、フィンランド、ベルギー、台湾、シンガポールにある計6つのデーターセンターでは、すでに埋立廃棄物ゼロが実現されているが、燃焼エネルギー源に回るものが10%を超えておりこの割合を今後下げていく。また、それ以外も含む世界全14ヶ所のデータセンターからの埋立廃棄物割合は現在約14%あり、今後これもゼロにしていく。  同社はこれを達成してくための方策として、(1)廃棄物そのものを削減するための省資源オペレーションの実現、(2)製品寿命の長いものを事業で利用、(3)事業オペレーションの変化により不測の廃棄物増加への備えを仕組み化、を挙げ、全力で取り組んでいく姿勢を示した。今後は廃棄物をゼロにするだけでなく、廃棄物の再利用が事業にプラスに作用するようにしていく「circular economy practices」を今後検討していくことも示した。  同社はこのような大々的な発表を、公式声明のような形ではなく、同社の公式ブログの中でプログラムマネージャーが宣言する形で行った。このような軽快な動きにも、グーグルらしさが伺える。 【参照ページ】Six Google Data Centers are Diverting 100% of Waste from Landfill

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【アメリカ】グーグル、石炭火力発電所を100%再生可能エネルギーのデータセンターに移行

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 米IT大手のグーグルは6月24日、米国アラバマ州に100%再生可能エネルギーのデータセンターを設立すると発表した。グーグルはこれまで米国アイオワ州、ジョージア州、シンガポール、ベルギーへと自社データセンターを拡大させてきたが、世界で14番目となる今回のデータセンターはその中でも特に画期的なプロジェクトとして話題を呼んでいる。なぜなら、この新しいデータセンターは間もなく閉鎖予定のウィドウズクリーク石炭火力発電所の跡地に建設される予定だからだ。  今、世界では化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が叫ばれているが、このグーグルのプロジェクトは世界のトレンドを象徴するプロジェクトとして注目を浴びているのだ。  データセンターは稼働までに多くのインフラ整備が必要となるため、グーグルは石炭火力発電所のように広大な工業用地を新たにデータセンターとして転用することに大きな可能性を見出している。同社は発電所の既存インフラを活用し、6億米ドルを投じて新たに24時間稼働のデータセンターを建設する予。建設開始は来年初旬を予定している。  ウィドウズクリークでは既存の送電線を活用してデータセンターに再生可能エネルギーが送られることになる。同社は今回の事業でテネシー川流域開発公社と協働し、継続的に再生可能エネルギーの創出に取り組むことで最終的に同センターの再生可能エネルギー利用比率を100%にすることを目指している。  また、今回のデータセンターには同社の最先端エネルギー効率技術が導入される予定だ。極めて高効率のサーバーや機械学習、より効率的にデータセンターを冷却する方法などの開発を通じて、5年前と比較してコンピュータの計算に関わるエネルギー効率は3.5倍にまで飛躍したという。  1960年代以降、長らく地域に電力を届けてきた発電所が、今度はインターネットサービスのために使われ、世界中の人々に情報を届けることになる。  グーグルは2010年から積極的に再生可能エネルギーへの移行を進めており、今では電力業界以外の企業としては世界で最も多くの再生可能エネルギーを調達する企業の一社となった。現在では米国内に設置された風力発電所から発生するエネルギーの1.5%以上に相当するエネルギーを購入するなど、再生可能エネルギーの購買量に関しては世界トップを走っている。  現在グーグルの全データセンターにおける再生可能エネルギー利用率は46%程度となっている。既にデータセンターにおける再生可能エネルギーの利用率100%を達成したアップルに追随することができるか。今後の動向に注目したい。 【参照リリース】A power plant for the Internet: our newest data center in Alabama 【企業サイト】Google (※写真提供:turtix / Shutterstock.com)

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【アメリカ】アップル、グーグル、フェイスブック、ノースカロライナ州のエネルギー政策方針に反対を表明

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 IT大手のアップル、グーグル、フェイスブックの3社は5月29日、米国ノースカロライナ州の議員らに対し、同州の再生可能エネルギーおよびエネルギー効率化政策の改変を目的とする下院の法案332に反対する書面を提出した。  同法案は現行のRenewable Energy & Energy Efficiency Portfolio Standard(再生可能エネルギー・エネルギー効率化割合基準、以下REPS)の修正案を盛り込んだもので、アップルら3社は今回の変更が同州の再生可能エネルギー供給に負の影響を及ぼすとして懸念を表明している。同法案は上院を通過し、4月の下旬に下院に送られていた。  アップル、グーグル、フェイスブックはいずれもノースカロライナ州にデータセンターを保有しており、これまでに多額の投資を行っている。アップルらは同社らがノースカロライナ州にデータセンターを建設してきた一番の理由として、同州がこれまで現行のRenewable Energy & Energy Efficiency Portfolio Standard (REPS)のもとで再生可能エネルギーを推進してきた点を挙げており、議員らに対して現行の政策を継続するよう求めている。  書面の中で、アップルらは「ノースカロライナ州のオペレーションから世界中の顧客に対してサービスを提供しているグローバル企業として、信頼性が高く持続可能な電力供給は非常に重要であり、それには再生可能エネルギーからの電力調達が必要だ」と述べている。  アップル、グーグル、フェイスブックは持続可能なインターネットを目指してそれぞれデータセンターおよび事業運営における再生可能エネルギー目標を掲げている。これらの企業にとってノースカロライナ州のエネルギー政策の行方は自社のサステナビリティ目標の進捗を左右する重大な問題なのだ。政策の変更によってはデータセンターの移行など新たな投資が必要となる可能性もあり、今後の事業運営にも大きく影響する。  同社らは「我々は注意深く考案された現在の法律と政策の仕組みを州議会が変更しないように謹んで要求する。我々の業界の投資決定は現行の法制度に依存しており、それこそがノースカロライナを我々の事業にとって特別魅力的にしているのだ」と語り、現行の制度 維持を訴えかけた。  今回の書面を受けてノースカロライナ州が最終的にどのような判断を下すのか、法案の行方に注目が集まる。 【参考サイト】GENERAL ASSEMBLY OF NORTH CAROLINA SESSION 2015 【参照リリース】RE: NC H332, Energy Policy Amendments

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【ヨーロッパ】アップル、17億ユーロを投資して再生可能エネルギー100%のデータセンターを建設へ

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 アップルは2月23日、17億ユーロを投資して新たにヨーロッパに再生可能エネルギー100%のデータセンターを2つ建設すると発表した。2つの施設はアイルランドのゴールウェイ州およびデンマークのユトランド半島に建設される予定で、欧州全域の消費者向けに同社が提供しているオンラインサービスに必要な電力を供給する。  従来のアップルのデータセンターと同様、新設される2つのデータセンターは初日から100%再生可能エネルギーで稼動する。また、現地のパートナーと提携しながら風力など別の再生可能エネルギープロジェクトも展開する予定だ。これらの2施設はアップルが運営するデータセンターの中で過去最少の環境負荷となる見込みだ。  さらに、同データセンターには現地コミュニティに貢献するための工夫も凝らされている。アイルランドでは原生林の再生プロジェクトが実施されるほか、地域住民向けの遊歩道や地元の学校向けの野外授業スペースが設けられる。デンマークでは、発電機の追加を回避するためにデータセンターを現地の最大規模の変電所の付近に設置するほか、稼働中の余熱を施設内から地元の住宅暖房システムに供給できるように設計される。  アップルの最高経営責任者を務めるTim Cook氏は「この新たな投資はこれまでヨーロッパでアップルが行ってきた中で最大のプロジェクトとなる。我々が事業を拡大することで現地の雇用が創出され、環境保護の面で最も先進的な建築デザインを披露できることをたいへん嬉しく思う」と語った。  また、アップルの環境イニシアチブ担当副社長を務めるLisa Jackson氏は「イノベーションとは、この世界を今よりもさらに良いものにして後世に残すことであり、気候変動に対する取り組みを始めるのは今だと我々は信じている。アイルランドとデンマークでグリーン産業の成長を促し、強風を資源として活用するエネルギーシステムの開発に大いに期待している」と語った。  2013年に米国環境保護庁の元長官、Lisa Jackson氏を環境担当副社長に迎えたアップルは、今や製品・サービスだけではなく環境面においてもその革新的な取り組みで業界を牽引する存在となりつつある。 【企業サイト】Apple (※写真提供:Lester Balajadia / Shutterstock.com)

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【アメリカ】Amazon、AWSの運営を100%再生可能エネルギーへ

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AppleやGoogle、Facebookに引き続き、これまで再生可能エネルギーについては沈黙を保ってきたAmazonも、ついに11月の中旬に同社のクラウドサービス部門、AWS(Amazon Web Service:アマゾン・ウェブ・サービス)の運営を100%再生可能エネルギーにするという誓約を発表した。 IT業界ではここ数年、 AppleやGoogle、Facebookなどの大手企業らがGreen PeaceなどNGOなどからの圧力を受けて続々と再生可能エネルギーへのコミットメントを示してきたが、Amazonだけは他社とは異なり、態度を変化させることがなかった。 ところが11月、AmazonはついにAWSのサービスウェブサイト内で” AWS has a long-term commitment to achieve 100% renewable energy usage for our global infrastructure footprint.”(AWSは、グローバルなインフラのフットプリントにおいて100%再生可能エネルギー利用を達成する、という長期的なコミットメントを持っている)と公表した。 Amazonが提供するAWSは今や世界最大のクラウド・コンピューティングサービスで、Amazon自体のサービスはもちろん、米国ではFlipboardやNewsweek、Airbnbなど多大なトラフィックを持つ大手Webサイトの多くが同社のサービスを利用して運営されている。 Webサービスを運営する企業はAWSのようなクラウドサービスを利用するだけで自社サーバーの不稼働リソースを減らすことができ、結果としてコストやCO2排出量の削減につなげることが可能だが、それに加えてAmazon自体がAWSの運営にかかるCO2排出量を削減することで、同社のクラウドを利用しているIT企業は更に自社サービス運営に関わるCO2排出量を減らすことが可能になる。 一方、同ニュースについて報じているWIREDは、Facebookなど他の企業と同様にAmazonが実際に100%再生可能エネルギーに移行するにはかなりの年月がかかるとしたうえで、「世界最大のパブリック・クラウドカンパニーであるAmazonが100%再生利用可能エネルギーにコミットしたことは大きな前進だ」としつつ、「同社は他企業とは異なり目標達成に向けた具体的なロードマップを公開しておらず、どこまで本気なのかが分からない」というGreenpeaceのITアナリストGary Cook氏のコメントも紹介している。 WIREDの指摘するとおり、100%再生可能エネルギーへの移行にはかなりの年月がかかりそうだが、AmazonがIT業界全体、ひいては産業界全体に持っている影響力の大きさを考えると今回の発表はとても大きな一歩と言えそうだ。今後の同社の動向に期待したい。 【企業サイト】AWS and Sustainable Energy 【参考記事】Amazon Vows to Run on 100 Percent Renewable Energy (※写真提供:Ken Wolter / Shutterstock.com)

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【IT】グリーンピースの巨大な影響力〜アマゾン、アップルがクリーンエネルギー推進へ転換〜

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 急速に拡大するウェブサービス業界。最近ではソーシャルネットワーキングサービス、クラウドサービスが日常的に家庭やオフィスで活用されるようになってきました。次々と新たなウェブサービスが生まれる一方、サステナビリティの文脈でウェブサービスの事例が取り扱わることはあまり多くありませんでした。サステナビリティのニュースで大きく取り扱われてきたのは、原材料の安定供給に勤しむ食品業界、製造現場での人権問題対応に追われる製造業、スチュワードシップ・コードなどで関心が高まる金融業界。ステークホルダーとの価値媒体が「データ」となっているウェブサービス業界は、ESG(環境・社会・ガバナンス)のトレンドとはやや疎遠であるような印象がありました。しかし、いま、米国ではこの状況が大きく変化しつつあります。  ウェブサービス業界とサステナビリティ。この両者を結びつける火付け役を果たしたのは、国際NGOのグリーンピース。オランダ・アムステルダムに拠点を置くグリーンピースは、環境保全・自然保護のために、時には過激とも思われる手法をも用いて行動をすることで知られており、日本でも2001年に捕鯨船をめぐるトラブルで有名になりました。今では、32ヶ国に拠点を置き、国やグローバル企業が無視できないほどの強大な影響力があります。数あるグリーンピースの世界的キャンペーンの中で、彼らが2012年に開始したのがウェブサービス業界に対するネガティブキャンペーン、テーマはウェブサービス業界の事業の根幹である通信機器を動かすための電力エネルギーです。  2012年4月、グリーンピースは"How clean is your cloud?"というレポートを発行、アマゾン、アップル、デル、フェイスブック、グーグル、HP、 IBM、マイクロソフト、オラクル、Rackspace、セールスフォース、ツイッター、ヤフーというアメリカを代表するウェブサービス企業14社の使用電力の環境配慮を独自評価し、成績の悪い企業に対する厳しい追及をスタートさせます。 (出所:Greenpeace "How clean is your cloud?")  14社の使用電力のクリーン度合いを測る上で、グリーンピースが用いた評価軸は以下の5つです。 事業で使用する全電力の石炭火力発電及び原子力発電依存度 エネルギーに関する情報開示度 事業所所在地選定におけるエネルギー要素考慮度 エネルギー効率と温室効果ガス排出量 再生可能エネルギー投資額および政策提言度  結果、評価が低かったアップル、アマゾン、マイクロソフトに対し、グリーンピースはネガティブキャンペーンを世界的に展開していきます。  ドイツでは、グリーンピースのメンバーが、化石燃料をイメージした黒い風船を持ち、アップルストアに押しかけました。  ルクセンブルグでは同様に、煙をイメージした白い風船を掲げ、アマゾンに警鐘を鳴らす広告を打ち出しました。  他にもオンライン上やリアルな場で、グリーンピースは強烈なキャンペーンを展開していきました。  いち早く反応を示したのはアップル。グリーンピースのレポート発表直後からアップルとの議論の応酬が始まりました。まず、レポート発表の5日後、アップルがNew York Times紙を通じて反論、レポートが報じた同社の電力消費量が実際より多く試算されていること、また同社の新設データセンターでは再生可能エネルギープロジェクトを進めていることを強調します。しかし、グリーンピースは同日、アップルのデータ開示の透明性が低いことや再生可能エネルギー割合を増やす努力が足りないことを理由に、キャンペーンを継続させる宣言をグリーンピースのホームページ上で行います。その1か月後、ついにアップルはグリーンピースの要求に沿うような形で、全米4ヶ所にあるデータセンター全ての電力を再生可能エネルギーで調達する方針を宣言します(Wired紙)。  その後もアップル、アマゾン、マイクロソフトに対するグリーンピースの糾弾は約1年間続き、WEBサービス各社は対応を余儀なくされる状況へと移っていきました。再生可能エネルギーへのコミットメントを標榜したアップルは2013年3月、データセンターの電力調達を100%再生可能エネルギーで賄うための具体的なプランを公表(GreenpeaceのHP)。一方、グリーンピースから悪くない評価を得ていたグーグルも再生可能エネルギーへのコミットメントを先手を打って高めていきます。2013年4月、グーグルは、自社電力消費量の再生可能エネルギー割合を高めるため、100万米ドルを投じて風力発電所と太陽光発電所を設置することを発表し、さらに電力調達元であるDuke Energy社に対して再生可能エネルギー割合を高めるよう要求することを公表します(GoogleのHP)。こうして、グリーンピースによるレポート発表を契機に、アメリカのWEBサービス企業の再生可能エネルギーに対するコミットメントは大きく高まっていきました。  2014年10月には、マイクロソフトは、シーメンス社と共同で自社データセンターの付近でバイオガス発電所を設立する計画を発表(シーメンス社のHP)。そして、2014年11月。長らく沈黙を守ってきたAmazonもついに公式発表を行い、時期は言明しないながらもAmazonのクラウドサービス(AWS)の消費電力をグローバルで100%再生可能エネルギーで調達する方針を宣言しました(Environmental Leader)。その数日後の2014年12月に、アップルが自社で進める再生可能エネルギー発電の第三者監査を推進するため、最近創設された再生可能エネルギーの認証制度"Green-e®"に第1号企業として加盟することを決定するという報道もありました(3BL)。  2012年4月にグリーンピースが仕掛けたクラウドサービスに対するネガティブキャンペーンは、当初はそのやや過激な手法から否定的な見解も表出しましたが、2年半経った今、グリーンピースが掲げた方向性に業界全体が向かっていることが見て取れます。今日、グローバル展開するウェブサービス企業は、自社の施設内に再生可能エネルギー発電設備を整備するのはもちろんのこと、国ごとの再生可能エネルギー推進状況を考慮してデータセンターの設置国を検討したり、電力事業者に対して再生可能エネルギー発電割合を高める圧力をかけるにまで至っています。日本企業はこの流れを対岸の火事のように傍観してもいられません。今回は主にシリコンバレーのグローバル企業が標的となりましたが、日本企業が海外での事業拡大を狙うのであれば、当然グリーンピースのターゲットリストの中に入ってくるということにもなります。再生可能エネルギーの発電コストが年々減少し、一方で化石燃料市場の価格が大きく変動する中、企業の長期的発展を勝ち取るのは、再生可能エネルギー投資を推し進めるシリコンバレーの企業なのか、はたまた電力供給を政府や電力事業者の方針に身を委ねる企業なのか。その答えは自明な気がしてなりません。

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2014/12/22 事例を見る
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